(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】アルカリ金属水酸化物を使用した酸化亜鉛系吸着剤、およびその調製と使用プロセス
(51)【国際特許分類】
B01J 20/06 20060101AFI20230621BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20230621BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
B01J20/06 C
B01J20/28 Z
B01J20/30
(21)【出願番号】P 2019565372
(86)(22)【出願日】2018-08-01
(86)【国際出願番号】 US2018044781
(87)【国際公開番号】W WO2019028127
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-07
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507021506
【氏名又は名称】リサーチ トライアングル インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】ジエン-ピーン シェン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン エス ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エス ターク
(72)【発明者】
【氏名】ラグビール グプタ
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06951635(US,B2)
【文献】特表2008-526488(JP,A)
【文献】米国特許第07956006(US,B2)
【文献】米国特許第05110586(US,A)
【文献】特開平02-095436(JP,A)
【文献】特開2008-115309(JP,A)
【文献】Energy & Fuels,Vol.8, No.3,1994年,p.763-769
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00-20/28,20/30-20/34
B01D 53/02-53/12
B01D 53/14-53/18
C01G 1/00-23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤を調製するためのプロセスであって、以下のステップ:
酸化亜鉛前駆体と酸化アルミニウム前駆体との水溶液をアルカリ金属水酸化物の水溶液と組み合わせて、第1のスラリーを形成すること、
ここで、固形分が、沈殿酸化亜鉛前駆体および沈殿酸化アルミニウム前駆体を含み、前記沈殿酸化亜鉛前駆体のZnOとして計算される量が、前記スラリー中の
前記沈殿酸化亜鉛前駆体のZnOとして計算される量および前記沈殿酸化アルミニウム前駆体のAl
2
O
3
として計算される量の総量の50重量%~80重量%を構成するように、および、混合および組合せステップ中のこのスラリーのpHが5.5~7.5、に維持されるように、そして、スラリーの温度が50℃~75℃に制御される;
分離手段によって、前記第1のスラリーの液相を固相から分離すること;
分離された固相を水で洗浄して、ナトリウムの重量で25ppm~ナトリウムの重量で2500ppmの前記固相の残留ナトリウムレベルを達成すること;
前記第1のスラリーから分離された前記固相を水および濃酸で処理して、第2のスラリーを生成すること(ここで、前記第2のスラリーのpHは、酸で3.5~5.0に調節される);
前記第2のスラリーを噴霧乾燥して、噴霧乾燥粒子を形成すること;および
前記噴霧乾燥粒子をか焼して、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とからなる二相成分を含む流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子を提供すること、
を含む、流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤を調製するためのプロセス。
【請求項2】
前記噴霧乾燥ステップが、35μm~175μmのサイズ範囲を有するか焼粒子を提供するのに十分な条件下で実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記酸化亜鉛が、前記スラリー中の前記酸化亜鉛前駆体および前記酸化アルミニウム前駆体の総固形分量の少なくとも50重量%を構成する、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子が、直径50nm未満の酸化亜鉛粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子が、直径10nm~40nmの酸化亜鉛粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子が、直径12nm~30nmの酸化亜鉛粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子が、直径13nm~20nmの酸化亜鉛粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記スラリーが、促進剤前駆体、バインダー前駆体、および耐火性酸化物前駆体からなる群より選択される少なくとも1つの追加材料をさらに含み、前記追加材料は、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とからなる前記二相成分を少なくとも75重量%含む流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子を提供するように選択された量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記追加材料が、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とからなる前記二相成分を少なくとも80重量%含む流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子を提供するように選択された量で存在する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記追加材料が、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とからなる前記二相成分を少なくとも90重量%含む流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子を提供するように選択された量で存在する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記追加材料が、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とからなる前記二相成分を少なくとも95重量%含む流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子を提供するように選択された量で存在する、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記アルカリ金属水酸化物の全部または一部が、アルカリ金属炭酸塩で置き換えられる、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウムである、