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  • 特許-流体移送装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】流体移送装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20230621BHJP
   G01N 31/00 20060101ALN20230621BHJP
【FI】
G01N1/00 101F
G01N31/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019155163
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2021032783
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391028188
【氏名又は名称】株式会社アナテック・ヤナコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 信夫
(72)【発明者】
【氏名】西田 健太
(72)【発明者】
【氏名】片山 光一
(72)【発明者】
【氏名】郭 翔
(72)【発明者】
【氏名】羽谷 信治
(72)【発明者】
【氏名】菅原 光明
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/199933(WO,A1)
【文献】特開2004-333439(JP,A)
【文献】特開平06-102155(JP,A)
【文献】特開昭58-103639(JP,A)
【文献】特開昭62-153698(JP,A)
【文献】特開昭63-135858(JP,A)
【文献】特開昭63-315944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
G01N 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に接続されたポンプが作動することによって所定量の流体を該配管内の目標位置まで移送する流体移送装置であって、
送中の前記流体の先端および末端を検知する流体検知部と、
前記流体検知部が前記先端を検知してから前記末端を検知するまでの通過時間と、前記流体検知部と前記目標位置との位置関係とに基づいて前記ポンプを停止させる制御部と、
を備え
前記配管は、前記ポンプに接続された第1部分と、前記第1部分の上流側に位置する第2部分と、前記第2部分の上流側に位置する第3部分とを有し、
前記第2部分は、発熱体の周囲に巻かれており、
前記目標位置は、前記第2部分内にあり、
前記流体検知部は、前記第3部分に設けられている
ことを特徴とする流体移送装置。
【請求項2】
前記配管内における前記流体の長さをLf、前記目標位置において停止したときの前記流体の前記先端と前記流体検知部との間の移送距離をLb、前記通過時間をΔTとしたとき、前記制御部は、前記流体検知部によって移送中の前記流体の前記先端が検知されてから式“Lb×ΔT/Lf”で求めた時間が経過したときに前記ポンプを停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の流体移送装置。
【請求項3】
前記配管内における前記流体の長さをLf、前記目標位置において停止したときの前記流体の前記末端と前記流体検知部との間の移送距離をLt、前記通過時間をΔTとしたとき、前記制御部は、前記流体検知部によって移送中の前記流体の前記末端が検知されてから式“Lt×ΔT/Lf”で求めた時間が経過したときに前記ポンプを停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の流体移送装置。
【請求項4】
前記配管は、透光性を有し、
前記流体検知部は、前記配管を挟んで対向配置された投光器および受光器を有し、
前記投光器は、前記受光器に向けて所定光量の検知光を出力し、
前記受光器は、到達した前記検知光の光量の変化に基づいて移送中の前記流体の前記先端および前記末端を検知する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の流体移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管に接続されたポンプが作動することによって所定量の流体を該配管内の目標位置まで移送する流体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種測定装置において、試料としての各種流体を配管内の目標位置まで移送するために流体移送装置が使用されている。