(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】固定装置
(51)【国際特許分類】
F16B 39/38 20060101AFI20230621BHJP
F16B 39/12 20060101ALI20230621BHJP
F16B 39/02 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
F16B39/38 Z
F16B39/12 B
F16B39/02 Q
(21)【出願番号】P 2020550167
(86)(22)【出願日】2019-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2019058907
(87)【国際公開番号】W WO2019201666
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】102018003247.8
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505168540
【氏名又は名称】スピース-マシーネンエレメンテ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー フント
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン キーンレ
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026069(JP,A)
【文献】特開平04-231712(JP,A)
【文献】特開2009-281426(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0312818(US,A1)
【文献】米国特許第05662445(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 39/38
F16B 39/12
F16B 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定装置であって、少なくとも2つのねじ式のリング(10、12)を有しており、ねじ式の前記リングの間には、一対の前記リング(10、12)の一体的構成部分とされている、メンブレン(14)を保持しており、前記メンブレンは、全体的に外側の環境へ向けて開口する、取り外し状態において直線状のスロット(16、18、24、26)が導入されること、及び、部分的にのみ環状に延在するウエブ(20、22)に支持されることによって、前記リング(10、12)から間隔をあけて保持されており、かつ、
前記リング(10、12)間の軸線方向の間隔を調節するために使用することができる、少なくとも1つの締め付けねじ(30)を有している固定装置において、
少なくとも1つの締め付けねじ(30)が、2つの隣接するウエブ(20、22)間の前記メンブレン(14)を貫通しており、前記取り外し状態では、前記メンブレン(14)は、変形されずに、前記リング(10、12)に対して平行に方向付けされており、取り付け状態では、一対(10、12)の前記リング(10、12)間の間隔(a)が、関連する割当可能な締め付けねじ(30)によって低減されるとすぐに、前記メンブレン(14)は、少なくとも傾いた輪郭又は円弧状の輪郭を形成するように、前記リング(10、12)の少なくとも1つの方向へ向けて、前記ウエブ(20、22)間を変形した状態で移動され、かつ、
前記メンブレン(14)を貫通する、前記少なくとも1つの締め付けねじ(30)は、前記メンブレン(14)から分離された、隣接するスロット(16、18、24、26)を貫通する、ことを特徴とする、固定装置。
【請求項2】
前記メンブレン(14)が、前記メンブレンの変形されていない状態において、前記スロットの幅に相当する、又は、前記スロットの幅よりも小さい厚さのプレートで構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
各前記スロット(16、18、24、26)は、鋸引きによって、リング(10、12)の外周側の2つの隣接するウエブ(20、22、48)の間において、外側から内側へ向けて連続的に導入されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の固定装置。
【請求項4】
前記スロット(16、18、24、26)は、前記メンブレン(14)と隣接するリング(10、12)との間、及び、2つの隣接するウエブ(20、22、48)の間に、交互に延在されており、あるときには、1つの前記リング(10、12)に配置されており、別のときには、別の前記リング(10、12)に配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の固定装置。
【請求項5】
取り外し状態において、前記リング(10、12)に対して平行に方向付けされた前記メンブレン(14)は、取り付け状態において、うねっており、特に、前記一対のリング(10、12)のリング形状に沿って、一様な波形状を有するように、前記メンブレン(14)は、前記リング(10、12)間の間隔(a)を低減するために、前記少なくとも1つの締め付けねじ(30)の締め付け力の負荷によって変形されることを特徴とする、請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の固定装置。
