(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】電磁アクチュエータ及び立消え安全装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20230621BHJP
H01F 7/127 20060101ALI20230621BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20230621BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
F16K31/06 305C
H01F7/16 Q
H01F7/16 E
H01F7/16 R
F24C3/12 N
(21)【出願番号】P 2019043897
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】立野 隆
(72)【発明者】
【氏名】奥寺 太一
(72)【発明者】
【氏名】村上 啓人
(72)【発明者】
【氏名】菅原 利光
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01063474(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01666796(EP,A1)
【文献】登録実用新案第3192830(JP,U)
【文献】特開2014-075962(JP,A)
【文献】特開2005-110385(JP,A)
【文献】特開2009-14132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
H01F 7/127
H01F 7/16
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動鉄心と、
前記可動鉄心に対向
する端面をそれぞれ有する第1腕部及び第2腕部、前記第1腕部及び第2腕部を連結する連結底部,前記連結底部の一側部及び他側部にそれぞれ形成された第1切欠き部及び第2切欠き部を含む固定鉄心と、
前記可動鉄心を前記固定鉄心から離す方向に付勢する付勢バネと、
前記可動鉄心を移動自在に支持しかつ前記固定鉄心を固定して収容するハウジングと、
前記第1切欠き部と対向して配置され前記ハウジングから突出する第1ピン状端子と、
前記第2切欠き部と対向して配置され前記ハウジングから突出する第2ピン状端子と、
前記固定鉄心の周りに配置され,一端側が前記第1切欠き部を通して前記第1ピン状端子に接続された第1コイルと、
前記固定鉄心の周りに配置され,一端側が前記第2切欠き部を通して前記第2ピン状端子に接続された第2コイルと、
を含む、電磁アクチュエータ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記可動鉄心を移動自在に支持する筒状ケースと、前記筒状ケースが連結されると共に前記固定鉄心を固定する固定ホルダを含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項3】
前記固定ホルダは、導電性材料により形成され、
前記第1コイルの他端側及び前記第2コイルの他端側は、前記固定ホルダに接続されている、
ことを特徴とする請求項
2に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項4】
前記第1コイルは、ボビンを介して前記第1腕部の周りに配置された細線であり、
前記第2コイルは、前記第2腕部の周りに直接配置され、前記第1コイルよりも線径が太い太線である、
ことを特徴とする請求項
3に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項5】
前記ボビンは、前記第2腕部の周りに配置された前記第2コイルを押え込む押え部を含む、
ことを特徴とする請求項
4に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項6】
前記ボビンは、前記第1コイルの一端側を接続する一端側端子部材と、前記第1コイルの他端側を接続する他端側端子部材を含み、
前記第1コイルの一端側は、前記一端側端子部材を介して前記第1ピン状端子に接続され、
前記第1コイルの他端側は、前記他端側端子部材を介して前記固定ホルダに接続されている、
ことを特徴とする請求項
4又は5に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項7】
前記ボビンは、前記一端側端子部材を嵌合して固定する第1嵌合溝と、前記他端側端子部材を嵌合して固定する第2嵌合溝を含む、
ことを特徴とする請求項
6に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項8】
前記第1嵌合溝及び第2嵌合溝は、前記ボビンにおいて同一の方向に開口するように形成されている、
ことを特徴とする請求項
7に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項9】
前記一端側端子部材は、前記第1コイルの一端側を接合する平坦接合部を含み、
前記他端側端子部材は、前記第1コイルの他端側を接合する平坦接合部を含む、
