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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230621BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20230621BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
H01L21/304 648F
H01L21/30 572B
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/306 R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019232376
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021101440
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恵理
(72)【発明者】
【氏名】山口 直子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 賢二郎
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-056187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0085795(US,A1)
【文献】特開2015-220318(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0328668(US,A1)
【文献】特開2016-103590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記基板処理装置は、処理液を貯留する貯留部と、基板処理のために前記処理液を吐出するノズルと、前記貯留部から前記ノズルへ前記処理液を供給する液経路と、を有し、前記基板処理装置は、製品製造に用いられることになる製品基板に対しての前記基板処理である実処理を行うことができ、かつ、製品製造に用いられることにはならないダミー基板に対しての前記基板処理であるダミー処理を前記実処理の前に任意の回数行うことができ、前記基板処理方法は、
(a) 前記液経路中の前記処理液が単位量あたりに含むパーティクルの個数を表す値を計測することと、
(b) 前記値に基づいて前記ダミー処理の回数を決定することと、
を備える基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記液経路は、前記貯留部を経由して前記処理液を循環させる循環経路と、前記循環経路から前記ノズルへ延びる吐出経路と、を含む、基板処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理方法であって、
前記工程(a)は、前記吐出経路中の前記処理液が単位量あたりに含むパーティクルの個数を表す値を計測することによって行われる、基板処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理方法であって、
前記吐出経路は前記ノズルと前記循環経路との間にバルブを含み、前記工程(a)は前記バルブが閉じられているときに前記バルブと前記ノズルとの間の前記処理液について行われる、基板処理方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
前記工程(a)は、前記基板処理の前に行われる前記処理液の予備吐出中に行われる、基板処理方法。
【請求項6】
処理液を用いた基板処理を行う基板処理装置であって、前記基板処理装置は、製品製造に用いられることになる製品基板に対しての前記基板処理である実処理を行うことができ、かつ、製品製造に用いられることにはならないダミー基板に対しての前記基板処理であるダミー処理を前記実処理の前に任意の回数行うことができるものであり、前記基板処理装置は、
前記処理液を貯留する貯留部と、
前記処理液を吐出するノズルと、
前記貯留部から前記ノズルへ前記処理液を供給する液経路と、
前記液経路中の前記処理液が単位量あたりに含むパーティクルの個数を表す値を計測する計測器と、
前記計測器によって計測された前記値に基づいて前記ダミー処理の回数を決定する制御部と、
を備える基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法および基板処理装置に関し、特に、処理液を用いた基板処理方法、およびそのための基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置などの製造において、処理液を用いて基板を処理する工程、すなわち基板処理、がしばしば行われる。基板処理においては処理液が基板へ吐出される。基板処理は、例えば、洗浄処理またはエッチング処理である。洗浄処理のためには処理液として洗浄液が用いられる。エッチング処理のためには処理液としてエッチング液が用いられる。基板処理を効率的に行うために基板処理装置が用いられる。
【0003】