例えば、特許文献1に記載された湿式全有機炭素測定装置は、有機炭素成分を含む試料と、炭素成分を除去した酸溶液および酸化剤溶液とを反応槽内で混合および加熱し、これにより生じた二酸化炭素の濃度を赤外線ガス分析計で分析するように構成されているが、混合と加熱を別の場所で行う場合もあり、このような場合に流体移送装置が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-173962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発熱体の周囲に巻かれた配管内で上記の加熱を行う場合は、配管内に設定された目標位置からずれた位置に試料等の混合液(流体)を移送してしまうと、昇温とこれに伴う二酸化炭素の発生を意図した通りに行うことができなくなる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、所定量の流体を配管内の目標位置に精度良く移送することができる流体移送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る流体移送装置は、配管に接続されたポンプが作動することによって所定量の流体を該配管内の目標位置まで移送する流体移送装置であって、目標位置の上流側において配管に設けられ、移送中の流体の先端および末端を検知する流体検知部と、流体検知部が先端を検知してから末端を検知するまでの通過時間と、流体検知部と目標位置との位置関係とに基づいてポンプを停止させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記流体移送装置の制御部は、流体検知部によって移送中の流体の先端が検知されてから式“Lb×ΔT/Lf”で求めた時間が経過したときにポンプを停止させてもよいし、流体検知部によって移送中の流体の末端が検知されてから式“Lt×ΔT/Lf”で求めた時間が経過したときにポンプを停止させてもよい。ただし、Lfは配管内における流体の長さであり、Lbは目標位置において停止したときの流体の先端と流体検知部との間の移送距離であり、Ltは目標位置において停止したときの流体の末端と流体検知部との間の移送距離であり、ΔTは通過時間である。
【0008】
上記流体移送装置は、配管が透光性を有し、流体検知部が配管を挟んで対向配置された投光器および受光器を有し、投光器が受光器に向けて所定光量の検知光を出力し、受光器が到達した検知光の光量の変化に基づいて移送中の流体の先端および末端を検知する、との構成を有していてもよい。
【0009】
また、上記流体移送装置は、配管が、ポンプに接続された第1部分と、第1部分の上流側に位置する第2部分と、第2部分の上流側に位置する第3部分とを有し、第2部分が発熱体の周囲に巻かれ、目標位置が第2部分内にあり、流体検知部が第3部分に設けられている、との構成を有していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所定量の流体を配管内の目標位置に精度良く移送することができる流体移送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る流体移送装置が組み込まれた湿式全有機炭素測定装置の主要部を示す図である。
図2】本発明の第1実施例に係る流体移送装置を示す図である。
図3】本発明の第2実施例に係る流体移送装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る流体移送装置の実施例について説明する。なお、以下では、湿式全有機炭素測定装置に組み込んだ例について説明するが、本発明に係る流体移送装置は、他の装置に組み込んで使用されてもよい。
【0013】
[湿式全有機炭素測定装置]
まず、図1を参照しながら、湿式全有機炭素測定装置10について説明する。湿式全有機炭素測定装置10は、試料中の全有機炭素(TOC:Total Organic Carbon)の濃度を周期的に測定するための自動測定装置であって、試料貯留部11と、洗浄水貯留部12と、酸溶液貯留部13と、酸化剤溶液貯留部14と、混合部15と、加熱部16と、除湿部17と、二酸化炭素検出部18と、廃液貯留部19とを備えている。
【0014】
試料貯留部11は、試料としての水を貯めたタンクである。試料貯留部11には、有機炭素を含んでいると見込まれる水が不図示の流量調整バルブを介して導かれる。
【0015】
洗浄水貯留部12は、試料が通過する配管の内壁およびバルブの接液部、並びに混合部15の内部を洗浄するための洗浄水を貯めたタンクである。洗浄水としては、通常、水道水を使用する。洗浄水は、低濃度測定を行う際に試料を希釈する希釈水として使用することもできる。この場合は、洗浄水として、例えば、イオン交換法により得られたイオン交換水や逆浸透膜を用いる濾過により得られたRO水等の純水を使用することができる。
【0016】
酸溶液貯留部13は、無機炭素を除去するための酸溶液を貯めた保存容器である。酸溶液に含まれる酸としては、例えば、硫酸、塩酸およびリン酸等の無機酸を使用することができる。酸の濃度は、試料のpHを十分に低下させることができるように予め調整されている。
【0017】
酸化剤溶液貯留部14は、酸化剤溶液を貯めた保存容器である。酸化剤溶液に含まれる酸化剤としては、例えば、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸カリウムを使用することができる。酸化剤の濃度は、試料中の有機炭素を十分に酸化させることができるように予め調整されている。
【0018】
混合部15は、適当なバルブを介して試料貯留部11、洗浄水貯留部12、酸溶液貯留部13および酸化剤溶液貯留部14に接続された容器である。ここでは、所定量の試料と、酸溶液貯留部13に貯められた所定量の酸溶液と、酸化剤溶液貯留部14に貯められた所定量の酸化剤溶液とが混合される。混合部15は、後述する加熱部16、除湿部17および廃液貯留部19にも接続されている。
【0019】
