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特許7299876病原性感染の処置のための組成物及び処置手順
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】病原性感染の処置のための組成物及び処置手順
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/20 20060101AFI20230621BHJP
   A61K 31/357 20060101ALI20230621BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230621BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230621BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230621BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20230621BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230621BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20230621BHJP
【FI】
A61K33/20
A61K31/357
A61P43/00 121
A61P31/00
A61P31/04
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/12
A61K9/08
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/02
A61K47/44
A61K47/22
A61K47/26
A61K9/22
A61K47/12
A23L33/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020512086
(86)(22)【出願日】2018-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2018061607
(87)【国際公開番号】W WO2018202897
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】00599/17
(32)【優先日】2017-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】519394366
【氏名又は名称】ショーブ ウォルター
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーブ ウォルター
【審査官】内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1989/003179(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第00608069(GB,A)
【文献】特開2007-217239(JP,A)
【文献】特開2015-104688(JP,A)
【文献】特表平11-511486(JP,A)
【文献】特表2002-501872(JP,A)
【文献】特表2012-517956(JP,A)
【文献】特表2004-536137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/20
A61K 31/357
A61P 43/00
A61P 31/00
A61P 31/04
A61K 9/16
A61K 9/20
A61K 9/12
A61K 9/08
A61K 47/38
A61K 47/32
A61K 47/02
A61K 47/44
A61K 47/22
A61K 47/26
A61K 9/22
A61K 47/12
A23L 33/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に固体の無溶媒組成物を含む経口剤形の医薬組成物であって、
前記無溶媒組成物は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム若しくはカルシウムの次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、及び塩素酸塩から選択される1以上の酸化成分を含み、
前記1以上の酸化成分が、水性液体媒体に分散又は溶解し、
酸を含むか、又は酸を含むように調節される水性媒体への前記1以上の酸化成分の分散又は溶解が、固体の無溶媒組成物に含まれる前記1以上の酸化成分と共に又は組み合わせて含まれる少なくとも1つの分散性又は可溶性の固体の無溶媒酸成分によって、それぞれの水性液体媒体内の活性薬剤として、次亜塩素酸イオン若しくは次亜塩素酸、亜塩素酸イオン若しくは亜塩素酸、塩素酸イオン若しくは塩素酸、分子性若しくはイオン性二酸化塩素、又はこれらの誘導体の放出又は発生を生じ、
前記固体の無溶媒組成物と共に又は組み合わせて含まれる前記酸成分が、無水クエン酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、ステアリン酸又はこのような酸の2以上の混合物から選択され、
前記1以上の酸化成分が、前記固体の無溶媒組成物と共に又は組み合わせて含まれる前記酸成分と密接に混合され、
前記経口剤形又はその複数が、対象口又は口腔中での維持に適合する可溶性ロゼンジ錠の形態で提供され、このようにして、前記酸成分の口腔の唾液内容物への同時放出により提供される酸性の水性媒体内での前記酸化成分の放出を可能にし、それによって、対象の口腔の内側表面により供される吸収部位による前記1以上の酸化成分の直接全身吸収を可能にする、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物が、療法によるヒト又は動物体の処置の方法において使用するためのものである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物が、患者における病原性感染若しくは殺菌性感染を阻害又は処置する方法において使用するためのものである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記1以上の酸化成分が、アルテミシニン酸化成分と組み合わされている、請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
分散性若しくは可溶性のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物が、不活性組成物の希釈剤及び組成物の安定化剤成分、並びに組成物が分散又は溶解する液体媒体として提供及び機能を果たすために前記無溶媒組成物中に含まれる、請求項1~4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記無溶媒組成物が用いられているか又は用いられる予定である水若しくは環境若しくは表面の感染の阻害又は処置における使用のために、封入物が破裂又は開放される前に前記無溶媒組成物が封入される、開放可能に密閉された封入物、又は、破裂可能若しくは開放可能な空気不浸透性で水忌避性の柔軟な封入物によって、前記無溶媒組成物が、水、液体又は微粒子混入物の吸収又は吸着に対して保護される、請求項1~5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
温血哺乳動物対象への経口投与に適合する薬学的に許容される経口剤形が、病原性感染に曝露されるか、若しくは患う可能性がある対象の予防手順又は処置手順のために提供される、請求項1~6のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記無溶媒組成物が、前記無溶媒組成物の総重量の5%w/w以下の量の酸化成分を含む、請求項1~7のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記無溶媒組成物が、前記無溶媒組成物の総重量の30%w/wを超える割合で、重炭酸ナトリウム若しくは重炭酸カリウム、又はこれらの組合せを含む、請求項1~8のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記無溶媒組成物中の前記酸化成分の割合が、哺乳動物対象の口腔で利用可能な水性媒体内の酸化成分の濃度を提供するために選択され、10ppm超、かつ100ppm未満である、請求項1~9のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記液体媒体中の前記酸化成分の薬学的に許容される濃度レベルが、前記液体媒体から対象の血漿若しくは血流への吸収のレベル又は速度を制御して、対象の血漿又は血流中の酸化成分の薬学的に許容される低濃度レベルを得るために決定及び選択され、続いて、前記酸化成分に利用可能な電子の中和を提供する前記酸化成分と病原性感染の反応が起こる、請求項1~10のいずれかに記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病原性感染の処置のための組成物及び処置手順に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の対象に関連する膨大な量の公開情報及び文献が存在する。本発明は、活性薬剤として酸化剤が関与するか、又は含む、組成物及び処置手順に関連する。
【0003】
したがって、活性薬剤として酸化剤を含む組成物に関連する、本発明の有効日前に公開された例示的な情報のみを下記に要約する。
【0004】
本明細書において用いられる場合、「酸化剤」という用語は、別の組成物、より詳細には、1以上の病原体であるか、1以上の病原体を含むある特定の有機物から利用可能な電子を引き付ける、及び/又は結合する、化学物質又はイオン若しくは原子(通常、酸素)として理解されるべきである。
【0005】
