(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】ナビゲーション支援システム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20230621BHJP
A61B 6/00 20060101ALN20230621BHJP
A61B 6/12 20060101ALN20230621BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B6/00 331
A61B6/00 370
A61B6/12
(21)【出願番号】P 2018531105
(86)(22)【出願日】2016-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2016081477
(87)【国際公開番号】W WO2017103142
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-12-13
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-16
(32)【優先日】2015-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フローレント ラウル
(72)【発明者】
【氏名】カティエ パスカル イヴス フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】カーヤ ネリマン ニコレッタ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ブーメン ウィルヘルムス ヘンリカ ゲラルダ マリア
【合議体】
【審判長】村上 聡
【審判官】内藤 真徳
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/191262(WO,A2)
【文献】特開2007-83038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20,34/10
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者内で介入器具をナビゲートするのを支援するためのナビゲーション支援システムであって、
開口をもつ埋め込み済みの物体と開口をもつ管とを示す介入画像データセットを提供するための介入画像データセット提供ユニットと、
基準系における前記介入器具の3次元位置を提供するための位置提供ユニットと、
提供された前記介入画像データセットに基づいて、埋め込み済みの物体開口モデルと管開口モデルとを生成するためのモデル生成ユニットであって、前記埋め込み済みの物体開口モデルが、前記基準系における前記埋め込み済みの物体の開口の3次元の位置、形状及び寸法を定義し、前記管開口モデルが、前記基準系における前記管の3次元の開口の位置、形状及び寸法を定義する、モデル生成ユニットと、
前記埋め込み済みの物体開口モデルと、前記管開口モデルと、提供された前記介入器具の位置とのグラフィカル表現を生成するためのグラフィカル表現生成ユニットとを備える、
ナビゲーション支援システム。
【請求項2】
前記位置提供ユニットは、前記介入器具が移動される間、リアルタイムで前記介入器具の位置を提供する、請求項1に記載のナビゲーション支援システム。
【請求項3】
前記位置提供ユニットは、光学形状検知によって前記介入器具の位置を提供する、請求項1に記載のナビゲーション支援システム。
【請求項4】
前記介入画像データセット提供ユニットは、異なる収集方向において収集され、前記埋め込み済みの物体と前記管とを示す、2次元X線投影画像を含むように前記介入画像データセットを提供する、請求項1に記載のナビゲーション支援システム。
【請求項5】
前記モデル生成ユニットは、前記埋め込み済みの物体開口モデルを生成するために、及び/又は前記管開口モデルを生成するために、提供された前記介入器具の位置を使用する、請求項1に記載のナビゲーション支援システム。
【請求項6】
前記介入画像データセット提供ユニットは、前記介入画像データセットが、造影剤なしの前記埋め込み済みの物体と前記管とを示す少なくとも1つの第1の介入画像と、造影剤ありの前記埋め込み済みの物体と前記管とを示す少なくとも1つの第2の介入画像とを備えるように、前記介入画像データセットを提供し、
前記モデル生成ユニットは、前記少なくとも1つの第1の介入画像に基づいて、前記埋め込み済みの物体開口モデルを生成し、前記少なくとも1つの第2の介入画像に基づいて前記管開口モデルを生成する、請求項1に記載のナビゲーション支援システム。
【請求項7】
前記埋め込み済みの物体は、前記埋め込み済みの物体の開口に対して既知の空間関係を持つマーカーを備え、
前記介入画像データセット提供ユニットは、前記介入画像データセットが、前記埋め込み済みの物体のマーカーを示すように、前記介入画像データセットを提供し、
前記モデル生成ユニットは、前記介入画像データセット中の前記マーカーの位置を検出し、検出された前記マーカーの位置と前記既知の空間関係とに基づいて、前記埋め込み済みの物体開口モデルを生成する、請求項1に記載のナビゲーション支援システム。
【請求項8】
前記モデル生成ユニットは、前記介入画像データセット中の前記埋め込み済みの物体の少なくとも一部分の位置を決定し、前記埋め込み済みの物体の前記少なくとも一部分の決定された位置を使用することによって、前記埋め込み済みの物体開口モデルを生成し、前記埋め込み済みの物体の前記少なくとも一部分の決定された位置を使用することによって前記介入画像データセット中の前記管の少なくとも一部分の位置、寸法及び形状を決定し、前記介入画像データセット中の前記管の前記少なくとも一部分の決定された位置、寸法及び形状に基づいて前記管開口モデルを生成する、請求項1に記載のナビゲーション支援システム。
【請求項9】
前記ナビゲーション支援システムは、前記介入器具を、前記埋め込み済みの物体の開口を通して、及び、前記管の開口を通して、移動するために、前記介入器具が経路に沿って移動可能である当該経路を決定するための経路決定ユニットをさらに備え、
前記経路決定ユニットは、生成された前記埋め込み済みの物体開口モデルと、生成された前記管開口モデルと、提供された前記介入器具の位置とに基づいて前記経路を決定し、
前記グラフィカル表現生成ユニットは、前記グラフィカル表現が、決定された前記経路をも含むように、前記グラフィカル表現を生成する、請求項1に記載のナビゲーション支援システム。
【請求項10】
前記介入画像データセット提供ユニットは、前記介入画像データセットが、開口をもつ第1の管と、第2の管とを示すように、前記介入画像データセットを提供し、前記第1の管と前記第2の管とは前記開口を介して接続され、
前記モデル生成ユニットは、前記第1の管の位置、形状及び寸法を定義する第1の管モデルを生成し、前記第2の管の位置、形状及び寸法を定義する第2の管モデルを生成し、生成された前記第1の管モデルと生成された前記第2の管モデルとに基づいて、前記管開口モデルを生成する、請求項1に記載のナビゲーション支援システム。
【請求項11】
