(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】靴ひも固定具
(51)【国際特許分類】
A43C 7/04 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
A43C7/04
(21)【出願番号】P 2018097887
(22)【出願日】2018-05-22
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】517131123
【氏名又は名称】株式会社アネックス
(74)【代理人】
【識別番号】100110984
【氏名又は名称】加藤 敬子
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3211102(JP,U)
【文献】米国特許第06412151(US,B1)
【文献】米国特許第05913483(US,A)
【文献】特開平08-173211(JP,A)
【文献】特開2001-120307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43C 7/00 - 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴ひもを通すアイレットを有する靴に使用する靴ひも固定具であって、
前記靴ひも固定具は、靴本体とは分離しており、少なくとも1対の面ファスナを含んで構成されており、
前記1対の面ファスナの一方の面ファスナにアイレットを通した
靴ひもに差し込んで靴ひもに取り付ける取付手段を備え、
前記取付手段は、長軸の一端が2方向に分岐している部位を有する略T字状の部材で構成されており、前記部材の前記2方向に分岐している部位が前記1対の面ファスナの一方の面ファスナの裏面に取り付けられている、
長軸の部分をアイレットを通した靴ひもに差し込み、
靴ひもの先端同士を結ばずに、靴ひもの先端を固定するための靴ひも固定具。
【請求項2】
前記1対の面ファスナの他方の面ファスナは、両面が面ファスナで構成されており、さらに他の面ファスナを装着する、請求項
1に記載の靴ひも固定具。
【請求項3】
前記1対の面ファスナは、周縁の一部で相互に固定されている、請求項1または2に記載の靴ひも固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴ひもの先端を容易に固定する靴ひも固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
運動靴や革靴の多くは靴ひもで靴を足に固定する。靴ひもは、使用している間にゆるんだり、ほどけたりする場合がある。また、日本では靴を脱ぐ習慣があるため、一旦靴ひもを緩めた後に、短距離の移動をする場合であっても、再度靴ひもを結ばないと、怪我などの原因となる。さらに、高齢化社会においては、靴ひもを結ぶという行為自体が困難を要する。
【0003】
このような問題を解決するために、種々の提案がされている。例えば特許文献1には、構成部材の一部乃至は大分が蝶結びの一部または全部ともなり、剛性構造の部分が小さく、靴に配置される場合、靴全体の外観を美化することができる靴ひもの留め具手段が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、面ファスナで結んだひもを挟む構成が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、面ファスナの一部を靴の両側面に固定し、固定されていない部分を、靴ひもを蝶結びにした輪にくぐらせ、折り返して靴に固定された部分に密着させて、靴ひもを靴に固定したものが提案されている。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の靴の留め具手段は、構造が複雑であり、靴ひもの先端を容易に固定することが難しい。
【0007】
また、特許文献2に記載の構成では、面ファスナに、靴などへの固定手段を備えないため、使用時に面ファスナが紛失してしまうという問題がある。
【0008】
また、特許文献3に記載の固定手段は、靴に固定する必要があるので、靴ごとに別個の固定手段を設ける必要があるという問題がある。
【0009】
一方、靴ひも固定具を靴や靴ひもなどに完全に固定してしまうと、怪我をして靴ひもを早急に取り外す必要がある場合に、早急に取り外せないという問題がある。また、靴ひも固定具を靴本体や靴ひもなどに完全に固定してしまうと、他の靴で使用したい場合に簡単に移動できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2005-177009号公報
【文献】特開2011-120861号公報
【文献】実用新案登録3191945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題点は、簡単な構造で靴ひもの先端を容易に固定することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、靴ひもを通すアイレットを有する靴に使用する靴ひも固定具であって、前記靴ひも固定具は、靴本体とは分離しており、少なくとも1対の面ファスナを含んで構成されており、前記1対の面ファスナの一方の面ファスナにアイレットに通した靴ひもに取り付ける取付手段を備え、前記取付手段は、長軸の一端が2方向に分岐している部位を有する略T字状の部材で構成されており、前記部材の前記2方向に分岐している部位が前記1対の面ファスナの一方の面ファスナの裏面に取り付けられている、靴ひも固定具である。
【0013】
本発明の靴ひも固定具は、靴本体とは分離している。この結果、靴を代えても、同じ靴ひも固定具を使うことができる。また、使用時に取付手段を用いて靴ひもに取り付けることができるので、使用時の紛失を防ぐとともに、安定して靴ひもを固定することができる。
【0014】
また、前記取付手段は、長軸の一端が2方向に分岐している部位を有する略T字状の部材で構成されており、前記部材の前記2方向に分岐している部位が前記1対の面ファスナの一方の面ファスナの裏面に取り付けられている。この構成によれば、略T字状の部材の長軸の部分をアイレットに通された靴ひもに差し込むことができる。この結果、容易に、かつ確実に靴ひもを固定することができるとともに、靴ひも固定具を容易に靴から取り外すことができる。
