(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】組み換え型リステリアワクチン株およびこれを生産する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/12 20060101AFI20230621BHJP
A61K 35/74 20150101ALI20230621BHJP
A61K 39/07 20060101ALI20230621BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230621BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230621BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230621BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230621BHJP
C12N 1/21 20060101ALN20230621BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20230621BHJP
C12N 15/37 20060101ALN20230621BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230621BHJP
【FI】
A61K39/12
A61K35/74 A
A61K39/07 ZNA
A61K48/00
A61P11/00
A61P35/00
A61P37/04
C12N1/21
C12N15/31
C12N15/37
C12N15/62 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022087587
(22)【出願日】2022-05-30
(62)【分割の表示】P 2020047632の分割
【原出願日】2015-04-14
【審査請求日】2022-06-28
(32)【優先日】2014-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514231424
【氏名又は名称】アドバクシス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アヌ ワレチャ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート プティ
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-532313(JP,A)
【文献】特表2014-504851(JP,A)
【文献】Expert Rev. Vaccines (2013) Vol.12, No.5, pp.493-504
【文献】Molecular Microbiology (2004) Vol.52, No.6, pp.1553-1565
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/245
A61K 35/74
A61K 39/07
A61K 48/00
A61P 11/00
A61P 35/00
A61P 37/04
C12N 1/21
C12N 15/31
C12N 15/37
C12N 15/62
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺腫瘍または肺ガンに対する免疫応答をヒト被験者内に誘発するための組成物であって、前記組成物が、組み換え型核酸を含む前記組み換え型リステリア株を含み、前記核酸が異種抗原またはその断片に融合したLLOタンパク質のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドをコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、前記異種抗原がヒトパピローマウイルス-E7(HPV-E7)であり、前記組み換え型核酸が、配列番号:34のアミノ酸配列を含む突然変異PrfAタンパク質をコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含み、前記組み換え型リステリア株が内因性prfA遺伝子の欠失または不活性化を有し、前記組成物は、前記被験者に投与され、これによって肺腫瘍または肺ガンに対する免疫応答を誘発することを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記突然変異PrfAタンパク質が配列番号:33によってコードされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第2のオープンリーディングフレームによってコードされる前記突然変異PrfAタンパク質が、前記prfAゲノム突然変異、欠失、または不活性化を前記リステリア株内で相補する、または部分的PrfA機能を前記リステリア株内で回復する、請求項1~2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
静脈内または経口投与されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記HPV-E7がHPV16由来である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
LLOタンパク質の前記N末端断片が、配列番号:2または配列番号:4を含む配列から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
1×10
9
~3.31×10
10
生命体の前記組み換え型リステリア株の用量で前記ヒト被験者に投与されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物の投与前に凍結または凍結乾燥した状態で保存される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組み換え型リステリア株が組み換え型リステリアモノサイトゲネス株である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組み換え型リステリア株が前記組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記プラスミドが代謝酵素をコードする遺伝子を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組み換え型リステリア株を含むブースターと組み合わせて投与されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記E7抗原を含むまたは発現するように導く免疫原性組成物と組み合わせて投与されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記免疫応答が細胞毒性T細胞抗腫瘍免疫応答である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が肺腫瘍または肺ガンから被験者を保護することを可能にする、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が肺腫瘍または肺ガンに対して被験者を治療することを可能にする、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記肺ガンが非小細胞肺ガンである、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍またはガンを治療、腫瘍またはガンから保護する、および腫瘍またはガンに対する免疫応答を誘発する方法を提供し、この方法は、PrfA機能を部分的に回復する突然変異PrfAタンパク質をコードする核酸を含む組み換え型リステリア株を被験者に投与する工程を含む。
【背景技術】
【0002】
発ガン性リスクの高いヒトパピローマウイルス(HR-HPV)タイプによる持続感染は、必要だが十分ではない浸潤性子宮頸ガン(ICC)の原因として認識されている[1~3]。HPV16および18は悪性病変で最も高頻度で見られるタイプであり、ICCの70%超、高グレードの前駆病変の50%超を占める。HR-HPVE6およびE7タンパク質は異形成およびガン腫内で一貫して発現され、細胞周期調節タンパク質p53およびpRbをそれぞれ妨害する。異形成悪性病変および浸潤性悪性病変の両方、ならびにこれらのタンパク質のウイルス起源によるE6およびE7の必須発現は、これらをHPV療法的ワクチンのための優れた標的にする。
【0003】
リステリアモノサイトゲネス(Lm)は、ヒト、特に高齢の個人、新生児、妊娠中の女性、および免疫障害を持つ個人にときおり疾患を生じる可能性がある食物媒介性のグラム陽性細菌である。先天性免疫の強い活性化および抗原提示細胞(APC)機能を強化するサイトカイン応答の誘発に加えて、Lmは、主としてリステリオシンO(LLO)タンパク質の活性を通してファゴリソソームから抜け出した後、APCのサイトゾル内で複製する能力を有する。この特有の細胞内ライフサイクルは、Lmによって分泌された抗原がMHCクラスIおよびMHCクラスII分子の両方の状況で処理されかつ提示されるのを可能にし、結果として強力な細胞毒性CD8+およびTh1 CD4+T細胞媒介性免疫応答をもたらす。Lmは、ガン免疫療法のためのベクターとして前臨床モデルで広範囲に研究されてきた。Lm-LLO-E7を用いたマウスの免疫はE7を発現する定着腫瘍の退行を誘発し、そして長期の保護を与える。Lm-LLO-E7の治療有効性はE7特異的CTLを誘発するその能力と相関し、E7特異的CTLは、腫瘍部位に浸潤し、樹状細胞を成熟させ、腫瘍内の調節CD4+CD25+T細胞の数を減少し、腫瘍血管形成を阻害する。
【0004】
Lmは、ワクチンベクターとしての数多くの固有の利点も有する。細菌はインビトロで特別な要件なしに大変効率的に成長し、そしてこれは、グラム陰性細菌(サルモネラなどの)内の主要な毒性因子であるLPSを欠く。遺伝子学的に弱毒化されたLmベクターは、深刻な悪影響を生じた場合に抗生剤を用いて容易に除去することができ、かつ一部のウイルス性ベクターと異なり、遺伝子材料の宿主ゲノムの中への組み込みが生じないので、追加的な安全性も提供する。しかしながら、Lmなどの生細菌ワクチンの安全性について、特にその弱毒化の機構に関する大きな懸念が常にある。
【0005】
PrfAタンパク質は、Lmによってその脊椎動物の宿主にコロニーを作るために要求される必須な病毒性遺伝子を含むレギュロンの発現を制御し、よってprfA突然変異はPrfAに依存する病毒性遺伝子の発現を活性化するPrfA能力を強く損なう。本発明は、部分的にPrfA機能を回復するpGG55プラスミド内に突然変異prfA(D133V)遺伝子を担持するprfA突然変異リステリアを提供することによってこの懸念に対処するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明は組み換え型リステリア株に関連し、前記組み換え型リステリア株は組み換え型核酸を含み、前記核酸は異種抗原またはその断片に融合したLLOタンパク質の第1のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドをコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、前記組み換え型核酸は突然変異PrfAタンパク質をコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含む。
【0007】
一実施形態では、本発明は組み換え型リステリア株に関連し、前記組み換え型リステリア株は組み換え型核酸を含み、前記核酸は異種抗原またはその断片に融合したLLOタンパク質の第1のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドをコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、前記組み換え型核酸は突然変異PrfAタンパク質をコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含み、前記リステリアはprfA遺伝子内にゲノム突然変異または欠失を含む。別の実施形態では、前記第2のオープンリーディングフレームによってコードされる突然変異PrfAタンパク質は、前記リステリア株のPrfAタンパク質内の前記ゲノム突然変異または欠失を相補する。別の実施形態では、前記第2のオープンリーディングフレームによってコードされる突然変異PrfAタンパク質は前記リステリア株内で部分的にPrfA機能を回復する。
【0008】
一実施形態では、本発明は、腫瘍またはガンに対する免疫応答を被験者内に誘発する方法に関連し、前記方法は、組み換え型核酸を含む組み換え型リステリア株を前記被験者に投与する工程を含み、前記核酸は異種抗原またはその断片に融合したLLOタンパク質のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドをコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、前記組み換え型核酸は突然変異PrfAタンパク質をコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含み、これによって腫瘍またはガンに対する免疫応答を誘発する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は、prfA遺伝子内のゲノム突然変異または欠失を含む。
【0009】
以下の発明を実施するための形態、実施例、および図面から本発明の他の特徴および利点が明らかとなる。しかしながら、詳細な説明から当業者には本発明の趣旨および範囲内での様々な変更および修正が明らかとなるので、この詳細な説明および具体的な実施例は本発明の好ましい実施形態を示す一方で、単に例示としてのみ与えられることを理解するべきである。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
組み換え型リステリア株であって、前記組み換え型リステリア株が組み換え型核酸を含み、前記核酸が異種抗原またはその断片に融合したLLOタンパク質のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドをコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、そして前記組み換え型核酸が突然変異PrfAタンパク質をコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含む、組み換え型リステリア株。
(項目2)
前記リステリアがprfA遺伝子の欠失、不活性化、または突然変異を含む、項目1に記載の組み換え型リステリア。
(項目3)
前記突然変異PrfAタンパク質がD133V突然変異を含む、項目1~2のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目4)
前記第2のオープンリーディングフレームによってコードされる前記突然変異PrfAタンパク質が、前記prfAゲノム突然変異、欠失、または不活性化を前記リステリア株内で相補する、または部分的PrfA機能を前記リステリア株内で回復する、項目2~3のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目5)
前記異種抗原がヒトパピローマウイルス-E7(HPV-E7)またはHPV-E6である、項目1~4のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目6)
LLOタンパク質の前記N末端断片が、配列番号:2または配列番号:4を含む配列から選択される、項目1~5のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア株。
(項目7)
前記組み換え型リステリア株が組み換え型リステリアモノサイトゲネス株である、項目1~6のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア株。
(項目8)
前記組み換え型リステリア株が投与する工程の前に動物宿主を通して継代される、項目1~7のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目9)
前記組み換え型ポリペプチドが前記組み換え型リステリア株によって発現される、項目1~8のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目10)
前記組み換え型リステリア株が前記組み換え型核酸を含むプラスミドを含む、項目1~9のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目11)
前記プラスミドが代謝酵素をコードする遺伝子を含む、項目1~10のいずれか一項に記載の組み換え型リステリア。
(項目12)
項目1~11のいずれか一項に記載の組み換え型リステリアを含む医薬組成物。
(項目13)
腫瘍またはガンに対する免疫応答をヒト被験者内に誘発する方法であって、前記方法が、組み換え型核酸を含む前記組み換え型リステリア株を前記被験者に投与する工程を含み、前記核酸が異種抗原またはその断片に融合したLLOタンパク質のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドをコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、前記組み換え型核酸が突然変異PrfAタンパク質をコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含み、これによって腫瘍またはガンに対する免疫応答を誘発する方法。
(項目14)
前記リステリアがprfA遺伝子の欠失、不活性化、または突然変異を含む、項目13に記載の組み換え型リステリア。
(項目15)
前記突然変異PrfAタンパク質がD133V突然変異を含む、項目12~14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記第2のオープンリーディングフレームによってコードされる前記突然変異PrfAタンパク質が、prfAゲノム突然変異、欠失、または不活性化を前記リステリア株内で相補する、または部分的PrfA機能を前記リステリア株内で回復する、項目14~15のいずれか一項に記載の方法リステリア。
(項目17)
前記投与することが、静脈内または経口投与である、項目14~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記異種抗原がヒトパピローマウイルス-E7(HPV-E7)またはHPV-E6である、項目14~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
LLOタンパク質の前記N末端断片が、配列番号:2または配列番号:4を含む配列から選択される、項目14~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記組み換え型リステリア株が、1×109~3.31×1010生命体の用量で前記ヒト被験者に投与される、項目14~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記組み換え型リステリア株が投与前に凍結または凍結乾燥した状態で保存される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記組み換え型リステリア株が組み換え型リステリアモノサイトゲネス株である、項目14~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記組み換え型リステリア株が投与する工程の前に動物宿主を通して継代される、項目14~21のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記組み換え型ポリペプチドが前記組み換え型リステリア株によって発現される、項目14~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記組み換え型リステリア株が前記組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む、項目14~24いずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記プラスミドが代謝酵素をコードする遺伝子を含む、項目14~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記組み換え型リステリア株を用いて前記ヒト被験者をブーストする工程をさらに含む、項目14~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記ヒト被験者に前記E7抗原の発現を含むまたは発現するように導く免疫原性組成物を接種する工程をさらに含む、項目14~27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記免疫応答が細胞毒性T細胞抗腫瘍免疫応答である、項目14~28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記方法が腫瘍またはガンから被験者を保護することを可能にする、項目14~29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記方法が腫瘍またはガンに対して被験者を治療することを可能にする、項目14~29のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記ガンが子宮頸ガン、頭頸部ガン(HNC)、または肛門ガンである、項目30~31のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明に関する主題は、本明細書の結論部分に特定的に指摘され、かつ明瞭に主張されている。しかしながら、本発明の構成および運用方法の両方については、その目的、特徴、および利点とともに、添付図面とともに読んだとき、以下の発明を実施するための形態を参照することによって最も良好に理解される場合がある。
【0011】
【
図1】Lm-E7およびLm-LLO-E7は異なる発現系を使用してE7を発現および分泌する。Lm-E7を、L.モノサイトゲネスゲノム(A)のorfZドメインの中へと遺伝子カセットを導入することによって生成した。hlyプロモーターは、HPV-16 E7が後に続くLLOのhlyシグナル配列および最初の5つのアミノ酸(AA)の発現を駆動する。B)、Lm-LLO-E7を、prfA-株XFL-7をプラスミドpGG-55で形質転換することによって生成した。pGG-55は、LLO-E7の非溶血性の融合の発現を駆動するhlyプロモーターを有する。pGG-55は、prfA遺伝子も含有し、インビボでXFL-7によってプラスミドの保持を選択する。
【
図2】Lm-E7およびLm-LLO-E7はE7を分泌する。Lm-Gag(レーン1)、Lm-E7(レーン2)、Lm-LLO-NP(レーン3)、Lm-LLO-E7(レーン4)、XFL-7(レーン5)、および10403S(レーン6)を、Luria-Bertoni培地中、37℃で一晩増殖させた。600nmの吸光度においてODによって決定された同等数の細菌をペレット化し、そして各々の上清18mLをTCA沈殿させた。E7発現をウエスタンブロットによって解析した。ブロットを抗E7 mAbでプローブし、それに続いてHRP結合抗マウス(Amersham)でプローブし、次いでこれをECL検出試薬を使用して発色させた。
【
図3】LLO-E7融合の腫瘍免疫療法有効性。腫瘍接種の7、14、21、28、および56日後におけるマウス内の腫瘍サイズがミリメートルで示される。無処置マウス:白丸、Lm-LLO-E7:黒丸、Lm-E7:正方形、Lm-Gag:白ひし形、そしてLm-LLO-NP:黒三角。
【
図4】Lm-LLO-E7-免疫化マウスからの脾細胞はTC-1細胞に曝露されたとき増殖する。C57BL/6マウスに、Lm-LLO-E7、Lm-E7、または対照rLm株を用いて免疫を与え、かつブーストした。脾細胞を、ブーストの6日後に採取し、そして示される比で照射したTC-1細胞と共に培養皿に蒔いた。細胞を
3Hチミジンでパルスラベルし、採取した。cpmは、(実験的cpm)-(非TC-1対照)と定義された。
【
図5】A.TC-1腫瘍細胞を投与し、これに続いてLm-E7、Lm-LLO-E7、Lm-ActA-E7を投与した、またはワクチンを投与しなかった(無処置)マウスでの、脾臓内でのE7特異的IFN-ガンマ-分泌CD8
+T細胞の誘導、および腫瘍に浸透する数。B.(A)に記述したマウスの脾臓および腫瘍でのE7特異的CD8
+細胞の誘導および浸透。
【
図6】腫瘍の中のE7特異的リンパ球のより高いパーセンテージを誘発するPEST領域を含有するリステリア構築体。A.1つの実験からの代表的データ。B.3つのすべての実験からのデータの平均およびSE。
【
図7A】組み換え型リステリアワクチンベクターの細菌負荷(病毒性)に対する継代の効果。上のパネル:Lm-Gag。下のパネル:Lm-LLO-E7。
【
図7B】脾臓内での組み換え型Lm-E7の細菌負荷に対する継代の効果。4匹のマウスからの脾臓ホモジネート1ミリリットル当たりの生菌の平均CFUが示されている。
【
図8】継代されたLm-Gagと継代されていないLm-Gagの投与後のHIV-GagおよびLLOに対する抗原特異的CD8
+T細胞の誘発を示す。10
3(A、B、E、F)または10
5(C、D、G、H)CFUの継代されたリステリアワクチンベクターを用いてマウスを免疫化し、抗原特異的T細胞を解析した。B、D、F、H:継代されていないリステリアワクチンベクター。A~D:MHCクラスI HIV-Gagペプチドに対する免疫応答。E~H:LLOペプチドに対する免疫応答。I:HPV E7からの対照ペプチドで刺激された10
