(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】ボンベ支持体及び車いす
(51)【国際特許分類】
A61G 5/10 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
A61G5/10
(21)【出願番号】P 2018145595
(22)【出願日】2018-08-02
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】598026851
【氏名又は名称】株式会社カワムラサイクル
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 治人
(72)【発明者】
【氏名】吉川 広法
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3093988(JP,U)
【文献】特開平11-105611(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0230669(US,A1)
【文献】特開平10-086734(JP,A)
【文献】特開2013-078418(JP,A)
【文献】特開2001-122126(JP,A)
【文献】特開平10-155837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 1/00- 5/14
A61G 9/00-15/12
F17C 1/00-13/12
B62B 1/00- 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径ボンベを支持可能な大径支持部と小径ボンベを支持可能な第1小径支持部とを備えており、車いすに取り付けられるボンベ支持体であって、
前記大径支持部が前記大径ボンベの外周面を支持可能な枠部本体を備えており、
前記第1小径支持部が、前記枠部本体の内側に位置して前記小径ボンベの外周面を支持可能な支持姿勢と、前記大径支持部に外周面を支持される前記大径ボンベに干渉しない待機姿勢と、に姿勢変化可能にされており、
前記待機姿勢において、前記第1小径支持部が、上下方向に見て、前記大径支持部の内であって前記枠部本体の外に位置して
おり、
前記第1小径支持部の下方に位置して、前記小径ボンベの外周面を支持する第2小径支持部を備えており、
前記第2小径支持部が、前記枠部本体の内側に位置して前記小径ボンベの外周面を支持可能な前記支持姿勢と、前記大径支持部に外周面を支持される前記大径ボンベに干渉しない前記待機姿勢と、に姿勢変化可能にされている、ボンベ支持体。
【請求項2】
前記大径支持部が、前記枠部本体から前記枠部本体から外向きに延びる一対の枠部連結部及び側枠連結部を備え、
前記大径支持部が、前記枠部本体に囲まれる第1領域と、前記一対の枠部連結部及び側枠連結部に囲まれる第2領域とを形成しており、
前記待機姿勢において、前記第1小径支持部が前記第2領域に位置している、請求項1に記載のボンベ支持体。
【請求項3】
前記大径支持部を含む大径ボンベ支持体を備えており、
前記第1小径支持部が前記大径ボンベ支持体に軸着されており、
前記第1小径支持部が前記大径ボンベ支持体に対して回動して前記待機姿勢と前記支持姿勢とに姿勢変化可能にされている、請求項1又は2に記載のボンベ支持体。
【請求項4】
大径ボンベを支持可能な大径支持部
を含む大径ボンベ支持体と小径ボンベを支持可能な第1小径支持部とを備えており、車いすに取り付けられるボンベ支持体であって、
前記大径支持部が前記大径ボンベの外周面を支持可能な枠部本体を備えており、
前記第1小径支持部が、前記枠部本体の内側に位置して
前記小径ボンベの外周面を囲み前記小径ボンベの外周面を支持可能な支持姿勢と、前記大径支持部に外周面を支持される前記大径ボンベに干渉しない待機姿勢と
に、前記大径ボンベ支持体に対して上下方向に移動して姿勢変化可能にされており、
前記待機姿勢において、前記第1小径支持部が前記枠部本体の内側に位置して前記支持姿勢の下方に位置し、且つ前記第1小径支持部の上端が前記大径支持部が支持する前記大径
ボンベの底面より下に位置している、ボンベ支持体。
【請求項5】
前記待機姿勢において、前記第1小径支持部が前記大径ボンベの底面を支持可能である、請求項4に記載のボンベ支持体。
【請求項6】
前記第1小径支持部の下方に位置して、前記小径ボンベの外周面を支持する第2小径支持部を備えており、
前記第2小径支持部が、前記枠部本体の内側に位置して前記小径ボンベの外周面を支持可能な前記支持姿勢と、前記大径支持部に外周面を支持される前記大径ボンベに干渉しない前記待機姿勢と、に姿勢変化可能にされている、
