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特許7299946情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/90 20190101AFI20230621BHJP
【FI】
G06F16/90
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021101539
(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公開番号】P2023000609
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2022-05-18
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 知紘
【審査官】齊藤 貴孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-122373(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0142793(US,A1)
【文献】原 直、外2名,主観的評価に基づいた騒音マップ構築のためのクラウドソーシングによる環境音収集システム,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2016年08月17日,第116巻,第189号,p.41-46
【文献】山本 貢平,環境騒音の新しい評価・測定方法,日本音響学会誌,日本,社団法人日本音響学会,2000年08月01日,第56巻,第8号,p.585-590
【文献】岩井 将行,モバイル臭気センシングの可能性,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2014年10月30日,第114巻,第290号,p.111-116
【文献】日本音響学会建設工事騒音予測調査研究委員会,建設工事騒音の予測モデル,日本音響学会誌 第64巻 第4号,日本,社団法人日本音響学会,2008年04月01日,第64巻,第4号,p.229-260
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G10L 15/00-15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置が有するセンサによって取得される利用者の知覚を刺激する刺激情報を収集する収集部と、
前記刺激情報に基づいて、前記刺激情報の特徴を示す特徴情報を所定の領域毎に特定する特定部と、
前記所定の領域毎の前記特徴情報に基づいた提供情報を提供する提供部と、
を備え、
前記提供部は、
前記所定の領域毎の前記特徴情報に基づいて特定した前記刺激情報の発信源に関する前記提供情報を提供し、
前記特定部は、
前記刺激情報が収集されていない前記所定の領域で、かつ建物が存在する領域である未収集領域に関して、他の前記所定の領域の前記特徴情報に基づいて、前記未収集領域の前記刺激情報の推定値を算出し、
前記収集部は、
前記未収集領域の前記刺激情報を実測値として収集し、
前記提供部は、
前記推定値よりも前記実測値の値が低い場合、前記建物に関して前記刺激を遮る性能が高いことを示す前記提供情報を提供すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記提供部は、
前記所定の領域毎の前記特徴情報を相対的にマップで示したマップ情報を前記提供情報として提供すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提供部は、
前記マップ情報として、前記所定の領域毎の前記特徴情報の差異を色の濃淡で示したヒートマップを提供すること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記刺激情報は、
音情報、匂い情報および振動情報の少なくとも1つ以上を含むこと
を特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定部は、
前記音情報、匂い情報および振動情報の少なくとも2つ以上の前記特徴情報を特定し、
前記提供部は、
前記少なくとも2つ以上の前記特徴情報から人が不快に感じる情報を抽出し、抽出した前記情報に基づく不快度を示す前記提供情報を提供すること
を特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
端末装置が有するセンサによって取得される利用者の知覚を刺激する刺激情報を収集する収集工程と、
前記刺激情報に基づいて、前記刺激情報の特徴を示す特徴情報を所定の領域毎に特定する特定工程と、
前記所定の領域毎の前記特徴情報に基づいた提供情報を提供する提供工程と、
を含み、
前記提供工程は、
前記所定の領域毎の前記特徴情報に基づいて特定した前記刺激情報の発信源に関する前記提供情報を提供し、
前記特定工程は、
前記刺激情報が収集されていない前記所定の領域で、かつ建物が存在する領域である未収集領域に関して、他の前記所定の領域の前記特徴情報に基づいて、前記未収集領域の前記刺激情報の推定値を算出し、
前記収集工程は、
前記未収集領域の前記刺激情報を実測値として収集し、
前記提供工程は、
