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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】ブームスプレーヤ
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/00 20060101AFI20230621BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
B05B17/00 101
A01M7/00 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019124259
(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公開番号】P2021007930
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】小山内 悠平
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174740(JP,A)
【文献】実開平04-022061(JP,U)
【文献】特開平09-154467(JP,A)
【文献】特開2020-191857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 17/00-17/08
A01M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びるセンターブーム(19)と、
前記センターブーム(19)の端部に一軸(40)を支点として回動可能に連結された端部を有し、前記センターブーム(19)と直線状に並ぶ開位置と前記センターブーム(19)に対して回動され折り畳まれる閉位置との間を移動するサイドブーム(21)と、を備え、
前記センターブーム(19)及び前記サイドブーム(21)は、薬液を散布可能に構成されており、
前記センターブーム(19)の前記端部と前記サイドブーム(21)の前記端部は、それぞれの端部とは反対側の端部へ向かってへこむ凹部(30,32)を各々備え、前記凹部(30,32)同士が前記一軸(40)により回動可能に軸支され、
前記センターブーム(19)の前記凹部(30)の内面(63)又は前記サイドブーム(21)の前記凹部(32)の内面(64)の何れか一方に一端が固定され、前記サイドブーム(21)が前記開位置に位置すると、他端が前記センターブーム(19)の前記凹部(30)の内面(63)又は前記サイドブーム(21)の前記凹部(32)の内面(64)の他方に当接し前記サイドブーム(21)のそれ以上の回動を阻止するストッパプレート(61)を設けたことを特徴とするブームスプレーヤ(100)。
【請求項2】
前記凹部(30,32)は、コの字を呈し、
前記センターブーム(19)又は前記サイドブーム(21)の何れか一方のコの字の凹部(30,32)が、前記センターブーム(19)又は前記サイドブーム(21)の他方のコの字の凹部(30,32)に差し込まれて前記一軸(40)により軸支され、
前記センターブーム(19)又は前記サイドブーム(21)の何れか一方のコの字の凹部(30,32)のウェブ部分(31,33)の内面(63,64)に、前記ストッパプレート(61)の前記一端が固定され、
前記センターブーム(19)又は前記サイドブーム(21)の他方のコの字の凹部(30,32)のウェブ部分(31,33)の内面(63,64)に、前記ストッパプレート(61)の前記他端が当接することを特徴とする請求項1に記載のブームスプレーヤ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームスプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬液散布を行うブームスプレーヤとして、車両前部に昇降可能に配置され水平方向に延びるセンターブームと、センターブームの両端部に一軸を支点としてそれぞれ回動可能に連結され、センターブームと直線状に並ぶ開位置とセンターブームに対して回動され車両の側方へ折り畳まれる閉位置とにそれぞれ移動可能なサイドブームと、を備え、サイドブームを開にした状態で走行しながら、センターブーム及びサイドブームに沿って配置された複数の噴霧ノズルから薬液を散布するブームスプレーヤが広く知られている。
【0003】