請求項4又は5に記載のボンベ支持体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のボンベ支持体が取り付けられている車いす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車いすに取り付けられるボンベ支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
車いすには、酸素ボンベ等各種のボンベが取り付けられることがある。車いすに取り付けられるボンベは、外径が異なる場合がある。外径が大きなボンベ(大径ボンベとも称する)を使用する場合には、大径ボンベ支持体が車いすに取り付けられる。外径が小さなボンベ(小径ボンベとも称する)を使用する場合には、小径ボンベ支持体が車いすに取り付けられる。この様な車いすでは、ボンベの大きさに対応して、ボンベを支持するボンベ支持体を付け替える必要がある。
【0003】
特開平10-155837号公報には、酸素ボンベを支持するボンベ架を備える車いすが開示されている。このボンベ架では、装着バンドでボンベが固定されている。装着バンドを用いることで、ボンベ架は、外径の異なるボンベを支持可能にされている。この車いすでは、ボンベの大きさに対応して、ボンベ架を付け替える必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このボンベ架では、装着バンドでボンベを締め付けて固定する。ボンベを取り替える毎に、装着バンドを緩める必要がある。ボンベを載せ替えた後に、装着バンドでボンベを締め付けて固定する必要がある。この車いすは、ボンベの取り替えに手間が係る。
【0006】
本発明の目的は、車いすに取り付けられるボンベ支持体であって、大きさの異なるボンベを支持可能であり、且つボンベの取り替えが容易にされたボンベ支持体の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るボンベ支持体は、大径ボンベを支持可能な大径支持部と小径ボンベを支持可能な第1小径支持部とを備えている。このボンベ支持体は、車いすに取り付けられる。前記大径支持部は、前記大径ボンベの外周面を支持可能な枠部本体を備えている。このボンベ支持体は、 前記第1小径支持部が、前記枠部本体の内側に位置して前記小径ボンベの外周面を支持可能な支持姿勢と、前記大径支持部に外周面を支持される前記大径ボンベに干渉しない待機姿勢と、に姿勢変化可能にされている。
【0008】
好ましくは、前記待機姿勢において、前記第1小径支持部は、前記枠部本体の外に位置している。
【0009】
好ましくは、このボンベ支持体は、前記大径支持部を含む大径ボンベ支持体を備えている。前記第1小径支持部は、前記大径ボンベ支持体に軸着されている。前記第1小径支持部は、前記大径ボンベ支持体に対して回動して、前記待機姿勢と前記支持姿勢とに姿勢変化可能にされている。
【0010】
好ましくは、前記待機姿勢において、前記第1小径支持部は、前記枠部本体の内側に位置して前記支持姿勢の下方に位置している。
【0011】
好ましくは、前記待機姿勢において、前記第1小径支持部が前記大径ボンベの底面を支持可能である。
【0012】
好ましくは、ボンベ支持体は、前記第1小径支持部の下方に位置して、前記小径ボンベの外周面を支持する第2小径支持部を備えている。前記第2小径支持部は、前記枠部本体の内側に位置して前記小径ボンベの外周面を支持可能な前記支持姿勢と、前記大径支持部に外周面を支持される前記大径ボンベに干渉しない前記待機姿勢と、に姿勢変化可能にされている。
【0013】
本発明に係る車いすには、前記のいずれかのボンベ支持体が取り付けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るボンベ支持体は、大径ボンベと小径ボンベとのいずれをも支持しうる。第1小径支持部が、大径支持部の内側に位置して小径ボンベを支持可能な支持姿勢と、大径支持部に支持される大径ボンベに干渉しない待機姿勢と、に姿勢変化可能にされている。これにより、大径ボンベと小径ボンベとに対応させて、ボンベ支持体を交換する必要がない。このボンベ支持体は、第1小径支持部が支持姿勢にあるとき、小径ボンベの取り替えが容易にされている。第1小径支持部が待機姿勢にあるとき、大径ボンベの取り替えが容易にされている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るボンベ支持体が取り付けられた車いすの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のボンベ支持体と車いすとの分解斜視図である。
【
図4】
図4(a)は
図3のボンベ支持体の使用状態が示された説明図であり、