前記推定値よりも前記実測値の値が低い場合、前記建物に関して前記刺激を遮る性能が高いことを示す前記提供情報を提供すること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
端末装置が有するセンサによって取得される利用者の知覚を刺激する刺激情報を収集する収集手順と、
前記刺激情報に基づいて、前記刺激情報の特徴を示す特徴情報を所定の領域毎に特定する特定手順と、
前記所定の領域毎の前記特徴情報に基づいた提供情報を提供する提供手順と、
をコンピュータに実行させ、
前記提供手順は、
前記所定の領域毎の前記特徴情報に基づいて特定した前記刺激情報の発信源に関する前記提供情報を提供し、
前記特定手順は、
前記刺激情報が収集されていない前記所定の領域で、かつ建物が存在する領域である未収集領域に関して、他の前記所定の領域の前記特徴情報に基づいて、前記未収集領域の前記刺激情報の推定値を算出し、
前記収集手順は、
前記未収集領域の前記刺激情報を実測値として収集し、
前記提供手順は、
前記推定値よりも前記実測値の値が低い場合、前記建物に関して前記刺激を遮る性能が高いことを示す前記提供情報を提供すること
を特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及により、様々な情報分析技術が提案されている。例えば、利用者周辺の暗騒音に対応して利用者がわかりやすいように機器の動作状態を報知する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-70894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術は、利用者周辺の騒音を収集して機器の動作状態を報知しているに過ぎず、利用者に対してより有用な情報を提供する点で更なる改善の余地があった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者に対してより有用な情報を提供することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、収集部と、特定部と、提供部とを備える。前記収集部は、端末装置が有するセンサによって取得される利用者の知覚を刺激する刺激情報を収集する。前記特定部は、前記刺激情報に基づいて、前記刺激情報の特徴を示す特徴情報を所定の領域毎に特定する。前記提供部は、前記所定の領域毎の前記特徴情報に基づいた提供情報を提供する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、利用者に対してより有用な情報を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る特徴情報データベースの一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る情報処理装置によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
(実施形態)
〔情報処理方法の概要〕
まず、図1を参照して、実施形態に係る情報処理方法の概要について説明する。
【0011】
図1に示す情報処理〕
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。実施形態に係る情報処理方法は、図1に示す情報処理装置1によって実行される。具体的には、実施形態に係る情報処理装置1は、情報処理方法を実行することで、利用者端末100が収集した刺激情報の特徴を示す特徴情報を所定の領域毎に特定し、特徴情報に基づいた提供情報を提供する。
【0012】
具体的には、まず、情報処理装置1は、利用者端末100が有するセンサによって取得される利用者の知覚を刺激する刺激情報を収集する(ステップS1)。例えば、情報処理装置1は、マイクにより取得された音情報を刺激情報として収集する。また、情報処理装置1は、匂いセンサにより取得された匂い情報を刺激情報として収集する。また、情報処理装置1は、振動センサ(ジャイロセンサ等)により取得された振動情報を刺激情報として収集する。なお、上記したセンサは、利用者端末100に内蔵されるセンサであってもよく、利用者端末100に別途接続されるセンサであってもよい。
【0013】
また、図1では、1人の利用者端末100から刺激情報を収集する例を示したが、複数の利用者端末100から刺激情報を収集してもよい。
【0014】
つづいて、情報処理装置1は、収集した刺激情報に基づいて、刺激情報の特徴を示す特徴情報を所定の領域毎に特定する(ステップS2)。特徴情報は、例えば、音情報の場合、音圧レベルや、周波数帯域、音の種類(機械音、システム音、音声等)である。また、特徴情報は、例えば、匂い情報の場合、匂いの濃度や、匂いの成分等である。特徴情報は、例えば、振動情報の場合、振動の周波数や、振幅、振動の長さ等である。
【0015】
また、所定の領域とは、例えば、建物や、地域、建物の部屋等のような場所に関わる領域である。
【0016】
つづいて、情報処理装置1は、所定の領域毎の特徴情報に基づいた提供情報を生成する(ステップS3)。例えば、情報処理装置1は、各領域の特徴情報をマップ化したマップ情報を提供情報として提供する。
【0017】
マップ情報は、例えば、音圧レベルの高低や、匂いの濃度の濃い薄い、振動の振幅の強弱を色の濃淡で示したヒートマップである。また、マップ情報は、音圧レベルの強弱や、匂いの濃度の濃い薄い、振動の振幅の強弱を総合した不快度ヒートマップであってもよい。