以下の特許文献1に記載のブームスプレーヤでは、サイドブームを閉位置から開位置に移動させる際に、サイドブームが開位置を超えて回動するのを阻止するためのブームストッパを備えている。このブームストッパは、センターブームの端部の前面に、当該センターブームに沿って延在するボルト状のストッパを固定したものであり、このブームストッパの端部に、開位置へ回動するサイドブームの端面が当接することにより、サイドブームのそれ以上の回動が阻止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-99564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1のブームスプレーヤにおいては、サイドブームを開とする際のブームストッパが、ボルト状をなしてセンターブームの端部の前面から前方へ突出する構成のため、コンパクト化を図ることが望まれている。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、サイドブームを開とする際のサイドブームのストッパのコンパクト化を図ることができると共に低コスト化を図ることができるブームスプレーヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水平方向に延びるセンターブーム(19)と、その端部が、センターブーム(19)の端部に一軸(40)を支点として回動可能に連結され、センターブーム(19)と直線状に並ぶ開位置とセンターブーム(19)に対して回動され折り畳まれる閉位置との間を移動するサイドブーム(21)と、を備え、センターブーム(19)及びサイドブーム(21)から薬液を散布可能なブームスプレーヤ(100)において、センターブーム(19)の端部とサイドブーム(21)の端部は、それぞれの端部とは反対側の端部へ向かってへこむ凹部(30,32)を各々備え、凹部(30,32)同士が一軸(40)により回動可能に軸支され、センターブーム(19)の凹部(30)の内面(63)又はサイドブーム(21)の凹部(32)の内面(64)の何れか一方に一端が固定され、サイドブーム(21)が開位置に位置すると、その他端がセンターブーム(19)の凹部(30)の内面(63)又はサイドブーム(21)の凹部(32)の内面(64)の他方に当接しサイドブーム(21)のそれ以上の回動を阻止するストッパプレート(61)を設けたことを特徴としている。
【0008】
このようなブームスプレーヤ(100)によれば、ブームストッパとしてのストッパプレート(61)は、その一端が、センターブーム(19)の端部の凹部(30)の内面(63)又はサイドブーム(21)の端部の凹部(32)の内面(64)の何れか一方に固定され、サイドブーム(21)がセンターブーム(19)と直線状に並ぶ開位置に位置すると、その他端が、センターブーム(19)の端部の凹部(30)の内面(63)又はサイドブーム(21)の端部の凹部(32)の内面(64)の他方に当接しサイドブーム(21)のそれ以上の回動を阻止する構成であり、ブームストッパがセンターブーム(19)の端部の前面から前方に突出する構成ではなく凹部(30,32)内に収容されるような構成のため、コンパクト化が図れると共に、ブームストッパを単なるストッパプレート(61)として低コストが図れる。
【0009】
ここで、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、凹部(30,32)は、コの字を呈し、センターブーム(19)又はサイドブーム(21)の何れか一方のコの字の凹部(30,32)が、センターブーム(19)又はサイドブーム(21)の他方のコの字の凹部(30,32)に差し込まれて一軸(40)により軸支され、センターブーム(19)又はサイドブーム(21)の何れか一方のコの字の凹部(30,32)のウェブ部分(31,33)の内面(63,64)に、ストッパプレート(61)の一端が固定され、センターブーム(19)又はサイドブーム(21)の他方のコの字の凹部(30,32)のウェブ部分(31,33)の内面(63,64)に、ストッパプレート(61)の他端が当接する構成が挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、サイドブームを開とする際のサイドブームのストッパのコンパクト化を図ることができると共に低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るブームスプレーヤを前方斜め上方から見た斜視図である。
図2図1中のサイドブーム開閉装置を示す概略斜視図である。
図3】サイドブームが閉位置に位置している際のセンターブーム及びサイドブームの端部を後方斜め上方から見た斜視図である。
図4】サイドブームが開位置に位置している際のセンターブーム及びサイドブームの端部を前方斜め上方から見た斜視図である。
