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特許7299621USBコネクタ構造、これを備える充電器及び電源タップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】USBコネクタ構造、これを備える充電器及び電源タップ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
H01R13/52 302A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020025464
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021131944
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】316012326
【氏名又は名称】株式会社ライフエッグ
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹木 芳則
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-56626(JP,A)
【文献】特開2006-185754(JP,A)
【文献】実開昭63-134480(JP,U)
【文献】特開2008-159540(JP,A)
【文献】登録実用新案第3204316(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBプラグを接続可能なUSBコネクタ構造であって、
前記USBプラグを挿入可能な開口部を有するケースと、
前記ケースの内部の前記開口部に対応する位置に取り付けられ、前記開口部に挿入された前記USBプラグの受け口となるソケットと、
前記ケースの内部に設けられ、前記開口部を閉鎖した閉状態と前記開口部を開放して前記ソケットが露出した開状態との間で開閉可能なシャッターと、
前記シャッターを前記閉状態となるように付勢する付勢部材とを備え、
前記シャッターは、
前記閉状態において前記開口部の一部に重なる第1の平板部と、前記第1の平板部の外面に設けられる第1の傾斜部とを有し、第1の回転軸を中心に回転可能な第1の部材と、
前記閉状態において前記開口部の残りの部分に重なる第2の平板部と、前記第2の平板部の外面に設けられる第2の傾斜部とを有し、前記第1の回転軸と平行な第2の回転軸を中心に回転可能な第2の部材とを含み、
前記閉状態において、前記第1の平板部及び前記第2の平板部のそれぞれの側面の一部が面接触し、
前記第1の傾斜部及び前記第2の傾斜部のそれぞれは、前記第1の平板部及び前記第2の平板部の接触面から離れるにつれて高さが増加する傾斜面を有し、
前記USBプラグの先端部が前記第1の傾斜部及び前記第2の傾斜部のそれぞれの傾斜面に接触した状態で前記USBプラグが前記ケースの内側に挿入されるのに伴って、前記第1の部材及び前記第2の部材がそれぞれ前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸を中心に回転することによって、前記シャッターが前記閉状態から前記開状態に変化し、
前記第1の部材及び前記第2の部材の全体が、それぞれの回転位置にかかわらず、前記ケースの外面より前記ケースの内側に位置していることを特徴とする、USBコネクタ構造。
【請求項2】
前記第1の回転軸が、前記第1の平板部よりも前記第2の平板部側に位置すると共に、前記第2の回転軸が、前記第2の平板部よりも前記第1の平板部側に位置することを特徴とする、請求項1に記載のUSBコネクタ構造。
【請求項3】
前記開口部は、前記USBプラグの先端面と略同形状の第1の長方形と、前記第1の長方形と交差する第2の長方形とを重畳してなる十字形状を有しており、
前記開口部のうち、前記第2の長方形に対応する部分に前記第1の傾斜部及び前記第2の傾斜部が収容され、
前記開口部のうち、前記第1の長方形に対応する部分の周縁部に沿って、前記USBプラグを挿入可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のUSBコネクタ構造。
【請求項4】
前記第1の平板部及び前記第2の平板部の外面に対する前記傾斜面の傾斜角が15~30°であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のUSBコネクタ構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のUSBコネクタ構造を備える、充電器。
【請求項6】
基板と、
複数の前記USBコネクタ構造と、
前記USBコネクタ構造を構成する前記ケースのそれぞれの前記開口部が露出するように、前記基板及び複数の前記USBコネクタ構造を収容するハウジングとを備え、