【請求項6】
前記メンブレン(14)は、前記一対のリング(10、12)の2つの隣接するウエブ(20、22、48)の間で、複数部分に分割されており、かつ、取り付けられて、変形された状態において、該2つの隣接するウエブ(20、22、48)の間において、交互に上昇又は下降する、傾斜した輪郭又は円弧状の輪郭を有することを特徴とする、請求項1から請求項5までの何れか1項に記載の固定装置。
【請求項7】
2つの締め付けねじ(30)を有するリング組立品において、2つのスロット(16、18)が設けられており、3つの締め付けねじ(30)の場合には、3つのスロット(16、18、24)が設けられており、4つの締め付けねじ(30)の場合には、4つのスロット(16、18、24、26)が設けられており、以下同様に設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の固定装置。
【請求項8】
前記メンブレン(14)が取り付けられて、変形された状態において、前記メンブレン(14)が関節接合されている、リング(10、12)のウエブ(20、22、48)と対向する前記リング(10、12)との間の最小間隔は、この点に存在することを特徴とする、請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の固定装置。
【請求項9】
少なくとも前記一対のリング(10、12)は、内周側部(38)に連続的に配置された、雌ねじ(52)であって、前記雌ねじ(52)は、ピッチが、好ましくは、等しい、雌ねじ(52)を有しており、かつ、前記メンブレン(14)は、自由内径であって、前記自由内径は、少なくとも前記関連するねじの直径に相当するが、好ましくは、より大きく選択されている、自由内径を有することを特徴とする、請求項1から請求項8までの何れか1項に記載の固定装置。
【請求項10】
前記一対のリング(10、12)の一方の前記リング(10)は、調節ナットであり、他方の前記リング(12)は、固定ナットであることを特徴とする、請求項1から請求項9までの何れか1項に記載の固定装置。
【請求項11】
全てのスロット(16、18、24、26)の前記スロットの幅は、同一であり、かつ、前記固定ナット(10)の自由端面(28)から導入された、前記少なくとも1つの締め付けねじ(30)は、前記調節ナット(12)と係合できることを特徴とする、
請求項10に記載の固定装置。
【請求項12】
形成された2つの隣接するリング(10、12)の間に、延在する前記メンブレン(14)であって、ウエブ(20、22、48)によって、交互に連続して支持されている前記メンブレン(14)は、あるときには、1つの前記リング(10)に、別のときには、別の前記リング(12)に、関節点を介して、複数回、関節接合されるように、前記固定装置は、中空円筒形状に、好ましくは、金属の成型体によって形成されており、前記成型体の、長手方向軸線(R)に沿って延在する中空部は、少なくとも1つのねじ式部分を有しており、前記成型体の外周側部は、前記長手方向軸線(R)の方向に対して横方向から見て、スロット(16、18、24、26)を有する、請求項1から請求項11までの何れか1項に記載の固定装置。
【請求項13】
外周側部は、前記リング(10、12)の同一若しくは異なる外径のための架空の円柱を形成する、又は、
直径の減少に従って、
長手方向軸線(R)に沿って、少なくとも2つの架空の、相互に同心の円柱を、段階的に形成することを特徴とする、請求項1から請求項12までの何れか1項に記載の固定装置。
【請求項14】
関連するリング(10、12)と前記メンブレン(14)との間に延在する、各前記ウエブ(20、22、48)の、少なくとも外周側のヒンジ点は、外周側部の一部分であることを特徴とする、請求項1から請求項13までの何れか1項に記載の固定装置。
【請求項15】
各前記ウエブ(20、22、48)は、特に、前記ウエブの外周に沿って、前記ウエブの固有の剛性を調節するために、輪郭の変化、好ましくは、収縮部(50)の形態で設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項14までの何れか1項に記載の固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのねじ式リングを有する固定装置であって、ねじ式リング間には、一対のリングの一体的構成部分であるメンブレンを保持しており、メンブレンは、全体的に外側の環境へ向けて開口する、取り外し状態において直線状のスロットが導入されること、及び、部分的にのみ環状に延在するウエブに支持されることによって、リングから間隔をあけて保持されており、かつ、固定装置は、リング間の軸線方向の間隔を調節するために使用することができる、少なくとも1つの締め付けねじを有する、固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固定装置は、構造部分、機械部分及び設備部分を互いに取り付けて、その位置で互いに位置固定するための多様な構成が知られている。特許文献1に開示された固定装置は、ベース体を有しており、ベース体の内部には、直線状に延びる環状内溝と、さらに直線状に延びる環状外溝とが導入されている。穿刺の形式で導入された溝は、固定装置を2つのねじ式リングに分割する。これらのねじ式リングは、メンブレン(membrane、膜状体)によって互いに結合されており、ねじ式リングのうち、一方のリングは、調節ナットとして、他方のリングは、固定ナットとして使用されている。溝を半径方向内側及び外側で仕切る、環状の互いに同心円状に配置されたウエブを介して、メンブレンは、それぞれのねじ式リングに結合されると共に、保持されている。この限りにおいて、メンブレンは一対のリングの一体的構成部分である。軸線方向において、直径に沿って分散された複数の締め付けねじが、一対のリング内に導入されており、ウエブを迂回しながら、両溝、及び、これらの間に配置された半径方向に環状のメンブレンを通じて延在する。