図5図1及び図2中のサイドブーム開閉装置の操作部を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るブームスプレーヤの好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るブームスプレーヤを前方斜め上方から見た斜視図、図2は、図1中のサイドブーム開閉装置を示す概略斜視図、図3は、サイドブームが閉位置に位置している際のセンターブーム及びサイドブームの端部を後方斜め上方から見た斜視図、図4は、サイドブームが開位置に位置している際のセンターブーム及びサイドブームの端部を前方斜め上方から見た斜視図、図5は、図1及び図2中のサイドブーム開閉装置の操作部を示す概略斜視図である。本実施形態のブームスプレーヤは、例えば圃場において走行しながら例えば作物に薬液散布を行うものである。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、ブームスプレーヤを基準とした方向とする。
【0013】
図1に示すように、ブームスプレーヤ100は自走式であり、走行可能な車両1と、車両1から薬液を散布するためのブーム装置2と、を備えている。
【0014】
車両1は、前後方向に長い略矩形状の車体フレーム50を備えている。車体フレーム50の前部上には、作業者が着座する空間を形成しハンドル3による運転操作や薬液散布操作や後述のレバー操作等を行うための運転席4が設けられている。運転席4は屋根5により上方から覆われている。屋根5は、車体フレーム50の車両左右方向両側で運転席4の側方からそれぞれ立設された屋根柱6により支持されている。ハンドル3の前方には、粒剤散布装置7が設けられている。粒剤散布装置7は、粒剤を収容する粒剤タンク8を上部に備えると共に、粒剤を送り出すための送風機51を下部に備え、送風機51の背面が車体フレーム50の前部に固定されている。この粒剤散布装置7では、噴口9から粒剤タンク8内の粒剤を前方へ散布する。
【0015】
車体フレーム50の後部上には、エンジンを収容するエンジンルーム10が設けられている。車体フレーム50上で運転席4とエンジンルーム10との間には、ブーム装置2から散布される薬液を収容する薬液タンク11が搭載されている。薬液タンク11の上部には、車両左右方向に延びるブーム受け12が固定されている。車体フレーム50の車両左右方向両側下方で前後には、一対の前輪13及び一対の後輪14がそれぞれ設けられている。前輪13、後輪14は、エンジンの駆動により回転する。本実施形態では4輪駆動のため、前輪13及び後輪14が回転するが、前輪駆動、後輪駆動であっても良い。なお、符号52は、車体フレーム50に固定された荷台である。
【0016】
車体フレーム50において運転席4より前方には、車両左右方向に対をなす4節リンク機構15が前方に延びるようにそれぞれ配設されている。上記ブーム装置2は、4節リンク機構15を介して車体フレーム50に支持されている。4節リンク機構15は、上下方向に延びる後側リンク53が車体フレーム50側に固定され、車両前後方向に延びる下側リンク54,54同士間にステー55が掛け渡されている。アクチュエータとしての電動油圧シリンダ16は、その固定子の後端がステー55に枢着されると共に、移動子の先端が後述の水平制御フレーム18に枢着されており、電動油圧シリンダ16の伸縮動作により4節リンク機構15が作動することによって、上下方向に延びる前側リンク17が昇降(上下動)し、水平方向に延びる後述のセンターブーム19が昇降する。
【0017】
ブーム装置2は、車両左右方向及び水平方向に延び上記前側リンク17に固定された水平制御フレーム18と、水平制御フレーム18の下方に平行に配設され水平制御フレーム18より車両左右方向に長いセンターブーム19と、水平制御フレーム18とセンターブーム19とを連結する左右一対のリンクロッド20と、センターブーム19の両端に一軸としての軸部40を支点として回動可能に連結された一対のサイドブーム21と、を備えている。一対のリンクロッド20は、車両前後方向視においてハの字を呈し、その上端部が、水平制御フレーム18の前側及び後側に回動可能に連結され、その下端部が、センターブーム19の前側及び後側に回動可能に連結されている。
【0018】
すなわち、水平制御フレーム18を上辺とし、センターブーム19を下辺とし、一対のリンクロッド20を斜辺とした4節リンク機構の一種である台形リンクが構成されている。このように水平制御フレーム18にリンクロッド20を介して支持されたセンターブーム19は、車両左右方向に振り子状に揺動可能とされ、重力による水平制御により水平となる。ここで、水平とは、地球の重力の方向と直角に交わる方向のことである。
【0019】
センターブーム19及びサイドブーム21には、それぞれノズルパイプ22が取り付けられており、各ノズルパイプ22には、薬液噴霧用のノズル23が長手方向に沿って複数設けられている(図2も参照)。サイドブーム21は、薬液散布を行うときには、軸部40を支点として図1に示す閉位置の状態からセンターブーム19に対して一直線状となる開位置に広げられる(図4参照)。
【0020】
