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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】加熱モジュール及び霧化装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/00 20180101AFI20230621BHJP
   B05B 17/00 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
B05B15/00
B05B17/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021573397
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 CN2020118554
(87)【国際公開番号】W WO2022061926
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】521528698
【氏名又は名称】深▲ゼン▼市華誠達精密工業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】陳平
【審査官】青木 太一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210432836(CN,U)
【文献】中国実用新案第209768989(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109452691(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 12/16-12/36;
14/00-16/80
B05B 17/00-17/08
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱モジュールであって、
円滑に導液する多孔導液体(1)を含み、
前記導液体(1)には、内側(11)及び外側(12)を含む中空空間(10)が設けられており、前記内側(11)又は前記外側(12)は液体と接触するために用いられ、前記内側(11)又は前記外側(12)には気体交換凹部(13)が設けられており、前記導液体(1)に薄壁(14)が形成されており、気体が前記薄壁(14)を通過するよう、前記薄壁(14)の壁厚は、前記内側(11)と前記外側(12)との間の壁厚よりも小さくなっており、
更に、前記導液体(1)に設けられる発熱体(2)を含み、前記発熱体(2)の発熱領域(21)は、前記気体交換凹部(13)により形成される前記薄壁(14)部分には位置しないことを特徴とする加熱モジュール
【請求項2】
前記気体交換凹部(13)は、孔状又は溝状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の加熱モジュール
【請求項3】
前記中空空間(10)は、前記導液体(1)の上側に設けられる貯液槽であることを特徴とする請求項1に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項4】
前記気体交換凹部(13)は前記貯液槽の底部に位置し、前記貯液槽の底部には給液孔(15)が設けられており、前記給液孔(15)は止まり穴であり、前記気体交換凹部(13)により形成される前記薄壁(14)の壁厚(a)は、前記給液孔(15)の底部と導液体(1)の外側との間の壁厚(b)よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項5】
前記薄壁(14)は、前記気体交換凹部(13)の底部と前記導液体(1)の下面との間の壁であることを特徴とする請求項4に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項6】
前記薄壁(14)は、前記気体交換凹部(13)の側壁と前記導液体(1)の外側(12)との間の壁であることを特徴とする請求項4に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項7】
前記導液体(1)における前記貯液槽が設けられる側の一端のサイズは反対側の一端のサイズよりも大きく、導液体(1)は階段状の外形を形成することを特徴とする請求項6に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項8】
前記気体交換凹部(13)は、前記貯液槽の側壁に位置することを特徴とする請求項3に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項9】
前記気体交換凹部(13)は、前記導液体(1)の外側面に位置することを特徴とする請求項3に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項10】
前記中空空間(10)は前記導液体(1)を貫通しており、前記導液体(1)は筒状又はリング状をなしており、前記気体交換凹部(13)は外側壁又は内側壁に設置されることを特徴とする請求項1に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項11】