【0003】
雌ねじを備えた固定装置は、例えば、軸受けのような機械部分のスピンドル収容部又はこれに類するものを、関連する雄ねじに取り付けると共に、固定するために使用される。代わりに、例えば、ねじの形態を成す、雄ねじを備えた固定装置の使用も考えられる。ねじは、関連する雌ねじに取り付けると共に、固定することができる。固定装置が、ねじ式ボルト又は雄ねじを有する同等の構成要素にねじ込まれることによって固定されるように、クランプボルトは、2つのねじ式リングを互いに締め付けるために使用されており、それによって、接合又は側面の遊びを排除することができる。メンブレンは、ロックナットによって塑性変形することなく調整ナットへ向けて軸方向に閉鎖されており、操作時に、力が付加されると共に、確実な連結を達成できるように、一様に変形した環状のメンブレンを横切って発生した固定力は、装置の固定状態での操作荷重によって同一方向の力で重畳される。特に、直径の小さい、ねじ式の一対のリングを備えた固定装置の場合、内側からの内部穿刺の導入は問題を引き起こし、公知の解決手段のための製造上の手間を著しく増加させる。
【0004】
これに対して、製作を容易にし、締め付け作用を改善するために、特許文献2に開示された固定装置は、半径方向に外側から導入されたスロットを備えており、これらのスロットは、外側から内側へ向けて、リング本体を2つのねじ式リングに連続的に分割している。リング本体が完全に切断され、それによって個々のリングセグメントが形成されるため、所定の貫通深さを有する溝の複雑な導入が排除される。上述したタイプの固定装置において、少なくとも2つのねじ付きリングは、その間にメンブレンを保持しており、メンブレンは、この一対のリングの一体的部分であり、導入されたスロットによって、かつ、かつ、部分的にだけ環状に延在するウエブに対して載せることによって、リングから離れた位置に保持されており、スロットは、取り外し状態では直交しており、全てが外側の環境へ向けて開口している。2つ又は3つ以上の締め付けねじによって、リング間の軸線方向間隔を調節することができる。
【0005】
このような固定装置の場合、2つ又は3つのスロット又はスロットの列が、軸線方向に互い違いに配置されている。ねじ式リングが固定時に引っかかるのを抑制するために、周方向に延在するスロットの間に、個々のウエブが配置されている。また、ウエブは、一対のリング内に導入される締め付けねじのための通過箇所として使用されている。締め付けねじによって交差するウエブは、接合部の剛性化をもたらし、それゆえ、メンブレンの隣接するスロット間の可動性が意図せず制限され、固定力の低下をもたらす。このような欠点は、上記の引用明細書においても既に認識されており、当該明細書に基づく別の実施形態において、スロットを最初から円弧状にねじ式リング間に配置することによって、いわゆる横棒状(Waagscheidartig)のビームを形成することが提案されている。
【0006】
公知の固定装置の非取付け状態での円弧状スロットの導入は、製造の複雑さを増大させ、締め付けねじによって貫通された個々の固定ウエブを介して剛性を有する接合部の問題を排除するものではない。そればかりか、個々の貫通スロットの円弧状配置によって、貫通された2つの固定ウエブ間のメンブレン部分に対するばね反発効果が観察されることがある。このことは、固定力を高めることを目的とした所期の自由な変形可能性をさらに困難にする。特に、小さな構造のねじ式リング構造設計の場合、上記のばね反発効果によって、公知の解決手段は、あまり適さないことが明らかにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許出願公開第0794338号明細書
【文献】独国特許出願公開第3020521号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、このような従来技術から出発して、公知の解決手段を改善し、特に、従来技術における上記欠点を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題は、請求項1の特徴を全体的に有する固定装置によって解決される。本発明による固定装置は、少なくとも1つの締め付けねじが、2つの隣接するウエブ間のメンブレンを貫通しており、取り外し状態では、メンブレンは、変形されずに、リングに対して平行に方向付けされており、そして、取り付け状態では、一対のリング間の間隔が、関連する割当可能な締め付けねじによって低減されるとすぐに、メンブレンは、少なくとも傾いた輪郭又は円弧状の輪郭を形成するように、リングの少なくとも1つの方向へ向けて、ウエブ間で変形した状態で移動され、かつ、メンブレンを貫通する、少なくとも1つの締め付けねじは、メンブレンから分離された、隣接するスロットを貫通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