ことを特徴とする請求項
6ないし8いずれか一つに記載の電磁アクチュエータ。
【請求項10】
前記固定ホルダは、前記一端側端子部材を通す第1貫通孔と、前記第2コイルの一端側を画定する直線伸長部を通す第2貫通孔を含む、
ことを特徴とする請求項
6ないし9いずれか一つに記載の電磁アクチュエータ。
【請求項11】
前記第1ピン状端子及び第2ピン状端子の中間領域を保持するべく樹脂材料により形成された保持部材を含み、
前記固定ホルダは、前記保持部材を嵌合させる嵌合凹部を含む、
ことを特徴とする請求項
10に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項12】
前記固定ホルダは、前記第1ピン状端子を受け入れる第1凹部と、前記第2ピン状端子を受け入れる第2凹部を含み、
前記第1ピン状端子と前記第1凹部の間には、第1シール部材が配置され、
前記第2ピン状端子と前記第2凹部の間には、第2シール部材が配置されている、
ことを特徴とする請求項
11に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項13】
前記固定ホルダに嵌合して固定されると共に導電性材料により形成されたフランジ部材を含む、
ことを特徴とする請求項
2ないし12いずれか一つに記載の電磁アクチュエータ。
【請求項14】
前記可動鉄心と一体的に移動すると共に流体の通路を開閉する弁体を含む、
ことを特徴とする請求項
2ないし13いずれか一つに記載の電磁アクチュエータ。
【請求項15】
前記固定ホルダは、前記第1ピン状端子及び第2ピン状端子の周りに画定される雄型コネクタを含む、
ことを特徴とする請求項
14に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項16】
ガスコンロの立消え時にガスの供給を遮断する立消え安全装置であって、
請求項
15に記載の電磁アクチュエータと、
前記電磁アクチュエータの雄型コネクタに接続される雌型コネクタを含む熱電対ユニットと、を含む、
ことを特徴とする立消え安全装置。
【請求項17】
前記熱電対ユニットは、前記第1ピン状端子に嵌合される第1雌型端子と、前記第2ピン状端子に嵌合される第2雌型端子と、乾電池に接続されるべく前記第1雌型端子から伸長する第1ケーブルと、熱電対と、前記第2雌型端子と前記熱電対を接続する第2ケーブルと、前記固定ホルダと同一電位に接続されるべく前記熱電対から伸長する第3ケーブルとを含む、
ことを特徴とする請求項
16に記載の立消え安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁力により駆動を生じる電磁アクチュエータに関し、特に、ガスコンロ等の立消え安全装置に適用される電磁アクチュエータ及び立消え安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガスコンロ等において、立消え安全装置の電磁アクチュエータとしては、可動鉄芯に対向して配置されたU字状の固定鉄心、固定鉄心の周りに巻回された励磁用のコイル、固定鉄心を固定するホルダ、ホルダの内筒部に装着された筒状のピン状端子、ホルダの外筒部に固定された円筒状の筒状端子を備えたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この電磁アクチュエータにおいては、固定鉄心に対して一つのコイルが配置され、コイルの一端側の直線的に伸長する伸長部が、固定鉄心の中央を貫通する貫通孔を通してピン状端子の内部に導かれ、ピン状端子の先端部と電気的に接続されている。
【0004】
上記従来の電磁アクチュエータにおいては、一つのコイル及び一つのピン状端子を採用するものであるが、二つのコイル及び二つのピン状端子を採用する場合、二つのコイルの一端側の二つの伸長部を固定鉄心の貫通孔に通すのは容易ではなく、組付け作業の複雑化、大型化等を招く虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、固定鉄心に二つのコイルを設けることを前提として、組付作業の容易化、小型化等を図れる電磁アクチュエータ及びそれを用いた立消え安全装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電磁アクチュエータは、可動鉄心と、可動鉄心に対向する端面をそれぞれ有する第1腕部及び第2腕部、第1腕部及び第2腕部を連結する連結底部,連結底部の一側部及び他側部にそれぞれ形成された第1切欠き部及び第2切欠き部を含む固定鉄心と、可動鉄心を固定鉄心から離す方向に付勢する付勢バネと、可動鉄心を移動自在に支持しかつ固定鉄心を固定して収容するハウジングと、第1切欠き部と対向して配置されハウジングから突出する第1ピン状端子と、第2切欠き部と対向して配置されハウジングから突出する第2ピン状端子と、固定鉄心の周りに配置され一端側が第1切欠き部を通して第1ピン状端子に接続された第1コイルと、固定鉄心の周りに配置され一端側が第2切欠き部を通して第2ピン状端子に接続された第2コイルとを含む、構成となっている。
【0009】
上記電磁アクチュエータにおいて、ハウジングは、可動鉄心を移動自在に支持する筒状ケースと、筒状ケースが連結されると共に固定鉄心を固定する固定ホルダを含む、構成を採用してもよい。