前記気体交換凹部(13)により形成される前記薄壁(14)の厚みは0.1~0.5mmであることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項12】
各前記気体交換凹部(13)により形成される前記薄壁(14)の面積は0.05~15mmであることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項13】
前記導液体(1)の気孔率は20~80%の間であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項14】
前記導液体(1)の微細孔の平均直径は5~50μmであることを特徴とする請求項13に記載の円滑に導液する加熱モジュール
【請求項15】
ハウジングと、前記ハウジングに設けられる請求項1~14のいずれか1項に記載の加熱モジュールを含み、前記ハウジングには貯液タンクが設けられており、前記貯液タンクは前記導液体(1)の前記中空空間(10)と連通しており、これにより、前記貯液タンク内の液体は、前記中空空間(10)に進入し、更に、前記導液体(1)を通過して前記発熱体(2)に伝達され、且つ、気体は、前記気体交換凹部(13)を通過して前記貯液タンクに到達する霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔導液体を応用する加熱霧化の技術分野に関し、特に、円滑に導液する多孔導液体、加熱モジュール及び霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔導液体は、霧化モジュールにおいて主に液体の伝達に用いられる。多孔導液体は、霧化装置に応用されることが多く、霧化装置内の液体を発熱体に伝達して加熱により霧化する。通常、導液体は、一方の側又は1つの面が液体と接触し、もう1つの面に発熱体が設けられて外部の空気と接触する。導液体の役割は、霧化装置内の液体を発熱体に伝達し、加熱により霧化することである。導液体の多孔構造は、霧化器の貯液タンク内の液体を外気と接続する経路となる。液体を搬送する際には、主に、導液体内部の多孔経路によって搬送する。しかし、実際の使用過程では、液体の消費に伴って、貯液タンク内の液体が消費されるため、貯液タンク内の空間の気圧が外部の大気圧よりも小さくなる。そして、気圧の差が過剰になると、外気が多孔導液体内の多孔経路を通じて貯液タンク内に搬送される結果、空気が導液体内の多孔経路の一部を占有してしまう。このとき、ちょうど発熱領域の多孔経路を占有してしまうと、液体を速やかに搬送し得なくなることで、発熱領域の発熱体に導液不良による部分的な高温が生じて焦げ付くとの問題が発生し、ユーザエクスペリエンスに影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、関連技術における上記の欠点に対し、導液と換気を分離した多孔導液体の構造を提供することで、多孔導液体内における液体供給用と換気用の多孔経路を分離して、発熱領域の導液をいっそう円滑にするとの目的を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。即ち、円滑に導液する多孔導液体を提供する。導液体は多孔材質からなる。前記導液体には、内側及び外側を含む中空空間が設けられている。前記内側又は前記外側は液体と接触するために用いられる。前記内側又は前記外側には気体交換凹部が設けられており、これにより前記導液体に薄壁が形成される。気体が前記薄壁部分を通過するよう、前記薄壁の壁厚は、前記内側と前記外側の間の壁厚よりも小さくなっている。
【0005】
好ましくは、前記気体交換凹部は孔状又は溝状をなしている。
【0006】
好ましくは、前記中空空間は前記導液体の上側に設けられる貯液槽である。
【0007】
好ましくは、前記気体交換凹部は前記貯液槽の底部に位置し、貯液槽の底部には給液孔が設けられている。前記給液孔は止まり穴である。気体交換凹部により形成される前記薄壁の壁厚は、前記給液孔の底部と導液体の外側との間の壁厚よりも小さい。
【0008】
好ましくは、前記薄壁は、前記気体交換凹部の底部と前記導液体の下面との間の壁である。
【0009】
好ましくは、前記薄壁は、前記気体交換凹部の側壁と前記導液体の外側との間の壁である。
【0010】
好ましくは、前記導液体における前記貯液槽が設けられる側の一端のサイズは反対側の一端のサイズよりも大きく、これにより、導液体は階段状の外形を形成する。
【0011】
好ましくは、前記気体交換凹部は前記貯液槽の側壁に位置する。
【0012】
好ましくは、前記気体交換凹部は前記導液体の外側面に位置する。
【0013】
好ましくは、前記中空空間は前記導液体を貫通しており、前記導液体は筒状又はリング状をなしている。前記気体交換凹部は外側壁又は内側壁に設置される。
【0014】
好ましくは、前記気体交換凹部により形成される前記薄壁の厚みは0.1~0.5mmである。
【0015】
好ましくは、各前記気体交換凹部により形成される前記薄壁の面積は0.05~15mmである。
【0016】
好ましくは、前記導液体の気孔率は20~80%の間である。
【0017】
好ましくは、前記導液体の微細孔の平均直径は5~50μmである。
【0018】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。即ち、上記の円滑に導液する多孔導液体を含むほか、更に、前記導液体に設けられる発熱体を含む加熱モジュールを提供する。前記発熱体の発熱領域は、前記気体交換凹部により形成される前記薄壁部分には位置しない。