大まかには、本明細書において用いられる場合、病原体は、ウイルス、バクテリア、プリオン、真菌、ウイロイド又は寄生生物などの任意の1以上の感染性疾患の実体であり得る。特定のウイルス、バクテリア又は寄生生物などの特定の個々の実体は、本明細書において、個々に特定され、そのように称され得る。
【0006】
水、食品及び生来の表面(innate surface)の処理手順において消毒剤として用いられる周知の酸化剤としては、ナトリウム又はカルシウムの亜塩素酸塩(NaClO又はCa(ClO)、ナトリウム又はカルシウムの次亜塩素酸塩(NaClO又はCa(ClO))、二酸化塩素(ガス状ClO又はイオン性ClO 溶質)、次亜塩素酸(HOCl/OCl)の形態の塩素成分及びオゾン(O)が挙げられる。傷を局所的に処置するため、並びに水処理、及び手術器具を滅菌するための消毒剤としてのオゾンの使用は、同様に周知である。しかしながら、オゾンは、ヒト体内への導入も提案されており、哺乳動物対象に存在するがん、AIDS及び他の病原性疾患の治療には議論の余地がある。
【0007】
本明細書において用いられる意味で活性薬剤として酸化剤を含む文献に開示された組成物は、非常に一般的には、ヒト及び動物種を含む哺乳動物種に対するある特定の局所適用に限定される。しかしながら、上記に示すように、例えば、さまざまな疾患を処置するために液体オゾン溶液の静脈注射よって、ヒト体内にオゾンを導入する以前の適応症があった。全体として、いわゆる「オゾン療法」は、ある特定の示された利点を有し得るが、現在の見解は、オゾン療法は実用性が疑わしい。これは、例えば、オゾン療法が、安全な医療適用を実証していないこと、さらにまた、オゾンが効果的な殺菌剤であるために、オゾンが、人間又は他の動物によって耐容され得るよりも高い濃度で存在する必要があることを米国FDAが示唆していることが理由である。この示唆は、少なくとも有機構造体からの電子に対する親和性によって表されるオゾンの酸化能力の観点から、スイスで行われている二酸化塩素(ClO)、(HOCl/OCl)としての塩素及びオゾン(O)による溶解した有機物の化学酸化に関する比較研究によって裏付けられていると考えられる(非特許文献1)。これらの比較研究は、ClO及びHOClによる処理が電子供与能の顕著な減少をもたらす一方、Oによる処置は電子供与能のわずかな減少のみをもたらすことを反映している。
【0008】
亜塩素酸塩、一般には、亜塩素酸ナトリウム、及び次亜塩素酸塩、一般には、ナトリウム又はカルシウムの次亜塩素酸塩、及び塩素酸塩は、殺菌水処理及び一般的な消毒手順の分野における使用について周知である。また、低濃度の亜塩素酸ナトリウムを含む口腔洗浄薬、歯磨き粉及び他の口腔ケア組成物は、文献、又は特許若しくは特許出願に記載されている。しかしながら、亜塩素酸塩も次亜塩素酸塩も、温血哺乳動物対象による摂取、又は温血哺乳動物対象の処置に対して適切にされた医薬組成物における使用のために、広く、又は本格的に考慮されてはいない。
【0009】
上述のような最新技術の水準の例示は、抗菌剤としての亜塩素酸ナトリウムの食品業界、並びに病室及び手術設備などの無生物表面の滅菌における従来の使用である。1989年4月20日に公開された特許文献1(WO89)において、1)亜塩素酸ナトリウム粉末又は結晶、及び2)亜塩素酸ナトリウムとの混合中の不活性物質を含む可能性がある乾燥医薬剤形に言及される。亜塩素酸ナトリウム及び不活性物質の混合物は、酸性の水溶液中で二酸化塩素(ClO)を発生させることが示されている。酸性の水溶液は、亜塩素酸塩への酸性化剤の別個の添加によって酸性にされてもよく、又は亜塩素酸塩の剤形の組成物への乾燥水溶性酸性化剤の組み込みによって酸性にすることができる。胃腸管の病原体の破壊における使用のための典型的な医薬経口剤形が記載され、これは、以下を含む。
7.199mgのNaClO
75.2mgの乳糖(粉末)
21.9mgのデンプン
20mgのタルク
0.701mgのステアリン酸(粉末)
【0010】
このような錠剤のそれぞれは、125mgの重量を有する。含まれ得る典型的な酸性化剤としては、水溶液に溶解すると、NaClOと反応してClOを形成するのに十分な強さになるもの、例えば、粉末クエン酸が示される。
【0011】
重要なことには、上記WO89公開は、胃腸管及び実際に他に記載されている体腔中で病原体を破壊する目的での患者への投与の様式が、記載の錠剤の水への予備溶解を常に含む(これは、酸性化され得るか、又は胃酸による酸性化に依存し得る)ことを示唆している。例えば、500mlの水が、上記に記載の125mgの1つの錠剤によりClOを発生させるための水溶液の調製のために必要である。
【0012】
1999年9月2日に公開された特許文献2(WO99)は、本質的に、亜塩素酸塩を含む局所口腔ケア組成物にのみ関連している。例示的ないわゆる「二重相歯磨き剤」組成物は、おそらくより高いpH値の媒体について示された要件を確実にする目的のために、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムなどのアルカリ作用化合物と組み合わせて、亜塩素酸ナトリウムの量を含む。
【0013】
上記WO99公開の特許請求の範囲は、単に、最終の水性媒体中に、約12mgまでの亜塩素酸イオン及び最大で百万分の50(50ppm)未満の二酸化塩素又は亜塩素酸で構成されている口腔ケア組成物を対象とする。安全で有効量の亜塩素酸イオンが口腔に局所適用されることによる、挙げられた口腔の疾患の形態としては、ヒト又は動物における、プラーク、歯肉炎、歯周病、息の悪臭及び歯のホワイトニングが挙げられる。
【0014】
亜塩素酸ナトリウムの最も一般的な使用は、製紙用パルプの漂白のための二酸化塩素の発生剤として、並びに水処理及び消毒手順のためでもある。希釈形態の口腔洗浄薬、及びコンタクトレンズのための洗浄液の防腐剤としての適用の知見もあるが、ナトリウム又はカリウムの亜塩素酸は、温血哺乳類対象による任意の形態の摂取又は温血哺乳動物対象への全身曝露に適切な医薬組成物における使用のために、広く、又は本格的に考慮されている化合物ではない。これは、特に、固体形態において、亜塩素酸ナトリウムが不安定であり、さらにまた、その溶液が、毒性であり、塩素酸ナトリウムについて示唆されている症状と同様の症状を引き起こす、すなわち、少量の摂取でさえも嘔吐及び悪心を引き起こし得ると考えられるためである。
【0015】
上述の固体形態の亜塩素酸ナトリウムの不安定性の観点から、この化合物は、希釈剤及び安定化剤としての両方で機能し得る塩化ナトリウムと一緒に安定に混合された形態で提供されることが示されている。水溶液中にある場合に二酸化塩素を発生させる、亜塩素酸ナトリウム、賦形剤、並びに場合によりある量の塩化ナトリウム安定化剤及び有機酸を含み得る他の成分を含む錠剤が、一部の国で市販されている。これらの錠剤は、より少量の水への溶解のため、及びより高い濃度の亜塩素酸塩に適切であり、消毒目的での生肉及び他の食品への局所適用のために有用であることが示されている。
【0016】
低濃度(3%w/v)の亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液である、いわゆる「安定化された酸素の電解液(S.E.O)」も利用可能である。この溶液は、十分な量が摂取された場合、赤血球の酸素供給性を提供することが示唆又は示されている。しかしながら、このような使用は、米国FDAを含む多くの保健機関によって、使用が認可されないと判断されるか、又は禁止されている。
【0017】
日常的には「Miracle Mineral Solution」又は「MMS」として公知の、比較的高濃度(約22.4%w/v)の亜塩素酸ナトリウムを有する水溶液の所定の希釈された剤形の経口投与を含む使用が実験に基づいて報告された。酸(一般に、50%のクエン酸の水溶液)は、投与の直前に、水性亜塩素酸塩溶液に別個に添加される。この酸性化された溶液は、予備的に、経口摂取の前に水でさらに希釈されて、低濃度の亜塩素酸塩レベルが確立される。このような希釈された溶液の経口投与は、さまざまな患者の状態、例えば、マラリア原虫、肝炎、HIV及びインフルエンザウイルスを保有する患者の処置において有効な結果を提供することが報告されている。
【0018】
上記の報告の一部は、患者又は医療助手による、規定量(2~4×15滴)の亜塩素酸塩濃縮物溶液への9部の水にスプーン一杯のクエン酸などの規定量の酸の添加、さらに水又はフルーツジュースへの希釈を含む、亜塩素酸ナトリウムの水性濃縮物(28%w/v溶液、実際には、24%w/v)の使用に基づいている。酸成分が塩基性の亜塩素酸塩を酸性化すること、及び水性の酸性環境が、約3分後に二酸化塩素の放出をもたらすことが示されている。酸性化された溶液の希釈に続いて、ClOの濃度を約1ppmに下げることが勧告されている。その後、ClOの放出が続くが、非常に遅い速度であることが示唆されている。
【0019】
上記の報告の観点から、酸の添加は、投与の前に非常に短時間(3~4分)に行われることが必要である。患者若しくは医療助手による再度のグラス半分の水又はフルーツジュースでの希釈は、その後の患者による(希釈された溶液の嚥下による)の摂取に先行する。
【0020】
より最近の報告は、次亜塩素酸塩、より詳細には、水処理又はスイミングプール品質の次亜塩素酸カルシウムの経口投与に関連する。記載されている特定の製品は、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムなどの非毒性のナトリウム化学物質の量を含むことが示されている。次亜塩素酸塩が、対象の胃内などの水溶液中で次亜塩素酸(HOCl)を形成することが重要な特徴であると示唆されている。示された使用は、次亜塩素酸カルシウム組成物で充填された1日あたり1~5「0」サイズのゼラチンカプセル剤の投薬量の範囲ですべての種類のがんを処置するためのものである。がん患者に対する肯定的な効果が報告されている。カプセル剤を食事の前又は後に摂取すべきか否かに関係する警戒的な報告も存在する。報告された結論は、カプセル剤が、それが溶解する前に可能な限り迅速に胃を通過するであろうということであり、次亜塩素酸が(胃の中の)塩酸と直ちに反応して毒性のガス状塩素を形成することがその理由である。したがって、報告された結論は、カプセル剤が十二指腸を通過して、溶解することができるように、空の胃に大量の水を摂取することである(それによって、ガス状塩素の形成が明らかに軽減又は回避される)。
【0021】