前記グラフィカル表現生成ユニットは、前記埋め込み済みの物体開口モデルと、前記管開口モデルと、提供された前記介入器具の位置とがどのように提示されるべきかを定義する表現パラメータに従って、前記グラフィカル表現を生成し、前記表現パラメータは、提供された前記介入器具の位置に依存する、請求項1に記載のナビゲーション支援システム。
【請求項12】
介入処置を実行するための介入システムであって、
介入器具と、
介入器具をナビゲートするのを支援するための請求項1に記載のナビゲーション支援システムとを備える、介入システム。
【請求項13】
請求項1に記載のナビゲーション支援システムのコンピュータで実行されたとき、前記ナビゲーション支援システムに、
前記介入画像データセット提供ユニットが、開口をもつ埋め込み済みの物体と開口をもつ管とを示す介入画像データセットを提供するステップと、
前記位置提供ユニットが、前記介入器具の3次元位置を提供するステップと、
前記モデル生成ユニットが、提供された前記介入画像データセットに基づいて、埋め込み済みの物体開口モデルと管開口モデルとを生成するステップであって、前記埋め込み済みの物体開口モデルが、基準系における前記埋め込み済みの物体の開口の3次元の位置、形状及び寸法を定義し、前記管開口モデルが、前記基準系における前記管の開口の3次元の位置、形状及び寸法を定義する、当該生成するステップと、
前記グラフィカル表現生成ユニットが、前記埋め込み済みの物体開口モデルと、前記管開口モデルと、提供された前記介入器具の位置とのグラフィカル表現を生成するステップと、を行わせる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者内で介入(interventional)器具をナビゲートするのを支援するためのナビゲーション支援システム、方法及びコンピュータプログラムに関する。本発明は、さらに、本ナビゲーション支援システムを備える介入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
WO2014/191262A3は、ユーザが挿入要素を物体内のターゲット要素まで移動するのを支援するための支援装置を開示している。支援装置は、ターゲット要素を示すターゲット要素画像を提供するためのターゲット要素画像提供ユニットと、ターゲット要素画像に基づいて、ターゲット要素の3次元位置及び3次元配向において、並びにターゲット要素のサイズで、物体内のターゲット要素を表現するターゲット要素表現を生成するためのターゲット要素表現生成ユニットとを備える。ターゲット要素は少なくとも1つの開口を備え、ターゲット要素表現生成ユニットは、ターゲット要素の少なくとも1つの開口の3次元位置、3次元配向及びサイズにおいて、物体内のターゲット要素の少なくとも1つの開口を表現する少なくとも1つの輪を備えるターゲット要素表現を生成するように適応される。支援装置は、挿入要素がターゲット要素まで移動される間、物体内で挿入要素の3次元位置を追跡するための追跡ユニットであって、追跡される挿入要素が少なくとも1つの開口を有する、追跡ユニットと、ターゲット要素表現の少なくとも1つの輪と、挿入要素の少なくとも1つの開口を表現する少なくとも1つの輪とを表示するためのディスプレイとをさらに備える。
【0003】
WO2015/177012A1は、第2の物体内の第1の物体を撮像するための撮像装置を開示している。撮像装置は、第2の物体の3次元表現を提供するための表現提供ユニットを備え、3次元表現は第2の物体の表面の表現を含む。撮像装置は、第2の物体の位置に対する第1の物体の位置を提供するための位置提供ユニットと、提供された第1の物体の位置に基づいて、第2の物体の表面の表現上への第1の物体の投影を決定するための投影ユニットとをさらに備える。第2の物体の表面の表現上の第1の物体の投影が最終的に表示される。
【0004】
WO2014/151651A1は、患者内で介入器具をナビゲートするのを支援するためのナビゲーション支援システムを開示している。ナビゲーション支援システムは、ガイドワイヤ又はカテーテルのような介入器具の位置を追跡するための電磁追跡システムと、患者の管のジオメトリを表現する患者固有管モデルを記憶するためのメモリとを備える。介入器具と管との間の空間関係を視覚化するために、介入器具の追跡された位置と患者固有管モデルとを示すグラフィカル視覚化を生成するために出力生成器が使用される。この視覚化された空間関係は、医師が患者内で介入器具をナビゲートするのを支援する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、対象者内で介入器具をナビゲートする際の改善された支援を可能にするナビゲーション支援システム、方法及びコンピュータプログラムを提供することである。本発明のさらなる目的は、本ナビゲーション支援システムを備える介入システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様では、対象者内で介入器具をナビゲートするのを支援するためのナビゲーション支援システムが提示され、本ナビゲーション支援システムは、
- 開口をもつ埋め込まれた物体と開口をもつ管とを示す介入画像データセットを提供するための介入画像データセット提供ユニットと、
- 基準系における介入器具の位置を提供するための位置提供ユニットと、
- 提供された介入画像データセットに基づいて、埋め込まれた物体開口モデルと管開口モデルとを生成するためのモデル生成ユニットであって、埋め込まれた物体開口モデルが、基準系における埋め込まれた物体の開口の位置、形状及び寸法を定義し、管開口モデルが、基準系における管の開口の位置、形状及び寸法を定義する、モデル生成ユニットと、
- 埋め込まれた物体開口モデルと、管開口モデルと、提供された介入器具の位置とのグラフィカル表現を生成するためのグラフィカル表現生成ユニットとを備える。
【0007】
開口をもつ埋め込まれた物体と開口をもつ管とを示す介入画像データセットが提供されるので、及びこの介入画像データセットが、埋め込まれた物体開口モデルと管開口モデルとを生成するために使用されるので、すなわち、プレ介入画像データではなく、術中データが、埋め込まれた物体開口モデルと管開口モデルとを生成するために使用されるので、埋め込まれた物体開口モデル及び管開口モデルは、介入処置中の、埋め込まれた物体の開口と管の開口との位置、形状及び寸法を正確に表現する。その上、グラフィカル表現生成ユニットは、埋め込まれた物体開口モデルと、管開口モデルと、介入器具の追跡された位置とのグラフィカル表現を生成するので、介入器具が対象者内でナビゲートされる間、埋め込まれた物体の開口の位置、形状及び寸法に対する、並びに管の開口の位置、形状及び寸法に対する介入器具の位置が示され得る。これは、介入器具が、埋め込まれた物体の開口を通して、及び管の開口を通して移動されるように、医師のようなユーザが介入器具を比較的容易にナビゲートすることを可能にする、ユーザの改善された案内を提供する。
【0008】
好ましくは、位置は、ロケーションと、オプションでまた配向とを定義し、すなわち、例えば、好ましくは、提供された介入器具の位置は、介入器具の、特にそれの先端のロケーションと、オプションでまたそれの配向とを定義する。その位置は、好ましくは3次元位置である。
【0009】