加熱部16は、発熱体40と、2つのバルブ41,42と、バルブ41,42を閉じることにより密閉される配管31とを含むオートクレーブである。加熱部16は、配管31内に閉じ込めた混合液(試料、酸溶液および酸化剤溶液を混合したもの)を発熱体40によって加熱することにより、試料中の有機炭素を酸化させ、二酸化炭素を生じさせる。
【0020】
除湿部17は、二酸化炭素検出部18に送られる試料ガス中の水分を捕集するミストキャッチャーである。試料ガスには、加熱部16で生じた二酸化炭素が含まれている。
【0021】
二酸化炭素検出部18は、試料ガス中の二酸化炭素の量を検出する赤外線ガス分析計である。試料ガスに含まれる二酸化炭素の量を検出することは、試料中のTOCの濃度を測定することと等価である。
【0022】
廃液貯留部19は、混合部15内の残留液を廃液として貯めるタンクである。
【0023】
湿式全有機炭素測定装置10は、さらに、二酸化炭素除去部20と、第1ポンプ21と、第2ポンプ22と、流体検知部50と、制御部51とを備えている。ただし、制御部51は、図1には示されていない。
【0024】
二酸化炭素除去部20は、二酸化炭素を除去する二酸化炭素除去管である。二酸化炭素除去管は、二酸化炭素を吸収する吸収剤としてソーダライムを備えている。
【0025】
第1ポンプ21は、チューブポンプ(しごきポンプともいう)であり、配管(例えば、配管30等)内の空気を吸引する吸引動作と、配管(例えば、配管30等)内に空気を送り込む吐出動作とを行うことができる。これら2つの動作は、二酸化炭素除去部20を介して行われる。
【0026】
第2ポンプ22は、電磁式エアポンプであり、配管(例えば、配管30等)内に空気を送り込む吐出動作を行うことができる。この動作も、二酸化炭素除去部20を介して行われる。
【0027】
流体検知部50は、混合部15と加熱部16とを接続する配管32を挟んで対向配置された投光器50aおよび受光器50bからなる(図2および図3参照)。投光器50aは、受光器50bに向けて所定光量の検知光を出力する。また、受光器50bは、到達した検知光の光量の変化に基づいて、投光器50aおよび受光器50bの間を通過する混合液の先端および末端を検知する。
【0028】
制御部51は、マイクロプロセッサ(MPU:Micro Processing Unit)からなる。制御部51は、流体検知部50の検知結果に基づいて、少なくとも第1ポンプ21の動作を制御する。
【0029】
湿式全有機炭素測定装置10は、以下に示す手順(1)~(11)により試料中のTOCの濃度を測定し、測定の結果を出力する。
(1)第2ポンプ22の吐出動作により、二酸化炭素除去部20を介して、各部(各配管、混合部15、加熱部16、除湿部17および二酸化炭素検出部18等)にゼロガスを送り、これらの内部をゼロガスで置換する。
(2)第1ポンプ21の吸引/吐出動作により、所定量の試料を混合部15に送る。
(3)第1ポンプ21の吸引/吐出動作により、所定量の酸溶液を混合部15に送る。
(4)第1ポンプ21の吐出動作により、二酸化炭素除去部20および加熱部16を経由して混合部15に空気を導入し、所定時間のバブリングを行って無機炭素を除去する。
(5)第1ポンプ21の吸引/吐出動作により、所定量の酸化剤溶液を混合部15に送る。
(6)第1ポンプ21の吸引動作により、混合部15内の混合液の全部を配管31内の目標位置に移送する。このとき、バルブ41,42は開いている。
(7)バルブ41,42を閉じ、配管31を密閉する。
(8)発熱体40を昇温させて、混合液を加熱および加圧する。
(9)バルブ41,42を開け、配管31を開放する。
(10)第1ポンプ21の吐出動作により、加熱により生じた配管31内の二酸化炭素を含む試料ガスを混合部15および除湿部17を経由して二酸化炭素検出部18に送る。
(11)二酸化炭素検出部18により、試料ガス中の二酸化炭素の量を検出する。
【0030】
[流体移送装置(第1実施例)]
続いて、図2を参照しながら、第1ポンプ21と、配管30,31,32と、流体検知部50と、制御部51とを備えた本発明の第1実施例に係る流体移送装置について説明する。
【0031】
配管30は、第1ポンプ21と混合部15とを接続する配管の第1部分であり、下流側の端部が第1ポンプ21に接続され、上流側の端部がバルブ42に接続されている。
【0032】
配管31は、第1ポンプ21と混合部15とを接続する配管の第2部分であり、下流側の端部がバルブ42に接続され、上流側の端部がバルブ41に接続されている。配管31は、その長さ方向のほぼ中央に位置する被加熱部分33が発熱体40の周囲に巻かれている。
【0033】
配管32は、第1ポンプ21と混合部15とを接続する配管の第3部分であり、下流側の端部がバルブ41に接続され、上流側の端部が混合部15に接続されている。配管32の途中には、流体検知部50を構成する投光器50aおよび受光器50bが設けられている。
【0034】
配管32は、少なくとも投光器50aおよび受光器50bに挟まれた部分が透光性を有する素材で構成されている。これにより、受光器50bは、投光器50aが出力した検知光を受光することができる。
【0035】
本実施例では、配管31の被加熱部分33の長さが200cm(100cm+100cm)であり、被加熱部分33の上流側の端部と流体検知部50との間の距離(移送距離)が110cmである。また、本実施例では、混合液Mの移送先(目標位置M’)が被加熱部分33の中央に設定されている。
【0036】
