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特許7299927基板コーティング用真空蒸着設備及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】基板コーティング用真空蒸着設備及び方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20230621BHJP
   C23C 14/16 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
C23C14/24 C
C23C14/16 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020569013
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 IB2019053341
(87)【国際公開番号】W WO2019239229
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-02-03
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2018/054302
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルベルベール,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ラベロ・ヌニェ・カンポス,ティアゴ
(72)【発明者】
【氏名】ギラニ,ネガール
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-262540(JP,A)
【文献】国際公開第97/047782(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
C23C 14/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ(2)を備える真空蒸着設備(1)内で、走行する基板(S)上に、少なくとも1つの金属から形成されたコーティングを連続的に蒸着させる方法であって、本方法が、
-前記真空チャンバ内で、金属蒸気が、走行する基板の両面に向かって、少なくとも2つの蒸気噴射器(3、3’)を通して噴射され、噴射された蒸気の凝縮によって、少なくとも1つの金属の層が各面に形成され、互いに対向する少なくとも2つの蒸気噴射器が、基板平面内にある軸線(A)であって、基板の走行方向に直角な軸線(A)と蒸気噴射器との角度α及びα’でそれぞれが位置決めされ、α及びα’は以下の式、
【数1】
ここで0°<α<82°、かつ
【数2】
ここで0°<α’<82°、を満たし、
D1及びD2は、軸線(A)に沿った、噴射器端部と各基板端部との間の距離であり、Wsは基板幅であり、前記蒸気噴射器は、細長形状を有し、スロットを備え、スロットの幅Weによって画定され、一方の前記蒸気噴射器の回転中心と、他方の前記蒸気噴射器の回転中心とは、同じ直線上にある工程を備える方法。
【請求項2】
噴射器と基板端部との距離D1及びD2が、0mmより大きい、つまり、噴射器端部が基板端部を超えない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
D1及び2が0mmである、すなわち、基板端部が噴射器端部と同じ平面にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
D1及びD2が0mm未満、すなわち、噴射器端部が基板端部を超える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
基板幅Wsが最大2200mmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
Wsが最小200mmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
α’が、絶対値でα-α’<10°であるような、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
αが絶対値で0°~60°である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
αが絶対値で10°~50°である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
αが絶対値で20°~35°である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
噴射器(3、3’)が長方形又は台形である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
D1がD2と同じである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
真空チャンバが、基板を囲む中央ケーシング(6)をさらに備え、前記中央ケーシングが、中央ケーシングの2つの反対側に配置された基板入口(7)及び基板出口(8)と、少なくとも2つの蒸気噴射器とを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
