(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】混合器
(51)【国際特許分類】
B01F 25/421 20220101AFI20230621BHJP
A61M 1/14 20060101ALI20230621BHJP
B01F 23/45 20220101ALI20230621BHJP
B01F 35/53 20220101ALI20230621BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20230621BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20230621BHJP
【FI】
B01F25/421
A61M1/14
B01F23/45
B01F35/53
B01F35/71
B01F35/75
(21)【出願番号】P 2019157853
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】藤島 寧
(72)【発明者】
【氏名】松尾 純明
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-104483(JP,A)
【文献】国際公開第2010/047167(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/016448(WO,A1)
【文献】特開2011-104481(JP,A)
【文献】特開2009-082832(JP,A)
【文献】国際公開第2017/129771(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 25/40 - 25/46
B01F 23/40 - 23/47
B01F 35/71
B01F 35/75
A61M 1/14
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の液体を混合する混合器であって、
前記液体を前記混合器に流入させる入口配管が接続される始端容器部と、
第1方向から見て前記始端容器部とずれるように配置され、前記混合器から前記液体を流出させる出口配管が接続される終端容器部と、
前記始端容器部および前記終端容器部と前記第1方向に配列され、且つ前記始端容器部および前記終端容器部が前記第1方向で同じ側に位置するように配置される折返し容器部であって、前記折返し容器部の内部空間が前記始端容器部の内部空間および前記終端容器部の内部空間に連通され、前記始端容器部側から流れてくる液体を前記終端容器部側に流す折返し容器部と、を備え、
前記始端容器部は、前記第1方向と交わる平面の面内方向に並ぶ第1部分および第2部分を有し、前記第1部分または前記第2部分は、前記入口配管との接続部を有し、前記第2部分は、前記始端容器部内の液体を前記折返し容器部側に流出させるための流出開口部を有し、
前記終端容器部は、前記面内方向に並ぶ第3部分および第4部分を有し、前記第3部分は、前記折返し容器部側から流れてくる液体を前記終端容器部内に流入させるための流入開口部を有し、前記第3部分または前記第4部分は、前記出口配管との接続部を有する
、
混合器。
【請求項2】
前記第1部分および前記第2部分と、前記第3部分および前記第4部分とは、それぞれ同じ方向に並び、前記第1部分と前記第3部分とが隣接する請求項
1に記載の混合器。
【請求項3】
前記第1方向において前記始端容器部と前記折返し容器部との間に配列される少なくとも1つの往路中間容器部と、
前記第1方向において前記折返し容器部と前記終端容器部との間に配列される少なくとも1つの復路中間容器部と、を備え、
前記往路中間容器部は、前記面内方向に並ぶ第5部分および第6部分を有し、前記第5部分は、前記始端容器部側から流れてくる液体を前記往路中間容器部内に流入させるための往路上流開口部を有し、前記第6部分は、前記往路中間容器部内の液体を前記折返し容器部側に流出させるための往路下流開口部を有し、
前記復路中間容器部は、前記面内方向に並ぶ第7部分および第8部分を有し、前記第7部分は、前記折返し容器部側から流れてくる液体を前記復路中間容器部内に流入させるための復路上流開口部を有し、前記第8部分は、前記復路中間容器部内の液体を前記終端容器部側に流出させるための復路下流開口部を有する請求項
1または
2に記載の混合器。
【請求項4】
前記往路中間容器部は、前記始端容器部に隣接する第1往路中間容器部を含み、
前記復路中間容器部は、前記終端容器部に隣接する第1復路中間容器部を含み、
前記始端容器部および前記終端容器部は、前記第1方向に延びる軸を挟んで前記面内方向に並び、
前記第1往路中間容器部および前記第1復路中間容器部は、前記軸を挟んで且つ前記始端容器部および前記終端容器部が並ぶ方向とは前記軸周りにずれた方向に並び、
前記始端容器部と前記第1往路中間容器部とは、前記第1方向において前記第2部分と前記第5部分とが少なくとも一部において重なるように配置されて前記流出開口部と前記往路上流開口部とが接続され、
前記終端容器部と前記第1復路中間容器部とは、前記第1方向において前記第3部分と前記第8部分とが少なくとも一部において重なるように配置されて前記流入開口部と前記復路下流開口部とが接続される請求項
3に記載の混合器。
【請求項5】
前記往路中間容器部は、前記第1往路中間容器部と前記折返し容器部との間に配列される第2往路中間容器部を含み、
前記復路中間容器部は、前記第1復路中間容器部と前記折返し容器部との間に配列される第2復路中間容器部を含み、
前記第2往路中間容器部および前記第2復路中間容器部は、前記軸を挟んで且つ前記第1往路中間容器部および前記第1復路中間容器部が並ぶ方向とは前記軸周りにずれた方向に並び、
前記第1往路中間容器部と前記第2往路中間容器部とは、前記第1方向において前記第1往路中間容器部の前記第6部分と前記第2往路中間容器部の前記第5部分とが少なくとも一部において重なるように配置されて前記往路下流開口部と前記往路上流開口部とが接続され、前記第2往路中間容器部の前記第6部分は、前記往路下流開口部を介して前記折返し容器部に接続され、
前記第1復路中間容器部と前記第2復路中間容器部とは、前記第1方向において前記第1復路中間容器部の前記第7部分と前記第2復路中間容器部の前記第8部分とが少なくとも一部において重なるように配置されて前記復路上流開口部と前記復路下流開口部とが接続され、前記第2復路中間容器部の前記第7部分は、前記復路上流開口部を介して前記折返し容器部に接続される請求項
4に記載の混合器。
【請求項6】
前記始端容器部から前記往路中間容器部を経由して前記折返し容器部に液体が流れる往流路と、
前記折返し容器部から前記復路中間容器部を経由して前記終端容器部に液体が流れる復流路と、を備え、
前記往流路および前記復流路は、それぞれ螺旋階段状に延び且つ少なくとも一部が並走する請求項
3乃至
5のいずれか1項に記載の混合器。
【請求項7】
前記往路中間容器部の内部空間と前記復路中間容器部の内部空間とを連通するバイパス通路部を備える請求項
3乃至
6のいずれか1項に記載の混合器。
【請求項8】
複数種の液体を混合する混合器であって、
前記液体を前記混合器に流入させる入口配管が接続される始端容器部と、
第1方向から見て前記始端容器部とずれるように配置され、前記混合器から前記液体を流出させる出口配管が接続される終端容器部と、
前記始端容器部および前記終端容器部と前記第1方向に配列され、且つ前記始端容器部および前記終端容器部が前記第1方向で同じ側に位置するように配置される折返し容器部であって、前記折返し容器部の内部空間が前記始端容器部の内部空間および前記終端容器部の内部空間に連通され、前記始端容器部側から流れてくる液体を前記終端容器部側に流す折返し容器部と、を備え、
前記始端容器部および前記終端容器部と、前記折返し容器部とは鉛直方向に積層され、
前記始端容器部および前記終端容器部の少なくとも一方は前記混合器の最上段に配置されて、前記入口配管および前記出口配管の少なくとも一方を混合器内のガスを抜くためのガス抜き管として機能させる
、
混合器。
【請求項9】
複数種の液体を混合する混合器であって、
前記液体を前記混合器に流入させる入口配管が接続される始端容器部と、
第1方向から見て前記始端容器部とずれるように配置され、前記混合器から前記液体を流出させる出口配管が接続される終端容器部と、
前記始端容器部および前記終端容器部と前記第1方向に配列され、且つ前記始端容器部および前記終端容器部が前記第1方向で同じ側に位置するように配置される折返し容器部であって、前記折返し容器部の内部空間が前記始端容器部の内部空間および前記終端容器部の内部空間に連通され、前記始端容器部側から流れてくる液体を前記終端容器部側に流す折返し容器部と、
前記第1方向に延びる中空の容器本体と、
前記容器本体の内部空間に配置されて当該内部空間を前記第1方向に配列される複数の領域に区画する第1仕切り板と、
一部の前記領域を前記第1方向と交わる平面の面内方向に配列される2つの小領域に区切る第2仕切り板と、を備え、
複数の前記領域のうち第1領域は、前記第2仕切り板によって始端室と終端室とに区切られ、前記始端室は前記始端容器部の内部空間を構成し、前記終端室は前記終端容器部の内部空間を構成し、
少なくとも1つの第2領域を挟んで前記第1領域と並ぶ第3領域は、前記折返し容器部の内部空間を構成し、
前記第2領域は、前記第2仕切り板によって往路中継室と復路中継室とに区切られ、