前記基板上には、複数の前記ソケットが実装されており、
前記ケースに前記シャッター及び前記付勢部材が取り付けられてなるシャッターケースが、複数の前記ソケットのそれぞれに対応するように設けられ、前記基板に取り付けられていることを特徴とする、請求項5に記載の充電器。
【請求項7】
請求項1~4のいずれかに記載のUSBコネクタ構造を備える、電源タップ。
【請求項8】
基板と、
複数の前記USBコネクタ構造と、
前記USBコネクタ構造を構成する前記ケースのそれぞれの前記開口部が露出するように、前記基板及び複数の前記USBコネクタ構造を収容するハウジングとを備え、
前記基板上には、複数の前記ソケットが実装されており、
前記ケースに前記シャッター及び前記付勢部材が取り付けられてなるシャッターケースが、複数の前記ソケットのそれぞれに対応するように設けられ、前記基板に取り付けられていることを特徴とする、請求項7に記載の電源タップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBプラグ(オス型コネクタ)を接続可能なUSBコネクタ構造、並びに、これを備える充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器を充電器や他の電子機器(以下、「充電器等」という)に接続するためのケーブルとして、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)規格に準拠したものが一般に用いられている。電子機器を充電器等に接続する際は、ケーブルの一方端に設けられたUSBプラグ(オス型コネクタ)を充電器や他の電子機器に設けられたソケット(メス型コネクタ)に接続し、ケーブルの他方端に設けられた各種のコネクタを電子機器のコネクタに接続する。
【0003】
また、USBプラグを接続していない状態でソケットに埃等の異物が侵入するのを防止するため、カバーや蓋等でソケットを覆ったコネクタが知られている。例えば、特許文献1には、USBプラグの挿入に伴って開き、USBプラグを抜くと自動的に閉鎖されるカバー付きUSBコネクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3204316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のUSBコネクタにおいては、USBコネクタプラグの抜き差しに応じて開閉するコネクタカバーが、USBコネクタの前面パネルよりも外方に突出して設けられている。この特許文献1に記載の構成では、USBプラグ以外の物品等がコネクタカバーに接触した場合、コネクタカバーが開いてしまい、埃等の異物の侵入を防止できなくなるという問題がある。
【0006】
それ故に、本発明は、USBプラグが挿入されていないときに、より確実に異物の侵入を防止できるUSBコネクタ構造、並びに、これを備える充電器及び電源タップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、USBプラグを接続可能なUSBコネクタ構造に関するものであり、当該USBコネクタ構造は、USBプラグを挿入可能な開口部を有するケースと、ケースの内部の開口部に対応する位置に取り付けられ、開口部に挿入されたUSBプラグの受け口となるソケットと、ケースの内部に設けられ、開口部を閉鎖した閉状態と開口部を開放してソケットが露出した開状態との間で開閉可能なシャッターと、シャッターを閉状態となるように付勢する付勢部材とを備え、シャッターは、閉状態において開口部の一部に重なる第1の平板部と、第1の平板部の外面に設けられる第1の傾斜部とを有し、第1の回転軸を中心に回転可能な第1の部材と、閉状態において開口部の残りの部分に重なる第2の平板部と、第2の平板部の外面に設けられる第2の傾斜部とを有し、第1の回転軸と平行な第2の回転軸を中心に回転可能な第2の部材とを含み、閉状態において、第1の平板部及び第2の平板部のそれぞれの側面の一部が面接触し、第1の傾斜部及び第2の傾斜部のそれぞれは、第1の平板部及び第2の平板部の接触面から離れるにつれて高さが増加する傾斜面を有し、USBプラグの先端部が第1の傾斜部及び第2の傾斜部のそれぞれの傾斜面に接触した状態でUSBプラグがケースの内側に挿入されるのに伴って、第1の部材及び第2の部材がそれぞれ第1の回転軸及び第2の回転軸を中心に回転することによって、シャッターが閉状態から開状態に変化し、第1の部材及び第2の部材の全体が、それぞれの回転位置にかかわらず、ケースの外面よりケースの内側に位置していることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明は、上記のUSBコネクタ構造を備える充電器及び電源タップに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、USBプラグが挿入されていない時に、より確実に異物の侵入を防止できるUSBコネクタ構造、並びに、これを備える充電器及び電源タップを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る充電器の概略構成を示す斜視図
