(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】搬送台車
(51)【国際特許分類】
B60P 1/60 20060101AFI20230621BHJP
B60P 3/00 20060101ALN20230621BHJP
B62D 61/10 20060101ALN20230621BHJP
B60G 17/04 20060101ALN20230621BHJP
【FI】
B60P1/60 Z
B60P3/00 L
B62D61/10
B60G17/04
(21)【出願番号】P 2019204998
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2018224479
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】松村 秀正
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-020563(JP,A)
【文献】特公昭47-002286(JP,B1)
【文献】特開昭57-037077(JP,A)
【文献】特開2002-036935(JP,A)
【文献】特開2011-011568(JP,A)
【文献】特開2001-080405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/60
B60P 3/00
B62D 61/10
B60G 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力制御回路と、その圧力制御回路により加圧又は減圧されることで伸縮する複数の伸縮装置からなる伸縮装置群とを備えた圧力回路を複数有し、その複数の圧力回路のうち少なくとも1の圧力回路が他の搬送台車の圧力回路と連通可能に構成されると共に、前記伸縮装置の伸縮により荷台を昇降可能に構成して、その荷台上に搬送物を載置して搬送する搬送台車において、
前記複数の圧力回路のうち、他の搬送台車の圧力回路と連通可能に構成されると共に第1圧力制御回路および第1伸縮装置群を備えた第1圧力回路を有し、
その第1圧力回路は、前記第1圧力制御回路および第1伸縮装置群の下流に設けられた第1自動バルブと、その第1自動バルブと直列接続された通常時開の手動開バルブと、前記第1自動バルブと並列接続された通常時閉の手動閉バルブと、前記手動開バルブ及び手動閉バルブの下流に設けられ、他の搬送台車の圧力回路と連通される連通部とを備えていることを特徴とする搬送台車。
【請求項2】
前記複数の圧力回路のうち、第2圧力制御回路および第2伸縮装置群を備えた第2圧力回路と、第3圧力制御回路および第3伸縮装置群を備えた第3圧力回路とを有し、
その第2圧力回路と第3圧力回路とを接続する第2自動バルブと第3自動バルブとを備えており、その第2自動バルブと第3自動バルブとは並列に設けられていることを特徴とする請求項1記載の搬送台車。
【請求項3】
前記第1圧力回路を他の搬送台車の圧力回路と連通する場合、前記第2自動バルブ又は第3自動バルブを開にして第2圧力回路と第3圧力回路とを連通し、前記第2伸縮装置群と第3伸縮装置群とを連動して動作させるものであることを特徴とする請求項2に記載の搬送台車。
【請求項4】
前記第1圧力回路を他の搬送台車の圧力回路と連通しない場合、前記第2自動バルブ及び第3自動バルブを閉にして第2圧力回路と第3圧力回路との連通を解除し、前記第2伸縮装置群と第3伸縮装置群とを別々に動作させるものであることを特徴とする請求項2又は3に記載の搬送台車。
【請求項5】
前記第1から第3圧力回路は、前記圧力制御回路をそれぞれ2以上有していることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の搬送台車。
【請求項6】
前記第1圧力回路は、その第1圧力回路の圧力を減圧するための圧抜きバルブを前記手動開バルブ及び手動閉バルブの下流であって前記連通部の上流に有していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送台車に関し、特に、他の搬送台車と連結可能に構成された搬送台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2台の搬送台車を連結して、搬送物を車体上に載置し搬送する搬送台車が開示されている。搬送台車10は、車体を下降させた状態で搬送物の下方へ進入し、車体を上昇させて搬送物を車体上に載置して搬送先まで移動する。搬送先に到着すると、車体を下降させて搬送物の下方から抜け出すことにより、搬送物を目的の位置へ搬送する。
【0003】
搬送台車10は、油圧シリンダによるサスペンションシリンダ19を有し、その伸縮により車体を昇降させる。サスペンションシリンダ19は、4つの油圧回路ブロック20~23に分割され、各ブロック内の走行輪装置12のサスペンションシリンダ19は連通されている。
【0004】
1台の搬送台車10で搬送物を搬送する場合には、第1、第2油圧回路ブロック20,21を連通させ、これを第1支持軸25とすると共に、第3、第4油圧回路ブロック22,23をそれぞれ第2、第3支持軸26,27とする。これにより車体上の搬送物を3点支持の安定した状態で支持し搬送することができる(文献1の
図5(a)参照)。
【0005】