図4(b)は
図3のボンベ支持体の他の使用状態が示された説明図である。
【
図5】
図5(a)は本発明の他の実施形態に係るボンベ支持体の使用状態が示された説明図であり、
図5(b)は本発明の他の実施形態に係るボンベ支持体の他の使用状態が示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1には、車いす2と車いす2に取り付けられたボンベ支持体4とが示されている。この車いす2は、本体フレーム6、左右一対の前輪8及び左右一対の後輪10を備えている。
図1の矢印Xが車いす2の前後方向前向きであり、矢印Yが左右方向右向きであり、矢印Zが上下方向上向きである。
【0018】
図2に示される様に、本体フレーム6は、車いす2の骨格を形成する。本体フレーム6は、例えば金属製パイプからなる。本体フレーム6は、左右一対のサイドフレーム12及びクロスフレーム14を備えている。
【0019】
それぞれのサイドフレーム12は、フロントパイプ12a、ベースパイプ12b、シートサイドパイプ12c、後輪取付部12d及び背パイプ12eを備えている。フロントパイプ12aは、前方に位置して上下方向に延びている。ベースパイプ12bは、下方に位置して前後方向に延びている。ベースパイプ12bは、フロントパイプ12aと後輪取付部12dとを連結している。シートサイドパイプ12cは、ベースパイプ12bの上方に位置して前後方向に延びている。シートサイドパイプ12cは、フロントパイプ12aと後輪取付部12dとを連結している。後輪取付部12dは、後方に位置して上下方向に延びている。後輪取付部12dは、複数の後輪取付孔12fを備えている。背パイプ12eは、後方に位置して後輪取付部12dの上端から、上方に向かって延びている。
【0020】
クロスフレーム14は、前後一対のクロスメンバー対14aと図示されないが左右一対のシートパイプを備えている。それぞれのシートパイプは、シートサイドパイプ12cに沿って、前後方向に延びている。それぞれのクロスメンバー対14aは、クロスメンバー14bとクロスメンバー14cとが互いに中央部で軸着されている。
【0021】
クロスメンバー14bの上端は、左右一方のシートパイプに固定されている。クロスメンバー14bの下端部は、左右他方のベースパイプ12bに固定された取付部に軸着されている。クロスメンバー14cの上端は、左右他方のシートパイプに固定されている。クロスメンバー14cの下端部は、左右一方のベースパイプ12bに固定された取付部に軸着されている。左右一方のシートパイプは、左右一方のシートサイドパイプ12cのシートパイプ受け部に着脱可能に係止されている。左右他方のシートパイプは、左右他方のシートサイドパイプ12cのシートパイプ受け部に着脱可能に係止されている。この様にして、クロスフレーム14は、左右一対のサイドフレーム12を連結している。
【0022】
後輪取付部12dは、上下方向に延びている。後輪取付部12dに、ベースパイプ12bの後部及びシートサイドパイプ12cの後部が固定されている。後輪取付部12dに、複数の後輪取付孔12fが形成されている。この後輪取付孔12fは、左右方向に後輪取付部12dを貫通している。これらの後輪取付孔12fは、上下方向に並べられている。これらの後輪取付孔12fは、所定の間隔で並べられている。
【0023】
左右一対の前輪8は、本体フレーム6の前方下方に取り付けられている。左右一方の前輪8は、左右一方のサイドフレーム12に取り付けられている。左右他方の前輪8は、左右他方のサイドフレーム12に取り付けられている。前輪8は、回転可能に取り付けられている。
【0024】
左右一対の後輪10は、本体フレーム6の後方に取り付けられている。左右一方の後輪10は、左右一方の後輪取付部12dに取り付けられている。左右他方の後輪10は、左右他方の後輪取付部12dに取り付けられている。後輪10は、後輪取付部12dの複数の後輪取付孔12fの一つに取り付けられている。後輪10は、左右方向に延びる軸線を回転軸にして回転可能に取り付けられている。この後輪10が取り付けられる後輪取付孔12fが変更されることで、車いす2の高さが調整されうる。この車いす2は、その高さが調整可能にされている。
【0025】
この車いす2は、座シート16と図示されない背シートとを備えている。座シート16は、左右のシートパイプに架け渡されている。座シート16は、車いす2に着座する使用者の臀部を支持する。図示されないが、背シートは、左右の背パイプ12eに架け渡されている。
【0026】
図示されないが、クロスフレーム14のシートパイプがシートサイドパイプ12cのシートパイプ受け部から外されて、クロスメンバー14bとクロスメンバー14cとが互いに回動しうる。この回動によって、左右一対のサイドフレーム12の左右方向の間隔が狭められる。この車いす2は、