少なくとも1つの締め付けねじがメンブレン及びメンブレンの両側で延在するスロットを貫通することにより、対応する貫通孔によるウエブの材料弱化が回避されると共に、スロットによって互いに分離されており、ウエブによって拘束され、かつ、一体的な方法で連結されたねじ式リングの相互接続が強化される。各締め付けねじは、好ましくは、2つの隣接するウエブの間の中央で一対のリング内に導入されており、メンブレンを貫通することによって、力の負荷を改善すると共に、取り付け時のスロットの変形を容易にする。一方のねじ式リング、一方のスロット、メンブレン、他方のスロット及び他方のねじ式リングを連続して貫通する、又は、これらに係合する個々の締め付けねじを締めると、先にリングと平行に整列したスロットが、傾いた輪郭又は円弧状の輪郭に続いて少なくとも部分的に方向づけされるように、2つのねじ式リングは、互いに向けて移動される。この文脈では、特定の実施形態では、先行技術で示されているように、使用される締め付けねじの一部は、2つのリングの間のウエブを通過することも考えられるであろう。
【0011】
好ましくは、本発明による配置は、メンブレンは、一対のねじ式リングの固定状態又は取り付け状態において、波形状又はうねり形状のメンブレンを形成し、メンブレンのこのような変形は、固定ウエブを有する締め込み個所を介してある程度生じ、そして、固定ウエブは、この限りでは、所望の自由な波形状の輪郭又は円弧状の輪郭を途切れさせない。このような固定装置の平均的な当業者にとっては、驚くべきことに、本発明による解決手段によって、波形状に変形されたメンブレン内に、大きく改善された力の分布を生じさせており、このことは、固定力を増加させ、装置の作動中の力の重畳を改善する。変形されるメンブレンは、片持ち梁(Freischwinger)のように自由に遊びに適応させることができ、その結果、所望の効果を得ることができる。従来技術には、これに相当するものはない。
【0012】
固定装置は好ましくは、金属材料、プラスチック材料、又は、金属材料とプラスチックとの組み合わせ材料から全体的に形成されている。さらに好ましくは、少なくとも1つの締め付けねじを緩めると、リングは元の位置に戻り、これらの間に位置するメンブレンは、再び直線状に、かつ、リングに対して平行に方向付けされる。言うまでもなく、軸線方向に連続して3つ以上のスロットが2つのねじ式リング間に導入され、さらに3つ以上のねじ式リングが形成され、互いに対を成して割り当てられてもよい。本発明によれば、少なくとも1つの挿入された締め付けねじは、少なくとも1つのメンブレン、及び、このメンブレンによって互いに分離される、軸線方向に隣接して配置されたスロットを貫通する。特に好ましくは、各締め付けねじは、軸線方向の範囲に沿って連続して配置された全てのスロット及びメンブレンを、ウエブを貫通することなしに貫通する。本発明による解決手段は、ただ1つの締め付けねじを使用することをも含む。この締め付けねじは、リング間の軸線方向間隔を調節するために、これらのリングにねじ込まれており、かつ、2つの隣接するウエブ間でメンブレンを貫通している。しかしながら通常は、2つ又は3つ以上の締め付けねじが、ねじ式リング内へねじ込まれる。
【0013】
本発明による固定装置の好ましい実施形態では、メンブレンは、変形されていない状態において、スロット幅に相当する、又は、スロット幅よりも小さい、厚さのプレートから構成されている。このことから生じる利点は、隣接するスロットの一方の側でメンブレンの材料厚が薄いことである。このように変形することによって、メンブレンは、傾いた輪郭及び円弧状の輪郭を容易に形成することができる。スペースを節約することを目的とする一方で、スロットは、有利なことには、可能な限り狭く設計され、すなわち、固定装置で小さな幅を有するように形成され、そこでは、材料厚さが過度に薄いことに起因するメンブレンの塑性変形が回避される。メンブレンの厚さは、直接隣接するスロットの幅よりも大きい場合がある。好ましくは、各スロットは、半径方向に見て、長方形状の断面を有している。これとは異なる形状、例えば、長手方向軸線に対して垂直な平面に対して傾斜した上面及び下面、又は、上面と下面との間の湾曲した、特に、凹んだ端面を有する形状も考えられる。各スロットの端部側は、好ましくは、ねじ式リングの長手方向軸線に対して平行に配置されている。
【0014】
さらに、各スロットは、鋸引きによって、リングの隣接する2つのウエブの間に、外周側において、外側から内側へ向けて連続的に導入されていることが好ましい。ここから生じる利点は、正確に製造されたスロットと、これらのスロットを互いに分離するメンブレンとを容易に製造し得ることである。簡単かつ費用対効果の高い方法で、スロットを小さなサイズのねじ山にも導入することができ、かつ、固定装置を大量に製造することができる。
【0015】
本発明による固定装置のさらなる好ましい実施形態では、スロットは、メンブレンと隣接するリングとの間及びその隣接する2つのウエブとの間で、あるときは一方のリングに割り当てられ、別のときは、他方のリングに割り当てられ、交互に延在する。このようなスロット配置は、1つ又は複数の締め付けねじを締めた際に、均一な力の伝達を可能にする。これらの締め付けねじのうち、本発明によれば、少なくとも1つの締め付けねじが、1つのリングセグメント内に導入されている。このリングセグメント内では、2つの隣接するスロットは、これらのスロット間に配置されたメンブレンによってのみ互いに分離されている。周方向で見て、これらのリングセグメントは、それぞれ、少なくとも、配置されたメンブレンを貫通するために締め付けねじが導入されることを許容する長さを有するように形成されている。
【0016】