位置提供ユニットは、介入器具の先端のみの位置を提供するように適応され得る。ただし、位置提供ユニットはまた、介入器具のより大きい部分の位置、例えば、先端と先端に隣接する介入器具の部分との位置を提供するように適応され得る。位置提供ユニットはまた、グラフィカル表現がこのより大きい部分の形状をも示すことができるように、この形状を提供するように適応される。グラフィカル表現は、介入器具のこの部分の位置及び形状を表現する3次元曲線を備える。一実施形態では、位置提供ユニットは、介入器具全体の位置及び形状を提供し、グラフィカル表現は、介入器具全体を表現する3次元曲線を示す。
【0010】
介入画像データセット提供ユニットは、介入画像データセットがそこに記憶される記憶ユニットであり得、介入画像データセット提供ユニットは、記憶された介入画像データセットを提供するように適応され得る。介入画像データセット提供ユニットはまた、介入画像データセットを受信することと、受信された介入画像データセットを提供することとを行うための受信ユニットであり得る。介入画像データセット提供ユニットはまた、介入画像データセットを生成するための介入画像データセット生成ユニットであり得る。介入画像データセットは、異なる収集方向において収集された、及び埋め込まれた物体と管とを示す、介入2次元X線投影画像を好ましくは含む。ただし、介入画像データセットはまた、超音波画像のような、埋め込まれた物体と管とを示す他の介入画像を備えることができる。介入画像データセットは、介入画像データセット中の管の可視性を向上させるために、造影剤が管内にある間に収集された1つ又は複数の介入画像を好ましくは備える。代替的に又は追加として、介入画像データセットは、造影剤なしの埋め込まれた物体と管とを示す1つ又は複数の画像を備える。
【0011】
モデル生成ユニットは、介入画像データセット中の、第1の管管と、オプションで1つ又は複数のさらなる管と、埋め込まれた物体、すなわち、例えば、埋め込まれた物体の開口を囲む埋め込まれた物体の少なくともマーカーとをセグメント化することと、管開口モデルと埋め込まれた物体開口モデルとを生成するためにこれらのセグメンテーションを使用することとを行うように適応され得る。
【0012】
管の開口は、好ましくは管の口部である。埋め込まれた物体は、好ましくは開窓型(fenestrated)ステントであり、開口は、好ましくは、管の口部と整合すべきであるステントの開窓(fenestration)であり、ナビゲーション支援システムは、ユーザが、ゲートであるとも見なされる開窓型ステントの開窓を通して、及び管への口部を通して介入器具をナビゲートするのを支援するように、好ましくは適応される。介入器具は、カテーテル、ガイドワイヤのようなワイヤ、針又は別の介入器具である。
【0013】
位置提供ユニットは、介入器具の位置を追跡するための追跡ユニットから介入器具の位置を受信することと、介入器具の受信された位置を提供することとを行うように適応され得る。ただし、位置提供ユニットはまた、それ自体が追跡ユニットであり得る。一実施形態では、位置提供ユニットは、光学形状検知によって介入器具の位置を追跡するための追跡ユニットである。ただし、介入器具の位置は、電磁追跡のような別の追跡技法を使用することによっても追跡され得る。位置提供ユニットは、介入器具が移動される間、リアルタイムで介入器具の位置を提供するように好ましくは適応され、すなわち、位置提供ユニットは、介入器具のリアルタイム位置を提供するように好ましくは適応される。
【0014】
介入器具の追跡された位置と介入画像データセットとは互いに位置合わせされ、したがって、生成された埋め込まれた物体開口モデルと、生成された管開口モデルと、介入器具の追跡された位置との間の空間関係が知られ、同じ基準系において提供され得る。例えば、X線Cアームシステムのような、介入画像データセットを生成する介入画像データセット生成ユニットと、光学形状検知追跡ユニットのような追跡ユニットとは互いに位置合わせされ得、したがって、介入画像データセット生成ユニットによって生成された介入画像データセットと、追跡ユニットによって追跡された介入器具の位置とが互いに位置合わせされる。
【0015】
一実施形態では、モデル生成ユニットは、埋め込まれた物体開口モデルを生成するために、及び/又は管開口モデルを生成するために、提供された介入器具の位置を使用するように適応される。例えば、モデル生成ユニットが、2次元X線投影画像中の1つ又は複数の管のセグメンテーションに基づいて管開口モデルを生成するように適応された場合、対応するセグメンテーションアルゴリズムの適用は、それぞれの2次元X線投影画像の撮像平面上への提供された介入器具の位置の仮想投影を囲む領域に限定され、それによって、所望の構造の、より速く、おそらくより正確なセグメンテーションが可能になる。また、例えば、埋め込まれた物体の開口を囲むマーカーをセグメント化することによる、埋め込まれた物体の開口のセグメンテーションは、埋め込まれた物体の開口のセグメンテーションを容易にするために、提供された介入器具の位置の仮想投影を囲む領域に限定され得る。
【0016】
介入画像データセット提供ユニットは、介入画像データセットが、造影剤なしの埋め込まれた物体と管とを示す少なくとも1つの第1の介入画像と、造影剤ありの埋め込まれた物体と管とを示す少なくとも1つの第2の介入画像とを備えるように、介入画像データセットを提供するように適応され得、モデル生成ユニットは、少なくとも1つの第1の介入画像に基づいて、埋め込まれた物体開口モデルを生成することと、少なくとも1つの第2の介入画像に基づいて管開口モデルを生成することとを行うように適応される。したがって、埋め込まれた物体開口モデルの生成は造影剤によって妨害されず、それにより、埋め込まれた物体開口モデルの改善された生成が可能になる。その上、管開口モデルは、造影剤ありの管を示す少なくとも1つの第2の介入画像に基づいて決定されるので、管開口モデルはより確実に決定され得る。好ましくは、造影剤なしの2次元X線投影画像の少なくともペアが第1の介入画像として使用され、造影剤ありの2次元X線投影画像の少なくともさらなるペアが第2の介入画像として使用される。
【0017】
埋め込まれた物体は、埋め込まれた物体の開口に対して既知の空間関係を持つマーカーを好ましくは備え、介入画像データセット提供ユニットは、介入画像データセットが、埋め込まれた物体のマーカーを示すように、介入画像データセットを提供するように適応され、モデル生成ユニットは、介入画像データセット中のマーカーの位置を検出することと、マーカーの検出された位置と既知の空間関係とに基づいて、埋め込まれた物体開口モデルを生成することとを行うように適応される。埋め込まれた物体は、介入画像データセット中のマーカーを検出することによって開口が検出され得るように、埋め込まれた物体の開口を囲むいくつかのマーカーを備えることができ、この検出は、埋め込まれた物体開口モデルを生成するために使用され得る。特に、モデル生成ユニットは、埋め込まれた物体モデルを生成するために、2次元X線投影画像中のマーカーの2次元位置を決定することと、決定された2次元位置といわゆるエピポーラ幾何学とに基づいてマーカーの3次元位置を決定することと、埋め込まれた物体の開口の形状に対応する、円又は別の形状を、決定された3次元マーカー位置に適合させることとを行うように適応され得る。
【0018】