5CFUの継代Lm-Gagを用いて免疫化したマウスからの脾細胞。
【
図9A】LB安定性試験全体を通したプラスミド分離を示す。
【
図9B】TB安定性試験全体を通したプラスミド分離を示す。
【
図10】LB内で成長した細菌からの生菌クロラムフェニコール(CAP)耐性およびCAP感受性コロニー形成ユニット(CFU)の数を示す図である。色付きのバー:CAP
+;白抜きのバー:CAP
-。それぞれの時点に対する2本の色付きのバーと2本の白抜きのバーは、重複サンプルを表す。
【
図11】TB内で成長した細菌からの生菌CAP耐性およびCAP感受性CFUの数を示す図である。色付きのバー:CAP
+;白抜きのバー:CAP。それぞれの時点に対する2本の色付きのバーと2本の白抜きのバーは、重複サンプルを表す。
【
図12】D133V突然変異の領域(矢印)を示す実際のクロマトグラムである。混合比を括弧内に示す。
【
図13】ADV451、452、および453プライマー、ならびに反応で増幅されたprfA遺伝子のセグメントの場所の提示である。
【
図14】プライマーADV451およびADV453を使用したPCR反応の特異性である。
【
図15】プライマーADV452およびADV453を使用したPCR反応の特異性である。
【
図16】プライマーADV452を使用しDNAの初期量を1ngとした、野生型prfA配列を検出するためのPCR反応の感度。
【
図17】プライマーADV452を使用しDNAの初期量を5ngとした、野生型prfA配列を検出するためのPCR反応の感度。
【
図18】
図16に図示したPCRからのバンドの平均密度である。
【
図19】
図17に図示したPCRからのバンドの平均密度である。
【
図20】プライマーADV452を使用して野生型prfA配列を検出するためのPCR反応の検証である。
【
図21】
図16に図示したPCRからのバンドの平均密度である。
【
図22】Lm-LLO-E7でのD133V prfA突然変異の解析である。A:濃度測定のために使用した元の画像、B:画像は低密度バンドの視覚化を容易にするためにデジタル強調された。
【0012】
図示の単純化および明瞭化のために図に示される要素は必ずしも実寸に比例していないことを理解されたい。例えば、一部の要素の寸法は、明瞭化のために他の要素に対して誇張されている場合がある。さらに、適切と考えられる場合には、参照番号は対応するかまたは類似する要素を示す図の間で繰り返される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一実施形態では、本発明は、組み換え型リステリア株を提供し、前記組み換え型リステリア株は組み換え型核酸を含み、前記核酸は異種抗原またはその断片に融合したLLOタンパク質の第1のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドをコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、前記組み換え型核酸は突然変異PrfAタンパク質をコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含み、そして前記リステリアはprfA遺伝子内にゲノム突然変異または欠失を含む。別の実施形態では、前記第2のオープンリーディングフレームによってコードされる突然変異PrfAタンパク質は、前記リステリア株のprfA遺伝子内の前記ゲノム突然変異または欠失を相補する。別の実施形態では、前記第2のオープンリーディングフレームによってコードされる突然変異PrfAタンパク質は、前記リステリア株内で部分的にPrfA機能を回復する。一実施形態では、前記第2のオープンリーディングフレームによってコードされる突然変異PrfAタンパク質は位置133での点突然変異を含む。別の実施形態では、PrfAアミノ酸配列の残基133上の突然変異は、アミノ酸D、またはAsp、もしくはアスパラギン酸塩(またはアスパラギン酸)からアミノ酸V、またはVal、もしくはバリンまでである。
【0014】
本発明は、本明細書に提供される組み換え型リステリア株を含む免疫原性組成物、およびこれを使用する方法をさらに提供し、この方法は疾患を治療する、疾患に対して保護する、および疾患に対する免疫応答を誘発する方法を含み、一部の実施形態では疾患は腫瘍またはガンである。
【0015】
本発明は、本明細書に提供される組み換え型リステリア株を投与することを含む、抗疾患細胞毒性T細胞(CTL)応答を被験者内に誘発するための方法、ならびに前記疾患に関連付けられた障害および症状を治療するための方法も提供し、一部の実施形態では疾患は腫瘍またはガンである。
【0016】
別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリアは弱毒化されたリステリアである。「弱毒化」および「弱毒化された」は、宿主に対する毒性を減少するように修飾された、細菌、ウイルス、寄生生物、感染性生命体、プリオン、腫瘍細胞、感染性生命体中の遺伝子、およびこれに類するものを包含する場合がある。宿主は、ヒトの宿主もしくは動物宿主、または器官、組織、もしくは細胞とすることができる。非限定的な実施例を挙げると、宿主細胞への結合を減少するために、1つの宿主細胞から別の宿主細胞への拡散を減少するために、細胞外成長を減少するために、または宿主細胞内での細胞内成長を減少するために、細菌を弱毒化することができる。例えば、毒性の兆候(複数可)、LD50、器官からの除去率、または競争指標を測定することによって弱毒化を評価することができる(例えば、Auerbuch、et al.(2001)Infect.Immunity 69:5953-5957を参照のこと)。一般的に、弱毒化は、結果として、少なくとも25%の、より一般的には少なくとも50%の、最も一般的には少なくとも100%(2倍)の、標準的には少なくとも5倍の、より標準的には少なくとも10倍の、最も標準的には少なくとも50倍の、しばしば少なくとも100倍の、よりしばしば少なくとも500倍の、また最もしばしば少なくとも1000倍の、通常少なくとも5000倍の、より通常の場合少なくとも10,000倍の、そして最も通常の場合少なくとも50,000倍の、および最もしばしば少なくとも100,000倍の、LD50の増加および/または除去率の増加をもたらす。
【0017】
「弱毒化された遺伝子」という用語が、毒性、病理、または病毒性を宿主に媒介し、宿主内で成長し、または宿主内で生存する遺伝子を包含する場合があり、ここで遺伝子は毒性、病理、または病毒性を軽減、減少、または除去するように突然変異することを当業者は理解するであろう。減少または除去を、突然変異した遺伝子によって媒介された病毒性または毒性を突然変異していない(または親)遺伝子によって媒介されたもの比較することによって評価することができる。「突然変異した遺伝子」は遺伝子の調節領域、遺伝子のコード領域、遺伝子の非コード領域、またはこれらの任意の組合せでの欠失、点突然変異、およびフレームシフト突然変異を包含する。
【0018】
一実施形態では、被験者内で腫瘍またはガンに対して免疫応答を誘発するための方法が本明細書に提供されており、この方法は前記被験者に本明細書に提供される組み換え型リステリア株を含む組成物を投与し、これによって腫瘍またはガンに対して免疫応答を誘発する工程を含む。
【0019】
一実施形態では、本発明は被験者内の腫瘍またはガンを治療する方法を提供し、これには本明細書に提供される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者に投与する工程を含む。別の実施形態では、本発明は腫瘍またはガンから被験者を保護する方法を提供し、これには被験者に本明細書に提供される組み換え型リステリア株を投与する工程を含む。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は、組み換え型ポリペプチドを発現する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は、prfA遺伝子内のゲノム突然変異または欠失を含む。
【0020】
一実施形態では、本明細書に提供される方法は本発明の組み換え型リステリア株を含む組成物を用いてヒトの被験者をブーストする工程をさらに含む。別の実施形態では、方法は本明細書に提供される異種抗原またはその断片を含む免疫原性組成物を用いて被験者をブーストする工程をさらに含む。別の実施形態では、方法は被験者の細胞に異種抗原を発現するように導く免疫原性組成物を用いて被験者をブーストする工程をさらに含む。別の実施形態では、細胞は腫瘍細胞である。別の実施形態では、細胞は抗原提示細胞である。別の実施形態では、方法は本発明の組み換え型リステリア株を含むワクチンを用いて被験者をブーストする工程をさらに含む。
【0021】
一実施形態では、本明細書に提供されるLLOタンパク質およびActAタンパク質の状況でのその断片は、LLOまたはActAタンパク質の少なくとも5個の連続アミノ酸残基のアミノ酸配列を含むペプチドまたはポリペプチドを指す。別の実施形態では、この用語はLLOまたはActAタンパク質またはポリペプチドの、少なくとも10連続アミノ酸残基、少なくとも15連続アミノ酸残基、少なくとも20連続アミノ酸残基、少なくとも25連続アミノ酸残基、少なくとも40連続アミノ酸残基、少なくとも50連続アミノ酸残基、少なくとも60連続アミノ残基、少なくとも70連続アミノ酸残基、少なくとも80連続アミノ酸残基、少なくとも90連続アミノ酸残基、少なくとも100連続アミノ酸残基、少なくとも125連続アミノ酸残基、少なくとも150連続アミノ酸残基、少なくとも175連続アミノ酸残基、少なくとも200連続アミノ酸残基、アミノ酸配列の少なくとも250連続アミノ酸残基、少なくとも300連続アミノ酸残基、少なくとも350連続アミノ酸残基、少なくとも400連続アミノ酸残基、または少なくとも450連続アミノ酸残基のアミノ酸配列を含むペプチドまたはポリペプチドを指す。
【0022】
別の実施形態では、「断片」は(例えば、本明細書にさらに記述されるように、単独で投与される場合、または融合タンパク質の状況で投与される場合のいずれかで腫瘍細胞によって発現される異種抗原に対して免疫応答を引き出す)生物活性を含む機能的断片である。別の実施形態では、断片は融合していない形態で機能性である。
【0023】
ある特定の実施形態では、本発明はリステリアとは異種の核酸、またはリステリアに対して内在性の核酸のコドン最適化を提供する。L.モノサイトゲネスによって各々のアミノ酸のために利用される最適なコドンが、米国特許公開第2007/0207170号に示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。核酸内の少なくとも1つのコドンがL.モノサイトゲネスによってそのアミノ酸に対して元の配列内のコドンより頻繁に使用されるコドンで置き換えられる場合、核酸はコドン最適化されている。
【0024】
本明細書に提供されるN末端LLOタンパク質断片および異種抗原は、一実施形態では、相互に直接融合している。別の実施形態では、N末端LLOタンパク質断片および異種抗原をコードする遺伝子は相互に直接融合している。別の実施形態では、N末端LLOタンパク質断片および異種抗原はリンカーペプチドを介して付着している。別の実施形態では、N末端LLOタンパク質断片および異種抗原は異種ペプチドを介して付着している。別の実施形態では、N末端LLOタンパク質断片は異種抗原へのN末端である。別の実施形態では、N末端LLOタンパク質断片は、融合タンパク質のN最末端部分である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0025】
本明細書に提供されるように、LLO-抗原融合を発現する組み換え型リステリア株は抗腫瘍免疫性を誘発し(実施例1)、抗原特異的T細胞増殖を引き出し(実施例2)、抗原特異的で、かつ腫瘍を浸潤するT細胞を生成する(実施例3)。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、組み換え型リステリア株を被験者に投与する工程を含む被験者内の腫瘍またはガンを治療する方法を提供し、組み換え型リステリア株は、LLOタンパク質およびHPV E7抗原のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドを含み、これによって組み換え型リステリア株はE7抗原に対して免疫応答を誘発し、これによって被験者内の腫瘍またはガンを治療する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は、組み換え型ポリペプチドを発現する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0027】
一実施形態では、「組み換え型ポリペプチド」および「融合タンパク質」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0028】
別の実施形態では、本発明は腫瘍またはガンに対して被験者を保護する方法を提供し、これには組み換え型リステリア株を被験者に投与する工程を含み、組み換え型リステリア株はLLOタンパク質およびHPV E7抗原のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドを含み、これによって組み換え型リステリア株はE7抗原に対して免疫応答を誘発し、これによって腫瘍またはガンから被験者を保護する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は、組み換え型ポリペプチドを発現する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0029】
別の実施形態では、本発明は、被験者に組み換え型リステリア株を投与する工程を含む被験者内の腫瘍またはガンに対して免疫応答を誘発するための方法を提供し、組み換え型リステリア株は、LLOタンパク質およびHPV E7抗原のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドを含み、これによって被験者内の腫瘍またはガンに対する免疫応答を誘発する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は、組み換え型ポリペプチドを発現する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0030】
別の実施形態では、本発明は、組み換え型リステリア株を被験者に投与する工程を含む被験者内の腫瘍またはガンを治療する方法を提供し、組み換え型リステリア株はActAタンパク質および異種抗原のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドを含み、これによって組み換え型リステリア株は異種抗原に対する免疫応答を誘発し、これによって被験者内の腫瘍またはガンを治療する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は、組み換え型ポリペプチドを発現する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0031】
別の実施形態では、本発明は腫瘍またはガンに対して被験者を保護する方法を提供し、これには組み換え型リステリア株を被験者に投与する工程を含み、組み換え型リステリア株はActAタンパク質および異種抗原のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドを含み、これによって組み換え型リステリア株は異種抗原に対する免疫応答を誘発し、これによって腫瘍またはガンから被験者を保護する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は、組み換え型ポリペプチドを発現する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0032】
別の実施形態では、本発明は被験者内の腫瘍またはガンに対して免疫応答を誘発するための方法を提供し、これには被験者に組み換え型リステリア株を投与する工程を含み、組み換え型リステリア株は、異種タンパク質および異種抗原のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドを含み、これによって被験者内の腫瘍またはガンに対する免疫応答を誘発する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は、組み換え型ポリペプチドを発現する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0033】
別の実施形態では、N末端ActAタンパク質断片および異種抗原は相互に直接融合している。別の実施形態では、N末端ActAタンパク質断片および異種抗原をコードする遺伝子は相互に直接融合している。別の実施形態では、N末端ActAタンパク質断片および異種抗原はリンカーペプチドを介して付着している。別の実施形態では、N末端ActAタンパク質断片および異種抗原は異種ペプチドを介して付着している。別の実施形態では、N末端ActAタンパク質断片は異種抗原へのN末端である。別の実施形態では、N末端ActAタンパク質断片は、融合タンパク質のN最末端部分である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0034】
別の実施形態では、本発明は被験者内の腫瘍またはガンに対する免疫応答を誘発する方法を提供し、これには組み換え型リステリア株を被験者に投与する工程を含み、組み換え型リステリア株はPESTアミノ酸配列含有ペプチドおよび異種抗原を含む組み換え型ポリペプチドを含み、これによって組み換え型リステリア株は異種抗原に対する免疫応答を誘発し、これによって被験者内の腫瘍またはガンを治療する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は、組み換え型ポリペプチドを発現する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む。別の実施形態では、方法は、腫瘍またはガンから被験者を保護する。別の実施形態では、方法は、前記被験者内の腫瘍またはガンを治療する。
【0035】
PESTアミノ酸配列含有ペプチドおよび異種抗原は、別の実施形態では、相互に直接融合している。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列含有ペプチドおよび異種抗原をコードする遺伝子は、相互に直接融合している。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列含有ペプチドおよび異種抗原は、リンカーペプチドを介して付着している。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列含有ペプチドおよび異種抗原は、異種ペプチドを介して付着している。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列含有ペプチドは、異種抗原に対するN末端である。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列含有ペプチドは、融合タンパク質のN最末端部分である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0036】
別の実施形態では、本発明は被験者にHPVに対するワクチンを接種するための方法を提供し、これには本明細書に提供されるprfA突然変異組み換え型リステリア株を被験者に投与する工程を含み、リステリアはHPV抗原を発現し、リステリアは突然変異PrfAタンパク質を発現するプラスミドを含む。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は前記HPV抗原を含む組み換え型ポリペプチドを発現する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0037】
一実施形態では、被験者の脾臓および腫瘍微小環境内で、Tエフェクター細胞の調節性T細胞(Treg)に対する比を増加する方法が本明細書に提供されており、方法には本明細書に提供される免疫原性組成物を投与することを含む。別の実施形態では、被験者内の脾臓および腫瘍微小環境内のTエフェクター細胞の調節性T細胞(Treg)に対する比を増加することは、被験者内のより著明な抗腫瘍応答を可能にする。
【0038】
一実施形態では、本明細書に提供される突然変異PrfAタンパク質はD133Vアミノ酸突然変異を含む。別の実施形態では、突然変異PrfAタンパク質はD133Vアミノ酸突然変異から構成される。別の実施形態では、本明細書に提供される突然変異PrfAタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む核酸は、前記組み換え型リステリア内のプラスミド内にある。別の実施形態では、本明細書に提供される突然変異PrfAタンパク質をコードする核酸を含むプラスミドは、組み込みプラスミドである。別の実施形態では、本明細書に提供される突然変異PrfAタンパク質をコードする核酸を含むプラスミドは、エピソーム性プラスミドまたは染色体外プラスミドである。
【0039】
一実施形態では、本明細書に提供されるprfA突然変異組み換え型リステリアは、染色体のprfA遺伝子の部分的欠失または完全欠失を含む。別の実施形態では、prfA突然変異リステリアは、prfA遺伝子内の機能喪失型突然変異を含む。
【0040】
一実施形態では、本明細書に提供される突然変異PrfAタンパク質は、組み換え型リステリア内のprfA遺伝子でゲノムの欠失、不活性化、または突然変異を相補する。別の実施形態では、本明細書に提供される突然変異PrfAタンパク質は、本明細書に提供される組み換え型リステリア内のprfA遺伝子でゲノムの欠失、不活性化、または突然変異を相補する。別の実施形態では、本明細書に提供される突然変異PrfAタンパク質は、prfA遺伝子のゲノムの欠失、不活性化、または突然変異を含む組み換え型リステリア内で部分的なprfA機能を回復する。別の実施形態では、本明細書に提供される突然変異PrfAタンパク質は、組み換え型リステリア内でPrfA機能喪失型突然変異を回復する。
【0041】
一実施形態では、野生型PrfAタンパク質は、配列番号:31に示される以下の野生型核酸配列によってコードされる。
1 atgaacgctc aagcagaaga attcaaaaaa tatttagaaa ctaacgggat aaaaccaaaa
61 caatttcata aaaaagaact tatttttaac caatgggatc cacaagaata ttgtattttt
121 ctatatgatg gtatcacaaa gctcacgagt attagcgaga acgggaccat catgaattta
181 caatactaca aaggggcttt cgttataatg tctggcttta ttgatacaga aacatcggtt
241 ggctattata atttagaagt cattagcgag caggctaccg catacgttat caaaataaac
301 gaactaaaag aactactgag caaaaatctt acgcactttt tctatgtttt ccaaacccta
361 caaaaacaag tttcatacag cctagctaaa tttaatgatt tttcgattaa cgggaagctt
421 ggctctattt gcggtcaact tttaatcctg acctatgtgt atggtaaaga aactcctgat
481 ggcatcaaga ttacactgga taatttaaca atgcaggagt taggatattc aagtggcatc
541 gcacatagct cagctgttag cagaattatt tccaaattaa agcaagagaa agttatcgtg
601 tataaaaatt catgctttta tgtacaaaat cttgattatc tcaaaagata tgcccctaaa
661 ttagatgaat ggttttattt agcatgtcct gctacttggg gaaaattaaa ttaa(配列番号:31)
【0042】
一実施形態では、野生型PrfAタンパク質は、配列番号:32に示すアミノ酸配列を含む。
M N A Q A E E F K K Y L E T N G I K P K Q F H K K E L I F N Q W D P Q E Y C I F L Y D G I T K L T S I S E N G T I M N L Q Y Y K G A F V I M S G F I D T E T S V G Y Y N L E V I S E Q A T A Y V I K I N E L K E L L S K N L T H F F Y V F Q T L Q K Q V S Y S L A K F N D F S I N G K L G S I C G Q L L I L T Y V Y G K E T P D G I K I T L D N L T M Q E L G Y S S G I A H S S A V S R I I S K L K Q E K V I V Y K N S C F Y V Q N L D Y L K R Y A P K L D E W F Y L A C P A T W G K L N(配列番号:32)。
【0043】
一実施形態では、突然変異prfA配列をコードする核酸配列を配列番号:33に示す。
1 atgaacgctc aagcagaaga attcaaaaaa tatttagaaa ctaacgggat aaaaccaaaa
61 caatttcata aaaaagaact tatttttaac caatgggatc cacaagaata ttgtattttt