本発明による固定装置の好ましい実施形態では、取り外し状態ではリングに対して平行に方向付けされたメンブレンは、取り付け状態で、一対のリングのリング形状に沿って、特に、一様な波形状の輪郭を持ってうねった状態で延在するように、リング間の間隔を減少させるための少なくとも1つの締め付けねじの締め付け力の負荷により変形される。取り付け状態におけるメンブレンのうねった波形状の輪郭によって、1つ又は複数の締め付けねじが、一対のリングに、均一に締め付け力を負荷することに起因して、ねじ式リング間の同じ軸線方向間隔が設定される。メンブレンは取り外し状態では長手方向軸線に対して垂直に位置する平面内に配置されており、そして、変形時にはこのような平面に対して少なくとも部分的に傾斜させることができ、特に捻ることができる。固定装置の使用時には、力の分布の改善によって、全体的に、力の重畳が改善され、全体的な固定力が増加する。メンブレンの、好ましくは、完全な、途切れない変形によって、できる限り最良の力の分布及び力の伝達がもたらされる。
【0017】
本発明による固定装置の別の好ましい実施態様の場合、メンブレンは、一対のリングの2つの隣接するウエブの間で、複数区画に分割されており、取り付けられて、変形された状態では、2つの隣接するウエブの間で上昇又は下降する傾いた輪郭又は円弧状の輪郭を交互に有している。交互に上昇して下降する傾いた輪郭又は円弧状の輪郭をつなぎ合わせることによって、2つのねじ式リングの一様な締め付けがもたらされ、かつ、その相互位置が安定化される。特に、好ましくは、一対を成して上昇して下降する傾いた輪郭又は円弧状の輪郭は、互いに相補的に形成されている。各傾いた輪郭又は円弧状の輪郭は、その全長にわたって一様に、同じ傾斜位置又は同じ湾曲を有するように形成されており、代わりに、各輪郭に沿って異なる傾斜位置又は異なる湾曲を有する複数の、少なくとも2つの区画が形成される。
【0018】
好ましくは、2つの締め付けねじを有するリング配置の場合には、2つのスロットが、3つの締め付けねじの場合には、3つのスロットが、4つの締め付けねじの場合には、4つのスロットが、そして以下同様に設けられている。締め付けねじは、ねじ式リングの周方向に沿って設けられたリングセグメントの2つの隣接するスロットを貫通する。各スロットは、有利なことには、少なくとも1つの、好ましくは、2つの締め付けねじによって貫通されている。ここから生じる利点は、できるだけ少ない数の構成部品によって、一対のリングの各スロットの変形が実現されることである。単純化された取り付け作業によって、このような特別な実施形態では、2つのねじ式リングが確実に締め付けられる。
【0019】
本発明の別の好ましい実施形態の場合、メンブレンが取り付けられて、変形された状態では、最小間隔は、一方のリングの、メンブレンが枢着されているウエブと、対向するリングの当該個所との間に存在する。これによって、スロットが、その都度その全長にわたって傾斜又は湾曲される、一対のリングの変形挙動が規定される。
【0020】
さらに、少なくとも一対のリングが、内周面に、連続的に配置された雌ねじを有しており、雌ねじのピッチは、好ましくは、同じであり、かつ、メンブレンが、自由内径を有しており、自由内径は少なくとも各ねじ径に相当するが、しかし、好ましくは、より大きく選択されていることが好ましい。これによって、関連する雄ねじを有する機械部分、構造部分、又は設備部分との固定装置の確実な不動の連結が可能になる。雌ねじに対して半径方向で外側へ向かって凹んだメンブレンによって、部材のねじ込み及びねじ外し時の、望ましくないメンブレンの変形のような考えられ得る損傷が防止される。それというのも、メンブレンは、このような部材と接触しないためである。
【0021】
本発明による固定装置の好ましい実施形態の場合、一対のリングのうちの一方のリングが調節ナットであり、そして、他方のリングが固定ナットである。2つのねじ式リングは、好ましくは同じ外径を有している。しかしながら、ここでは、異なる、特に、僅かな規模で互いに異なる外径を設けることも考えられる。半径方向に突出するねじ式リングによって、好ましくは、このねじ式リングに、すぐに隣接するスロットの保護が実現される。各ねじ式リングは、雌ねじを有するように設計されている。しかしながら、雄ねじ有する解決手段を実現することもできる。
【0022】
本発明による固定装置の別の好ましい実施形態の場合、全てのスロットのスロット幅が同じであり、少なくとも1つの締め付けねじは、固定ナットの自由端面から導入されて調節ナットと係合することができる。これにより、スロット配置の均質な構造及び均一な変形が実現される。複数の締め付けねじは、好ましくは、互いに規則的な間隔を置いて、固定ナットの端面に分散して配置されている。このことは、2つのねじ式リングを締め付けて、ねじ式リング間に配置されたリング状のメンブレン又はメンブレンの部分セグメントを変形させるために、締め付けねじを締めた際の、均一な力の負荷をもたらす。
【0023】
本発明のさらなる利点及び特徴は、図面及び図面の下記説明から明らかになる。前述の特徴及びさらに挙げる特徴は、それぞれ個別に又は任意の組み合わせで、本発明による固定装置において実現することができる。図面に示された特徴は、純粋に概略的なものであり、原寸には比例していないものとして理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明による固定装置の第1実施例の取り外し状態の斜視側面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明による固定装置の第2実施例の斜視側面図を示す。