図2の使用姿勢と、図示されない折り畳み姿勢との間で姿勢変化可能にされている。折り畳み姿勢では、左右一対のサイドフレーム12の左右方向の間隔が狭められる。この車いす2は、所謂、折り畳み式車いすである。
【0027】
図3に示される様に、ボンベ支持体4は、大径ボンベ支持体18、小径ボンベ支持体20、待機固定ねじ26、支持固定ねじ28、固定ねじ30及び取付部32を備えている。
【0028】
大径ボンベ支持体18は、第1軸着部22、第2軸着部24、大径支持部34、底枠36、底板38、側枠40、側枠42、側枠44及び側枠46を備えている。この大径ボンベ支持体18では、大径支持部34、底枠36、底板38、側枠40、側枠42、側枠44及び側枠46のそれぞれは、例えば帯状の金属板からなる。
【0029】
大径支持部34は、枠部本体34a、一対の枠部連結部34b及び一対の側枠連結部34cを備えている。枠部本体34aは、円弧状に延びている。この枠部本体34aは、中心角180°を越えて、周方向に延びている。それぞれの枠部連結部34bは、枠部本体34aの周方向端から延びて、側枠連結部34cに連続している。枠部連結部34bは、互いに間隔を開けて平行に延びている。側枠連結部34cは、枠部連結部34bから延びて、その先端部が側枠40(上端部40a)に固定されている。この大径支持部34は、枠部本体34aに囲まれる円形の領域と、一対の枠部連結部34bを対辺とし一対の側枠連結部34cを他の対辺の一辺とする矩形の領域と、がその一部を重ね合わされた領域を形成している。
【0030】
底枠36は、 大径支持部34の下方に位置している。底枠36は、円形の縁を形成している。この底枠36の円形の外径は、枠部本体34aの円弧の外径と同じ大きさにされている。この底枠36の円形の軸線と、枠部本体34aの円弧の軸線とは、同一直線上に位置している。
【0031】
底板38は、底枠36が形成する円形の領域を横切って延びている。この底板38は底枠36が形成する円形の中心を通って、その両端が底枠36に固定されている。
【0032】
側枠40は、上下方向に延びている。側枠40の上端部40aに、一対の側枠連結部34cが固定されている。側枠40の下端部40bに、底枠36が固定されている。下端部40bに、底枠36と共に、又は底枠36に代えて底板38が固定されてもよい。
【0033】
側枠42は、底枠36の中心を間にして、側枠40に対向して配置されている。側枠42は、上下方向に延びている。側枠42の上端部42aに、枠部本体34aが固定されている。側枠42の下端部42bに、底枠36が固定されている。下端部42bに、底枠36と共に、又は底枠36に代えて底板38が固定されてもよい。
【0034】
側枠44は、底枠36の円周方向において、側枠40と側枠42との間に位置している。側枠44は、上下方向に延びている。側枠44の上端部44aに、枠部本体34aが固定されている。側枠44の下端部44bに、底枠36が固定されている。下端部44bに、底枠36と共に、又は底枠36に代えて底板38が固定されてもよい。側枠46は、底枠36の円周方向において、側枠40と側枠42との間に位置している。側枠46は、底枠36の中心を間にして、側枠44と対向して配置されている。側枠46に、側枠44と同様にして、枠部本体34a及び底枠36が固定されている。
【0035】
小径ボンベ支持体20は、第1小径支持部48、第2小径支持部50、側枠52、側枠54及び側枠56を備えている。この小径ボンベ支持体20では、第1小径支持部48、第2小径支持部50、側枠52、側枠54及び側枠56のそれぞれは、例えば帯状の金属板からなる。
【0036】
第1小径支持部48は、枠部本体48a、取付軸着部48b及び連結軸着部48cを備えている。枠部本体48aは、円弧状に延びて、略円形の縁を形成している。枠部本体48aの外径は、大径支持部34の枠部本体34aの外径より小さい。枠部本体48aの周方向端は、取付軸着部48bに連続している。取付軸着部48bは、枠部本体48aの半径方向外向きに突出している。連結軸着部48cと取付軸着部48bとは、枠部本体48aの中心を間にして、対向して位置している。連結軸着部48cは、枠部本体48aの半径方向外向きに突出している。
【0037】
第2小径支持部50は、第1小径支持部48の下方に位置している。第2小径支持部50は、枠部本体50a、取付軸着部50b及び連結軸着部50cを備えている。枠部本体50aは、枠部本体48aと同様に形成されている。取付軸着部50bは、取付軸着部48bと同様に形成されている。連結軸着部50cは、連結軸着部48cと同様に形成されている。
【0038】