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記水酸化ナトリウムの全部または一部が、炭酸ナトリウムで置き換えられる、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記固相の残留ナトリウムレベルが、ナトリウムの重量で50ppm~ナトリウムの重量で1000ppmである、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記固相の残留ナトリウムレベルが、ナトリウムの重量で75ppm~ナトリウムの重量で750ppmである、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記第2のスラリーの酸性化に使用される前記酸が、硝酸である、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記第2のスラリーのpH範囲が、4.0~4.5の間に調節される、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記第1のスラリーの形成が、65℃~75℃の温度で実施される、請求項1~18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記固相からの前記第1のスラリーの前記液相の分離が、周囲温度~85℃の温度で行われる洗浄プロセスを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記固相からの前記第1のスラリーの前記液相の分離が、50℃~80℃の温度で行われる洗浄プロセスを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記噴霧乾燥粒子が、500℃~900℃でか焼される、請求項1~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記噴霧乾燥粒子が、600℃~800℃でか焼される、請求項22に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、Jian-Ping Shenらの2017年8月1日に出願された米国特許出願第62/540,028号、アトーニー整理番号121-53-PROV2の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【連邦政府による資金提供を受けた研究または開発に関する声明】
【0002】
本発明は、米国エネルギー省(DOE)により授与された契約番号DE-FE0000489の下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【技術分野】
【0003】
本開示は、酸化亜鉛系の吸着剤、およびこれらの吸着剤の調製方法および使用方法に関する。より具体的には、本開示は、耐摩耗性、流動性、酸化亜鉛系の吸着剤およびそれらを製造および使用するプロセスに関する。
【背景技術】
【0004】
燃料ガス、合成ガス、炭化水素供給原料およびクラウスプラントテールガスなどの工業用ガスからの硫黄含有ガスの除去は、今日の多くの工業プロセスにおいて依然として問題となっている。硫黄除去研究のこの分野で最も有用な開発の1つは、還元された硫黄成分と反応してガス流からそれらを除去可能な酸化亜鉛系の吸着剤の開発であった。
【0005】
そのような種類の材料の1つは、Gangwalらによって2005年10月4日に発行された米国特許第6,951,635号で説明されている。この特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第6,951,635号は、様々な亜鉛含有物質の合成およびキャラクタリゼーション、ならびに還元された硫黄種、特にH2SおよびCOSをガス流から除去するためのこれらの物質の使用を記載している。
【0006】
Gangwalらによって開示された記載された活性亜鉛成分は、酸化亜鉛(ZnO)相およびアルミン酸亜鉛(ZnAl2O4)相から本質的になる二相材料である;これらの2つの相のそれぞれは、活性な吸着剤粒子全体に均一に分布し、2つの相のそれぞれは、X線回折(XRD)半価幅分析で決定される典型的には約50nm(500オングストローム)未満の比較的小さな結晶子サイズによって特徴付けられる。
【0007】
これらの材料は、400°F(204℃)の低い温度と1000°F(538℃)の高い温度で、温かいガス流から還元された硫黄成分を除去し、そのため、選択した温度範囲で供給ガスから望ましくない硫黄成分の除去を可能にするかなりの程度の柔軟性を提供する。さらに、これらの吸着剤組成物は再生可能であり、必要な反応性、安定性、機械的強度特性を備え、適切な物理的形状とサイズで容易に製造でき、輸送床、反応器を含む流動床で上記の温度範囲で使用できる。米国特許第6,951,635号に開示されているように、再生プロセスが酸素を含むガス流の存在下、約950°F(約510℃)~約1350°F(約704℃)の範囲の温度で実行されると、硫黄汚染物質の喪失で酸化亜鉛系吸着剤を再生することができる。硫黄汚染物質は、再生プロセス中に主にSO2ガスとして酸化亜鉛系吸着剤から除去される。
【0008】
これらの耐摩耗性の酸化亜鉛系吸着剤は、沈殿酸化亜鉛前駆体と沈殿酸化アルミニウム前駆体とを含む前駆体混合物をその二相活性酸化亜鉛含有成分に変換することによって調製された。沈殿前駆体を使用することによって、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相の強化された混合と均一な分布の促進が活性亜鉛吸着剤成分で生じたことが開示された。これはまた、活性亜鉛成分における小さな結晶相の形成を促進した。これらの品質は、開示された製品に、従来の方法で調製されたアルミン酸亜鉛材料と比較して、吸着剤のより高いレベルの化学反応性と高温安定性をもたらした。
【0009】
これらの前駆体および活性吸着剤の調製プロセスは、米国特許第6,951,635号に詳細に記載されている。また、この特許は、得られる製品の品質と特性、およびこれらの材料を使用してH2SとCOSなどの硫黄含有材料を温かいガスから除去するために使用し得る方法、ならびに酸化亜鉛系吸着剤の再生プロセスも開示している。
【0010】
例えば、米国特許第6,951,635号に開示された1つの好ましい態様によれば、その発明の耐摩耗性酸化亜鉛系吸着剤は、沈殿した酸化亜鉛前駆体と沈殿した酸化アルミニウム(アルミナ)前駆体とを含むスラリーを噴霧乾燥することによって調製される。これらの沈殿した酸化亜鉛前駆体および沈殿したアルミナ前駆体には、例えば、水酸化物が含まれていた。これらの水酸化物は、溶解した硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩、アルコキシドなどの亜鉛とアルミニウムの塩から沈殿した。乾燥または湿潤形態の酸化物の混合と比較して、沈殿した酸化亜鉛とアルミナ前駆体を容易に組み合わせて、分子レベルでの著しく高い混合を達成できることが開示された。次に、最終的な酸化亜鉛系吸着剤は、吸着剤全体に均一に分布する酸化亜鉛(ZnO)相とアルミン酸亜鉛(ZnAl2O4)相を含むことが開示されており、その2つの相のそれぞれは、比較的小さい結晶子サイズによって特徴づけられることが開示された。酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相の前駆体は、亜鉛とアルミニウムの溶解塩が容器にポンプで送られ、同時に水酸化アンモニウムの濃い溶液が容器に導入されたときに形成された。約6.0のpHが室温で反応混合物で維持されるように、流量を制御することによって、反応スラリーのpHが調節された。
【0011】