中央ケーシング(6)の内壁が、金属又は金属合金の蒸気の凝縮温度よりも高い温度で加熱されるのに適している、請求項13項に記載の方法。
【請求項15】
走行する基板(S)上に、少なくとも1つの金属から形成されたコーティングを連続的に蒸着させる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法のための真空蒸着設備であって、設備(1)は、基板(3)が所定の経路に沿って走行可能な真空チャンバ(2)を備え、真空チャンバが、
-互いに対向する少なくとも2つの蒸気噴射器を備え、蒸気噴射器は、基板平面内にある軸線(A)であって、基板の走行方向に直角な軸線(A)と蒸気噴射器との角度α及びα’でそれぞれが位置決めされ、α及びα’は以下の式、
【数3】
ここで0°<α<82°、
【数4】
ここで0°<α’<82°、を満たし、
D1及びD2は、軸線(A)に沿った、噴射器端部と各基板端部との間の距離であり、Wsは基板幅であり、前記蒸気噴射器は、細長形状を有し、スロットを備え、スロットの幅Weによって画定され、一方の前記蒸気噴射器の回転中心と、他方の前記蒸気噴射器の回転中心とは、同じ直線上にあり、少なくとも2つの蒸気噴射器が、α及びα’が調整されるように、蒸気源に連結された供給管を中心に回転可能に取り付けられる、真空蒸着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属又は金属合金から形成されたコーティングを、基板上に連続的に蒸着させるための方法に関する。本発明はまた、この方法で使用される真空蒸着設備に関する。
【背景技術】
【0002】
最終的に合金で構成される金属コーティングを、鋼ストリップなどの基板上に蒸着させるための様々な工程が知られている。これらの中でも、溶融コーティング、電着、並びに真空蒸発及びマグネトロンスパッタリングなどの様々な真空蒸着工程を挙げることができる。
【0003】
国際公開第97/47782号によれば、500m/sを超える速度で推進される金属蒸気スプレーを鋼基板と接触させて、この基板を連続的にコーティングする方法が知られている。この方法はジェット蒸着と呼ばれている。
【0004】
欧州特許第2940191号明細書には、基材鋼板を準備する工程と、基材鋼板の表面に蒸着されるZn-Mg合金源を蒸発させることによって、Zn-Mgめっき層を形成する工程とを含み、Zn-Mgめっき層のMg含有量が8重量%以下(ただし、0重量%を超える)であり、かつ、Zn-Mgめっき層が堆積される前後の基材鋼板の温度が60℃以下である、Zn-Mg合金めっき鋼板の製造方法が開示されている。
【0005】
この特許出願では、基材鋼板の温度調整のために、蒸着工程の前後に冷却ロールを設置することにより、基材鋼板を冷却する方法が記載されている。冷却装置に関しては、真空状態で良好な冷却効率を得るために、単一の冷却ロールではなく、複数の冷却ロールを設置することで、その接触を著しく増加させることができる。特に、コーティング工程後、コーティング凝縮エンタルピにより、鋼板の温度上昇が大きくなる可能性がある。したがって、コーティング工程後、冷却効率を高め、冷却ロールの数やサイズを増やすことによって、冷却ロールの温度が比較的低くなるように管理することが望ましい場合がある。
【0006】
それにもかかわらず、複数の冷却ロールを使用することにより、基材鋼板の温度が十分に均一ではなく、冷却の不均一性による平坦性の問題をもたらすおそれがある。実際、金属蒸気が基板上で凝縮すると、熱エネルギが放出されて、基板の弾性変形をもたらす。弾性変形は、コーティングされた金属基板と冷却ロールとの接触圧力が均一ではないので、冷却ロール後の平坦性の問題をもたらす可能性がある。その結果、欧州特許第2940191号明細書で使用される複数の冷却ロールでは、コーティングされた鋼板と冷却ロールとの接触が著しく増加するので、鋼板を変形させるおそれがある。
【0007】
コーティングが金属基板の両面に蒸着される場合、金属基板の温度を制御することも重要である。実際、コーティングされた金属基板の平坦性が改善されると、コーティングされた金属基板の品質は、例えば、その機械的特性の均一性、コーティングの表面形態を含めて向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第97/47782号
【文献】欧州特許第2940191号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、コーティングされた金属基板の平坦性が非常に改善されるように、走行する基板の両面にコーティングを蒸着させるための、最適化された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これは、請求項1による走行する基板上にコーティングを蒸着させるための方法を提供することによって達成される。本方法はまた、請求項2~14のいずれか一項の特徴を備えることができる。
【0011】
また、本発明は、請求項15~17に記載のコーティングされた基板も網羅する。
【0012】
また、本発明は、請求項18又は19に記載の真空設備も網羅する。
【0013】