【0018】
つづいて、情報処理装置1は、生成した提供情報を利用者端末100を介して利用者へ提供する(ステップS4)。
【0019】
これにより、利用者はどの領域でどのような刺激があるかを提供情報により容易に把握できるため、例えば、音圧レベルが高い家の購入を避けたり等の判断を容易に行うことができる。すなわち、実施形態に係る情報処理方法によれば、利用者に対してより有用な情報を提供することができる。
【0020】
以下、このような情報処理方法を実行する情報処理装置1について詳細に説明する。
【0021】
〔情報提供システム〕
次に、図2を参照して、情報処理装置1を含むシステムの構成例について説明する。
【0022】
〔情報処理システムの構成要素〕
図2は、実施形態に係る情報処理システムSの一例を示す図である。図2に示されるように、情報処理システムSは、情報処理装置1および利用者端末100等の構成要素を含む。図2中では図示していないが、情報処理システムSは、複数台の情報処理装置1や、複数台の利用者端末100を含んでもよい。また、情報処理システムSは、情報処理装置1に関係するエンティティ(例えば、業者、エンドユーザ)の装置等の、他の構成要素を含んでもよい。
【0023】
情報処理システムSにおいて、情報処理装置1および利用者端末100は、それぞれネットワークNと有線又は無線により接続される。ネットワークNは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等のネットワークである。情報処理システムSの構成要素は、ネットワークNを介して互いに通信を行うことができる。
【0024】
情報処理装置1は、例えば、サーバ装置として構成される。情報処理装置1は、利用者端末100のセンサによって収集された刺激情報の特徴を所定の領域毎に特定し、かかる特徴に基づいた提供情報を提供するための処理を実行する。なお、複数台の情報処理装置1が、ウェブサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバ等の各種サーバの機能をそれぞれ提供してもよい。情報処理装置1の構成例の詳細については、後述する。
【0025】
利用者端末100は、情報処理装置1等が提供する各種サービスを利用する利用者によって利用される情報処理装置である。利用者端末100は、インターネット上の各種サービス(例えば、ポータルサイト、ポータルアプリ)を介して、刺激情報を情報処理装置1へ送信したり、情報処理装置1から提供情報を受信したりすることができる。利用者端末100は、スマートフォン、デスクトップ型PC、ノート型PC、タブレット型PC等のクライアント装置を含む、任意のタイプの情報処理装置であってもよい。
【0026】
〔情報処理装置の構成〕
図2に示されるように、情報処理装置1は、通信部2と、制御部3と、記憶部4とを有する。なお、情報処理装置1は、情報処理装置1を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0027】
(通信部2)
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部2は、有線または無線によりネットワーク網と接続される。通信部2は、利用者端末100に、ネットワークNを介して、通信可能に接続されることで、情報の送受信を行うことができる。
【0028】
(記憶部4)
記憶部4は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図2に示されるように、記憶部4は、特徴情報データベース410を有する。
【0029】
(特徴情報データベース410)
図3は、実施形態に係る特徴情報データベース410の一例を示す図である。特徴情報データベース410は、領域毎の刺激情報の特徴を示す特徴情報を記憶する。
【0030】
図3の例では、特徴情報データベース410は、「領域ID」、「特徴情報」等の項目を有する。
【0031】
「領域ID」は、特徴情報が対応付いた各領域を識別するための識別子を示す。「特徴情報」は、刺激情報の特徴に関する特徴情報である。
【0032】
例えば、図3は、領域ID「領域#1」で識別される領域の特徴情報が「特徴情報#1-1」であることを示している。領域IDは、例えば、所定の文字列である。特徴情報は、例えば、音情報の場合、音圧レベルや、周波数帯域、音の種類(機械音、システム音、音声等)である。また、特徴情報は、例えば、匂い情報の場合、匂いの濃度や、匂いの成分等である。特徴情報は、例えば、振動情報の場合、振動の周波数や、振幅、振動の長さ等である。
【0033】
(制御部3)
制御部3は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、情報処理装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部3は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPGPU(General Purpose Graphic Processing Unit)等の集積回路により実現されてもよい。
【0034】