121 ctatatgatg gtatcacaaa gctcacgagt attagcgaga acgggaccat catgaattta
181 caatactaca aaggggcttt cgttataatg tctggcttta ttgatacaga aacatcggtt
241 ggctattata atttagaagt cattagcgag caggctaccg catacgttat caaaataaac
301 gaactaaaag aactactgag caaaaatctt acgcactttt tctatgtttt ccaaacccta
361 caaaaacaag tttcatacag cctagctaaa tttaatgttt tttcgattaa cgggaagctt
421 ggctctattt gcggtcaact tttaatcctg acctatgtgt atggtaaaga aactcctgat
481 ggcatcaaga ttacactgga taatttaaca atgcaggagt taggatattc aagtggcatc
541 gcacatagct cagctgttag cagaattatt tccaaattaa agcaagagaa agttatcgtg
601 tataaaaatt catgctttta tgtacaaaat cgtgattatc tcaaaagata tgcccctaaa
661 ttagatgaat ggttttattt agcatgtcct gctacttggg gaaaattaaa ttaa(配列番号:33)
【0044】
一実施形態では、本明細書に提供される突然変異PrfAタンパク質は、配列番号:34に示すアミノ酸配列を含む。
M N A Q A E E F K K Y L E T N G I K P K Q F H K K E L I F N Q W D P Q E Y C I F L Y D G I T K L T S I S E N G T I M N L Q Y Y K G A F V I M S G F I D T E T S V G Y Y N L E V I S E Q A T A Y V I K I N E L K E L L S K N L T H F F Y V F Q T L Q K Q V S Y S L A K F N V F S I N G K L G S I C G Q L L I L T Y V Y G K E T P D G I K I T L D N L T M Q E L G Y S S G I A H S S A V S R I I S K L K Q E K V I V Y K N S C F Y V Q N R D Y L K R Y A P K L D E W F Y L A C P A T W G K L N(配列番号:34)。別の実施形態では、配列番号:34は、D133V突然変異を含む突然変異PrfAタンパク質を表す。別の実施形態では、突然変異PrfAタンパク質は配列番号:34と相同であり、D133V突然変異を含む。別の実施形態では、突然変異PrfAタンパク質は、配列番号:34と少なくとも90%相同であり、D133V突然変異を含む。別の実施形態では、突然変異PrfAタンパク質は、配列番号:34と少なくとも85%相同であり、D133V突然変異を含む。
【0045】
別の実施形態では、被験者はHPV媒介性発ガン現象(例えば、子宮頸ガン、頭頸部ガン、または肛門ガン)を発症する危険性がある。別の実施形態では、被験者はHPV陽性である。
【0046】
別の実施形態では、被験者は子宮頸部上皮内腫瘍を呈する。別の実施形態では、被験者は扁平上皮内病変を呈する。別の実施形態では、被験者は子宮頸部に異形成を呈する。
【0047】
本発明の方法の標的であるHPVは、別の実施形態ではHPV16である。別の実施形態では、HPVはHPV-18である。別の実施形態では、HPVはHPV-16およびHPV-18から選択される。別の実施形態では、HPVはHPV-31である。別の実施形態では、HPVはHPV-35である。別の実施形態では、HPVはHPV-39である。別の実施形態では、HPVはHPV-45である。別の実施形態では、HPVはHPV-51である。別の実施形態では、HPVはHPV-52である。別の実施形態では、HPVはHPV-58である。別の実施形態では、HPVは高リスクHPVタイプである。別の実施形態では、HPVは粘膜HPVタイプである。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0048】
別の実施形態では、本発明は対象となる抗原に対して被験者にワクチン接種する方法を提供し、方法は免疫原性ペプチドの対象抗原への融合物を含む免疫原性組成物を被験者に静脈内投与する工程を含み、免疫原性ペプチドは、(a)LLOタンパク質のN末端断片、(b)ActAタンパク質またはそのN末端断片、および(c)PESTアミノ酸配列含有ペプチドから選択され、これによって被験者に対象抗原に対するワクチン接種をする。
【0049】
別の実施形態では、本発明は対象抗原に対するワクチンを被験者に接種する方法を提供し、方法は組み換え型ポリペプチドを含む組み換え型リステリア株を被験者に静脈内投与する工程を含み、組み換え型ポリペプチドは対象抗原に融合した免疫原性ペプチドを含み、免疫原性ペプチドは、(a)LLOタンパク質のN末端断片、(b)ActAタンパク質またはそのN末端断片、および(c)PESTアミノ酸配列含有ペプチドから選択され、これによって被験者に対象抗原に対するワクチン接種をする。
【0050】
別の実施形態では、本発明は被験者内に対象抗原に対するCTL応答を誘発する方法を提供し、方法は対象抗原を含むまたは発現する組み換え型リステリア株を被験者に投与する工程を含み、これによって被験者内に対象抗原に対するCTL応答を誘発する。別の実施形態では、投与する工程は、静脈内投与または経口投与である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0051】
本明細書に提供されるように、LLO-抗原融合を発現する組み換え型リステリア株は抗腫瘍免疫性を誘発し(実施例1)、抗原特異的T細胞増殖を引き出し(実施例2)、抗原特異的で、かつ腫瘍を浸潤するT細胞を生成する(実施例3)。したがって、本発明のワクチンは、HPV抗原E7およびE6に対して免疫応答を誘発するのに有効である。
【0052】
別の実施形態では、本発明は被験者内のガンの退行を誘発する方法を提供し、これには本明細書に提供される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0053】
別の実施形態では、本発明は被験者内のガンの再発の発生率を減少する方法を提供し、これには本明細書に提供される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0054】
別の実施形態では、本発明は被験者内での腫瘍の形成を抑制する方法を提供し、これには本明細書に提供される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0055】
別の実施形態では、本発明は被験者内のガンの寛解を誘発する方法を提供し、これには本明細書に提供される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0056】
別の実施形態では、本発明は被験者内の腫瘍成長を妨げる方法を提供し、これには本明細書に提供される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0057】
別の実施形態では、本発明は被験者内の腫瘍の大きさを減少する方法を提供し、これには本明細書に提供される組み換え型リステリア株を含む組成物を被験者に投与する工程を含む。
【0058】
一実施形態では、疾患は感染性疾患、自己免疫疾患、呼吸器疾患、前ガン状態、またはガンである。
【0059】
「前ガン状態」という用語が、異形成、新生物発生前結節;マクロ再生結節(macroregenerative nodule、MRN);軽度異形成結節(LG-DN);高度異形成結節(HG
-DN);胆管上皮異形成;変性肝細胞の病巣(FAH);変性肝細胞の結節(NAH);染色体不均衡;テロメラーゼの異常活性化;テロメラーゼの触媒サブユニットの再発現;CD31、CD34、およびBNH9などの内皮細胞マーカーの発現を包含する場合があることを当業者は良好に理解するであろう(例えば、Terracciano and
Tomillo(2003)Pathologica 95:71-82;Su and Bannasch(2003)Toxicol.Pathol.31:126-133;Rocken and Carl-McGrath(2001)Dig.Dis.19:269-278;Kotoula、et al.(2002)Liver 22:57-69;Frachon、et al.(2001)J. Hepatol.34:850-857;Shimonishi、et al.(2000)J. Hepatobiliary Pancreat.Surg.7:542-550;Nakanuma、et al.(2003)J. Hepatobiliary Pancreat.Surg.10:265-281を参照のこと)。ガンおよび異形成を診断するための方法は開示されている(例えば、Riegler(1996)Semin.Gastrointest.Dis.7:74-87;Benvegnu、et al.(1992)Liver12:80-83;Giannini、et al.(1987)Hepatogastroenterol.34:95-97;Anthony(1976)Cancer
Res.36:2579-2583を参照のこと)。
【0060】
一実施形態では、感染性疾患は以下の病原体(しかしこれに限定されない)のうちの1つによって生じたものである。BCG/結核、マラリア、熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、ロタウイルス、コレラ、ジフテリア-破傷風、百日咳、インフルエンザ菌、B型肝炎、ヒトパピローマウイルス、季節性インフルエンザ)、汎発性インフルエンザA(H1N1)、麻疹および風疹、おたふく風邪、髄膜炎菌A+C、経口ポリオワクチン、一価、二価、および三価、肺炎球菌、狂犬病、破傷風トキソイド、黄熱病、バチルス・アントラシス(炭疽菌)、クロストリジウム・ボツリヌス毒素(ボツリヌス中毒症)、エルシニア・ペスチス(ペスト)、大痘瘡(天然痘)、および他の関連するポックスウイルス、フランシセラ・ツラレンシス(野兎病)、ウイルス性出血熱、アレナウイルス(LCM、フニンウイルス、マチュポウイルス、グアナリトウイルス、ラッサ熱)、ブニヤウイルス(ハンタウイルス、リフトバレー熱)、フラビウイルス(デング)、フィロウイルス(エボラ、マールブルグ)、バークホルデリア・シェードマレイ、コクシエラ・バーネティー(Q熱)、ブルセラ種(ブルセラ症)、バークホルデリア・マレイ(鼻疽)、クラミジア・シタッシ(オウム病)、リシン毒素(リシナス・コンムニス由来)、クロストリジウム・パーフリンゲンのイプシロン毒素、スタフィロコッカス・エンテロトキシンB、発疹チフス(リケッチア・プロワゼキ)、他のリケッチア食品由来および水由来の病原体、細菌(下痢原性大腸菌、病原性ビブリオ、シゲラ種、サルモネラBCG/、カンピロバクター・ジェジュニ、エルシニア・エンテロコリチカ)、ウイルス(カルシウイルス、A型肝炎、西ナイルウイルス、ラクロス、カリフォルニア脳炎、VEE、EEE、WEE、日本脳炎ウイルス、キャサヌールフォレストウイルス、ニパウイルス、ハンタウイルス、ダニ媒介出血熱ウイルス、チクングニアウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV))、原虫(クリプトスポリジウム・パルバム、シクロスポラ・カイエタネンシス、ランブル鞭毛虫、赤痢アメーバ、トキソプラズマ)、真菌類(微胞子虫)、黄熱病、薬剤耐性TBを含む結核、狂犬病、プリオン、コロナウイルスに関連付けられた重症急性呼吸器症候(SARS-CoV)、コクシジオイデス・ポサダシ、コクシジオイデス・イミチス、細菌性腟症、トラコーマクラミジア、サイトメガロウイルス、鼠径肉芽腫、軟性下疳菌、淋菌、梅毒トレポネーマ、腟トリコモナス、または本明細書に列挙されていない当該技術分野で既知の任意の他の感染性疾患。
【0061】
別の実施形態では、感染性疾患は、家畜の感染性疾患である。別の実施形態では、家畜の疾患は、人間に伝染する可能性があり、「人獣共通感染症」と呼ばれる。別の実施形態では、これらの疾患としては、口蹄疫、西ナイルウイルス、狂犬病、イヌパルボウイルス、ネコ白血病ウイルス、ウマインフルエンザウイルス、ウシ感染性鼻気管炎(IBR)、仮性狂犬病、ブタコレラ(CSF)、牛の1型ウシヘルペスウイルス(BHV-1)感染によって生じるIBR、および豚の仮性狂犬病(オーエスキー病)、トキソプラズマ症、炭疽病、水疱性口内炎ウイルス、ロドコッカス・エクイ、野兎病、ペスト(エルシニア・ペスチス)、トリコモナスが挙げられるがこれらに限定されない。
【0062】
別の実施形態では、本明細書に提供される疾患は呼吸器または炎症性疾患である。別の実施形態では、呼吸器または炎症性疾患は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。別の実施形態では、疾患は喘息である。
【0063】
一実施形態では、生きた弱毒化リステリア株は、抗炎症剤または気管支拡張剤などの他の治療薬を同時投与せずに喘息の症状を軽減する能力を有する。別の実施形態では、本明細書に提供される方法は、被験者に生きた弱毒化リステリア株および1つ以上の治療薬を同時投与する工程をさらに含む。別の実施形態では、治療薬は抗喘息薬である。別の実施形態では、薬剤は抗炎症剤、非ステロイド抗炎症剤、抗生物質、抗コリン剤、気管支拡張剤、副腎皮質ステロイド、短時間作用型β作動薬、長時間作用型β作動薬、組み合わせ吸入器、抗ヒスタミン剤、またはこれらの組合せである。
【0064】
一実施形態では、疾患はガンまたは腫瘍である。一実施形態では、この腫瘍はガン性である。別の実施形態では、このガンは乳ガンである。別の実施形態では、このガンは子宮頸ガンである。別の実施形態では、このガンはHer2を含有するガンである。別の実施形態では、このガンはメラノーマである。別の実施形態では、このガンは膵臓ガンである。別の実施形態では、このガンは卵巣ガンである。別の実施形態では、このガンは胃ガンである。別の実施形態では、このガンは膵臓のガンの病巣である。別の実施形態では、このガンは肺腺ガンである。別の実施形態では、これは多形性膠芽腫である。別の実施形態では、このガンは大腸腺ガンである。別の実施形態では、このガンは肺扁平上皮腺ガンである。別の実施形態では、このガンは胃腺ガンである。別の実施形態では、このガンは卵巣表面の上皮性新生物(例えば、良性、増殖性、またはその悪性の変種)である。別の実施形態では、このガンは口腔扁平上皮ガンである。別の実施形態では、このガンは非小細胞肺ガンである。別の実施形態では、このガンは子宮内膜ガンである。別の実施形態では、このガンは膀胱ガンである。別の実施形態では、このガンは頭頸部ガンである。別の実施形態では、このガンは前立腺ガンである。別の実施形態では、このガンは口腔咽頭ガンである。別の実施形態では、このガンは肺ガンである。別の実施形態では、このガンは肛門ガンである。別の実施形態では、このガンは大腸ガンである。別の実施形態では、このガンは食道ガンである。本発明の方法によって標的化される子宮頚腫瘍は、別の実施形態では、扁平上皮ガンである。別の実施形態では、この子宮頸腫瘍は腺ガンである。別の実施形態では、子宮頸腫瘍は腺扁平上皮ガンである。別の実施形態では、この子宮頸腫瘍は小細胞ガンである。別の実施形態では、この子宮頸腫瘍は、当該技術分野で既知の任意の他のタイプの子宮頸腫瘍である。
【0065】
本発明の方法によって標的化される子宮頚腫瘍は、一実施形態では、扁平上皮ガンである。別の実施形態では、この子宮頸腫瘍は腺ガンである。別の実施形態では、子宮頸腫瘍は腺扁平上皮ガンである。別の実施形態では、この子宮頸腫瘍は小細胞ガンである。別の実施形態では、この子宮頸腫瘍は、当該技術分野で既知の任意の他のタイプの子宮頸腫瘍である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0066】
一実施形態では、「腫瘍抗原」、「抗原性ポリペプチド」、または「外来抗原」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、血管形成抗原、または感染性疾患抗原を含む。別の実施形態では、本明細書に提供される抗原は、自己抗原であり、これは宿主内に存在するが、免疫寛容のために宿主はこれに対する免疫応答を引き出さない。
【0067】
一実施形態では、抗原は、ヒトパピローマウイルス-E7(HPV-E7)抗原であり、これは一実施形態では、HPV16(一実施形態では、GenBankアクセッション番号AAD33253)由来であり、また別の実施形態では、HPV18(一実施形態では、GenBankアクセッション番号P06788)由来である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはHPV-E6であり、これは一実施形態では、HPV16(一実施形態では、GenBankアクセッション番号AAD33252、AAM51854、AAM51853、またはAAB67615)由来であり、また別の実施形態ではHPV18(一実施形態では、GenBankアクセッション番号P06463)由来である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドは、Her/2-neu抗原である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドは前立腺特異抗原(PSA)(一実施形態では、GenBankアクセッション番号CAD30844、CAD54617、AAA58802、またはNP-001639)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドは角質層キモトリプシン様酵素(SCCE)抗原(一実施形態では、GenBankアクセッション番号AAK69652、AAK69624、AAG33360、AAF01139、またはAAC37551)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはウィルムス腫瘍抗原1であり、これは別の実施形態では、WT-1テロメラーゼ(GenBankアクセッション番号P49952、P22561、NP-659032、CAC39220.2、またはEAW68222.1)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはhTERTまたはテロメラーゼ(GenBankアクセッション番号NM003219(変異型1)、NM198255(変異型2)、NM198253(変異型3)、またはNM198254(変異型4)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはプロテイナーゼ3(一実施形態では、GenBankアクセッション番号M29142、M75154、M96839、X55668、NM00277、M96628、またはX56606)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはチロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2)(一実施形態では、GenBankアクセッション番号NP-001913、ABI73976、AAP33051、またはQ95119)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドは高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)(一実施形態では、GenBankアクセッション番号NP-001888、AAI28111、またはAAQ62842)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはテスティシン(一実施形態では、GenBankアクセッション番号AAF79020、AAF79019、AAG02255、AAK29360、AAD41588、またはNP-659206)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはNY-ESO-1抗原(一実施形態では、GenBankアクセッション番号CAA05908、P78358、AAB49693、またはNP-640343)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはPSCA(一実施形態では、GenBankアクセッション番号AAH65183、NP-005663、NP-082492、O43653、またはCAB97347)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはインターロイキン(IL)13受容体α(一実施形態では、GenBankアクセッション番号NP-000631、NP-001551、NP-032382、NP-598751、NP-001003075、またはNP-999506)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドは炭酸脱水酵素IX(CAIX)(一実施形態では、GenBankアクセッション番号CAI13455、CAI10985、EAW58359、NP-001207、NP-647466、またはNP-001101426)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはガン胎児性抗原(CEA)(一実施形態では、GenBankアクセッション番号AAA66186、CAA79884、CAA66955、AAA51966、AAD15250、またはAAA51970.)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはMAGE-A(一実施形態では、GenBankアクセッション番号NP-786885、NP-786884、NP-005352、NP-004979、NP-005358、またはNP-005353)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはサバイビン(一実施形態では、GenBankアクセッション番号AAC51660、AAY15202、ABF60110、NP-001003019、またはNP-001082350)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドはGP100(一実施形態では、GenBankアクセッション入番号AAC60634、YP-655861、またはAAB31176)である。別の実施形態では、抗原性ポリペプチドは当該技術分野で既知の任意の他の抗原性ポリペプチドである。別の実施形態では、組成物および本発明の方法の抗原性ペプチドは抗原性ポリペプチドの免疫原性部分を含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0068】
別の実施形態では、抗原はテロメラーゼ(TERT)である。別の実施形態では、抗原はLMP-1である。別の実施形態では、抗原はp53である。別の実施形態では、抗原はメソテリンである。別の実施形態では、抗原はEGFRVIIIである。別の実施形態では、抗原は炭酸脱水酵素IX(CAIX)である。別の実施形態では、抗原はPSMAである。別の実施形態では、抗原はHMW-MAAである。別の実施形態では、抗原はHIV-1Gagである。別の実施形態では、抗原はチロシナーゼ関連タンパク質2である。別の実施形態では、抗原は、Her-2、HIV-1 Gag、LMP-1、p53、PSMA、ガン胎児性抗原(CEA)、LMP-1、カリクレイン関連ペプチダーゼ3(KLK3)、KLK9、Muc、チロシナーゼ関連タンパク質2、Muc1、FAP、IL-13Rα2、PSA(前立腺特異的な抗原)、gp-100、熱ショックタンパク質70(HSP-70)、β-HCG、EGFR-III、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、アンジオゲニン、アンジオポエチン-1、Del-1、線維芽細胞成長因子:酸性(aFGF)もしくは塩基性(bFGF)、フォリスタチン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、肝細胞成長因子(HGF)/分散因子(SF)、インターロイキン-8(IL-8)、レプチン、ミッドカイン、胎盤成長因子、血小板由来内皮細胞成長因子(PD-ECGF)、血小板由来成長因子-BB(PDGF-BB)、プレイオトロフィン(PTN)、プログラヌリン、プロリフェリン、形質転換成長因子-α(TGF-α)、形質転換成長因子-β(TGF-β)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、血管内皮成長因子(VEGF)/血管透過性因子(VPF)、VEGFR、VEGFR2(KDR/FLK-1)もしくはその断片、FLK-1もしくはそのエピトープ、FLK-E1、FLK-E2、FLK-I1、エンドグリンもしくはその断片、ニューロピリン1(NRP-1)、アンジオポエチン1(Ang1)、Tie2、血小板由来成長因子(PDGF)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、形質転換成長因子-β(TGF-β)、エンドグリン、TGF-β受容体、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、VE-カドヘリン、CD31、エフリン、ICAM-1、V-CAM-1、VAP-1、E-セレクチン、プラスミノーゲン活性化剤、プラスミノーゲン活性化剤阻害剤-1、一酸化窒素シンターゼ(NOS)、COX-2、AC133、もしくはId1/Id3、アンジオポエチン3、アンジオポエチン4、アンジオポエチン6、CD105、EDG、HHT1、ORW、ORW1もしくはTGFβ共受容体、またはこれらの組合せから選択される。一実施形態では、抗原は米国特出願公開第2011/0142791号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記述されるキメラHer2/neu抗原である。本明細書に提供される抗原の断片の使用も本発明に包含される。