前記第1領域に隣接する前記第2領域において、前記往路中継室は、前記始端室に対して前記容器本体の軸周りに一部がずれるように配置されて往路中間容器部の内部空間を構成し、前記復路中継室は、前記終端室に対して前記軸周りに一部がずれるように配置されて復路中間容器部の内部空間を構成し、
前記第1領域と前記第2領域とを区切る前記第1仕切り板は、前記始端室と前記往路中継室とを連通する貫通孔と、前記復路中継室と前記終端室とを連通する貫通孔と、を有し、
前記第2領域と前記第3領域とを区切る前記第1仕切り板は、前記往路中継室と前記第3領域とを連通する貫通孔と、前記第3領域と前記復路中継室とを連通する貫通孔と、を有する
、
混合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種類の異なる複数の液体を混合するための混合器が知られている。混合器の一使用例としては、血液浄化に用いられる透析液の調製が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。透析液は、逆浸透膜(RO膜)で処理された水(以下、RO水という)と、透析液原液であるA原液およびB原液とを混合器で混合することによって得られる。特許文献1に開示される混合器は、RO水とB原液とを混合する上流側混合部と、RO水およびB原液の混合液とA原液とを混合する下流側混合部と、両者をつなぐ連結管とを備え、上流側混合部に複数の流入管が挿入され、下流側混合部に複数の流出管が挿入される構造を有していた。
【0003】
また、混合器は、透析の分野に限らず化学品や医薬品、食品等の各種製品の製造において幅広く用いられている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に開示される混合器は、動力によって回転する軸に撹拌羽根を設けた構造を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-184065号
【文献】特開2013-112629号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最終製品の調製や製造にかかるコストを低減するために、混合器自体や混合器が組み込まれる装置の構造の簡素化は常に求められる。本発明者らは、このような観点から鋭意検討を重ね、新規な構造を有する混合器に想到した。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、新規な構造を有する混合器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、複数種の液体を混合する混合器であって、液体を混合器に流入させる入口配管が接続される始端容器部と、第1方向から見て始端容器部とずれるように配置され、混合器から液体を流出させる出口配管が接続される終端容器部と、始端容器部および終端容器部と第1方向に配列され、且つ始端容器部および終端容器部が第1方向で同じ側に位置するように配置される折返し容器部であって、折返し容器部の内部空間が始端容器部の内部空間および終端容器部の内部空間に連通され、始端容器部側から流れてくる液体を終端容器部側に流す折返し容器部とを備える。
【0008】
上記態様において、始端容器部は、第1方向と交わる平面の面内方向に並ぶ第1部分および第2部分を有し、第1部分または第2部分は、入口配管との接続部を有し、第2部分は、始端容器部内の液体を折返し容器部側に流出させるための流出開口部を有し、終端容器部は、面内方向に並ぶ第3部分および第4部分を有し、第3部分は、折返し容器部側から流れてくる液体を終端容器部内に流入させるための流入開口部を有し、第3部分または第4部分は、出口配管との接続部を有してもよい。また、上記態様において、第1部分および第2部分と、第3部分および第4部分とは、それぞれ同じ方向に並び、第1部分と第3部分とが隣接してもよい。
【0009】
また、上記いずれかの態様において、混合器は、第1方向において始端容器部と折返し容器部との間に配列される少なくとも1つの往路中間容器部と、第1方向において折返し容器部と終端容器部との間に配列される少なくとも1つの復路中間容器部とを備え、往路中間容器部は、面内方向に並ぶ第5部分および第6部分を有し、第5部分は、始端容器部側から流れてくる液体を往路中間容器部内に流入させるための往路上流開口部を有し、第6部分は、往路中間容器部内の液体を折返し容器部側に流出させるための往路下流開口部を有し、復路中間容器部は、面内方向に並ぶ第7部分および第8部分を有し、第7部分は、折返し容器部側から流れてくる液体を復路中間容器部内に流入させるための復路上流開口部を有し、第8部分は、復路中間容器部内の液体を終端容器部側に流出させるための復路下流開口部を有してもよい。
【0010】
また、上記態様において、往路中間容器部は、始端容器部に隣接する第1往路中間容器部を含み、復路中間容器部は、終端容器部に隣接する第1復路中間容器部を含み、始端容器部および終端容器部は、第1方向に延びる軸を挟んで面内方向に並び、第1往路中間容器部および第1復路中間容器部は、軸を挟んで且つ始端容器部および終端容器部が並ぶ方向とは軸周りにずれた方向に並び、始端容器部と第1往路中間容器部とは、第1方向において第2部分と第5部分とが少なくとも一部において重なるように配置されて流出開口部と往路上流開口部とが接続され、終端容器部と第1復路中間容器部とは、第1方向において第3部分と第8部分とが少なくとも一部において重なるように配置されて流入開口部と復路下流開口部とが接続されてもよい。
【0011】
また、上記態様において、往路中間容器部は、第1往路中間容器部と折返し容器部との間に配列される第2往路中間容器部を含み、復路中間容器部は、第1復路中間容器部と折返し容器部との間に配列される第2復路中間容器部を含み、第2往路中間容器部および第2復路中間容器部は、軸を挟んで且つ第1往路中間容器部および第1復路中間容器部が並ぶ方向とは軸周りにずれた方向に並び、第1往路中間容器部と第2往路中間容器部とは、第1方向において第1往路中間容器部の第6部分と第2往路中間容器部の第5部分とが少なくとも一部において重なるように配置されて往路下流開口部と往路上流開口部とが接続され、第2往路中間容器部の第6部分は、往路下流開口部を介して折返し容器部に接続され、第1復路中間容器部と第2復路中間容器部とは、第1方向において第1復路中間容器部の第7部分と第2復路中間容器部の第8部分とが少なくとも一部において重なるように配置されて復路上流開口部と復路下流開口部とが接続され、第2復路中間容器部の第7部分は、復路上流開口部を介して折返し容器部に接続されてもよい。
【0012】
また、上記いずれかの態様において、混合器は、始端容器部から往路中間容器部を経由して折返し容器部に液体が流れる往流路と、折返し容器部から復路中間容器部を経由して終端容器部に液体が流れる復流路とを備え、往流路および復流路は、それぞれ螺旋階段状に延び且つ少なくとも一部が並走してもよい。また、上記いずれかの態様において、混合器は、往路中間容器部の内部空間と復路中間容器部の内部空間とを連通するバイパス通路部を備えてもよい。また、上記いずれかの態様において、始端容器部および終端容器部と、折返し容器部とは鉛直方向に積層され、始端容器部および終端容器部の少なくとも一方は混合器の最上段に配置されて、入口配管および出口配管の少なくとも一方を混合器内のガスを抜くためのガス抜き管として機能させてもよい。
【0013】
また、上記いずれかの態様において、混合器は、第1方向に延びる中空の容器本体と、容器本体の内部空間に配置されて当該内部空間を第1方向に配列される複数の領域に区画する第1仕切り板と、一部の領域を第1方向と交わる平面の面内方向に配列される2つの小領域に区切る第2仕切り板とを備え、複数の領域のうち第1領域は、第2仕切り板によって始端室と終端室とに区切られ、始端室は始端容器部の内部空間を構成し、終端室は終端容器部の内部空間を構成し、少なくとも1つの第2領域を挟んで第1領域と並ぶ第3領域は、折返し容器部の内部空間を構成し、第2領域は、第2仕切り板によって往路中継室と復路中継室とに区切られ、第1領域に隣接する第2領域において、往路中継室は、始端室に対して容器本体の軸周りに一部がずれるように配置されて往路中間容器部の内部空間を構成し、復路中継室は、終端室に対して軸周りに一部がずれるように配置されて復路中間容器部の内部空間を構成し、第1領域と第2領域とを区切る第1仕切り板は、始端室と往路中継室とを連通する貫通孔と、復路中継室と終端室とを連通する貫通孔とを有し、第2領域と第3領域とを区切る第1仕切り板は、往路中継室と第3領域とを連通する貫通孔と、第3領域と復路中継室とを連通する貫通孔とを有してもよい。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、新規な構造を有する混合器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】
図3(A)は、混合器の平面図である。
図3(B)は、混合器の正面図である。
【
図4】
図4(A)は、
図3(B)のA-A線に沿った断面の模式図である。
図4(B)は、
図3(B)のB-B線に沿った断面の模式図である。
図4(C)は、
図3(B)のC-C線に沿った断面の模式図である。
図4(D)は、
図3(B)のD-D線に沿った断面の模式図である。
図4(E)は、
図3(B)のE-E線に沿った断面の模式図である。
図4(F)は、
図3(B)のF-F線に沿った断面の模式図である。