米国特許第6,951,635号は、好ましい酸化亜鉛およびアルミナ前駆体が、それぞれZn(NO3)2およびAl(NO3)3であり、スラリーの少なくとも50重量%(酸化亜鉛として)の乾燥固形分が、沈殿プロセスまたはステップから直接回収された湿潤ろ過ケーキの形態である、その沈殿した酸化亜鉛前駆体または誘導体によって構成されていたことを開示した。さらに、好ましくは、乾燥固形分の少なくとも20重量%(Al2O3として)が、沈殿した酸化アルミニウム前駆体または誘導体によって構成され、また、その酸化アルミニウム前駆体は、沈殿プロセスまたはステップから直接回収された酸化亜鉛前駆体ケーキとよく混合された湿潤ろ過ケーキの形であることが開示されている。さらに、この特許は、好ましい実施形態では、酸化亜鉛前駆体と酸化アルミニウム前駆体との混合物に水酸化アンモニウムが添加される場合など、沈殿した酸化亜鉛前駆体と沈殿した酸化アルミニウム前駆体が共沈プロセスで同時に形成されることも開示している。
【0012】
米国特許第6,951,635号の好ましい実施形態では、酸化亜鉛中間体および酸化アルミニウム中間体のろ過ケーキを脱イオン水および強酸で処理して、所望のpH範囲のスラリーを作成した。次いで、従来のプロセスおよび装置を使用して、そのスラリーを噴霧乾燥し、実質的に球状の噴霧乾燥粒子を形成した。噴霧乾燥条件は、粒子の少なくとも80体積パーセントが40~255μmの直径を有するようなサイズの「生の」噴霧乾燥粒子を提供するように調節されることが開示された。
【0013】
米国特許第6,951,635号では、「生の」噴霧乾燥粒子を酸素含有環境でか焼して、水酸化物を酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよびアルミン酸亜鉛に変換することが開示された。そのか焼ステップはまた、噴霧乾燥粒子の収縮を35~175μmの範囲内の平均サイズ分布とすることが開示された。この開示は、典型的にはか焼温度が300℃を超え、好ましくは500℃を超える温度;より好ましくは650℃以上であると述べた。実際、か焼は、好ましくは、意図された初期再生温度とほぼ同じかそれより高い温度で実施されることが開示された。当技術分野で知られているように、この技術は、その後の使用中の吸着剤の物理的および化学的特性の安定化を強化することができる。
【0014】
米国特許第6,951,635号に開示されているような酸化亜鉛系吸着剤の調製は成功し、温かいガスの脱硫に有効な材料を生成したが、これらの吸着剤の生成プロセスでは、水酸化アンモニウム溶液を使用して、最終製品の製造に必要な酸化亜鉛系中間体と酸化アルミニウム系中間体を生成し、共沈させることを含んでいた。これにより、これらの製品の製造プロセスからアンモニア含有廃棄物が生じた。環境上の理由でアンモニア含有廃棄物の生成を最小限に抑えるために、我々は、他の非アンモニア系水酸化物およびアルカリ金属の炭酸塩を使用して、同様の酸化亜鉛系吸着剤の製造のための代替プロセスの調査を開始した。
【発明の概要】
【0015】
本開示は、供給流から少なくとも1つの還元硫黄種を除去するための流動性、耐摩耗性の吸着剤を提供し、その吸着剤は、実質的に球状の粒子を含み、その粒子は、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とから本質的になる活性亜鉛成分を少なくとも75重量%含み、前記 相のそれぞれは、X線回折半価幅分析によって決定される約50nm(500オングスト ローム)未満の結晶子サイズを有し、前記活性亜鉛成分は、前記酸化亜鉛相と前記アルミ ン酸亜鉛相の組み合わせた酸化亜鉛に基づいて計算される総酸化亜鉛量を、前記活性亜鉛 成分の重量に基づいて、約50重量%~約80重量%有し、固相中の残留ナトリウムレベルは、ナトリウムの重量で約25ppm~ナトリウムの重量で約2500ppmである。
具体的な態様を以下に述べる。
<1>供給流から少なくとも1つの還元硫黄種を除去するための流動性耐摩耗性の吸着剤であって、
実質的に球状の粒子を含み、
前記粒子は、酸化亜鉛相およびアルミン酸亜鉛相から本質的になる活性亜鉛成分を少なくとも75重量%含み、前記相のそれぞれは、X線回折半価幅分析によって決定される約 50nm未満の結晶子サイズを有し、
前記活性亜鉛成分は、前記酸化亜鉛相と前記アルミン酸亜鉛相の組み合わせた酸化亜鉛 に基づいて計算される総酸化亜鉛量を、前記活性亜鉛成分の重量に基づいて、約50重量 %~約80重量%有し、前記固相中の残留ナトリウムレベルは、ナトリウムの重量で約25ppm~ナトリウムの重量で約2500ppmである、流動性耐摩耗性の吸着剤。
<2>前記固相中の残留ナトリウムレベルが、ナトリウムの重量で約50ppm~ナトリウム の重量で約1000ppmである、<1>に記載の流動性耐摩耗性の吸着剤。
<3>前記固相中の残留ナトリウムレベルが、ナトリウムの重量で約75ppm~ナトリウムの重量で約750ppmである、<1>に記載の流動性耐摩耗性の吸着剤。
<4>前記還元硫黄種が、H
2
Sである、<1>~<3>のいずれか一項に記載の流動性耐摩耗性の吸着剤。
<5>供給流からCOSを除去するための流動性耐摩耗性の吸着剤であって、
実質的に球状の粒子を含み、
前記粒子は、酸化亜鉛相およびアルミン酸亜鉛相から本質的になる活性亜鉛成分を少なくとも75重量%含み、前記相のそれぞれは、X線回折半価幅分析によって決定される約50nm未満の結晶子サイズを有し、
前記活性亜鉛成分は、前記酸化亜鉛相と前記アルミン酸亜鉛相の組み合わせた酸化亜鉛に基づいて計算される総酸化亜鉛量を、前記活性亜鉛成分の重量に基づいて、約50重量%~約80重量%有し、前記固相中の残留ナトリウムレベルは、ナトリウムの重量で約25ppm~ナトリウムの重量で約2500ppmである、流動性耐摩耗性の吸着剤。
<6>流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤を調製するためのプロセスであって、以下 のステップ:
前記固形分が、沈殿酸化亜鉛前駆体および沈殿酸化アルミニウム前駆体を含み、前記沈殿酸化亜鉛前駆体および前記沈殿酸化アルミニウム前駆体は、それぞれ、ZnOおよびAl
2
O
3
として計算される量で存在するように、前記沈殿酸化亜鉛前駆体が、前記スラリー中の前記沈殿酸化亜鉛前駆体および前記沈殿酸化アルミニウム前駆体の総固形分量の約50重量%~約80重量%を構成するように、および、混合および組合せステップ中のこのスラリーのpHが5.5~7.5に維持されるように、酸化亜鉛前駆体と酸化アルミニウム前駆体との水溶液をアルカリ金属水酸化物の水溶液と組み合わせて、第1のスラリーを形成すること;
分離手段によって、前記第1のスラリーの液相を前記固相から分離すること;
ろ過された固相を水、好ましくは脱イオン水で洗浄して、ナトリウムの重量で約25ppm~ナトリウムの重量で約2500ppmの前記固相の残留ナトリウムレベルを達成すること;
前記第1のスラリーから分離された固体材料を水および濃酸で処理して、第2のスラリーを生成すること(ここで、前記第2のスラリーのpHは、酸で3.5~5.0に調節される);
前記第2のスラリーを噴霧乾燥して、噴霧乾燥粒子を形成すること;および
前記噴霧乾燥粒子をか焼して、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とから本質的になる二相成分を含む流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子を提供すること、
を含む、流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤を調製するためのプロセス。
<7>前記噴霧乾燥ステップが、35μm~175μmのサイズ範囲を有するか焼粒子を提供するのに十分な条件下で実施される、<6>に記載のプロセス。<8>前記酸化亜鉛が、前記スラリー中の前記酸化亜鉛前駆体および前記酸化アルミニウム前駆体の総固形分量の少なくとも約50重量%を構成する、<6>または<7>に記載のプロセス。