文献は、熱帯熱マラリア原虫(plasmodium falciparum)の寄生生物の無性血液期の死滅について議論している。また、生化学的研究は、二酸化塩素の抗マラリア効果が、赤血球内の寄生生物中での化合物のリソソーム捕捉、続いて、寄生生物によるヘモグロビン消費の過程で生成する毒性のヘミン(ヘモグロビンの鉄成分)への結合に関与していることを示唆している。このような結合は、ヘミンの非毒性のマラリア色素への重合を防ぐことが示されている。二酸化塩素は、血液脳関門に通り抜け、赤血球に蓄積すると述べられている。作用機序は、他の抗マラリア薬のものとは異なるように見えるが、アルテミシニンの過酸化物架橋が鉄イオンによって切断されたときに起こると考えられているものと類似するフリーラジカルの放出に関連し得る。この切断は、アルテミシニン活性薬剤によって遭遇する高濃度のヘミンで生じることが示されている。
【0022】
アルテミシニン、その誘導体及び他の活性薬剤との組合せ、アルテミシニン系の組合せ治療(ACT)の完全な総説は、マラリア原虫の処置のための最良又は最も効果的で広く用いられている製品を提示する。しかしながら、より最近の観察は、アルテミシニン製品に対する熱帯熱マラリア原虫の抵抗性の発達を勧告している。本明細書において報告されないこれらの事象は、本発明に関して、さらなる開発を促している。
【0023】
本発明に関連する拡張された考慮すべき事項には、酵素、より詳細には、白血球の好中球の顆粒球において発現するペルオキシダーゼ酵素であるミエロペルオキシダーゼ(MPO)の複雑な天然のプロセスの言及及び潜在的な見解が含まれている。例えば、一般に、亜塩素酸イオンの存在中でMPOの酸化が、次亜塩素酸、及び補助因子としてヘムを生成することが十分に受け入れられていることが理解される。同様に、チロシルラジカルを形成するためのチロシンの酸化も同様に十分に受け入れられていると思われる。チロシルラジカル及び次亜塩素酸は両方とも、白血球の好中球によって用いられ、感染した対象によって保有される病原体の増殖を阻害するか、又は死滅させる。
【0024】
食細胞の役割は、文献で利用可能であるが、本明細書には含まれず、これは酸化剤の機能の理解に寄与してもよく、その添加は温血哺乳動物対象の免疫反応に寄与し得るか、又は支援し得る。
【0025】
注目すべき関心は、上記の文献が、次亜塩素酸塩を生じる天然の酵素プロセスに対して明確に言及しており、そのような次亜塩素酸塩がバクテリアに対して極めて有毒である点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【文献】国際公開番号WO89/03179
【文献】国際公開WO99/43294
【非特許文献】
【0027】
【文献】Environ.Sci.Technol.、2013、47(19)、11147~11156頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
要約すると、本発明は、病原性感染の処置のためのいくつかの組成物及び処置手順を提供することに関する。病原性感染は、例えば、水又は他の液体、食品、生来の表面、無脊椎動物及び温血哺乳動物対象と併せて含まれていてもよい。
【0029】
組成物の成分は、本質的に、イオン化可能であってもよく、一般に、別の物質源から利用可能な電子を引き付ける、及び/又は結合する1以上の酸素原子を含んでいてもよい、酸化性化学物質を含む。このような物質源は、より詳細には、1以上の病原体であるか、又は1以上の病原体を含むある特定の有機体を含むと考えられる。本発明の組成物に含まれる本質的に酸化性化学物質は、組成物中に含まれる2以上の成分の間の相互作用によって発生し得る。しかしながら、酸化性化学物質は、外部の相互作用する物質への組成物の曝露に続いて、組成物によって発生してもよく、例えば、組成物が適用される、適用されるべき、若しくは適用され得る環境又は表面によって提示されてもよい。
【0030】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物のすべての成分若しくは少なくとも一部の成分の溶解を提供する水性媒体又は他の溶媒を含み、例えば、それによって、組成物中に含まれるイオン化可能な酸化性化学物質のイオンの利用を容易にする。例えば、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、塩素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩又は酸化物などの酸化剤のアルカリ金属塩は、水性溶媒媒体中でそのイオン化を提供してもよく、それによって、組成物の他の成分、例えば、その酸性成分との反応を可能にする。
【0031】
病原性感染を処置するために用いられる組成物の製剤又は性質は、単一又は複数の成分で構成され得、溶媒、より詳細には、水性媒体への溶解後、錠剤、微粒子剤又は顆粒剤の形態の溶液で提供され得る。したがって、組成物は、例えば、病原性感染又は汚染された生来の表面の局所的処置への適用における使用のための、担体媒体中の溶液又は分散液で提供され得る。同様に、可溶性又は分散性組成物は、密閉空間の消毒用のスプレー剤として、また、病原性の活動性感染症を媒介又は引き起こす蚊などの無脊椎動物に対するスプレー剤としての使用のために提供されてもよい。
【0032】
病原体に感染したヒト対象などの温血哺乳動物対象の使用及び処置のために用いられ得る本発明の組成物の活性酸化剤の濃度及び投薬量は、病原体感染、感染の重症度及び投与の様式の性質に大きく依存すると考えられる。
【0033】
投与の様式が、腸内又は胃腸管(GIT)投与を導く経口であるならば、飲料水中のある特定の酸化剤の投薬量は、例えば、亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の場合において、百万分の1(1ppm)に相当する約1mg/lに制限されることに留意されたい。酸化剤を肝臓に導く門脈内での酸化剤の全吸収を推定し、かつ肝臓によるその代謝の欠如を推定すると、健康な対象の全身系における酸化剤のバイオアベイラビリティは、成人対象の水分含量によってさらに希釈されると思われる。この水分含量は、約50リットルである可能性があると推定され得る。したがって、百万分の1(ppm)の単位で、酸化剤処理された飲料水からの全身のバイオアベイラビリティの酸化剤レベルは、1ppmを50で割った0.02ppmである可能性がある。この値は、1リットルの飲料水の経口摂取から対象によって吸収される酸化剤の広く許容される値を表す可能性がある。
【0034】
本発明に関して、アフリカ諸国における機密の人道的な臨床試験に基づいて、比較的高濃度の酸化剤が、病原性感、より詳細には、マラリア原虫感染、肝臓及び他のウイルス感染に苦しんでいる患者の処置に成功裏に用いられ得ると確信され、考えられる。現在の限られた成功した臨床試験の経験に基づいて、病原性感染の他の処置は成功する可能性があると考えられる。
【0035】
本発明に関して重要であると考えられる酸化剤の投与の異なる様式を用いるための手順は、より詳細には、寄生性マラリア感染、及びウイルス又は他のバクテリアの感染を含む他の病原性感染に苦しんでいる患者を処置する場合において、GITの内容物への酸化剤の曝露の回避を確実にすることである。本発明に関して、この手順は、特に、対象の胃の内容物によって表される、GITの少なくとも消化性成分の不利な効果に曝露されることなく、全身的に吸収され得る酸化剤を含むか、又は放出する新規組成物を提供することを含む。この考慮すべき事項は、特に、最新技術の水準のある特定の場合において報告されるように、ある特定の形態のがんを潜在的に含む、マラリア、デング熱、ジカ熱、黄熱病などの場合におけるように、患者の血液又は血漿の循環系にある病原体を標的とすることに関連して適用可能である。
【0036】
対象の肝臓にある、肝炎ウイルス感染及びおそらく肝細胞癌(HCC)を処置する場合において、肝臓の標的化は、好ましくは、酸化剤を患者の肝臓に導く門脈で吸収されるように、活性酸化剤のGIT吸収を含み得るか、又は関与し得る。しかしながら、酸化剤の直接の全身吸収を用いる臨床試験は、B型肝炎ウイルス感染にも効果がある、成功した結果を提供している。肝炎感染、より詳細には、B型肝炎を処置するための組成物は、肝炎を処置するために有効であることが公知のクルクミン及び/又はプロポリスを含む、天然物を含んでいた。このような組成物による処置の成功は、処置される対象の口腔から吸収され得る直接全身吸収可能な酸化剤の60mg/lと同程度の量での反復投与を含むように、より高い投薬量の酸化剤による処置の数日後に現れた。処置の間に観察された一時的な副作用は、錠剤が数分以内に口腔中の唾液によって迅速に溶解するにもかかわらず、錠剤形態の組成物を噛む傾向がある一部の対象の歯間の歯肉の後退に対する軽度の影響に限定された。腸内投与用の腸溶コーティング錠剤の形態及び特定の組成物の顆粒剤の形態などの代替の剤形は、このような処置のために考慮される。
【課題を解決するための手段】
【0037】
一態様において、本発明は、特許請求の範囲において提示される通りである。さらなる態様において、本発明は、以下に関する。
1.ナトリウム、カリウム、マグネシウム若しくはカルシウムの次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩又は塩素酸塩、アルテミシニン組成物若しくは誘導体、又はこれらの組合せから選択される主要酸化剤を含む、液体、食品、生来の表面、無脊椎動物、大量の空気などの物質又は感染した哺乳動物の病原性感染又は殺菌性感染(germicidal infection)を処置するための本質的に無溶媒の固体組成物であって、少なくとも前記主要酸化剤が、それぞれの液体担体媒体内で次亜塩素酸イオン若しくは次亜塩素酸、亜塩素酸イオン若しくは亜塩素酸、塩素酸イオン若しくは塩素酸、分子性若しくはイオン性二酸化塩素、又はこれらの誘導体の放出若しくは発生を可能にする、主要酸化剤のための液体担体媒体を提供するために、水若しくは液体分散性、又は水若しくは液体可溶性である、組成物。
2.前記主要酸化剤が、酸性成分と密接に混合されて、その中で組成物が分散若しくは溶解されるか、又はされている液体担体媒体を酸性にすることを可能にする、1に記載の組成物。