そして、エンジンの駆動により走行しながら薬液圧送ポンプが駆動され、薬液タンク11の薬液は、センターブーム19及びサイドブーム21のノズルパイプ22を介してノズル23から噴霧される。サイドブーム21は、薬液散布を行わないときには、軸部40を支点として図1に示すように閉位置に折り畳まれ、車両1の側方位置において斜め後ろ上がりの状態で格納される。サイドブーム21は、格納された状態では、ブーム受け12の両端に納められている。
【0021】
センターブーム19の端部には、図2及び図4に示すように、当該端部とは反対側の端部へ向かって(センターブーム19の中心側へ向かって)へこむ凹部30が設けられている。凹部30はコの字を呈し、車両前後方向及びセンターブーム19の軸線方向外方へ開放されるように、凹部30のウェブ部分31がセンターブーム19の端面に固定されている。
【0022】
サイドブーム21の端部にも、図2図4に示すように、当該端部とは反対側の端部へ向かってへこむ凹部32が設けられている。凹部32はコの字を呈し、凹部32のウェブ部分33がサイドブーム21の端面に固定されている。図2及び図4に示すように、凹部32の上側のフランジ部分34は、センターブーム19の凹部30の上側のフランジ部分35上に位置し、凹部32の下側のフランジ部分36は、センターブーム19の凹部30の下側のフランジ部分37下に位置している。すなわち、センターブーム19のコの字の凹部30が、サイドブーム21のコの字の凹部32に差し込まれた状態となっている。この状態で、凹部30の上側のフランジ部分35及び凹部32の上側のフランジ部分34、凹部30の下側のフランジ部分37及び凹部32の下側のフランジ部分36に対して、上記軸部40が貫通し、凹部30及び凹部32が軸部40により回動可能に軸支されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、サイドブーム21の凹部32の上側のフランジ部分34において、サイドブーム21が閉位置に位置している状態での前側且つセンターブーム19の凹部30のウェブ部分31寄りの位置には、ボルト41が上向きに突設され、このボルト41に圧縮コイルスプリング38の一端が係止されている。圧縮コイルスプリング38の他端は、センターブーム19の凹部30から当該センターブーム19の中心側へ向かって所定長離間した位置のアングル39に係止されている。この圧縮コイルスプリング38は、後述の開閉レバー43,44によるサイドブーム21の開閉時に、サイドブーム21の開閉を補助するように機能する(詳しくは後述)。
【0024】
また、サイドブーム21の凹部32の上側のフランジ部分34において、サイドブーム21が閉位置に位置している状態での後側且つセンターブーム19の凹部30のウェブ部分31寄りの位置には、ピン42が下向きに突設され、ピン42にプルワイヤ49の先端が枢着されている。プルワイヤ49は、上記アングル39を貫通し、運転席4の前横に配置された操作部48(図1参照)に繋がっている。操作部48は、レバー操作を行うためのものであり、図2及び図5に示すように、概略、開閉レバー43、44、水平制御ロックレバー56及びカバー45を備えている。
【0025】
車両左側の開閉レバー43には車両左側のプルワイヤ49が接続され、右側の開閉レバー44には車両右側のプルワイヤ49が接続されている。開閉レバー43,44を引くと、サイドブーム21はプルワイヤ49により閉位置へ移動し、開閉レバー43,44をリリースすると、サイドブーム21は開位置へ移動する。これらの開閉レバー43,44のプルワイヤ49との接続部側は、カバー45により覆われており、カバー45に設けられ開閉レバー43,44が移動するスリット(長孔)47に、開閉レバー43,44をロックするための切欠46が設けられている。この切欠46に開閉レバー43,44を引っ掛けることにより、開閉レバー43,44をその位置でロックできる。なお、右側の開閉レバー44の隣の短尺な水平制御ロックレバー56は、センターブーム19の前述した水平制御をロックする(水平制御を強制的に停止する)ための操作レバーである。そして、上記開閉レバー43,44、切欠46を含むカバー45、プルワイヤ49及び圧縮コイルスプリング38により、サイドブーム21を開閉するためのサイドブーム開閉装置が構成されている。
【0026】
また、図3に示すように、センターブーム19の端部には、サイドブーム21の閉時のストッパとなるストッパボルト60が設けられると共に、図2及び図4に示すように、サイドブーム21の開時のストッパとなるストッパプレート61が設けられている。
【0027】
図3に示すように、ストッパボルト60は、センターブーム19の端部背面に、後方へ向かって突出するプレート62を介して固定されており、センターブーム19に沿うように配置されている。サイドブーム21が閉位置に位置すると、ストッパボルト60の頭部が、サイドブーム21の凹部32のウェブ部分33の側端面に当接し、それ以上の回動を阻止する。
【0028】