図2図1に示す開口部の拡大図
図3図1に示すIII-IIIラインに沿う断面図
図4図1に示す充電器が備えるシャッターの構成部材を示す斜視図
図5】USBプラグの挿入に伴うシャッターの開動作を示す断面図
図6】USBプラグの挿入に伴うシャッターの開動作を示す断面図
図7】第2の実施形態に係る充電器の概略構成を示す斜視図
図8図2に示す充電器が備える基板及びUSBコネクタ構造を示す分解斜視図
図9図8に示したIX-IXラインに沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態として、USB Type-A規格のUSBプラグを接続可能な充電器を説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る充電器の概略構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示す開口部の拡大図であり、図3は、図1に示すIII-IIIラインに沿う断面図である。尚、以下の説明では、図1及び図2に示すx、y及びzの直交座標系により方向を特定する場合がある。
【0013】
図1図3を参照して、充電器100は、ケース3と、ソケット4が実装された基板9と、シャッター5と、シャッター5を閉状態に付勢するための付勢部材とを少なくとも備える。尚、ケース3、ソケット4及びシャッター5がコネクタ構造を構成する。
【0014】
ケース3は、例えば箱形形状を有する樹脂の成形品であり、少なくともソケット4及びシャッター5を収容する。ケース3は、2以上の分割体として構成されても良く、この場合、嵌合により、あるいは、ネジを用いることにより分割体同士が一体化される。ケース3の前面部10は、外面が平坦な平板状の部材であり、前面部10には、USBプラグを挿入可能な開口部6が設けられている。
【0015】
図2に示すように、本実施形態においては、開口部6は十字形状に形成されている。開口部6の十字形状は、x軸に平行な一対の短辺と、y軸に平行な一対の長辺とを有する第1の長方形(二点鎖線で示す)と、x軸に平行な一対の長辺と、y軸に平行な一対の短辺とを有する第2の長方形(長破線で示す)とを交差するように重畳して構成される。開口部6のうち、第1の長方形に対応する部分は、USBプラグの先端面(断面)と同形状であるが、USBプラグを挿入できるようUSBプラグよりも僅かに大きく形成されている。また、開口部6のうち、第2の長方形に対応する部分に、後述する第1の部材11の第1の傾斜部15と、第2の部材12の第2の傾斜部16とが収容される。ただし、開口部6の形状は、USBプラグを挿入可能である限り特に限定されない。
【0016】
ソケット4は、USB規格に準拠したレセプタクルであり、開口部6に挿入されたUSBプラグの受け口となる部材である。したがって、ソケット4は、ケース3の内部において、開口部6に対応する位置、より詳細には、開口部6のうち、USBプラグを挿入可能な上記第1の長方形に相当する部分に対応する位置に配置される。ソケット4は、基板9に固定され、ソケット4の内部の各端子は、基板9に設けられた回路に電気的に接続されている。基板9は、整流回路、電圧制御回路、電流制御回路等を備える。
【0017】
尚、図示を省略しているが、充電器100には、AC電源のコンセントに接続するためのプラグや、AC電源接続用の電源コードを接続するコネクタ等が設けられ、プラグや電源コードを通じて、基板9に電力が供給される。
【0018】
シャッター5は、ケース3の内部に取り付けられ、開口部6を閉鎖した閉状態と、開口部6を開放した開状態との間で開閉可能である。シャッター5は、第1の部材11と第2の部材12とを備える。以下、図4を参照しながら、シャッター5を構成する第1の部材11及び第2の部材12の詳細を説明する。
【0019】
図4は、図1に示す充電器が備えるシャッターの構成部材を示す斜視図である。より詳細には、図4(a)は、第1の部材11及び第2の部材12のそれぞれの斜視図であり、図4(b)は、第1の部材11及び第2の部材12を組み合わせた状態の斜視図である。
【0020】