図4(G)は、
図3(B)のG-G線に沿った断面の模式図である。
【
図5】第1液および第2液の流量の経時的な変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、この用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0018】
まず、本実施の形態に係る混合器が組み込まれる装置の一例である血液浄化装置について説明する。
図1は、血液浄化装置の概略構成図である。血液浄化装置1は、体外循環する患者の血液を浄化して透析治療するための装置である。血液浄化装置1は、血液回路6と、血液浄化器8と、透析液流路14と、排液流路16とを有する。
【0019】
血液回路6は、患者の血液を体外循環させる回路であり、例えば可撓性を有するチューブ等で構成される。血液回路6には、血液の流れにおける上流側から下流側に向かって、血液ポンプ10、血液浄化器8、気液分離器12がこの順に設けられる。血液ポンプ10によって、患者の体内から血液浄化器8に対して血液が送られる。血液浄化器8を通過した血液は、気液分離器12によって気泡を除去された後に患者に戻される。
【0020】
血液浄化器8は、例えば複数の中空糸膜が収容されたダイアライザである。中空糸膜は、血液を浄化するための血液浄化膜を構成する。血液浄化器8には、血液回路6と、透析液流路14と、排液流路16とが接続される。これにより、血液浄化器8内には、血液の流れと透析液の流れとが中空糸膜を挟んで形成される。中空糸膜は、外周面と内周面とを貫通する微小な孔を多数有し、中空糸膜を介して拡散や濾過の原理により、血液中の不純物等が透析液内に通過し、透析液中の所定成分が血液内に通過する。
【0021】
透析液流路14は、血液浄化器8に透析液を供給する流路である。透析液流路14には、RO装置(図示せず)からRO水が供給される。RO装置は、逆浸透膜(RO膜)を用いてRO水を製造する装置である。また、透析液流路14には、A原液流路18およびB原液流路20が接続される。
【0022】
A原液流路18は、一端が透析液流路14に接続され、他端がA原液タンク22に接続される。A原液タンク22には、透析液原液であるA原液(A剤)が貯留される。A原液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリウム等の電解質成分、塩酸、酢酸等のpH調整剤、およびグルコース等の糖を含む。A原液流路18には、A原液注入ポンプ24が設けられる。A原液注入ポンプ24は、例えば公知の定量ポンプで構成される。A原液注入ポンプ24の駆動によって、A原液タンク22に貯留されているA原液がA原液流路18を介して透析液流路14に供給される。
【0023】
B原液流路20は、一端が透析液流路14に接続され、他端がB原液タンク26に接続される。B原液流路20は、A原液流路18よりも透析液流路14の上流側に接続される。B原液タンク26には、A原液とは種類の異なる透析液原液であるB原液(B剤)が貯留される。B原液は、炭酸水素ナトリウム等を含む。B原液流路20には、B原液注入ポンプ28が設けられる。B原液注入ポンプ28は、例えば公知の定量ポンプで構成される。B原液注入ポンプ28によって、B原液タンク26に貯留されているB原液がB原液流路20を介して透析液流路14に供給される。
【0024】
透析液流路14には、第1混合器100aおよび第2混合器100bが設けられる。第1混合器100aおよび第2混合器100bは、複数種の液体(流体)を混合する装置である。以下の説明において第1混合器100aと第2混合器100bとを区別する必要がない場合、両者をまとめて混合器100と称する。
【0025】
第1混合器100aは、透析液流路14におけるB原液流路20の接続部より下流側であって、且つA原液流路18の接続部よりも上流側に設けられる。B原液流路20から透析液流路14に供給されたB原液は、第1混合器100aによってRO水と均一に混合される。また、第2混合器100bは、透析液流路14におけるA原液流路18の接続部よりも下流側に設けられる。A原液流路18から透析液流路14に供給されたA原液は、第2混合器100bによってB原液およびRO水の混合液と均一に混合される。これにより、透析液が調製される。
【0026】
血液浄化装置1は、透析液流路14および排液流路16に跨がって設けられる複式ポンプ30(定量ポンプ)を有する。複式ポンプ30は、透析液流路14における第2混合器100bよりも下流側に接続される。複式ポンプ30の駆動により、第1混合器100aにRO水とB原液とが引き込まれ、第2混合器100bにB原液およびRO水の混合液とA原液とが引き込まれる。また、調製された透析液は、複式ポンプ30を介して血液浄化器8に送り出される。
【0027】
排液流路16は、血液浄化器8での血液の浄化により発生する排液を排出する流路である。血液浄化器8で発生する排液は、排液流路16を通って系外に排出される。複式ポンプ30は、血液浄化器8に導入される透析液の量と、血液浄化器8から排出される排液の量とが等しくなるように動作する。また、排液流路16には、複式ポンプ30をバイパスするように除水流路32が設けられる。除水流路32には、除水ポンプ34が設けられる。除水ポンプ34が駆動すると、血液浄化器8に導入される透析液の量よりも血液浄化器8から排出される排液の量が多くなる。これにより、血液からの除水が行われる。
【0028】
なお、
図1に示す血液浄化装置1の構成はあくまでも一例であり、血液浄化装置1の構成は適宜変更することができる。また、本実施の形態に係る混合器100は、血液浄化装置1に限らず、化学品、工業製品、医薬品、食品、バイオ製品等の各種製品の製造装置に組み込まれてもよい。
【0029】
続いて、混合器100の構造について詳細に説明する。第1混合器100aおよび第2混合器100bは同一の構造を有するため、以下では第1混合器100aの構造を混合器100の構造として説明し、第2混合器100bについては説明を省略する。
【0030】
図2は、混合器100の斜視図である。
図3(A)は、混合器100の平面図である。
図3(B)は、混合器100の正面図である。
図4(A)は、
図3(B)のA-A線に沿った断面の模式図である。
図4(B)は、
図3(B)のB-B線に沿った断面の模式図である。
図4(C)は、
図3(B)のC-C線に沿った断面の模式図である。
図4(D)は、
図3(B)のD-D線に沿った断面の模式図である。
図4(E)は、
図3(B)のE-E線に沿った断面の模式図である。
図4(F)は、
図3(B)のF-F線に沿った断面の模式図である。
図4(G)は、
図3(B)のG-G線に沿った断面の模式図である。
【0031】
図2および
図3(B)では、理解を容易にするために、混合器100の内部を透視して示している。
図4(A)~
図4(G)において、○の中に×を付した記号は、図面(紙面)の手前側から奥側に向かう方向を示し、○の中に・を付した記号は、図面の奥側から手前側に向かう方向を示す。
【0032】
混合器100は、始端容器部102と、終端容器部104と、折返し容器部106とを備える。始端容器部102は、液体を混合器100に流入させる入口配管36が接続される。終端容器部104は、第1方向から見て始端容器部102とずれるように配置され、混合器100から液体を流出させる出口配管38が接続される。なお、入口配管36および出口配管38は、混合器100の一部と解釈する場合もあり得る。前記「ずれる」とは、始端容器部102および終端容器部104の少なくとも一部が第1方向から見て重ならないことを意味する。本実施の形態では、始端容器部102および終端容器部104の全体が第1方向から見て重ならないように配置されているが、特にこの構成に限定されない。
【0033】
折返し容器部106は、始端容器部102および終端容器部104と第1方向に配列される。また、折返し容器部106は、始端容器部102および終端容器部104が折返し容器部106に対して第1方向で同じ側に位置するように配置される。
【0034】
本実施の形態において、第1方向は鉛直方向Zである。また、以下の説明では、鉛直方向Zと直交するとともに、互いに直交する2つの水平方向を第1水平方向Xおよび第2水平方向Yとする。始端容器部102および終端容器部104は、鉛直方向Zから見て第1水平方向Xにずれて配置され、且つ折返し容器部106よりも上方に配置される。さらに本実施の形態では、始端容器部102と終端容器部104とは、鉛直方向Zの位置が一致するように、つまり第1水平方向Xに並ぶように配置される。
【0035】
始端容器部102、終端容器部104および折返し容器部106は、それぞれ中空構造であり、液体が流れる内部空間Rを有する。各内部空間Rの容積は、混合器100に流入する液体の流量に応じて、適宜調整される。折返し容器部106は、その内部空間Rが始端容器部102の内部空間Rおよび終端容器部104の内部空間Rに連通され、始端容器部102側から流れてくる液体を終端容器部104側に流す。
【0036】
また、始端容器部102は、第1方向と交わる平面の面内方向に並ぶ第1部分102aおよび第2部分102bを有する。本実施の形態では、第1部分102aおよび第2部分102bは、鉛直方向Zと直交するXY平面の面内方向(つまり水平面方向)に並ぶ。第1部分102aは、入口配管36との接続部108を有する。接続部108は、第1部分102aの側面に設けられる貫通孔で構成される。第2部分102bは、始端容器部102内の液体を折返し容器部106側に流出させるための流出開口部110を有する。流出開口部110は、第2部分102bの下面(底面)に設けられる。