また2台の搬送台車を連結する場合には、各搬送台車10a,10bの第1、第2油圧回路ブロック20,21を連通させた状態で、これを更に連通し第1支持軸31とすると共に、一方の搬送台車10bの第3、第4油圧回路ブロック22b,23bを連通して第2支持軸32とし、他方の搬送台車10aの第3、第4油圧回路ブロック22a,23aを連通して第3支持軸33とする。これにより2台の搬送台車10a,10bを連結した場合にも、車体上の搬送物を3点支持の安定した状態で支持し搬送することができる(文献1の
図5(b)参照)。
【0006】
このように搬送物を1台の搬送台車10で搬送する場合と2台の搬送台車10,10で搬送する場合とでは連通させる油圧回路ブロックが異なるので、その都度、各油圧回路ブロック20~23の連通と解除とを行わなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、各油圧回路ブロック20~23の連通と解除とを手動バルブで行えば、これらを確実に行うことができるものの、その操作は煩雑であり、使い勝手が悪い。一方で、これらを自動バルブで行うと、バルブ操作が不要となるので使い勝手は向上するが、自動バルブが故障した場合には、各油圧回路ブロック20~23の連通と解除とが自在にできず搬送に支障を来してしまう。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、他の搬送台車の圧力回路との連通および解除を自動で行えると共に、故障時においても、その連通および解除を自在に行うことができる搬送台車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために本発明の搬送台車は、圧力制御回路と、その圧力制御回路により加圧又は減圧されることで伸縮する複数の伸縮装置からなる伸縮装置群とを備えた圧力回路を複数有し、その複数の圧力回路のうち少なくとも1の圧力回路が他の搬送台車の圧力回路と連通可能に構成されると共に、前記伸縮装置の伸縮により荷台を昇降可能に構成して、その荷台上に搬送物を載置して搬送するものであり、前記複数の圧力回路のうち、他の搬送台車の圧力回路と連通可能に構成されると共に第1圧力制御回路および第1伸縮装置群を備えた第1圧力回路を有し、その第1圧力回路は、前記第1圧力制御回路および第1伸縮装置群の下流に設けられた第1自動バルブと、その第1自動バルブと直列接続された通常時開の手動開バルブと、前記第1自動バルブと並列接続された通常時閉の手動閉バルブと、前記手動開バルブ及び手動閉バルブの下流に設けられ、他の搬送台車の圧力回路と連通される連通部とを備えている。
【0011】
また、前記複数の圧力回路のうち、第2圧力制御回路および第2伸縮装置群を備えた第2圧力回路と、第3圧力制御回路および第3伸縮装置群を備えた第3圧力回路とを有し、その第2圧力回路と第3圧力回路とを接続する第2自動バルブと第3自動バルブとを備えており、その第2自動バルブと第3自動バルブとは並列に設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の搬送台車によれば、他の搬送台車の圧力回路と連通可能に構成された第1圧力回路は、第1圧力制御回路および第1伸縮装置群の下流に設けられた第1自動バルブを有している。よって、その第1自動バルブを開又は閉とすることにより、第1圧力回路と、連通部を介して接続される他の搬送台車の圧力回路との連通と解除とを自動で行うことができる。
【0013】
また、第1自動バルブに対して、直列接続された通常時開の手動開バルブと、並列接続された通常時閉の手動閉バルブとを有し、他の搬送台車の圧力回路と連通される連通部は、その手動開バルブ及び手動閉バルブの下流に設けられている。よって、第1自動バルブが開状態で故障した場合には、第1自動バルブと直列接続される手動開バルブを閉することにより、第1圧力回路と、他の搬送台車の圧力回路との連通を解除することができる。一方、第1自動バルブが閉状態で故障した場合には、第1自動バルブと並列接続される手動閉バルブを開することにより、第1圧力回路と、他の搬送台車の圧力回路とを連通させることができる。
【0014】
このように第1圧力回路と他の搬送台車の圧力回路との連通と解除とを自動で行うことができると共に、第1自動バルブが故障した場合にも、手動開バルブまたは手動閉バルブを操作することにより、第1圧力回路と他の搬送台車の圧力回路との連通と解除とを自在に行うことができるという効果がある。
【0015】
また第2圧力制御回路および第2伸縮装置群を有する第2圧力回路と、第3圧力制御回路および第3伸縮装置群を有する第3圧力回路とは、第2自動バルブと第3自動バルブとの2の自動バルブによって接続される。ここで、第2自動バルブと第3自動バルブとは並列に設けられるので、一方の自動バルブが閉状態で故障しても、他方の自動バルブを操作することにより、第2圧力回路と第3圧力回路との連通と解除と自在に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は、搬送台車の側面図であり、(b)は、その正面図である。
【
図2】(a)は、1台の搬送台車に1つの搬送物を載置した場合の正面図であり、(b)は、その上面図である。
【
図3】(a)は、2台の搬送台車に1つの搬送物を載置した場合の正面図であり、(b)は、その上面図である。
【
図4】サスペンションに対する油圧回路を表す図である。
【
図5】(a)は、第1自動バルブの側面図であり、(b)は、第2自動バルブ及び第3自動バルブの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1(a)は、搬送台車1の側面図であり、