特開2014-120644号公報は、基板処理装置の自己診断方法を開示している。具体的には、基板処理装置の構成部品の交換後、当該構成部品の影響を受けるパラメータが変動許容範囲内にある場合に、製品となる基板の処理が可能であると判断される。これにより、メンテナンス前とほぼ同条件での処理を行うことができる旨が、上記公報において主張されている。また、メンテナンス前とほぼ同条件での処理を行うことができるか否かがダミー基板により検証される場合に、当該検証が上記判断後に行われることによって、ダミー基板の使用枚数を削減することができる旨が主張されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-120644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報によれば、製品基板への基板処理前にダミー基板への基板処理を行う目的は、基板処理装置がメンテナンス前とほぼ同条件での処理を行うことができる状態にあることを検証することである。よって上記公報の技術においては、ダミー基板への処理が開始される時点で、基板処理装置は既に製品基板の処理がおおよそ可能な状態にあることが想定されている。しかしながら、基板処理装置をそのような良好な状態とするためには、基板処理装置が、ある程度の回数の基板処理を実行しなければならない場合も多い。上記公報の技術は、このような場合を考慮していない。
【0006】
さらに、上記公報によれば、パラメータとして流量が例示されている。一方、基板処理の結果に関連するパラメータは、通常、多岐にわたっている。よって、流量にのみ着目して基板処理装置を管理しても、メンテナンス前とほぼ同条件での処理を行うことができるとは言えない場合が多い。
【0007】
基板処理の管理において、基板処理に起因しての基板へのパーティクルの付着が過度でないことが求められることがある。製品基板、すなわち製品製造に用いられることになる基板、への基板処理の前に、ダミー基板への処理、すなわちダミー処理、を十分に多くの回数行えば、通常、この要件を満たすことができる。一方で、ダミー処理の回数が過多であると、時間またはコストの損失が大きくなるという問題が生じる。上記公報の技術では、上述した理由により、この問題を解決することができない。
【0008】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ダミー処理の回数が過多であることに起因しての時間またはコストの損失を抑えつつ、ダミー処理の回数が不足することに起因してのパーティクルの過度な付着を避けることができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様は、基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記基板処理装置は、処理液を貯留する貯留部と、基板処理のために前記処理液を吐出するノズルと、前記貯留部から前記ノズルへ前記処理液を供給する液経路と、を有し、前記基板処理装置は、製品製造に用いられることになる製品基板に対しての前記基板処理である実処理を行うことができ、かつ、製品製造に用いられることにはならないダミー基板に対しての前記基板処理であるダミー処理を前記実処理の前に任意の回数行うことができ、前記基板処理方法は、(a)前記液経路中の前記処理液が単位量あたりに含むパーティクルの個数を表す値を計測することと、(b)前記値に基づいて前記ダミー処理の回数を決定することと、を備える。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に記載の基板処理方法であって、前記液経路は、前記貯留部を経由して前記処理液を循環させる循環経路と、前記循環経路から前記ノズルへ延びる吐出経路と、を含む。
【0011】
第3の態様は、第2の態様に記載の基板処理方法であって、前記工程(a)は、前記吐出経路中の前記処理液が単位量あたりに含むパーティクルの個数を表す値を計測することによって行われる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様に記載の基板処理方法であって、前記吐出経路は前記ノズルと前記循環経路との間にバルブを含み、前記工程(a)は前記バルブが閉じられているときに前記バルブと前記ノズルとの間の前記処理液について行われる。
【0013】
第5の態様は、第1から第3のいずれかの態様に記載の基板処理方法であって、前記工程(a)は、前記基板処理の前に行われる前記処理液の予備吐出中に行われる。
【0014】
第6の態様は、処理液を用いた基板処理を行う基板処理装置であって、前記基板処理装置は、製品製造に用いられることになる製品基板に対しての前記基板処理である実処理を行うことができ、かつ、製品製造に用いられることにはならないダミー基板に対しての前記基板処理であるダミー処理を前記実処理の前に任意の回数行うことができるものであり、前記基板処理装置は、前記処理液を貯留する貯留部と、前記処理液を吐出するノズルと、前記貯留部から前記ノズルへ前記処理液を供給する液経路と、前記液経路中の前記処理液が単位量あたりに含むパーティクルの個数を表す値を計測する計測器と、前記計測器によって計測された前記値に基づいて前記ダミー処理の回数を決定する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