モデル生成ユニットは、介入画像データセット中の埋め込まれた物体の少なくとも一部分の位置を決定することと、埋め込まれた物体の少なくとも一部分の決定された位置を使用することによって、埋め込まれた物体開口モデルを生成することと、埋め込まれた物体の少なくとも一部分の決定された位置を使用することによって介入画像データセット中の管の少なくとも一部分の位置、寸法及び形状を決定することと、画像データセット中の管の少なくとも一部分の決定された位置、寸法及び形状に基づいて管開口モデルを生成することとを行うように適応される。例えば、埋め込まれた物体の開口を囲むマーカーの位置が、2次元X線投影画像においてすでに決定されている場合、2次元X線投影画像中の管の少なくとも一部分の位置、寸法及び形状を決定するための、管の少なくとも一部分のセグメンテーションは、マーカーの決定された位置を囲む領域に限定され得る。また、これは、管開口モデルの生成を容易にすることができる。
【0019】
ナビゲーション支援システムは、介入器具を、埋め込まれた物体の開口を通して、管の開口を通して移動するために介入器具がそれに沿って可動である経路を決定するための経路決定ユニットを好ましくはさらに備え、経路決定ユニットは、生成された埋め込まれた物体開口モデルと、生成された管開口モデルと、提供された介入器具の位置とに基づいて経路を決定するように適応され、グラフィカル表現生成ユニットは、グラフィカル表現が、決定された経路をも含むように、グラフィカル表現を生成するように適応される。介入器具を、埋め込まれた物体の開口を通して、管の開口を通して移動するために介入器具がそれに沿って可動である経路をも表現することによって、対象者内で介入器具をナビゲートする間のユーザの案内がさらに改善され得る。経路決定ユニットは、提供された介入器具の位置から開始して、埋め込まれた物体と管との2つの開口を通過する、特にこれらの開口のできる限り中心を通過するラインを定義することによって、経路を決定するように適応され得る。経路決定ユニットは、経路を決定するために適合アルゴリズムを使用するように適応され得、超えてはならない介入器具の曲率の最大程度のような制約が使用され得る。
【0020】
一実施形態では、介入画像データセット提供ユニットは、介入画像データセットが、開口をもつ第1の管と第2の管とを示すように、介入画像データセットを提供するように適応され、第1の管と第2の管とは開口を介して接続され、モデル生成ユニットは、第1の管の位置、形状及び寸法を定義する第1の管モデルを生成することと、第2の管の位置、形状及び寸法を定義する第2の管モデルを生成することと、生成された第1の管モデルと生成された第2の管モデルとに基づいて管開口モデルを生成することとを行うように適応される。これは、介入画像データセット中の第1及び第2の管のセグメンテーションに基づく、管開口モデルの正確な生成を可能にすることができる。埋め込まれた物体は第2の管中に埋め込まれ、埋め込まれた物体の開口は第1の管の開口と整合され、これは、第1の管と第2の管との間の流体接続を提供する。埋め込まれた物体開口モデルと、管開口モデルと、提供された介入器具の位置とのグラフィカル表現が、次いで、介入器具を、埋め込まれた物体の開口を通して、第1の管の開口を通して、第2の管から第1の管にナビゲートするための支援を提供する。例えば、グラフィカル表現は、介入器具を、第2の管中に埋め込まれるステントの開窓を通して、第1の管の口部を通して、第2の管から第1の管にナビゲートするための支援を提供する。
【0021】
一実施形態では、グラフィカル表現生成ユニットは、埋め込まれた物体開口モデルと、管開口モデルと、提供された介入器具の位置とがどのように提示されるべきかを定義する表現パラメータに従ってグラフィカル表現を生成するように適応され、表現パラメータは、提供された介入器具の位置に依存する。例えば、表現パラメータは、グラフィカル表現のサイズ、したがって倍率、及び/又は閲覧方向を定義することができる。特に、表現パラメータは、グラフィカル表現が、異なる要素を、介入器具の位置及び開口モデルが側方から示される、横方向ビューで表現すべきであるのか、又は開口モデルが閲覧平面中にあり、介入器具の位置が上部から参照される、いわゆるブルズアイビュー(bull’s eye view)で表現すべきであるのかを定義することができる。表現パラメータは、a)介入器具の位置と、b)埋め込まれた物体の開口の位置及び/又は管の開口の位置との間の距離に依存することがある。例えば、この距離がより大きい場合、異なる要素のサイズはより小さく、すなわち倍率はより小さく、この距離がより小さい場合、異なる要素のサイズはより大きく、すなわち倍率はより大きい。その上、この距離がより大きい場合、横方向ビューが示され、この距離がより小さい場合、ブルズアイビューが示される。また、横方向ビューが常に示され、距離が、あらかじめ定義された又は選択可能なしきい値よりも小さい場合のみ、ブルズアイビューが示されることが可能である。さらに、一実施形態では、両方のビュー又は複数の他のビューが、介入器具の位置とは無関係に示され、倍率のみが距離に応じて変更される。
【0022】
本発明のさらなる態様では、介入処置を実行するための介入システムが提示され、本介入システムは、
- 介入器具と、
- 請求項1に記載の、介入器具をナビゲートするのを支援するためのナビゲーション支援システムとを備える。
【0023】
本発明の別の態様では、対象者内で介入器具をナビゲートするのを支援するためのナビゲーション支援方法が提示され、本ナビゲーション支援方法は、
- 介入画像データセット提供ユニットによって、開口をもつ埋め込まれた物体と開口をもつ管とを示す介入画像データセットを提供するステップと、
- 基準系において位置提供ユニットによって介入器具の位置を提供するステップと、
- モデル生成ユニットによって、提供された介入画像データセットに基づいて、埋め込まれた物体開口モデルと管開口モデルとを生成するステップであって、埋め込まれた物体開口モデルが、基準系における埋め込まれた物体の開口の位置、形状及び寸法を定義し、管開口モデルが、基準系における管の開口の位置、形状及び寸法を定義する、生成するステップと、
- グラフィカル表現生成ユニットによって、埋め込まれた物体開口モデルと、管開口モデルと、提供された介入器具の位置とのグラフィカル表現を生成するステップとを備える。
【0024】
本発明のさらなる好ましい態様では、介入器具をナビゲートするのを支援するためのコンピュータプログラムが提示され、本コンピュータプログラムは、本コンピュータプログラムがナビゲーション支援システム上で実行されたとき、請求項1に記載のナビゲーション支援システムに、請求項13に記載のナビゲーション支援方法を行わせるためのプログラムコード手段を備える。
【0025】
請求項1に記載のナビゲーション支援システム、請求項12に記載の介入システム、請求項13に記載のナビゲーション支援方法及び請求項14に記載のコンピュータプログラムは、特に従属請求項に記載の、同様の及び/又は同等の好ましい実施形態を有することを理解されたい。
【0026】
本発明の好ましい実施形態はまた、従属請求項又は上記実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組合せであり得ることを理解されたい。
【0027】
本発明のこれら及び他の態様は、以下で説明する実施形態から明らかになり、それを参照して解明されよう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】介入処置を実行するための介入システムの一実施形態を概略的に及び例示的に示す図である。
【