【
図6】
図6は、本発明による固定装置の第3実施例の比較可能な斜視側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、第1のねじ式リング10及び第2のねじ式リング12を備えた固定装置を示す斜視側面図である。第1のねじ式リング10及び第2のねじ式リング12は、長手方向軸線Rに対して回転対称的に形成され、長手方向軸線Rに沿った軸線方向に互いに上下に重ねられて一対のリング10、12として配置されている。2つのねじ式リング10、12は、これらの間の空間に円環状のメンブレン14を保持している。メンブレン14は、
図1に示される固定装置の取り外し状態において、長手方向軸線Rに対して垂直方向に位置する平面内に配置されている。固定装置は全部で4つのスロット16、18、24、26と、4つの締め付けねじ30と、を有している。
【0026】
メンブレン14は、第1のねじ式リング10に割り当てられた2つのスロット16,24を、第2のねじ式リング12に割り当てられた2つのスロット18,26から分離している。スロット16、18、24、26は、外側へ向けて、半径方向に一対のリング10、12に隣接して設けられた周囲に開口している。メンブレン14に対して平行に直線状に延在する4つのスロット16、18、24、26は、4つのウエブ20、22、48のうちの2つの間の、一対のリング10、12のリングセグメント内において、それぞれ延在している。ウエブ20、22、48は、各リング10、12の周囲に沿った部分において、それぞれ部分的にのみ環状に延在しており、一対のリング10、12の一体的構成部分とされている。
【0027】
第1のスロット16は、第1のリング10の周囲に沿って、第1のウエブ20から第1のウエブ20に直径方向に対向する
図1には示されていない第3のウエブまでの区画内で延在しており、区画内において、一対のリング10、12の完全な開口部を外側から内側へ向けて形成している。第1のウエブ20のもう一方側には、スロットが、第1のリング10内に導入されると共に、第1のウエブ20から第3のウエブへ延在する、第3のスロット24が隣接する。同様に、第2のウエブ22には、周方向において、スロットが、第2リング12に配置されると共に、第2のスロット18のように、第2のウエブ22から第4のウエブ48(
図5参照)へ延在する、第4のスロット26が隣接する。
【0028】
メンブレン14は、ウエブ20、22、48に支持されており、メンブレンは、ウエブによって、2つのリング10、12に対して間隔を置いて保持される。メンブレン14はプレートから構成されている。プレートの厚さは、軸線方向から見て、3つ全ての図示の実施例において、スロット16、18、24、26の幅よりも小さい。個々のスロット16、18、24、26は、有利なことに、リング10、12の2つの隣接するウエブ20、22、48間の外周側において、外側から内側へ向けた、鋸引きによって連続的に導入されている。特に好ましくは、全てのスロット16、18、24、26のスロット幅は同一である。このことは、固定装置の容易な製作、及び、良好な機能性に関する利点を有する。従って、スロット、ウエブ及びリングのような全ての構成部分は、円筒形の中空体の1つの単体から機械加工によって得られている。
【0029】
図1の上部に示された第1のねじ式リング10の端面28から、軸線方向に、長手方向軸線Rに対して平行に、合計で4つの締め付けねじ30が、一対のリング10、12内へ導入されている。より良く図示するために、
図1には、締め付けねじ30のヘッドだけが示されている。締め付けねじ30は、第1のねじ式リング10の軸線方向の全範囲に沿って貫通し、
図1の下部に配置された第2のねじ式リング12を少なくとも部分的に貫通する。本発明によれば、ねじ式リング10、12に沿った少なくとも1つ、好ましくは全ての締め付けねじ30のための貫通個所は、2つの隣接するウエブ20、22、48の間で、少なくとも1つの締め付けねじ30がメンブレン14を貫通するように選択されている。
図1には、関連する締め付けねじ30のための、メンブレン14における貫通開口部32が示されている。貫通開口部32のねじ部分は、より良い図示のために示されていない。一対のリング10、12の周囲に沿って、各締め付けねじ30のために、第1のねじ式リング10における貫通開口部と、メンブレン14における貫通開口部32と、第2のねじ式リング12における進入開口部と、が形成されている。締め付けねじ30の貫通のための、締め付けねじ30に割り当てられた開口部32は、長手方向軸線Rに対して平行に延びる軸線に対してそれぞれ同軸上に配置されている。
【0030】
第1のねじ式リング10の端面28、第2のねじ式リング12の第2の外周側部34及び第2のねじ式リング12の
図1には示されていない端面には、それぞれ複数の開口部36が導入されている。これらの開口部は、一対のリング10、12を構成要素に取り付けて、固定する組み付け工具のための作用点として使用される。第1のねじ式リング10の端面28を示す
図2の平面図が図示するように、4つの締め付けねじ30と4つの開口部36とは、対応する中心位置に対して、ねじ式リング10、12の外周に沿って規則的な間隔を置いて交互に配置されている。
【0031】
ねじ式リング10、12の半径方向内周側部38には、
図1には詳細に示されていない、連続的に配置された雌ねじ52(
図3参照)が形成されている。雌ねじのピッチは好ましくは同一である。メンブレン14は、自由内径を有しており、この内径は、少なくとも対応するねじ径に相当するが、好ましくは、より大きな内径が選択される。