上記各態様によれば、液経路中の処理液が単位量あたりに含むパーティクルの個数を表す値に基づいて、ダミー処理の回数が決定される。これにより、ダミー処理の回数を、過多でも過小でもない適切な回数とすることができる。よって、ダミー処理の回数が過多であることに起因しての時間またはコストの損失を抑えつつ、ダミー処理の回数が不足することに起因してのパーティクルの過度な付着を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態における基板処理装置の構成を概略的に示す平面図である。
図2図1の基板処理装置に含まれる制御部の構成を模式的に示すブロック図である。
図3図1の基板処理装置の一部の構成を模式的に示す断面図である。
図4図1の基板処理装置が含む処理ユニットのチャンバー内の構成を概略的に示す平面図である。
図5】実施の形態における基板処理方法を概略的に示すフロー図である。
図6図3におけるパーティクルカウンタによって計測されるパーティクル値と、基板上のパーティクル数との関係の例を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図面に示されているX軸、Y軸およびZ軸は互いに直交し、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0018】
図1は、本実施の形態における基板処理装置100の構成を概略的に示す平面図である。基板処理装置100は、ロードポートLPと、インデクサロボットIRと、センターロボットCRと、制御部90と、薬液キャビネット10と、少なくとも1つの流体ボックス20と、少なくとも1つの処理ユニット30とを含む。処理ユニット30は、製品製造に用いられることになる製品基板WMに対しての基板処理である実処理を行うことができる。また処理ユニット30は、この実処理の条件を整えるために、製品製造に用いられることにはならないダミー基板WDに対しての基板処理であるダミー処理を、実処理の前に任意の回数行うことができる。なお以下において、製品基板WMおよびダミー基板WDを総称して、基板Wということがある。基板Wの形状は、おおよそ円形である。
【0019】
制御部90は、基板処理装置100に備えられた各部の動作を制御することができる。キャリアCMおよびキャリアCDのそれぞれは、製品基板WMおよびダミー基板WDを収容する収容器である。なお以下において、キャリアCMおよびキャリアCDを総称して、キャリアCということがある。ロードポートLPは、複数のキャリアCを保持する収容器保持機構である。インデクサロボットIRは、ロードポートLPと基板載置部PSとの間で基板Wを搬送することができる。基板載置部PSは、基板Wを一時的に保持することができる。センターロボットCRは、基板載置部PSおよび少なくとも1つの処理ユニット30のいずれかひとつから他のひとつへと基板Wを搬送することができる。以上の構成により、インデクサロボットIR、基板載置部PSおよびセンターロボットCRは、処理ユニット30の各々とロードポートLPとの間で基板Wを搬送する搬送機構として機能する。
【0020】
未処理の基板WはキャリアCからインデクサロボットIRによって取り出され、基板載置部PSを介してセンターロボットCRに受け渡される。センターロボットCRはこの未処理の基板Wを処理ユニット30に搬入する。処理ユニット30は基板Wに対して基板処理を行う。処理済みの基板WはセンターロボットCRによって処理ユニット30から取り出され、必要に応じて他の処理ユニット30を経由した後、基板載置部PSを介してインデクサロボットIRに受け渡される。インデクサロボットIRは処理済みの基板WをキャリアCに搬入する。以上により、基板Wに対する処理が行われる。
【0021】
基板処理装置100には、処理ユニット30とそれに対応する流体ボックス20との複数の組が存在している。各組において、処理ユニット30とそれに対応する流体ボックス20とは隣接していることが好ましい。薬液キャビネット10は流体ボックス20を介して処理ユニット30へ処理液を供給する。処理ユニット30および流体ボックス20は、共通の外壁(図1においては、4つの流体ボックス20を包含する外壁)の中に配置されている。なお図1においては薬液キャビネット10も上記外壁内に配置されているが、薬液キャビネット10は上記外壁外に配置されていてもよい。
【0022】
図2は、制御部90(図1)の構成を模式的に示すブロック図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、記憶装置94、入力部96、表示部97および通信部98と、これらを相互接続するバスライン95とを有している。
【0023】