図2】管と、開窓型ステントの開口と、介入器具の遠位端と、介入器具がそれに沿って移動される経路との視覚化を概略的に及び例示的に示す図である。
【
図3】対象者内で介入器具をナビゲートするのを支援するためのナビゲーション支援方法の一実施形態を例示的に示すフローチャートを示す図である。
【
図4】血管内大動脈瘤修復(EVAR)処置を概略的に及び例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、介入処置を実行するための介入システムの一実施形態を概略的に及び例示的に示す。介入システム1は、台9のような支持手段上に配置された患者7内でナビゲートされるための、カテーテル又はガイドワイヤのような介入器具10を備える。介入器具10は、医師が患者7内で、特に患者7の心臓8内で介入器具10をナビゲートすることを可能にするハンドル31を備えることができる。ハンドル31は、医師が、介入器具10を押したり引いたりすることと、介入器具10の遠位先端を偏向させることとを可能にするように適応され得る。ハンドル31は、介入器具10の遠位先端をさらなる管にナビゲートするために、管中に埋め込まれた開窓型ステントの開口を通して、さらなる管の口部を通して介入器具10の遠位先端を移動するために特に使用され得る。以下では、さらなる管は第1の管として示され、開窓型ステントが埋め込まれた管は第2の管として示される。
【0030】
介入システム1は、開窓型ステントと少なくとも第1の管とを示す介入画像データセットを提供するための介入画像データセット提供ユニット2をさらに備える。この実施形態では、介入画像データセット提供ユニット2は、異なる収集方向において2次元X線投影画像を収集するためのX線Cアームシステムである。X線Cアームシステムは、X線6を放出するためのX線源3と、患者7を通過した後のX線6を検出し、検出されたX線6に基づいて2次元X線投影画像を生成するための検出器4とを備える。X線源3と検出器4とは、制御及び処理デバイス11に提供される、異なる収集方向における2次元X線投影画像を提供するために、患者7を中心として回転可能であるCアーム5の対向端部に配置される。好ましくは、2次元X線投影画像中の少なくとも第1の管の検出可能性を向上させるために、造影剤が少なくとも第1の管に注入される。
【0031】
介入システム1は、提供された介入画像データセットに基づいて、埋め込まれた物体開口モデル、すなわち開窓型ステントの開窓のモデルを生成するためのモデル生成ユニット29をさらに備え、埋め込まれた物体開口モデルは、基準系における埋め込まれた物体の開口の位置、形状及び寸法を定義する。好ましくは、開窓型ステントは、開窓型ステントの開口を囲むマーカーを備え、マーカーは、2次元X線投影画像において比較的容易に検出可能であるように適応される。例えば、好ましくは金属である3つ又はそれ以上のマーカーが、開窓型ステントの開口の周りに配置される。マーカーは、好ましくは、開窓型ステントの開口の周りに等距離に分散される。
【0032】
モデル生成ユニット29は、異なる収集方向において収集された異なる2次元X線投影画像中の開窓型ステントの開口を囲む、すなわち開窓を囲むマーカーを検出し、それによって、異なる2次元X線投影画像中のマーカーの2次元位置を決定するように適応され得る。マーカーのこれらの2次元位置は、既知の位置特定技法を使用することによってマーカーの3次元位置を決定するためにモデル生成ユニット29によって使用され得、既知の位置特定技法は、例えば、それぞれの2次元X線投影画像中のそれぞれのマーカーのそれぞれの2次元位置とX線源のそれぞれの位置とによって定義される光線の交点に基づく。マーカーの3次元位置が決定された後、埋め込まれた物体開口モデルを生成するために、円、又は開窓が別の形状を有する場合、別の物体が、マーカーの3次元位置に適合され得る。埋め込まれた物体開口モデルは、すなわち、例えば、あらかじめ定義された又は選択可能なライン幅及び/或いは色を有する、あらかじめ定義された又は選択可能な外観を有することができる。
【0033】
別の実施形態では、モデル生成ユニット29は、別のやり方で、埋め込まれた物体開口モデルを生成するように適応される。例えば、開窓型ステントの開口を囲むマーカーを使用する代わりに、それぞれの2次元X線投影画像中の開窓型ステントの開口の2次元寸法及び位置を決定するために、2次元X線投影画像中の開窓型ステントの開口を直接セグメント化するように適応されたセグメンテーションアルゴリズムが使用され、同じく、異なる2次元X線投影画像中の開窓型ステントの開口のこれらの2次元寸法及び位置が、埋め込まれた物体開口モデル21を生成するために使用され得る。
【0034】
特に、マーカーのような要素の3次元位置を決定するために、2次元X線投影画像のペアと、オプションで1つ又は複数のさらなる2次元X線投影画像とが使用され、これらの2次元X線投影画像の各々はその要素の投影を示す。ペアの2次元X線投影画像は、異なる収集方向において収集されており、これらの収集方向間の角度差は、好ましくは少なくとも30度である。各2次元X線投影画像において、要素の、すなわち要素の投影の位置が識別され、これらの位置は、各2次元X線投影画像について、それぞれの要素投影がその上に位置する3次元での対応する投影ラインを定義するために、既知の収集幾何学とともに使用される。これらの投影ラインの交点が要素の3次元位置を定義する。例えば、収集幾何学を定義するデータの不正確さのために、又は異なる2次元X線投影画像の収集間の患者の動きのために、投影ラインが交差しない場合、投影ラインに最も近接した3次元位置が、要素の3次元位置を定義するものと決定され得る。2次元X線投影画像中の要素を検出するために、既知の検出技法が使用され得る。一実施形態では、要素は、2次元X線投影画像のうちの一方において検出され、投影画像中の検出された要素は、3次元での対応する投影ラインを定義するために、収集幾何学とともに使用される。2次元X線投影画像のペアの他方において、要素のカウンターパート投影が、ペアリング動作を使用することによって検出され得、このペアリング動作は、エピポーラ幾何学を使用することによって、及び類似度基準に頼ることによって実現され得る。2次元X線投影画像は、マーカーの3次元位置を決定するために使用され得る。ただし、2次元X線投影画像は、もちろん、2次元X線投影画像において検出される2つの管間の分岐点のような他の要素の3次元位置を決定するためにも使用され得る。このようにして、管の口部の3次元位置が決定され得る。
【0035】
埋め込まれた物体開口モデル21を生成するために、造影剤が注入された後に収集された介入画像が使用され、及び/又は造影剤を注入することなしに収集された介入画像が使用される。後者の場合、造影剤による妨害がより少ないので、開窓型ステントの開口の、特に開窓型ステントの開口を囲むマーカーの、検出可能性が改善される。
【0036】