図1(b)は、その正面図である。搬送台車1は、搬送物を載置して搬送するための車両であり、搬送物を載置する荷台2と、走行装置3L1~3L7,3R1~3R7(走行装置3R2~3R7は図示せず)と、運転室4とが設けられる。
【0018】
走行装置3L1~3L7,3R1~3R7は、搬送台車1を走行させる装置であり、荷台2の下部にそれぞれ配設される。具体的には、荷台2における上面視左側の前方から順に走行装置3L1~3L7が配設され、荷台2における上面視右側の前方から順に走行装置3R1~3R7が配設される。なお、走行装置3L1~3L7,3R1~3R7の構成は配設位置を除いて全て同一なので、以下
図1においては、走行装置3L1のみ説明し、走行装置3L2~3L7,3R1~3R7の説明は省略する。
【0019】
走行装置3L1は、荷台2の下部に配設されるブラケット3aL1と、スイングアーム3bL1と、サスペンション3cL1と、一対の車輪3dL1とを備える。スイングアーム3bL1は、ブラケット3aL1に対して揺動可能に軸着される部材であり、サスペンション3cL1は、スイングアーム3bL1とブラケット3aL1とを連結する油圧式のシリンダ(伸縮装置)である。スイングアーム3bL1には、一対の車輪3dL1も配設される。
【0020】
サスペンション3cL1を伸縮させると、サスペンション3cL1に接続されるスイングアーム3bL1とブラケット3aL1とが揺動してブラケット3aL1が昇降し、ブラケット3aL1に接続される荷台2が昇降される。以下、走行装置3L1~3L7,3R1~3R7等に対して特に区別しない場合は、「走行装置3」と称し、同様にブラケット3aL1~3aL7,3aR1~3aR7と、スイングアーム3bL1~3bL7,3bR1~3bR7と、サスペンション3cL1~3cL7,3cR1~3cR7と、車輪3dL1~3dL7,3dR1~3dR7とも、特に区別しない場合は「ブラケット3a」「スイングアーム3b」、「サスペンション3c」、「車輪3d」とそれぞれ称す。
【0021】
運転室4は、荷台2の前方に配設され、作業員による荷台2の昇降指示や走行装置3に対する運転や制動の指示等を行う制御室である。運転室4には、搬送台車1に対する指示を行ったり、搬送台車1の状態を表示するタッチパネル(図示せず)が設置される。その他、搬送台車1の走行位置の補正や、走行装置3のモータの制御等、搬送台車1の走行を管理する管理装置を備えるが、その詳細は省略する。
【0022】
本実施形態の搬送台車1は、1台の搬送台車1の荷台2に搬送物を載置して搬送できる一方で、2台の搬送台車1を連結させ、それら2台の搬送台車1の荷台2に1つの搬送物を載置して搬送できる。いずれの場合においても、搬送物を荷台2上に3点支持の安定した状態で支持できるよう、複数のサスペンション3cの伸縮制御を行う。まず、
図2を参照して、1台の搬送台車1で搬送物を搬送する場合を説明する。
【0023】
図2(a)は、1台の搬送台車1に搬送物を載置した場合の正面図であり、
図2(b)は、その上面図である。
図2においては、搬送物W1を載置した門型のパレットP1を搬送台車1に載置して搬送している。なお、
図2(b)では簡略化のため、搬送物W1の図示を省略している。
【0024】
パレットP1及び搬送物W1を荷台2上に載置および搬送する際、搬送台車1に配設されるサスペンション3cを3つのサスペンショングループに分け、それぞれのサスペンショングループのサスペンション3cを連動して伸縮させる。サスペンショングループとしては、
図2(b)に示す通り、搬送台車1の前方側のサスペンション3cL1~3cL3,3cR1~3cL3による単一前側グループG1F(第1伸縮装置群)と、搬送台車1の右後方側のサスペンション3cR4~3cR7による単一右側グループG1R(第2伸縮装置群)と、搬送台車1の左後方側のサスペンション3cL4~3cL7による単一左側グループG1L(第3伸縮装置群)との3つが設けられる。
【0025】
そして、搬送台車1の走行状況や搬送台車1が走行する路面の状態等に応じて、3つのサスペンショングループのサスペンション3cをそれぞれ連動して伸縮させる。これにより、搬送物W1及びパレットP1が、単一前側グループG1F,単一右側グループG1R及び単一左側グループG1Lの3点で一意に形成される「面」によって支持される、所謂3点支持が実現される。これにより、搬送物W1やパレットP1をガタつかせることなく安定して荷台2上に載置して搬送できる。
【0026】
次に、
図3を参照して、2台の搬送台車1で1つの搬送物を搬送する場合を説明する。
図3(a)は、2台の搬送台車1で1つの搬送物を載置した場合の正面図であり、
図3(b)は、その上面図である。
図3においては、搬送物W2を載置した門型のパレットP2の下方に配置した2台の搬送台車1に、搬送物W2及びパレットP2を載置し、所定の場所まで搬送する。以下、パレットP2の上面視における右側に配置される搬送台車1のことを「搬送台車1R」と称し、パレットP2の上面視における左側に配置される搬送台車1のことを「搬送台車1L」と称す。
【0027】
2台の搬送台車1で1つの搬送物を載置した場合も、
図2の場合と同様に搬送台車1R,1Lのサスペンション3cを、3つのサスペンショングループに分ける。具体的には、
図3(b)に示す通り、搬送台車1R及び搬送台車1Lにおける