【0069】
別の実施形態では、本明細書に提供される腫瘍抗原は腫瘍関連抗原であり、これは、一実施形態では、以下の腫瘍抗原のうちの1つである。MAGE(メラノーマ関連抗原E)タンパク質、例えば、MAGE 1、MAGE 2、MAGE 3、MAGE 4、チロシナーゼ;突然変異rasタンパク質;突然変異p53タンパク質;進行ガンと関連付けられたp97メラノーマ抗原、rasペプチドもしくはp53ペプチド;子宮頸ガンと関連付けられたHPV16/18抗原、乳ガンと関連付けられたKLH抗原、大腸ガンと関連付けられたCEA(ガン胎児抗原)、メラノーマと関連付けられたMART1抗原、または前立腺ガンと関連付けられたPSA抗原。別の実施形態では、本明細書に提供される組成物および方法のための抗原はメラノーマ-関連抗原であり、これは、一実施形態では、TRP-2、MAGE-1、MAGE-3、gp-100、チロシナーゼ、HSP-70、β-HCG、またはこれらの組合せである。当業者であれば、本明細書に記述されていないが当該技術分野で既知の任意の異種抗原を、本明細書に提供される方法および組成物で使用できるであろうことが理解される。本発明は、明細書に開示される抗原のうちの少なくとも1つをコードする核酸を含む弱毒化されたリステリアを提供するが、これによって限定されないことも理解するべきである。本発明は、開示されている抗原の突然変異体、突然変異タンパク質、スプライス変異型、断片、切断変異型、可溶性変異型、細胞外ドメイン、細胞内ドメイン、成熟配列、およびこれに類するものをコードする核酸を包含する。これらの抗原のエピトープ、オリゴ、およびポリペプチドをコードする核酸を提供する。リステリア内での発現を最適化した、コドン最適化実施形態も提供する。引用した参考文献、GenBankアクセッション番号、ならびに本明細書に開示される核酸、ペプチド、およびポリペプチドは、すべて参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、選択された核酸配列は全長の遺伝子または切断遺伝子、融合遺伝子またはタグ付き遺伝子をコードすることができ、これはcDNA、ゲノムDNA、またはDNA断片とすることができ、好ましくはcDNAとすることができる。これを突然変異することができ、または所望により別の方法で修飾することができる。これらの修飾は、選択された宿主細胞または細菌、すなわち、リステリア内でコドンの使用を最適化するためのコドン最適化を含む。選択された配列は分泌されたポリペプチド、細胞質ポリペプチド、核ポリペプチド、膜結合型ポリペプチド、または細胞表面ポリペプチドをコードすることもできる。
【0070】
一実施形態では、血管内皮成長因子(VEGF)は、脈管形成(胚循環系の形成)および血管形成(既存の血管系からの血管の成長)の両方に関与する重要なシグナリングタンパク質である。一実施形態では、VEGF活性は、主に脈管内皮の細胞に制限されるが、これは限られた数の他の細胞タイプ(例えば、刺激単球/マクロファージ遊走)にも効果を有する。インビトロでは、VEGFは内皮細胞有糸分裂誘発および細胞遊走の刺激を示している。VEGFは、微小血管の透過性も強化するので、これはしばしば脈管透過性因子と称される。
【0071】
一実施形態では、VEGFファミリーのすべてのメンバーは、細胞表面上でチロシンキナーゼ受容体(VEGFR)へと結合することによって細胞応答を刺激し、これらを二量体化させ、トランスリン酸化を通して活性化させる。VEGF受容体は、7つの免疫グロブリン様ドメイン、単一の膜貫通領域、および分割したチロシンキナーゼドメインを含有する細胞内部分から構成される細胞外部分を有する。
【0072】
一実施形態では、VEGF-Aは、VEGFR-2(KDR/Flk-1)リガンド、ならびにVEGFR-1(Flt-1)リガンドである。一実施形態では、VEGFR-はVEGFに対する既知のほとんどの細胞応答を媒介する。VEGFR-1の機能はあまりよく定義されていないが、一実施形態ではVEGFのVEGFR-2結合からの隔離を通してVEGFR-2シグナル伝達を調節すると考えられており、一実施形態では、これは胎芽内での脈管形成の間特に重要である。一実施形態では、VEGF-CおよびVEGF-Dは、VEGFR-3受容体のリガンドであり、これは、一実施形態では、リンパ脈管形成を媒介する。
【0073】
一実施形態では、本発明の抗原はVEGF受容体またはその断片であり、これは、一実施形態では、VEGFR-2であり、また別の実施形態では、VEGFR-1であり、さらに別の実施形態では、VEGFR-3である。
【0074】
一実施形態では、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)は活性化した内皮細胞(EC)上で高度に発現され、新しい血管の形成に関与している。一実施形態では、VEGFR2はVEGFの5つのアイソフォームすべてを結合する。一実施形態では、EC上のVEGFR2を通したVEGFのシグナル伝達は増殖、遊走、および最終的な分化を誘発する。一実施形態では、VEGFR2のマウスホモログは胎児肝臓キナーゼ遺伝子-1(Flk-1)であり、これは強力な治療標的であり、また腫瘍増殖、浸潤、および転移において重要な役割を有する。一実施形態では、VEGFR2は、キナーゼインサートドメイン受容体(タイプIII受容体チロシンキナーゼ)(KDR)、表面抗原分類309(CD309)、FLK1、Ly73、Krd-1、VEGFR、VEGFR-2、または6130401C07とも称される。
【0075】
別の実施形態では、抗原は、菌類病原体、細菌、寄生虫、蠕虫、またはウイルスに由来する。別の実施形態では、抗原は、破傷風トキソイド、インフルエンザウイルスからの血球凝集素分子、ジフテリアトキソイド、HIV gp120、HIV gagタンパク質、IgAプロテアーゼ、インシュリンペプチドB、粉状そうか病菌抗原、ビブリオ症菌抗原、サルモネラ抗原、肺炎球菌抗原、呼吸器合胞体ウイルス抗原、インフルエンザ菌外膜タンパク質、ヘリコバクター・ピロリ菌ウレアーゼ、髄膜炎菌ピリン、淋菌ピリン、メラノーマ-関連抗原(TRP-2、MAGE-1、MAGE-3、gp-100、チロシナーゼ、MART-1、HSP-70、β-HCG)、タイプHPV-16、-18、-31、-33、-35、または-45からのヒトパピローマウイルス抗原E1およびE2、腫瘍抗原CEA、突然変異したまたはしていないrasタンパク質、突然変異したまたはしていないp53タンパク質、Muc1、またはpSAから選択される。
【0076】
他の実施形態では、抗原は以下の疾患のうちの1つと関連付けられる。コレラ、ジフテリア、ヘモフィルス、A型肝炎、B型肝炎、インフルエンザ、麻疹、髄膜炎、おたふく風邪、百日咳、天然痘、肺炎球菌性肺炎、ポリオ、狂犬病、風疹、破傷風、結核、腸チフス、水痘帯状疱疹、百日咳3、黄熱病、アジソン病由来のイムノゲンおよび抗原、アレルギー、アナフィラキシー、ブルートン症候群、固形および血液由来の腫瘍を含むガン、湿疹、橋本甲状腺炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、後天性免疫不全症候群、腎臓、心臓、すい臓、肺、骨、および肝臓などの移植拒否反応、グレーブス病、多内分泌自己免疫疾患、肝炎、顕微鏡的多発性動脈炎、結節性多発動脈炎、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変症、悪性貧血、セリアック病、抗体媒介性腎炎、糸球体腎炎、リウマチ性疾患、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、血清反応陰性脊椎関節症、鼻炎、シェーグレン症候群、全身性硬化症、硬化性胆管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、疱疹状皮膚炎、乾癬、白斑、多発性硬化症、脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、ランバート・イートン筋無力症候群、強膜、上強膜、ブドウ膜炎、慢性粘膜皮膚カンジダ症、じんましん、乳児一過性低ガンマグロブリン血症、骨髄腫、X連鎖高Igm症候群、ウィスコット・アルドリッチ症候群、毛細血管拡張性運動失調症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性好中球減少症、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、アミロイド症、慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、マラリアのスポロゾイト周囲タンパク、微生物抗原、ウイルス抗原、自己抗原、およびリステリア症。
【0077】
別の実施形態では、子宮頸ガンを治療する、子宮頸ガンから保護する、または子宮頸ガンに対する免疫応答を誘発するための本発明の方法で、E7抗原の代わりに、またはE7抗原に加えてHPV E6抗原が利用される。
【0078】
別の実施形態では、子宮頸ガンを治療する、子宮頸ガンから保護する、または子宮頸ガンに対する免疫応答を誘発するための本発明の方法で、LLO断片の代わりに、またはLLO断片に加えてActAタンパク質断片が利用される。
【0079】
別の実施形態では、子宮頸ガンを治療する、子宮頸ガンから保護する、または子宮頸ガンに対する免疫応答を誘発するための本発明の方法で、LLO断片の代わりに、またはLLO断片に加えてPESTアミノ酸配列含有タンパク質断片が利用される。
【0080】
別の実施形態では、本発明は被験者内で抗E7細胞毒性T細胞(CTL)応答を誘発するための方法を提供し、これには組み換え型リステリア株を被験者に投与する工程を含み、組み換え型リステリア株はLLOタンパク質およびHPV E7抗原のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドを含み、これによって被験者内で抗E7 CTL応答を誘発する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む。別の実施形態では、方法は本発明の組み換え型リステリア株を用いて被験者をブーストする工程をさらに含む。別の実施形態では、方法はE7抗原を含む免疫原性組成物を用いて被験者をブーストする工程をさらに含む。別の実施形態では、方法は被験者の細胞がE7抗原を発現するように導く免疫原性組成物を用いて被験者をブーストする工程をさらに含む。別の実施形態では、CTL応答は、HPV媒介性疾患、HPV媒介性障害、またはHPV媒介性症状に対して治療有効性の能力を有する。別の実施形態では、CTL応答は、HPV媒介性疾患、HPV媒介性障害、またはHPV媒介性症状に対して予防的有効性の能力を有する。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0081】
別の実施形態では、本発明は、被験者のHPV媒介性疾患、HPV媒介性障害、またはHPV媒介性症状を治療または改善する方法を提供し、これには組み換え型リステリア株を被験者に投与する工程を含み、組み換え型リステリア株は、LLOタンパク質およびHPV E7抗原のN末端断片を含む組み換え型ポリペプチドを含み、これによって組み換え型リステリア株はE7抗原に対して免疫応答を誘発し、これによって被験者内のHPV媒介性疾患、HPV媒介性障害、またはHPV媒介性症状を治療または改善する。別の実施形態では、被験者はヒト被験者である。別の実施形態では、被験者はヒト以外の哺乳類である。別の実施形態では、被験者は当該技術分野で既知の任意の他のタイプの被験者である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0082】
別の実施形態では、HPV媒介性疾患、HPV媒介性障害、またはHPV媒介性症状は、陰部疣贅である。別の実施形態では、HPV媒介性疾患、HPV媒介性障害、またはHPV媒介性症状は、非陰部疣贅である。別の実施形態では、HPV媒介性疾患、HPV媒介性障害、またはHPV媒介性症状は、呼吸器パピローマである。別の実施形態では、HPV媒介性疾患、HPV媒介性障害、またはHPV媒介性症状は、当該技術分野で既知の任意の他のHPV媒介性疾患、HPV媒介性障害、またはHPV媒介性症状である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0083】
本発明の方法および組成物の抗原は、別の実施形態では、HPV E7タンパク質である。別の実施形態では、抗原はHPV E6タンパク質である。別の実施形態では、抗原は当該技術分野で既知の任意の他のHPVタンパク質である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0084】
「E7抗原」は、別の実施形態では、E7タンパク質を指す。別の実施形態では、この用語はE7断片を指す。別の実施形態では、この用語はE7ペプチドを指す。別の実施形態では、この用語は当該技術分野で既知の任意の他のタイプのE7抗原を指す。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0085】
本発明の方法および組成物のE7タンパク質は、別の実施形態では、HPV 16 E7タンパク質である。別の実施形態では、E7タンパク質はHPV-18 E7タンパク質である。別の実施形態では、E7タンパク質は、HPV-31 E7タンパク質である。別の実施形態では、E7タンパク質は、HPV-35 E7タンパク質である。別の実施形態では、E7タンパク質は、HPV-39 E7タンパク質である。別の実施形態では、E7タンパク質は、HPV-45 E7タンパク質である。別の実施形態では、E7タンパク質は、HPV-51 E7タンパク質である。別の実施形態では、E7タンパク質は、HPV-52 E7タンパク質である。別の実施形態では、E7タンパク質は、HPV-58 E7タンパク質である。別の実施形態では、E7タンパク質は、高リスクHPVタイプのE7タンパク質である。別の実施形態では、E7タンパク質は、粘膜HPVタイプのE7タンパク質である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0086】
「E6抗原」は、別の実施形態では、E6タンパク質を指す。別の実施形態では、この用語はE6断片を指す。別の実施形態では、この用語はE6ペプチドを指す。別の実施形態では、この用語は当該技術分野で既知の任意の他のタイプのE6抗原を指す。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0087】
本発明の方法および組成物のE6タンパク質は、別の実施形態では、HPV 16 E6タンパク質である。別の実施形態では、E6タンパク質はHPV-18 E6タンパク質である。別の実施形態では、E6タンパク質はHPV-31 E6タンパク質である。別の実施形態では、E6タンパク質はHPV-35 E6タンパク質である。別の実施形態では、E6タンパク質はHPV-39 E6タンパク質である。別の実施形態では、E6タンパク質はHPV-45 E6タンパク質である。別の実施形態では、E6タンパク質はHPV-51 E6タンパク質である。別の実施形態では、E6タンパク質はHPV-52 E6タンパク質である。別の実施形態では、E6タンパク質はHPV-58 E6タンパク質である。別の実施形態では、E6タンパク質は、高リスクHPVタイプのE6タンパク質である。別の実施形態では、E6タンパク質は、粘膜HPVタイプのE6タンパク質である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0088】
一実施形態では、E6抗原とE7抗原との組み合せが本明細書に提供される「異種抗原」の範囲内に入ることが企図される。
【0089】
別の実施形態では、本発明の方法および組成物によって誘発される免疫応答はT細胞応答である。別の実施形態では、免疫応答は細胞毒性T細胞応答を含む。別の実施形態では、免疫応答はT細胞応答を含む。別の実施形態では、応答はCD8+T細胞応答である。別の実施形態では、応答はCD8+T細胞応答を含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0090】
別の実施形態では、本発明の方法および組成物のN末端LLOタンパク質断片は配列番号:2を含む。別の実施形態では、断片はLLOシグナルペプチドを含む。別の実施形態では、断片は配列番号:2を含む。別の実施形態では、断片は配列番号:2をほぼ含む。別の実施形態では、断片は配列番号:2を本質的に含む。別の実施形態では、断片は配列番号:2に対応する。別の実施形態では、断片は配列番号:2と相同である。別の実施形態では、断片は配列番号:2の断片と相同である。いくつかの実施例で使用されるΔLLOは、システイン484を含有する活性化ドメインを含むアミノ末端からの88個の残基が切断されるので、416 AA長さ(単一配列を含まない)である。活性化ドメインを有しない、そして特にシステイン484を有しない任意のΔLLOは本発明の方法および組成物のために好適であることが当業者には明らかであろう。別の実施形態では、E7および/またはE6抗原の、PESTアミノ酸AA配列、配列番号:1を含む任意のΔLLOへの融合は、媒介される細胞および抗原の抗腫瘍免疫性を強化する。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0091】
本発明のワクチンを構築するために利用されるLLOタンパク質は、別の実施形態では、以下の配列を持つ:
MKKIMLVFITLILVSLPIAQQTEAKDASAFNKENSISSMAPPASPPASPKTPIEKKHADEIDKYIQGLDYNKNNVLVYHGDAVTNVPPRKGYKDGNEYIVVEKKKKSINQNNADIQVVNAISSLTYPGALVKANSELVENQPDVLPVKRDSLTLSIDLPGMTNQDNKIVVKNATKSNVNNAVNTLVERWNEKYAQAYPNVSAKIDYDDEMAYSESQLIAKFGTAFKAVNNSLNVNFGAISEGKMQEEVISFKQIYYNVNVNEPTRPSRFFGKAVTKEQLQALGVNAENPPAYISSVAYGRQVYLKLSTNSHSTKVKAAFDAAVSGKSVSGDVELTNIIKNSSFKAVIYGGSAKDEVQIIDGNLGDLRDILKKGATFNRETPGVPIAYTTNFLKDNELAVIKNNSEYIETTSKAYTDGKINIDHSGGYVAQFNISWDEVNYDPEGNEIVQHKNWSENNKSKLAHFTSSIYLPGNARNINVYAKECTGLAWEWWRTVIDDRNLPLVKNRNISIWGTTLYPKYSNKVDNPIE(GenBankアクセッション番号P13128、配列番号:3を有し、核酸配列はGenBankアクセッション番号X15127で示される)。この配列に対応するプロタンパク質の最初の25個のAAはシグナル配列であり、細菌によって分泌されるときにLLOから分割される。したがって、この実施形態では、全長の活性LLOタンパク質は504残基長である。別の実施形態では、全長のLLOタンパク質は当該技術分野で既知のいずれかの全長の野生型LLOタンパク質のアミノ酸配列を有する。別の実施形態では、配列番号:3は、本発明のワクチンに組み込まれるLLO断片の供給源として使用される。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0092】
別の実施形態では、本発明の組成物および方法で利用されるLLOタンパク質のN末端断片は、以下の配列を有する:
MKKIMLVFITLILVSLPIAQQTEAKDASAFNKENSISSVAPPASPPASPKTPIEKKHADEIDKYIQGLDYNKNNVLVYHGDAVTNVPPRKGYKDGNEYIVVEKKKKSINQNNADIQVVNAISSLTYPGALVKANSELVENQPDVLPVKRDSLTLSIDLPGMTNQDNKIVVKNATKSNVNNAVNTLVERWNEKYAQAYSNVSAKIDYDDEMAYSESQLIAKFGTAFKAVNNSLNVNFGAISEGKMQEEVISFKQIYYNVNVNEPTRPSRFFGKAVTKEQLQALGVNAENPPAYISSVAYGRQVYLKLSTNSHSTKVKAAFDAAVSGKSVSGDVELTNIIKNSSFKAVIYGGSAKDEVQIIDGNLGDLRDILKKGATFNRETPGVPIAYTTNFLKDNELAVIKNNSEYIETTSKAYTDGKINIDHSGGYVAQFNISWDEVNYD(配列番号:2)。
【0093】
別の実施形態では、LLO断片は、以下の配列を有する:
MKKIMLVFITLILVSLPIAQQTEAKDASAFNKENSISSVAPPASPPASPKTPIEKKHADEIDKYIQGLDYNKNNVLVYHGDAVTNVPPRKGYKDGNEYIVVEKKKKSINQNNADIQVVNAISSLTYPGALVKANSELVENQPDVLPVKRDSLTLSIDLPGMTNQDNKIVVKNATKSNVNNAVNTLVERWNEKYAQAYSNVSAKIDYDDEMAYSESQLIAKFGTAFKAVNNSLNVNFGAISEGKMQEEVISFKQIYYNVNVNEPTRPSRFFGKAVTKEQLQALGVNAENPPAYISSVAYGRQVYLKLSTNSHSTKVKAAFDAAVSGKSVSGDVELTNIIKNSSFKAVIYGGSAKDEVQIIDGNLGDLRDILKKGATFNRETPGVPIAYTTNFLKDNELAVIKNNSEYIETTSKAYTD(配列番号:4)。
【0094】
一実施形態では、「リステリオシンOタンパク質」または「LLOタンパク質」は、これの断片であると述べない限り野生型LLOタンパク質を指す。別の実施形態では、「切断LLO」または「ΔLLO」はPESTアミノ酸ドメインを含むLLOの断片を指す。別の実施形態では、これらの用語はPEST配列を含むLLO断片を指す。別の実施形態では、これらの用語は推定PEST配列を含むLLO断片を指す。
【0095】
別の実施形態では、これらの用語はカルボキシ末端に活性化ドメインを含有せず、そしてシステイン484を含まないLLO断片を指す。別の実施形態では、これらの用語は溶血性でないLLO断片を指す。別の実施形態では、LLO断片は、活性化ドメインの欠失または突然変異によって非溶血性にされる。別の実施形態では、LLO断片は、システイン484の欠失または突然変異によって非溶血性にされる。別の実施形態では、LLO断片は、別の場所における欠失または突然変異によって非溶血性にされる。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0096】
別の実施形態では、LLO断片は野生型LLOタンパク質のおよそ最初の441AAから構成される。別の実施形態では、LLO断片はLLOのおよそ最初の420AAから構成される。別の実施形態では、LLO断片はLLOタンパク質の非溶血性形態である。
【0097】
別の実施形態では、LLO断片は上記のAA範囲のうちの1つに対応する相同LLOタンパク質の残基を含有する。別の実施形態では、残基番号は上記に列挙した残基番号と必ずしも正確に対応する必要はなく、例えば、相同LLOタンパク質が本明細書で利用されるLLOタンパク質に対して挿入または欠失を有する場合、残基番号を適宜調節することができる。
【0098】
別の実施形態では、LLO断片は当該技術分野で既知の任意の他のLLO断片である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0099】
別の実施形態では、本発明の方法の組み換え型ポリペプチドは組み換え型リステリア株によって発現される。別の実施形態では、発現は組み換え型リステリア株によって担持されるヌクレオチド分子によって媒介される。
【0100】
別の実施形態では、組み換え型リステリア株は、組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドによって組み換え型ポリペプチドを発現する。別の実施形態では、プラスミドは細菌の転写因子をコードする遺伝子を含む。別の実施形態では、プラスミドはリステリア転写因子をコードする。別の実施形態では、転写因子はPrfAである。別の実施形態では、PrfAは突然変異PrfAである。別の実施形態では、PrfAはD133Vアミノ酸突然変異を含有する。別の実施形態では、転写因子は当該技術分野で既知の任意の他の転写因子である。別の実施形態では、前記プラスミドによってコードされる突然変異PrfAは、前記リステリア内でゲノムprfA突然変異、欠失、または不活性化を相補する。別の実施形態では、前記プラスミドによってコードされる突然変異PrfAは、ゲノムprfA突然変異、欠失、または不活性化を有する前記リステリア内で部分的にPrfA機能を回復する。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0101】