【0037】
終端容器部104は、第1方向と交わる平面の面内方向に並ぶ第3部分104aおよび第4部分104bを有する。本実施の形態では、第3部分104aおよび第4部分104bは、鉛直方向Zと直交するXY平面の面内方向に並ぶ。第3部分104aは、折返し容器部106側から流れてくる液体を終端容器部104内に流入させるための流入開口部112を有する。流入開口部112は、第3部分104aの下面に設けられる。また、第3部分104aは、出口配管38との接続部114を有する。接続部114は、第3部分104aの側面に設けられる貫通孔で構成される。
【0038】
第1部分102aおよび第2部分102bと、第3部分104aおよび第4部分104bとは、それぞれ同じ方向に並び、第1部分102aと第3部分104aとが隣接する。本実施の形態では、第1部分102aおよび第2部分102bは、第2水平方向Yに並ぶ。同様に、第3部分104aおよび第4部分104bは、第2水平方向Yに並ぶ。そして、第1部分102aおよび第3部分104aは、第1水平方向Xに並ぶ。同様に、第2部分102bおよび第4部分104bは、第1水平方向Xに並ぶ。
【0039】
また、混合器100は、少なくとも1つの往路中間容器部116と、少なくとも1つの復路中間容器部118とを備える。往路中間容器部116は、第1方向において始端容器部102と折返し容器部106との間に配列される。復路中間容器部118は、第1方向において折返し容器部106と終端容器部104との間に配列される。
【0040】
往路中間容器部116は、第1方向と交わる平面の面内方向に並ぶ第5部分116aおよび第6部分116bを有する。本実施の形態では、第5部分116aおよび第6部分116bは、鉛直方向Zと直交するXY平面の面内方向に並ぶ。第5部分116aは、始端容器部102側から流れてくる液体を往路中間容器部116内に流入させるための往路上流開口部120を有する。往路上流開口部120は、第5部分116aの上面(天面)に設けられる。第6部分116bは、往路中間容器部116内の液体を折返し容器部106側に流出させるための往路下流開口部122を有する。往路下流開口部122は、第6部分116bの下面に設けられる。
【0041】
復路中間容器部118は、第1方向と交わる平面の面内方向に並ぶ第7部分118aおよび第8部分118bを有する。本実施の形態では、第7部分118aおよび第8部分118bは、鉛直方向Zと直交するXY平面の面内方向に並ぶ。第7部分118aは、折返し容器部106側から流れてくる液体を復路中間容器部118内に流入させるための復路上流開口部124を有する。復路上流開口部124は、第7部分118aの下面に設けられる。第8部分118bは、復路中間容器部118内の液体を終端容器部104側に流出させるための復路下流開口部126を有する。復路下流開口部126は、第8部分118bの上面に設けられる。
【0042】
本実施の形態の混合器100は、2つの往路中間容器部116と、2つの復路中間容器部118とを備える。往路中間容器部116は、始端容器部102に隣接する第1往路中間容器部116Iと、第1方向において第1往路中間容器部116Iと折返し容器部106との間に配列される第2往路中間容器部116IIを含む。復路中間容器部118は、終端容器部104に隣接する第1復路中間容器部118Iと、第1方向において第1復路中間容器部118Iと折返し容器部106との間に配列される第2復路中間容器部118IIとを含む。
【0043】
したがって、始端容器部102、第1往路中間容器部116I、第2往路中間容器部116IIおよび折返し容器部106は、この順に上から並ぶ。また、折返し容器部106、第2復路中間容器部118II、第1復路中間容器部118Iおよび終端容器部104は、この順に下から並ぶ。
【0044】
以下の説明では、第1往路中間容器部116Iが有する第5部分116aおよび第6部分116bを第5部分116aIおよび第6部分116bIとし、第2往路中間容器部116IIが有する第5部分116aおよび第6部分116bを第5部分116aIIおよび第6部分116bIIとする。また、第1復路中間容器部118Iが有する第7部分118aおよび第8部分118bを第7部分118aIおよび第8部分118bIとし、第2復路中間容器部118IIが有する第7部分118aおよび第8部分118bを第7部分118aIIおよび第8部分118bIIとする。
【0045】
始端容器部102および終端容器部104は、第1方向に延びる軸128を挟んで面内方向に並ぶ。第1往路中間容器部116Iおよび第1復路中間容器部118Iは、軸128を挟んで且つ始端容器部102および終端容器部104が並ぶ方向(第1水平方向X)とは軸周りに、つまり軸128の周方向にずれた方向に並ぶ。
【0046】
始端容器部102と第1往路中間容器部116Iとは、第1方向において第2部分102bと第5部分116aIとが少なくとも一部において重なるように配置される。そして、流出開口部110と往路上流開口部120とが接続される。これにより、始端容器部102の内部空間Rと第1往路中間容器部116Iの内部空間Rとが連通する。
【0047】
終端容器部104と第1復路中間容器部118Iとは、第1方向において第3部分104aと第8部分118bIとが少なくとも一部において重なるように配置される。そして、流入開口部112と復路下流開口部126とが接続される。これにより、第1復路中間容器部118Iの内部空間Rと終端容器部104の内部空間Rとが連通する。
【0048】
第2往路中間容器部116IIおよび第2復路中間容器部118IIは、軸128を挟んで且つ第1往路中間容器部116Iおよび第1復路中間容器部118Iが並ぶ方向とは軸周りにずれた方向に並ぶ。始端容器部102および終端容器部104が並ぶ方向に対する第1往路中間容器部116Iおよび第1復路中間容器部118Iが並ぶ方向のずれと、第1往路中間容器部116Iおよび第1復路中間容器部118Iが並ぶ方向に対する第2往路中間容器部116IIおよび第2復路中間容器部118IIが並ぶ方向のずれは、同じ軸周り方向である。
【0049】
例えば、第1往路中間容器部116Iは、始端容器部102に対して軸周り方向に120°ずれ、第2往路中間容器部116IIは、第1往路中間容器部116Iに対して同じ軸周り方向に120°ずれる。同様に、第1復路中間容器部118Iは、終端容器部104に対して軸周り方向に120°ずれ、第2復路中間容器部118IIは、第1復路中間容器部118Iに対して同じ軸周り方向に120°ずれる。
【0050】
第1往路中間容器部116Iと第2往路中間容器部116IIとは、第1方向において第6部分116bIと第5部分116aIIとが少なくとも一部において重なるように配置される。そして、第6部分116bIの往路下流開口部122と第5部分116aIIの往路上流開口部120とが接続される。これにより、第1往路中間容器部116Iの内部空間Rと第2往路中間容器部116IIの内部空間Rとが連通する。また、第2往路中間容器部116IIの第6部分116bIIは、往路下流開口部122を介して折返し容器部106に接続される。
【0051】
折返し容器部106の上面における、第1方向で第6部分116bIIの往路下流開口部122と重なる位置には、折返し上流開口部125が設けられる。第6部分116bIIの往路下流開口部122は、折返し容器部106の折返し上流開口部125に接続される。これにより、第2往路中間容器部116IIの内部空間Rと折返し容器部106の内部空間Rとが連通する。
【0052】
第1復路中間容器部118Iと第2復路中間容器部118IIとは、第1方向において第7部分118aIと第8部分118bIIとが少なくとも一部において重なるように配置される。そして、第7部分118aIの復路上流開口部124と第8部分118bIIの復路下流開口部126とが接続される。これにより、第1復路中間容器部118Iの内部空間Rと第2復路中間容器部118IIの内部空間Rとが連通する。また、第2復路中間容器部118IIの第7部分118aIIは、復路上流開口部124を介して折返し容器部106に接続される。
【0053】
折返し容器部106の上面における、第1方向で第7部分118aIIの復路上流開口部124と重なる位置には、折返し下流開口部127が設けられる。第7部分118aIIの復路上流開口部124は、折返し容器部106の折返し下流開口部127に接続される。これにより、第2復路中間容器部118IIの内部空間Rと折返し容器部106の内部空間Rとが連通する。折返し上流開口部125と折返し下流開口部127とは、軸128を挟んで反対側、つまり軸周り方向に180°ずれている。
【0054】
図4(A)~
図4(G)に示すように、混合器100の内部には、始端容器部102から往路中間容器部116を経由して折返し容器部106に液体が流れる往流路FP1と、折返し容器部106から復路中間容器部118を経由して終端容器部104に液体が流れる復流路FP2とが形成される。往流路FP1および復流路FP2は、始端容器部102、終端容器部104、折返し容器部106、往路中間容器部116および復路中間容器部118の各内部空間Rと、各内部空間Rを連通する各開口部とで構成される。往流路FP1および復流路FP2は、それぞれ螺旋階段状に延び且つ少なくとも一部が並走する。
【0055】