3.酸性成分が、無水クエン酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、ステアリン酸又はこのような酸の2以上の混合物から選択される、2に記載の組成物。
4.ある量の担体の媒体分散性若しくは可溶性のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩或いは重炭酸塩が、組成物中に含まれる、1~3のいずれかに記載の組成物。
5.炭酸塩又は重炭酸塩が、ナトリウム若しくはカリウムの炭酸塩又は重炭酸塩、或いはこれらの組み合わせである、4に記載の組成物。
6.ある量の担体の媒体分散性若しくは可溶性のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物が、組成物中に含まれる、1~5のいずれかに記載の組成物。
7.アルカリ金属の塩化物が、塩化ナトリウム若しくは塩化カリウム、又はこれらの組み合わせである、6に記載の組成物。
8.組成物が、微粒子剤、顆粒剤又は錠剤の形態で提供される、1~7のいずれかに記載の組成物。
9.組成物が、本質的に無溶媒の固体組成物である、1~8のいずれかに記載の組成物。
10.組成物が、水又は微粒子混入物の吸収又は吸着から、組成物が用いられているか、又は用いられている、水若しくは環境若しくは表面の感染の阻害又は処置における使用のために、封入物が破裂又は開放される前に組成物が封入される、破裂可能又は開放可能な空気不浸透性、水忌避性の封入物によって保護される、1~9のいずれかに記載の組成物。
11.温血哺乳動物対象への経口投与に適合する薬学的に許容される経口剤形が、病原性感染に曝露されるか、若しくは患う可能性がある対象の予防手順又は処置手順のために提供される、1~10のいずれかに記載の組成物。
12.前記経口単位剤形又はその複数が、温血哺乳動物対象の胃腸管又は他の体腔を通過することによって吸収可能な、吸収可能な治療的に有効な全身非毒性量の前記主要酸化剤を含む、11に記載の医薬組成物。
13.前記経口単位剤形又はその複数が、対象による嚥下に適合し、したがって、対象の胃の酸性の水性媒体内容物に曝露されるようになるか、又はさらに曝露され、それによって、胃腸管から、より詳細には、対象の十二指腸又は小腸からの吸収によって吸収される、吸収可能な形態の非常に水溶性の二酸化塩素の放出を促進する、11又は12に記載の医薬組成物。
14.前記経口単位剤形又はその複数が、腸溶コーティングされ、対象の胃内の酸性環境への曝露に対して抵抗性を与えられ、それによって、対象の胃腸管の下流の部分又は対象の胃の幽門の末端を超えた部分でのみ、前記主要活性酸化剤の放出を可能にする、11又は12に記載の医薬組成物。
15.腸溶コーティングが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸/アクリル酸エチル、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びフタル酸ポリ酢酸ビニル、又はこれらの組合せからの選択物を含む、14に記載の医薬組成物の剤形。
16.前記主要活性酸化剤が、対象の胃腸管の下流内又は対象の胃の幽門の末端を超えて、相対的にpHが中性又はアルカリ性の水性媒体溶媒を可能にして、酸性にし、それによって、対象の十二指腸又は小腸によって供される吸収部位による吸収により対象の肝臓に導く門脈の血流への吸収のために腸内で可溶性の二酸化塩素の放出を促進する、2又は3に関する無水酸と密接に混合される、10~14のいずれかに記載の医薬組成物。
17.前記主要活性酸化剤が、2又は3に関する無水酸と密接に混合され、前記経口単位剤形又はその複数が、対象による口又は口腔中での維持に適合する可溶性ロゼンジ錠の形態で提供され、このようにして、前記水溶性無水酸の口腔の唾液内容物への同時放出により提供される酸性の水性媒体内での前記主要活性酸化剤の放出を可能にし、それによって、対象の口腔の内側によって供される吸収性の表面積による主要活性酸化剤又はその誘導体の直接全身吸収を可能にする、10に記載の医薬組成物。
18.組成物が、組成物の総重量の約5%w/w以下の主要活性酸化剤の量を含む、12~17のいずれかに記載の医薬組成物。
19.組成物が、組成物の総重量の約30%w/wを超える、重炭酸ナトリウム若しくは重炭酸カリウム、又はこれらの組合せの割合を含む、15~18のいずれかに記載の医薬組成物の剤形。
20.組成物が、組成物の総重量の約5%w/w未満である、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物の割合を含む、11~19のいずれかに記載の医薬組成物の剤形。
21.アルカリ金属の塩化物が、ナトリウム若しくはカリウムの塩化物である、20に記載の医薬組成物の剤形。
22.組成物が、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、結合剤又は他の従来の賦形剤を含む、11~21のいずれかに記載の医薬組成物の剤形。
23.0~88mgの間の、結合剤のアラビアガム、賦形剤のポリビニルピロリドン、アセスルファムKなどの甘味剤、賦形剤担体媒体のキシリトール及びステアリン酸マグネシウムとタルカムの組合せを含む、22に記載の医薬組成物の剤形。
24.温血哺乳動物対象への経口投与のための例示的な単位剤形が、病原性の感染又は浸潤に曝露されるか、若しくは患っている対象の処置手順のためであり、以下の例示的な混合された構成成分を含み、示されるおおよその量で提供される、23に記載の医薬組成物の剤形。
重炭酸ナトリウム 44mg 44mg
亜塩素酸ナトリウム 15mg 15mg
アラビアガム(Gum Arabicum) 44mg
塩化ナトリウム 14mg
ポリビニルピロリドン(ポビドン25) 7mg 7mg
クエン酸 65mg 65mg
アセスルファムK 2mg 2mg
キシリタブ 376mg 406mg
プロソルブ 30mg 30mg
タルカム/ステアリン酸マグネシウム(40%) 50mg 50mg
________________________________
合計 633mg 633mg
25.温血哺乳動物対象への経口投与のための例示的な単位剤形が、肝炎の病原性の感染又は浸潤に曝露されたか、若しくは患っている対象の処置手順のためであり、以下の例示的な混合された構成成分を含み、示されるおおよその量で提供される可溶性クルクミン及び/又はプロポリスを含む、2に記載の医薬組成物の剤形。
重炭酸ナトリウム 44mg 44mg
亜塩素酸ナトリウム 15mg 15mg
クルクミン及び/又はプロポリス(可溶性) 11~22mg 11~22mg
塩化ナトリウム 14mg
ポリビニルピロリドン(ポビドン25) 7mg 7mg
クエン酸 65mg 65mg
アセスルファムK 2mg 2mg
キシリタブ 376mg 406mg
プロソルブ 30mg 30mg
タルカム/ステアリン酸マグネシウム(40%) 50mg 50mg
________________________________
合計 600~611mg 704~715mg
25.組成物中の主要活性酸化剤の割合が、哺乳動物対象の選択された体腔で利用可能な水性媒体内の活性薬剤の濃度を提供するために選択され、約100ppm未満である、16~22のいずれかに記載の医薬組成物の剤形。
26.前記水性媒体中の前記主要活性酸化剤の薬学的に許容される活性濃度レベルが、前記血漿又は血流中の主要活性薬剤の薬学的に許容される活性濃度レベルを得るために、胃腸管又は他の体腔の吸収部位によって前記水性媒体から対象の血漿若しくは血流への全身吸収のレベル又は速度を制御するように選択される、9~23のいずれかに記載の医薬組成物の剤形。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】研究開始時並びに処置の4日後及び6日後での陽性の熱帯熱マラリア原虫の平均数を示すグラフである。血液1mmあたりの熱帯熱マラリア原虫の平均数を示す。
図2】研究開始時並びに処置の2日後、4日後及び6日後での栄養体の数を示すグラフである。血液1mmあたりの栄養体の平均数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
全体として、上述の従来技術のある特定の水準に記載の殺菌性組成物は、局所適用、又は手術器具などのような無生物表面と同等であると考えられる、局所又は体腔内のいずれかへの水溶液の適用に関係する。全身性ウイルス感染又は他の全身性病原性感染を不活性化する目的などで、温血哺乳動物対象の胃腸管内で発生した亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩又は二酸化塩素の吸収及び分布又は放出が関与する全身適用が同様に考慮される。
【0040】
亜塩素酸塩及び次亜塩素酸塩の両方の成功した臨床的使用の肯定的な兆候の上記の示唆と同時に、処置される状態とはかかわりなく、亜塩素酸塩又は次亜塩素酸塩の患者への投与の任意の形態に関する広範な範囲の医療専門家の疑念(及び保健機関による禁止)が存在する。これに関して、多くの疑念は、このような活性薬剤の摂取後に起こる、吐き気を催す反応、嘔吐及び他の反応の報告事例から生じると考えられるか、又は確信される。例えば、次亜塩素酸カルシウムなどの次亜塩素酸塩の投与の場合において、次亜塩素酸塩は、上記で議論したような胃の塩酸の環境において塩素ガスを発生させ得る。亜塩素酸塩の投与の場合における同様の反応についての理由は明らかではないが、塩酸、並びに患者の胃内の消化酵素及び細菌叢を含む他の酸性成分の反応に関連する可能性がある。任意の事象において、吸収のために利用可能な二酸化塩素の示唆される所望の形成の多くは制御不能であり、患者ごとに非常に異なり、さらにまた、患者の状態及び意図される処置に依存することは明らかである。
【0041】
本発明は、オキシアニオンである、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、塩素酸塩又は他の酸化剤を含む組成物に関する。本発明は、薬学的な亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩又は塩素酸塩の酸化剤及び場合によりさらなる酸化剤の新規組成物、並びに規定の経口剤形に関連し、これは、ある特定の規定の条件下、病原性感染の存在に苦しんでいる温血哺乳動物対象への投与のための剤形を用いることができる。