【0019】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。即ち、ハウジングと、前記ハウジングに設けられる上記の加熱モジュールを含む霧化装置を提供する。前記ハウジングには貯液タンクが設けられている。前記貯液タンクは前記導液体の前記中空空間と連通している。これにより、前記貯液タンク内の液体は前記中空空間に進入し、更に、前記導液体を通過して前記発熱体に伝達される。且つ、気体は、前記気体交換凹部を通過して前記貯液タンクに到達する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の技術方案を実施することで、少なくとも以下の有益な効果を有する。即ち、本発明の円滑に導液する多孔導液体、加熱モジュール及び霧化装置において、多孔導液体内の液体供給用と換気用の多孔経路を分離することで、発熱領域の導液をいっそう円滑にするとの目的が達成される。
【0021】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の第1実施形態における導液体の平面図である。
図2図2は、図1のA-A位置の断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態における加熱モジュールの下面図である。
図4図4は、図3のB-B位置の断面図である。
図5図5は、図1の導液体及び発熱体が液体と接触する際の液体及び気体の伝達を示す図である(給液孔の矢印は液体の伝達方向を示し、気体交換凹部の矢印は気体の伝達方向を示す)。
図6図6は、本発明の第2実施形態における導液体の斜視図である。
図7図7は、図の導液体の平面図である。
図8図8は、図6のC-C位置の断面図である。
図9図9は、本発明の第3実施形態における導液体の斜視図である。
図10図10は、図9の導液体の平面図である。
図11図11は、本発明の第4実施形態における導液体の斜視図である。
図12図12は、図11の導液体の平面図である。
図13図13は、本発明の第5実施形態における導液体の斜視図である。
図14図14は、図13の導液体の平面図である。
図15図15は、本発明の第6実施形態における導液体及び発熱体の斜視図である。
図16図16は、図15のD-D位置の断面図である。
図17図17は、図16における導液体及び発熱体が液体と接触する際の状態の概略図である。
図18図18は、本発明の第7実施形態における導液体及び発熱体の斜視図である。
図19図19は、図18のE-E位置の断面図である。
図20図20は、図19における導液体及び発熱体が液体と接触する際の状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。理解すべき点として、文中に記載される「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」、「縦」、「横」、「垂直」、「水平」、「天井」、「底」、「内」、「外」、「先頭」、「末尾」等で示される向き又は位置関係は、図示に基づく向き又は位置関係であって、特定の向きによる構成及び操作は本技術方案の記載の便宜上のものにすぎず、指摘する装置又は部材が特定の向きを有さねばならないことを示すものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。更に、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定している場合を除き、文中に「装着する」、「連なる」、「接続する」、「固定する」「設置する」等の用語が記載されている場合には、広義に解釈すべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体をなしていてもよい。また、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよいし、2つの部材の内部における連通であってもよいし、2つの部材の相互作用関係であってもよい。1つの部材がもう1つの部材の「上」又は「下」に位置するとされている場合、当該部材は、「直接的」又は「間接的」にもう1つの部材上に位置可能であり、1つ又は複数の仲介部材が存在する場合もある。また、文中に「第1」、「第2」、「第3」等の用語が記載されている場合には、本技術方案の記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示していると理解すべきでも、指摘する技術的特徴の数を示唆していると理解すべきでもない。従って、「第1」、「第2」、「第3」等で限定されている特徴は、1又は複数の当該特徴を明示的又は暗示的に含み得る。当業者は、具体的状況に応じて、本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0024】
以下の記載では、限定のためではなく説明のために、例えば、特定のシステム構造や技術といった具体的詳細事項を提示することで、本発明の実施例に対する徹底的な理解を図っている。しかし、当業者にとって明らかなように、これらの具体的詳細事項が存在しないその他の実施例でも本発明は実現可能である。また、その他の状況では、不要な詳細事項によって本発明の記載が妨げられないよう、周知のシステム、装置、回路及び方法に関する詳細な説明を省略している。
【0025】