図2(b)の単一前側グループG1F同士を連動させることで構成される連結前側グループG2Fと、搬送台車1Rの単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとを連動させることで構成される連結右側グループG2Rと、搬送台車1Lの単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとを連動させることで構成される連結左側グループG2Lとの3つのサスペンショングループが設けられる。
【0028】
ここで連結前側グループG2Fは、搬送台車1R,1Lの単一前側グループG1F同士を連動させるため、これらを動作させる油圧回路を連通する必要がある。そこで本実施形態では、搬送台車1Rと搬送台車1Lとに、単一前側グループG1Fの油圧回路を連通させる連通部5Lと連通部5Rとをそれぞれ設け、これら連通部5Lと連通部5Rとを連通管6で接続することで、搬送台車1Rと搬送台車1Lとの単一前側グループG1F同士を連通させる。以下、連通部5L,5Rを特に区別しない場合は「連通部5」と称す。
【0029】
このように構成された、連結前側グループG2F,連結右側グループG2R及び連結左側グループG2Lのサスペンション3cを、それぞれ連動させて伸縮させることで、搬送物W2及びパレットP2が荷台2上で3点支持される。これにより、搬送物W2及びパレットP2を2台の搬送台車1R,1Lの荷台2上にガタつかせることなく安定して載置し、搬送できる。
【0030】
次に、
図4を参照して、サスペンション3cL1~3cL7,3cR1~3cR7に対する油圧回路20を説明する。
図4は、サスペンション3cL1~3cL7,3cR1~3cR7に対する油圧回路20を表す図である。
図4に示す通り、サスペンション3cL1~3cL3,3cR1~3cR3は、単一前側グループG1F,単一右側グループG1R及び単一左側グループG1L毎に、それぞれ作動油が連通可能に接続される。
【0031】
油圧回路20には、これら単一前側グループG1F,単一右側グループG1R及び単一左側グループG1Lのサスペンション3cに供給される作動油の方向(後述の上流側、下流側)および流量を制御することで、その圧力を制御する圧力制御回路が設けられる。具体的には、単一前側グループG1Fのサスペンション3cに供給される作動油の方向および流量を制御するサスペンションブロック6a,6bと、単一右側グループG1Rのサスペンション3cに供給される作動油の方向および流量を制御するサスペンションブロック7a,7bと、単一左側グループG1Lのサスペンション3cに供給される作動油の方向および流量を制御するサスペンションブロック8a,8bとが設けられる。
【0032】
サスペンションブロック6a,6bはこれらを並列接続した上で単一前側グループG1Fのサスペンション3cに接続され、サスペンションブロック7a,7bはこれらを並列接続した上で単一右側グループG1Rのサスペンション3cに接続され、サスペンションブロック8a,8bはこれらを並列接続した上で単一左側グループG1Lのサスペンション3cに接続される。即ち、サスペンショングループ毎に2つのサスペンションブロックが並列接続されるので、いずれか一方のサスペンションブロックが故障しても、他方の正常なサスペンションブロックによってそのサスペンショングループのサスペンション3cへの作動油の方向および流量を制御できる。なお、サスペンションブロック6a~8bの構成、サスペンションブロック6a~8bに作動油を供給する方法およびサスペンションブロック6a~8bから作動油を排出する方法は公知のため、その説明は省略する。
【0033】
このような単一右側グループG1Rのサスペンション3cと、サスペンションブロック7a,7bとによる一連の油圧回路が「第2圧力回路」とされ、単一左側グループG1Lのサスペンション3cと、サスペンションブロック8a,8bとによる一連の油圧回路が「第3圧力回路」とされる。なお「第1圧力回路」については後述する。以下、油圧回路20において、作動油を供給するサスペンションブロック6a~8b側を「上流」と称し、作動油が供給されるサスペンション3c側を「下流」と称す。サスペンションブロック6a~8bによって、第1~3圧力回路の下流側の方向へ作動油を供給することでサスペンション3cが伸長する。一方で、サスペンションブロック6a~8bによって、第1~3圧力回路の圧力を開放すると、搬送台車1の自重でサスペンション3cが収縮する。
【0034】
次に、2台の搬送台車1によって、1つの搬送物を搬送する場合、即ち、連結前側グループG2F、連結右側グループG2R及び連結左側グループG2Lを構成するための機構を説明する。まず、連結前側グループG2Fは、
図3(b)で上述した通り、2台の搬送台車1における単一前側グループG1F同士を連通することで構成されるので、単一前側グループG1F同士を連通する連通部5が単一前側グループG1Fのサスペンション3cの下流に設けられる。
【0035】
そして、かかる連通部5と、単一前側グループG1Fのサスペンション3cのうち最も下流側のサスペンション3cR1との間には、他の搬送台車1の単一前側グループG1Fとの連通と連通の解除とを切り替えるための第1自動バルブ10と、手動開バルブ11と、手動閉バルブ12とが設けられる。
【0036】
第1自動バルブ10は、通常時閉の電磁弁付きのバルブであり、サスペンション3cR3の下流に設けられる。運転室4(