別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリアに含まれるプラスミドは代謝酵素をコードするオープンリーディングフレームを含む。別の実施形態では、プラスミドは代謝酵素をコードする第3のオープンリーディングフレームを含む。別の実施形態では、代謝酵素は細菌の代謝酵素である。別の実施形態では、代謝酵素はリステリアの代謝酵素である。別の実施形態では、代謝酵素はアミノ酸代謝酵素である。別の実施形態では、アミノ酸代謝遺伝子は細胞壁合成経路に関与する。別の実施形態では、代謝酵素はD-アミノ酸アミノトランスフェラーゼ遺伝子(dat)の産物である。別の実施形態では、代謝酵素はアラニンラセマーゼ遺伝子(dal)の産物である。別の実施形態では、代謝酵素は当該技術分野で既知の任意の他の代謝酵素である。別の実施形態では、プラスミドはdalタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを担持する。別の実施形態では、プラスミドはdatタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを担持する。別の実施形態では、プラスミドはdalタンパク質およびdatタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを担持する。別の実施形態では、プラスミドがdalタンパク質および/またはdatタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを担持するとき、組み換え型リステリア株内でdal/dat突然変異を相補する。よって、dal/dat組み換え型リステリアは本発明での使用も想定されている。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリアはさらに本明細書に記述される任意の他の突然変異に加えてdal/dat突然変異を含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0102】
別の実施形態では、本明細書に提供されるリステリア株はAA代謝酵素が欠損している。別の実施形態では、リステリア株はDグルタミン酸シンターゼ遺伝子が欠損している。別の実施形態では、リステリア株はdat遺伝子が欠損している。別の実施形態では、リステリア株はdal遺伝子が欠損している。別の実施形態では、リステリア株はdga遺伝子が欠損している。別の実施形態では、リステリア株は、ジアミノピメリン酸(DAP)の合成に関与する遺伝子が欠損している。別の実施形態では、リステリア株は、システインシンターゼA(CysK)の合成に関与する遺伝子が欠損している。別の実施形態では、遺伝子はビタミンB12に依存しないメチオニンシンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はtrpAである。別の実施形態では、遺伝子はtrpBである。別の実施形態では、遺伝子はtrpEである。別の実施形態では、遺伝子はasnBである。別の実施形態では、遺伝子はgltDである。別の実施形態では、遺伝子はgltBである。別の実施形態では、遺伝子はleuAである。別の実施形態では、遺伝子はargGである。別の実施形態では、遺伝子はthrCである。別の実施形態では、リステリア株は上述の遺伝子のうちの1つ以上が欠損している。
【0103】
別の実施形態では、本明細書に提供されるリステリア株は、シンターゼ遺伝子が欠損している。別の実施形態では、遺伝子は、AA合成遺伝子である。別の実施形態では、遺伝子は、folPである。別の実施形態では、遺伝子はジヒドロウリジンシンターゼファミリータンパク質である。別の実施形態では、遺伝子はispDである。別の実施形態では、遺伝子はispFである。別の実施形態では、遺伝子はホスホエノールピルビン酸シンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はhisFである。別の実施形態では、遺伝子はhisHである。別の実施形態では、遺伝子はfliIである。別の実施形態では、遺伝子はリボソームの大型サブユニットシュードウリジンシンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はispDである。別の実施形態では、遺伝子は二機能性GMPシンターゼ/グルタミンアミドトランスフェラーゼタンパク質である。別の実施形態では、遺伝子はcobSである。別の実施形態では、遺伝子はcobBである。別の実施形態では、遺伝子はcbiDである。別の実施形態では、遺伝子はウロポルフィリン-IIIC-メチルトランスフェラーゼ/ウロポルフィリノゲン-IIIシンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はcobQである。別の実施形態では、遺伝子はuppSである。別の実施形態では、遺伝子はtruBである。別の実施形態では、遺伝子はdxsである。別の実施形態では、遺伝子はmvaSである。別の実施形態では、遺伝子はdapAである。別の実施形態では、遺伝子はispGである。別の実施形態では、遺伝子はfolCである。別の実施形態では、遺伝子は、クエン酸シンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はargJである。別の実施形態では、遺伝子は3-デオキシ-7-ホスホヘプツロン酸シンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はインドール-3-グリセロール-リン酸シンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はアントラニル酸シンターゼ/グルタミンアミドトランスフェラーゼ構成成分である。別の実施形態では、遺伝子はmenBである。別の実施形態では、遺伝子はメナキノン特異的イソコリスミ酸シンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はホスホリボシルホルミルグリシンアミジンシンターゼIまたはIIである。別の実施形態では、遺伝子はホスホリボシルアミノイミダゾール-スクシノカルボキサミドシンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はcarBである。別の実施形態では、遺伝子はcarAである。別の実施形態では、遺伝子はthyAである。別の実施形態では、遺伝子はmgsAである。別の実施形態では、遺伝子はaroBである。別の実施形態では、遺伝子はhepBである。別の実施形態では、遺伝子はrluBである。別の実施形態では、遺伝子はilvBである。別の実施形態では、遺伝子はilvNである。別の実施形態では、遺伝子はalsSである。別の実施形態では、遺伝子はfabFである。別の実施形態では、遺伝子はfabHである。別の実施形態では、遺伝子はシュードウリジンシンターゼである。別の実施形態では、遺伝子はpyrGである。別の実施形態では、遺伝子はtruAである。別の実施形態では、遺伝子はpabBである。別の実施形態では、遺伝子はatpシンターゼ遺伝子(例えば、atpC、atpD-2、aptG、atpA-2、等々)である。
【0104】
別の実施形態では、遺伝子はphoPである。別の実施形態では、遺伝子はaroAである。別の実施形態では、遺伝子はaroCである。別の実施形態では、遺伝子はaroDである。別の実施形態では、遺伝子はplcBである。
【0105】
別の実施形態では、本明細書に提供されるリステリア株はペプチド輸送体が欠損している。別の実施形態では、遺伝子はABC輸送体/ATP結合/パーミアーゼタンパク質である。別の実施形態では、遺伝子はオリゴペプチドABC輸送体/オリゴペプチド結合タンパク質である。別の実施形態では、遺伝子はオリゴペプチドABC輸送体/パーミアーゼタンパク質である。別の実施形態では、遺伝子は亜鉛ABC輸送体/亜鉛結合タンパク質である。別の実施形態では、遺伝子は糖ABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はリン酸輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はZIP亜鉛輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はEmrB/QacAファミリーの薬剤耐性輸送体である。別の実施形態では、遺伝子は硫酸塩輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はプロトン依存性オリゴペプチド輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はマグネシウム輸送体である。別の実施形態では、遺伝子は蟻酸塩/亜硝酸塩輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はスペルミジン/プトレシンABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はNa/Pi共輸送体である。別の実施形態では、遺伝子は糖リン酸輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はグルタミンABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はメジャーファシリテイターファミリー輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はグリシンベタイン/L-プロリンABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はモリブデンABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はテイコ酸ABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はコバルトABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はアンモニウム輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はアミノ酸ABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子は細胞分裂ABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はマンガンABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子は鉄化合物ABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はマルトース/マルトデキストリンABC輸送体である。別の実施形態では、遺伝子はBcr/CflAファミリーの薬剤耐性輸送体である。別の実施形態では、遺伝子は上記のタンパク質のうちの1つのサブユニットである。
【0106】
一実施形態では、組み換え型リステリアに到達するために、リステリアを形質転換するために使用される核酸分子が本明細書に提供される。別の実施形態では、リステリアを形質転換するために使用される本明細書に提供される核酸は病毒性遺伝子を欠いている。別の実施形態では、核酸分子はリステリアゲノムの中へと組み込まれ、非機能性病毒性遺伝子を担持する。別の実施形態では、病毒性遺伝子は組み換え型リステリア内で突然変異する。さらに別の実施形態では、核酸分子はリステリアゲノム内に存在する内在性遺伝子を不活性化するために使用される。さらに別の実施形態では、病毒性遺伝子は、actA遺伝子、inlA遺伝子ならびにinlB遺伝子、inlC遺伝子、inlJ遺伝子、plbC遺伝子、bsh遺伝子、またはprfA遺伝子である。病毒性遺伝子は、組み換え型リステリア内で、病毒性と関連付けられる当該技術分野で既知の任意の遺伝子とすることができることが当業者によって理解されるべきである。
【0107】
一実施形態では、本明細書に提供される生きた弱毒化リステリアは、組み換え型リステリアである。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリアは、ゲノムインターナリンC(inlC)遺伝子の突然変異を含む。別の実施形態では、組み換え型リステリアは、ゲノムactA遺伝子およびゲノムインターナリンC遺伝子の突然変異または欠失を含む。一実施形態では、隣接する細胞へのリステリアの転座は、プロセスに関与するactA遺伝子および/またはinlC遺伝子の欠失によって阻害され、これによって、免疫原性の増加および株バックボーンとしての有用性によって結果として予想外に高いレベルの弱毒化が得られる。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0108】
「弱毒化」という用語が細菌の動物内に疾患を発生する能力の減少を包含する場合があることが当業者によって理解されるであろう。つまり、例えば、弱毒化されたリステリア株の病原性特徴は野生型リステリアと比較すると低下しているが、弱毒化されたリステリアは培養物中で成長および維持する能力を有する。実施例として弱毒化されたリステリアを用いたBalb/cマウスの静脈内接種を使用すると、接種した動物の50%が生存する致死量(LD50)は、野生型リステリアのLD50より少なくとも約10倍増加するのが好ましく、少なくとも約100倍増加するのがより好ましく、少なくとも約1,000倍増加するのがより好ましく、少なくとも約10,000倍増加するのがなおより好ましく、および少なくとも約100,000倍増加するのが最も好ましい。したがってリステリアの弱毒化された株は、投与された動物を殺さないものであるか、または投与された細菌の数が同じ動物を殺すのに必要な野生型の弱毒化されていない細菌の数より非常に多いときのみ動物を殺すものである。弱毒化された細菌は、その成長のために必要な栄養素がその中に存在しないために一般的な環境内では複製する能力を有しないものを意味するとも解釈されるべきである。したがって、細菌は必要な栄養素がその中で提供される制御された環境に複製が限定される。したがって、本発明の弱毒化された株は制御されていない複製の能力がないという点で、環境的に安全である。
【0109】
さらに別の実施形態では、本明細書に提供されるリステリア株は、inlA突然変異体、inlB突然変異体、inlC突然変異体、inlJ突然変異体、prfA突然変異体、actA突然変異体、dal/dat突然変異体、prfA突然変異体、plcB欠失突然変異体、またはplcAおよびplcBの両方を欠いている二重変異体である。別の実施形態では、リステリアはこれらの遺伝子の個別または組合せでの欠失または突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に提供されるリステリアは、遺伝子のそれぞれ1つずつを欠いている。別の実施形態では、本明細書に提供されるリステリアは、actA、prfA、およびdal/dat遺伝子を含む本明細書に提供されるいずれかの遺伝子のうちの少なくとも1個かつ最高10個を欠いている。別の実施形態では、prfA突然変異はD133VPrfA突然変異である。
【0110】
一実施形態では、代謝遺伝子、病毒性遺伝子などが、リステリア株の染色体で欠けている。別の実施形態では、代謝遺伝子、病毒性遺伝子などが、リステリア株の染色体および何らかのエピソームの遺伝要素で欠けている。別の実施形態では、代謝遺伝子、病毒性遺伝子などが、病毒性株のゲノムで欠けている。一実施形態では、病毒性遺伝子は、染色体内で突然変異する。別の実施形態では、病毒性遺伝子は染色体から欠失される。別の実施形態では、代謝遺伝子、病毒性遺伝子などが、リステリア株の染色体内で突然変異している。別の実施形態では、代謝遺伝子、病毒性遺伝子などが、リステリア株の染色体およびいずれかのエピソームの遺伝子要素内で突然変異している。別の実施形態では、代謝遺伝子、病毒性遺伝子などが、病毒性株のゲノム内で突然変異している。別の実施形態では、病毒性遺伝子は染色体から欠失される。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0111】
一実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリア株は弱毒化されている。別の実施形態では、組み換え型リステリアは、actA病毒性遺伝子を欠いている。別の実施形態では、組み換え型リステリアは、prfA病毒性遺伝子を欠いている。別の実施形態では、組み換え型リステリアはinlB遺伝子を欠いている。別の実施形態では、組み換え型リステリアはactAおよびinlB遺伝子の両方を欠いている。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリア株は内在性actA遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリア株は内在性inlB遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリア株は内在性inlC遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリア株は内在性actAおよびinlB遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリア株は内在性actAおよびinlC遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリア株は内在性actA、inlB、およびinlC遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリア株は内在性actA、inlB、およびinlC遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリア株は内在性actA、inlB、およびinlC遺伝子の不活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリア株は以下の遺伝子:actA、dal、dat、inlB、inlC、prfA、plcA、plcBの任意の単一遺伝子または遺伝子の組合せの不活性化突然変異を含む。
【0112】
「突然変異」およびその文法的な同等物は、配列(核酸またはアミノ酸配列)に対する任意のタイプの突然変異または修飾を含み、これには欠失突然変異、切断、不活性化、破壊、または転座を含むことが当業者によって理解されるであろう。突然変異のこれらのタイプは当該技術分野でよく知られている。
【0113】
一実施形態では、本明細書に提供される代謝酵素または相補遺伝子をコードするプラスミドを含む栄養要求性細菌を選択するために、形質転換した栄養要求性細菌を、アミノ酸代謝遺伝子または相補遺伝子の発現を選択する培地上で成長させる。別の実施形態では、D-グルタミン酸合成のための栄養要求性の細菌は、D-グルタミン酸合成のための遺伝子を含むプラスミドを用いて形質転換され、そして栄養要求性細菌はD-グルタミン酸無しで成長し、一方でプラスミドを用いて形質転換されていない栄養要求性細菌、またはD-グルタミン酸合成のためのタンパク質をコードするプラスミドを発現していない栄養要求性細菌は、成長しないことになる。別の実施形態では、D-アラニン合成のための栄養要求性の細菌は、プラスミドがD-アラニン合成のためのアミノ酸代謝酵素をコードする分離された核酸を含む場合、本発明のプラスミドを形質転換し、かつ発現するときD-アラニン無しで成長することになる。必要な成長因子、補助剤、アミノ酸、ビタミン、抗生剤、およびこれに類するものを含んでいる、または欠いている適切な培地を作成するためのかかる方法は当該技術分野で周知あり、市販されている(Becton-Dickinson、米国ニュージャージー州Franklin Lakes)。
【0114】
別の実施形態では、本発明のプラスミドを含む栄養要求性細菌が適切な培地上で一旦選択されると、この細菌は選択的な圧力の存在下で繁殖する。かかる繁殖は、栄養要求性因子を有しない培地内での細菌の成長を含む。栄養要求性細菌内でのアミノ酸代謝酵素を発現するプラスミドの存在は、細菌とともにプラスミドが複製することを確保し、したがってプラスミドを持つ細菌を継続的に選択する。本開示および本明細書の方法を備えるとき、プラスミドを含む栄養要求性細菌が増殖する培地の体積を調節することによって、当業者は、リステリアワクチンベクターの生産を容易にスケールアップすることができる。
【0115】
別の実施形態では、他の栄養要求性株および相補系が本発明の使用に適合されることを当業者は理解するであろう。
【0116】
一実施形態では、本明細書に提供される組み換え型リステリア株は、組み換え型ポリペプチドを発現する。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は組み換え型ポリペプチドをコードするプラスミドを含む。別の実施形態では、本明細書に提供される組み換え型核酸は、本明細書に提供される組み換え型リステリア株のプラスミド中にある。別の実施形態では、プラスミドは、組み換え型リステリア株の染色体の中へと統合されないエピソーム性プラスミドである。別の実施形態では、プラスミドはリステリア株の染色体の中へと組み込まれる組み込みプラスミドである。別の実施形態では、プラスミドはマルチコピープラスミドである。別の実施形態では、組み換え型リステリア株を1×109~3.31×1010CFUの用量でヒト被験者に投与する。別の実施形態では、用量は5~500×108CFUである。別の実施形態では、用量は7~500×108CFUである。別の実施形態では、用量は10~500×108CFUである。別の実施形態では、用量は20~500×108CFUである。別の実施形態では、用量は30~500×108CFUである。別の実施形態では、用量は50~500×108CFUである。別の実施形態では、用量は70~500×108CFUである。別の実施形態では、用量は100~500×108CFUである。別の実施形態では、用量は150~500×108CFUである。別の実施形態では、用量は5~300×108CFUである。別の実施形態では、用量は5~200×108CFUである。別の実施形態では、用量は5~150×108CFUである。別の実施形態では、用量は5~100×108CFUである。別の実施形態では、用量は5~70×108CFUである。別の実施形態では、用量は5~50×108CFUである。別の実施形態では、用量は5~30×108CFUである。別の実施形態では、用量は5~20×108CFUである。別の実施形態では、用量は1~30×109CFUである。別の実施形態では、用量は1~20×109CFUである。別の実施形態では、用量は2~30×109CFUである。別の実施形態では、用量は1~10×109CFUである。別の実施形態では、用量は2~10×109CFUである。別の実施形態では、用量は3~10×109CFUである。別の実施形態では、用量は2~7×109CFUである。別の実施形態では、用量は2~5×109CFUである。別の実施形態では、用量は3~5×109CFUである。
【0117】
別の実施形態では、用量は1×107生命体である。別の実施形態では、用量は1×108生命体である。別の実施形態では、用量は1×109生命体である。別の実施形態では、用量は1.5×109生命体である。別の実施形態では、用量は2×109生命体である。別の実施形態では、用量は3×109生命体である。別の実施形態では、用量は4×109生命体である。別の実施形態では、用量は5×109生命体である。別の実施形態では、用量は6×109生命体である。別の実施形態では、用量は7×109生命体である。別の実施形態では、用量は8×109生命体である。別の実施形態では、用量は10×109生命体である。別の実施形態では、用量は1.5×1010生命体である。別の実施形態では、用量は2×1010生命体である。別の実施形態では、用量は2.5×1010生命体である。別の実施形態では、用量は3×1010生命体である。別の実施形態では、用量は3.3×1010生命体である。別の実施形態では、用量は4×1010生命体である。別の実施形態では、用量は5×1010生命体である。各々の用量および用量の範囲は本発明の別個の実施形態を表す。
【0118】
一実施形態では、腫瘍の退行を達成するために、初回の治療過程にすぐ引き続いて、または数日、数週間、もしくは数か月の間隔の後、本発明の組成物の繰返し投与(投薬)を行ってもよい。別の実施形態では、腫瘍増殖の抑制を達成するために、初回の治療過程にすぐ引き続いて、または数日、数週間、もしくは数か月の間隔の後、繰返し投与を行ってもよい。撮像技法、血清腫瘍マーカーの解析、生検、または腫瘍に伴う症状の存在、不在、もしくは軽快などの診断方法を含む、当該技術分野で既知の任意の技法によって評価を決定してもよい。
【0119】
「ブーストする」という用語が免疫原性組成物または組み換え型リステリア株の用量を被験者に投与することを包含する場合があることを当業者は理解するであろう。本発明の方法の別の実施形態では、2回のブースト(すなわち、合計3回の接種)が投与される。別の実施形態では、3回のブーストが投与される。別の実施形態では、4回のブーストが投与される。別の実施形態では、5回のブーストが投与される。別の実施形態では、6回のブーストが投与される。別の実施形態では、7回以上のブーストが投与される。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0120】
一実施形態では、本発明の方法は、本発明の組み換え型リステリア株を用いてヒト被験者をブーストする工程をさらに含む。別の実施形態では、ブースター接種で使用される組み換え型リステリア株は初期の「プライミング」接種で使用される株と同一である。別の実施形態では、ブースター株はプライミング株とは異なる。別の実施形態では、プライミング接種とブースティング接種とでは同一の用量が使用される。別の実施形態では、ブースターではより大きい用量が使用される。別の実施形態では、ブースターではより小さい用量が使用される。別の実施形態では、本発明の方法は被験者にブースターワクチン接種を実施する工程をさらに含む。一実施形態では、ブースターワクチン接種は単一のプライミングワクチン接種に続いて行われる。別の実施形態では、プライミングワクチン接種の後に単一のブースターワクチン接種を実施する。別の実施形態では、プライミングワクチン接種の後、2回のブースターワクチン接種を実施する。別の実施形態では、プライミングワクチン接種の後、3回のブースターワクチン接種を実施する。一実施形態では、プライム株とブースト株との間の期間は、当業者によって実験的に決定される。別の実施形態では、プライム株とブースト株との間の期間は1日から最長1週間であり、別の実施形態では、これは最長2週間であり、別の実施形態では、これは最長3週間であり、別の実施形態では、これは最長4週間であり、別の実施形態では、これは最長5週間であり、別の実施形態では、これは最長6~8週間であり、さらに別の実施形態では、ブースト株をプライム株の最長8~12週間後に投与する。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0121】