ROM92は基本プログラムを格納している。RAM93は、CPU91が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置94は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置等の不揮発性記憶装置によって構成されている。入力部96は、各種スイッチまたはタッチパネル等により構成されており、オペレータから処理レシピ等の入力設定指示を受ける。表示部97は、例えば液晶表示装置およびランプ等により構成されており、CPU91による制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、LAN(Local Area Network)等を介してのデータ通信機能を有している。記憶装置94には、基板処理装置100(図1)を構成する各装置の制御についての複数のモードが予め設定されている。CPU91が処理プログラム94Pを実行することによって、上記複数のモードのうちの1つのモードが選択され、該モードによって各装置が制御される。また、処理プログラム94Pは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要は無く、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0024】
図3は、基板処理装置100の一部の構成を模式的に示す断面図である。薬液キャビネット10、流体ボックス20および処理ユニット30の間は、処理液LCを輸送する配管(液経路)によって互いに接続されている。配管は、循環配管PC(循環経路)と、吐出配管PP(吐出経路)とを有する。薬液キャビネット10と流体ボックス20との間は循環配管PCによって互いに接続されている。流体ボックス20と処理ユニット30との間は吐出配管PPによって互いに接続されている。配管の材料は、例えばペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)である。
【0025】
薬液キャビネット10はケース11と、処理液タンク12(貯留部)と、ヒータ13と、ポンプ14と、フィルタ15とを有する。ケース11は、処理液タンク12と、ヒータ13と、ポンプ14と、フィルタ15とを収容している。処理液タンク12は、処理液LCを貯留する。循環配管PCは、処理液タンク12と、ヒータ13と、ポンプ14と、フィルタ15とを順に通って、矢印FC1(図3)に示すように薬液キャビネット10から処理液LCを送り出す部分を有する。このように送り出された処理液LCは、矢印FC2(図3)に示すように流体ボックス20へ供給される。また循環配管PCは、矢印FC5(図3)に示すように、処理液LCを処理液タンク12へ戻す部分を有し、これにより循環配管PCは処理液タンク12を経由して処理液LCを循環させることができる。
【0026】
流体ボックス20は、ケース21と、吐出バルブ22と、循環バルブ23とを有する。ケース21は、吐出バルブ22と、循環バルブ23とを収容している。循環配管PCのうち流体ボックス20内に位置する部分は、分岐B1を有する。矢印FC2(図3)に示すように流体ボックス20へ供給された処理液は、分岐B1に達する。この分岐B1からノズル32へ吐出配管PPが延びている。吐出バルブ22は、吐出配管PPの途中に配置されている。言い換えれば、吐出配管PPはノズル32と循環配管PCとの間に吐出バルブ22を含む。吐出バルブ22は、吐出配管PPを矢印FD1(図3)のように流れる処理液LCの流量を調整するためのものである。吐出バルブ22が完全に閉じられると、流量はゼロとなる。なお、図3に示された吐出バルブ22に代わって、開閉バルブと流量バルブとが直列に接続された構成が用いられてもよい。この場合、開閉バルブによって吐出配管PPが、開状態(導通された状態)と閉状態(閉塞された状態)との間で切り替えられる。そして開状態の場合の流量が流量バルブによって調整される。またこの構成中に(例えば開閉バルブと流量バルブとの間に)流量計が設けられてもよい。循環バルブ23は、分岐B1の下流側において循環配管PCの途中に配置されている。循環バルブ23は、矢印FC3(図3)のように流れる処理液LCの流量を調整するためのものである。これらの構成により、循環バルブ23が閉じられかつ吐出バルブ22が開かれれば、薬液キャビネット10からの処理液LCが吐出経路PPを介してノズル32へ供給される。逆に、循環バルブ23が開かれかつ吐出バルブ22が閉じられれば、薬液キャビネット10からの処理液LCが、ノズル32へ供給されることなく循環配管PCを循環する。
【0027】
なお変形例として、ケース21が省略されてもよい。その場合、分岐B1、吐出バルブ22および循環バルブ23は、例えば、チャンバー31内に配置されていてよい。
【0028】
処理ユニット30は、基板Wに対して、処理液LCを用いた基板処理を行うためのものである。この目的で処理ユニット30は、チャンバー31と、スピンチャック39と、ノズル32と、ノズル移動ユニット34と、液受部35と、カップ36とを有する。
【0029】
チャンバー31は、おおよそボックス形状を有する。チャンバー31は、スピンチャック39、ノズル32、ノズル移動ユニット34、液受部35、およびカップ36を収容している。スピンチャック39は、基板Wを保持して回転する基板保持部である。具体的には、スピンチャック39は、チャンバー31内で基板Wを水平に保持しながら、回転軸線A1の回りに基板Wを回転させる。スピンチャック39は、複数のチャック部材110と、スピンベース111と、スピンモーター112とを含む。複数のチャック部材110は基板Wを水平な姿勢で保持する。スピンベース111は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材110を支持する。スピンモーター112は、スピンベース111を回転させることによって、複数のチャック部材110に保持された基板Wを回転軸線A1の回りに回転させる。