つまり、往流路FP1および復流路FP2は、水平方向に延びる部分と鉛直方向に延びる部分とが交互に連結され、且つ水平方向に延びる部分の延伸方向が一段ごとに軸128の周方向にずれた形状を有する。具体的には、往流路FP1は、始端容器部102の第1部分102aおよび第2部分102b、第1往路中間容器部116Iの第5部分116aIおよび第6部分116bI、第2往路中間容器部116IIの第5部分116aIIおよび第6部分116bII、ならびに折返し容器部106の各内部空間Rと、これらの内部空間Rをつなぐ流出開口部110、往路上流開口部120、往路下流開口部122および折返し上流開口部125とで構成される。
【0056】
往流路FP1は、第1部分102aおよび第2部分102bにおいて水平方向に延び、第2部分102bおよび第5部分116aIにおいて一段下がり、第5部分116aIおよび第6部分116bIにおいて水平方向に延び、第6部分116bIおよび第5部分116aIIにおいて一段下がり、第5部分116aIIおよび第6部分116bIIにおいて水平方向に延び、第6部分116bIIおよび折返し容器部106において一段下がる。往流路FP1の水平方向に延びる部分は、往流路FP1が一段下がる毎に、延びる方向が軸128周りに且つ時計回り方向に徐々にずれていく。したがって、往流路FP1は、螺旋階段状に延びている。
【0057】
往流路FP1の終端は、折返し容器部106の内部空間Rにおいて復流路FP2の始端につながる。往流路FP1の終端と復流路FP2の始端とは、軸128を挟んで反対側に位置する。したがって、往流路FP1を流れて折返し容器部106に流入した液体は、折返し容器部106の内部空間Rを水平方向に流れて復流路FP2の始端に至る。
【0058】
復流路FP2は、折返し容器部106、第2復路中間容器部118IIの第7部分118aIIおよび第8部分118bII、第1復路中間容器部118Iの第7部分118aIおよび第8部分118bI、ならびに終端容器部104の第3部分104aの各内部空間Rと、これらの内部空間Rをつなぐ折返し下流開口部127、復路上流開口部124、復路下流開口部126および流入開口部112とで構成される。
【0059】
復流路FP2は、折返し容器部106および第7部分118aIIにおいて一段上がり、第7部分118aIIおよび第8部分118bIIにおいて水平方向に延び、第8部分118bIIおよび第7部分118aIにおいて一段上がり、第7部分118aIおよび第8部分118bIにおいて水平方向に延び、第8部分118bIおよび第3部分104aにおいて一段上がる。復流路FP2の水平方向に延びる部分は、復流路FP2が一段上がる毎に、延びる方向が軸128周りに且つ反時計回り方向に徐々にずれていく。したがって、復流路FP2は、螺旋階段状に延びている。なお、終端容器部104に流入した液体の一部は終端容器部104の第4部分104bにも広がり得る。このため、第4部分104bも復流路FP2の一部を構成していると解釈することもできる。
【0060】
往流路FP1を構成する始端容器部102と復流路FP2を構成する終端容器部104とは、第1水平方向Xに隣接している。同様に、第1往路中間容器部116Iと第1復路中間容器部118Iとも隣接し、第2往路中間容器部116IIと第2復路中間容器部118IIとも隣接している。したがって、往流路FP1における始端容器部102から第2往路中間容器部116IIまでの区間と、復流路FP2における第2復路中間容器部118IIから終端容器部104までの区間とは、互いに並走する。
【0061】
入口配管36は、接続部108を介して始端容器部102の内部空間Rに連通される。入口配管36内には第1液が流れる。また、入口配管36には、第2液流路37が接続される。したがって、始端容器部102の内部空間Rには、第1液と、第2液とが流れ込む。
【0062】
始端容器部102の内部空間Rに流入した液体は、流出開口部110および往路上流開口部120を介して第1往路中間容器部116Iの内部空間Rに下降する。第1往路中間容器部116Iの内部空間Rに流入した液体は、往路下流開口部122および往路上流開口部120を介して第2往路中間容器部116IIの内部空間Rに下降する。第2往路中間容器部116IIの内部空間Rに流入した液体は、往路下流開口部122および折返し上流開口部125を介して折返し容器部106の内部空間Rに下降する。
【0063】
折返し容器部106の内部空間Rに流入した液体は、折返し下流開口部127および復路上流開口部124を介して第2復路中間容器部118IIの内部空間Rに上昇する。第2復路中間容器部118IIの内部空間Rに流入した液体は、復路下流開口部126および復路上流開口部124を介して第1復路中間容器部118Iの内部空間Rに上昇する。第1復路中間容器部118Iの内部空間Rに流入した液体は、復路下流開口部126および流入開口部112を介して終端容器部104の内部空間Rに上昇する。出口配管38は、接続部114を介して終端容器部104の内部空間Rに連通される。したがって、終端容器部104の内部空間Rに流入した液体は、出口配管38に流入して混合器100の下流側に送られる。混合器100に流入した複数種の液体は、螺旋を描きながら混合器100内を通過する過程で均一に混合される。
【0064】
各開口部の面積(鉛直方向Zから見た開口面積、あるいは流路断面積)は、小さくするほど各容器部内での液体の攪拌を促進することができる。このため、混合器100の混合性能を高める観点からは、各開口部の面積は小さい方が好ましい。一方で、各開口部の面積が小さくなると、液体が混合器100を通過する際の圧力損失が増大する。圧力損失が増大すると、液体を循環させるためにより強力なポンプが必要となるためコスト増につながり得る。また、混合器100が組み込まれる装置のエネルギー効率が低下し得る。このため、装置全体のコストを低減する観点からは、各開口部の面積は大きい方が好ましい。したがって、各開口部の面積は、混合器100の混合性能と圧力損失とのバランスを考慮して設定される。
【0065】
混合器100は、往路中間容器部116の内部空間Rと復路中間容器部118の内部空間Rとを連通するバイパス通路部130を備える。本実施の形態の混合器100は、バイパス通路部130として第1バイパス通路部130aおよび第2バイパス通路部130bを有する。
【0066】
第1バイパス通路部130aは、第1往路中間容器部116Iの内部空間Rと第1復路中間容器部118Iの内部空間Rとを連通する。第1バイパス通路部130aは、互いに対向する第1往路中間容器部116Iおよび第1復路中間容器部118Iの側面を貫通する貫通孔で構成される。第2バイパス通路部130bは、第2往路中間容器部116IIの内部空間Rと第2復路中間容器部118IIの内部空間Rとを連通する。第2バイパス通路部130bは、互いに対向する第2往路中間容器部116IIおよび第2復路中間容器部118IIの側面を貫通する貫通孔で構成される。
【0067】
始端容器部102から第1往路中間容器部116Iに流入した液体は、一部が往路下流開口部122および往路上流開口部120を介して第2往路中間容器部116IIに流入し、他の一部が第1バイパス通路部130aを介して第1復路中間容器部118Iに流入する。したがって、第1往路中間容器部116Iに流入した液体の一部は、先行して第1復路中間容器部118Iに流入した液体に合流する。これにより、先発の液体と後発の液体の一部とを第1復路中間容器部118I内で混合することができる。
【0068】
第1往路中間容器部116Iから第2往路中間容器部116IIに流入した液体は、一部が往路下流開口部122および折返し上流開口部125を介して折返し容器部106に流入し、他の一部が第2バイパス通路部130bを介して第2復路中間容器部118IIに流入する。したがって、第2往路中間容器部116IIに流入した液体の一部は、先行して第2復路中間容器部118IIに流入した液体に合流する。これにより、先発の液体と後発の液体の一部とを第2復路中間容器部118II内で混合することができる。
【0069】
混合器100内の液体の流路において、往路中間容器部116は復路中間容器部118よりも上流側に位置する。このため、通常は往路中間容器部116内の液圧の方が復路中間容器部118内の液圧よりも高くなる。よって、液体は、バイパス通路部130を往路中間容器部116から復路中間容器部118に向かって流れる。バイパス通路部130の大きさ(開口面積あるいは流路断面積)は、混合器100の混合性能および圧力損失等を考慮して、設計者による実験やシミュレーションに基づき適宜設定することが可能である。
【0070】
混合器100が血液浄化装置1に組み込まれる場合、入口配管36および出口配管38は、透析液流路14の一部を構成する。また、混合器100が第1混合器100aである場合、入口配管36内には第1液としてRO水が流れる。また、第2液流路37は、B原液流路20に該当し、第2液としてB原液が流れる。混合器100が第2混合器100bである場合、入口配管36内には第1液として、第1混合器100aで調製されたRO水およびB原液の混合液が流れる。また、第2液流路37は、A原液流路18に該当し、第2液としてA原液が流れる。また、これらの場合、第2液流路37にはB原液注入ポンプ28またはA原液注入ポンプ24が設けられ、出口配管38には複式ポンプ30が設けられる。
【0071】
A原液注入ポンプ24、B原液注入ポンプ28および複式ポンプ30はそれぞれ、周期的に液体の送出と停止とを繰り返す。このため、
図5に示すように、混合器100に流入する第1液および第2液の流量は、それぞれ周期的に変化する。