側枠52は、上下方向に延びている。側枠52の上端部52aは、第1小径支持部48の連結軸着部48cに軸着されている。側枠52の下端部52bは、第2小径支持部50の連結軸着部50cに軸着されている。軸着された上端部52aの回動軸と、下端部52bの回動軸とは、平行にされている。側枠52は、上端部52aと下端部52bとの間に側枠40に向かって凹んだ凹部52cが形成されている。凹部52cは、大径ボンベ支持体18の内側に向かって凹んでいる。側枠52の上端部52aと凹部52cとの間に、支持固定ねじ28が形成されている。この支持固定ねじ28は、固定ねじ30と螺合する雌ねじである。
【0039】
側枠54は、上下方向に延びている。側枠54の上端部54aは、第1小径支持部48に軸着されている。側枠54の上端部54aは、枠部本体48aの周方向において、取付軸着部48bと連結軸着部48cとの間で軸着されている。側枠54の下端部54bは、第2小径支持部50に軸着されている。側枠54の下端部54bは、枠部本体50aの周方向において、取付軸着部50bと連結軸着部50cとの間で軸着されている。側枠54の上端部54aの回動軸と、下端部54bの回動軸とは、側枠52の上端部52aの回動軸と平行にされている。
【0040】
側枠56は、枠部本体48a及び枠部本体50aの周方向において、取付軸着部48b及び取付軸着部50bと連結軸着部48c及び連結軸着部50cとの間に位置している。
側枠56は、枠部本体48a及び枠部本体50aの中心を間にして、側枠54に対向して位置している。側枠56は、側枠54と同様にして、上端部56aが第1小径支持部48に軸着され、下端部56bが第2小径支持部50に軸着されている。
【0041】
取付部32は、取付基部32a及び支持部32bを備えている。取付基部32aは、本体フレーム6に取り付けるための取付孔32cを備えている。この取付部32は、この取付孔32cにねじが通されて、後輪取付部12dに着脱可能に固定される。支持部32bは、上下方向に延びる溝孔32dを備えている。この溝孔32dにねじが通されて、この支持部32bにボンベ支持体4の側枠46が着脱可能に固定される。これにより、ボンベ支持体4は、本体フレーム6に着脱可能に且つ上下方向に位置調整可能に固定される。この支持部32bに、側枠46に代えて側枠44が着脱可能に固定されてもよい。
【0042】
第1軸着部22は、側枠40の上端部40aに位置している。第1軸着部22は、大径ボンベ支持体18の内側に向かって突出している。第1軸着部22は、側枠40から対向する側枠42に向かって突出している。この第1軸着部22に、第1小径支持部48の取付軸着部48bが軸着される。第2軸着部24は、側枠40の上端部40aと下端部40bとの間に位置している。第2軸着部24は、第1軸着部22の下方に位置している。第2軸着部24は、大径ボンベ支持体18の内側に向かって突出している。第2軸着部24は、側枠40から対向する側枠42に向かって突出している。この第2軸着部24に、第2小径支持部50の取付軸着部50bが軸着される。
【0043】
待機固定ねじ26は、側枠40の上端部40aと下端部40bとの間に位置している。待機固定ねじ26は、第2軸着部24の下方に位置している。待機固定ねじ26は、固定ねじ30と螺合する雌ねじである。
【0044】
固定ねじ30は、雄ねじ本体30aとつまみ30bとを備えている。この雄ねじ本体30aは、待機固定ねじ26と支持固定ねじ28とのそれぞれと螺合可能に形成されている。このつまみ30bを握って回転させることで、待機固定ねじ26と支持固定ねじ28とのそれぞれと螺合可能にされている。
【0045】
図4(a)には、小径ボンベ支持体20が待機姿勢にあるボンベ支持体4が示されている。この待機姿勢では、第1小径支持部48と第2小径支持部50とも、待機姿勢にある。このボンベ支持体4では、第1小径支持部48と第2小径支持部50とが下方向き(側枠40の下端部40b側を向く向き)に回動している。第1小径支持部48は、第1軸着部22から側枠40に沿って下方に延びている。取付軸着部48bの下方に枠部本体48aが位置し、枠部本体48aの下方に連結軸着部48cが位置している。第2小径支持部50は、第2軸着部24から側枠40に沿って下方に延びている。取付軸着部50bの下方に枠部本体50aが位置し、枠部本体50aの下方に連結軸着部50cが位置している。
【0046】
この待機姿勢では、第1小径支持部48、第2小径支持部50、側枠52、側枠54及び側枠56は、上下方向に見て、枠部本体34aで囲まれる領域の外に位置している。この待機姿勢では、更に、第1小径支持部48、第2小径支持部50、側枠52、側枠54及び側枠56は、上下方向に見て、底枠36に囲まれる領域の外に位置している。言い換えると、底枠36の半径方向において、第1小径支持部48、第2小径支持部50、側枠52、側枠54及び側枠56は、底枠36の外に位置している。側枠52、側枠54及び側枠56は、側枠40に沿って延びている。側枠52、側枠54及び側枠56のそれぞれは、第1小径支持部48と第2小径支持部50とを連結している。固定ねじ30によって、側枠52は、側枠40にねじ止めされている。この固定ねじ30では、つまみ30bは、側枠52の凹部52cに位置している。