モデル生成29は、提供された介入画像データセットに基づいて、第1の管の開口の、すなわち第1の管の口部のモデルを生成するようにさらに適応される。この管開口モデルを生成するために、モデル生成ユニット29は、造影剤が第1及び第2の管中に存在するように造影剤が注入された後に、異なる収集方向において生成された2次元X線投影画像を好ましくは使用する。モデル生成ユニット29は、それぞれの2次元X線投影画像中の第1及び第2の管の2次元寸法及び位置を決定するために、異なる2次元X線投影画像中の第1及び第2の管をセグメント化するように好ましくは適応され、異なる2次元X線投影画像中のこれらの決定された2次元寸法及び位置は、既知の技法を使用することによって、第1及び第2の管の3次元寸法及び位置を決定するために使用され得、既知の技法は、例えば、それぞれの2次元X線投影画像中のそれぞれの2次元寸法及び位置と、X線源のそれぞれの3次元位置とによって定義される光線間の交点に基づく。モデル生成ユニット29は、第1の管と第2の管とが接続される接続エリアを決定するようにさらに適応され、接続エリアの円周は3次元管開口モデルを定義することができる。他の実施形態では、提供された介入画像データセットに基づいて第1の管の口部のモデルを生成するために他の技法が使用され得る。例えば、口部は、2次元X線投影画像中の口部の2次元寸法及び位置を決定するために、2次元X線投影画像において直接セグメント化され、口部の3次元モデルは、既知の技法を使用することによって、決定された2次元寸法及び位置に基づいて決定され、既知の技法は、例えば、それぞれの2次元X線投影画像中のそれぞれの2次元寸法及び位置と、X線源のそれぞれの3次元位置とによって定義される光線間の交点に基づく。
【0037】
モデル生成ユニット29は、管開口モデルが、少なくとも第1の管の口部と、好ましくはまた第1の管の隣接部分とをモデル化するように、管開口モデルを生成するように適応される。第1の管の隣接部分、すなわち口部に隣接する第1の管の部分は、それぞれの2次元X線投影画像において検出された第1の管の2次元寸法及び位置とエピポーラ幾何学とに基づいて決定され得る。
【0038】
介入システム1は、介入器具10の位置を提供するための位置提供ユニット12をさらに備える。この実施形態では、介入器具10は、光学形状検知による介入器具10の位置の決定を可能にするために使用可能にされる。特に、介入器具10は、ブラッグ格子をもつ光ファイバーを備え、位置提供ユニット12は、光を光ファイバーに放出するための光源と、光ファイバーから受信された光を検出するための光検出器とを備え、検出された光は、介入器具10の3次元形状とこの形状の3次元位置とを決定するために使用される。光学形状検知技術は、米国特許出願公開第2006/0013523A1号及び第2007/0065077A1号に記載されており、米国特許出願公開第US2008/0285909A1号において医療機器(例えば、ガイドワイヤ及びカテーテル)への統合のために提案されている。光学形状検知技法は、FORS(Fiber-Optic RealShape)技法と呼ばれることがある。
【0039】
モデル生成ユニット29は、開窓型ステントの開窓のモデル及び/又は第1の管の口部のモデルを生成するために介入器具10の既知の位置を使用するように適応され得る。ユーザは、開窓のモデルの及び/又は口部のモデルの生成がいつ開始すべきかを入力ユニット32を介して示し、ユーザは、例えば、介入器具の先端と、開窓を囲むマーカーとを示す2次元X線投影画像に基づいて、その先端がユーザによって認識可能なように開口に近接したとき、この指示を提供する。特に、ユーザが、モデリングプロセスが開始されるべきであることを示した場合、及びモデル生成ユニット29が、2次元X線投影画像中の1つ又は複数の管のセグメンテーションに基づいて管開口モデルを生成するように適応された場合、対応するセグメンテーションアルゴリズムの適用は、それぞれの2次元X線投影画像の撮像平面上への提供された介入器具の位置の仮想投影を囲む領域に限定され、それによって、所望の構造の、より速く、おそらくより正確なセグメンテーションが可能になる。また、例えば、埋め込まれた物体の開口を囲むマーカーをセグメント化することによる、埋め込まれた物体の開口のセグメンテーションは、提供された介入器具の位置の仮想投影を囲む領域に限定され得る。提供された介入器具の位置の仮想投影を囲む領域は、あらかじめ定義された又は選択可能な直径を有することができ、この領域は、円形又は球状であり、介入器具の、特にそれの遠位先端の既知の投影された位置は、この領域の中心にある。その上、埋め込まれた物体の開口を囲むマーカーの位置が、2次元X線投影画像においてすでに決定されている場合、2次元X線投影画像中の管の少なくとも一部分の位置、寸法及び形状を決定するための、管の少なくとも一部分のセグメンテーションは、マーカーの決定された位置を囲む領域に限定され得る。
【0040】
モデル生成ユニット29は、モデルを生成するために、介入、すなわち術中画像データのみを使用し、プレ介入画像データを使用しないように好ましくは適応される。
【0041】
介入画像データセット提供ユニット2と位置提供ユニット12とは、すなわちX線Cアームシステムと光学形状検知追跡システムとは、既知の位置合わせ技法を使用することによって互いに位置合わせされ、したがって、位置提供ユニット12によって提供される介入器具10の位置は、介入画像データセット提供ユニット2によって定義された座標系に関して知られる。
【0042】
介入画像データセット提供ユニット2は、介入画像データセットが、造影剤なしの開窓型ステントを示す第1の介入画像と、造影剤ありの開窓型ステントと第1及び第2の管とを示す第2の介入画像とを備えるように、介入画像データセットを提供するように適応され得、モデル生成ユニット29は、第1の介入画像に基づいて開窓型ステントの開窓のモデルを生成することと、第2の介入画像に基づいて第1の管の口部のモデルを生成することとを行うように適合され、第1の介入画像と第2の介入画像とは、同じ介入画像データセット提供ユニット2を使用することによって収集されることによって互いに位置合わせされる。
【0043】
介入システム1は、介入器具10を、開窓型ステントの開窓を通して、第1の管の口部を通して移動するために介入器具10がそれに沿って可動である経路を決定するための経路決定ユニット30をさらに備え、経路決定ユニット30は、開窓型ステントの開窓の生成されたモデルと、第1の管の口部の生成されたモデルと、提供された介入器具10の位置とに基づいて経路を決定するように適応される。
【0044】
介入システム1は、埋め込まれた物体開口モデル21と、管開口40、すなわち口部を示す管開口モデル27及び隣接する部分28と、提供された介入器具の遠位端の位置及び形状25と、決定された経路26とを含むグラフィカル表現を生成するためのグラフィカル表現生成ユニット34をさらに備える。グラフィカル表現は、
図2に概略的に及び例示的に示されているマーカー24をオプションでさらに含むことができる。グラフィカル表現はディスプレイ33上に表示され得る。
【0045】
入力ユニット32は、ユーザがデータ、情報、指示などを介入システム1に入力することを可能にする。例えば、入力32は、ユーザが、モデルの生成のために使用されるべき介入画像データセットがいつ収集されるべきかを示すことを可能にするために使用される。ユーザは、介入器具の遠位端がステントの開窓に近接した、及び/又は第1の管の口部に近接したとき、この指示を提供する。入力ユニット32は、ユーザが、ナビゲーション支援、すなわちグラフィカル表現の生成及び表示を開始又は停止すべきであることを示すことを可能にするためにも使用される。入力ユニット32は、例えば、キーボード、コンピュータマウス、タッチパッド、フットスイッチ、手で作動されるべきボタンなどを備える。
【0046】