別の実施形態では、本発明の方法はE7抗原を含む免疫原性組成物をヒト被験者に接種する工程をさらに含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は組み換え型E7タンパク質またはその断片を含む。別の実施形態では、免疫原性組成物は組み換え型E7タンパク質またはその断片を発現するヌクレオチド分子を含む。別の実施形態では、リステリア接種の後に非リステリア接種が実施される。別の実施形態では、リステリア接種の前に非リステリア接種が実施される。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0122】
別の実施形態では、本発明の方法および組成物の組み換え型リステリア株は、組み換え型リステリア・モノサイトゲネス株である。別の実施形態では、リステリア株は組み換え型リステリア・シーリゲリ株である。別の実施形態では、リステリア株は組み換え型リステリア・グレイ株である。別の実施形態では、リステリア株は組み換え型リステリア・イバノビ株である。別の実施形態では、リステリア株は組み換え型リステリア・ムライ株である。別の実施形態では、リステリア株は組み換え型リステリア・ウェルシメリ株である。別の実施形態では、リステリア株は、当該技術分野で既知の任意の他のリステリア種の組み換え型株である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0123】
本発明は、本発明の弱毒化リステリアを作成またはエンジニアリングするための数多くのリステリア種および株を提供する。一実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネス10403S野生型(Bishop and Hinrichs(1987)J.Immunol.139:2005-2009;Lauer、et al.(2002)J.Bact.184:4177-4186参照)である。別の実施形態では、リステリア株は、L.モノサイトゲネスDP-L4056(ファージキュアリング済み)(Lauer、et al.(2002)J.Bact.184:4177-4186参照)である。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスDP-L4027であり、これはファージキュアリングされ、かつhly遺伝子内で欠失される(Lauer、et al.(2002)J.Bact.184:4177-4186;Jones and Portnoy(1994)Infect.Immunity 65:5608-5613を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスDP-L4029であり、これはファージキュアリングされ、ActA内で欠失される(Lauer、et al.(2002)J.Bact.184:4177-4186;Skoble、et al.(2000)J.Cell Biol.150:527-538参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスDP-L4042(デルタPEST)である(Brockstedt、et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:13832-13837;サポート情報を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスDP-L4097(LLO-S44A)である(Brockstedt、et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:13832-13837;サポート情報を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスDP-L4364(デルタlplA;リポ酸塩タンパク質リガーゼ)である(Brockstedt、et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:13832-13837;サポート情報を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスDP-L4405(デルタinlA)である(Brockstedt、et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:13832-13837;サポート情報を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスDP-L4406(デルタinlB)である(Brockstedt、et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:13832-13837;サポート情報を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスCS-L0001(デルタActA-デルタinlB)である(Brockstedt、et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:13832-13837;サポート情報を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスCS-L0002(デルタActA-デルタlplA)である(Brockstedt、et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:13832-13837;サポート情報を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスCS-L0003(L461T-デルタlplA)である(Brockstedt、et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:13832-13837;サポート情報を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスDP-L4038(デルタActA-LLO L461T)である(Brockstedt、et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:13832-13837;サポート情報を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスDP-L4384(S44A-LLO
L461T)である(Brockstedt、et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:13832-13837;サポート情報を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスである。リポ酸タンパク質内の突然変異(O’Riordan、et al.(2003)Science 302:462-464)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスDP-L4017(10403S hly(L461T)であり、溶血素遺伝子中に点突然変異を有する(米国仮特許出願整理番号第60/490,089号(2003年7月24日出願)を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスEGDである(GenBankアクセッション番号AL591824を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスEGD-eである(GenBankアクセッション番号NC_003210.ATCC Acc.No.BAA-679を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はuvrAB内で欠失されたL.モノサイトゲネスDP-L4029である(米国仮特許出願整理番号第60/541,515号(2004年2月2日出願)、米国仮特許出願整理番号第60/490,080号(2003年7月24日出願)を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスActA-/inlB-二重突然変異体(ATCC Acc.番号第PTA-5562を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスlplA突然変異体またはhly突然変異体である(米国特許出願第20040013690号(Portnoyらの出願)を参照のこと)。別の実施形態では、リステリア株はL.モノサイトゲネスDAL/DAT二重突然変異である(米国特許出願第20050048081(FrankelおよびPortnoyの出願)を参照のこと)。本発明は、上記のリステリア株、ならびにhly(LLO;リステリオリシン);iap(p60);inlA;inlB;inlC;dal(アラニンラセマーゼ);dat(D-アミノ酸アミノトランスフェラーゼ);plcA;plcB;actAの遺伝子のうちの1つまたは任意の組み合せをコードする核酸を含むように例えばプラスミドおよび/またはゲノムの組み込みによって修飾されたこれらの株、または成長、拡散、単層ベシクル(single walled vesicle)の分解、二層ベシクル(double walled vesicle)の分解、宿主細胞への結合、宿主細胞による取込みを媒介する任意の核酸を含む試薬および方法を包含する。本発明は、上記に開示された特定の株によって限定されない。
【0124】
別の実施形態では、本発明の組み換え型リステリア株は動物宿主を通して継代されている。別の実施形態では、継代は株のワクチンベクターとしての有効性を最大化する。別の実施形態では、継代はリステリア株の免疫原性を安定化する。別の実施形態では、継代はリステリア株の病毒性を安定化する。別の実施形態では、継代はリステリア株の免疫原性を増加する。別の実施形態では、継代はリステリア株の病毒性を増加する。別の実施形態では、継代はリステリア株の不安定な亜系を除去する。別の実施形態では、継代はリステリア株の不安定な亜系の普及を減少する。別の実施形態では、リステリア株は抗原含有組み換え型ペプチドをコードする遺伝子のゲノム挿入を含有する。別の実施形態では、リステリア株は抗原含有組み換え型ペプチドをコードする遺伝子を含むプラスミドを担持する。別の実施形態では、本明細書に記述されるように継代を遂行する(例えば、実施例12において)。別の実施形態では、当該技術分野で既知の任意の他の方法によって継代を遂行する。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0125】
別の実施形態では、本発明の方法で利用される組み換え型リステリア株は凍結細胞バンク内で保存されている。別の実施形態では、組み換え型リステリア株は凍結乾燥した状態で保存されている。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0126】
別の実施形態では、本発明の方法および組成物の細胞バンクはマスター細胞バンクである。別の実施形態では、細胞バンクはワーキング細胞バンクである。別の実施形態では、細胞バンクは製造管理および品質管理に関する基準(GMP)の細胞バンクである。別の実施形態では、細胞バンクは臨床グレード材料の生産を目的としている。別の実施形態では、細胞バンクはヒトへの使用のための規制実施に適合する。別の実施形態では、細胞バンクは当該技術分野で既知の任意の他のタイプの細胞バンクである。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0127】
別の実施形態では、「製造管理および品質管理に関する基準」は米国連邦規則集の(21 CFR 210-211)によって定義される。別の実施形態では、「製造管理および品質管理に関する基準」は、臨床グレードの材料生産のため、またはヒトの摂取のための他の基準、例えば、米国以外の国の基準などによって定義される。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0128】
別の実施形態では、本発明の方法で利用される組み換え型リステリア株はワクチン用量のバッチ由来である。
【0129】
別の実施形態では、本発明の方法で利用される組み換え型リステリア株は、米国特許第8,114,414号(参照により本明細書に組み込まれる)で提供される方法によって生産された凍結または凍結乾燥したストック由来である。
【0130】
別の実施形態では、本発明のペプチドは、融合ペプチドである。別の実施形態では、「融合ペプチド」はペプチド結合または他の化学結合によって互いに連結した2つ以上のタンパク質を含むペプチドまたはポリペプチドを指す。別の実施形態では、タンパク質はペプチドまたは他の化学結合によって互いに直接的に連結している。別の実施形態では、タンパク質は、2つ以上のタンパク質の間の1つ以上のAA(例えば、「スペーサー」)によって互いに連結している。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0131】
別の実施形態では、本発明のワクチンはアジュバントをさらに含む。別の実施形態では、本発明の方法および組成物で使用されるアジュバントは顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)タンパク質である。別の実施形態では、アジュバントはGM-CSFタンパク質を含む。別の実施形態では、アジュバントはGM-CSFをコードするヌクレオチド分子である。別の実施形態では、アジュバントはGM-CSFをコードするヌクレオチド分子を含む。別の実施形態では、アジュバントはサポニンQS21である。別の実施形態では、アジュバントはサポニンQS21を含む。別の実施形態では、アジュバントは、モノホスホリルリピドAである。別の実施形態では、アジュバントはモノホスホリルリピドAを含む。別の実施形態では、アジュバントはSBAS2である。別の実施形態では、アジュバントはSBAS2を含む。別の実施形態では、アジュバントはメチル化されていないCpG含有オリゴヌクレオチドである。別の実施形態では、アジュバントはメチル化されていないCpG含有オリゴヌクレオチドを含む。別の実施形態では、アジュバントは免疫刺激サイトカインである。別の実施形態では、アジュバントは免疫刺激サイトカインを含む。別の実施形態では、アジュバントは免疫刺激サイトカインをコードするヌクレオチド分子である。別の実施形態では、アジュバントは免疫刺激サイトカインをコードするヌクレオチド分子を含む。別の実施形態では、アジュバントはクイルグリコシドであるか、またはこれを含む。別の実施形態では、アジュバントは細菌マイトジェンであるか、またはこれを含む。別の実施形態では、アジュバントは細菌毒素であるか、またはこれを含む。別の実施形態では、アジュバントは当該技術分野で既知の任意の他のアジュバントであるか、またはこれを含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0132】
別の実施形態では、本発明のヌクレオチドは、リステリア株内のコードしたペプチドの発現を駆動するプロモーター/調節性配列に動作可能に連結している。遺伝子の構造性の発現を駆動するために有用なプロモーター/調節性配列が当該技術分野で周知であり、これらとしては、例えば、リステリアのPhlyAプロモーター、PActAプロモーター、およびp60プロモーター、ストレプトコッカスbacプロモーター、ストレプトマイセス・グリセウスsgiAプロモーター、およびバシルス・チューリンゲンシスphaZプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態では、本発明のペプチドをコードする核酸の誘発性でかつ組織に特異的な発現は、ペプチドをコードする核酸を誘発性または組織特異的プロモーター/調節性配列の制御下に置くことによって遂行される。この目的のために有用な組織特異的または誘発性プロモーター/調節性配列の実施例としては、MMTV LTR誘発性プロモーター、およびSV40後期エンハンサー/プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態では、金属、グルココルチコイド、およびこれに類するものなどの誘発剤に応答して誘発されたプロモーターが利用される。こうして、本発明は、既知または未知のいずれかで、かつこれらに動作可能にリンクする所望のタンパク質の発現を駆動する能力を有する、任意のプロモーター/調節性配列の使用を含むことが理解されるであろう。
【0133】
本発明の方法および組成物で利用されるActAタンパク質のN末端断片は、別の実施形態では、配列番号:5で示される配列を有する。
MRAMMVVFITANCITINPDIIFAATDSEDSSLNTDEWEEEKTEEQPSEVNTGPRYETAREVSSRDIKELEKSNKVRNTNKADLIAMLKEKAEKGPNINNNNSEQTENAAINEEASGADRPAIQVERRHPGLPSDSAAEIKKRRKAIASSDSELESLTYPDKPTKVNKKKVAKESVADASESDLDSSMQSADESSPQPLKANQQPFFPKVFKKIKDAGKWVRDKIDENPEVKKAIVDKSAGLIDQLLTKKKSEEVNASDFPPPPTDEELRLALPETPMLLGFNAPATSEPSSFEFPPPPTDEELRLALPETPMLLGFNAPATSEPSSFEFPPPPTEDELEIIRETASSLDSSFTRGDLASLRNAINRHSQNFSDFPPIPTEEELNGRGGRP。別の実施形態では、ActA断片は配列番号:5に示される配列を含む。別の実施形態では、ActA断片は当該技術分野で既知の任意の他のActA断片である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0134】
別の実施形態では、ActAタンパク質の断片をコードする組み換え型ヌクレオチドは、配列番号:6に示される配列を含む。
Atgcgtgcgatgatggtggttttcattactgccaattgcattacgattaaccccgacataatatttgcagcgacagatagcgaagattctagtctaaacacagatgaatgggaagaagaaaaaacagaagagcaaccaagcgaggtaaatacgggaccaagatacgaaactgcacgtgaagtaagttcacgtgatattaaagaactagaaaaatcgaataaagtgagaaatacgaacaaagcagacctaatagcaatgttgaaagaaaaagcagaaaaaggtccaaatatcaataataacaacagtgaacaaactgagaatgcggctataaatgaagaggcttcaggagccgaccgaccagctatacaagtggagcgtcgtcatccaggattgccatcggatagcgcagcggaaattaaaaaaagaaggaaagccatagcatcatcggatagtgagcttgaaagccttacttatccggataaaccaacaaaagtaaataagaaaaaagtggcgaaagagtcagttgcggatgcttctgaaagtgacttagattctagcatgcagtcagcagatgagtcttcaccacaacctttaaaagcaaaccaacaaccatttttccctaaagtatttaaaaaaataaaagatgcggggaaatgggtacgtgataaaatcgacgaaaatcctgaagtaaagaaagcgattgttgataaaagtgcagggttaattgaccaattattaaccaaaaagaaaagtgaagaggtaaatgcttcggacttcccgccaccacctacggatgaagagttaagacttgctttgccagagacaccaatgcttcttggttttaatgctcctgctacatcagaaccgagctcattcgaatttccaccaccacctacggatgaagagttaagacttgctttgccagagacgccaatgcttcttggttttaatgctcctgctacatcggaaccgagctcgttcgaatttccaccgcctccaacagaagatgaactagaaatcatccgggaaacagcatcctcgctagattctagttttacaagaggggatttagctagtttgagaaatgctattaatcgccatagtcaaaatttctctgatttcccaccaatcccaacagaagaagagttgaacgggagaggcggtagacca。別の実施形態では、組み換え型ヌクレオチドは配列番号:6に示される配列を有する。別の実施形態では、組み換え型ヌクレオチドは、ActAタンパク質の断片をコードする任意の他の配列を含む。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0135】
本発明の方法および組成物の別の実施形態では、PESTアミノ酸AA配列はE7抗原またはE6抗原に融合される。本明細書に提供されるように、PESTアミノ酸配列-抗原融合を発現する組み換え型リステリア株は抗腫瘍免疫性を誘発し(実施例3)、抗原特異的、腫瘍-浸潤T細胞を生成する(実施例4)。さらに、媒介する免疫性の強化が、抗原および、PESTアミノ酸AA配列KENSISSMAPPASPPASPKTPIEKKHADEIDK(配列番号:1)を含有するLLOを含む融合タンパク質に対して実証された。
【0136】
したがって、他の原核生物に由来する他のLM PESTアミノ酸配列およびPESTアミノ酸配列への抗原の融合は、抗原の免疫原性も強化する。別の実施形態では、PESTアミノ酸AA配列は配列番号:7~12から選択される配列を有する。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列はLM ActAタンパク質由来のPESTアミノ酸配列である。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列は、KTEEQPSEVNTGPR(配列番号:7)、KASVTDTSEGDLDSSMQSADESTPQPLK(配列番号:8)、KNEEVNASDFPPPPTDEELR(配列番号:9)、またはRGGIPTSEEFSSLNSGDFTDDENSETTEEEIDR(配列番号:10)である。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列は、ストレプトコッカス種のストレプトリジンOタンパク質由来である。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列は、ストレプトコッカス・ピオゲネスストレプトリジンO、例えば、AA 35~51においてKQNTASTETTTTNEQPK(配列番号:11)由来である。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列は、ストレプトコッカス・エクイシミリスストレプトリジンO、例えば、AA 38~54においてKQNTANTETTTTNEQPK(配列番号:12)由来である。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列は、原核生物に由来する別のPESTアミノ酸AA配列である。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列は、当該技術分野で既知の任意の他のPESTアミノ酸配列である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0137】
他の原核生物のPESTアミノ酸配列を、例えば、LMについてRechsteinerおよびRogers(1996,Trends Biochem.Sci.21:267-271)によって記述されたものなどの方法に従って同定することができる。あるいは、この方法に基づいて他の原核生物由来のPESTアミノ酸AA配列も同定することもできる。PESTアミノ酸AA配列が期待される他の原核生物には、他のリステリア種が含まれるが、これに限定されない。別の実施形態では、PESTアミノ酸配列は抗原タンパク質の中に埋め込まれる。したがって、別の実施形態では、「融合」は、抗原および、i)N末端LLOタンパク質(tLLO)、ii)N末端ActAタンパク質、またはiii)抗原の一方の端部に連結しているかまたは抗原の中に埋め込まれるPESTアミノ酸配列のいずれかの両方を含む抗原タンパク質を指す。
【0138】
別の実施形態では、当該技術分野で既知の任意の他の方法またはアルゴリズム、例えば、CaSPredictor(Garay-Malpartida HM,Occhiucci JM,Alves J,Belizario JE.Bioinformatics.2005 Jun;21 Suppl 1:i169-76)を使用してPEST配列は同定される。別の実施形態では、以下の方法が使用される。
【0139】
PEST指数は、1の値をアミノ酸Ser、Thr、Pro、Glu、Asp、Asn、またはGlnに割り当てることによって、各30~35AAストレッチに対して計算される。PEST残基の各々に対する係数値(CV)は、1であり、また他のAA(非PEST)の各々に対する係数値は0である。
【0140】
PESTアミノ酸配列を同定するための各々の方法は本発明の別個の実施形態を表す。
【0141】