【0047】
図4(b)には、小径ボンベ支持体20が支持姿勢にあるボンベ支持体4が示されている。この支持姿勢では、第1小径支持部48と第2小径支持部50とも、支持姿勢にある。第1小径支持部48と第2小径支持部50とが、側枠42に向かって回動している。第1小径支持部48と第2小径支持部50とが、上下方向に見て、枠部本体34aで囲まれる領域及び底枠36で囲まれる領域の内側に入り込んでいる。言い換えると、第1小径支持部48と第2小径支持部50とが、枠部本体34aの内側に位置している。本発明では、第1小径支持部48が枠部本体34aの内側に位置するとは、第1小径支持部48が大径支持部34に支持される大径ボンベに干渉する範囲に位置することを意味する。第2小径支持部50が枠部本体34aの内側に位置するとも、第1小径支持部48と同様のことを意味する。第1小径支持部48では、取付軸着部48bが側枠40側に位置し、連結軸着部48cが側枠42側に位置している。第2小径支持部50では、取付軸着部50bが側枠40側に位置し、連結軸着部50cが側枠42側に位置している。この支持姿勢において、枠部本体48aの軸線と枠部本体50aの軸線とは同一直線上にされている。
【0048】
この支持姿勢では、固定ねじ30によって、側枠52は、側枠42にねじ止めされている。この第1小径支持部48は、第1軸着部22に回動可能に連結され、側枠52を介して側枠42に固定されている。この第2小径支持部50は、第2軸着部24に回動可能に連結され、側枠52を介して側枠42に固定されている。これにより、小径ボンベ支持体20は、支持姿勢にされて固定されている。
【0049】
図4(b)のボンベ支持体4では、第1小径支持部48及び第2小径支持部50は、大径支持部34の枠部本体34aの半径方向において、枠部本体34aの内側に位置して、小径ボンベの外周面を支持する支持姿勢にされている。
図4(a)では、第1小径支持部48及び第2小径支持部50は、大径支持部34に外周面を支持される大径ボンベに干渉しない待機姿勢にされている。この小径ボンベ支持体20は、この支持姿勢と待機姿勢との間で姿勢変化可能にされている。これにより、ボンベ支持体4は、取り替えることなく、大径ボンベと小径ボンベとを支持しうる。本発明において、第1小径支持部48及び第2小径支持部50は、枠部本体34aの半径方向において、枠部本体34aの内側に位置することは、第1小径支持部48や第2小径支持部50の一部分が枠部本体34aの外にはみ出す状態をも含む。
【0050】
小径ボンベ支持体20の待機姿勢において、第1小径支持部48及び第2小径支持部50は、大径支持部34の枠部本体34a及び底枠36の半径方向において枠部本体34a及び底枠36の外に位置している。これにより、大径支持部34が大径ボンベの外周面を支持し、底枠36が大径ボンベの底部の外周面を支持し、底板38が大径ボンベの底面を支持するときに、大径ボンベと小径ボンベ支持体20とが干渉することが防止できる。
【0051】
更に、大径支持部34は、枠部本体34aに囲まれる円形の領域と、一対の枠部連結部34bを対辺とし一対の側枠連結部34cを他の対辺の一辺とする矩形の領域と、がその一部を重ね合わされた領域を形成している。上下方向に見て、待機姿勢にある小径ボンベ支持体20は、枠部本体34aに囲まれる円形の領域より外に収容されている。固定ねじ30で側枠52が側枠40にねじ止めされているので、大径ボンベと小径ボンベ支持体20との干渉が更に確実に防止できる。
【0052】
このボンベ支持体4では、第1小径支持部48及び第2小径支持部50が大径ボンベ支持体18に軸着されている。第1小径支持部48及び第2小径支持部50が、大径ボンベ支持体18に対して回動して、待機姿勢と支持姿勢とに姿勢変化可能にされている。このボンベ支持体4では、第1小径支持部48及び第2小径支持部50が、容易に、待機姿勢と支持姿勢とに姿勢変化可能にされている。
【0053】
このボンベ支持体4は、第1小径支持部48の下方に位置して、小径ボンベの外周面を支持する第2小径支持部50を備えている。このボンベ支持体4では、第1小径支持部48と第2小径支持部50とが、小径ボンベの外周面を支持する。これにより、このボンベ支持体4は、小径ボンベをより安定に保持できる。
【0054】