図4(a)を参照して、第1の部材11は、長方形状の第1の平板部13と、第1の平板部13に接続される一対の支持部材17a及び17bと、第1の平板部13の外面に設けられる第1の傾斜部15とを備える。第1の平板部13は、シャッター5が開口部6を閉鎖した閉状態において、開口部6の半分に重なる平板状の部材である。一対の支持部材17a及び17bは、第1の平板部13が開口部6を閉鎖する位置と開放する位置との間で移動可能となるように第1の平板部13を支持する部材である。支持部材17a及び17bの一方端部は、第1の平板部13の短辺部分にそれぞれ接続され、支持部材17a及び17bの他方端部は、同一の回転軸を中心に回転自在となるようにケース3に取り付けられている。第1の傾斜部15は、第1の平板部13の外面から突出するように設けられており、上面に傾斜面19を有する。
【0021】
同様に、第2の部材12は、長方形状の第2の平板部14と、第2の平板部14に接続される一対の支持部材18a及び18bと、第2の平板部14の外面に設けられる第2の傾斜部16とを備える。第2の平板部14は、シャッター5が開口部6を閉鎖した閉状態において、開口部6の残りの半分、すなわち、開口部6のうち、第1の平板部13によって覆われない部分に重なる平板状の部材である。一対の支持部材18a及び18bは、第2の平板部14が開口部6を閉鎖する位置と開放する位置との間で移動可能となるように第2の平板部14を支持する部材である。支持部材18a及び18bの一方端部は、第2の平板部14の短辺部分にそれぞれ接続され、支持部材18a及び18bの他方端部は、同一の回転軸を中心に回転自在となるようにケース3に取り付けられている。第2の傾斜部16は、第2の平板部14の外面から突出するように設けられており、上面に傾斜面20を有する。
【0022】
第1の平板部13の外面に対する傾斜面19の傾斜角θ1、及び、第2の平板部14の外面に対する傾斜面20の傾斜角θ2は、いずれも15~30°であることが好ましい。後述するように、傾斜面19及び20は、充電器100にUSBプラグを接続する際に、USBプラグから加えられる力を第1の部材11及び第2の部材12を開方向に回転させる分力に分解する機能を有する。したがって、傾斜角θ1及びθ2が小さすぎると、USBプラグから第1の部材11及び第2の部材12に加わる力のうち、第1の部材11及び第2の部材12を互いに引き離す方向の分力が小さくなり、第1の部材11及び第2の部材12を開方向にスムーズに回転させることが困難となる。一方、傾斜角θ1及びθ2が大きくなりすぎると、第1の傾斜部15及び第2の傾斜部16がケース3の前面部10から外方に突出しないように、傾斜面19及び20の傾斜方向の長さを短くする必要があり、USBプラグの挿入に伴って第1の部材11及び第2の部材を開方向に回転させるために必要な傾斜方向の長さ(つまり、後述する図5(b)~図6(a)の過程でUSBプラグ2との接触を維持するために必要な傾斜面19及び20の長さ)が不足し、シャッター5を開状態とすることが困難となる。傾斜角θ1及びθ2がいずれも上記の範囲内であれば、シャッター5の開操作を容易に行うことができる。
【0023】
図3及び図4を併せて参照して、第1の部材11及び第2の部材12は、それぞれ第1の回転軸AX1及び第2の回転軸AX2を中心に回転自在となるように、ケース3の内部の所定部位に取り付けられる。第1の部材11及び第2の部材12のケース3への取り付けは、例えば、図4(b)に示す支持部材17a~18bの他方端部に設けられたボスを、ケース3の円柱状の孔に挿入して保持することによって行うことができる。第1の部材11及び第2の部材12を組み合わせてシャッター5を構成すると、図3及び図4(b)に示すように、開口部6を閉鎖する閉状態では、第1の平板部13の外面と第2の平板部14の外面とが面一となり、かつ、第1の平板部13の長辺に対応する側面21と、第2の平板部14の長辺に対応する側面22とが面接触した状態となる。図3に示すように、閉状態において接触する側面21及び22は、ケース3の前面部10の外面と直交し、かつ、第1の回転軸AX1及び第2の回転軸AX2の両方と平行な平面P上に位置する。尚、閉状態において側面21及び22が位置する平面Pは、図2に示した第1の長方形の一対の短辺のそれぞれの中点を通過し、開口部6を線対称に二分する面である。
【0024】
図3に示すように、第1の部材11の第1の回転軸AX1は、閉状態において、第1の平板部13の側面21及び第2の平板部14の側面22が接触する位置(すなわち、図3の平面P)よりも、第2の平板部14側に位置する。同様に、第2の部材12の第2の回転軸AX2は、閉状態において、第1の平板部13の側面21及び第2の平板部14の側面22が接触する位置(すなわち、図3の平面P)よりも、第1の平板部13側に位置する。本実施形態においては、第1の部材11の第1の回転軸AX1は、平面Pよりも第2の平板部14側かつソケット4と重ならない位置に設定され、第2の部材12の第2の回転軸AX2は、平面Pよりも第1の平板部13側かつソケット4と重ならない位置に設定されている。