図5は、第1液および第2液の流量の経時的な変化を示す図である。例えば、第1液はRO水であり、第2液はB原液である。あるいは、第1液はRO水およびB原液の混合液であり、第2液はA原液である。
【0072】
各ポンプが異なる周期で液体の送出と停止とを繰り返す場合、第1液および第2液の混合器100への流入状態は、以下の4つの状態に分けられる。つまり、第1液および第2液の両方が混合器100に流入する状態(i)と、第1液のみが混合器100に流入する状態(ii)と、第1液および第2液の両方が混合器100に流入しない状態(iii)と、第2液のみが混合器100に流入する状態(iv)である。したがって、混合器100に流入する液体における第1液および第2液の比率は経時的に変化する。
【0073】
第1液と第2液とが常に一定量で流入することを前提としている従来のスタティックミキサーでは、状態(ii)~(iv)のときに第1液と第2液とを均等に混合することができなかった。これに対し、本実施の形態の混合器100によれば、先発の液体と後発の液体の一部とを復路中間容器部118内で混合することができる。つまり、混合器100は、第1液と第2液との比率が異なる液体どうしを混合することができる。よって、より均質な透析液を調製することができる。
【0074】
第1バイパス通路部130aは、第6部分116bIの側面に設けられる。つまり、第1バイパス通路部130aは、第1往路中間容器部116Iの下流側の側面に設けられる。これにより、上流側に位置する第5部分116aIの側面に第1バイパス通路部130aが設けられる場合に比べて、混合器100の混合性能を高めることができる。同様に、第2バイパス通路部130bは、第6部分116bIIの側面に設けられる。つまり、第2バイパス通路部130bは、第2往路中間容器部116IIの下流側の側面に設けられる。これにより、上流側に位置する第5部分116aIIの側面に第2バイパス通路部130bが設けられる場合に比べて、混合器100の混合性能を高めることができる。
【0075】
本実施の形態において、始端容器部102および終端容器部104と、往路中間容器部116および復路中間容器部118と、折返し容器部106とは鉛直方向Zに積層される。そして、始端容器部102および終端容器部104は混合器100の最上段に配置される。したがって、入口配管36および出口配管38は、最上段に位置する容器部に接続される。これにより、入口配管36および出口配管38を混合器100内のガスを抜くためのガス抜き管として機能させることができる。
【0076】
例えば、混合器100を初めて使用する際に、入口配管36から混合器100にRO水等の液体を流入させることで、混合器100内に溜まっている空気を出口配管38から追い出すことができる。あるいは、入口配管36から混合器100にRO水等の液体を流入させ、液体の流れを止めて混合器100を手で傾けることで、入口配管36および/または出口配管38から空気を追い出すことができる。
【0077】
入口配管36は、始端容器部102の側面に接続される。これにより、始端容器部102の上面に入口配管36を接続する場合に比べて、入口配管36から流出開口部110に直線的に向かう液体の量、つまり始端容器部102内での混合が十分なされずに流出開口部110に流入する短絡流の量を低減することができる。したがって、混合器100の混合性能を高めることができる。
【0078】
また、入口配管36の始端容器部102への接続位置、言い換えれば接続部108の位置は、始端容器部102に接続される入口配管36の端部の上端が始端容器部102の上面に可能な限り近い位置とされる。例えば、入口配管36は、当該上端が始端容器部102の上面とほぼ面一となるように接続される。これにより、混合器100内のガスをより円滑に、且つより確実に入口配管36から排出させることができる。また、始端容器部102の内部空間Rのより広い範囲を第1液と第2液との混合に利用することができる。したがって、混合器100の混合性能を高めることができる。
【0079】
出口配管38は、終端容器部104の側面に接続される。これにより、終端容器部104の上面に出口配管38を接続する場合に比べて、流入開口部112から出口配管38に直線的に向かう液体の量、つまり終端容器部104内での混合が十分なされずに出口配管38に流入する短絡流の量を低減することができる。したがって、混合器100の混合性能を高めることができる。
【0080】
また、出口配管38の終端容器部104への接続位置、言い換えれば接続部114の位置は、終端容器部104に接続される出口配管38の端部の上端が終端容器部104の上面に可能な限り近い位置とされる。例えば、出口配管38は、当該上端が終端容器部104の上面とほぼ面一となるように接続される。これにより、混合器100内のガスをより円滑に、且つより確実に出口配管38から排出させることができる。また、終端容器部104の内部空間Rのより広い範囲を第1液と第2液との混合に利用することができる。したがって、混合器100の混合性能を高めることができる。
【0081】
本実施の形態の混合器100は、中空構造を有する容器本体と、容器本体の内部空間を分割する複数の仕切り板とで構成されると捉えることもできる。つまり、混合器100は、容器本体132と、第1仕切り板134と、第2仕切り板136と、軸128とを備える。
【0082】
容器本体132は、第1方向(本実施の形態では鉛直方向Z)に延びる中空の容器である。例えば容器本体132は、中空構造を有する円柱状、言い換えれば両端が閉塞した円筒状である。軸128は、柱状の部材であり、容器本体132の中心軸と重なるように配置される。
【0083】
第1仕切り板134は、容器本体132の内部空間に配置されて、当該内部空間を第1方向に配列される複数の領域に区画する。第1仕切り板134は、軸128に固定される。本実施の形態では、それぞれが水平方向に広がる3枚の第1仕切り板134a~134cによって、容器本体132の内部空間が鉛直方向Zに並ぶ4つの領域に区画される。
【0084】
複数の領域のうち、最上段の第1領域は、始端容器部102および終端容器部104の内部空間Rを構成する。上から二段目および三段目の第2領域は、往路中間容器部116および復路中間容器部118の内部空間Rを構成する。より具体的には、二段目の第2領域は、第1往路中間容器部116Iおよび第1復路中間容器部118Iの内部空間Rを構成し、三段目の第2領域は、第2往路中間容器部116IIおよび第2復路中間容器部118IIの内部空間Rを構成する。2つの第2領域を挟んで最上段の第1領域と並ぶ第3領域、つまり最下段の第3領域は、折返し容器部106の内部空間Rを構成する。
【0085】
第2仕切り板136は、第1仕切り板134で区画される一部の領域を第1方向と交わる平面の面内方向に配列される2つの小領域に区切る。第2仕切り板136は、軸128に固定される。本実施の形態では、最下段の第3領域を除く3つの領域に第2仕切り板136a~136cが設けられる。第2仕切り板136a~136cは、それぞれ鉛直方向Zに延び、各領域を水平方向に配列される2つの小領域に区切る。
【0086】
第1領域は、第2仕切り板136aによって始端室R1と終端室R2とに区切られる。始端室R1は、始端容器部102の内部空間Rを構成し、終端室R2は、終端容器部104の内部空間Rを構成する。始端室R1には接続部108を介して入口配管36が連通され、終端室R2には接続部114を介して出口配管38が連通される。例えば、入口配管36との接続部108は、第2仕切り板136aに対して容器本体132の軸周り(言い換えれば軸128の周方向)且つ時計回りに30°ずれた位置に設けられ、出口配管38との接続部114は、第2仕切り板136aに対して軸周り且つ反時計回りに30°ずれた位置に設けられる。したがって、接続部108と接続部114とのなす角度は60°である。接続部108と接続部114との間に第2仕切り板136aが設けられることで、入口配管36から始端室R1に流入する液体が直に出口配管38に向かうことが抑制される。
【0087】
上から二段目および三段面の第2領域は、第2仕切り板136b,136cによって往路中継室R3と復路中継室R4とに区切られる。往路中継室R3は、往路中間容器部116の内部空間Rを構成し、復路中継室R4は、復路中間容器部118の内部空間Rを構成する。より具体的には二段目の第2領域において、往路中継室R3は、第1往路中間容器部116Iの内部空間Rを構成し、復路中継室R4は、第1復路中間容器部118Iの内部空間Rを構成する。また、三段目の第2領域において、往路中継室R3は、第2往路中間容器部116IIの内部空間Rを構成し、復路中継室R4は、第2復路中間容器部118IIの内部空間Rを構成する。
【0088】
二段目の第2領域に設けられる第2仕切り板136bは、第1領域に設けられる第2仕切り板136aに対して、容器本体132の軸周りにずれて配置される。例えば、第2仕切り板136bは、第2仕切り板136aに対して時計回りに120°ずれる。したがって、第1領域に隣接する二段目の第2領域において、往路中継室R3は、始端室R1に対して軸周りに一部がずれるように配置される。また、復路中継室R4は、終端室R2に対して容器本体132の軸周りに一部がずれるように配置される。往路中継室R3と復路中継室R4との間に第2仕切り板136bが設けられることで、往路中継室R3内の液体が直に復路中継室R4に向かうことが抑制される。
【0089】