制御部3は、図2に示されるように、収集部31と、特定部32と、生成部33と、提供部34とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現又は実行する。また、制御部3は、図1を参照して上述した情報処理を実現することができる。情報処理装置1の1つまたは複数のプロセッサは、情報処理装置1の1つまたは複数のメモリに記憶された命令を実行することによって、制御部3内の各制御部の機能を実現することができる。なお、制御部3の内部構成は、図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。例えば、特定部32は、特定部32以外の部に関して後述する情報処理の全部または一部を行ってもよい。
【0035】
収集部31は、利用者端末100が有するセンサによって取得される利用者の知覚を刺激する刺激情報を収集する。刺激情報は、例えば、音情報や、匂い情報、振動情報等である。なお、収集部31は、センサが取得(検出)した情報をそのまま刺激情報として収集してもよく、センサが取得した情報の解析結果を刺激情報として収集してもよい。
【0036】
例えば、収集部31は、音情報の場合、マイクで集音された音を解析して得られる音圧レベルや、周波数帯域の情報を音情報として収集してもよい。これにより、例えば、人の声等をセンサで取得した場合、発話内容等を除くことができるため、プライバシーを保護した刺激情報を収集できる。
【0037】
また、収集部31は、匂い情報の場合、匂いセンサで検出された匂いの濃度や、成分等を刺激情報として収集する。また、収集部31は、振動情報の場合、振動センサで検出された振動の周波数や、振幅、振動の長さ等の情報を刺激情報として収集する。
【0038】
また、収集部31は、刺激情報に対応する利用者端末100の位置情報を収集し、刺激情報と位置情報とを紐付けて特定部32へ出力する。なお、収集部31は、刺激情報と位置情報とが紐付いた情報を利用者端末100から収集してもよい。
【0039】
特定部32は、収集部31が収集した刺激情報に基づいて、刺激情報の特徴を示す特徴情報を所定の領域毎に特定する。具体的には、特定部32は、まず、刺激情報を位置情報に基づいて所定の領域毎に分類する。
【0040】
そして、特定部32は、所定の領域毎に分類された刺激情報を解析して、所定に領域毎に特徴情報を特定する。特徴情報は、例えば、所定の領域毎の刺激情報の平均値や、中央値、最高値、最低値である。特定部32は、特定した特徴情報を特徴情報データベース410に登録する。
【0041】
生成部33は、特定部32に特定された特徴情報に基づいて提供情報を生成する。具体的には、生成部33は、特徴情報データベース410に登録された所定の領域毎の特徴情報に基づいて提供情報を生成する。
【0042】
例えば、生成部33は、所定の領域毎の特徴情報を相対的にマップで示したマップ情報を提供情報として生成する。例えば、生成部33は、音圧レベルの高低を色の濃淡で相対的に示したヒートマップをマップ情報として生成する。
【0043】
また、生成部33は、匂いの濃度の濃い薄いを色の濃淡で相対的に示したヒートマップをマップ情報として生成する。また、生成部33は、振動の振幅の強弱を色の濃淡で相対的に示したヒートマップをマップ情報として生成する。つまり、生成部33は、所定の領域間の特徴情報の差異を色の濃淡で示したヒートマップを生成する。
【0044】
あるいは、生成部33は、音情報、匂い情報および振動情報それぞれの特徴情報から人が不快に感じる情報(音の周波数や、匂いの成分、振動の周波数等)を抽出し、抽出した情報に基づく不快度のヒートマップをマップ情報として生成してもよい。
【0045】
あるいは、生成部33は、例えば、刺激情報が利用者によって予め設定された閾値以上であるか否かを示すマップ情報であってもよい。
【0046】
また、生成部33は、刺激情報が収集されていない領域(未収集領域)について、他の領域の特徴情報に基づいて、未収集領域の刺激情報の推定値を算出し、推定値を提供情報として生成してもよい。例えば、生成部33は、他の領域の特徴情報と同じとなるような刺激情報の推定値を算出する。
【0047】
また、生成部33は、未収集領域に関して、上記の刺激情報の推定値と、実際に収集された刺激情報の実測値とに基づいて領域の特徴を特徴示す情報を提供情報として生成してもよい。
【0048】
例えば、生成部33は、音圧レベルについて、推定値よりも実測値の値が低い場合、かかる領域に存在する建物の遮音性能が高いことを示す提供情報を生成する。また、生成部33は、遮音性能の他、免震性能や、匂いの遮断性能等のような建物の性能に関する提供情報を生成してもよい。
【0049】
また、生成部33は、例えば、音や、匂い(無風の場合)、振動が同心円状に広がると仮定した場合、特徴情報を基に生成したマップ情報に基づいて、刺激情報の発信源を特定する提供情報を生成してもよい。また、生成部33は、匂いについては、風の情報を取得することで、風を考慮して発信源を特定してもよい。
【0050】
提供部34は、生成部33によって生成された提供情報を利用者端末100へ提供する。例えば、提供部34は、生成された提供情報を、登録されている複数の利用者端末100へ同時提供する。あるいは、提供部34は、利用者から提供情報の要求があった場合に、提供情報を提供してもよい。
【0051】
〔処理フロー〕
次に、図4を参照して、実施形態に係る情報処理装置1による処理の手順について説明する。図4は、実施形態に係る情報処理装置1によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0052】
図4に示すように、制御部3は、利用者端末100が有するセンサによって取得される利用者の知覚を刺激する刺激情報を収集する(ステップS101)。