【0025】
第1の部材11及び第2の部材12には、外力が加わっていないときに閉状態となるように付勢部材(図示せず)により付勢されている。具体的には、第1の部材11には、第1の回転軸AX1を中心として図3における時計回り方向に付勢するバネ(図示せず)が取り付けられ、第2の部材12には、第2の回転軸AX2を中心として図3における反時計回り方向に付勢するバネ(図示せず)が取り付けられている。また、閉状態において、第1の平板部13の側面21及び第2の平板部14の側面22を図3に示す平面Pに位置するように第1の部材11及び第2の部材12の移動を規制するストッパー(図示せず)が設けられる。尚、付勢部材としては、例えば、第2の実施形態に示すようなトーションバネ(ねじりコイルバネ)を用いることができる。
【0026】
また、図4に示すように、第1の平板部13の外面に設けられた第1の傾斜部15及び第2の平板部14の外面に設けられた第2の傾斜部16は、それぞれ傾斜面19及び20を有する。傾斜面19は、閉状態において第2の平板部14の側面22に接触する側面21から離れるにつれて高さが増加する面である。傾斜面20は、閉状態において第1の平板部13の側面21に接触する側面22から離れるにつれて高さが増加する面である。これらの傾斜面19及び20は、開口部6へのUSBプラグの挿入時にUSBプラグの先端部と接触して、シャッター5を構成する第1の部材11及び第2の部材12を開方向に回転させる機能を有する。以下、シャッター5の開閉方法について説明する。
【0027】
図5及び図6は、USBプラグの挿入に伴うシャッターの開動作を示す断面図である。
【0028】
USBプラグ2を充電器100のソケット4に接続するためには、まず、図5(a)に示すように、USBプラグ2の把持部7を把持して先端面8を開口部6に対向させつつ、USBプラグ2の向きと及びソケット4の向きを挿入可能となるように合わせる。尚、USBプラグ2及びソケット4がリバーシブルの場合は、両者の向き合わせを省略できる。
【0029】
USBプラグ2をシャッター5に近づけると、図5(b)に示すように、USBプラグ2の先端面8が、第1の傾斜部15の傾斜面19及び第2の傾斜部16の傾斜面20に当接する。
【0030】
USBプラグ2の先端面8が傾斜面19及び20に接触した状態で、更にUSBプラグ2をケース3の内部に向けて押し込み、USBプラグ2から傾斜面19及び20へと力を加えると、第1の部材11及び第2の部材12には、これらを互いに引き離す方向に分力が働く。したがって、第1の部材11が、第1の回転軸AX1を中心として図5における反時計回り方向に回転すると共に、第2の部材12が、第2の回転軸AX2を中心として図5における時計回り方向に回転し、図5(c)に示すように、第1の平板部13と第2の平板部14との間に隙間が形成される。
【0031】
USBプラグ2の先端面8と傾斜面19及び20と接触状態を維持したまま、更にUSBプラグ2をケース3の内部に向けて押し込むと、第1の部材11及び第2の部材12が更に同じ回転方向に回転することによって、第1の平板部13と第2の平板部14との間の隙間が広がり、図6(a)に示すように、ソケット4の開口部上にUSBプラグ2を挿入可能な大きさのスペースが生じる。
【0032】
その後、USBプラグ2をケース3の内部に向けて更に押し込むと、図6(b)に示すように、USBプラグ2がソケット4の内部に挿入され、図6(c)に示すように、USBプラグ2の端子23とソケット4の端子24とが導通する。
【0033】
このように、USBプラグ2の先端面8が第1の傾斜部15及び第2の傾斜部16のそれぞれの傾斜面19及び20に接触した状態で、USBプラグ2がケース3の内部に挿入されるのに伴って、第1の部材11及び第2の部材12がそれぞれ第1の回転軸AX1及び第2の回転軸AX2を中心に回転する。これにより、シャッター5が図5(a)及び(b)に示す閉状態から、図6(a)~(c)に示す開状態に変化し、USBプラグ2をソケット4に接続することが可能となる。
【0034】
尚、USBプラグ2をソケット4から抜き取ると、第1の部材11及び第2の部材12は、図示しないバネの付勢力によってUSBプラグ2の挿入時と反対方向に回転し、シャッター5は、図5(a)に示す開状態に復帰する。
【0035】