別の実施形態では、本発明のLLOタンパク質、ActAタンパク質、またはその断片は、正確に本明細書に示される配列通りに示される必要はないが、本明細書のどこかに示される抗原に融合したLLOまたはActAタンパク質の機能的な特徴を保持する他の改変、修飾、または変更を行うことができる。別の実施形態では、本発明はLLOタンパク質、ActAタンパク質、またはその断片の類似体を利用する。別の実施形態では、保存AA配列の差異によって、または配列に影響しない修飾によって、または両方によって、類似体は自然発生したタンパク質またはペプチドとは異なる。
【0142】
別の実施形態では、E7タンパク質全体またはその断片のいずれかは、LLOタンパク質、ActAタンパク質、またはPESTアミノ酸配列含有ペプチドに融合され、本発明の方法の組み換え型ペプチドを生成する。別の実施形態では、(全体でまたは断片の供与源としてのいずれかで)利用されるE7タンパク質は、配列
【0143】
MHGDTPTLHEYMLDLQPETTDLYCYEQLNDSSEEEDEIDGPAGQAEPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRLCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPICSQKP(配列番号:13)を有する。別の実施形態では、E7タンパク質は配列番号:13の相同体である。別の実施形態では、E7タンパク質は配列番号:13の変異型である。別の実施形態では、E7タンパク質は配列番号:13の異性体である。別の実施形態では、E7タンパク質は配列番号:13の断片である。別の実施形態では、E7タンパク質は配列番号:13の相同体の断片である。別の実施形態では、E7タンパク質は配列番号:13の変異型の断片である。別の実施形態では、E7タンパク質は配列番号:13の異性体の断片である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0144】
別の実施形態では、E7タンパク質の配列は:
【0145】
MHGPKATLQDIVLHLEPQNEIPVDLLCHEQLSDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIELVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPWCASQQ(配列番号:14)である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:14の相同体である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:14の変異型である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:14の異性体である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:14の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:14の相同体の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:14の変異型の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:14の異性体の断片である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0146】
別の実施形態では、E7タンパク質は以下のGenBankエントリのうちの1つに示される配列を有する:M24215、NC_004500、V01116、X62843、またはM14119。別の実施形態では、E7タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の相同体である。別の実施形態では、E7タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の変異型である。別の実施形態では、E7タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の異性体である。別の実施形態では、E7タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の断片である。別の実施形態では、E7タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の相同体の断片である。別の実施形態では、E7タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の変異型の断片である。別の実施形態では、E7タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の異性体の断片である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0147】
別の実施形態では、E6タンパク質全体またはその断片のいずれかがLLOタンパク質、ActAタンパク質、またはPESTアミノ酸配列含有ペプチドに融合され、本発明の方法の組み換え型ペプチドを生成する。別の実施形態では、(全体でまたは断片の供与源としてのいずれかで)利用されるE6タンパク質は、配列
【0148】
MHQKRTAMFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDLCIVYRDGNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLCPEEKQRHLDKKQRFHNIRGRWTGRCMSCCRSSRTRRETQL(配列番号:15)を有する。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:15の相同体である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:15の変異型である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:15の異性体である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:15の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:15の相同体の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:15の変異型の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:15の異性体の断片である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0149】
別の実施形態では、E6タンパク質の配列は:
【0150】
MARFEDPTRRPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDLFVVYRDSIPHAACHKCIDFYSRIRELRHYSDSVYGDTLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKPLNPAEKLRHLNEKRRFHNIAGHYRGQCHSCCNRARQERLQRRRETQV(配列番号:16)である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:16の相同体である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:16の変異型である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:16の異性体である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:16の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:16の相同体の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:16の変異型の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は配列番号:16の異性体の断片である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0151】
別の実施形態では、E6タンパク質は以下のGenBankエントリのうちの1つに示される配列を有する:M24215、M14119、NC_004500、V01116、X62843、またはM14119。別の実施形態では、E6タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の相同体である。別の実施形態では、E6タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の変異型である。別の実施形態では、E6タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の異性体である。別の実施形態では、E6タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の相同体の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の変異型の断片である。別の実施形態では、E6タンパク質は、上記のGenBankエントリのうちの1つからの配列の異性体の断片である。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0152】
別の実施形態では、「相同性」は、LLO配列(例えば、配列番号:2~4のうちの1つ)に対する同一性が60%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が64%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が68%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が72%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が75%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が78%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が80%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が82%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が83%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が85%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が87%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が88%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が90%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が92%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が93%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が95%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が96%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が97%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が98%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が99%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:2~4のうちの1つに対する同一性が100%であることを指す。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0153】
別の実施形態では、「相同性」は、E7配列(例えば、配列番号:13~14のうちの1つ)に対する同一性が60%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が62%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が64%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が68%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が72%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が75%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が78%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が80%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が82%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が83%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が85%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が87%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が88%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が90%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が92%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が93%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が95%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が96%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が97%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が98%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が99%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:13~14のうちの1つに対する同一性が100%であることを指す。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0154】
別の実施形態では、「相同性」は、E6配列(例えば、配列番号:15~16のうちの1つ)に対する同一性が60%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が64%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が68%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が72%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が75%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が78%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が80%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が82%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が83%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が85%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が87%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が88%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が90%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が92%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が93%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が95%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が96%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が97%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が98%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が99%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:15~16のうちの1つに対する同一性が100%であることを指す。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0155】
別の実施形態では、「相同性」は、PESTアミノ酸配列(例えば、配列番号:1および7~12のうちの1つ)、またはActA配列(例えば、配列番号:5~6のうちの1つ)に対する同一性が60%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が60%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が64%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が68%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が72%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が75%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が78%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が80%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が82%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が83%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が85%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が87%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が88%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が90%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が92%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が93%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が95%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が96%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が97%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が98%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が99%より高いことを指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号:1および7~12、または配列番号:5~6のうちの1つに対する同一性が100%であることを指す。各々の可能性は本発明の別個の実施形態を表す。
【0156】
本明細書に列挙された任意のAA配列に対するタンパク質および/またはペプチド相同性は、一実施形態では、免疫ブロット解析を含む当該技術分野において十分に記述される方法によって、または確立された方法を介して利用可能な任意の数のソフトウェアパッケージを利用したAA配列のコンピューターアルゴリズム解析を介して決定される。これらのパッケージのうちのいくつかとしてはFASTA、BLAST、MPsrch、またはScanpsパッケージが挙げられ、そして他の実施形態では、これらは、例えば、スミス-ウォーターマンアルゴリズムの使用、および/または解析のための広範囲/局所的もしくはBLOCKSアラインメントを採用する。各々の相同性を決定する方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0157】
別の実施形態では、LLOタンパク質、ActAタンパク質、またはその断片は抗原に化学的結合によって付着する。別の実施形態では、結合のためにグルタルアルデヒドが使用される。別の実施形態では、結合は当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して遂行される。各々の可能性は本発明の別の実施形態を表す。
【0158】
別の実施形態では、本発明の融合タンパク質は、例えば、クローニングおよび適切な配列の制限、または以下に考察する方法による直接的化学合成を含む任意の好適な方法によって調製される。別の実施形態では、部分配列はクローニングされ、また適切な部分配列は適切な制限酵素を使用して分割される。別の実施形態では、次いで断片は連結され、望ましいDNA配列が生産される。別の実施形態では、融合タンパク質をコードするDNAは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などのDNA増幅法を使用して生産される。まず、未変性のDNAのいずれかの側の新しい末端の区分を別個に増幅する。1つの増幅した配列の5’端はペプチドリンカーをコードし、一方でもう1つの増幅した配列の3’端もペプチドリンカーをコードする。第1の断片の5’端は第2の断片の3’端の相補なので、2つの断片を(例えば、LMPアガロース上での部分的な精製後)第3のPCR反応での重複テンプレートとして使用することができる。増幅した配列は、コドン、開放部位のカルボキシ側上のセグメント(ここではアミノ配列を形成している)、リンカー、および開放部位のアミノ側上の配列(ここではカルボキシル配列を形成している)を含有することになる。次いでインサートをプラスミドへと連結する。
【0159】
別の実施形態では、LLOタンパク質、ActAタンパク質、またはこれらの断片、および抗原、またはその断片は、当業者に既知の手段によって結合される。別の実施形態では、抗原またはその断片は、直接またはリンカー(スペーサー)を通してのいずれかでActAタンパク質またはLLOタンパク質に結合される。別の実施形態では、キメラ分子は単一鎖融合タンパク質として組み換えによって発現される。
【0160】
別の実施形態では、本発明の融合ペプチドは標準的な化学ペプチド合成技法を使用して合成される。別の実施形態では、キメラ分子は単一の連続ポリペプチドとして合成される。別の実施形態では、LLOタンパク質、ActAタンパク質、またはそれらの断片、および抗原またはその断片は別個に合成され、次いで一つの分子のアミノ末端ともう一方の分子のカルボキシル末端との縮合によって融合され、これによってペプチド結合を形成する。別の実施形態では、ActAタンパク質またはLLOタンパク質、および抗原は、各々ペプチドスペーサー分子の一端部と縮合され、これによって連続融合タンパク質を形成する。
【0161】
別の実施形態では、本発明のペプチドおよびタンパク質は、StewartらによってSolid Phase Peptide Synthesis,2nd Edition,1984,Pierce Chemical Company,Rockford,Ill.で記述されるように、またはBodanszkyおよびBodanszkyによって記述される(The Practice of Peptide Synthesis,1984,Springer-Verlag,New York)ように、固体相ペプチド合成(SPPS)によって調製される。別の実施形態では、好適に保護されたAA残基はそのカルボキシル基を通して、誘導体化した、不溶性高分子サポート(架橋ポリスチレンまたはポリアミド樹脂など)に付着される。「好適に保護された」とは、アミノ酸のアルファアミノ基および、任意の側鎖官能基の両方の上の保護基の存在を指す。側鎖保護基は、合成を通して使用される溶剤、試薬、および反応条件に対して一般的に安定であり、そしてこれは最終的なペプチド製品に影響しない条件下で除去可能である。オリゴペプチドの段階的合成は、N-保護基の初期AAからの除去、およびそこに所望のペプチドの配列の次のAAのカルボキシ端部を連結することによって実施される。このAAも好適に保護される。カルボジイミド、対称型酸無水物、またはヒドロキシベンゾトリアゾールもしくはペンタフルオロフェニルエステルなどの、「活性エステル」基への形成などの、反応基への形成によって、入ってくるAAのカルボキシルを支持結合AAのN末端と反応するように活性化することができる。別の実施形態では、本発明のワクチンおよび組成物を含有する医薬組成物は、非経口的、癌近傍に、経粘膜的、経皮的、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、頭蓋内、腟内、または腫瘍内など、当業者に既知の任意の方法によって被験者に投与される。