介入画像データセット提供ユニット、位置提供ユニット、モデル生成ユニット、グラフィカル表現生成ユニット及び経路決定ユニットは、第1の管の口部と、開窓型ステントの開窓と、介入器具の遠位端の現在のリアルタイム位置との間の空間関係の表現と、また最適経路の表現とを最終的に提供するように適応されるので、これらの構成要素は、患者内で介入器具をナビゲートするのを支援するためのナビゲーション支援システムの構成要素であると見なされ得る。
【0047】
以下では、対象者内で介入器具をナビゲートするのを支援するためのナビゲーション支援方法の一実施形態について、
図3に示されているフローチャートを参照しながら例示的に説明する。
【0048】
ステップ101において、介入器具10が患者7に導入され、介入器具10の遠位先端が、開窓型ステントの開窓に、及び/又は第1の管の口部に近接するように移動される。この移動中に、介入画像データセット提供ユニット2は、介入器具10をナビゲートする医師に何らか案内を提供するために、ディスプレイ33上に示され得る介入画像、特に2次元X線投影画像を提供することができる。
【0049】
介入器具10の遠位先端が、開窓型ステントの開窓に近接するように、及び/又は第1の管の口部に近接するように移動された後、ステップ102において、介入画像データセット提供ユニット2は、少なくとも第1の管と開窓型ステントとを示す介入画像データセットを提供する。介入画像データセットは、介入画像データセットにおける第1の管の簡略化された検出を可能にするために、造影剤画像を備えることができる。
【0050】
ステップ103において、提供された介入画像データセットは、介入画像データセットに基づいて、埋め込まれた物体開口モデルを生成するために、及び管開口モデルを生成するために、モデル生成ユニット29によって使用される。さらに、経路決定ユニット30は、生成された埋め込まれた開口モデルと、生成された管開口モデルと、介入器具10の現在の位置とに基づいて、介入器具10を、開窓型ステントの開窓を通して、第1の管の口部を通して移動するために介入器具10がそれに沿って可動である経路を決定する。
【0051】
ステップ104において、管開口モデルと、埋め込まれた物体開口モデルと、介入器具の決定された経路及び現在の位置との空間関係を視覚化するために、それらを備えるグラフィカル表現が生成され、表示される。好ましくは、介入器具10の位置と、とりわけ介入器具10の現在の位置を考慮する、経路の決定とは連続的に更新され、介入器具10の更新された位置及び更新された経路は、医師が介入器具10の移動を監視することを可能にすることと、介入器具10の現在のリアルタイム位置を考慮する最適経路を常に示すこととのために、ディスプレイ33上にステップ103において決定されたモデルとともに示される。
【0052】
一実施形態では、グラフィカル表現生成ユニット34は、埋め込まれた物体開口モデル21と、管開口モデル27と、介入器具10の決定された経路26並びに提供された位置及び形状25とがどのように提示されるべきかを定義する表現パラメータに従ってグラフィカル表現を生成するように適応され、表現パラメータは、提供された介入器具の位置に依存する。例えば、表現パラメータは、グラフィカル表現のサイズ、したがって倍率、及び/又は閲覧方向を定義することができる。特に、表現パラメータは、グラフィカル表現が、異なる要素を、横方向ビューで表現すべきであるのか、ブルズアイビューで表現すべきであるのかを定義することができる。表現パラメータは、a)介入器具の位置と、b)埋め込まれた物体の開口の位置及び/又は管の開口の位置との間の距離に依存することがある。例えば、この距離がより大きい場合、異なる要素のサイズはより小さく、すなわち倍率はより小さく、この距離がより小さい場合、異なる要素のサイズはより大きく、すなわち倍率はより大きい。その上、この距離がより大きい場合、横方向ビューが示され、この距離がより小さい場合、ブルズアイビューが示される。また、横方向ビューが常に示され、距離が、あらかじめ定義された又は選択可能なしきい値よりも小さい場合のみ、ブルズアイビューが示されることが可能である。さらに、一実施形態では、両方のビュー又は複数の他のビューが、介入器具の位置とは無関係に示され、倍率のみが距離に応じて変更される。
【0053】
介入システムは、EVAR処置において使用されるように適応され得る。このEVAR処置中に、開窓型ステントが、ステントの開窓が分岐動脈の口部と整合されるように大動脈中に埋め込まれる。開窓型ステントが、開窓が分岐動脈の口部と整合されるように大動脈中に埋め込まれた後、埋め込まれたステントの開窓を通して、口部を通して、介入器具を分岐動脈にナビゲートすることが必要とされ、ゲートであるとも見なされる埋め込まれたステントの開窓と口部との間の整合は、必ずしも十分に整合されるとは限らない。
【0054】
副腎動脈瘤の場合、開窓型ステントは、ステントの開口、すなわち開窓が、
図4に概略的に及び例示的に示すように腎臓口部の前に少なくとも概して位置するように、埋め込まれる。特に、
図4は、大動脈13から分岐する腎動脈14、15の腎臓口部17、20と整合された開口18、19をもつステントグラフト16を示す。血管内大動脈瘤の治療を完了するために、また腎動脈14、15は、ステント22、23を使用することによって広げられる必要がある。第1の管であると見なされる腎動脈14を広げるために、大動脈13中に挿入されたワイヤが腎動脈14中にスレッディングされる。このスレッディングは、ゲート、すなわち開窓19と腎臓口部20とによって構成される二重の困難を通してのステアリングを必要とする。概して、そのようなステアリングは、少なくともゲートを示す2次元X線投影画像の案内の下で達成される。しかしながら、2次元X線投影画像に基づいて、ゲートと場合によっては不整合な動脈口部とを通して3次元経路を見つけることは、極めて困難である。その複合同時ゲート及び口部ワイヤリングを容易にするために、ナビゲーション支援システムは、開窓複合体のモデリング、すなわち、埋め込まれた物体開口モデルであると見なされるゲートのモデリングと、ターゲットにされる管のモデリング、すなわち、少なくとも口部を含み、したがって、管開口モデルであるとも見なされる、ターゲットにされる管のアナトミーのモデリングと、スレッディングされたシステムの、すなわち、この例では介入器具であるワイヤのライブ追跡された位置とである少なくとも3つの主要な要素を含んでいる仮想ナビゲーションビュー、すなわちグラフィカル表現を作成し、例えば、ワイヤの先端と先端に隣接する部分とを表現する曲線又はシルエットが示される。好ましくは、ゲートとアナトミーとの両方のモデリングは、極めて遅い段階において、すなわちゲート通過の直前に行われ、したがって、特に、ステント本体であるとも見なされる、すでに実装されたステントの展開によって生じた動きがすでに考慮されているので、ゲートと、口部と、オプションでまた腎動脈のさらなる部分との寸法及び位置が極めて正確に決定され得る。ワイヤは、例えば、光学形状検知を使用することによってリアルタイムで追跡されるので、仮想ナビゲーションビューは、非常に有用で精密なステアリング設備を構成する。
【0055】