図4に示すように、ストッパプレート61は、略長方形状の平板に構成され、その一端側の端面がセンターブーム19の凹部30のウェブ部分31の内面63に固定されている。ストッパプレート61は、センターブーム19のコの字の凹部30の上、下側のフランジ部分35,37に対して略平行をなし、且つ、センターブーム19の軸線方向に延在するように配置されている。サイドブーム21が開位置に位置すると、ストッパプレート61の他端側の端面が、サイドブーム21の凹部32のウェブ部分33の内面64に当接し、それ以上の回動を阻止する。
【0029】
このように構成されたブームスプレーヤ100によれば、ブームスプレーヤ100が、例えば圃場等を走行・作業するにあたっては、図5を参照して説明すれば、運転手は、先ず、開閉レバー43,44のロックを解除する。すなわち、上段の切欠46に引っ掛かっている開閉レバー43,44をスリット47に移動させてリリースする。すると、図2を参照して説明すれば、圧縮コイルスプリング38の付勢力により、サイドブーム21が開き始め、その後、サイドブーム21の自重によって開いていく。サイドブーム21の自重により開く際には、圧縮コイルスプリング38の付勢力により開く力が抑制され、サイドブーム21はゆっくり開いていく。また、同時に、開閉レバー43,44はスリット47を下方へと移動していく。
【0030】
そして、サイドブーム21が開位置に位置すると、図4に示すように、ストッパプレート61の他端側の端面が、サイドブーム21の凹部32のウェブ部分33の内面64に当接し、サイドブーム21のそれ以上の回動が阻止される。
【0031】
一方、サイドブーム21を図1に示す閉位置に格納する際には、図2を参照して説明すれば、運転手は、開閉レバー43,44を手前に引く。すると、プルワイヤ49が引っ張られサイドブーム21は閉じていく。このとき、圧縮コイルスプリング38の付勢力が働き、サイドブーム21が引っ張られるため、運転手による開閉レバー43,44の引く力が軽減される。
【0032】
そして、運転手は開閉レバー43,44を引ききり、開閉レバー43,44を上段の切欠46に引っ掛け、開閉レバー43,44をロックする。この状態で、ストッパボルト60の頭部が、サイドブーム21の凹部32のウェブ部分33の側端面に当接し(図3参照)、サイドブーム21のそれ以上の回動が阻止され、サイドブーム21は閉位置に位置する。
【0033】
このような構成を有する本実施形態のブームスプレーヤ100によれば、ブームストッパとしてのストッパプレート61は、その一端が、センターブーム19の端部の凹部30の内面63に固定され、サイドブーム21がセンターブーム19と直線状に並ぶ開位置に位置すると、ストッパプレート61の他端が、サイドブーム21の端部の凹部32の内面64に当接しサイドブーム21のそれ以上の回動を阻止する構成であり、ブームストッパがセンターブーム19の端部の前面から前方に突出する構成ではなく凹部30,32内に収容されるような構成のため、コンパクト化が図れると共に、ブームストッパを単なるストッパプレート61として低コストを図ることができる。
【0034】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、ストッパプレート61の一端を、凹部30のウェブ部分31の内面63に固定しているが、ストッパプレート61をL字状の平板とし、L字状の平板の一端を凹部30の上側のフランジ部分35又は下側のフランジ部分37の内面に固定し、サイドブーム21が開位置に位置した時に、L字状の平板の他端が、サイドブーム21の凹部32のウェブ部分33の内面64に当接するようにしても良い。
【0035】
また、ストッパプレートの一端を、センターブーム19の凹部30の内面に固定するのではなく、ストッパプレートの他端をサイドブーム21の凹部32の内面に固定し、サイドブーム21が開位置に位置した時に、ストッパプレートの一端が、センターブーム19の凹部30のウェブ部分31の内面63に当接するようにしても良い。
【0036】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、センターブーム19の凹部30をサイドブーム21の凹部32に差し込むようにしているが、サイドブーム21の凹部32をセンターブーム19の凹部30に差し込む構成に変えても良い。
【0037】
また、上記実施形態においては、サイドブーム21がセンターブーム19の両端部に連結されているが、センターブーム19の一方の端部のみに連結されているブームスプレーヤにも適用できる。
【0038】
また、上記実施形態においては、自走式のブームスプレーヤ100に対する適用を述べているが、牽引式のブームスプレーヤにも適用でき、さらには、搭載式のブームスプレーヤに対しても適用できる。
【符号の説明】
【0039】
19…センターブーム、21…サイドブーム、30,32…凹部、31,33…ウェブ部分、40…軸部(一軸)、61…ストッパプレート、63,64…内面、100…ブームスプレーヤ。
図1
図2
図3
図4
図5