図1~2及び図5を参照して、本発明の一実施形態における円滑に導液する多孔導液体1は多孔材質からなり、好ましくは、セラミックス材質からなる。前記導液体1には、内側11及び外側12を含む中空空間10が設けられている。前記内側11又は前記外側12は液体3と接触するために用いられる。前記内側11又は前記外側12には気体交換凹部13が設けられており、これにより、前記導液体1に薄壁14が形成されている。前記薄壁14の壁厚は、前記内側11と前記外側12の間の壁厚よりも小さい。よって、気体は、前記薄壁14を通過して導液体1の内部から外部に到達するか、導液体1の外部から内部に到達する。前記気体交換凹部13は、孔状又は溝状をなしている。
【0026】
通常、当該導液体1を霧化装置に応用する場合には、導液体1に発熱体2が設けられる。発熱体2の発熱領域21は、薄壁14の位置を避けて設置される。導液体1の内側11又は外側12は、霧化装置における貯液タンク内の液体3と接触するために用いられる。導液体1は、液体3を発熱体2に伝達して加熱により霧化する。霧化モジュールは、霧化過程で貯液タンク内の液体3を消費する。貯液タンクは密封状態となっているため、液体3の消費に伴って、貯液タンク内の空間は大きくなり、内部の気圧が外気圧よりも小さくなる。すると、気体は、導液体1を通過して貯液タンクに到達しようとし、多孔導液体1内の多孔経路を通るしかなくなるが、気体交換凹部13が設けられていることから、気体は気体交換凹部13の薄壁14を通過して貯液タンクに到達する。これにより、気体が貯液タンクに進入する際に、発熱領域21部分の導液体1の多孔経路を占有するとの事態が回避されるため、発熱領域21に対応する導液体1の微細孔は全て液体3の伝達に使用される。こうして、多孔導液体1内の液体供給用と換気用の多孔経路を分離することで、発熱領域21の導液をいっそう円滑にするとの目的が実現される。原理としては、多孔導液体1の気体交換凹部13により形成される薄壁14部分では、薄壁14の厚みが小さく、多孔経路が短くなっている。そのため、貯液タンクと外気圧との差が小さい場合でも、外気圧によって空気を薄壁14部分の多孔経路から貯液タンクに進入させられる。
【0027】
図1~14を参照して、これらの実施形態において、導液体1は四角形をなしている。また、前記中空空間10は、前記導液体1の上側に設けられる貯液槽である。
【0028】
図1~2及び図5を参照して、当該実施形態において、前記気体交換凹部13は前記貯液槽の底部に位置する。また、貯液槽の底部には給液孔15が設けられている。前記給液孔15は止まり穴である。気体交換凹部13により形成される前記薄壁14の壁厚aは、前記給液孔15の底部と導液体1の下側との間の壁厚bよりも小さい。また、気体交換孔の深さは近距離給液孔15の深さよりも大きい。前記薄壁14は、前記気体交換凹部13の底部と前記導液体1の下面との間の壁である。気体交換凹部13は止まり穴であり、気体は外部から薄壁14を通過して気体交換凹部13に到達したあと、貯液槽に進入する。
【0029】
大きな貯液槽とすれば、より多くの液体3を蓄えて導液体に供給し、消費後に吸収させることが可能となる。また、大きな貯液槽に1つ以上の近距離給液孔15を開設すれば、導液体の外側に設けられる発熱体位置に対し、液体3をより近距離で到達させやすくなる。
【0030】
原理としては、当該導液体1を霧化装置に応用する際には、導液体1に発熱体2を設置し、気体交換凹部の位置を発熱体の発熱領域21外とする。また、深めの気体交換凹部13とすることで薄壁14が形成されるため、発熱領域21における導液体1の壁厚と発熱体2の非発熱領域の間には壁厚差が形成される。こうすることで、壁厚の薄い位置では壁厚の厚い位置よりも微細孔経路が短くなるため、気体が必要とする圧力が小さくなる。よって、貯液タンク内の圧力が大気圧よりも小さくなると、気体は気体交換凹部13におけるこの薄壁14の位置を通って貯液タンク内に進入可能となる。これにより、気体が発熱領域21における導液体1の微細孔を占有することがなくなるため、発熱領域21の導液体1はいっそう円滑に液体を供給可能となる。
【0031】
図6~8を参照して、当該実施形態において、前記薄壁14は、前記気体交換凹部13の側壁と前記導液体1の外側12との間の壁である。この場合、前記導液体1における前記貯液槽が設けられる側の一端のサイズは反対側の一端のサイズよりも大きく、これにより、導液体1は階段状の外形を形成する。図6~8の実施形態において、貯液槽は導液体1の上側に設置され、導液体1の上端が下端よりも大きくなっている。このように、気体交換凹部13を側壁寄りに設計して薄壁14部分を形成することで、気体の流動方向と液体の流動方向との分離を保証可能となる。これにより、気体が液体3の毛細孔を占有することで発熱体2に対する液体3の伝達に支障をきたすとの事態が回避される。
【0032】
図9~10を参照して、当該実施形態において、前記気体交換凹部13は前記貯液槽の側壁に位置する。また、気体交換凹部13は孔状又は溝状をなしている。これにより、導液体1に薄壁部分が形成される。薄壁14部分の多孔体は多孔経路が少ないため、外気流をより良好に導液体1内に進入させられる。
【0033】
図11~14を参照して、当該実施形態において、前記気体交換凹部13は前記導液体1の外側面に位置する。また、気体交換凹部13は、孔状又は溝状をなして導液体に薄壁14部分を形成するとともに、導液体1の上側に向かって開放される(図11~12参照)か、導液体1の上側から離隔している(図13~14参照)。このことは、外気が底部における発熱体2の位置から進入して給液路を占有することなく、薄壁14部分から進入するのに都合がよく、十分な液体供給が保証される。