【0010】
上記電磁アクチュエータにおいて、固定ホルダは、導電性材料により形成され、第1コイルの他端側及び第2コイルの他端側は、固定ホルダに接続されている、構成を採用してもよい。
【0011】
上記電磁アクチュエータにおいて、第1コイルは、ボビンを介して第1腕部の周りに配置された細線であり、第2コイルは、第2腕部の周りに直接配置され第1コイルよりも線径が太い太線である、構成を採用してもよい。
【0012】
上記電磁アクチュエータにおいて、ボビンは、第2腕部の周りに配置された第2コイルを押え込む押え部を含む、構成を採用してもよい。
【0013】
上記電磁アクチュエータにおいて、ボビンは、第1コイルの一端側を接続する一端側端子部材と、第1コイルの他端側を接続する他端側端子部材を含み、第1コイルの一端側は、一端側端子部材を介して第1ピン状端子に接続され、第1コイルの他端側は、他端側端子部材を介して固定ホルダに接続されている、構成を採用してもよい。
【0014】
上記電磁アクチュエータにおいて、ボビンは、一端側端子部材を嵌合して固定する第1嵌合溝と、他端側端子部材を嵌合して固定する第2嵌合溝を含む、構成を採用してもよい。
【0015】
上記電磁アクチュエータにおいて、第1嵌合溝及び第2嵌合溝は、ボビンにおいて、同一の方向に開口するように形成されている、構成を採用してもよい。
【0016】
上記電磁アクチュエータにおいて、一端側端子部材は、第1コイルの一端側を接合する平坦接合部を含み、他端側端子部材は、第1コイルの他端側を接合する平坦接合部を含む、構成を採用してもよい。
【0017】
上記電磁アクチュエータにおいて、固定ホルダは、一端側端子部材を通す第1貫通孔と、第2コイルの一端側を画定する直線伸長部を通す第2貫通孔を含む、構成を採用してもよい。
【0018】
上記電磁アクチュエータにおいて、第1ピン状端子及び第2ピン状端子の中間領域を保持するべく樹脂材料により形成された保持部材を含み、固定ホルダは、保持部材を嵌合させる嵌合凹部を含む、構成を採用してもよい。
【0019】
上記電磁アクチュエータにおいて、固定ホルダは、第1ピン状端子を受け入れる第1凹部と、第2ピン状端子を受け入れる第2凹部を含み、第1ピン状端子と第1凹部の間には、第1シール部材が配置され、第2ピン状端子と第2凹部の間には、第2シール部材が配置されている、構成を採用してもよい。
【0020】
上記電磁アクチュエータにおいて、固定ホルダに嵌合して固定されると共に導電性材料により形成されたフランジ部材を含む、構成を採用してもよい。
【0021】
上記電磁アクチュエータにおいて、可動鉄心と一体的に移動すると共に流体の通路を開閉する弁体を含む、構成を採用してもよい。
【0022】
上記電磁アクチュエータにおいて、固定ホルダは、第1ピン状端子及び第2ピン状端子の周りに画定される雄型コネクタを含む、構成を採用してもよい。
【0023】
本発明の立消え安全装置は、ガスコンロの立消え時にガスの供給を遮断する立消え安全装置であって、上記弁体及び雄型コネクタを含みかつ上記構成のいずれかをなす電磁アクチュエータと、電磁アクチュエータの雄型コネクタに接続される雌型コネクタを含む熱電対ユニットとを含む、構成となっている。
【0024】
上記立消え安全装置において、熱電対ユニットは、第1ピン状端子に嵌合される第1雌型端子と、第2ピン状端子に嵌合される第2雌型端子と、乾電池に接続されるべく第1雌型端子から伸長する第1ケーブルと、熱電対と、第2雌型端子と熱電対を接続する第2ケーブルと、固定ホルダと同一電位に接続されるべく熱電対から伸長する第3ケーブルとを含む、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0025】
上記構成をなす電磁アクチュエータ及び立消え安全装置によれば、組付作業の容易化、小型化等を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る電磁アクチュエータを備えた立消え安全装置が適用されるガスコンロの一実施形態を示すシステム図である。
【
図2】本発明に係る電磁アクチュエータを示す外観斜視図である。
【
図3】本発明に係る立消え安全装置に含まれる熱電対ユニットを示す外観斜視図である。
【
図4】
図2に示す電磁アクチュエータの軸線と平行な面における断面図である。
【
図5】
図2に示す電磁アクチュエータの軸線を通る断面図である。
【
図6】
図2に示す電磁アクチュエータにおいて、ハウジングの一部をなす筒状ケース及びフランジ部材を取り除いた構成部品の斜視図である。
【
図7】
図6に示す構成部品の軸線を通る断面図である。
【
図8】
図6に示す構成部品をボビンの側から視た分解斜視図である。
【
図9】
図6に示す構成部品を第1ピン状端子及び第2ピン状端子の側から視た分解斜視図である。
【
図10】
図2に示す電磁アクチュエータに含まれるボビンと、ボビンに嵌合して取り付けられる一端側端子部材及び他端側端子部材を示す分解斜視図である。
【
図11】
図2に示す電磁アクチュエータに含まれるボビンに対して、一端側端子部材及び他端側端子部材並びに第1コイルが組み付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明に係る立消え安全装置Mは、例えば、ガスコンロに適用されるものであり、