【0042】
低濃度の亜塩素酸ナトリウムの水溶液の摂取、及び活性二酸化塩素の放出が関与する処置により得られた、報告及び観察された肯定的な臨床結果に基づいて、及び次亜塩素酸を形成する固体の次亜塩素酸カルシウムのカプセル化された形態にも基づいて、さらなる研究を実施して、亜塩素酸塩水溶液、次亜塩素酸塩のカプセル剤又は他の経口剤形の投与後の患者における望ましくない副作用に対する制御を得るための手段を開発できるかどうかを決定した。これらのさらなる研究は、アルテミシニン調製物を含む現在利用可能な医薬に対する、マラリア原虫などの寄生生物の耐性又は抵抗性の発達の観点でも行われた。また、貧困な都市部及び辺鄙な地域において感染性疾患が蔓延しているという事実も考慮され、これは、製品が、最も好ましくは安定しており、容易にアクセスでき、安価であるべきであることを意味する。
【0043】
したがって、本発明の1つの目的は、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩若しくは塩素酸塩、或いは場合により又は代替として、溶解した二酸化塩素、次亜塩素酸若しくは塩素酸の酸化剤を、任意選択又は必要により、さらなる従来成分の、安定化剤、pH調整成分、一般に、高pH酸化剤のpHを低下させるクエン酸などの酸、重炭酸ナトリウムなどのより低いpH(酸化剤のpHより低い)希釈剤化合物、ナトリウム若しくはカリウムの塩化物などの還元剤、結合剤、賦形剤、甘味剤、及びさらに不活性賦形剤などの薬学的に許容される成分と一緒に含む、あらかじめ調製された、安定で特に適合された医薬経口剤形を提供することである。
【0044】
本発明に関する機密の研究に従って、医薬組成物の例示的な固体の単位経口剤形が、マラリア及び他の病原性感染症が蔓延しているいくつかの国で、機密の人道的な基準において、開発され、臨床試験において用いられた。本発明の範囲内のこの例示的な固体の単位経口剤形は、約5mg~約30mgの亜塩素酸ナトリウムを含み、水性媒体溶液中にある場合に、pHを生理学的レベルに調整するのに十分な固体の乾燥無水カルボン酸の量と密接に混合され、同様に、単位経口剤形が、確立された酸性の水性媒体環境に曝露又は含まれる場合に、対応する当量の二酸化塩素、イオン性二酸化塩素(ClO )若しくは亜塩素酸(HClO)を形成又は放出する、少なくともオキシクロロ酸化剤の割合を可能にする。
【0045】
亜塩素酸ナトリウムは、三水和物又は無水物の形態で利用可能な強力な酸化剤であることが公知である。上記の例示的な単位剤形中の無水物は、本発明の医薬組成物の好ましい使用のための、より詳細には、組成物の調製及び安定性のために必要な乾燥条件のための、形態である。無水物は、吸湿性であるが、凝集体ではなく、したがって、乾燥医薬経口剤形組成物の他の成分と混合するために特に適切である。
【0046】
本発明の乾燥単位経口剤形に含まれる固体のカルボン酸は、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、ステアリン酸、又はこのような酸の2以上の混合物のいずれか1つであり得る。容易な入手可能性及びコストの要因の観点から、クエン酸が好ましく、単位剤形に含まれるその量は、約20mg~約130mgの間であり得(任意選択で、約5mg~約30mgの塩化ナトリウム(-1酸化状態)の量と併せて)、これは、組成物の安定性に寄与する。
【0047】
二酸化塩素の発生の例示としては、水性媒体中でのカルボキシル基を持つクエン酸と亜塩素酸ナトリウムとの間の以下の化学反応である。
+3NaClO→3HClO+CNa
HClO+HO→ClO +H
【0048】
同様の反応は、ナトリウム又はカリウムの次亜塩素酸塩でも起こり、次亜塩素酸(ClO)イオンが発生する。
【0049】
本発明の単位剤形は、発泡剤の成分を含んでいてもよく、発泡剤の1つの成分は、組成物中に含まれるカルボン酸の量であってもよく(亜塩素酸及びイオン性又は分子性二酸化塩素を発生させるために必要な量を超える)、発泡剤のさらなる成分は、これが望ましい場合、固体経口単位剤形中での亜塩素酸塩の濃度の希釈、及びさらにまた、二酸化炭素の発生又は重炭酸塩と酸の反応後の発泡反応を可能にすることの両方のために提供される、ナトリウム又はカリウムの重炭酸塩であってもよい。
【0050】
単位剤形中に含まれる重炭酸ナトリウムの量は、単位剤形中に含まれる亜塩素酸塩の量及びカルボン酸の量に応じて、約15mg~約90mgであり得る。したがって、アルカリ性で作用する重炭酸ナトリウムは、ガス状二酸化炭素の発生によって生じる発泡効果をもたらすためにカルボン酸の一部を消費する場合があるので、カルボキシル基を持つクエン酸(carboxylic citric acid)であってもよいカルボン酸の量は、亜塩素酸塩から亜塩素酸若しくはイオン性二酸化塩素の所望の量又は濃度を発生するために少なくとも必要な量まで、重炭酸ナトリウムの当量を超えていなければならない。しかしながら、単位剤形中に含まれる重炭酸塩の量は、専用の酸性化剤と密接に混合されて、二酸化炭素を発生することが可能であることが好ましい。この特定の目的のために好ましい酸性化剤は、ある特定のベーキングパウダーである重炭酸塩組成物において従来用いられているピロリン酸二ナトリウムである。
【0051】
固体の亜塩素酸ナトリウムの安定性は、本発明の組成物中の塩化物の存在によって増強され、再度、存在する亜塩素酸ナトリウムの量に依存する。塩化物は、本発明の組成物の本質的な成分ではないので、上記の単位剤形中の塩化物の量は、例えば、0~約28mg(の塩化ナトリウム)であってもよい。
【0052】
結合剤のアラビアガムは、単位剤形中に0~約88mgの間などの適切な量で、本発明の組成物中に含まれていてもよい。同様に、ポリビニルピロリドンなどの賦形剤、アセスルファムKなどの甘味剤、賦形剤担体媒体のキシリトール及びタルカム/ステアリン酸マグネシウムは、単位剤形中において必要な量又は好ましい量で含まれていてもよい。
【0053】
本発明の好ましい経口剤形の重要な特徴は、酸化剤が、毒性効果を引き起こし得る対象の胃内の胃液の酸性環境に曝露されないことを回避するだけでなく、可能にする目的に関する。したがって、好ましい投与の様式は、これまで、単位剤形を口内で舌下に維持し、その活性成分を患者の唾液の水性媒体に溶解及び反応させることを可能にすることであると示されている。
【0054】
ヒト対象の口腔中の唾液のpHは、通常、およそ中性からわずかにアルカリ性であり、小腸のpHと同様である。また、対象の口腔及び鼻腔を規定する粘膜は、対象の胃中の低pHの塩酸環境に曝露されることなく、患者の全身の血流への所望の活性酸化剤の直接吸収を可能にする吸収部位を提供する。さらにまた、胃の内容物は、酸性の消化性ペプシン酵素も含むので、本発明の組成物の腸内投与によって対象の胃中で利用可能になる多量の亜塩素酸塩、亜塩素酸又は二酸化塩素がなくなり、したがって、吸収を可能にするのを回避する可能性がある。
【0055】
上記の本発明の酸化剤組成物で処置される対象は、臨床試験の間に、固体経口剤形自体の嚥下を回避又は制限し、厳密に患者の胃中での活性薬剤の反応を回避することが奨励されている。口中の水性の唾液に舌下で溶解している間、酸、酸化剤及び水は相互作用して、イオン性亜塩素酸塩、次亜塩素酸及び非常に水溶性の中性又はイオン性の二酸化塩素溶質を形成する。口腔内で発生するこれらの成分又は溶質は、口腔及びおそらく鼻腔の内側の粘膜を直接通って対象の全身の血流の血漿に容易に吸収されることが判定されている。
【0056】
以前に部分的に議論したように、単位剤形による易溶性のガス状二酸化塩素の発生が起こり得る限り、本発明の剤形は、さらにまた、かつ最も好ましくは、カリウム又はナトリウムの重炭酸塩などの重炭酸塩の量を含む。乾燥形態の重炭酸塩は、アルカリ性の酸化剤である亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩又は塩素酸塩の固体成分の固体希釈を提供する働きをし、同時に、水性媒体中でガス状二酸化炭素を発生させるか、又は炭酸を形成する働きをし得る。重炭酸塩の含有量は、一般に、不活性担体及び結合剤と一緒に、有利には、酸化剤溶質の濃度を低下させ、結果として二酸化塩素又は亜塩素酸の水性媒体中での形成を低下させる。次亜塩素酸塩溶質の場合において、二酸化炭素(CO)は、有利には、次亜塩素酸の形成に対するその利用可能性によって寄与する(下記の「次亜塩素酸塩が関与する、一部の可能性がある反応」を参照のこと)。
【0057】
重炭酸塩、活性亜塩素酸塩又は次亜塩素酸塩、及び不活性成分、より詳細には、体積膨張性の水溶性結合剤の量の定量的選択は、本発明の乾燥経口剤形の密接に混合された成分の完全性及び分布を提供する。同様に、対象の選択された水性媒体への剤形からの成分の溶解の速度は、不活性担体又は結合剤物質によって効果的に制御され得、これは、本発明に関与する重要な考慮すべき事項であると考えられる。これは、より詳細には、対象の周囲の水性媒体中の成分の濃度が、この様式において薬学的に許容されるレベルに制限され得、その結果として、水性媒体を含む粘膜内側を通って対象の血流への吸収の速度が同様に制御され得るので、再度、薬学的に許容される活性レベルに制限される。
【0058】
酸化剤成分がカルシウム又はマグネシウム化合物である場合において、好ましくはそれらの低濃度レベルであっても、炭酸塩又は重炭酸塩の存在が、沈殿物の問題をもたらす場合がある。しかしながら、処置を必要としている患者の大多数が代謝性アシドーシスの状態にあり、適切又は正常なレベルの重炭酸塩緩衝液(通常、動脈血で測定される20mEq/l未満)を欠いている観点から、重炭酸塩の吸収は、処置を必要としている対象に対して追加の有益なサポートを提供する。
【0059】
さらにまた、弱アルカリ性の重炭酸塩の含有量は、食感及び味の改善を提供する。このような亜塩素酸塩又は次亜塩素酸塩の濃度の低下は、強力な酸化剤への曝露、並びに過剰な濃度の二酸化塩素と可能性がある少量の塩素酸塩及び塩素ガスの可能性がある発生によって引き起こされ得る、口及び鼻粘膜の内側の局所的な刺激の可能性も低下させる。しかしながら、塩化ナトリウムの適切な濃度は、同様に、胃腸管の粘膜又は他の内側への損傷の危険性を低下させるのにも寄与する。
【0060】