【0034】
図15~20を参照して、当該実施形態において、前記中空空間10は、上側から下側に前記導液体1を貫通している。導液体1は筒状又はリング状をなしており、前記気体交換凹部13は外側壁(図15~17参照)又は内側壁(図18~20参照)に設置される。導液体1の内外に気圧差が形成されると、気体は薄壁14部分から導液体1の内部における貯液用の中空空間10に進入する。これにより、気体が中空空間10に進入する際に液体3の多孔経路を占有するとの事態が回避されるため、液体3が十分に供給される。
【0035】
上記の実施形態について、前記気体交換凹部13により形成される前記薄壁14の厚みは0.1~0.5mmであり、各前記気体交換凹部13により形成される薄壁14の面積は0.05~15mmである。また、前記導液体1の気孔率は20~80%の間であり、前記導液体1の微細孔の平均直径は5~50μmである。
【0036】
図3~5を参照して、本発明の一実施形態における加熱モジュールは、上記の円滑に導液する多孔導液体1を含むほか、更に、前記導液体1に設けられる発熱体2を含む。前記発熱体2の発熱領域21は、前記気体交換凹部13により形成される前記薄壁14部分には位置しない。或いは、発熱体2の発熱領域21は、気体交換凹部13により形成される薄壁14からずらされている。当該加熱モジュールは霧化装置に応用可能である。発熱体2の発熱領域21は、薄壁14の位置を避けて設置される。導液体1の内側11又は外側12は、霧化装置における貯液タンク内の液体3と接触するために用いられる。導液体1は、液体3を発熱体2に伝達して加熱により霧化する。霧化モジュールは、霧化過程で貯液タンク内の液体3を消費する。貯液タンクは密封状態となっているため、液体3の消費に伴って、貯液タンク内の空間は大きくなり、内部の気圧が外気圧よりも小さくなる。すると、気体は、導液体1を通過して貯液タンクに到達しようとし、多孔導液体1内の多孔経路を通るしかなくなるが、気体交換凹部13が設けられていることから、気体は気体交換凹部13の薄壁14を通過して貯液タンクに到達する。これにより、気体が貯液タンクに進入する際に、発熱領域21部分の導液体1の多孔経路を占有するとの事態が回避される。よって、発熱領域21に対応する導液体1の微細孔は全て液体3の伝達に使用され、発熱領域21の導液をいっそう円滑にするとの目的が実現される。原理としては、多孔導液体1の気体交換凹部13により形成される薄壁14部分では、薄壁14の厚みが小さく、多孔経路が短くなっている。そのため、貯液タンクと外気圧との差が小さい場合でも、外気圧によって空気を薄壁14部分の多孔経路から貯液タンクに進入させられる。
【0037】
本発明の一実施形態における霧化装置は、ハウジングと、前記ハウジングに設けられる上記の加熱モジュールを含む。前記ハウジングには貯液タンクが設けられており、前記貯液タンクは前記導液体1の前記中空空間10と連通している。これにより、前記貯液タンク内の液体は前記中空空間10に進入し、更に、前記導液体1を通過して前記発熱体2に伝達される。且つ、気体は、前記気体交換凹部13を通過して前記貯液タンクに到達する。当該霧化装置において、発熱体2の発熱領域21は薄壁14の位置を避けて設置される。導液体1の内側11又は外側12は、霧化装置における貯液タンク内の液体3と接触するために用いられる。導液体1は、液体3を発熱体2に伝達して加熱により霧化する。霧化モジュールは、霧化過程で貯液タンク内の液体3を消費する。貯液タンクは密封状態となっているため、液体3の消費に伴って、貯液タンク内の空間は大きくなり、内部の気圧が外気圧よりも小さくなる。すると、気体は、導液体1を通過して貯液タンクに到達しようとし、多孔導液体1内の多孔経路を通るしかなくなるが、気体交換凹部13が設けられていることから、気体は気体交換凹部13の薄壁14を通過して貯液タンクに到達する。これにより、気体が貯液タンクに進入する際に、発熱領域21部分の導液体1の多孔経路を占有するとの事態が回避される。よって、発熱領域21に対応する導液体1の微細孔は全て液体3の伝達に使用され、発熱領域21の導液をいっそう円滑にするとの目的が実現される。原理としては、多孔導液体1の気体交換凹部13により形成される薄壁14部分では、薄壁14の厚みが小さく、多孔経路が短くなっている。そのため、貯液タンクと外気圧との差が小さい場合でも、外気圧によって空気を薄壁14部分の多孔経路から貯液タンクに進入させられる。
【0038】
以上の記載は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を制限するものではない。当業者にとって、本発明には各種の変更、組み合わせ及び変形が存在する。本発明の精神及び原則の範囲内で実施されるあらゆる修正、同等の置換、改良等は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 導液体
10 中空空間
11 内側
12 外側
13 気体交換凹部
14 薄壁
a 薄壁の厚み
b 給液孔15の底部と導液体1の外側との間の壁厚
15 給液孔
2 発熱体
21 発熱領域
3 液体
図1
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