図1に示すように、電磁アクチュエータAと、電磁アクチュエータAに着脱自在に連結される熱電対ユニットUを備えている。
電磁アクチュエータAは、ガスコンロのガスコックボデー1に取り付けられ、その弁体50がガス通路1aを開閉するように配置される。
ここで、ガスコックボデー1は、基準電位(ここでは、グランド)に接続される部分として機能する。
【0028】
ガスコンロに適用された立消え安全装置Mにおいて、電磁アクチュエータAは、熱電対ユニットUの第1ケーブル6が制御基板2を介して乾電池3と接続され、点火時に所定時間だけタイマー駆動されて弁体50を開弁状態に維持してガス通路1aを開放し、又、熱電対ユニットUの熱電対8の先端に位置する感熱部8cがバーナの炎4により加熱されて生じる熱起電力により弁体50を開弁状態に維持して定常燃焼時にガス通路1aを開放する。
すなわち、電磁アクチュエータAは、ガスコンロの点火時には乾電池3の電力により弁体50を開弁状態に維持し、点火後の定常燃焼時には熱電対ユニットUの熱起電力により弁体50を開弁状態に維持する、電磁弁として機能する。
尚、乾電池3は、制御基板2を介して、負極がガスコックボデー1と同一電位(グランド)に接続されている。
【0029】
熱電対ユニットUは、
図3に示すように、雌型コネクタ5、雌型コネクタ5内に配置された第1雌型端子5a及び第2雌型端子5b、第1雌型端子5aから伸長する第1ケーブル6、第2雌型端子5bから伸長する第2ケーブル7、熱電対8、熱電対8から伸長する第3ケーブル9を備えている。
【0030】
第1ケーブル6は、その先端において、制御基板2のコネクタに接続されるコネクタ6aを備えており、乾電池3と電気的に接続される。
第2ケーブル7は、第2雌型端子5bと熱電対8の棒状導体8aに接続されている。
熱電対8は、棒状導体8aと、棒状導体8aの外側に配置された筒状導体8bを備えている。棒状導体8aは、例えば、Ni,Cu,Mnの合金材料により、中実形状に形成されている。筒状導体8bは、例えば、Ni,Cr,Feの合金材料により、多段円筒状に形成されている。
そして、棒状導体8aの先端領域と筒状導体8bの先端領域が接合されて、バーナの炎4に晒される感熱部8cが形成されている。
第3ケーブル9は、熱電対8の筒状導体8bから伸長し、その先端において接続端子9aを備えている。接続端子9aは、ガスコックボデー1に対して、電磁アクチュエータAのフランジ部材150と一緒にネジで締結され、ガスコックボデー1を介して電磁アクチュエータAの固定ホルダ20と同一電位(グランド)に接続される。
【0031】
電磁アクチュエータAは、
図2、
図4、
図5に示すように、ハウジングとしての筒状ケース10及び固定ホルダ20、可動鉄心30、付勢バネ40、弁体50、固定鉄心60、ボビン70、ボビン70に嵌合された一端側端子部材81及び他端側端子部材82、第1コイル90、第2コイル100、第1ピン状端子110、第2ピン状端子120、保持部材130、第1シール部材及び第2シール部材としてのOリング140、フランジ部材150を備えている。
【0032】
筒状ケース10は、樹脂材料を用いて、
図2、
図4、
図5に示すように、軸線Sを中心とする多段円筒状に形成され、大径部11、小径部12、大径部11の端部に形成された連結爪部13、小径部12に形成されたガイド通路14、大径部11と小径部12の境界に形成されたバネ受け部15を備えている。
【0033】
連結爪部13は、固定ホルダ20の環状係合溝23にスナップフィット結合される。
ガイド通路14は、軸線Sを中心とする円筒孔として形成され、可動鉄心30のシャフト31を軸線S方向に往復動自在にガイドする。
バネ受け部15は、付勢バネ40の一端部を受ける。
【0034】
固定ホルダ20は、黄銅等の導電性材料により多段円盤状に形成され、
図7ないし
図9に示すように、固定凹部21、外周斜面部22、環状係合溝23、第1貫通孔24、第2貫通孔25、第1凹部26、第2凹部27、嵌合凹部28、鍔付き嵌合部29を備えている。
【0035】
固定凹部21は、固定鉄心60の連結底部63を収容して保持するべく、有底円筒状をなす。
外周斜面部22は、円錐面状に形成され、第1コイル90の他端側及び第2コイル100の他端側が電気的に接続される。
第1貫通孔24は、軸線Sと平行な直線L1上において固定鉄心60の第1切欠き部64と対向する位置に形成され、第1コイル90の一端側に接続された一端側端子部材81を通すべく、軸線Sと平行に伸長する円筒状をなす。
第2貫通孔25は、軸線Sと平行な直線L2上において固定鉄心60の第2切欠き部65と対向する位置に形成され、第2コイル100の一端側を画定する直線伸長部102を通すべく、軸線Sと平行に伸長する円筒状をなす。
ここでは、第1貫通孔24と第2貫通孔25とは、同一の内径及び同一の長さ寸法に形成されている。
尚、第1貫通孔24及び第2貫通孔25は、一つの大きな貫通孔として形成されてもよいが、別々に形成されることで、通路面積を小さくでき、弁体50側から入り込むガスの遮断壁を大きくすることで、シール機能を向上させることができる。
【0036】