同量の亜塩素酸塩及び酸をそれぞれ含み、好ましい高含有量の重炭酸ナトリウムをそれぞれ含む、対象の口腔における使用のための上記の亜塩素酸塩組成物の2つの類似した単位ロゼンジ錠型の剤形の具体例を下記に説明する。
【0061】
例: I II
重炭酸ナトリウム 44mg 44mg
亜塩素酸ナトリウム 15mg 15mg
アラビアガム 44mg
塩化ナトリウム 14mg
ポリビニルピロリドン(ポビドン25) 7mg 7mg
クエン酸 65mg 65mg
アセスルファムK 2mg 2mg
キシリタブ 376mg 406mg
プロソルブ 30mg 30mg
タルカム/ステアリン酸マグネシウム(40%) 50mg 50mg
_____________________________________
合計 633mg 677mg
【0062】
肝炎の例: I II
重炭酸ナトリウム 44mg 44mg
亜塩素酸ナトリウム 15mg 15mg
クルクミン及び/又はプロポリス(可溶性) 11~22mg 11~22mg
塩化ナトリウム 14mg
ポリビニルピロリドン(ポビドン25) 7mg 7mg
クエン酸 65mg 65mg
アセスルファムK 2mg 2mg
キシリタブ 376mg 406mg
プロソルブ 30mg 30mg
タルカム/ステアリン酸マグネシウム(40%) 50mg 50mg
____________________________________
合計 600~611mg 704~715mg
【0063】
上記の例において、約2mgに達する量のアルテミシンが含まれていてもよい。さらにまた、がん患者を処置する目的のために、上記の例に含まれるクルクミン及び/又はプロポリス成分は、がんの処置において有効性が増加させることが公知又は新たに示唆されている南米の植物であるトゲバンレイシからの抽出物で置き換えてもよい。上記の例におけるトゲバンレイシ抽出物の推奨量は、30mgと同程度であると示されている。
【0064】
肝炎ウイルス感染を患っている対象を処置するための上記の例に関する組成物の口腔投与を用いる臨床試験の処置は、低コピー又は低国際単位(UI)を有するB型肝炎ウイルス(HBV)感染の例示的な存在の全部で8人の女性及び男性の事例のすべてで成功した結果を提供した。すべての事例において、処置の前及び後に行われた従来の検出は、200コピー/ml又は50IU/mlの検出限界を下回る処置後の定量的ウイルス負荷(コピー/ml、log10及びIU/ml)測定を提供した。
【0065】
ロゼンジ錠の投薬量は、患者の体重、患者の状態、並びに患者によって保有される病原体の性質及び重症度に依存する。病原体がマラリア原虫である例において、比較的高い投薬量が、患者の唾液への二酸化塩素の適切な一時的放出、及びマラリア原虫の増殖を阻害して、最終的に患者の血流から完全に破壊することを可能にする適切な吸収を確実にするために用いられた。したがって、例えば、成人及び12歳より上の小児の事例において、上記の例の性質の5~6ロゼンジ錠と同数が、2時間ごとに口腔に投与されるために最初に処方される。2時間の期間の最初の期間の間に、ロゼンジ錠は、患者の唾液に比較的ゆっくりと溶解し、崩壊した。活性薬剤は、唾液中に活性な二酸化塩素又は亜塩素酸溶質を放出し、この溶質は、対象の口腔及び場合により鼻腔の粘膜を直接通して、全身の血漿又は血流に同時にゆっくりと吸収される。一般に、担体のガス状二酸化炭素によって希釈されたガス状二酸化塩素は、唾液中で形成され、この溶質の状態から対象によって全身的に吸収される。
【0066】
上記の投薬レジメンは、寄生生物の病原体又はウイルスの増殖を迅速に阻害し、また可能な限り迅速に、すべての寄生生物の病原体又はウイルスの侵入に到達及び不活性化する、定期的な必要性に基づいて処方される。コンプライアンスの要因に応じた比較的挑戦的な投薬レジメンの利用は、一般に、数日以内、マラリア原虫の感染の事例では、通常2日以内に、寄生生物又はウイルスの感染がない処置された対象をもたらすはずである。一部の事例において、適切な効果が得られない場合、推奨される連続的な2時間投薬を、7ロゼンジ錠と同数に増加させてもよい。
【0067】
亜塩素酸塩組成物の摂取に対して公知の悪心、嘔吐などのような毒性及び副作用の問題は、驚くべきことに、おそらく、本発明のロゼンジ剤形製品による処置を受けている患者は遭遇しない。毒性効果がないことは、活性薬剤のゆっくりとした吸収を維持し、続いて、口腔内の内側の吸収部位によって供されるその比較的低い吸収濃度に少なくとも部分的に起因する。重要であると考えられるさらなる要因は、吸収された活性二酸化塩素が、選択的な活性及び攻撃を提供し、例えば、ウイルス性疾患の場合において、寄生生物及びウイルスの細胞感染の細胞膜のみを破壊する。さらに重要なことは、例えば、飲料水中の酸化剤の非常に低い含有量という要件によって代表される、酸素供給剤(oxygenator)化合物の毒性効果の可能性が、対象の肝臓中にあるそのような感染を含む、対象の全身系内に含まれる病原性感染と酸化剤の反応によって、精密に排除されるという事実である。したがって、下記の段落66において報告する本発明に関する機密研究によっても確認されるように、本発明に関する機密研究は、電子供与中心を含む細胞にある病原体との反応後に、オキシクロロ酸化剤が水及び塩化ナトリウムに変換されるという兆候を提供する。
【0068】
上記のような考慮すべき事項、より詳細には、本質的に中性の口腔の水性環境における局所性の放出は、十二指腸のやや酸性の水性媒体、又はおそらく好ましくは、主要な吸収表面積が利用可能なややアルカリ性の小腸などの胃腸管の下部領域において許容される低速度の放出を可能にする、剤形のさらなる開発の開始を促進する。したがって、本発明は、このような組成物も検討する。
【0069】
65.上記のようなロゼンジ錠組成物は、これまで、上記に記載の様式で臨床試験において一般的に用いられ、すなわち、口の中に維持され、対象の唾液中で溶解及び反応させることが好ましいにもかかわらず、下記で行われ、報告される一部の臨床試験は、1以上の単位剤形又はその溶液の不注意又は制御されない嚥下を含む可能性がある。しかしながら、有害又は毒性効果は、処置されたいずれの患者においても観察されなかった。
【0070】
66.さまざまな年齢の50人の患者の人道的な処置に関して、臨床の有効性の一連の実証の例を以下に報告する。すべての患者は、マラリア感染の急性症状を示していた。患者は、現地の医師への初診で患者の血球数によって示される、熱帯熱マラリア原虫陽性であると判定された。少数の小児を含む患者は、初期のプロトタイプの製品名VCR錠の投与を含む、(上述の2時間ごとに5~7錠のロゼンジ錠で2日の短期間にわたる加速投薬と比較して)比較的低い1日投薬量を(口内での放出によって)消費することが勧告された。1日の間に3錠が処方され、結果として、1日あたり45mgの亜塩素酸ナトリウムの総投薬量であった。医師への2回目及び3回目の来診後、それぞれの患者の血液を、4日目及び6日目に熱帯熱マラリア原虫について検査し、症状及び医薬の副作用を記録した。患者の年齢及び性別、並びに報告された副作用を下記の表に示す。
【0071】
年齢 1~4 5~20 21~50 > 50
(年齢の範囲)
性別 2/0 8/10 10/14 2/4
(男性/女性)
患者数 2 18 24 6
治療の副作用 なし なし なし
【0072】
図1から分かるように、研究の開始前の陽性の熱帯熱マラリア原虫の平均数は、6084(±1038SD/標準偏差)栄養体/mmであった。治療後、熱帯熱マラリア原虫の数は、4日目に321栄養体/mm(±63SD)の平均数に低下し、6日目に、栄養体は血液中で検出されないか、又はゼロであった。
【0073】
上記の微生物の注目に値する減少と並行して、患者の健康状態の迅速な全体的な回復を観察することができ、存在していた症状は、患者に観察又は報告されなかった。さらにまた、不耐容を理由として、研究から脱落した患者はいなかった。
【0074】
67.上記の微生物の注目に値する減少と並行して、患者の健康状態の迅速な全体的な回復及び全体的な印象を観察することができ、存在していた症状は、患者に観察又は報告されなかった。さらにまた、他の以前の亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩若しくは二酸化塩素の組成物の摂取について報告された嘔吐又は悪心の理由のためなどの不耐容を理由として、研究から脱落した患者はいなかった。
【0075】
本発明と関連する上記の処置手順に関して重要であると考慮されるのは、15ppmと等しい1lの唾液中の15mg/lと同等の、約2%又は0.02w/wの比較的高い濃度の亜塩素酸ナトリウムを含む本発明の医薬調製物が、胃腸管の胃の内容物、並びに可変の塩酸及び消化性の酸性酵素内容物への調製物の曝露を回避することである。胃腸感染症の処置のための多量の水での摂取のために適切であると示唆されている他の調製物と比較して、次亜塩素酸又は二酸化塩素を発生させる目的の酸性媒体との反応のための亜塩素酸塩の濃度は、局所的に曝露される組織細胞を損傷する恐れがあるため、投与される溶液は最大でも15ppmを超えないだろう。
【0076】
本発明の亜塩素酸塩又は次亜塩素酸塩を含有する経口剤形のさらなる開発の後、より最近では、重炭酸塩の含有量を、固形の1000mg単位経口剤形中900mgまで実質的に増加させることが考慮されている。しかしながら、このような経口剤形のサイズに関して、すべての構成成分の総量は、好都合には又は好ましくは、約600mgを超えないだろう。
【0077】
本発明に関連する免疫応答の重要性又は関連性は、これまで詳細に考慮されていなかったが、独立した文献は、それら自体に対する免疫応答が、ある特定の侵入病原体に対して宿主を保護するのに適切ではないと思われること、並びに本発明の生成物の投与が、自然免疫応答の可能性があるサポートを提供し得るか、又は加速し得ることを示唆している。したがって、例えば、侵入病原体が従来の処置に対して抵抗性を発達させている場合のように、自然免疫応答が失敗する場合を踏まえれば、病原体侵入のある特定の場合において、適応免疫応答の機構によって検出及び攻撃されるこれらの抗原について可能性が存在するかもしれない。しかしながら、一般に、感染に即座に反応するはずの構造的に存在する自然免疫系とは異なって、適応免疫応答は、発達するために時間が必要である(一般に、数日)。実際に、病原体侵入のある特定の場合において、適応免疫が、この発達の期間の間に、感染した宿主に広く広がり、組織細胞及び臓器などの宿主への回復不可能な損傷を引き起こす感染と効果的に戦うためには単に遅すぎる場合があると思われる。