<9>前記活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子が、直径50nm未満の酸化亜鉛粒子を含む、<6>~<8>のいずれか一項に記載のプロセス。
<10>前記活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子が、直径約10nm~約40nmの酸化亜鉛粒子を含む、<6>~<8>のいずれか一項に記載のプロセス。
<11>前記活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子が、直径約12nm~約30nmの酸化亜鉛粒子を含む、<6>~<8>のいずれか一項に記載のプロセス。
<12>前記活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子が、直径約13nm~約20nmの酸化亜鉛粒子を含む、<6>~<8>のいずれか一項に記載のプロセス。
<13>前記スラリーが、促進剤前駆体、バインダー前駆体、および耐火性酸化物前駆体からなる群より選択される少なくとも1つの追加材料をさらに含み、前記追加材料は、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とから本質的になる前記二相成分を少なくとも約75重量%含む流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子を提供するように選択された量で存在する、<6>~<12>のいずれか一項に記載のプロセス。
<14>前記追加材料が、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とから本質的になる前記二相成分を少なくとも約80重量%含む流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子を提供するように選択された量で存在する、<13>に記載のプロセス。<15>前記追加材料が、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とから本質的になる前記二相成分を少なくとも約90重量%含む流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子を提供するように選択された量で存在する、<14>に記載のプロセス。
<16>前記追加材料が、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とから本質的になる前記二相成分を少なくとも約95重量%含む流動性耐摩耗性で、活性酸化亜鉛含有吸着剤粒子を提供するように選択された量で存在する、<15>に記載のプロセス。
<17>前記アルカリ金属水酸化物の全部または一部が、アルカリ金属炭酸塩で置き換えられる、<6>~<16>のいずれか一項に記載のプロセス。
<18>前記アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウムである、<6>~<16>のいずれか一項に記載のプロセス。
<19>前記水酸化ナトリウムの全部または一部が、炭酸ナトリウムで置き換えられる、<18>に記載のプロセス。
<20>前記固相の残留ナトリウムレベルが、ナトリウムの重量で50ppm~ナトリウムの重量で1000ppmである、<6>~<19>のいずれか一項に記載のプロセス。
<21>前記固相の残留ナトリウムレベルが、ナトリウムの重量で75ppm~ナトリウムの重量で750ppmである、<20>に記載のプロセス。
<22>前記第2のスラリーの酸性化に使用される前記酸が、硝酸である、<6>~<21>のいずれか一項に記載のプロセス。
<23>前記第2のスラリーのpH範囲が、4.0~4.5の間に調節される、<6>~<22>のいずれか一項に記載のプロセス。
<24>前記第1のスラリーの形成が、周囲温度~約85℃の温度で実施される、<6>~<23>のいずれか一項に記載のプロセス。
<25>前記第1のスラリーの形成が、約50℃~約80℃の温度で実施される、<24>に記載のプロセス。
<26>前記第1のスラリーの形成が、約65℃~約75℃の温度で実施される、<25>に記載のプロセス。
<27>前記固相からの前記第1のスラリーの前記液相の分離が、周囲温度~約85℃の温度で行われる洗浄プロセスを含む、<6>~<26>のいずれか一項に記載のプロセス。
<28>前記固相からの前記第1のスラリーの前記液相の分離が、約50℃~約80℃の温度で行われる洗浄プロセスを含む、<6>~<27>のいずれか一項に記載のプロセス。
<29>前記噴霧乾燥粒子が、約500℃~約900℃でか焼される、<6>~<28>のいずれか一項に記載のプロセス。
<30>前記噴霧乾燥粒子が、約600℃~約800℃でか焼される、<29>に記載のプロセス。
【0016】
上記の流動性耐摩耗性吸着剤では、固相中の残留ナトリウムレベルは、ナトリウムの重量で約50ppm~ナトリウムの重量で約1000ppmである。あるいは、固相中の残留ナトリウムレベルは、ナトリウムの重量で約75ppm~ナトリウムの重量で約750ppmである。
【0017】
一実施形態では、還元硫黄種は、H2Sである。
【0018】
本発明はまた、供給流からCOSを除去するための流動性、耐摩耗性の吸着剤を提供し、その吸着剤は、実質的に球状の粒子を含み、前記粒子は、酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相とから本質的になる活性亜鉛成分を少なくとも75重量%含み、前記相のそれぞれは、X線回折半価幅分析によって決定される約50nm(500オングストローム)未満の結晶子サイズを有し、前記活性亜鉛成分は、前記酸化亜鉛相と前記アルミン酸亜鉛相を組み合わせた酸化亜鉛に基づいて計算される総酸化亜鉛量を、前記活性亜鉛成分の重量に基づいて、約50重量%~約80重量%有し、固相中の残留ナトリウムレベルは、ナトリウムの重量で約25ppm~ナトリウムの重量で約2500ppmである。
【0019】
一態様によれば、本発明は、還元硫黄種、特にH2SおよびCOSをガス流から除去することができる環境に優しい酸化亜鉛系吸着剤組成物を提供する。吸着剤組成物は、再生可能であり、必要な反応性、安定性、および機械的強度特性を備え、適切な物理的形状とサイズで容易に製造でき、輸送床、反応器を含む流動床での比較的低温および比較的高温を含む温度範囲での使用が可能である。別の態様によれば、本開示は、約350°Fの低さまたは約1150°Fの高さ、好ましくは1気圧~100気圧の範囲の圧力で375°F~1075°Fの温度で、還元ガス流からH2SおよびCOSを除去するプロセスを提供する。温度は、化学変換に使用される圧力の影響を受ける可能性があり、ガスの圧力が高くなると、より低い温度が要求され;そのような関係および特性は、当技術分野で周知である。現在好ましい実施形態では、温かいガス流は、時には60体積%を超えるが、より典型的には0体積%~30体積%の実質的な蒸気含有量を有することができる。
【0020】