第1凹部26は、第1貫通孔24と同軸の直線L1上に形成され、隙間をおいて、第1ピン状端子110の内側端部を受け入れるべく、軸線Sと平行に伸長する円筒状をなす。
第2凹部27は、第2貫通孔25と同軸の直線L2上に形成され、隙間をおいて、第2ピン状端子120の内側端部を受け入れるべく、軸線Sと平行に伸長する円筒状をなす。
ここでは、第1凹部26と第2凹部27とは、同一の内径及び同一の深さ寸法に形成されている。
尚、第1凹部26及び第2凹部27は、一つの大きな凹部として形成されてもよいが、別々に形成されることで、通路面積を小さくでき、弁体50側から入り込むガスの遮断壁を大きくすることで、シール機能を向上させることができる。
嵌合凹部28は、保持部材130を嵌合させるべく、軸線Sを中心とする有底円筒状をなす。そして、嵌合凹部28の外周縁部は、保持部材130が嵌合された後にカシメ処理される。
【0037】
鍔付き嵌合部29は、鍔部29a、嵌合部29b、雄型コネクタ29c、環状溝29dを画定する。
鍔部29aは、ガスコックボデー1に嵌合されると共に、嵌合部29bに嵌合されたフランジ部材150を位置決めする役割をなす。
嵌合部29bは、フランジ部材150を嵌合させて固定する役割をなす。
雄型コネクタ29cは、熱電対ユニットUの雌型コネクタ5が嵌合により連結されるべく、軸線Sを中心とする段付き円筒状をなす。
環状溝29dは、ガスコックボデー1に取り付ける際にシール用のOリングが取り付けられるべく、鍔部29aに隣接する領域に形成されている。
【0038】
可動鉄心30は、高透磁率の磁性材料を用いて、
図4及び
図5に示すように、略円板状に形成され、シャフト31を介して軸線S方向に往復動可能に筒状ケース10に支持されている。
シャフト31は、黄銅等の金属材料により円柱状に形成されて、筒状ケース10のガイド通路14に摺動自在に支持され、一端側が可動鉄心30にカシメ処理により連結されると共に他端側が弁体50に嵌合されて連結されている。
【0039】
付勢バネ40は、
図4及び
図5に示すように、圧縮型のコイルバネであり、一端部が筒状ケース10のバネ受け部15に当接し、他端部が弁体50に隣接するバネ受け部材51に当接している。そして、付勢バネ40は、軸線S方向において、可動鉄心30を固定鉄心60から離す方向に付勢する。
【0040】
弁体50は、ゴム材料等を用いて、
図4及び
図5に示すように、略円板状に形成され、バネ受け部材51を内側に配置した状態でシャフト31の他端側に嵌合して連結されている。バネ受け部材51は、付勢バネ40の他端部を受けるべく、金属材料等により円板状に形成されている。
【0041】
固定鉄心60は、高透磁率の磁性材料を用いて、
図6ないし
図9に示すように、外輪郭が軸線Sを中心とする円柱状をなすと共に軸線Sに垂直な方向から視てU字形状をなすように形成され、第1腕部61、第2腕部62、連結底部63、第1切欠き部64、第2切欠き部65を備えている。
【0042】
第1腕部61は、軸線Sと平行に伸長し、その先端において可動鉄心30に対向する端面61aを備え、第1コイル90を巻回したボビン70を保持する。
第2腕部62は、軸線Sと平行に伸長し、その先端において可動鉄心30に対向する端面62aを備え、第2コイル100を保持する。
第1腕部61と第2腕部62とは、軸線Sを含む面に対して対称的に形成されている。
連結底部63は、第1腕部61と第2腕部62とを連結して磁路を形成する共に、固定ホルダ20の嵌合凹部21に嵌合される。
また、連結底部63は、固定鉄心60が固定ホルダ20に固定されるべく、嵌合凹部21に嵌め込まれた状態で嵌合凹部21の外周縁のカシメ処理により押し付けられる。
第1切欠き部64は、連結底部63の一側部において、軸線Sと平行な直線L1方向に伸長する溝状に形成され、第1コイル90の一端側に接続された一端側端子部材81を通す役割をなす。
第2切欠き部65は、連結底部63の他側部において、軸線Sと平行な直線L2方向に伸長する溝状に形成され、第2コイル100の一端側を画定する直線伸長部102を通す役割をなす。
【0043】
ボビン70は、樹脂材料を用いて射出成形され、
図8ないし
図11に示すように、固定鉄心60の第1腕部61が嵌合される嵌合孔71、第1コイル90が巻回される巻回部72、基部73、押え部74、第1嵌合溝75、第2嵌合溝76を備えている。
【0044】
押え部74は、
図6に示すように、第2腕部62の周りに配置された第2コイル100が第2腕部62から抜け落ちないようにコイル部101を押え込む役割をなす。
第1嵌合溝75は、一端側端子部材81が嵌合して固定されるべく、基部73の側面73aに開口する屈曲した溝をなす。
第2嵌合溝76は、他端側端子部材82が嵌合して固定されるべく、基部73の側面73aに開口する屈曲した溝をなす。
【0045】
ここで、第1嵌合溝75と第2嵌合溝76とは、共通の側面73aにおいて開口する、すなわち、ボビン70において同一の方向に開口するように形成されている。
したがって、ボビン70を成形する際の型抜きが容易であると共に、一端側端子部材81及び他端側端子部材82を同一の方向から嵌合することができ、組付け作業における段取りの簡素化、組付け作業の容易化を達成することができる。
【0046】
一端側端子部材81は、銅等の導電性材料により形成され、