本発明を説明するために、特に以下の図を参照して、非限定的実施例の様々な実施形態及び試験を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による真空蒸着設備内の2つの蒸気噴射器を用いてコーティングされる基板の平面図である。
図2】本発明による真空蒸着設備内の2つの蒸気噴射器を用いてコーティングされる基板の別の例の平面図である。
図3】本発明による真空蒸着設備内の、少なくとも1つの金属でコーティングされる基板の側面図である。
図4】好ましい実施形態による真空蒸着設備内の、少なくとも1つの金属でコーティングされる基板の側面図である。
図5a】本発明で定義される最大変形を示す図である。
図5b】本発明で定義される最大変形を示す図である。
図6a】真空蒸着設備内の、異なる位置を有する2つの蒸気噴射器でコーティングされる基板の平面図である。
図6b】真空蒸着設備内の、異なる位置を有する2つの蒸気噴射器でコーティングされる基板の平面図である。
図6c】真空蒸着設備内の、異なる位置を有する2つの蒸気噴射器でコーティングされる基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
本発明は、真空チャンバを備える真空蒸着設備内で、走行する基板S上に、少なくとも1つの金属から形成されたコーティングを連続的に蒸着させる方法に関し、本方法は、
-前記真空チャンバ内で、金属蒸気が、走行する基板の両面に向かって、少なくとも2つの蒸気噴射器を通して噴射され、噴射された蒸気の凝縮によって、少なくとも1つの金属の層が各面に形成され、互いに対向する少なくとも2つの蒸気噴射器が、基板平面内にある軸線Aであって、基板の走行方向に直角な軸線Aと蒸気噴射器との角度α及びα’でそれぞれが位置決めされ、α及びα’は以下の式、
【0017】
【数1】
ここで0°<α<82°、かつ
【0018】
【数2】
ここで0°<α’<82°、を満たし、
D1及びD2は、軸線(A)に沿った、噴射器端部と各基板端部との間の距離であり、Wsは基板幅であり、前記蒸気噴射器は、細長形状を有し、スロットを備え、スロットの幅Weによって規定され、前記蒸気噴射器が同じ回転軸を有する工程を備える。
【0019】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、本発明による方法では、平坦なコーティングされた金属基板を得ることができると考えられる。実際、本発明者らは、基板幅を通る温度分布が金属蒸着の間、対称になるように、2つの蒸気噴射器を特定の角度で、2つの噴射器が互いに対向するように位置決めしなければならないことを見出した。基板幅に沿った熱プロファイルは均一である。したがって、Zn蒸着後の基板に沿った弾性変形プロファイルは対称であり、基板と第1の冷却ロールとの均一な接触圧力をもたらす。その結果、コーティングされた基板は平坦なままである。
【0020】
図1を参照すると、本発明による設備1は、まず、真空チャンバ2と、チャンバを通して基板を走行させるための手段とを備える。真空チャンバ2は、好ましくは10-8~10-3バールの圧力に保たれた密閉可能なボックスである。ボックスは、例えば鋼ストリップなどの基板Sが所定の経路Pに沿って走行方向に走行可能な、入口ロックと出口ロック(これらは図示せず)とを有する。
【0021】
少なくとも2つの蒸気噴射器3、3’は、走行する基板の両面に金属蒸気を音速で噴射する。両方の蒸気噴射器は、基板平面内にある軸線Aであって、基板の走行方向に直角な軸線Aと蒸気噴射器との角度α及びα’でそれぞれが位置決めされ、α及びα’は以下の式、
【0022】
【数3】
ここで0°<α<82°、かつ
【0023】
【数4】
ここで0°<α’<82°、を満たす。
【0024】
噴射器は、長方形又は台形などの様々な形状を有することができる。図1に示すように、D1及びD2の異なる距離値が考えられる。好ましくは、D1及びD2は、軸線Aに沿った、噴射器端部と基板端部との間の最小距離を表す。
【0025】
好ましくは、D1及びD2は、0mm未満、又は0mm以上であってもよい。D1及びD2が0mmより大きい場合、噴射器端部は基板端部を超えない。D1及びD2が0mm未満である場合、噴射器端部は、図2に示すように基板端部を超える。D1及びD2が0mmである場合、基板端部は噴射器端部と同じ平面にある。好ましくは、D1及びD2は、0mmより大きいか又は小さい。
【0026】
好ましくは、D1及びD2は互いに独立しており、1mm超、有利には5mm~100mm、より好ましくは30mm~70mmである。好ましい実施形態では、D1はD2と同じである。
【0027】
好ましくは、基板幅Wsは最大2200mmである。有利には、Wsは最小200mmである。例えば、Wsは、1000~2000mmである。
【0028】
好ましくは、Weは最大2400mmである。有利には、Weは最小400mmである。
【0029】
好ましい実施形態では、WsはWe以下である。
【0030】
好ましくは、α’は、絶対値でα-α’<10°、より好ましくはα-α’<5°、有利にはα-α’<3°であるような値である。例えば、α-α’は0°である。
【0031】
好ましくは、αは、絶対値で0~60°であり、有利には10~50°であり、例えば絶対値で20~35°である。