本実施形態に係る充電器100においては、第1の部材11及び第2の部材12の全体が、それぞれの回転位置にかかわらず、ケース3の前面部10の外面よりもケース3の内側に位置している。したがって、他の物品が第1の部材11及び第2の部材12に接触しにくいため、ソケット4にケーブルのUSBプラグ2を接続していないときに、不用意にシャッター5が開いてしまうことを防止できる。したがって、本実施形態に係る充電器100であれば、USBプラグが挿入されていない時に、より確実に異物の侵入を防止することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る充電器100においては、第1の回転軸AX1が、第1の平板部13よりも第2の平板部14側に位置し、かつ、第2の回転軸AX2が、第2の平板部14よりも第1の平板部13側に位置している。ここで、図3において、第1の回転軸AX1が側面21よりも図3における左側に位置し、第2の回転軸AX2が側面22よりも図3における右側)に位置する場合を想定すると、第1の部材11及び第2の部材12が開方向に回転する際、第1の平板部13の一部及び第2の平板部14の一部の回転軌道がケース3の外側に膨らむため、シャッター5をケース3の前面部10の外面よりもケース3の内側で開閉させることが困難となる、シャッター5の配置スペースが大きくなり充電器100のコンパクト化が困難になる、あるいは、シャッター5とケース3との隙間を大きく取る必要があるといった問題が生じる。本実施形態における第1の回転軸AX1及び第2の回転軸AX2の配置を上記の通りとすることで、これらの問題を回避して、シャッター5とケース3との隙間を小さくし、シャッター5をケース3の前面部10より内側でコンパクトに開閉させることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る充電器100においては、開口部6のうち、第1の長方形(図2の二点鎖線)に対応する部分がUSBプラグ2の先端面8(断面)と略同形状に形成されている。例えば、特許文献1に記載されたカバー付きUSBコネクタにおいては、前面パネルに設けられた開口はUSBプラグの先端面よりに大きく形成されている。この場合、USBプラグの差し込み時に、ソケットに対するUSBプラグの位置が定まりにくく、差し込みがしにくいという問題がある。これに対して、本実施形態では、開口部6のうち、第1の長方形(図2の二点鎖線)に対応する部分(開口部6の周縁部の一部)を、USBプラグ2をソケット4に挿入する際(図5(b)~図6(a))のガイドとして利用できるため、ソケット4に対するUSBプラグ2の位置が一意に定まり、ソケット4へのUSBプラグ2の差し込みがしやすい。
【0038】
また、第1の平板部13の外面に対する傾斜面19の角度、及び、第2の平板部14の外面に対する傾斜面20の角度が15~30°であるため、USBプラグ2の挿入時に傾斜面19及び20に加わる力により容易にシャッター5を開閉することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る充電器の概略構成を示す斜視図であり、図8は、図2に示す充電器が備える基板及びUSBコネクタ構造を示す分解斜視図であり、図9は、図8に示したIX-IXラインに沿う断面図である。以下においては、本実施形態と第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付して説明を省略する。USBコネクタ構造31は、図8に示すように、シャッターケース36と、この内部に収容されるソケット4とから構成される。
【0040】
本実施形態に係る充電器200は、基板39と、2つのUSBコネクタ構造31と、ハウジング32とを備える。
【0041】
基板39は、第1の実施形態におけるものと同様に、各種の電子回路を備え、図示しないコンセントやケーブル等を介してAC電源に接続される。基板39上には、USBコネクタ構造31のそれぞれに含まれるソケット4が実装されている。ソケット4内部の端子は、基板39上の海路に電気的に接続されている。また、基板39には、ソケット4のそれぞれに対応してシャッターケース36が取り付けられている。
【0042】
シャッターケース36は、ケース33と、シャッター5と、ねじりコイルバネ(「トーションバネ」とも呼ばれる)35とを備える。
【0043】
ケース33は、第1の実施形態におけるケース3に相当する部材であり、平板状の前面部41にUSBプラグを挿入するための開口部6を有する。開口部6の形状は第1の実施形態と同じである。
【0044】
シャッター5は、第1の実施形態と同様に、ケース33の内部に取り付けられ、開口部6を閉鎖した閉状態と、開口部6を開放した開状態との間で開閉可能な部材である。
【0045】
ねじりコイルバネ35は、シャッター5の第1の部材11及び第2の部材12を閉状態に付勢する付勢部材である。本実施形態において、ねじりコイルバネ35は、図8に示すように、コイルが第1の部材11の回転軸となるボスに嵌め込まれ、一方のアームがケース33に設けられたバー37に当接し、他方のアームが第1の部材11に設けられたバー38に当接するように取り付けられており、第1の部材11のバー38を介して第1の部材11を閉状態へと付勢している。図示は省略しているが、ケース33の反対側の面にもねじりコイルバネが同様の取り付け態様で取り付けられており、第2の部材12に設けられたバーを介して第2の部材12を閉状態へと付勢している。尚、図8においては、付勢部材としてねじりコイルバネを用いて第1の部材11及び第2の部材12を付勢する例を示したが、付勢部材は特に限定されず、ねじりコイルバネ以外のバネを用いても良い。ただし、図8に示したねじりコイルバネ35の取り付け方法は一例であり、第1の部材11及び第2の部材12が閉状態となるように付勢される限り、種々の付勢部材及び取り付け方法を採用できる。