このボンベ支持体4は、第2小径支持部50を備えずに、第1小径支持部48だけであってもよい。また、ボンベ支持体4は、第1小径支持部48と第2小径支持部50との間に、又は第2小径支持部50の更に下方に、大径ボンベ支持体18に対して回動する第3小径支持部を備えていてもよい。
【0055】
このボンベ支持体4では、大径ボンベ支持体18で支持可能な大径ボンベと小径ボンベ支持体20で支持可能な小径ボンベとの2種類のボンベを支持するが、これに限られない。このボンベ支持体4は、大径ボンベ支持体18と小径ボンベ支持体20との間の外径の中径ボンベ支持体や、小径ボンベ支持体20より更に外径の小さい小小径ボンベ支持体を備えていてもよい。
【0056】
図4(b)の支持姿勢において、第1小径支持部48の上端は、大径支持部34の枠部本体34aの上端より、上下方向において上方に位置している。これにより、小径ボンベが第1小径支持部48に案内されて、ボンベ支持体4に挿入し易くされている。これにより、大径支持部34や第1小径支持部48は、小径ボンベの挿入の際に、小径ボンベとの衝突より、変形することが抑制されている。
【0057】
このボンベ支持体4では、支持姿勢の第1小径支持部48は、上下方向に見て、大径支持部34の枠部本体34aの半径方向において枠部本体34aの内側に位置している。これにより、第1小径支持部48の支持姿勢において、大径ボンベを誤って取り付けることが防止される。ボンベ支持体4は、大径ボンベを取り付ける状態と小径ボンベを取り付けられる状態との識別が容易にされている。
【0058】
また、第1小径支持部48は、上下方向に見て大径支持部34の内側に位置しているので、ボンベ支持体4は省スペース化されている。これにより、折り畳み式の車いす2の折り畳みの障害になることが抑制されている。このボンベ支持体4は、折り畳み式の車いす2に適している。
【0059】
図5(a)及び
図5(b)には、本発明の他の実施形態に係るボンベ支持体64が示されている。ボンベ支持体64は、大径ボンベ支持体66、小径ボンベ支持体68、取付部70及び係止部72を備えている。
【0060】
大径ボンベ支持体66は、大径支持部74、底板76、側枠78、側枠80、側枠82及び側枠84を備えている。この大径ボンベ支持体66では、大径支持部74、底板76、側枠78、側枠80、側枠82及び側枠84のそれぞれは、例えば帯状の金属板からなる。
【0061】
大径支持部74は、リング状の形状を備えている。大径支持部74に囲まれる円形の領域が形成している。この大径支持部74は、大径ボンベの外周面を支持する枠部本体74aでもある。
【0062】
底板76は、底板片76a、底板片76b及び底板片76cを備えている。底板片76aは、リング状の板形状を備えている。底板片76b及び底板片76cは、底板片76aの半径方向に延びて互いに交差している。
【0063】
側枠78は、上下方向に延びている。側枠78の図示されない上端部78aに、大径支持部74が固定されている。側枠78の図示されない下端部78bに、底板片76aが固定されている。側枠80は、上下方向に延びている。側枠80の上端部80aに、大径支持部74が固定されている。側枠80の下端部80bに、底板片76aが固定されている。側枠78と側枠80とは、大径支持部74の中心を間にして対向して配置されている。側枠80は、溝孔80cを備えている。この溝孔80cは、上下方向に延びている。側枠78は、側枠80の溝孔80cと同様に形成された、溝孔78cを備えている。
【0064】
側枠82は、大径支持部74の円周方向において、側枠78と側枠80との間に位置している。側枠82は、上下方向に延びている。側枠82の上端部82aに、大径支持部74が固定されている。側枠82の下端部82bに、底板片76aが固定されている。側枠82は、溝孔82cを備えている。この溝孔82cは、上下方向に延びている。側枠84は、大径支持部74の円周方向において、側枠78と側枠80との間に位置している。側枠84は、大径支持部74の中心を間にして、側枠82と対向して配置されている。側枠84は、側枠82と同様にして、大径支持部74と底板片76aとに固定されている。側枠84は、側枠82の溝孔82cと同様に形成された、図示されない溝孔84cを備えている。
【0065】
小径ボンベ支持体68は、第1小径支持部86、底枠88及び一対の固定ねじ90を備えている。第1小径支持部86は、リング状の形状を備えている。第1小径支持部86は、例えば樹脂からなる。第1小径支持部86の外周面86aには、一対のねじ孔が形成されている。この一対のねじ孔は、周方向に180°離れて形成されている。第1小径支持部86は、外周面86aから半径方向内向きに凹んだ一対の係合溝92を備えている。それぞれの係合溝92は、周方向において、一対のねじ穴の中間に位置している。
【0066】