第1領域と第2領域とを区切る第1仕切り板134aは、始端室R1と往路中継室R3とを連通する貫通孔138と、復路中継室R4と終端室R2とを連通する貫通孔140とを有する。始端室R1と往路中継室R3とを連通する貫通孔138は、始端容器部102の流出開口部110と第1往路中間容器部116Iの往路上流開口部120とを構成する。貫通孔138は、例えば中心角が60°の扇形であり、その中心が接続部108から時計回りに120°ずれた位置に設けられる。復路中継室R4と終端室R2とを連通する貫通孔140は、第1復路中間容器部118Iの復路下流開口部126と終端容器部104の流入開口部112とを構成する。貫通孔140は、例えば中心角が60°の扇形であり、その中心が接続部114の近傍に設けられる。また、貫通孔138の中心と貫通孔140の中心とは、180°ずれている。
【0090】
上から三段目の第2領域に設けられる第2仕切り板136cは、二段目の第2領域に設けられる第2仕切り板136bに対して、軸周りにずれて配置される。例えば、第2仕切り板136cは、第2仕切り板136bに対して時計回りに120°ずれる。したがって、上から三段目の第2領域において、往路中継室R3は、二段目の往路中継室R3に対して容器本体132の軸周りに一部がずれるように配置される。また、復路中継室R4は、二段目の復路中継室R4に対して容器本体132の軸周りに一部がずれるように配置される。往路中継室R3と復路中継室R4との間に第2仕切り板136cが設けられることで、往路中継室R3内の液体が直に復路中継室R4に向かうことが抑制される。
【0091】
二段目の第2領域と三段目の第2領域とを区切る第1仕切り板134bは、上下の往路中継室R3を連通する貫通孔142と、上下の復路中継室R4を連通する貫通孔144とを有する。上下の往路中継室R3を連通する貫通孔142は、第1往路中間容器部116Iの往路下流開口部122と第2往路中間容器部116IIの往路上流開口部120とを構成する。貫通孔142は、例えば中心角が60°の扇形であり、その中心が貫通孔138の中心から時計回りに120°ずれた位置に設けられる。上下の復路中継室R4を連通する貫通孔144は、第2復路中間容器部118IIの復路下流開口部126と第1復路中間容器部118Iの復路上流開口部124とを構成する。貫通孔144は、例えば中心角が60°の扇形であり、その中心が貫通孔140の中心から時計回りに120°ずれた位置に設けられる。また、貫通孔142の中心と貫通孔144の中心とは、180°ずれている。
【0092】
最下段の第3領域は、第2仕切り板136で区切られておらず、全体が折返し容器部106の内部空間Rを構成する。三段目の第2領域と第3領域とを区切る第1仕切り板134cは、往路中継室R3と第3領域とを連通する貫通孔146と、第3領域と復路中継室R4とを連通する貫通孔148とを有する。
【0093】
往路中継室R3と第3領域とを連通する貫通孔146は、第2往路中間容器部116IIの往路下流開口部122と折返し容器部106の折返し上流開口部125とを構成する。貫通孔146は、例えば中心角が60°の扇形であり、その中心が貫通孔142の中心から時計回りに120°ずれた位置に設けられる。第3領域と復路中継室R4を連通する貫通孔148は、折返し容器部106の折返し下流開口部127と第2復路中間容器部118IIの復路上流開口部124とを構成する。貫通孔148は、例えば中心角が60°の扇形であり、その中心が貫通孔144の中心から時計回りに120°ずれた位置に設けられる。また、貫通孔146の中心と貫通孔148の中心とは、180°ずれている。
【0094】
第2仕切り板136bには、二段目の第2領域の往路中継室R3と復路中継室R4とを連通する第1バイパス通路部130aが設けられる。このため、往路中継室R3内の液体の一部は、三段目の往路中継室R3に流れることなく二段目の復路中継室R4に流入する。第1バイパス通路部130aは、第2仕切り板136bを厚み方向に貫通する貫通孔で構成される。本実施の形態では、3つの第1バイパス通路部130aが鉛直方向Zに等間隔に配列されている。また、第1バイパス通路部130aは、第2仕切り板136bにおいて貫通孔138よりも貫通孔142に近い領域に設けられる。より具体的には、第2仕切り板136bにおいて軸128よりも貫通孔142側の領域に設けられる。
【0095】
第2仕切り板136cには、三段目の第2領域の往路中継室R3と復路中継室R4とを連通する第2バイパス通路部130bが設けられる。このため、往路中継室R3内の液体の一部は、第3領域に流れることなく三段目の復路中継室R4に流入する。第2バイパス通路部130bは、第2仕切り板136cを厚み方向に貫通する貫通孔で構成される。本実施の形態では、3つの第2バイパス通路部130bが鉛直方向Zに等間隔に配列されている。また、第2バイパス通路部130bは、第2仕切り板136cにおいて貫通孔142よりも貫通孔146に近い領域に設けられる。より具体的には、第2仕切り板136cにおいて軸128よりも貫通孔146側の領域に設けられる。
【0096】
上記構造の混合器100において、始端容器部102および終端容器部104は、容器本体132の上面および側面と、第1仕切り板134aと、第2仕切り板136aとで区画される。第1往路中間容器部116Iおよび第1復路中間容器部118Iは、第1仕切り板134aと、容器本体132の側面と、第1仕切り板134bと、第2仕切り板136bとで区画される。第2往路中間容器部116IIおよび第2復路中間容器部118IIは、第1仕切り板134bと、容器本体132の側面と、第1仕切り板134cと、第2仕切り板136cとで区画される。折返し容器部106は、第1仕切り板134cと、容器本体132の側面および下面とで区画される。
【0097】
このような構造を有する混合器100は、例えば以下のようにして作製することができる。まず、第1方向に長い有底筒状の容器と、容器の開口を塞ぐ蓋部材とが用意される。容器と蓋部材は、容器本体132を構成する。また、軸128に第1仕切り板134a~134cおよび第2仕切り板136a~136cを固定した仕切り部材も用意される。そして、容器の開口から仕切り部材が挿入され、開口が蓋部材で封止されることで、混合器100が得られる。
【0098】
以上説明したように、本実施の形態に係る混合器100は、液体を混合器100に流入させる入口配管36が接続される始端容器部102と、第1方向から見て始端容器部102とずれるように配置され、混合器100から液体を流出させる出口配管38が接続される終端容器部104と、始端容器部102および終端容器部104と第1方向に配列され、且つ始端容器部102および終端容器部104が第1方向で同じ側に位置するように配置される折返し容器部106であって、折返し容器部106の内部空間Rが始端容器部102の内部空間Rおよび終端容器部104の内部空間Rに連通され、始端容器部102側から流れてくる液体を終端容器部104側に流す折返し容器部106とを備える。
【0099】
入口配管36から始端容器部102に液体を流し込み、始端容器部102内の液体を折返し容器部106を経由して終端容器部104に流すことで、液体を第1方向と交わる平面の面内方向に移動させながら第1方向に往復移動させることができる。これにより、複数種の液体を均一に混合することができる。
【0100】
また、上流側混合部と、下流側混合部と、両者をつなぐ連結管とを備え、上流側混合部に複数の流入管が挿入され、下流側混合部に複数の流出管が挿入された構造を有する従来の混合器では、混合器の上流ラインには複数の流入管に接続される分岐構造を、混合器の下流ラインには複数の流出管に接続される分岐構造を、それぞれ設ける必要があった。このため、混合器を組み込んだ装置の構造が複雑であった。
【0101】
これに対し、本実施の形態の混合器100では、入口配管36および出口配管38に分岐構造を設ける必要がない。このため、混合器100が組み込まれる血液浄化装置1の構造の簡素化を図ることができる。また、従来の混合器に比べて部品点数を減らすことができる。また、混合器100は、筒状の容器内に複数枚の仕切り板が設けられただけの簡単な構造で実現することができる。よって、混合器100自体の構造の簡素化を図ることができる。また、混合器100ひいては血液浄化装置1の設計コストも低減することができる。これにより、最終製品の調製にかかるコストを低減することができる。
【0102】
また、本実施の形態の混合器100は、従来の混合器に比べて外形がシンプルであるため、混合器100自体の寸法を小さくすることが容易である。また、上述した従来の混合器では、2つの混合部をつなぐ連結管の径を流入管や流出管の径よりも大きくする必要があったため、混合器自体ひいては透析液供給装置の容積が大きくなってしまうという課題があった。一方、本実施の形態の混合器100によれば、第1混合器100aと第2混合器100bとをつなぐ配管(第1混合器100aに対する出口配管38、第2混合器100bに対する入口配管36に相当)の径を他の配管の径と同程度に設定することができる。これにより、血液浄化装置1の容積を小さくすることができる。血液浄化装置1の容積を小さくすることで、血液浄化装置1を洗浄する際に使用される洗浄液の量を減らすことができ、透析液供給装置4の維持コストを低減することができる。なお、混合器100が血液浄化装置1以外の装置に組み込まれる場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0103】