本開示の吸着剤組成物は、任意に1つ以上の促進剤成分および/または1つ以上の実質的な不活性成分と組み合わせて、活性亜鉛成分を含む。活性亜鉛成分は、好ましくは、吸着剤組成物の少なくとも約75重量%(重量パーセント)、より好ましくは少なくとも約80重量%、さらにより好ましくは少なくとも約90重量%、さらにより好ましくは少なくとも約95重量%を構成する。活性亜鉛成分は、酸化亜鉛(ZnO)相とアルミン酸亜鉛(ZnAl2O4)相から本質的になる2相材料である。2つの相のそれぞれは、活性な吸着剤粒子全体にやや均一に分布しており、2つの相のそれぞれは、X線回折半価幅分析により決定される、通常約35nm(350オングストローム)未満、好ましくは30nm(300オングストローム)未満、より好ましくは約25nm(250オングストローム)未満の比較的小さな結晶子サイズによって特徴付けられる。有利には、活性亜鉛成分の総酸化亜鉛量は、「総ZnO」として計算される量であり(これは、非結合酸化亜鉛、すなわち酸化亜鉛相を構成する酸化亜鉛と、結合酸化亜鉛、すなわちアルミン酸亜鉛相のZnO量との両方を含み、ZnAl2O4は、ZnOとAl2O3の組み合わせであるとみなされる)、活性亜鉛成分の総重量に基づいて、少なくとも約50重量%、約80重量%まで、好ましくは少なくとも約50重量%~約70重量%である。
【0021】
好ましくは、本開示の耐摩耗性の酸化亜鉛系吸着剤は、沈殿酸化亜鉛中間体と沈殿酸化アルミニウム中間体とを含む前駆体混合物を、二相活性酸化亜鉛含有成分に変換することにより調製される。通常、非常に小さい粒子サイズを持つ沈殿中間体の使用は、活性亜鉛吸着剤成分における酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相の混合の促進と均一な分布を促進し、また活性亜鉛成分における小さな結晶相の形成を促進する。異常に小さい結晶子サイズ、および酸化亜鉛相とアルミン酸亜鉛相の均一な分布は、吸着剤の機械的強度を高め、吸着剤の化学反応性と高温安定性も高めると考えられる。
【0022】
今回の小さな結晶サイズの二相活性亜鉛成分は、好ましくは、以下に特定される吸着剤調製プロセスを使用することにより得られる。このプロセスによれば、酸化亜鉛とアルミナの前駆体の混合物を含む水性スラリーを噴霧乾燥して望ましいサイズの前駆体吸着剤粒子を形成し、その後、その前駆体粒子をか焼して前駆体を二相(酸化亜鉛およびアルミン酸亜鉛)活性亜鉛成分に変換する。非常に小さな非酸化物前駆体を使用すると、吸着剤構造が形成される前に、亜鉛とアルミニウムの成分を「ほぼ分子レベル」で混合することができる。したがって、このプロセスにより、少量の酸化亜鉛を吸着剤全体に高度に分散させることができ、高い反応性が得られる。さらに、高表面積と前駆体の好ましい均一混合によって、アルミナと酸化亜鉛間の固相反応を含む従来のアルミン酸亜鉛形成プロセスで必要とされるものよりも、厳しくないか焼条件を使用してアルミン酸亜鉛を形成することができる。
【0023】
好ましくは、本開示の吸着剤組成物は、従来のスクリーニングプロセスによって決定される25~175マイクロメートル(μm)、好ましくは35~150μm、より好ましくは40μm~140μm、より好ましくは40μm~120μmのサイズを有する実質的に球状の粒子である。本明細書で使用するとき、実質的に球状とは、X軸の球の直径がY軸またはZ軸の直径の約±40%以内であることを意味する。別の実施形態では、X軸の球の直径は、Y軸またはZ軸の直径の約±25%以内である。さらに別の実施形態では、X軸の球の直径は、Y軸またはZ軸の直径の約±10%以内である。さらに別の実施形態では、X軸の球の直径は、Y軸またはZ軸の直径の約±5%以内である。
【0024】
好ましい実施形態では、本開示の耐摩耗性の酸化亜鉛系吸着剤組成物は、1g/cm3(グラム/立方センチメートル)を超える、好ましくは1.3g/cm3を超える、より好ましくは、1.6~2.0g/cm3の圧縮かさ密度を有する。粒子のかさ密度の最も好ましい範囲は、1.7~2.0g/cm3である。さらに、好ましい酸化亜鉛系吸着剤組成物のASTM-D5757-95で測定される摩耗指数(AI)は、2未満であることが好ましく、AIは、米国特許第6,951,635の第6欄に定義されており、ここで、「摩耗」は、それぞれの場合に上記で特定されたASTM規格に従って決定される。本開示の好ましい吸着剤の比較的高いかさ密度は、様々な流動床環境でより高い供給流スループットを可能にし、その粒子のより高い熱容量のためにプロセス全体の温度制御を強化することができ、そしてより低密度の吸着剤と比較して、所定の反応器の固定体積内でより多くの質量の活性吸着剤を使用することができる。明らかなように、好ましいAI値は、高速流動床または輸送床環境での吸着剤粒子の経済的な使用を効果的に可能にする。
【0025】
別の態様によれば、本開示は、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩を使用して、沈殿酸化亜鉛および酸化アルミニウム前駆体の混合物を二相活性亜鉛成分に変換することによる、耐摩耗性の酸化亜鉛系吸着剤組成物の調製プロセスを提供する。共沈技術の使用によって、最終吸着剤成分の高められた混合と均一な分布が促進され、さらに最終吸着剤製品における小さな結晶相の形成が促進される。アルカリ金属水酸化物または炭酸塩を使用した共沈法では、水酸化アンモニウムが塩基として使用され、かつ共沈プロセスが室温付近で起こる米国特許第6,951,635号でのGangwalらの開示とは対照的に、金属濃度および溶液温度は、本明細書に記載される共沈プロセス全体にわたって注意深く監視されるべきである。スラリーの温度は、25℃~75℃、好ましくは50℃~70℃で制御すべきである。スラリーのpHがpH5.0~pH10.0、より好ましくはpH5.5~pH7.5であるように確実に制御できるように、酸化亜鉛前駆体、酸化アルミニウム前駆体およびアルカリ金属水酸化物間の完全な反応を確保するように、ポンプ速度を調節する必要がある。得られた沈殿液は、沈殿酸化亜鉛前駆体および酸化アルミナ前駆体、ならびに沈殿反応から残った可溶性の塩を含む。沈殿液が除去された後、少量のこれらの塩が残る。米国特許第6,951,635号によって生成された吸着剤の場合、残っている微量のアンモニア塩は、か焼プロセス中に分解される。本開示の吸着剤の場合、アルカリ金属は、か焼プロセス中に分解せず、吸着剤中に残る。このアルカリ金属は、沈殿した前駆体と同じく「ほぼ分子レベル」で分散するため、アルカリ金属は、微量の濃度でも吸着剤の特性と性能に大きな影響を与え得る。したがって、本開示では、沈殿プロセスの後に洗浄プロセスが続き、これによって、沈殿前駆体中のアルカリ金属濃度が所望の濃度に低下する。アルカリ金属のこれらの望ましい範囲は、重量で25~2500(ppmw)、好ましくは50~1000ppmw、最も好ましくは75~750ppmwである。有利には、このプロセスは、酸化亜鉛の沈殿中間体と酸化アルミニウムの沈殿中間体とを含む洗浄ケーキからスラリーを形成するステップ、およびそのスラリーを噴霧乾燥して実質的に球状の粒子を形成するステップを含む。好ましくは、沈殿酸化亜鉛中間体と沈殿酸化アルミニウム中間体は、共沈プロセスで同時に形成される。噴霧乾燥に使用される、中間体を含むスラリーは、通常、500℃以上の温度で点火すると75~90重量パーセントの重量損失を有する。有利には、ZnOとして計算される酸化亜鉛中間体は、少なくとも約50重量%の固形分を含み、500℃以上の温度での強熱減量後に残るスラリー残留物の固形分(以下、スラリーの乾燥固形分と呼ぶ)の少なくとも約50重量%~約80重量%を構成する。有利には、Al2O3として計算される酸化アルミニウム中間体は、スラリーの乾燥固形分の少なくとも約20重量%~最大約50重量%を構成する。噴霧乾燥された粒子は、実質的にすべての酸化アルミニウム前駆体をアルミン酸亜鉛に変換し、そして実質的にすべての残りの酸化亜鉛前駆体を酸化亜鉛に変換するのに十分な時間および温度でか焼される。本開示の好ましい一態様では、pHを約5.0未満、好ましくは約4.0~4.5まで低下させるのに十分な強酸でスラリーを処理する。強酸の非限定的な例には、塩酸、硝酸、リン酸および硫酸が含まれる。当業者によって理解されるように、有機酸も使用され得る。本開示のこの態様によれば、噴霧乾燥前にスラリーのpHを5.0未満に低下させると、H2SおよびCOSに対する反応性に影響することなく、酸化亜鉛系吸着剤組成物の摩耗特性が改善される、すなわち、摩耗損失およびAIが低減することが見出された。