図10に示すように、嵌合部81a、平坦接合部81b、直線伸長部81cを備えている。
嵌合部81aは、ボビン70の第1嵌合溝75に密接に嵌合されるべく、屈曲した形状をなす。
平坦接合部81bは、第1コイル90の一端側92がパルスヒート接合等により電気的に接続されるべく、ボビン70の側面73aと平行な平坦面をなす。
直線伸長部81cは、軸線Sと平行な直線L1方向に直線的に伸長し、固定鉄心60の第1切欠き部64、固定ホルダ20の第1貫通孔24を通して、筒状をなす第1ピン状端子110の内部に導かれる。そして、直線伸長部81cの先端領域が、第1ピン状端子110の先端領域と溶接されて電気的に接続される。
【0047】
他端側端子部材82は、銅等の導電性材料により形成され、
図10に示すように、嵌合部82a、平坦接合部82b、直線伸長部82cを備えている。
嵌合部82aは、ボビン70の第2嵌合溝76に密接に嵌合されるべく、屈曲した形状をなす。
平坦接合部82bは、第1コイル90の他端側93がパルスヒート接合等により電気的に接続されるべく、ボビン70の側面73aと平行な平坦面をなす。
直線伸長部82cは、軸線Sに対して傾斜して直線的に伸長し、
図6及び
図7に示すように、固定ホルダ20の外周斜面部22に溶接されて、固定ホルダ20と電気的に接続される。
【0048】
ここでは、第1コイル90の一端側92及び他端側93を第1ピン状端子110及び固定ホルダ20に直接的に接続するのではなく、一端側端子部材81及び他端側端子部材82を介在させたことにより、組付け作業の容易化、溶接作業の容易化、歩留まりの向上等を達成することができる。特に、第1コイル90が細線であるため、上記の効果は顕著である。
【0049】
また、第1コイル90の一端側92及び他端側93が、カラゲ処理ではなく、平坦接合部81b,82bに接合されるため、軸線Sに垂直な方向において対向して配置される第2コイル100との距離を近づけることができる。これにより、固定鉄心60を小型化でき、電磁アクチュエータA全体として小型化を達成することができる。
【0050】
第1コイル90は、銅等の導電性材料により形成された線径の細い細線であり、乾電池3の電流を通すために使用される。
第1コイル90は、ボビン70の巻回部72に巻回されるコイル部91、コイル部91から延出する一端側92及び他端側93を備えている。
一端側92は、ボビン70の基部73に沿って延出され、側面73aに位置する一端側端子部材81の平坦接合部81bに電気的に接続される。
他端側93は、ボビン70の基部73に沿って延出され、側面73aに位置する他端側端子部材82の平坦接合部82bに電気的に接続される。
ここでは、第1コイル90が細線であるため、電気抵抗が大きくなり、乾電池3の寿命を延ばすことができる。
【0051】
第2コイル100は、銅等の導電性材料により形成され、第1コイル90よりも線径が太い太線であり、熱電対8の熱起電力による電流を通すために使用される。
第2コイル100は、固定鉄心60の第2腕部62の周りに嵌め込まれるコイル部101、コイル部101から延出して一端側を画定する直線伸長部102、コイル部101から延出して他端側を画定する直線伸長部103を備えている。
そして、第2コイル100は、コイル部101、直線伸長部102、及び直線伸長部103を画定するように、自動成形機等を用いて予め成形される。
【0052】
直線伸長部102は、軸線Sと平行な直線L2方向に直線的に伸長し、固定鉄心60の第2切欠き部65、固定ホルダ20の第2貫通孔25を通して、筒状をなす第2ピン状端子120の内部に導かれる。そして、直線伸長部102の先端領域が、第2ピン状端子120の先端領域と溶接されて電気的に接続される。
直線伸長部103は、軸線Sと平行な方向に直線的に伸長しかつその先端領域が軸線Sに対して傾斜して直線的に伸長し、
図6に示すように、固定ホルダ20の外周斜面部22に溶接されて、固定ホルダ20と電気的に接続される。
ここでは、第2コイル100が太線であるため、電気抵抗が小さくなり、熱電対8の起電力が小さくても、電磁石として機能させるための励磁作用を得ることができる。
【0053】
第1ピン状端子110は、導電性の金属材料を用いて、
図7及び
図9に示すように、軸線Sと平行な直線L1方向に伸長する円筒状に形成され、第1凹部26に配置される内側筒部111、保持部材130に保持される鍔付き中間筒部112、ハウジングから突出する外側筒部113を備えている。
第1ピン状端子110は、直線L1上において、第1貫通孔24を通して、固定鉄心60の第1切欠き部64と対向するように配置される。
そして、第1ピン状端子110は、外側筒部113の先端領域が直線L1に沿って挿入された一端側端子部材81の直線伸長部81cの先端領域と溶接Wされることにより、電気的に接合される。
【0054】
第2ピン状端子120は、導電性の金属材料を用いて、
図7及び
図9に示すように、軸線Sと平行な直線L2方向に伸長する円筒状に形成され、第2凹部27に配置される内側筒部121、保持部材130に保持される鍔付き中間筒部122、ハウジングから突出する外側筒部123を備えている。
第2ピン状端子120は、直線L2上において、第2貫通孔25を通して、固定鉄心60の第2切欠き部65と対向するように配置される。