図1~
図4に示された第1実施例の場合、第1のねじ式リング10は、調節ナットであり、第2のねじ式リング12は、固定ナットである。固定ナットとして形成された第1のねじ式リング10の自由端面28から導入された締め付けねじ30は、調節ナットとして形成された第2のねじ式リング12と係合することができる。
【0032】
図3に示された一対のリング10、12の断面図が示すように、対応する締め付けねじ30は、第1のねじ式リング10と、第1のスロット16又は第3のスロット24と、メンブレン14と、第2のスロット18又は第4のスロット26とを連続的に貫通し、かつ、第2のねじ式リング12と係合する。締め付けねじ30を介して、2つのリング10、12間の軸線方向間隔aを調節することができる。軸線方向間隔aは、第1のねじ式リング10の第1のスロット16及び第3のスロット24を仕切る第1の内面40と、第2のねじ式リング12の第2のスロット18及び第4のスロット26を仕切る第2の内面42との間を、長手方向軸線Rの方向で測定した距離である。
【0033】
図3にさらに示されるように、図示された取り外し状態で、変形されていないメンブレン14は、リング10、12に対して平行に方向付けされている。長手方向軸線Rに対して回転対称に形成されたリング10、12に対して平行であることは、長手方向軸線Rに対してほぼ垂直に方向付けされた平面内に配置されていることを意味する。
図3に示されるように、第1のねじ式リング10は、第2のねじ式リング12よりも僅かに大きい外径を有しており、従って、半径方向突出部rによって第2のねじ式リング12に対して突出している。
【0034】
第1のねじ式リング10の第1の外周側部44の、2つのスロット16,24へ向いた縁部には、環状の面取り部46が形成されている。面取り部は、第1の外周側部44に対して好ましくは40度~60度の角度範囲で、図示された実施例では45度の角度で角度付けされている。面取り部46及び関連するバリ取り部によって、作業員が、一対のリング10、12を把持した時の負傷の可能性が効果的に防止され、また、加工によって蓄積する残留汚染物のない、かつ、ほとんどバリのない固定装置の構成が達成される。一対のリング10、12の加工製造時には、スロット16、18、24、26と環状の面取り部46との組み合わせは、いわゆるバリ取り穿刺(Entgrateinstich)として、経済的に好都合な製作を可能にする。それというのも、バリ取り作業中、2つのスロット16、18、24、26の外側と内側の両方がバリ取りされるためである。
【0035】
代わりに、本発明による固定装置は、永久鋳型法(Dauerformverfahren、永久成型プロセス)のような原型法(Urformverfahren、1次プロセス)、例えば、圧力鋳造法によってアルミニウム若しくは亜鉛といった非鉄金属から、又は、射出成形法によってプラスチック材料から製作することができる。圧力鋳造物又は射出成形物を形成するための型内には、好ましくはスロット16、18、24、26を形成するためのスライダ(図示せず)が組み込まれているので、型をスライダとともに取り除いた後、アンダカットを形成することなく、固定装置は、完成加工品として製造される。このことは、型内で1製造工程において固定装置を完全に完成させること、又は、少なくとも最終的な輪郭を大部分有するブランクの製造に加えて、リング10、12に導入された、若しくは、導入されるべきスロット16、18、24、26の挿入若しくは拡幅などの後続の仕上げを選択的に許容する。
【0036】
図3の断面図は、メンブレン14から分離された2つのスロット16、18を貫通する締め付けねじ30の通過に加えて、第1のねじリング10と第2のねじリング12の一部としての第4のウエブ48との間のスロット24の配置が示されるように選択されている。第4のウエブ48は、一対のリング10、12の、
図3には示されていない第2のウエブ22(
図1参照)に対して直径方向の反対側に配置されている。
【0037】
破線で示されているように、第4のウエブ48は、軸線方向に、メンブレン14と第2のねじ式リング12の主要部分との間に延在しており、隣接するスロット18、26のスロット幅と同じ半径方向の範囲を有している。第2のねじ式リング12の第2の外周側部34において半径方向に延びた状態で、断面が三角形の収縮部50が、第4のウエブ48に、かつ、さらに、これに対応して第1のねじ式リング10及び第2のねじ式リング12のウエブ20、22に、形成されている。収縮部50は、製造を容易にする他に、取り付け時に変形されるメンブレン14を支持してそのそれぞれの位置に保持し、ウエブ20、22、48を安定化させる。
図3は、さらに、開口部36と、2つのねじ式リング10、12の内周側部38に連続的に配置された雌ねじ52と、を示している。この位置には、対応する雄ねじを有する機械部分、構造部分、又は、設備部分をねじ込むことができる。
【0038】
図4は、
図1の固定装置を取り付け状態で示している。取り付け状態では、一対10、12のリング10、12の間の間隔は、それぞれ割り当て可能な締め付けねじ30を締めることによって、
図1に示された取り外し状態に対して低減されている。2つの隣接するウエブ20、22、48の間で締め付けねじ30によって貫通されるメンブレン14は、取り付け状態では変形されて、メンブレン14が第1のウエブ20と第2のウエブ22との間の区画内で、