図1)からの第1自動バルブ10に対する指示に応じて、電磁弁が動作して第1自動バルブ10が開閉される。手動開バルブ11は、通常時開の手動式のバルブであり、第1自動バルブ10の下流に第1自動バルブ10と直列接続される。手動閉バルブ12は、通常時閉の手動式のバルブであり、第1自動バルブ10及び手動開バルブ11と並列接続される。
【0037】
また、手動開バルブ11及び手動閉バルブ12と連通部5との間に、作動油を外部に排出して油圧を減圧させる圧抜きバルブ13と、その圧抜きバルブ13から排出された作動油を受けるトレイ14とが設けられる。これら単一前側グループG1Fのサスペンション3cと、サスペンションブロック6a,6bと、第1自動バルブ10と、手動開バルブ11と、手動閉バルブ12と、圧抜きバルブ13とによる一連の油圧回路が「第1圧力回路」とされる。
【0038】
次に、連結右側グループG2R及び連結左側グループG2Lは、上述した通り、単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとを連通することで構成される。そこで、油圧回路20に対して、単一右側グループG1Rと、単一左側グループG1Lとを自動で連通又は連通を解除する第2自動バルブ15と第3自動バルブ16とが設けられる。
【0039】
第2自動バルブ15及び第3自動バルブ16は、それぞれ通常時閉の電磁弁付きのバルブであり、単一右側グループG1Rのサスペンション3cの最も上流側のサスペンション3cR7とサスペンションブロック7a,7bとの間、および単一左側グループG1Lの最も上流側の3cL7とサスペンションブロック8a,8bとの間を接続する。第2自動バルブ15と第3自動バルブ16とはそれぞれ並列接続され、第2自動バルブ15は、第3自動バルブ16よりも下流側に設けられる。運転室4(
図1)からの指示に応じて、第2自動バルブ15及び第3自動バルブ16の電磁弁が動作することで、それぞれのバルブが開閉される。
【0040】
このように構成された油圧回路20の作用効果を説明する。まず、連結前側グループG2Fを構成する場合は、搬送台車1と他の搬送台車1の連通部5同士を連通管6(
図3参照)で接続し、それぞれの搬送台車1において、運転室4から第1自動バルブ10に対して「開」指示を送信する。これによって、第1自動バルブ10が開き、搬送台車1と他の搬送台車1との単一前側グループG1F同士が第1自動バルブ10、手動開バルブ11及び連通部5を介して連通され、連結前側グループG2Fが構成される。一方で、第1自動バルブ10に対して「閉」指示を送信することで第1自動バルブ10が閉じ、単一前側グループG1F同士の連通が解除される。
【0041】
これにより、作業員が運転室4から第1自動バルブ10に対して開または閉の指示をすることで、作業員は運転室4にいながらにして、搬送台車1と他の搬送車1との単一前側グループG1F同士の連通と、連通の解除とを自動で行うことができる。
【0042】
ここで、第1自動バルブ10の故障や運転室4と第1自動バルブ10との通信経路の障害等により、運転室4からの指示に拘わらず、第1自動バルブ10が「閉」または「開」のままとなる場合がある。本実施形態では、第1自動バルブ10が故障した場合でも、手動開バルブ11及び手動閉バルブ12を操作することで、搬送台車1と他の搬送台車1との単一前側グループG1F同士の連通、または連通の解除ができる。
【0043】
具体的には、第1自動バルブ10が「開」のまま切り替わらない状態で、搬送台車1と他の搬送台車1との単一前側グループG1F同士の連通を解除させる場合は、第1自動バルブ10と直列接続された手動開バルブ11を閉じる。これによって、搬送台車1と他の搬送台車1との単一前側グループG1F同士の連通が、手動開バルブ11によって解除される。一方で、第1自動バルブ10が「閉」のまま切り替わらない状態で、連結前側グループG2Fを構成する場合は、第1自動バルブ10と並列して設けられた手動閉バルブ12を開く。これによって、搬送台車1と他の搬送台車1との単一前側グループG1F同士が、手動閉バルブ12を介して連通され、連結前側グループG2Fを構成できる。
【0044】
よって、第1自動バルブ10が自動で切り替わらない状態でも、バルブ11,12を操作することで、搬送台車1と他の搬送車1との単一前側グループG1F同士の連通と、連通の解除とを自在に行うことができる。
【0045】
これらバルブ11,12を操作する際、又は連通部5と連通管6(
図3(b)参照)とを着脱する際、単一前側グループG1Fのサスペンション3cと、連通部5との間の作動油の油圧が加圧されたままだと、バルブ11,12を手動で開閉したり連通部5と連通管6とを着脱するためには強い力が必要となる。そこで、圧抜きバルブ13を操作することで、かかる部分の作動油が排出され、単一前側グループG1Fのサスペンション3cと、連通部5との間の作動油の油圧が減圧される。これによって、バルブ11,12の開閉操作や連通部5と連通管6との着脱を容易にできる。
【0046】
また、連結右側グループG2R,連結左側グループG2Lを構成する場合は、自動バルブ15,16の双方または一方に対して、運転室4から「開」指示を送信する。これによって、単一右側グループG1Rのサスペンション3cと単一左側グループG1Lのサスペンション3cとが連通され、連結右側グループG2R、連結左側グループG2Lが構成される。一方で、自動バルブ15,16の双方に対して、運転室4から「閉」指示を送信することで、これらのバルブが閉じ、単一右側グループG1Rのサスペンション3cと単一左側グループG1Lのサスペンション3cとの連通が解除される。
【0047】