【0015】
前記1対の面ファスナの他方の面ファスナは、両面が面ファスナで構成されており、さらに他の面ファスナを装着してもよい。この構成により、他方の面ファスナ上に別の面ファスナを装着できる。別の面ファスナの表面に装飾を有するものを装着することにより、靴ひも固定具の装飾を容易に変えることができる。この結果、同一の靴ひも固定具を使用しても、使用目的に応じて装飾を変えることができる。
【0016】
前記1対の面ファスナは、周縁の一部で相互に固定されていてもよい。この結果、靴ひも固定具の面ファスナの一方の紛失を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の靴ひも固定具は、靴本体に固定されないので、靴ひもを有する異なる靴に容易に用いることができる。また、靴ひも固定具は、1対の面ファスナで構成されているので、靴ひもの固定を極めて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明靴ひも固定具の1実施例の斜面図である。
【
図2】
図2は、本発明の靴ひも固定具10の具体例の一例を示す概念図である。
【
図3】
図3は、靴ひも固定具10に取付手段を設けた一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
靴本体に固定せずに、靴ひもの先端を容易に固定することができる靴ひも固定具を実現した。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の靴ひも固定具の1実施例の斜面図である。
【0021】
本発明の靴ひも固定具10は、靴本体20に固定されずに、別個に設けられている。本発明の靴ひも固定具10は、靴ひもをアイレット通した後に靴ひもの先端同士を結ばずに、靴ひもの先端同士を固定することができる。
【0022】
図2は、本発明の靴ひも固定具10の具体例の一例を示す概念図である。
図2に示すように、本発明の靴ひも固定具10は、1対の面ファスナ11および12で構成されている。
図2の例では、1対の面ファスナ11および12は、周縁の一部で相互に固定されている。これにより、面ファスナの一方が紛失することを防止できる。しかし、1対の面ファスナ11および12は、周縁の一部で相互に固定されていなくてもよい。1対の面ファスナを靴ひも固定具10として用いることにより、靴ひもの先端同士を結ばずに容易に固定することができる。
【0023】
面ファスナの表面積は、靴ひもを固定することができる面積であれば、特に制限されない。また、面ファスナの形状は、
図2に示す形状に限らず、任意の形状であればよい。靴ひも固定具10の一対の面ファスナの外部に接する面ファスナ11の外面上には、装飾を施してもよい。装飾としては、特に制限はなく、靴メーカのマークやチームのマークなど、任意の装飾を用いることができる。また、装飾を付した布帛やプラスチックシートを縫い合わせてもよい。
【0024】
装飾は、例えば靴ひも固定具10の一対の面ファスナの一方の面11の外側に装飾を施した布、プラスチックシートなどを面11の外側の周縁を縫い付ける、接着剤層を介して貼り付けるなどの公知の方法によって行うことができる。
【0025】
本発明の靴ひも固定具10は、靴ひもに取り付けるための取付手段を有している。
図3は、靴ひも固定具10に取付手段を設けた一例を示す概念図である。
【0026】
図3の例では、取付手段は、長軸の一端が2方向に分岐している部位17を有する略T字状の部材16で構成されており、前記部材の前記2方向に分岐している部位17が前記1対の面ファスナの一方の面ファスナに取り付けられている。
【0027】
略T字状の部材16は、ある程度強度と可撓性を有する材料で形成されていればよく、例えば樹脂や、アルミニウムなどの金属が用いられる。
【0028】
略T字状の部材16は、部材の2方向に分岐している部位を1対の面ファスナの一方の面ファスナ(靴側)に取り付けられている。略T字状の部材16の長軸部分18は固定されておらず、外部に位置している。これにより、長軸部分18をアイレットに通した靴紐の靴に面する側に差し込むことにより、靴ひも固定具を固定することができる。略T字状の部材の取付方法としては、特に制限はないが、部材の2方向に分岐している部位17の周縁の外側を1対の面ファスナの一方の面ファスナに布、プラスチックシート19などで縫い付ける、または部材の2方向に分岐している部位17を1対の面ファスナの一方の面ファスナの裏面に設けた布、プラスチックシートなどに接着剤やテープなどで固定してもよい。
図3の例では、部材の2方向に分岐している部位17の周縁のみを縫い付けているが、1対の面ファスナの一方の面ファスナの周縁全体の大きさの布等を用いて、略T字状の部材16の長軸部分18を外に出して、部材の2方向に分岐している部位の周縁を固定することとしてもよい。
【0029】
また、一方の面ファスナ(靴側)の全面に布、プラスチックシートを設け、それにスリットを設けて、略T字状の部材16の長軸部分18のみが外部に露出し、部材の2方向に分岐している部位を内部で布、プラスチックシートに固定する構成としてもよい。この構成にすれば、靴ひも固定具全体のイメージを統一することができる。
【0030】
その他、1対の面ファスナの他方(外側)の面ファスナは両面が面ファスナで構成されていてもよい。この構成により、他方の面ファスナ上に別の面ファスナを装着できる。別の面ファスナの外側に面する面に装飾を施した別の面ファスナを用いることにより、同一の靴ひも固定具を用いても、靴の使用用途により装飾を変えることが容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
靴本体に固定しない靴ひも固定具を用いるので、靴ひもを用いる任意の靴に使用することができる。この結果、一時的な使用にも対応することができる。また、1対の面ファスナを用いて靴ひもを固定するので、容易に靴ひもを固定することができる。靴ひも固定具を靴ひもに取り付ける取付手段を有する場合には、靴ひも固定具の紛失を防止することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 靴ひも固定具
11 面ファスナの一方の面
12 面ファスナの他方の面
16 T字状の部材
17 2方向に分岐している部位
18 長軸部分
19 布、プラスチックシートなど
20 靴本体