【0026】
本開示は、本開示の酸化亜鉛系吸着剤を使用して、温かいガスから硫黄汚染物質を除去するための好ましいプロセスをさらに含む。特に、本開示の酸化亜鉛系吸着剤は、約350°F(177℃)の低い温度および1150°F(621℃)の高い温度で温かいガスを処理することによって、温かいガスのH2SとCOSの合計量を低レベル、好ましくは約75ppmv(体積ppm)未満、より好ましくは25ppmv、最も好ましくは約10ppmv未満のレベルまで低減可能であることが見出された。したがって、本開示の脱硫吸着剤およびプロセスは、供給ガスからの望ましくない硫黄成分の除去を可能にするかなりの程度の柔軟性を提供する。
【0027】
酸化亜鉛系吸着剤は、好ましいプロセスの実施形態では、輸送反応器システムで使用される。そのような輸送反応器システムは、当技術分野で知られており、説明は、米国特許第6,951,635号のGangwalらによる開示に見られるような文献および特許に見出すことができる。そのような好ましいプロセスの実施形態は、結果として、少なくとも部分的に、本開示の酸化亜鉛系吸着剤の高い反応性および高い耐摩耗性を達成することができる。さらに、本開示の酸化亜鉛系吸着剤は、約1000°F~約1500°F(約538℃~約816℃)、好ましくは約1000°F~約1450°F(約538℃~約788℃)の温度で実施される本開示の好ましい吸着剤再生プロセスの実施形態に従って行われる相当数の吸収-再生サイクルにわたって、高い反応性と高い耐摩耗性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、ラボスケールの生産ステップを示す。
【
図3】
図3は、標準試験条件下での複数サイクルの硫黄負荷および再生を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の詳細な説明では、本開示の実施を可能にするために、本開示の好ましい実施形態が説明される。好ましい実施形態を説明および例示するために具体的な用語が使用されているが、そのような用語は本開示の実施への制限として意図していない。さらに、本開示は好ましい実施形態を参照して説明されているが、以下の詳細な説明とともに前述を考慮すれば、本開示の多数の変形および修正が当業者には明らかであろう。
【0030】
前述のように、本開示の吸着剤組成物は、活性酸化亜鉛系吸着剤成分、促進剤成分および化学的不活性成分(後者は、測定可能であるが最小限の化学活性のみを示す成分を含む)と組み合わせて、吸着剤の総重量に基づいて25重量%まで、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満の量で任意に含むことができる。バインダーなどのような不活性成分を実質的に含まない吸着剤組成物は、本開示の実施において現在好ましい。
【0031】
議論の容易さおよび開示の明確さのために、以下に開示および議論される吸着剤組成物は、そうでないと述べられている場合を除き、促進剤および不活性成分を含まないと想定されるものとする。したがって、以下では用語「吸着剤」、「吸着剤」、「吸着剤組成物」、「吸着剤材料」などは、特に1つ以上の任意の促進剤または不活性成分を含む組成物を本開示が特に対象とする特定の場合を除き、活性亜鉛成分を指すために使用される。
【0032】
本開示の酸化亜鉛系吸着剤組成物は、有利には、所定量または重量比で使用される、沈殿酸化亜鉛前駆体および沈殿酸化アルミニウム前駆体を含む出発材料から調製される。特に明記しない限り、すべての重量パーセントは、吸着剤成分と組成物の「調節後重量」に基づいて計算および表現される。本明細書で使用される、本開示の吸着剤を形成するために使用される吸着剤組成物、吸着剤成分、吸着剤成分前駆体、スラリーおよびスラリー成分の「調節後重量」は、酸化亜鉛成分または前駆体はZnOとして計算され、酸化アルミニウム成分または前駆体はAl2O3として計算され、アルミン酸亜鉛成分はZnAl2O4として計算されるように、必要に応じて調節される実際の重量を指す。さらに、特に明記しない限り、本明細書では、吸着剤の調製に使用される吸着剤(生とか焼状態の両方に存在する吸着剤を含む)、吸着剤成分、吸着剤成分前駆体、スラリー、およびスラリー成分のすべての重量パーセントは、酸化亜鉛成分または前駆体、酸化アルミニウム成分または前駆体、および吸着剤組成物がそれぞれの場合調節後重量として計算されるように、表される。
【0033】
本開示の吸着剤組成物を形成するために使用される吸着剤組成物、吸着剤成分、吸着剤成分前駆体、スラリーおよびスラリー成分に関する用語「総ZnO」および「総酸化亜鉛」は、非結合および結合酸化亜鉛の総調節後重量、すなわち、それぞれ、酸化亜鉛相として最終吸着剤組成物に存在する酸化亜鉛、および最終吸着剤組成物のアルミン酸亜鉛相の酸化亜鉛量を指す。これらの計算の目的のために、アルミン酸亜鉛相のZnAl2O4は、ZnOとAl2O3の組み合わせであると解釈される。
【0034】
用語「実質的に含まない」は、本明細書では、約1パーセント以下の重量パーセント量または調節後重量パーセント(該当する場合)量を意味するために使用される。
【0035】
用語「圧縮かさ密度」は、本明細書では、ASTM規格法D4781-99または同等物によって決定される密度を意味するために使用される。
【0036】
酸化亜鉛(ZnO)相およびアルミン酸亜鉛(ZnAl2O4)相の「結晶子サイズ」は、これらの各相の最も強いピークのX線回折半価幅分析により決定される。この分析の定性的データは、1°発散スリット、0.3mmの受信スリット、および回折ビームモノクロメーターを装備したShimadzuモデルXRD-6000で45kVおよび40mAで生成したCuKを使用して収集した。最初にサンプルを検査して、粒子または粒子の凝集が40~70ミクロンであることを確認する。これらの仕様を満たしていないサンプルは、粒子サイズを小さくして均質化するために、1分以内の時間、適度な手圧で乳鉢と乳棒を使用して粉砕する。
【0037】
XRDパターンは、Shimadzu XRD-6000で測定する。この機器は、45kVおよび40mAで刺激された銅源を使用して、最大出力2kWのCuKαX線を生成する。これらのX線は1°の発散スリットを通過する。サンプルを5~70度2θで走査する。走査速度は、2秒あたり0.02度である。3mmの受光スリットと回折ビームモノクロメーターが、1秒あたりのカウントを測定するヨウ化ナトリウムシンチレーションカウンターの前で放射を処理する。Shimadzu 6000の操作とデータ収集は、Shimadzu XRD-6000 V4.1ソフトウェアによって制御する。
【0038】
Shimadzu XRD-6000 V4.1ソフトウェアによって生成された生データは、XRD回折パターンを解釈および分析するためのソフトウェアの適切な入力として、パイソン言語プログラムによって再フォーマットされる。解釈ソフトウェアはJade 9.1である。Jadeソフトウェアによって計算される値の1つは、結晶子サイズである。結晶子サイズは、以下の式に従って計算される。
サイズ(オングストローム)={0.9xW/[FWHM-(GW)2]1/2}/cosθ
Cu源のX線波長であるWが1.540562オングストロームである場合、FWHMはソフトウェアによって決定されるラジアンでの報告された半値のピーク幅であり、GWは、この機器に固有の拡大因子であり、シータは、報告されたピーク重心の半分である。各結晶相について最終的に報告される結晶子サイズは、酸化亜鉛相およびアルミン酸亜鉛相の最も強いピークについて、Jadeソフトウェアによって計算された結晶子サイズである。
【0039】