これにより、作業員が運転室4から自動バルブ15,16に対して開または閉の指示をすることで、作業員は運転室4にいながらにして、単一右側グループG1Rのサスペンション3cと単一左側グループG1Lのサスペンション3cとの連通および連通の解除を、自在に行うことができる。
【0048】
ここで、第2自動バルブ15と第3自動バルブ16とが並列接続されるので、一方の自動バルブが故障したり、自動バルブと運転室4との通信経路に障害が発生する等して、自動バルブが閉状態のまま切り替わらない場合でも、他方の正常に動作する自動バルブを開閉することで、単一右側グループG1Rのサスペンション3cと単一左側グループG1Lのサスペンション3cとの連通および連通の解除を、自在に行うことができる。
【0049】
第1~3自動バルブ10,15,16は、運転室4からの指示に応じて開閉を切り替えるが、これらは運転室4内に設けられないので、運転室4から第1~3自動バルブ10,15,16が指示通り動作し、第1~3自動バルブ10,15,16の開閉が切り替えられたかどうかを確認することができない。
【0050】
そこで、第1~3自動バルブ10,15,16の開閉状態を検知するリミットスイッチ17~19を設け、運転室4からの第1~3自動バルブ10,15,16への開閉指示とリミットスイッチ17~19の状態とから、第1~3自動バルブ10,15,16が運転室4からの指示通りに切り替わったかどうか、即ち、第1~3自動バルブ10,15,16が正常か否かを、作業員に報知する。まず、第1~3自動バルブ10,15,16の実際の開閉状態の検知について
図5を参照して説明する。
【0051】
図5(a)は、第1自動バルブ10の側面図であり、
図5(b)は、第2自動バルブ15及び第3自動バルブ16の上面図である。
図5に示す通り、第1~3自動バルブ10,15,16には、それぞれバルブ本体10a,15a,16aと、バルブの開閉に応じて突出する突起部10b,15b,16bとが設けられる。具体的に、これらのバルブが「開」である場合は、突起部10b,15b,16bがバルブ本体10a,15a,16aより突出され、「閉」である場合は、突起部10b,15b,16bがバルブ本体10a,15a,16aに収容される。
【0052】
それら突起部10b,15b,16bと隣り合った位置には、突起部10b,15b,16bの突出状態を検知するリミットスイッチ17~19がそれぞれ配設される。リミットスイッチ17~19の先端部には、検出部17a~19aがそれぞれ設けられ、検出部17a~19aが突起部10b,15b,16bと向き合うように配設される。
【0053】
検出部17a~19aが、突起部10b,15b,16bによって押し込まれた場合、オンと判断してその状態が運転室4に送信され、検出部17a~19aの押し込みが解除された場合、オフと判断してその状態が運転室4に送信される。即ち、リミットスイッチ17~19からオンが送信された場合は、該当の第1~3自動バルブ10,15,16が開いていると判断され、オフが送信された場合は、該当の第1~3自動バルブ10,15,16が閉じていると判断される。
【0054】
このようにして、運転室4に送信された第1~3自動バルブ10,15,16の開閉状態と、運転室4からの第1~3自動バルブ10,15,16への開閉指示とに基づいて、運転室4のタッチパネルに対して表示を行う。まず、第1自動バルブ10に対する表示を説明する。
【0055】
上述した、連結前側グループG2Fを構成するべく、搬送台車1と他の搬送台車1との単一前側グループG1F同士を連通するために、運転室4から第1自動バルブ10に「開」指示を送信する。これにも拘わらず、リミットスイッチ17からオフが送信された場合は、第1自動バルブ10が「閉」のままとなっていると判断される。そのため、タッチパネルに第1自動バルブ10が異常である旨のメッセージを表示する。上述した通り、この状態でも手動閉バルブ12を開くことで、搬送台車1と他の搬送台車1との単一前側グループG1F同士を連通できるので、タッチパネルに手動閉バルブ12を開く旨のメッセージも合わせて表示する。
【0056】
また、搬送台車1と他の搬送台車1との単一前側グループG1F同士の連通を解除する場合は、第1自動バルブ10に「閉」指示を送信する。それにも拘わらず、リミットスイッチ17からオンが送信された場合、第1自動バルブ10が「開」のままとなっていると判断される。そのため、タッチパネルに第1自動バルブ10が異常である旨のメッセージを表示する。この状態でも、手動開バルブ11を閉じることで、搬送台車1と他の搬送台車1との単一前側グループG1F同士の連通を解除できるので、タッチパネルに、手動開バルブ11を閉じる旨のメッセージも合わせて表示する。このような、第1自動バルブ10が異常である旨のメッセージと、手動開バルブ11又は手動閉バルブ12とを操作する旨のメッセージとが「第1報知手段」とされる。
【0057】
次に、自動バルブ15,16に対する表示を説明する。
図3における搬送物W2及びパレットP2を2台の搬送台車1に載置する前に、自動バルブ15,16を開き、連結右側グループG2R(または連結左側グループG2L)を構成する。
【0058】
この際に、自動バルブ15,16への「開」指示にも拘わらず、リミットスイッチ18からオフが送信された場合は、第2自動バルブ15が閉じたままと判断される。そのため、タッチパネルに対して、第2自動バルブ15が異常である旨のメッセージを表示する。このような場合は上述した通り、第2自動バルブ15と並列接続される第3自動バルブ16によって、単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとを連通できる。そこで、タッチパネルに対して、第3自動バルブ16によって正常に動作できる旨のメッセージも合わせて表示する。