底枠88は、リング状の形状を備えている。底枠88は例えば帯状の金属板からなる。底枠88は、底板片76aに固定されている。底板片76aから上方に起立している。底枠88の外径は、第1小径支持部86の中央の貫通穴に挿入可能な大きさにされている。
【0067】
それぞれの固定ねじ90は、第1小径支持部86のねじ孔に螺着されている。一方の固定ねじ90は、側枠80の溝孔80cに通されている。この固定ねじ90の頭部と第1小径支持部86の外周面86aとの間に、側枠80が挟み込まれている。他方の固定ねじ90は、側枠78の溝孔78cに通されている。この固定ねじ90の頭部と第1小径支持部86の外周面86aとの間に、側枠78が挟み込まれている。一方の係合溝92に側枠82が係止されている。他方の係合溝92に側枠84が係止されている。これにより、第1小径支持部86は、側枠78、側枠80、側枠82及び側枠84に沿って、上下方向に移動可能にされている。
【0068】
図示されないが、このボンベ支持体64は、取付部70及び係止部72によって、着脱可能に車いす2の本体フレーム6に取り付けられる。例えば、取付部70は、サイドフレーム12の後輪取付部12dに取り付けられる。係止部72は、後輪取付部12dから更に後方に延びるベースパイプ12bに係止される。
【0069】
図5(a)では、第1小径支持部86は、底枠88から離れた上方で、一対の固定ねじ90によって、位置決め固定されている。この
図5(a)では、底枠88の軸線と第1小径支持部86の軸線とは同一直線上にされている。この
図5(a)では、小径ボンベが挿入されると、第1小径支持部86の内周面86bが小径ボンベの外周面を支持し、底枠88の内周面88aが小径ボンベの底部の外周面を支持し、底板片76b及び底板片76cが小径ボンベの底面を支持する。
図5(a)では、小径ボンベ支持体68は、支持姿勢にある。
【0070】
図5(b)では、第1小径支持部86は、支持姿勢の位置に対して下方に位置している。この第1小径支持部86は、一対の固定ねじ90によって、位置決め固定されている。第1小径支持部86は、底板76に当接している。第1小径支持部86の中央の貫通穴に、底枠88が挿入されている。この
図5(b)では、大径ボンベが挿入されると、大径支持部74の内周面74bが大径ボンベの外周面を支持し、第1小径支持部86が大径ボンベの底面を支持する。
図5(b)では、小径ボンベ支持体68は、待機姿勢にある。この待機姿勢において、底枠88が、大径ボンベの底面を支持してもよい。また、底板76は半径方向内側で上方に突出して、大径ボンベの底面を支持してもよい。
【0071】
このボンベ支持体64では、
図5(a)では、第1小径支持部86は、上方に位置して、小径ボンベの外周面を支持する支持姿勢にされている。
図5(b)では、第1小径支持部86は、底板76に当接して、大径支持部74に外周面を支持される大径ボンベに干渉しない待機姿勢にされている。この小径ボンベ支持体68は、この支持姿勢と待機姿勢との間で姿勢変化可能にされている。これにより、ボンベ支持体64は、取り替えることなく、大径ボンベと小径ボンベとを支持しうる。
【0072】
このボンベ支持体64では、この待機姿勢において、第1小径支持部86は、大径支持部74の半径方向において、大径支持部74の内側に位置している。この第1小径支持部86は、支持姿勢における位置の下方に位置している。これにより、待機姿勢において、第1小径支持部86は、大径ボンベと干渉することが防止されている。
【0073】
更に、このボンベ支持体64では、待機姿勢において、第1小径支持部86が大径ボンベの底面を支持する。このボンベ支持体64では、樹脂からなる第1小径支持部86で、大径ボンベの底面を支持しうる。大径ボンベに加わる衝撃が緩和できる。最も損傷し易い第1小径支持部86が交換可能にされている。
【0074】
このボンベ支持体64は、図示されないが、第2小径支持部を備えていてもよい。この場合、第2小径支持部は、第1小径支持部86の下方に位置する。第2小径支持部は、第1小径支持部86と同様に構成される。第2小径支持部は、第1小径支持部86と底板76との間で、上下方向に移動可能に、且つ位置決め可能にされる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明されたボンベ支持体は、ボンベが取り付けられる車いすに広く適用されうる。
【符号の説明】
【0076】
2・・・車いす
4、64・・・ボンベ支持体
6・・・本体フレーム
12・・・サイドフレーム
18、66・・・大径ボンベ支持体
20、68・・・小径ボンベ支持体
30、90・・・固定ねじ
34、74・・・大径支持部
34a、74a・・・枠部本体
48、86・・・第1小径支持部
50・・・第2小径支持部