本開示の好ましい一態様によれば、本開示の耐摩耗性酸化亜鉛系吸着剤は、沈殿酸化亜鉛前駆体と沈殿酸化アルミニウム(アルミナ)前駆体とを含むスラリーを噴霧乾燥することによって調製される。これらの沈殿酸化亜鉛前駆体および沈殿アルミナ前駆体は、当業者に周知のように、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩、アルコキシドなどの亜鉛およびアルミニウムの塩をアルカリ金属水酸化物および炭酸塩で沈殿させることによって調製される。沈殿酸化亜鉛とアルミナ前駆体を容易に組み合わせて、酸化物の混合と比べて、分子レベルで著しく高い混合を達成することができる。高度に混合された沈殿相には、沈殿プロセス中に形成される可溶性アルカリ金属塩が含まれる。次に、最終的な酸化亜鉛系吸着剤が、吸着剤全体に均一に分布する酸化亜鉛(ZnO)相とアルミン酸亜鉛(ZnAl2O4)相を含むこと、そして、2つの相のそれぞれが、比較的小さな結晶子サイズを特徴としていることがわかる。アルカリ金属はか焼後に残るため、酸化亜鉛およびアルミン酸亜鉛の小さな微結晶と均一に混合すると、微量の濃度でも吸着剤の特性と性能に大きく影響し得る。したがって、アルカリ金属の所望の濃度範囲を達成するために、沈殿プロセスの後に洗浄ステップが追加される。アルカリ金属濃度の望ましい範囲は、25~2500ppmw、好ましくは50~1000ppmw、より好ましくは75~750ppmwである。
【0040】
現在好ましい酸化亜鉛およびアルミナ前駆体は、それぞれ、Zn(NO
3)
2およびAl(NO
3)
3である。有利には、スラリーの少なくとも50重量%(酸化亜鉛として)の乾燥固形分は、沈殿酸化亜鉛前駆体または誘導体によって構成される。有利には、酸化亜鉛前駆体は、沈殿および洗浄プロセスまたはステップから直接回収された湿潤ろ過ケーキである。好ましくは、少なくとも20重量%(Al
2O
3として)の乾燥固形分が、沈殿酸化アルミニウム前駆体または誘導体によって構成される。有利には、酸化アルミニウム前駆体も、沈殿および洗浄プロセスまたはステップから直接回収された酸化亜鉛前駆体ケーキとよく混合された湿潤ろ過ケーキである。好ましくは、沈殿酸化亜鉛前駆体と沈殿酸化アルミニウム前駆体は、共沈プロセスで同時に形成される。
図1を参照。
【0041】
現在のところ好ましくないが、スラリーは、活性金属促進剤材料、またはその前駆体、バインダー材料またはその前駆体、および/または不活性耐火性酸化物材料またはその前駆体も含むことができる。好ましくは、調節後重量に基づくそのような材料の総乾燥固形分は、約25重量%未満、より好ましくは約20重量%未満、さらにより好ましくは約10重量%未満、最も好ましくは約5重量%未満である。例示的な活性金属促進剤には、ニッケルまたは他の第6、8、9、もしくは10族金属酸化物などの金属酸化物、酸化銅、および鉄、銀、金の酸化物が含まれる。バインダーおよび不活性耐火性無機酸化物には、天然粘土、硫酸カルシウム、シリカ、チタニア、アルミノケイ酸塩、アルミン酸塩、ゼオライトなどが含まれる場合がある。
【0042】
本開示の好ましい実施形態において、スラリーは、pHを5.0未満、好ましくは4.0~4.5に低下させるのに十分な強酸でさらに処理される。噴霧乾燥が吸着剤の摩耗特性を改善することが判明する前に、スラリーのpHを5.0未満、好ましくは4.0~4.5に低下させる。スラリーは、従来のプロセスおよび装置を使用して噴霧乾燥され、実質的に球状の噴霧乾燥粒子を形成する。
【0043】
噴霧乾燥の前の沈殿酸化亜鉛前駆体および/または沈殿酸化アルミニウム前駆体の酸処理は、少なくともいくつかの場合、前駆体の化学的同一性を変更できることに留意されたい。それにもかかわらず、変性された前駆体(または前駆体)が、か焼により最終酸化物生成物に容易に変換可能である限り、そのような変性は吸着剤の形成を妨げない。当業者には明らかであるように、酸化物前駆体の化学的同一性を変性する他の処理も、変性された前駆体(または前駆体)が、か焼によって酸化物生成物に容易に変換可能である限り、酸化物前駆体に適用され得る。そのような変性されたまたは誘導体の沈殿酸化物前駆体は、用語「沈殿酸化亜鉛前駆体」および「沈殿酸化アルミニウム前駆体」の範囲内に含まれ、これらの用語は本明細書で使用される。
【0044】
好ましくは、噴霧乾燥条件は、粒子の少なくとも80体積パーセントが50~255μmの直径を有するようなサイズの「生の」噴霧乾燥粒子を提供するように調節される。従来の噴霧乾燥プロセスおよび装置は、当業者に周知である。前述の粒子サイズ分布を達成するための装置およびプロセス条件の選択は、本開示を承知した当業者によって容易に達成することができる。有利には、スラリーは、噴霧乾燥チャンバーからの出口ガスが約265°F(129℃)を超える温度を有するのに十分な温度で供給される供給ガスによって加熱される従来の加熱ゾーン内に噴霧乾燥される。好ましくは、スラリーは、スラリーの調節後重量に基づいて、約10~25重量%の固形分(265°Fで乾燥して)を有し、したがって265°Fで75~90重量%の水分損失を受ける。
【0045】
「生の」噴霧乾燥粒子は、亜鉛およびアルミニウムの水酸化物または炭酸塩(または水酸化物と炭酸塩との混合物)を、流動性、耐摩耗性活性亜鉛吸着剤を製造するのに適切な組成およびサイズの酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよびアルミン酸亜鉛に変換するために酸素含有環境でか焼することが好ましい。か焼ステップはまた、噴霧乾燥粒子を35~175μmの平均サイズ分布に収縮させる。典型的には、か焼温度は、300℃を超え、好ましくは500℃を超える温度であり、より好ましくは600℃以上である。好ましくは、か焼は、意図される初期再生温度とほぼ同じか、それより高い温度で実施される。この技術は、当業者に知られているように、その後の使用中に吸着剤の物理的および化学的特性の安定性を高めることができる。
【0046】
本開示の好ましい一態様では、酸化亜鉛系吸着剤は、以下のステップにより調製される:
【0047】
58重量%のZnOから42重量%Al2O3の調節後重量パーセントに対応する量の硝酸亜鉛および硝酸アルミニウムを含む水溶液。別の容器にアルカリ金属水酸化物溶液またはアルカリ金属炭酸塩溶液(10~25重量%、好ましくは約15重量%)を準備し、その2つの溶液を監視された流量で制御された流量でよく撹拌された容器にポンプで送って、酸化亜鉛および酸化アルミニウム中間体を沈殿させる。使用するのに好ましいアルカリ金属塩基は、水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムである。沈殿物をろ過し、圧力または真空ろ過を使用して脱イオン水で洗浄して、ナトリウムおよびニトレートイオンの望ましいレベルを達成し、湿潤ケーキを形成する。この段階で、アルカリ金属イオン濃度の望ましいレベルを達成するために、湿潤ケーキを洗浄するための十分な量の脱イオン水を使用することが重要である。湿潤ケーキを洗うために、温かい脱イオン水を使用することが好ましい。
【0048】
十分な蒸留水を添加して、洗浄されたケーキを再スラリー化し、第2のスラリーを準備する。スラリーに十分な強酸を加えて、pHを約5.0未満にする。得られたスラリーを、350°F~360°Fの空気出口温度を有する乾燥チャンバーで噴霧乾燥して、好ましくは35~350μm、より好ましくは40~255μmのサイズの微小球粒子を生成する。噴霧乾燥粒子を、約600℃の最低温度で空気中でか焼して、酸化亜鉛とアルミナ前駆体をアルミン酸亜鉛と酸化亜鉛に変換する。
【0049】
本開示は、その好ましい実施形態を参照してかなり詳細に説明してきた。しかし、前述の詳細な開示に記載され、添付の特許請求の範囲に定義された本開示の精神および範囲から逸脱することなく、多数の変形および修正を行うことができることを理解されたい。