【0059】
同様に、自動バルブ15,16への「開」指示にも拘わらず、第3自動バルブ16が閉じたままとなった場合も、タッチパネルに対して、第3自動バルブ16が異常である旨のメッセージと、第2自動バルブ15によって正常に動作できる旨のメッセージとを表示する。このような、自動バルブ15,16のいずれか一方の自動バルブが異常である旨のメッセージと、並列接続される他方の自動バルブによって、正常に動作が可能である旨のメッセージとが「第2報知手段」とされる。
【0060】
更に、自動バルブ15,16への「開」指示にも拘わらず、自動バルブ15,16が共に閉じたままとなる場合がある。この場合は、単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとが連通されず、これらが連動できない。よって、タッチパネルに対して、自動バルブ15,16が共に異常である旨のメッセージと、単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとが連動できない旨のメッセージとが表示される。
【0061】
次に、自動バルブ15,16への「閉」指示を行った場合を説明する。搬送物W2及びパレットP2を2台の搬送台車1で所定の位置まで搬送し、搬送物W2及びパレットP2を荷台2から降ろした後、自動バルブ15,16を閉じて連結右側グループG2R(連結左側グループG2L)を解除して、パレットP2の下方から脱出する。この際、自動バルブ15,16への「閉」指示にも拘わらず、第2自動バルブ15が開いたまま、即ち、リミットスイッチ18からオフが送信される場合がある。
【0062】
この場合、単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとが連通したままとなるので、これらが連動したままとなる。しかしながら、このような状態でも荷台2を下降したままにすれば、パレットP2の下方から脱出できる。よって、タッチパネルに対して、第2自動バルブ15が異常である旨と、荷台2を下降したままパレットP2から脱出できる旨とが表示される。
【0063】
同様に、自動バルブ15,16への「閉」指示にも拘わらず、第3自動バルブ16が開いたままとなった場合も、タッチパネルに対して、第2自動バルブ15が異常である旨と、荷台2を下降したままパレットP2から脱出できる旨とが表示され、更には、自動バルブ15,16への「閉」指示にも拘わらず、自動バルブ15,16が共に開いたままとなった場合も、タッチパネルに対して、自動バルブ15,16が共に異常である旨と、荷台2を下降したままパレットP2から脱出できる旨とが表示される。かかる第2及び/又は第3自動バルブ15,16が異常である旨のメッセージと、パレットP2の下方からの脱出可能である旨のメッセージとが「第4報知手段」とされる。
【0064】
なお、タッチパネルに第2及び/又は第3自動バルブ15,16が異常である旨のメッセージと、パレットP2の下方からの脱出可能である旨のメッセージとを表示する代わりに、第2及び/又は第3自動バルブ15,16が異常である旨と、単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとが連動したままである旨のメッセージとを表示しても良い。このような表示が「第3報知手段」とされる。
【0065】
このように、運転室4からの第1~3自動バルブ10,15,16への開閉指示と、リミットスイッチ17~19による第1~3自動バルブ10,15,16の開閉状態とに基づき、第1~3自動バルブ10,15,16がその指示通り動作しているか否かが運転室4内のタッチパネルに表示される。これにより、作業員は運転室4にいながらにして、第1~3自動バルブ10,15,16が指示通りに動作しているか否かを自動で確認できる。従って、第1~3圧力回路および第1~3自動バルブ10,15,16の目視や、搬送台車1の動作をその周囲から確認する作業を不要にできる。
【0066】
これに加え、第1自動バルブ10が指示通りに動作しない場合には、手動開バルブ11及び手動閉バルブ12を操作して、搬送台車1と他の搬送台車1との単一前側グループG1F同士の連通または連通を解除する方法もタッチパネルに表示される。これを見た作業員が、手動開バルブ11及び手動閉バルブ12を操作し、搬送台車1と他の搬送台車1との単一前側グループG1F同士の連通または連通の解除を行うことで、搬送台車1を迅速に復旧させることができる。
【0067】
また、自動バルブ15,16が指示通りに動作しない場合は、単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとが連動できない旨や、パレットP2の下方からの脱出可能である旨等のメッセージがタッチパネルに表示される。これにより、自動バルブ15,16が指示通りに動作しない状況で起こり得ることを作業員に報知でき、それを受けた作業員が搬送台車1の走行をそのまま続行するか、自動バルブ15,16を修理するか等を迅速かつ正確に判断できる。
【0068】