そして、第2ピン状端子120は、外側筒部123の先端領域が直線L2に沿って挿入された直線伸長部102の先端領域と溶接Wされることにより、電気的に接合される。
【0055】
ここで、第1ピン状端子110と第2ピン状端子120とは、内側筒部111と内側筒部121の外径寸法が同一で、外側筒部113と外側筒部123の外径寸法が異なるように形成されている。
これによれば、外側筒部113と外側筒部123の外径の相違により、二つのピン状端子を識別することができ、又、内側筒部111と内側筒部121の外径が同一であるため、第1シール部材及び第2シール部材として同一のOリング140を使用して、部品の共用化による低コスト化を達成することができる。
【0056】
保持部材130は、電気絶縁性の樹脂材料を用いて、
図7ないし
図9に示すように、第1ピン状端子110及び第2ピン状端子120の中間領域を埋設するインサート成形により、略円柱状に形成されている。
そして、保持部材130は、固定ホルダ20の嵌合凹部28に嵌合されてカシメ処理が施されることにより、第1ピン状端子110を直線L1上にかつ第2ピン状端子120を直線L2上に位置付けて保持する。
【0057】
Oリング140は、ゴム材料を用いて円環状に形成され、第1ピン状端子110及び第2ピン状端子120を保持した保持部材130が固定ホルダ20に組み付けられる際に、第1ピン状端子110の内側筒部111と第1凹部26の間と、第2ピン状端子120の内側筒部121と第2凹部27の間に、それぞれ嵌め込まれる。
これにより、弁体50側から入り込んだガスが固定ホルダ20の嵌合凹部28を通り抜けるのを完全に遮断することができ、シール機能を向上させることができる。
特に、Oリング140は、金属材料により形成された部材同士の間をシールするため、気密性がより高められる。
【0058】
フランジ部材150は、導電性の金属材料、例えば鋼板等をプレス成形して、
図2、
図4、
図5に示すように、長尺な菱形の平板として形成され、軸線Sを中心とする嵌合孔151、締結ネジを通す二つの円孔152を備えている。
そして、フランジ部材150は、固定ホルダ20の嵌合部29bに嵌合されて、固定ホルダ20に一体的に固定される。
【0059】
このように、フランジ部材150が、固定ホルダ20と別個に形成されることにより、固定ホルダ20の材料よりも低価な材料を用いることができ、又、ガスコックボデー1の取付け形状に合わせて適宜設定することができる。
【0060】
次に、電磁アクチュエータAの組付け作業について説明する。
作業に先立って、可動鉄心30、付勢バネ40、弁体50等が予め組み付けられた筒状ケース10、固定ホルダ20、固定鉄心60、一端側端子部材81及び他端側端子部材82並びに第1コイル90が予め組み付けられたボビン70、予め成形された第2コイル100、第1ピン状端子110及び第2ピン状端子120がインサート成形された保持部材130、二つのOリング140、フランジ部材150が準備される。
【0061】
続いて、二つのOリング140が、それぞれ、第1ピン状端子110の内側筒部111と第2ピン状端子120の内側筒部121に嵌め込まれる。
続いて、保持部材130が、固定ホルダ20の嵌合凹部28に近づけられ、一方のOリング140が第1凹部26に嵌め込まれ、他方のOリング140が第2凹部27に嵌め込まれると共に、保持部材130が嵌合凹部28に嵌め込まれる。
そして、嵌合凹部28の外周縁部がカシメ処理されて、保持部材130が固定ホルダ20に固定される。
【0062】
続いて、第1切欠き部64が第1貫通孔24と直線L1上に並ぶと共に第2切欠き部65が第2貫通孔25と直線L2上に並ぶように、固定鉄心60が固定ホルダ20に近づけられて、連結底部23が固定凹部21に嵌め込まれる。
その後、固定凹部21の外周縁部がカシメ処理されて、固定鉄心60が固定ホルダ20に固定される。
【0063】
続いて、第2コイル100が、軸線S方向において固定鉄心60に近づけられ、コイル部101が第2腕部62に嵌め込まれると共に、直線伸長部102が直線L2上の第2貫通孔25を通して第2ピン状端子120の内部に挿入され、又、直線伸長部103が外周斜面部22に当接される。
続いて、ボビン70が、軸線S方向において固定鉄心60に近づけられて第1腕部61に嵌め込まれると共に、一端側端子部材81の直線伸長部81cが直線L1上の第1貫通孔24を通して第1ピン状端子110の内部に挿入され、又、他端側端子部材82の直線伸長部82cが外周斜面部22に当接される。
【0064】
そして、ボビン70の押え部74により第2コイル100のコイル部101を押え込んだ状態で、直線伸長部82c及び直線伸長部103が、固定ホルダ20の外周斜面部22に溶接される。
これにより、第1コイル90の他端側及び第2コイル100の他端側が、固定ホルダ20に電気的に接続される。
【0065】
続いて、直線伸長部81cの先端領域が第1ピン状端子110の外側筒部113の先端領域に溶接Wにより接合されて電気的に接続される。
また、直線伸長部102の先端領域が第2ピン状端子120の外側筒部123の先端領域に溶接Wにより接合されて電気的に接続される。
その後、筒状ケース10が、軸線S方向において、固定ホルダ20に近づけられ、連結爪部13が環状係合溝23にスナップフィット結合されることにより、筒状ケース10が固定ホルダ20に組み付けられる。