【0053】
つづいて、制御部3は、刺激情報に基づいて、刺激情報の特徴を示す特徴情報を所定の領域毎に特定する(ステップS102)。
【0054】
つづいて、制御部3は、所定の領域毎の特徴情報に基づいた提供情報を生成する(ステップS103)。
【0055】
つづいて、制御部3は、生成した提供情報を利用者端末100へ提供し(ステップS104)、処理を終了する。
【0056】
〔その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の一部を手動的に行うこともできる。あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0057】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0058】
例えば、図2に示した記憶部4の一部又は全部は、情報処理装置1によって保持されるのではなく、ストレージサーバ等に保持されてもよい。この場合、情報処理装置1は、ストレージサーバにアクセスすることで、各種情報を取得する。
【0059】
〔ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置1は、例えば図5に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図5は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0060】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一時的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0061】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0062】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0063】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0064】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0065】
例えば、コンピュータ1000が情報処理装置1として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部3の機能を実現する。
【0066】
〔効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置1は、収集部31と、特定部32と、提供部34とを備える。収集部31は、端末装置100が有するセンサによって取得される利用者の知覚を刺激する刺激情報を収集する。特定部32は、刺激情報に基づいて、刺激情報の特徴を示す特徴情報を所定の領域毎に特定する。提供部34は、所定の領域毎の特徴情報に基づいた提供情報を提供する。提供部34は、所定の領域毎の特徴情報を相対的にマップで示したマップ情報を提供情報として提供する。提供部34は、マップ情報として、所定の領域毎の特徴情報の差異を色の濃淡で示したヒートマップを提供する。特定部32は、刺激情報が収集されていない所定の領域である未収集領域に関して、他の所定の領域の特徴情報に基づいて、未収集領域の刺激情報の推定値を算出する。収集部31は、未収集領域の刺激情報を実測値として収集する。提供部34は、推定値と、実測値とに基づいた提供情報を提供する。提供部34は、推定値と、実測値との差分に基づいて生成した未収集領域の特徴を示す提供情報を提供する。未収集領域は、建物が存在する領域である。提供部34は、未収集領域の特徴として、建物の性能に関する提供情報を提供する。刺激情報は、音情報、匂い情報および振動情報の少なくとも1つ以上を含む。特定部32は、音情報、匂い情報および振動情報の少なくとも2つ以上の特徴情報を特定する。提供部34は、少なくとも2つ以上の特徴情報から人が不快に感じる情報を抽出し、抽出した情報に基づく不快度を示す提供情報を提供する。このような構成により、利用者に対してより有用な情報を提供することができる。
【0067】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0068】
〔その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0069】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0070】
また、上述してきた実施形態に記載した各処理は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0071】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、特定部32は、特定手段や特定回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 情報処理装置
2 通信部
3 制御部
4 記憶部
31 収集部
32 特定部
33 生成部
34 提供部
100 利用者端末
410 特徴情報データベース
S 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5