なお、「サスペンションブロック6a~8bによって、第1~3圧力回路の下流側の方向へ作動油を供給すること」が特許請求の範囲における「圧力制御回路により加圧されること」に該当し、「サスペンションブロック6a~8bによって、第1~3圧力回路の圧力を開放すること」が特許請求の範囲における「圧力制御回路により減圧されること」に該当する。
【0069】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0070】
上記実施形態では、サスペンション3cを油圧式のシリンダとした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、サスペンション3cとして、空気圧によって伸縮するエア・サスペンションを用いても良いし、他の伸縮装置を用いても良い。サスペンション3cにエア・サスペンションを用いる場合は、圧力回路として油圧回路20の代わりにサスペンション3cに空気圧を供給する回路とし、サスペンションブロック6a~8bを各サスペンションブロックのサスペンション3cに対する空気圧を制御する装置とすれば良い。
【0071】
上記実施形態では、サスペンション3cを走行装置3に設け、サスペンション3cを伸縮させることで、走行装置3のブラケット3aと共に荷台2を昇降させた。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、荷台2との走行装置3との間に昇降装置を設け、かかる昇降装置によって荷台2を昇降させても良い。
【0072】
上記実施形態では、サスペンション3c(走行装置3)を、搬送台車1の上面視左右それぞれに7軸配設した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、搬送台車1の上面視左右それぞれに配設されるサスペンション3cの数を、6軸以下としても良いし、8軸以上としても良い。
【0073】
上記実施形態では、1台の搬送台車1の荷台2に搬送物を載置する場合と、2台の搬送台車1の荷台2に搬送物を載置する場合とで、それぞれ3つのサスペンショングループを構成した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、サスペンショングループを4つ以上のグループで構成し、搬送物をこれらのグループによって4点以上で支持するように構成しても良い。また、1台の搬送台車1の荷台2に搬送物を載置する場合と、2台の搬送台車1の荷台2に搬送物を載置する場合とで、サスペンショングループの数が異なるように構成しても良い。
【0074】
上記実施形態では、
図4において、単一前側グループG1F,単一右側グループG1R及び単一左側グループG1Lに対して、それぞれ2つずつサスペンションブロックが並列接続された。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、単一前側グループG1F,単一右側グループG1R及び単一左側グループG1Lに対して、それぞれ3つ以上のサスペンションブロックを並列接続しても良いし、サスペンショングループによって、並列接続されるサスペンションブロックの数を異ならせても良い。
【0075】
上記実施形態では、単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとを、並列接続された自動バルブ15,16によって連通または連通の解除を行った。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、自動バルブ15,16に対して、それぞれ通常時開の手動バルブを直列接続しても良い。これにより、運転室4からの「閉」指示に拘わらず、自動バルブ15,16とが共に開いたままとなっても、これらに直列接続された手動バルブを全て閉じることで、単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとの連通を解除できる。
【0076】
また、自動バルブ15,16に対して、更に並列接続される通常時閉の手動バルブを設ける構成としても良い。これにより、運転室4からの「開」指示に拘わらず、第2自動バルブ15と第3自動バルブ16とが共に閉じたままとなっても、これらと並列接続された手動バルブを開くことで、単一右側グループG1Rと単一左側グループG1Lとを連通できる。
【0077】
上記実施形態では、第1~第4報知手段をタッチパネルに表示されるメッセージとした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、報知内容に該当するアイコンや画像をタッチパネルに表示しても良いし、報知内容に該当するブザー音や音声を運転室4に鳴らせても良いし、報知内容に該当するランプを点灯させても良い。また、第1~第4報知手段を報知するのは、運転室4内に限られるものではなく、搬送台車1の側面等にタッチパネルや警告灯、スピーカ等を設け、運転室4の外部へ向けて第1~第4報知手段によるメッセージや音声等を報知できるようにしても良い。
【符号の説明】
【0078】
1 搬送台車
2 荷台
3c サスペンション(伸縮装置)
5 連通部
6a,6b サスペンションブロック(第1圧力制御回路)
7a,7b サスペンションブロック(第2圧力制御回路)
8a,8b サスペンションブロック(第3圧力制御回路)
10 第1自動バルブ
11 手動開バルブ
12 手動閉バルブ
13 圧抜きバルブ
15 第2自動バルブ
16 第3自動バルブ
G1F 単一前側グループ(第1伸縮装置群)
G1R 単一右側グループ(第2伸縮装置群)
G1L 単一左側グループ(第3伸縮装置群)
W1,W2 搬送物