また、動力によって回転する軸に撹拌羽根を設けた構造を有する従来の混合器は、混合器自体の構造が複雑であった。これに対し、本実施の形態の混合器100は、撹拌羽根やこれを旋回させる駆動機構を有しないため、混合器100自体の構造を大幅に簡素化することができる。
【0104】
また、本実施の形態の始端容器部102は、第1方向と交わる平面の面内方向に並ぶ第1部分102aおよび第2部分102bを有する。第1部分102aは、入口配管36との接続部108を有し、第2部分102bは、始端容器部102内の液体を折返し容器部106側に流出させるための流入開口部112を有する。終端容器部104は、面内方向に並ぶ第3部分104aおよび第4部分104bを有する。第3部分104aは、折返し容器部106側から流れてくる液体を終端容器部104内に流入させるための流入開口部112と、出口配管38との接続部114とを有する。
【0105】
第1部分102aに接続部108を配置し、第2部分102bに流入開口部112を配置することで、始端容器部102内で液体を面内方向に移動させることができる。これにより、混合器100内での液体の流路長を延ばすことができるため、混合器100の混合性能を向上させることができる。また、接続部114を第3部分104aに設けることで、接続部114を第4部分104bに設ける場合に比べて混合器100の圧力損失を低減することができる。なお、入口配管36の接続部108は、第2部分102bの側面に設けられてもよい。この場合は、接続部108を第1部分102aに設ける場合に比べて、混合器100の圧力損失を低減することができる。また、出口配管38の接続部114は、第4部分104bの側面に設けられてもよい。この場合は、接続部114を第3部分104aに設ける場合に比べて、混合器100の混合性能を高めることができる。
【0106】
したがって、本実施の形態の混合器100では、接続部108や接続部114の位置を調整することで、混合器100の混合性能の向上を優先して圧力損失の所定程度の増大を許容したり、圧力損失の低減を優先して混合性能の所定程度の低下を許容したりといった設計変更を容易に実現することができる。また、流出開口部110や流入開口部112の大きさを調整することでも、混合器100の混合性能と圧力損失とのバランス変更を容易に実現することができる。
【0107】
また、本実施の形態では、第1部分102aおよび第2部分102bと、第3部分104aおよび第4部分104bとは、それぞれ同じ方向に並び、第1部分102aと第3部分104aとが第2仕切り板136aを挟んで隣接する。これにより、始端容器部102から終端容器部104に至るまでの液体の移動距離を延ばすことができる。よって、混合器100の混合性能を高めることができる。
【0108】
また、本実施の形態の混合器100は、第1方向において始端容器部102と折返し容器部106との間に配列される少なくとも1つの往路中間容器部116と、第1方向において折返し容器部106と終端容器部104との間に配列される少なくとも1つの復路中間容器部118とを備える。往路中間容器部116は、面内方向に並ぶ第5部分116aおよび第6部分116bを有する。第5部分116aは、始端容器部102側から流れてくる液体を往路中間容器部116内に流入させるための往路上流開口部120を有し、第6部分116bは、往路中間容器部116内の液体を折返し容器部106側に流出させるための往路下流開口部122を有する。復路中間容器部118は、面内方向に並ぶ第7部分118aおよび第8部分118bを有する。第7部分118aは、折返し容器部106側から流れてくる液体を復路中間容器部118内に流入させるための復路上流開口部124を有し、第8部分118bは、復路中間容器部118内の液体を終端容器部104側に流出させるための復路下流開口部126を有する。これにより、液体の流路長を延ばすことができ、混合器100の混合性能をより高めることができる。
【0109】
往路中間容器部116は、始端容器部102に隣接する第1往路中間容器部116Iを含み、復路中間容器部118は、終端容器部104に隣接する第1復路中間容器部118Iを含む。始端容器部102および終端容器部104は、第1方向に延びる軸128を挟んで面内方向に並び、第1往路中間容器部116Iおよび第1復路中間容器部118Iは、軸128を挟んで且つ始端容器部102および終端容器部104が並ぶ方向とは軸周りにずれた方向に並ぶ。始端容器部102と第1往路中間容器部116Iとは、第1方向において第2部分102bと第5部分116aIとが少なくとも一部において重なるように配置されて流出開口部110と往路上流開口部120とが接続される。終端容器部104と第1復路中間容器部118Iとは、第1方向において第3部分104aと第8部分118bIとが少なくとも一部において重なるように配置されて流入開口部112と復路下流開口部126とが接続される。これにより、液体の流路長を延ばすことができ、混合器100の混合性能を高めることができる。
【0110】
また、往路中間容器部116は、第1往路中間容器部116Iと折返し容器部106との間に配列される第2往路中間容器部116IIを含み、復路中間容器部118は、第1復路中間容器部118Iと折返し容器部106との間に配列される第2復路中間容器部118IIを含む。第1往路中間容器部116Iと第2往路中間容器部116IIとは、第1方向において第6部分116bIと第5部分116aIIとが少なくとも一部において重なるように配置されて往路下流開口部122と往路上流開口部120とが接続され、第2往路中間容器部116IIの第6部分116bIIは、往路下流開口部122を介して折返し容器部106に接続される。第1復路中間容器部118Iと第2復路中間容器部118IIとは、第1方向において第7部分118aIと第8部分118bIIとが少なくとも一部において重なるように配置されて復路上流開口部124と復路下流開口部126とが接続され、第2復路中間容器部118IIの第7部分118aIIは、復路上流開口部124を介して折返し容器部106に接続される。これにより、液体の流路長をさらに延ばして、混合器100の混合性能を高めることができる。
【0111】
また、混合器100は、始端容器部102から往路中間容器部116を経由して折返し容器部106に液体が流れる往流路FP1と、折返し容器部106から復路中間容器部118を経由して終端容器部104に液体が流れる復流路FP2とを備える。往流路FP1および復流路FP2は、それぞれ螺旋階段状に延び且つ少なくとも一部が並走する。これにより、混合器100の大型化を抑制しながら、液体の流路長を延ばすことができる。
【0112】
また、混合器100は、往路中間容器部116の内部空間Rと復路中間容器部118の内部空間Rとを連通するバイパス通路部130を備える。これにより、先発の液体と後発の液体の一部とを復路中間容器部118内で混合することができる。よって、流量が経時的に変動する複数種の液体をより均一に混合することができる。また、バイパス通路部130は、往路中間容器部116と復路中間容器部118とを区切る第2仕切り板136に設けられる。このため、バイパス通路部130によって形成される液体の流路(バイパス流路)は、往流路FP1および復流路FP2に対して並列に延びる。これにより、バイパス通路部130の大きさを小さくしても、混合器100の圧力損失が極端に増加することがない。
【0113】
また、本実施の形態では、始端容器部102および終端容器部104と、折返し容器部106とが鉛直方向Zに積層される。そして、始端容器部102および終端容器部104を混合器100の最上段に配置することで、入口配管36および出口配管38を混合器100内のガスを抜くためのガス抜き管として機能させている。これにより、ガス抜き管を別途設ける場合に比べて、混合器100の構造を簡素化することができる。なお、始端容器部102および終端容器部104の少なくとも一方が混合器100の最上段に配置されていれば、入口配管36および出口配管38の少なくとも一方を混合器100内のガスを抜くためのガス抜き管として機能させることができる。
【0114】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。
【0115】
(変形例1)
実施の形態では、始端容器部102と終端容器部104とは第1方向と交わる面内方向(第1水平方向X)に並んでいるが、始端容器部102および終端容器部104の位置関係はその限りでない。始端容器部102と終端容器部104とは、第1方向にずれていてもよい。例えば、終端容器部104は、実施の形態における第1復路中間容器部118Iの位置に設けられてもよい。この場合、混合器100の混合性能を維持するために、第1バイパス通路部130aは設けないことが好ましい。
【0116】
(変形例2)
往路中間容器部116および復路中間容器部118の数は2つに限定されず、1つあるいは3つ以上であってもよい。また、往路中間容器部116と復路中間容器部118とは、同数でなくてもよい。往路中間容器部116および復路中間容器部118の数は、要求される混合性能と圧力損失とのバランスを考慮して、適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0117】
100 混合器、 102 始端容器部、 104 終端容器部、 106 折返し容器部、 110 流出開口部、 112 流入開口部、 116 往路中間容器部、 118 復路中間容器部、 120 往路上流開口部、 122 往路下流開口部、 124 復路上流開口部、 126 復路下流開口部、 128 軸、 130 バイパス通路部。