また、本実施例では、配管31,32の内径が3mmφである。このため、混合液Mの量が10mlである場合、配管31,32内における混合液Mの長さは140cmとなる。なお、配管30の内径は、3mmφであってもよいし、3mmφでなくてもよい。
【0037】
第1ポンプ21が吸引動作を行うと、混合液Mが配管32内を下流側に向かって移送される。そして、投光器50aと受光器50bとの間を混合液Mの先端Mbが通過すると、受光器50bに到達する検知光の光量が変化(減少)し、これにより、流体検知部50は、混合液Mの先端Mbを検知する。なお、受光器50bに到達する検知光の光量が減少するのは、検知光が混合液Mによって屈折させられて受光器50bに到達しなくなるからである。
【0038】
引き続き第1ポンプ21が吸引動作を行うと、混合液Mが配管32内を下流側に向かってさらに移送される。そして、投光器50aと受光器50bとの間を混合液Mの末端Mtが通過すると、受光器50bに到達する検知光の光量が再び変化(増加)し、これにより、流体検知部50は、混合液Mの末端Mtを検知する。なお、受光器50bに到達する検知光の光量が増加するのは、検知光が混合液Mによって屈折させられなくなるからである。
【0039】
制御部51は、流体検知部50の検知結果に基づいて、混合液Mの移送速度を求める。例えば、流体検知部50が混合液Mの先端Mbを検知してから末端Mtを検知するまでの時間、すなわち混合液Mの通過時間が5秒であった場合、制御部51は、“140/5”の計算により移送速度が28cm/秒であることを求める。
【0040】
次いで、制御部51は、流体検知部50と目標位置M’との位置関係に基づいて、第1ポンプ21を停止させる。例えば、制御部51は、流体検知部50が混合液Mの先端Mbを検知してから“280/28”の計算により求めた10秒が経過したときに第1ポンプ21を停止させる。これにより、停止した混合液Mの先端Mbと目標位置M’の先端Mb’とが重なる。
【0041】
まとめると、配管31,32内における混合液Mの長さをLf、目標位置M’の先端Mb’と流体検知部50(50a,50b)との間の移送距離をLb、通過時間をΔTとしたとき、制御部51は、流体検知部50(50a,50b)によって移送中の混合液Mの先端Mbが検知されてから式“Lb×ΔT/Lf”で求めた時間が経過したときに第1ポンプ21を停止させる。
【0042】
このように、本実施例に係る流体移送装置によれば、所定量の混合液Mを目標位置M’に精度良く移送することができる。第1ポンプ21の吸引能力が温度変化または経年劣化により変化したとしても、移送精度が低下することはない。また、チューブポンプは、交換されたチューブが馴染むまでの間は吸引能力が安定しないことが知られているが、本発明によれば、この間も移送精度が低下することはない。
【0043】
[流体移送装置(第2実施例)]
続いて、図3を参照しながら、本発明の第2実施例に係る流体移送装置について説明する。本実施例に係る流体移送装置は、制御部51による計算が第1実施例と異なっているが、他の点については第1実施例と共通している。
【0044】
すなわち、第2実施例における制御部51は、流体検知部50の検知結果に基づいて、混合液Mの移送速度を算出する。例えば、流体検知部50が混合液Mの先端Mbを検知してから末端Mtを検知するまでの時間、すなわち混合液Mの通過時間が5秒であった場合、制御部51は、“140/5”の計算により移送速度が28cm/秒であることを求める。
【0045】
次いで、第2実施例における制御部51は、流体検知部50と目標位置M’との位置関係に基づいて、第1ポンプ21を停止させる。例えば、制御部51は、流体検知部50が混合液Mの末端Mtを検知してから“140/28”の計算により求めた5秒が経過したときに第1ポンプ21を停止させる。これにより、停止した混合液Mの末端Mtと目標位置M’の末端Mt’とが重なる。
【0046】
まとめると、配管31,32内における混合液Mの長さをLf、目標位置M’の末端Mt’と流体検知部50(50a,50b)との間の移送距離をLt、通過時間をΔTとしたとき、第2実施例における制御部51は、流体検知部50(50a,50b)によって移送中の混合液Mの末端Mtが検知されてから式“Lt×ΔT/Lf”で求めた時間が経過したときに第1ポンプ21を停止させる。
【0047】
本実施例に係る流体移送装置によれば、第1実施例と同様の作用効果が得られる。
【0048】
[変形例]
本発明に係る流体移送装置の構成は、上記第1実施例および第2実施例の構成に限定されない。例えば、本発明に係る流体移送装置は、湿式全有機炭素測定装置以外の装置に組み込んで使用されてもよい。また、本発明に係る流体移送装置は、任意の流体を移送するために使用されてもよい。また、本発明に係る流体移送装置は、非光学的な手段で流体の先端および末端を検知するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 湿式全有機炭素測定装置
11 試料貯留部
12 洗浄水貯留部
13 酸溶液貯留部
14 酸化剤溶液貯留部
15 混合部
16 加熱部
17 除湿部
18 二酸化炭素検出部
19 廃液貯留部
20 二酸化炭素除去部
21 第1ポンプ
22 第2ポンプ
30 配管(第1部分)
31 配管(第2部分)
32 配管(第3部分)
40 発熱体
41 バルブ
42 バルブ
50 流体検知部
50a 投光器
50b 受光器
51 制御部
M 混合液
M’ 目標位置
図1
図2
図3