【0050】
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。冠詞「a」および「an」は、本明細書では、その冠詞の文法的対象の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素」は1つ以上の要素を意味する。
【0051】
本明細書全体にわたって、単語「含む」、または「含む」または「含む」などの変形は、述べられた要素、整数またはステップ、または要素、整数またはステップのグループを含むことを意味すると理解されるが、他の要素、整数またはステップ、または要素、整数またはステップのグループの除外ではない。本開示は、特許請求の範囲に記載されるステップ、要素、および/または試薬を適切に「含む」、「からなる」、または「から本質的になる」ことができる。
【0052】
請求項は、任意の要素を除外するように作成され得ることにさらに留意されたい。そのため、この記述は、クレーム要素の列挙、または「否定的」制限の使用に関連して、「唯一」、「のみ」などの排他的な用語を使用するための先行条件として役立つことを意図している。
【0053】
値の範囲が提供される場合、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、その範囲の上限と下限の間の下限値の10分の1までの各介入値も具体的に開示されることが理解される。規定の範囲内の規定値または介入値と、その規定範囲内の他の規定値または介入値との間の各より小さい範囲は、本開示に含まれる。これらのより小さい範囲の上限と下限は、独立して範囲に含まれるか、除外される可能性があり、どちらか、どちらか、または両方の制限がより小さい範囲に含まれる各範囲も、記載された範囲内の具体的に除外された制限を条件として、本開示に含まれる。記載された範囲に制限の一方または両方が含まれる場合、それらの含まれる制限のいずれかまたは両方を除外する範囲も開示に含まれる。
【0054】
本明細書全体にわたって、用語「約」および/または「およそ」は、数値および/または範囲と併せて使用され得る。用語「約」は、列挙された値に近い値を意味すると理解される。例えば、「約40[単位]」とは、40の±25%以内(例えば30~50)、±20%、±15%、±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±1%未満、またはその中または下の他の値または値の範囲以内を意味する場合がある。さらに、句「約[値]未満」または「約[値]より大きい」は、本明細書で提供される用語「約」の定義を考慮して理解されるべきである。用語「約」および「およそ」は、交換可能に使用される場合がある。
【0055】
以下の実施例は、本開示をさらに説明するものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。特に、本開示は、記載された特定の実施形態に限定されず、当然ながら変化し得ることを理解されたい。また、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるため、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図するものではないことも理解されたい。
【実施例】
【0056】
RTI-3 ラボスケール製造手順
共沈装置については
図2を参照。
【0057】
化学物質
Zn(NO3)2・6H2O、試薬グレード>98%
Al(NO3)3・9H2O、ACS試薬グレード>98%
NaOHペレット、試薬グレード>98%
濃縮HNO3、65~67%、ACS試薬
【0058】
機器
2つの4L容器
pHおよび導電率計、モデル:HACH、HQ40d
Easy-Load II ぜん動ポンプを備えた2つのMasterflex L/S
機械的ミキサー モデル:Aron750
【0059】
合成手順
溶液の調製
金属塩を秤量し(表中の量リスト)、それらを4Lビーカーに入れる。脱イオン(DI)水を加えて、約1500mlの総溶液量にする。
【表1】
塩スラリーを機械的に混合して、すべての塩が溶解し、透明な溶液が得られることを確認する。
金属塩溶液を50~70℃に加熱し、共沈反応の持続時間中この温度を維持する。
NaOHペレットと脱イオン水を混合して、10重量%のNaOH溶液を作成する。
濃縮HNO
3酸溶液および脱イオン水を使用して5モルのHNO
3溶液を作成する。濃硝酸と水との反応は非常に急速で発熱性であるため、この混合ステップでは細心の注意を払うこと。
【0060】
共沈
図2に示すように、機械的撹拌機、較正されたpH計および2つのぜん動ポンプを備えた沈殿タンクを装備する。
約600mlの脱イオン水を4Lビーカーに加えて、その溶液を撹拌し、pH電極を浸漬してpHを適切に測定できるようにする。
沈殿タンクをガラスウールで断熱する。水を50~70℃に加熱する。
両方のぜん動ポンプを同時にオンにする。約30~35ml/分の速度で塩溶液を送り込み、NaOH溶液の流量(60~70ml/分)を調節して、沈殿溶液の目標pHを5.5~7.5に維持する。
撹拌し、沈殿した混合物の温度をさらに30分間、50~70℃に維持し続ける。
【0061】
ろ過および洗浄
圧力フィルターまたは真空フィルターを使用して沈殿物をろ過する。
ナトリウムレベルが所望の範囲になるまで、沈殿物を脱イオン水で洗浄する。
【0062】
再スラリー化および噴霧乾燥
スラリー調製
湿潤ケーキ中の固体量を測定する。既知量(~20g)の洗浄したケーキを小さなるつぼに入れ、空気中500℃で2時間か焼し、収集したサンプル(g)を計量する。
10重量%の固体量スラリーを作るために添加する水を計算する:金属酸化物(g)/(湿潤ケーキ重量(g)+X)=0.10、ここで、Xは必要とされる水の量である。
プラスチックビーカー内で少なくとも30分間、ケーキを水(X)と混合する。
混合中にスラリーにHNO3溶液をゆっくりと加える。
30分間混合し続ける。
スラリーをろ過して、噴霧乾燥中にブロッキングを引き起こす可能性のある潜在的な大きな粒子を除去する。
【0063】
噴霧乾燥
噴霧乾燥機を掃除する。
初期内気温と外気温をそれぞれ、320℃と125℃に設定する。
ノズル-08;圧力0.75bar、フロー25~35%
スラリー流量=50ml/分
上記の条件でろ過されたスラリーを噴霧乾燥する。
【0064】
噴霧乾燥粉末のか焼
噴霧乾燥粉末を120℃で一晩乾燥させる。
噴霧乾燥粉末を流動空気中で2時間か焼する。
【0065】
吸着剤のバッチを、上記の一般的なラボスケールの生産手順を使用して社内で製造した。か焼したバッチを組み合わせてスクリーニングし、25~150μmの粒子を得た。か焼した吸着剤を反応器に入れ、硫黄(H
2Sとして)を含む合成ガスに繰り返しさらし、容量まで入れてから再生した。
図3は、この反復試験の結果を示しており、これは、硫黄が吸着剤から12サイクルにわたって吸着および再生され、実験の変動性の範囲内で一定の硫黄容量であることを示している。
【0066】
吸着剤の硫化中に、以下の反応が起こる:
ZnO(固)+H2S(気)=ZnS(固)+H2O(気)
【0067】
搭載容量は、比較的一定であり、理論的な搭載容量に近いものであり、
図3に示すように、複数のサイクルを通して材料の安定した性能も示している。
【0068】
本開示をその詳細な説明と併せて説明したが、前述の説明は、本開示の範囲を例示することを意図しており、限定することを意図していないことを理解されたい。本開示の他の態様、利点、および修正は、以下に記載される特許請求の範囲内にある。本明細書で引用されたすべての出版物、特許、および特許出願は、あたかも個々の出版物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように参照により組み込まれる。