図4に示されている右下から左上に向かう傾いた輪郭に追従するようになっている。このように、2つのねじ式リング10、12は、互いに、かつ、機械部分、構造部分、又は設備部分と一緒に締め付けられ、これらの部分に確実に固定される。環状に延在するメンブレン14は、一対のリング10、12の全周に沿って、4つのウエブ20、22及び48(
図3参照)の間で複数の区画に分割されて延在されており、そして取り付け状態では一対のリング10、12のリング形状に沿って、好ましくは、うねり状に延在する。
【0039】
メンブレン14の区画は、上昇傾斜の輪郭又は下降傾斜の輪郭を交互に有している。このことは、
図4では、第2のウエブ22の左側に続いて設けられた第4のスロット26及び対応するメンブレン14の区画に対して示されている。メンブレン14の取り付け状態における傾いた輪郭又は円弧状の輪郭によって、一対のリング10、12に対する締め付けねじ30の一様な締め付け力の負荷が保証され、ねじ式リング10、12の内面40,42(
図3参照)間に同じ軸線方向間隔aが形成される。メンブレン14の変形は、
図4では誇張して示されている。言うまでもなく、
図1の取り外し状態でも、
図4の取り付け状態でも、端面28は第1のねじ式リング10の上面側及び第2のねじ式リング12の下面側に対して、互いに平行な平面となるように方向付けされている。
【0040】
図1及び
図4から明らかなように、スロット16、18、24、26は、あるときは、一方のリング10に割り当てられ、別の時には、他方のリング12に当てられる形式で交互に、メンブレン14と隣接するリング10、12との間及びリングの2つの隣接するウエブ20、22、48の間で延在している。図示された第1実施例では、ウエブ20、22、48はそれぞれ、周方向で見て隣接するスロット16、18、24、26の真ん中に配置され、その場所でメンブレン14と一体的に連結されている。締め付けボルト30は、また、2つの隣接するウエブ20、22、48の間の貫通開口部32でメンブレン14を中心に延在し、その後、隣接するスロット16、18、24、26を通って延在する。取り付け状態におけるメンブレン14の変形によって、一方のリング10、12の、メンブレン14が関節接合されているウエブ20、22、48と、対向するリング10、12との間の最小間隔は、この点に形成されている。
図4に示されるように、各リング10、12は、それぞれの近接点としてのウエブ20、22、48における関連するスロット16、18、24、26によって、そうでなければ間隔をあけてメンブレンと14とほぼ接触されている。
【0041】
図5及び6にはそれぞれ、固定装置の第2実施例及び第3実施例の斜視側面図が取り外し状態で示されている。
図1に示された第1実施例と、
図5の第2実施例とは、2つの締め付けねじ30と、2つのスロット16、18だけが一対のリング10、12内へ導入されている点で異なっている。2つのスロット16、18が、それぞれ周囲に沿って延在している、一対のリング10、12の2つのリングセグメント54内では、それぞれの締め付けねじ30は、第1のスロット16と、メンブレン14の各貫通開口部32と、第2のスロット18と、を貫通している。第1のウエブ20の第1のスロット16は、
図5に示された1つのリングセグメント54に隣接し、第2のウエブ22は、第2のスロット18に隣接している。第1のスロット16は、
図5では左側に図示されていないが、一方のクランプボルト30を有する図示されたリングセグメント54から他方のクランプボルト30を有する図示されていないリングセグメントまで180°の角度にわたって延在する。従って、第2のスロット18は、
図5において右側に、リングセグメント54から一対のリング10、12の反対側の他のリングセグメントまで延在する。両方のウエブ20,22は、半径方向に収縮部50を有する(
図3,4参照)。ねじ付きリング10,12の端面28及び第2のねじ式リング12の第2の外周側部34には、2つの開口部36が設けられている。締め付けねじ30を締めると、2つのリング10、12は長手方向軸線Rに沿って軸線方向に互いに接近する方向に移動され、メンブレン14は、リングセグメント54内でメンブレンと係合する締め付けねじ30から出発して、少なくとも1つの傾いた輪郭又は円弧状の輪郭を形成しながら変形される。
【0042】
図6に示された第3実施例は、第1及び第2実施例とは、3つの締め付けねじ30と3つのスロット16、18とが固定装置に形成されている点で異なっている。
図6に示された締め付けねじ30は、リングセグメント54内で、スロット16、18を貫通し、一方の貫通開口部32においてメンブレン14を貫通する。さらに2つの締め付けねじ30は、それぞれ第1のスロット16又は第2のスロット18と、
図6には示されていない第3のスロットと、これらを互いに分離するメンブレン14の各貫通開口部と、を貫通する。さらに、それぞれ3つの開口部36がねじ式リング10、12の端面28に設けられ、かつ、3つの開口部36が第2のねじ式リング12の第2の外周側部34に設けられている。全ての3つの実施例では、第2のねじ式リング12の図示されていない端面には、第1のねじ式リング10の端面28の開口と同じ数の開口部36が形成されている。
【0043】
言うまでもなく、より多くの締め付けねじ30と、より多い又はより少ないスロット16、18、24、26が本発明に基づき一対のリング10、12に設けられていてよい。締め付けねじの数は、スロット数とは異なっていてよい。また、全ての締め付けねじが、ウエブの外側に配置される必要はない。ウエブは後続のリングに対するギャップを、このリングと共に仕切る。