【0078】
自然免疫応答及び適応免疫応答はそれぞれ、侵入した有機体に対して宿主を保護するために機能するが、それらの保護的機能は異なる。しかしながら、本発明に関する重要性について考慮されるのは、常に対象に存在し、及び一般に、ほとんどの侵入病原体に対する即時的な保護を提供する自然免疫応答機構であり、自然免疫応答の追加及び重要な機能は、適応免疫応答機構を活性化することである。
【0079】
亜塩素酸イオンの存在中でのミエロペルオキシダーゼ(MPO)の酸化は、次亜塩素酸及び補助因子としてのヘムを生成する。同様に、チロシルラジカルを形成するチロシンの酸化は、次亜塩素酸と一緒に、白血球の好中球によって用いられて、感染した対象によって保有される病原体の増殖を阻害するか、又は死滅させる。生じる適応免疫反応についての遅延に関して、より詳細には、自然免疫反応によるそのような適応免疫反応の活性化の遅延の理由を考えると、全身的に吸収可能若しくは再吸収可能な亜塩素酸塩又は次亜塩素酸を、感染した対象に直接提供するための手順が示される可能性がある。このため、酸性媒体中で次亜塩素酸又はより活性の二酸化塩素を生成する亜塩素酸塩又は次亜塩素酸塩は、したがって、亜塩素酸イオンの存在中でのミエロペルオキシダーゼ(MPO)の酸化によって生成されることが示されているように、遍在し豊富な二価鉄のヘム補助因子(ferrous haeme cofactor)との直接接触及び反応のために、即座又は直ぐに利用可能になる。自然免疫反応の反応性、より詳細には、適応免疫応答の活性化は、適応免疫反応の効果がでるまでの時間を加速し、したがって、低減する可能性があることを示唆する。
【0080】
ここで、化学用語における通常の混乱を回避するために、本発明の医薬組成物中の化学物質の存在又は他と組み合わせて発生し得るものの存在を、口腔を含む胃腸管の部分内での水性媒体への曝露の際に起こり得る、ある特定の反応に沿って、以下に説明する。
【0081】
ナトリウム又はカリウムの塩化物;NaCl又はKCl
ナトリウム又はカリウムの亜塩素酸塩;NaClO又はKClO
亜塩素酸;HClO
次亜塩素酸又は次亜塩素酸イオン;HOCl又はClO
二酸化塩素又はイオン性二酸化塩素;ClO又はClO
カルシウム又はナトリウムの次亜塩素酸塩;Ca(ClO)又はNaClO
【0082】
次亜塩素酸塩が関与する、一部の可能性がある反応:
Ca(ClO)+CO→CaCO+ClO(ガス状一酸化二塩素)
ClO+HO→2HOCl又は2H+2OCl
ClO+HO→HOCl+OH
Ca(ClO)+4HCl→CaCl+2HO+Cl(ガス状塩素)
【0083】
塩素酸ナトリウムのための主な商業使用は、二酸化塩素(ClO)の調製のためである。塩素酸塩の使用の約95%を占めるClOの最大の適用は、パルプの漂白においてである。上記の第2及び第3の反応におけるような、次亜塩素酸又は次亜塩素酸イオンの発生をもたらす反応は、好適であると考えられるが、第1及び第4の反応におけるような、一酸化二塩素(ガス状)及び塩素(ガス状)の発生をもたらす反応は、好適ではないと考えられる。しかしながら、次亜塩素酸カルシウムと二酸化炭素との反応によって酸化二塩素が得られ得ること、及び一酸化二塩素と水との反応後に次亜塩素酸(本発明に関して望ましい生成物)が得られることに留意されたい。
【0084】
この経験を活動中の栄養士及び自然療法士(Natural Therapist)の経験と組み合わせた、経験を積んだ研究化学者、生化学者及び毒物学者は、以下の用語で前立腺がん及びHIVウイルスの処置のための次亜塩素酸カルシウムカプセル剤の使用に対してコメントしている。
【0085】
「次亜塩素酸カルシウムを水に溶解する場合に、次亜塩素酸が形成される。これは、塩素よりも強い酸化剤で、より殺菌性が高く、また、免疫系によって生成及び使用される。次亜塩素酸は、直ぐに塩酸と反応して、塩素を形成する」。コメントは、「したがって、この着想は、それが溶解する前に可能な限り早く胃を通過するカプセルを得ることである。空の胃に大量の水を摂取すると、次いで、これは、あまり遅延することなく(胃を)通過し、カプセルは十二指腸で溶解することができる」と続く。
【0086】
吸収は主に小腸の機能であるが、それにもかかわらず、ある特定の低分子の一部の吸収は、その内側を通って胃で起こる。これには以下が挙げられる。
・水、身体が脱水している場合
・アスピリンのような医薬
・アミノ酸
・10~20%の摂取エタノール(例えば、アルコール飲料から)
・カフェイン
【0087】
上述の次亜塩素酸塩の可能性がある反応に関して、上記で提供されたコメントと組み合わせて、正当であると考えられる場合、本発明に関する要因は、十二指腸におけるその成分の放出、又はむしろ、対象のわずかにアルカリ性の小腸での放出を可能にし、それによって、対象の胃での放出を回避することを可能にする、本発明の腸溶コーティングされた医薬組成物を開発することである。しかしながら、ある特定の所望の発生する成分の吸収は対象の胃から起こり得るので、腸溶コーティングは、一部の製剤において、例えば、上記に記載のように必須ではない場合がある。
【0088】
アルカリ性で作用する組成物の腸溶コーティングは、対象の胃の中などの酸性媒体中での分解に対して顕著に抵抗性であるが、対象の小腸中の中性からわずかにアルカリ性の媒体中での分解は、実際には、容易な課題ではない。したがって、例えば、中性からアルカリ性の環境中で分解可能な腸溶コーティングの効力によって、例えば、本発明の組成物中に存在するアルカリ性で作用する成分は、腸溶コーティングされたカプセル剤若しくは錠剤、又は腸溶コーティングされた顆粒粒子剤内から腸溶コーティングを分解する場合がある。
【0089】
上記の潜在的な困難性は、その高いアルカリ性の観点から、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩又は塩素酸塩を含む本発明の経口剤形の組成物で経験する可能性があると考えられる。しかしながら、組成物の実際の組成、及び医薬組成物が放出される胃腸管内の位置は、本発明に関する重要な考慮すべき事項である。したがって、組成物の成分の組合せが、互いに、又は消化酵素若しくは酸性成分などの水性媒体内の成分と相互作用することが意図される成分を含む場合、成分及びその量は、吸収部位での低濃度の活性薬剤、及び結果として処置される対象の血漿又は血流中で低い毒性学的に許容される全身濃度を提供するように選択される。
【0090】
考慮され得る腸溶コーティングの成分としては、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸/アクリル酸エチル、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びフタル酸ポリ酢酸ビニル、又はこれらの組合せからの選択物が挙げられる。
【0091】
毒性学の問題に関して、日本からの以下の報告に留意されたい。
「ラットの報告において日本で行われた動物の毒性学研究は以下の通りである:「ラットに対する水中のClO、ClO 及びClO の混合物の亜慢性毒性を、90日間の飼育試験によって研究した。体重の増加、食物利用効率、血液及び血清の指標、肝臓/体重及び腎臓/体重の比率、並びに肝臓及び腎臓の組織病理学検査に対する変動の統計解析を行った。結果は、ClO、並びにその副生成物のClO 及びClO の553mg/Lの濃度の溶液は毒性がなかったことを示した」。
【0092】
本発明の医薬組成物の使用の可能性は、水で希釈された飲用可能な水溶液による経口摂取を事実上に常に含む、より早期に利用可能な酸化剤溶液で行われる、適用又は投与によって示唆される。1つの事例において、次亜塩素酸カルシウムを、ゼラチンカプセルに含まれる炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムと組み合わせて含む組成物に言及する。結論は、製品が、十二指腸へのその通過を促進する大量の水と共に摂取されるべきという作用を提供する。以前の製品の報告された使用は、がん、AIDS、病原性疾患、マラリア原虫、肝炎、HIV、インフルエンザ、口腔ケアなどのさまざまな種類の処置についての言及を含む。そのような使用が実際に正当であると思われる限り、本発明の医薬組成物は、少なくともこのような報告された使用と並行すべきであるが、活性薬剤の放出及びそのための吸収手順に対する制御を確実にする効力によって、改善された治療効果を含む。
【0093】
上記の要因の考慮すべき事項には、蚊媒介性のデング熱ウイルスなどのような他のウイルスを含み得る。例えば、ブラジルでの限定的な試験は、デング熱ウイルスにも感染した患者、並びに実際には、ジカ熱及び黄熱病に感染した患者に対する肯定的な治療効果を示唆している。
【0094】
ここで、ドイツの一流大学で周知の内科教授によって行われた、独立した未公開の専門家の機密の分析を、考慮し、現在機密で言及を行う。この徹底的な分析に関して、対象によって保有される病原性感染に対する酸化剤の効果は、上記に簡潔に記載された酸化剤の投与の毒物学的な態様の周囲にあり得る問題と一緒に説明される。基本的には、専門家の分析は、対象の全身性の病原性感染との酸化剤の反応に関係する情報を含む。分析は、病原体の不活性化変換を報告し、さらにまた、活性酸化剤の水及び塩化ナトリウムなどの不活性化合物への変換をもたらす。上記に関連して、ウイルス感染の処置に関連して行われた専門家の分析は、ある特定のウイルス(エボラウイルスなど)を含む酸性の脂質細胞構造が、バクテリアに対しても用いられる界面活性剤による細胞構造の破壊を可能にし得る攻撃のポイントを提示すると結論付けられている。基本的に、理解には、電子の酸化損失、並びに結果としての細胞の破裂及びウイルスの死滅をもたらす、酸性の細胞構造による酸化剤の二酸化塩素の誘引を含む。このような活性は選択的であり、感染していない細胞構造に影響を与えないと思われる。本発明の錠剤組成物の臨床アセスメントに関連するさらなる経験に含まれる重要な説明は、ヒト肝臓細胞中で潜在した形(休眠体)で存在することが示されている、三日熱マラリア原虫及び卵形マラリア原虫による感染の間に観察されるマラリアの遅発性再発への言及である。この説明は、少なくともそのような感染の場合において、処置を必要としている対象の全身系への直接よりもむしろ、肝臓への活性薬剤の初回通過をもたらす、本発明の生成物の胃腸管(GIT)投与形態、より詳細には、腸溶コーティング製品を用いることが有利であり得ることを示唆している。