以上により、電磁アクチュエータAの組付けが完了する。尚、上記の組付け手順は一例であって、その他の手順を採用してもよい。
【0066】
上記のように、電磁アクチュエータAの組付け作業においては、軸線S方向において、部品を移動させて組み付けるだけでよいため、自動組み立てラインにおいて、自動的に組み立てることができる。これにより、生産性の向上、歩留りの向上、製造コストの低減等を達成することができる。
また、電磁アクチュエータAの雄型コネクタ29cに熱電対ユニットUの雌型コネクタ5が接続されることにより、立消え安全装置Mの組み付けが完了する。
【0067】
次に、ガスコンロにおける立消え安全装置Mの動作について説明する。
先ず、ガスコンロにおいて、外部の操作ノブ又は操作ボタン等による点火操作に基づき、イグナイタにより点火が行われると、制御基板2の制御回路から発せられる制御信号に基づいて、乾電池3の電力により、第1コイル90が通電されて電磁力が発生する。
また、点火操作時において、操作ノブ又は操作ボタン等に連動する駆動力により開弁状態に移動させられた弁体50は、発生した電磁力により可動鉄心30が固定鉄心60に吸着されることで開弁状態に維持される。尚、弁体50を開弁方向に移動させる駆動力は、点火操作時にのみ作用する。
【0068】
そして、ガスがガス通路1aを通してバーナに流れて着火し、炎4により感熱部8cが加熱されると、熱電対8が熱起電力を生じ、この熱起電力により、第2コイル100が通電されて電磁力が発生する。
その後、乾電池3の電力による第1コイル90の通電は、所定時間経過した後に断たれる。そして、定常燃焼時には、第2コイル100の通電による励磁作用だけで、弁体50の開弁状態が維持される。
すなわち、第1コイル90は、点火時において、素早く燃焼を安定させるために点火時の所定時間だけ使用されるものである。
【0069】
一方、吹き消え、煮こぼれ等によりガスコンロの炎が立ち消えすると、熱電対ユニットUの感熱部8cの加熱が停止して、熱起電力すなわち電磁力が消滅し、弁体50及び可動鉄心30は、付勢バネ40により押し戻されてガス通路1aを閉鎖する。これにより、未燃ガスの放出が防止される。
【0070】
以上述べたように、上記電磁アクチュエータA及び立消え安全装置Mによれば、組付作業の容易化及び自動化、小型化、気密性の確保、生産性の向上、歩留りの向上等が達成される。
【0071】
上記実施形態においては、固定鉄心として、U字状をなす固定鉄心60を示したが、これに限定されるものではなく、磁路を形成しかつ第1コイルの一端側を通す第1切欠き部及び第2コイルの一端側を通す第2切欠き部を有する形態であれば、その他の形態をなす固定鉄心を採用してもよい。
【0072】
上記実施形態においては、第1コイル90が第1腕部61に配置され、第2コイル100が第2腕部62に配置される形態を示したが、これに限定されるものではなく、第1切欠き部に対して第1コイルの一端側(一端側端子部材)が通され、第2切欠き部に対して第2コイルの一端側(直線伸長部)が通される形態であれば、一方の腕部に対して第1コイル及び第2コイルを配置してもよく、又は、一方のコイルが両方の腕部に亘って配置される構成を採用してもよい。
【0073】
上記実施形態においては、第1コイル90は、ボビン70を介して第1腕部61に配置される形態を示したが、これに限定されるものではなく、ボビン70及び一端側端子部材81及び他端側端子部材82を廃止して、第1コイルの一端側が第1ピン状端子に直接接続され、第1コイルの他端側が固定ホルダに直接接続される構成を採用してもよい。
【0074】
上記実施形態においては、電磁アクチュエータAが立消え安全装置Mの一部として適用された場合を示したが、これに限定されるものではなく、可動鉄心の直線移動を駆動力として利用するものであれば、その他の電気機器等にも適用することができる。
【0075】
以上述べたように、本発明の電磁アクチュエータは、組付作業の容易化及び自動化、小型化、気密性の確保、生産性の向上、歩留りの向上等が達成されるため、立消え安全装置等に利用できるのは勿論のこと、小型化、組付け性の向上等が要求される電気機器、機械部品、その他の分野においても有用である。
【符号の説明】
【0076】
A 電磁アクチュエータ
U 熱電対ユニット
M 立消え安全装置
3 乾電池
5 雌型コネクタ
5a 第1雌型端子
5b 第2雌型端子
6 第1ケーブル
7 第2ケーブル
8 熱電対
9 第3ケーブル
10 筒状ケース(ハウジング)
20 固定ホルダ(ハウジング)
24 第1貫通孔
25 第2貫通孔
26 第1凹部
27 第2凹部
28 嵌合凹部
30 可動鉄心
40 付勢バネ
50 弁体
60 固定鉄心
61 第1腕部
61a 端面
62 第2腕部
62a 端面
63 連結底部
64 第1切欠き部
65 第2切欠き部
70 ボビン
75 第1嵌合溝
76 第2嵌合溝
81 一端側端子部材
82 他端側端子部材
90 第1コイル
92 一端側
93 他端側
100 第2コイル
102 直線伸長部(一端側)
103 直線伸長部(他端側)
110 第1ピン状端子
120 第2ピン状端子
130 保持部材
140 Oリング(第1シール部材、第2シール部材)
150 フランジ部材