【0046】
シャッター5を構成する第1の部材11及び第2の部材12をケース33内部に取り付けた後、一対のねじりコイルバネ35を所定箇所に取り付けることによって、シャッターケース36が組み立てられる。組み立てられたシャッターケース36は、図8に示すように、基板39上に実装されたソケット4を覆うように配置され、図9に示すように、ケース33の一対の側面(ねじりコイルバネ35が配置されていない面)に設けられた取付部48を介してビス40を用いて基板39に固定される。
【0047】
ハウジング32は、例えば箱形形状を有する樹脂の成形品であり、基板39と、基板39上に構成された複数のUSBコネクタ構造31を収容する部材である。図7に示すように、ハウジング32には、ケース33の前面部41と略同一形状の開口が形成されており、ハウジング32内に基板39及びUSBコネクタ構造31を取り付けると、ハウジング32に設けられた開口にケース33の前面部41が嵌め込まれた状態となる。本実施形態に係る充電器200は、ケース33の前面部41とハウジング32の外面とが面一となるように構成されているが、ハウジング32からケース33の開口部6が露出している限り、ハウジング32の開口の形状は特に限定されない。また、ケース33の前面部41は、必ずしもハウジング32の外面と面一である必要はなく、ハウジング32の外面よりも内側に位置しても良いし、ハウジング32の外面よりも外側に突出していても良い。ケース3は、2以上の分割体として構成されても良く、この場合、嵌合により、あるいは、ネジを用いることにより分割体同士が一体化される。
【0048】
ソケットを複数設けた充電器を構成する場合、充電器のハウジングのサイズが大きくなるため、第1の実施形態のようにハウジングに直接シャッターを取り付ける構成では、成型誤差や組立誤差により、ハウジングと基板との間の距離にバラツキが生じやすく、シャッター5がスムーズに開閉できなくなる可能性や、USBプラグをソケットに接続したときに、両者の端子の接触が不十分となる可能性がある。
【0049】
これに対して、本実施形態に係る充電器200は、ハウジング32と比べて小さなサイズのシャッターケース36(ケース33)をソケット4のそれぞれに対して1つずつ設け、シャッターケース36を直接基板39に固定する構成であるため、ケース33の成型誤差や、シャッターケース36の基板39への組付誤差を小さくすることができ、上述した問題を解消できる。
【0050】
尚、上記の各実施形態では、ケース、ソケット及びシャッターを備えるUSBコネクタ構造を充電器に適用した例を説明したが、本発明に係るコネクタ構造は、パーソナルコンピュータやテレビ、オーディオ機器等の充電器以外の電子機器のコネクタとして利用することも可能である。また、本発明に係るコネクタ構造を電源タップに適用して、AC電源のコンセントとUSBコネクタとを兼ね備えた電源タップを構成することも可能である。
【0051】
また、上記の各実施形態では、ソケットが2つ設けられた充電器を例に挙げて説明したが、ソケットの数は3以上であっても良い。また、第1の実施形態では、ソケットの数は1つであっても良い。
【0052】
また、上記の各実施形態において、USBコネクタのタイプは特に限定されず、USB Type-A以外でも、USB Type-B、mini USB Type-B、Micro USB Type-B、USB Type-Cのいずれであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、USBプラグを接続するためのUSBコネクタ構造、並びに、これを備える充電器及び電源タップとして利用できる。
【符号の説明】
【0054】
2 USBプラグ
3 ケース
4 ソケット
5 シャッター
6 開口部
8 先端面
11 第1の部材
12 第2の部材
13 第1の平板部
14 第2の平板部
15 第1の傾斜部
16 第2の傾斜部
19 傾斜面
20 傾斜面
21 側面
22 側面
31 コネクタ構造
32 ハウジング
33 ケース
35 ねじりコイルバネ
36 シャッターケース
39 基板
41 前面部
100 充電器
200 充電器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9