【0095】
マラリアは、中央アフリカで年間200万人を超える死亡を示す最も広く蔓延している感染性疾患の1つであることが一般に認められており、その数を減らすためにあらゆる医学的及び衛生的な努力が行われているが、感染の数の着実な増加、並びにレゾシン(Chloroquine(登録商標))、抗生物質テトラサイクリンのDoxycycline(登録商標)、又は組合せMalarone(登録商標)(アトバコン-プログアニル)などの従来の薬物に対する耐性の発達を報告するWHOの報告があり、これらの従来の薬物はすべて、抵抗性の発達だけでなく深刻な副作用によっても特徴づけられる。Lariam(登録商標)(キニン誘導体)などのマラリアの処置に用いられる最新世代の薬剤は、わずかな抵抗性の発生を示しているが、しかしながら、これらは、深刻な副作用によっても特徴づけられる。また、処置は、病院の医師及び医療スタッフがマラリアの急性症状を処置することが可能な大都市では処置は容易に利用可能であるが、郊外及び農村地域の住民は、このような高度なケアを欠いている。これは、このような辺鄙な地域において、一般的な医師(GP)が、危機的な状態に達した熱帯熱マラリア原虫感染の急性症状を有する患者によって訪問されるのみであることが理由である。特に、従来の医薬に対する耐性の発達は、二重薬物アプローチからなるACT(追加療法又はアルチミシニン併用療法)を使用し、その1つが、常にアルテミシニン誘導体である場合、急性感染の処置における問題を提示する。
【0096】
文献において言及された例示的なACT製品は以下の注釈を含む。
現在のアルテミシニン系併用療法(ACT)は、熱帯熱マラリア原虫のマラリアの処置のために推奨される。即効性のアルテミシニン系化合物が、異なるクラスからの薬物と組み合わされる。併用薬物としては、ルメファントリン、メフロキン、アモジアキン、スルファドキシン/ピリメタミン、ピペラキン及びクロルプログアニル/ダプソンが挙げられる。アルテミシニン誘導体としては、ジヒドロアルテミシニン、アルテスネート及びアルテメテルが挙げられる。共製剤化された薬物は、2つの異なる薬物が1つの錠剤中で組み合わされたものであり、これは、両方の薬物が処置手順において使用されることを確実にするために重要である。
【0097】
ACTの利点は、それらの高い有効性、即効性及び抵抗性の発達の可能性の低減である。特に、何年もの間代替の可能性がないので、これらを最大限に有効に使用するために、製品の送達、アクセス及びコストの問題に対処することが重要になっている。
【0098】
クロロキンは依然として、三日熱マラリア原虫及び卵形マラリア原虫のための一次処置であるが、順守を確実にすれば、低マラリア伝染の地域において、プリマキンを三日熱マラリア原虫の肝臓の段階の寄生生物を処置するために使用することができる。
【0099】
マラリアの処置において用いられるACT製品に関する新たな戦略にもかかわらず、副作用を含む耐性の発達に関連する困難性が存在しない代替の治療薬剤に対する継続的な需要が存在する。したがって、本発明の目的は、都市部の患者が容易にアクセス可能な、新たに製剤化された発泡錠の効果を確かめることである。この種類の製品は、高い治療有効性を実証し、患者に簡単に投与され、従来の医薬で遭遇する通常の副作用を示さないことが判定されている。
【0100】
本発明のさらなる態様及び実施形態は、以下の実験的な例証を含む本開示を考慮すると、当業者には明らかであろう。
【0101】
本明細書において言及されるすべての文献は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0102】
本明細書において使用される「及び/又は」は、2つの具体的な特徴又は成分のそれぞれの具体的な開示として、他のものの有無にかかわらず、解釈されるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、それぞれが本明細書に個々に提示される場合と全く同じように、(i)A、(ii)B、並びに(iii)A及びBのそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。
【0103】
文脈が他を指示しない限り、上記に提示される特徴の説明及び定義は、本発明の任意の特定の態様又は実施形態に限定されず、記載されるすべての態様及び実施形態に等しく適用される。
【0104】
本発明のある特定の態様及び実施形態を、ここに、例として、及び図面を参照して説明する。
【0105】
材料及び方法
本発明に関して、過去10年以上にわたって実際に使用されていた飲料水の汚染を減少するためにこれまで基礎的にのみ用いられていた完全に新たな医薬及び手順の有効性を研究することを全体的に意図している。亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の化合物は、酸性の水性媒体と接触すると、それ自身が非常に強力な酸素ラジカル放出剤としての機能を果たす二酸化塩素(ClO)に変換される。二酸化塩素がマラリアの栄養体の層に付着すると、これは、原生動物の外皮の崩壊及び破裂を引き起こして、寄生生物の即時の死亡をもたらす。
【0106】
重炭酸ナトリウムの添加によって、発泡性組成物が開発されており、これは、酸性の水性媒体内に曝露されると、二酸化炭素(CO)の放出を生じ、二酸化塩素活性成分に対する希釈効果を提供する。二酸化塩素は、口腔の粘膜によって唾液から容易に吸収され、血液サイクルに入った後、既存の栄養体の実質的に任意の形態に素早く付着する。この反応は、二酸化塩素が血流に入った後1時間以内に終了し、これは、例示的には、炭酸の存在中、最も好都合には、酢酸の存在中、以下の単純な化学反応の観点から、2つの不活性生成物及び中性の反応最終生成物である塩化ナトリウム(NaCl)及び水に変換される。
5NaClO+C=4ClO+5NaCl+2H
【0107】
したがって、プロドラッグの亜塩素酸ナトリウム(NaClO)及び添加剤のクエン酸(C)を含有するものは別にして、亜塩素酸塩と反応して、ClOを生成する圧縮錠剤は、アルチミシン抽出物が添加されたマラリアの処置を含む、さまざまな処理手順においてかつて用いられていた、以前に利用可能な無溶媒圧縮錠剤で維持されている。抗マラリア医薬調製物の必要な成分であると考えられるこのような添加剤は、伝統的な漢方医学において有効な抗マラリア剤として長年知られている薬剤であるだけでなく、その後、世界保健機関(WHO)は、マラリア感染の処置のための市場に導入される任意の新たな医薬組成物が、アルチミシンの成分又はその有効成分のアルテミシニンを含むべきであることを現在必要としている。しかしながら、本発明の組成物に対して必要な追加のアルテミシニンと一緒に、本発明の組成物中で用いられる別の又は他の選択された酸化剤以外のすべての他の成分は、不活性である。このような他の成分は、本質的に、可溶化を増加させる目的、粘膜を通しての再吸収を促進する目的、又は組成物の味を改善する目的のいずれかにのみ用いられる(表1を参照のこと)。
【0108】
さまざまな以前の成功した臨床試験が、本発明に関して、より詳細には、特に熱帯熱マラリア原虫のマラリアの処置のために、病原性若しくは殺菌性感染を阻害又は処置するための固体の無溶媒組成物の補助により、ナイジェリア、セネガル、カメルーン、ブルキナファソ及びガンビアなどのアフリカのいくつかの国において長年にわたって行われた。このような成功した臨床試験の例を、上記の段落65に報告する。これに関して特に興味深い点は、これらの以前の試験において用いられた本発明の組成物が、酢酸及び不活性担体、並びにさらにまた、ある量の重炭酸ナトリウムと組み合わせて、活性酸化剤として亜塩素酸ナトリウムのみを用いたことである。
【0109】
本発明の医薬製品を市場に導入する目的のために、マラリア患者の処置を目的とするより広範囲の臨床試験を、予備的研究に基づいて行った。本発明の医薬製品の補助を用いてカメルーンで最近行われたこのような試験は、必要なアルチミシン成分を含む(以下の例示的な表1を参照のこと)。このような臨床試験の結果は、試験に参加した主治医及び医療従事者への参照の目的のために、並びに登録についての承認を必要とするか、又は必要となる可能性があるこのような国の当局に対しても、利用可能にする必要がある。
【0110】
ガス状二酸化塩素(ClO)は、十分に高い血清レベル、より詳細には、かつ好ましくは、続いて粘膜を通した全身吸収を誘導する、粘膜及び/又は腸の内側を通って再吸収される、好ましい活性分子である。二酸化塩素の負電荷のために、二酸化塩素は、ほとんどの任意の種類の寄生生物の正電荷によって、例えば、マラリアの熱帯熱マラリア原虫の外側層に密接に付着することによって誘引され、非常に攻撃的な酸素ラジカル(O )が放出される。この酸素ラジカルは、安定性のために、寄生生物の外層から電子を除去し、この層の崩壊及び破裂をもたらし、続いて、直ぐに寄生生物が死亡する。
【0111】
【表1】
【0112】
処置手順
5錠内に含まれる75mgの亜塩素酸ナトリウムの総用量が、8時間の間隔で1日3回投与された。初日に5錠で開始し、投与は、次の5日間、8時間の間隔で、3錠(=45mgの亜塩素酸ナトリウム)を2回続けた。患者は、錠剤を患者の舌の下(舌下)に置き、錠剤を約10~15分間溶解させるように指示される。患者は、二酸化塩素の血漿中濃度の低下をもたらし得るので、錠剤を吸い込んだり、噛んだり、又は嚥下することは認められていない。
【0113】
上記の処置の結果を、同様に図2に示す。
【0114】
図2の比較によって観察され得るように、これは、本発明の以前の第1の錠剤形態で行われた以前の処置で得られた結果(上記段落66及び67を参照のこと)に関する図1とアルチミシン組成物を比較する、組成物に関する第2シリーズの処置に関し、2つのシリーズの処置の結果の間に本質的な相違はない。この指標は、上記の第2シリーズで表される臨床試験で用いられる組成物中へのアルチミシン成分の含有が、最初の以前のシリーズの臨床試験で得られた活性又は肯定的な効果及び結果に対して任意の特定の影響をもたらさなかったことを確認すると思われる。
図1
図2