【0032】
真空チャンバは、走行する基板の両面に位置決めされた3つ又は複数の蒸気噴射器を備えることができる。例えば、真空チャンバは、金属基板の各面に位置決めされた2つの蒸気噴射器を備えることができる。
【0033】
図3に示すように、基板Sは、前記基板の性質及び形状により、任意の好適な手段によって走行させることができる。特に、鋼ストリップを搬送可能な回転支持ローラ4を用いてもよい。
【0034】
図4に示すように、真空チャンバ2は、さらに中央ケーシング6を備えてもよい。ケーシングは、走行方向の所定の長さの基板経路Pを囲むボックスであり、典型的には、面当たり1つの噴射器がある場合には2~8mの長さである。その壁は空洞を区切る。それは、中央ケーシングの2つの反対側に配置された2つの開口部、つまり、基板入口7及び基板出口8を備える。好ましくは、中央ケーシングは、コーティングされる基板よりも、幅がわずかに大きい平行六面体である。
【0035】
好ましくは、中央ケーシングの内壁は、金属又は金属合金の蒸気の凝縮温度よりも高い温度で加熱されるのに適している。加熱は、例えば、誘導加熱器、加熱抵抗器、電子ビームなどの任意の好適な手段によって行うことができる。加熱手段は、中央ケーシングの内壁を、金属又は金属合金の蒸気がその上に凝縮することを回避するために十分に高い温度で加熱するのに適している。好ましくは、中央ケーシングの内壁は、亜鉛蒸気又は亜鉛マグネシウム合金蒸気の凝縮を回避するために、コーティングを形成する蒸着される金属元素の凝縮温度よりも高く、典型的には500℃よりも高く、例えば500℃~700℃で加熱されるのに適している。これらの加熱手段のおかげで、中央ケーシングの内壁が詰まることがなく、設備を清掃のために頻繁に停止させる必要がない。さらに、金属又は金属合金の蒸気の内壁への凝縮を回避する。
【0036】
特に、本発明による方法では、基板の両面に少なくとも1つの金属でコーティングされた金属基板であって、長手方向の最大変形が2mm未満であり、横方向の最大変形が5mm未満である基板を得ることができる。図5aに示すように、長手方向の最大変形は、コーティングされた基板の長さに沿った、最大ピーク高さと最小ピーク高さとの差を表す。図5bに示すように、横方向の最大変形は、コーティングされた基板の幅に沿った、最大ピーク高さと最小ピーク高さとの差を表す。
【0037】
本発明において、少なくとも1つの金属は、好ましくは、亜鉛、クロム、ニッケル、チタン、マンガン、マグネシウム、ケイ素、アルミニウム、又はそれらの混合物から選択される。好ましくは、金属は、任意にマグネシウムを含む亜鉛である。
【0038】
好ましくは、金属基板は鋼基板である。実際、いかなる理論にも拘束されることを望まないが、鋼基板を使用すると、平坦性がさらに改善されると考えられる。
【0039】
コーティング厚は、好ましくは0.1μm~20μmである。一方、0.1μm未満では、基板の防食性が不十分になるおそれがある。他方では、特に、自動車又は建設分野で要求されるレベルの耐食性を得るために、20μmを超える必要はない。一般に、自動車用途には、厚さは10μmに制限される場合がある。
【0040】
最終的に、本発明は、走行する基板S上に、少なくとも1つの金属から形成されたコーティングを、連続的に蒸着させるための本発明による方法のための真空蒸着設備に関し、設備1は、基板3が所定の経路に沿って走行可能な真空チャンバ2を備え、真空チャンバは、
互いに対向する少なくとも2つの蒸気噴射器を備え、蒸気噴射器は、基板平面内にある軸線Aであって、基板の走行方向に直角な軸線A)と蒸気噴射器との角度α及びα’でそれぞれが位置決めされ、α及びα’は以下の式、
【0041】
【数5】
ここで0°<α<82°、かつ
【0042】
【数6】
ここで0°<α’<82°、を満たし、
D1及びD2は、軸線(A)に沿った、噴射器端部と基板端部との間の距離であり、Wsは基板幅であり、前記蒸気噴射器は、細長形状を有し、スロットを備え、スロットの幅Weによって画定され、前記蒸気噴射器が同じ回転軸を有する。
【0043】
好ましい実施形態では、少なくとも2つの蒸気噴射器は、α及びα’が調整されるように、蒸気源に連結された供給管を中心に回転可能に取り付けられる。
【0044】
実施例
2つの蒸気噴射器から亜鉛蒸気を噴射する方法の効率を評価するために、真空蒸着設備を用いたモデリングテストを実施した。
【0045】
すべての試験について、異なる位置及び角度α及びα’をテストし、本発明による方法の効率を決定した。
【0046】
すべての試験において、We=1710mmを有する2つの蒸気噴射器を備える真空チャンバ内で、鋼基板幅Wsを1000~1710mmで変化させた。D1及びD2は同じであり、0mmである。真空圧は10-1ミリバールであった。
【0047】
平坦性は、第1の冷却ロール後に最大変形を有するコーティングされた基板ピークによって規定した。結果を以下の表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
本発明による試験は、比較例と比較して変形がないか、又はほとんどない。したがって、本発明による方法では、平坦性がより高くなる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c