【0030】
ノズル32は、吐出バルブ22が開状態のとき、基板処理のために基板Wに向けて処理液LCを吐出する。吐出バルブ22が閉状態とされると、この吐出は停止される。処理液LCは、通常、薬液である。基板処理として、例えば、シリコン窒化膜が形成された基板に対してのエッチング処理が行われる場合は、処理液LCはリン酸を含む。基板処理として、例えば、レジストの除去処理が行われる場合は、処理液LCは硫酸と過酸化水素水との混合液(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:SPM)を含む。リン酸またはSPMを含む処理液LCは、高温で使用される処理液LCの一例である。
【0031】
吐出配管PPは循環配管PCの分岐B1からノズル32へ延びており、これによりノズル32に処理液LCが供給される。よって基板処理装置100の配管は、処理液タンク12からノズル32へ処理液LCを供給することができる。吐出配管PPに供給される処理液LCの温度は、吐出配管PPよりも上流に配置されている循環配管PCにおいて、ヒータ13によって、室温よりも高い規定温度に維持されていてよい。規定温度は、基板処理の内容に応じて設定されることが好ましい。リン酸を含む処理液LCによるエッチング処理の場合は、規定温度は例えば175℃程度であり、SPMを含む処理液LCによる洗浄処理の場合は、規定温度は例えば200℃程度である。
【0032】
カップ36は略筒形状を有する。カップ36は、基板Wから排出された処理液LCを受け止める。
【0033】
図4は、処理ユニット30の内部構成を概略的に示す平面図である。以下、図3および図4を参照して、ノズル移動ユニット34、液受部35、および予備吐出(pre-dispensing)について説明する。
【0034】
ノズル移動ユニット34は、回動軸線A2の回りに回動することによって、ノズル32を水平に移動させる。具体的には、この回動によってノズル移動ユニット34はノズル32を、処理位置PS1と待機位置PS2との間で水平に移動させる。処理位置PS1は、基板Wの上方に位置する。図4では、処理位置PS1に位置するノズル32が二点鎖線で示されている。待機位置PS2は、平面レイアウト(XY面におけるレイアウト)において、スピンチャック39およびカップ36よりも外側に位置する。またノズル移動ユニット34はノズル32を、水平だけでなく鉛直にも移動させることもできる。
【0035】
液受部35は、平面レイアウト(XY面におけるレイアウト)において、スピンチャック39およびカップ36よりも外側に位置する。具体的には、液受部35は、ノズル32の待機位置PS2の下方に位置する。液受部35は、予備吐出においてノズル32から吐出される処理液LCを受ける。
【0036】
予備吐出は、液受部35に向けての処理液LCの吐出であり、基板Wに向けての処理液LCの吐出の前に行われる。言い換えれば、予備吐出は、基板処理の前に行われる処理液LCの吐出である。予備吐出の準備として、ノズル移動ユニット34は、ノズル32を待機位置PS2から下降させる。これによりノズル32の先端は、液受部35に十分に近づき、好ましくは液受部35の内部空間に挿入される。その後、ノズル32は液受部35に向けて処理液LCを吐出する。
【0037】
図3を参照して、基板処理装置100はパーティクルカウンタ38(計測器)を有する。パーティクルカウンタ38は、配管中の処理液LCが単位量あたりに含むパーティクルの個数を表す値を計測する。この目的で、パーティクルカウンタ38は配管の分岐B2に接続されている。好ましくは、分岐B2は吐出配管PPに配置されている。より好ましくは、分岐B2は吐出バルブ22とノズル32との間に配置されている。さらにより好ましくは、分岐B2は、吐出配管PPの、チャンバー31内の部分に配置されており、この場合、図3に示されているように、パーティクルカウンタ38はチャンバー31内に配置されていることが好ましい。また好ましくは、分岐B2は、吐出バルブ22とノズル32との間の経路の中点と、ノズル32との間に配置されている。なお図3においてはパーティクルカウンタ38がチャンバー31内に配置されているが、チャンバー31の外に配置されていてもよい。例えば、パーティクルカウンタ38および分岐B2がケース21内に配置されていてよい。
【0038】
次に、基板処理装置100を用いた基板処理方法について、図5も参照しつつ、以下に説明する。
【0039】
ステップS10(図5)にて、配管中の処理液LCが単位量あたりに含むパーティクルの個数を表す値を、パーティクルカウンタ38が計測する。以下、この値をパーティクル値とも称する。パーティクル値は、配管中の処理液LCが単位量(典型的には単位体積)あたりに含むパーティクルの個数を表す値であってよく、この値をパーティクル濃度とも称する。好ましくは、上記計測は、吐出経路PP中の処理液LCのパーティクル濃度を計測することによって行われ、そのためには、分岐B2が吐出経路PPに配置される。より好ましくは、上記計測は、チャンバー31内の処理液LCのパーティクル濃度を計測することによって行われ、そのためには、分岐B2がチャンバー31内に配置される。