介入画像データセット提供ユニットは、腎動脈と、大動脈と、開窓ワイヤリングより前の埋め込まれたステントとを示す少なくとも2つの血管造影図を備える介入画像データセットを提供するように適応され得、少なくとも2つの血管造影図は、別個の角形成の下で、すなわち異なる収集方向において好ましくは収集される。提供された介入画像データセットは、造影剤なしである血管造影図と、検査されるべき患者中に造影剤が存在する間に収集された血管造影図とを備える。造影剤は、造影剤の影響を限定するために、超選択的なやり方で注入され、すなわち、造影剤は、管をターゲットにするやり方で注入される。例えば、それぞれの側面分岐、すなわちそれぞれの動脈がターゲットにされ、選択的に注入され得る。特に、腎動脈及び内腸骨動脈がターゲットにされ、選択的に注入される。位置提供ユニットは、同じく腎動脈を広げるために使用されるべきワイヤのライブ位置特定を提供するように適応され得る。したがって、位置提供ユニットは、正確なライブ3次元ワイヤ追跡を提供するように適応され得、ワイヤの遠位部分を表現する曲線を仮想ビュー中に組み込むために、好ましくは光学形状検知が使用される。別の実施形態において、ワイヤの先端のみが追跡される、電磁追跡のような別の追跡技法が使用される場合、ワイヤの先端の位置のみが仮想ビュー中に組み込まれる。
【0056】
造影剤の超選択的注入を実行するために、光学形状検知によるカテーテルの位置及び形状の決定を可能にするために、光学形状検知技術を装備したカテーテルが使用される。
【0057】
モデル生成ユニットは、埋め込まれた物体開口モデルを生成するように適応され、このモデルのこの生成はゲートモデリングとも見なされる。一実施形態では、このゲートモデリングは、角形成と古典的モデリングとの両方の下で検出されるゲートマーカー、すなわちそれぞれの開窓を囲むマーカーから達成される。ただし、このゲートモデリングは、好ましくは、位置特定されたデバイス、すなわち介入器具がゲートに近接して位置するときのみ、開始される。これは、ステント本体の残部によって生成されるクラッター物質(cluttered material)からのゲートマーカーの区別を容易にすることができる。また、造影剤なしの画像においてマーカー検出を開始し、この検出を、造影剤を使用することによって収集された画像に伝播することが可能である。別の代替形態は、ゲートマーカーを位置特定するために造影剤の注入に依拠することである。特に、光学形状検知技術を装備したカテーテルが、造影剤をターゲットにされる管に超選択的に注入するために使用される場合、マーカー検出が実行されるべきである画像中の関心領域を定義するために、カテーテルの位置が使用され得る。カテーテルはまた、マーカー検出が実行されるべきである画像中の領域を定義するために、対応するセグメンテーションアルゴリズムを使用することによって、それぞれの画像において直接検出され得る。この領域はまた、好ましくはX線投影画像であるそれぞれの画像上でユーザによって手動で示され得る。関心領域又は限定領域であると見なされ、マーカー検出がそこに限定される、この領域はまた、腎動脈を広げるために使用されるべきワイヤの位置を使用することによって決定される。
【0058】
モデル生成ユニットは管モデリングを実行することができ、すなわち、モデル生成ユニットは、この場合、開口に隣接する管の一部分をも表現する、管開口モデルを生成することができる。管モデリングは、少なくとも2つのビュー中の、すなわち、2つの収集方向において収集された少なくとも2つの2次元X線投影画像中の管セグメンテーションを使用することによって、及び古典的モデリング技法を使用することによって、すなわち、例えば、エピポーラ幾何学を使用することによって実行される。口部及び口部セグメントのみがモデル化されるので、口部を介して接続された2つの管のペアリングが追跡される。口部自体が、ペアリングのための良好なアンカーポイントである。この場合も、近くの位置特定されたデバイスの、例えば、位置特定されたワイヤ、又は超選択的注入のために使用される位置特定されたカテーテルの存在が、画像中の局所管セグメンテーションを容易にするために使用され得る。代替的に又は追加として、また、前のゲート検出に依拠することが可能である。
【0059】
視覚ナビゲーションビューを作成するために、ライブデバイス位置特定、すなわち、例えば、カテーテル、ガイドワイヤなどである介入器具の位置のライブ提供は、モデル化されたゲート及びモデル化された管とマージされ得る。ゲートと、口部を含む管と、介入器具とに関する得られた3次元情報は、最適スレッディングのための最適経路を算出するために使用され得る。
【0060】
介入システムは、介入スイート、ハイブリッド室、及びX線システムをもつカテーテル研究室において適用される。
【0061】
介入器具の位置は、好ましくは、介入器具をモデル化するモデルを使用せずにディスプレイ上に示される。光学形状検知によって提供される曲線はディスプレイ上に直接示される。
【0062】
開示した実施形態の他の変形形態が、請求される本発明を実施する際に当業者によって図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の検討により理解され、実施され得る。
【0063】
特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という単語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は複数を除外しない。
【0064】
単一ユニット又はデバイスは、特許請求の範囲に記載されたいくつかの品目の機能を果たす。いくつかの方策が、相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの方策の組合せが有利に使用され得ないことを示さない。
【0065】
1つ又は複数のユニット又はデバイスによって実行される、介入画像データセットの提供、介入器具の位置の提供、モデルの生成、経路の決定などのようなプロシージャは、任意の他の数のユニット又はデバイスによって実行され得る。ナビゲーション支援方法によるナビゲーション支援システムのこれらのプロシージャ及び/又は制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として及び/又は専用ハードウェアとして実装され得る。
【0066】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又はそれの一部として供給される、光記憶媒体又はソリッドステート媒体など、好適な媒体上に記憶/配信されるが、インターネット或いは他のワイヤード又はワイヤレス電気通信システムを介してなど、他の形態でも配信される。
【0067】
特許請求の範囲中のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0068】
本発明は、対象者内で介入器具をナビゲートするのを支援するためのナビゲーション支援システムに関する。埋め込まれた物体開口モデルと管開口モデルとが、提供された介入画像データセットに基づいて生成され、それらのモデルは、基準系におけるそれぞれの位置、形状及び寸法を定義する。これらのモデルと、介入器具の、同じく基準系において提供される位置及びオプションでまた形状とが、埋め込まれた物体開口モデルと、管開口モデルと、提供された介入器具の位置及びオプションで形状とを示すグラフィカル表現を生成するために使用され、それによって医師に案内を提供し、これは、介入器具が、埋め込まれた物体の開口を通して、管の開口を通して移動されるように、医師が介入器具を比較的容易にナビゲートすることを可能にする。