【0040】
上記計測は、吐出バルブ22が閉じられているときに、吐出バルブ22とノズル32との間の処理液LCについてのパーティクル濃度を計測することによって行われてよい。吐出バルブ22が閉じられているとき、分岐B2において処理液LCの流れは止まっている。このように止まっている処理液LCを、パーティクルカウンタ38が分岐B2から、矢印FS(図3)に示すように吸い出す。吸い出される処理液LCの体積は、パーティクル濃度の計測に必要な最低限の量であってよい。吸い出された処理液LCを用いてパーティクル濃度が計測される。計測された処理液LCは廃棄されてよい。
【0041】
あるいは、上記計測は、吐出バルブ22が閉じられているときに行われる代わりに、予備吐出中に行われてよい。予備吐出は、吐出バルブ22を開状態とする動作をともなう。吐出バルブ22が開かれているとき、分岐B2において処理液LCが流れている。このように流れている処理液LCの一部を、パーティクルカウンタ38が分岐B2から、矢印FS(図3)に示すように取り込む。取り込まれた処理液LCを用いてパーティクル濃度が計測される。変形例として、分岐B2を設ける代わりに、分岐B2の位置にパーティクルカウンタが挿入されていてもよい。この変形例においては、パーティクルカウンタから排出された処理液LCがノズル32へ供給される。
【0042】
ステップS20(図5)にて、パーティクルカウンタ38によって計測された上記パーティクル値に基づいて、制御部90がダミー処理の回数を決定する。ダミー処理の回数は、パーティクル値が高いほど多くされることが好ましい。上記決定のために制御部90は、パーティクル値からダミー処理の回数を計算によって求めてもよいし、あるいは、パーティクル値とダミー処理の回数との対応関係を格納したテーブルを参照してもよい。なおパーティクル値が低い場合、ダミー処理の回数がゼロと決定されてもよい。
【0043】
パーティクル値と、当該パーティクル値を有する処理液LCによって基板処理された基板W上のパーティクル数との相関関係は、図6のグラフR1およびグラフR2によって模式的に示すように、基板処理の条件によって相違することが多い。この相違を考慮するために、基板処理の複数の条件に対応して、複数の計算式が制御部90に登録されていてよい。あるいは、基板処理の複数の条件に対応して、複数のテーブルが制御部90に登録されていてよい。制御部90は、実施されることになる基板処理の条件に応じて、ひとつの計算式またはテーブルを選択的に使用する。これにより、パーティクル値だけでなく、基板処理の条件に応じて、ダミー処理の回数を決定することができる。基板処理の条件は、例えば、処理液LCの種類、および処理液LCの温度である。処理液LCの種類について例示すると、フッ化水素の水溶液の場合と、水酸化アンモニウムおよび過酸化水素の水溶液の場合とを比較すると、前者の方が疎水性が高く、その結果、基板W上にパーティクルが残留しやすくなる。よって、基板W上のパーティクル数を所定の数以下に管理することが目的であれば、計測されたパーティクル値が同一であっても、処理液LCが前者の場合は後者の場合に比して、ダミー処理の回数が多くされることが好ましい。
【0044】
ステップS30(図5)にて、上記ステップS20にて決定された回数の基板処理が、ダミー処理として行われる。言い換えれば、ダミー基板WD(図1)への基板処理が、この回数行われる。
【0045】
ステップS40(図5)にて、上記ダミー処理の後、実処理が行われる。言い換えれば、製品基板WM(図1)への基板処理が行われる。
【0046】
本実施の形態によれば、ダミー処理の回数がパーティクル値に基づいて決定される。これにより、ダミー処理の回数を、過多でも過小でもない適切な回数とすることができる。よって、ダミー処理の回数が過多であることに起因しての時間またはコストの損失を抑えつつ、ダミー処理の回数が不足することに起因してのパーティクルの過度な付着を避けることができる。
【0047】
吐出バルブ22が閉じられているときにパーティクル値が計測される場合は、計測時にノズル32から処理液LCが流失することを避けることができる。予備吐出中にパーティクル値が計測される場合は、計測を行うことに起因して基板処理が遅延することが避けられる。
【0048】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 :薬液キャビネット
11 :ケース
12 :貯留液タンク(貯留部)
20 :流体ボックス
21 :ケース
22 :吐出バルブ(バルブ)
23 :循環バルブ
30 :処理ユニット
31 :チャンバー
32 :ノズル
35 :液受部
36 :カップ
38 :パーティクルカウンタ(計測器)
90 :制御部
100 :基板処理装置
LC :処理液
PC :循環配管(循環経路)
PP :吐出配管(吐出経路)
W :基板
WD :ダミー基板
WM :製品基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6