【0162】
本明細書に提供される方法および組成物の別の実施形態では、ワクチンまたは組成物は経口投与され、したがって経口投与に好適な形態、すなわち固形製剤または液状製剤で処方される。好適な固形の経口剤形としては、錠剤、カプセル、丸薬、顆粒、ペレット、およびこれに類するものが挙げられる。好適な液状の経口剤形としては、溶液、懸濁液、分散体、エマルション、オイル、およびこれに類するものが挙げられる。本発明の別の実施形態では、活性成分はカプセルで処方される。この実施形態によると、本発明の組成物は活性化合物および不活性担体または希釈剤に加えて、硬いゼラチンカプセルを含む。
【0163】
別の実施形態では、ワクチンまたは組成物は、液状製剤の静脈内、動脈内、または筋肉内注射によって投与される。好適な液体剤形としては、溶液、懸濁液、分散体、エマルション、オイルおよびこれに類するものが挙げられる。一実施形態では、医薬組成物は静脈内に投与され、したがって静脈内投与に好適な形態で処方される。別の実施形態では、医薬組成物は動脈内に投与され、したがって動脈内投与に好適な形態で処方される。別の実施形態では、医薬組成物は筋肉内に投与され、したがって筋肉内投与に好適な形態で処方される。
【0164】
「治療する」という用語は、療法的な治療および予防または防止手段の両方を包含する場合があり、目的は本明細書に記述されるように、標的化された病理学状態または障害を予防または少なくすることであることを当業者は理解するであろう。したがって、一実施形態では、治療することは、疾患、障害、もしくは病状、またはこれらの組合せに直接的に影響するもしくはそれを治癒すること、抑制すること、阻害すること、防止すること、その重症度を減少すること、その発症を遅延すること、それに関連する症状を減少することを含む場合がある。したがって、一実施形態では、「治療する」ことは、とりわけ、進行を遅延すること、寛解を早めること、寛解を誘発すること、寛解を増強すること、回復を加速すること、代替治療に対する有効性を増加することもしくは耐性を減少すること、またはこれらの組合せを包含する場合がある。一実施形態では、「防止する」または「妨げる」ことは、とりわけ、症状の発症を遅延すること、疾患の再発を防止すること、再発の発症の数または頻度を減少すること、症候性の症状の発現の間の潜伏を増加すること、またはこれらの組合せを包含する場合がある。一実施形態では、「抑制する」または「阻害する」ことは、とりわけ、症状の重症度を減少すること、急性症状の発現の重症度を減少すること、症状の数を減少すること、疾患に関係した症状の発生率を減少すること、症状の潜伏を減少すること、症状を軽快すること、二次性症状を減少すること、二次感染を減少すること、患者の生存を延長すること、またはこれらの組合せを包含する場合がある。
【0165】
一実施形態では、症状は一次性であるが、一方で別の実施形態では、症状は続発性である。一実施形態では、「一次」は特定の疾患または障害の直接的な結果である症状を指すが、一方で一実施形態では、「続発性」は主因に由来する、その結果としての症状を指す。一実施形態では、本発明で使用するための化合物は、一次症状、または続発性症状、または二次合併症を治療する。別の実施形態では、「症状」は疾患または病的状態の何らかの兆候である場合がある。別の実施形態では、本発明は、本発明のワクチン、アプリケーター、本発明の方法の使用を説明する取扱説明資料を含むキットを提供する。モデルキットが以下に記述されるが、他の有用なキットの含有物は本開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。これらのキットの各々は本発明の別個の実施形態を表す。
【0166】
一実施形態では、「a」、「an」、および「the」などの単語の単数形は、文脈が明確にこれに反することを述べない限り、その対応する複数の参照を含む。
【0167】
本出願全体を通して、本発明の様々な実施形態が範囲の形式で提示される場合がある。範囲の形式の記述は、単に利便性および簡潔性の目的に過ぎず、本発明の範囲の一定不動の制限として解釈するべきではないことを理解するべきである。したがって、範囲の記述はすべての可能性のある部分的範囲ならびにその範囲内の個別の数値を具体的に開示したものと考えるべきである。例えば、1~6などのような範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6、等々などの具体的に開示された部分的範囲、ならびにこの範囲内の個別の数、例えば、1、2、3、4、5、および6を有すると考えるべきである。これは、範囲の幅広さに関わらず適用される。
【0168】
本明細書に数値的範囲が示されるときはいつも、示される範囲内のあらゆる引用された数値(分数または整数)を含むことを意味する。第1に示す数と第2に示す数と「の間の範囲」という句、および第1に示す数「から」第2に示す数「までの範囲」という句は、本明細書で互換的に使用され、第1に示す数および第2に示す数ならびにそれらの間のすべての分数および整数を含むことを意味する。
【0169】
「約」という用語は、数値的に定義されたパラメータを修飾するために使用されるとき、そのパラメータに対して述べられた数値の定量的な用語プラスもしくはマイナス5%、または別の実施形態では、プラスもしくはマイナス10%、または別の実施形態では、プラスもしくはマイナス15%、または別の実施形態では、プラスもしくはマイナス20%のパラメータの変動を包含する場合があることを当業者は良好に理解するであろう。
【0170】
「被験者」という用語は、状態もしくはその後遺症に対する療法を必要とするまたはその状態になりやすい、成人のヒト、またはヒトの子ども、ティーンエージャー、もしくは青年を含む哺乳類を包含することができ、これはイヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラット、およびマウスなどのヒト以外の哺乳類を含みうることを当業者は理解するべきである。この用語が家畜を包含してもよいことも理解されるであろう。「被験者」という用語はあらゆる点で正常な個体を除外しない。
【0171】
治療の目的については、[哺乳類」という用語は哺乳類と分類されたあらゆる動物を指し、ヒト、飼育動物および家畜、ならびに動物園の動物、スポーツ用の動物、または愛玩用動物(犬を含むイヌ科の動物、およびウマ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ等々など)を含むがこれに限定されないことを当業者は理解するであろう。
【0172】
以下の実施例では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が示される。しかしながら、本発明はこれらの具体的な詳細を含まずに実施されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。他の事例では、本発明を不明瞭にしないために周知の方法、手順、および構成成分は詳細には記述されていない。したがって、これらの実施例は本発明の幅広い範囲を制限するものとはけっして理解するべきでない。
実験詳細セクション
(実施例1)
LLO-抗原融合が抗腫瘍免疫性を誘発
材料および実験方法(実施例1~2)
細胞株
【0173】
C57BL/6同系TC-1腫瘍をHPV-16 E6およびE7で不死化し、c-Ha-rasガン遺伝子で形質転換した。T.C.Wu(Johns Hopkins University School of Medicine、米国メリーランド州Baltimore)によって提供されたTC-1は、HPV-16 E6 および E7で低いレベルを発現する腫瘍形成性の高い肺上皮細胞であり、またc-Ha-rasガン遺伝子で形質転換される。TC-1を、RPMI 1640、10%のFCS、2mMのL-グルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、100μMの非必須アミノ酸、1mMのピルビン酸ナトリウム、50マイクロモル(mcM)の2-ME、400マイクログラム(mcg)/mLのG418、および10%のナショナルコレクションタイプ培養液-109培地中、37°で、10%のCO2を用いて成長させた。C3は、HPV 16の完全ゲノムで不死化し、pEJ-rasで形質転換されたC57BL/6マウスからのマウスの胎芽細胞である。EL-4/E7は、E7を用いてレトロウイルスによって形質導入した胸腺腫EL-4である。
L.モノサイトゲネス株および増殖
【0174】
使用されたリステリア株は、Lm-LLO-E7(エピソーム発現系内のhly-E7融合遺伝子、
図1A)、Lm-E7(リステリアゲノムへと組込まれる単一コピーE7遺伝子カセット)、Lm-LLO-NP(「DP-L2028」、エピソーム発現系内のhly-NP融合遺伝子)、およびLm-Gag(「ZY-18」、染色体へと組込まれる単一コピーHIV-1Gag遺伝子カセット)であった。E7を、プライマー5’-GG
CTCGAGCATGGAGATACACC-3’(配列番号:17、XhoI部位は下線付き)および5’-GGGG
ACTAGTTTATGGTTTCTGAGAACA-3’(配列番号:18、SpeI部位は下線付き)を使用してPCRによって増幅し、そしてpCR2.1(Invitrogen米国カリフォルニア州San Diego)へと連結させた。pCR2.1をXhoI/SpeIによって消化してE7を切り離してpGG-55へと連結した。このhly-E7融合遺伝子および多能性の転写因子prfAをマルチコピーシャトルプラスミド(Wirth R et al、J Bacteriol、165:831,1986)であるpAM401へとクローニングし、pGG-55を生成した。hlyプロモーターはhly遺伝子産物の初めの441 AAの発現を駆動し(溶血性C末端を欠いている、以下では「ΔLLO」と呼ばれ、配列番号:25に示す配列を有する)、これはXhoI部位によってE7遺伝子に結合され、LLO-E7として転写され、分泌されたhly-E7融合遺伝子を得る。リステリアのprfA陰性株、XFL-7(ペンシルバニア大学のDr.Hao Shenによって提供された)のpGG-55を用いた形質転換が、インビボでのプラスミドの保持に対して選択された(
図1A~
図1B)。hlyプロモーターおよび遺伝子断片は、プライマー5’-GGGG
GCTAGCCCTCCTTTGATTAGTATATTC-3’(配列番号:19、NheI部位は下線付き)、および5’-CTCC
CTCGAGATCATAATTTACTTCATC-3’(配列番号:20、XhoI部位は下線付き)を使用して作成した。prfA遺伝子は、プライマー5’-GACTACAAGGACGATGACCGACAAGTGATAA
CCCGGGATCTAAATAAATCCGTTT-3’(配列番号:27、XbaI部位は下線付き)、および5’-CCC
GTCGACCAGCTCTTCTTGGTGAAG-3’(配列番号:21、SalI部位は下線付き)を使用してPCR増幅した。Lm-E7は、hlyプロモーターと、E7の発現および分泌を駆動するシグナル配列とを含有する発現カセットを、LMゲノムのorfZドメインへと導入することによって生成した。E7をプライマー5’-GC
GGATCCCATGGAGATACACCTAC-3’(配列番号:22、BamHI部位は下線付き)および5’-GC
TCTAGATTATGGTTTCTGAG-3’(配列番号:23、XbaI部位は下線付き)を使用してPCRによって増幅した。次いでE7をpZY-21シャトルベクターへと連結させた。LM株10403Sを、結果として得られるプラスミドpZY-21-E7を用いて形質転換したが、このプラスミドはLMゲノムのorfX、Y、Zドメインに対応する1.6kb配列の中央に挿入された発現カセットを含む。相同性ドメインは、相同的組み換えによるE7遺伝子カセットのorfZドメインへの挿入を可能にする。クローンを、E7遺伝子カセットのorfZドメインへの組込みについてスクリーニングした。細菌をブレインハートインフュージョン培地中で、クロラムフェニコール(20μg/mL)を用いて(Lm-LLO-E7およびLm-LLO-NP)、または用いないで(Lm-E7およびZY-18)、成長させた。細菌は、アリコートで-80℃にて凍結させた。ウエスタンブロット法によって発現を検証した(
図2)。
ウエスタンブロット法
【0175】
リステリア株をルリア-ベルターニ培地内で37℃にて成長させ、600nmで測定された同一の光学濃度で採取した。上清をTCA沈殿させ、0.1NのNaOHを補充した1×サンプルバッファー中で再懸濁した。同一量の各々の細胞ペレットまたは各々のTCA沈殿させた上清を、4~20%のトリスグリシンSDS-PAGEゲル(NOVEX、米国カリフォルニア州San Diego)上に負荷した。ゲルを二フッ化ポリビニリデンに移し、抗E7モノクローナル抗体(mAb)(Zymed Laboratories、米国カリフォルニア州South San Francisco)でプローブし、次いでHRP-結合抗マウス二次Ab(Amersham Pharmacia Biotech、英国Little Chalfont)でインキュベートし、Amersham
ECL検出試薬で顕色し、Hyperfilm(Amersham Pharmacia Biotech)に露光させた。
腫瘍増殖の測定
【0176】
1日おきに表面の最短径及び最長径にキャリパーをわたして腫瘍を測定した。これら2つの測定値の平均を平均腫瘍径としてミリメートルの単位で様々な時点に対してプロットした。腫瘍径が20mmに達したとき、マウスを屠殺した。各々の時点に対する腫瘍の測定値は、生きているマウスに対してのみ示されている。
定着した腫瘍増殖に対するリステリア組み換え型の効果
【0177】
生後6~8週目のC57BL/6マウス(Charles River)が2×105TC-1細胞を左脇腹の皮下に投与された。腫瘍接種の一週間後、腫瘍は直径4~5mmの触知可能なサイズに達した。次いで8匹のマウスの群が、7日目および14日目に、0.1LD50腹腔内のLm-LLO-E7(107CFU)、Lm-E7(106CFU)、Lm-LLO-NP(107CFU)、またはLm-Gag(5×105CFU)で処置された。
51Crリリースアッセイ
【0178】
生後6~8週間のC57BL/6マウスが、0.1LD50Lm-LLO-E7、Lm-E7、Lm-LLO-NP、またはLm-Gagで腹腔内免疫された。免疫化の10日後、脾臓を採取した。フィーダー細胞として照射されたTC-1細胞(100:1、脾細胞:TC-1)を用いて、脾細胞を培養液内に定着させ、インビトロで5日間刺激し、次いで以下の標的を使用して標準的51Crリリースアッセイに使用した。EL-4、EL-4/E7、またはE7 H-2bペプチド(RAHYNIVTF)でパルスしたEL-4。各3回実施したE:T細胞比は、80:1、40:1、20:1、10:1、5:1、および2.5:1であった。37℃で4時間のインキュベーション後、細胞をペレット化し、50μlの上清を各々のウェルから取り出した。Wallac 1450シンチレーションカウンター(米国メリーランド州Gaithersburg)を用いてサンプルをアッセイした。パーセント特異的溶解は、[(一分当たりの実験計数(cpm)-自然発生cpm)/(合計cpm-自然発生cpm)]×100として決定された。
TC-1特異的増殖
【0179】
C57BL/6マウスを0.1LD50を用いて免疫化し、20日後に1LD50のLm-LLO-E7、Lm-E7、Lm-LLO-NP、またはLm-Gagを用いて腹腔内注射によってブーストした。ブースティングの6日後、免疫化マウスおよび無処置マウスから脾臓を採取した。脾細胞を5×105/ウェルで、平底96-ウェルプレート内に、2.5×104、1.25×104、6×103、または3×103の照射TC-1細胞/ウェルをE7 Ag源として用いて、またはTC-1細胞なし、もしくは10μg/mLのCon Aありで、培養液内に定着させた。45時間後に0.5μCi[3H]チミジン/ウェルを用いて細胞をパルスした。プレートはTomtecハーベスター96(米国コネチカット州Orange)を使用して18時間後に採取され、Wallac 1450シンチレーションカウンターを用いて増殖が評価された。cpmの変化は、実験的cpm-Agを含まないcpmとして計算された。
フローサイトメトリー解析
【0180】
C57BL/6マウスに静脈内(i.v.)で、0.1LD50のLm-LLO-E7またはLm-E7を用いて免疫化し、30日後にブーストした。CD8(53-6.7、PE結合)、CD62リガンド(CD62L、MEL-14、APC結合)、およびE7
H-2Db四量体に対する3色フローサイトメトリーを、FACSCalibur(登録商標)フローサイトメーターとCellQuest(登録商標)ソフトウェア(Becton Dickinson、米国カリフォルニア州Mountain View、)を使用して実施した。ブーストの5日後に採取した脾細胞を、E7ペプチド(RAHYNIVTF)または対照(HIV-Gag)ペプチドを負荷したH-2Db四量体を用いて、室温(rt)で染色した。四量体は1/200に希釈して使用され、これらの四量体は、Dr.Larry R.Pease(Mayo Clinic、米国ミネソタ州Rochester)およびNIAID Tetramer Core FacilityおよびNIH AIDS Researchならびに標準試薬プログラムによって提供された。Tetramer+、CD8+、CD62Llow細胞が解析された。
B16F0-Ova実験
【0181】
24匹のC57BL/6マウスに5×105のB16F0-Ova細胞を接種した。3日目、10日目、および17日目に、0.1LD50Lm-OVA(106cfu)、Lm-LLO-OVA(108cfu)を用いて8匹のマウスの群を免疫化し、8匹のマウスは処置しないままにした。
統計
【0182】
腫瘍径の比較のために、各々の群に対する腫瘍サイズの平均およびSDが決定され、スチューデントのt-検定によって統計的有意性が決定された。p≦0.05が有意と見なされた。
結果
【0183】
Lm-E7およびLm-LLO-E7がTC-1増殖に影響を与える能力に関して比較された。皮下腫瘍がC57BL/6マウスの左の脇腹に定着した。7日後、腫瘍は触診可能なサイズ(4~5mm)に達した。7日目および14日目に、0.1LD
50m-E7、Lm-LLO-E7、または対照としてのLm-GagおよびLm-LLO-NPをマウスにワクチン接種した。Lm-LLO-E7は、定着したTC-1腫瘍の75%の完全な退行を誘発し、一方でこの群の中の他の2匹のマウスでは腫瘍増殖が制御された(
図3)。対照的に、Lm-E7およびLm-Gagを用いた免疫化は、腫瘍退行を誘発しなかった。この実験は複数回繰返され、常に非常に類似した結果であった。加えて、Lm-LLO-E7に対しては異なる免疫化プロトコル下でも類似の結果が達成された。別の実験では、単一の免疫化で、マウスの定着した5mmのTC-1腫瘍を治癒することができた。
【0184】
他の実験では、2つの他のE7を発現する腫瘍細胞株:C3およびEL-4/E7で類似の結果が得られた。Lm-LLO-E7を用いたワクチン接種の有効性を確認するために、腫瘍を除去した動物にTC-1またはEL-4/E7腫瘍細胞をそれぞれ60日目または40日目に再負荷した。Lm-LLO-E7を用いて免疫化した動物は実験終了まで腫瘍がないままであった(TC-1の場合124日目、EL-4/E7に対しては54日目)。
【0185】
したがってΔLLOとの融合タンパク質としての抗原の発現は抗原の免疫原性を強化する。
(実施例2)
LM-LLO-E7治療がTC-1特異的脾細胞増殖を引き出す
【0186】
Lm-LLO-E7を有するLm-E7によるT細胞の誘導を測定するために、TC-1特異的増殖性の応答、抗原特異的免疫能の測定が免疫化したマウスで実施された。脾細
胞:C-1比が20:1、40:1、80:1、および160:1で、E7の供給源としての照射TC-1細胞に曝露したとき、Lm-LLO-E7で免疫化したマウスからの脾細胞が増殖した。(
図4)。反対に、Lm-E7およびrLm対照免疫化マウスからの脾細胞はバックグラウンドレベルの増殖しか示さなかった。
(実施例3)
LLO、ActA、またはPESTアミノ酸配列へのE7の融合はE7特異的免疫性を強化し、腫瘍浸潤E7特異的CD8
+細胞を生成する
材料および実験方法
【0187】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の100mcl(マイクロリットル)の2×105TC-1腫瘍細胞に加えて400mclのMATRIGEL(登録商標)(BD Biosciences、米国ニュージャージー州Franklin Lakes)を含む500mclのMATRIGEL(登録商標)を12匹のC57BL/6マウスの左脇腹に皮下移植した(n=3)。マウスを7日目、14日目、および21日目に腹腔内免疫し、脾臓および腫瘍を28日目に採取した。腫瘍MATRIGELをマウスから取り出し、氷上で、2ミリリットル(mL)のRP 10培地を含有する試験管内で4℃にて一晩インキュベートした。腫瘍を鉗子を用いて細かく切り刻み、2mmのブロックに切断し、3mLの酵素混合物(PBS中の0.2mg/mLコラゲナーゼP、1mg/mLのDNAse-1)とともに37℃で1時間インキュベートした。組織懸濁液を、ナイロンメッシュを通して濾過し、四量体およびIFN-γ染色のために、PBS中の5%胎児ウシ血清+0.05%のNaN3で洗浄した。
【0188】
脾細胞および腫瘍細胞を107細胞/mLのブレフェルジンAの存在下で、1マイクロモル(mcm)のE7ペプチドと共に5時間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、50mclの抗マウスFc受容体上清(2.4 G2)中、4℃で1時間または一晩インキュベートした。細胞を表面分子CD8およびCD62Lについて染色し、浸透させ、浸透キットGolgi-stop(登録商標)またはGolgi-Plug(登録商標)(Pharmingen、米国カリフォルニア州San Diego)を使用して固定し、IFN-γに対して染色した。500,000事象を2レーザーフローサイトメーター、FACSCaliburを使用して獲得し、Cellquest Software(Becton Dickinson、米国ニュージャージー州Franklin Lakes)を使用して分析した。活性化(CD62Llow)CD8+T細胞内のIFN-γ分泌細胞のパーセンテージを計算した。
【0189】
四量体染色のために、H-2Db四量体にフィコエリスリン(PE)結合E7ペプチド(RAHYNIVTF、配列番号:24)を負荷し、室温で1時間染色し、抗アロフィコシアニン(APC)結合MEL-14(CD62L)およびFITC-結合CD8+で4℃にて30分間染色した。脾臓および腫瘍内の四量体+CD8+CD62Llow細胞を比較して細胞を解析した。
結果
【0190】
抗原特異的免疫性を強化するLm-ActA-E7の能力を解析するために、マウスにTC-1腫瘍細胞を移植し、Lm-LLO-E7(1×10
7CFU)、Lm-E7(1×10
6CFU)、またはLm-ActA-E7(2×10
8CFU)のいずれかで免疫化するか、あるいは未処置とした(無処置)。Lm-LLO-E7およびLm-ActA-E7群からのマウスの腫瘍は、Lm-E7または無処置マウスよりも、より高いパーセンテージのIFN-γ分泌CD8
+T細胞(
図5A)および四量体特異的CD8
+細胞(
図5B)を含有していた。
【0191】
別の実験では、腫瘍を持つマウスにLm-LLO-E7、Lm-PEST-E7、Lm-ΔPEST-E7、またはLm-E7epiを投与し、腫瘍の中のE7特異的リンパ球のレベルを測定した。0.1LD
50の4つのワクチンを用いて、7日目および14日目にマウスを処置した。腫瘍を21日目に採取し、CD62L、CD8に対する抗体を用いて、およびE7/Db四量体を用いて染色した。腫瘍内の四量体陽性リンパ球のパーセンテージの増大が、Lm-LLO-E7およびLm-PEST-E7を用いてワクチン接種したマウスで見られた(
図6A)。この結果は3つの実験にわたって再現性があった(
図6B)。
【0192】
したがって、Lm-LLO-E7、Lm-ActA-E7、およびLm-PEST-E7は、腫瘍浸潤CD8+T細胞の誘導および腫瘍退行において各々有効である。
(実施例4)
マウスを通したリステリアワクチンベクターの継代が異種抗原および内在性抗原に対する免疫応答の増加を引き出す
材料および実験方法
細菌株
【0193】
L.モノサイトゲネス株10403S、セロタイプ1(ATCC、米国バージニア州Manassas)が、これらの研究で使用した野生型の生命体であり、かつ以下に記述する構築体の親株である。株10403Sは、BALB/cマウスに腹腔内注射したとき、LD50はおよそ5×104CFUである。「Lm-Gag」は、修飾型シャトルベクターpKSV7を使用してリステリア染色体へと安定して組み込まれる、HIV-1株HXB(シンシチウム形成表現型を含むサブタイプB実験室株)gag遺伝子のコピーを含有する組み換え型LM株である。ウエスタンブロットによって判定した時、Gagタンパク質が株によって発現され、かつ分泌された。すべての株はブレインハートインフュージョン(BHI)培地または寒天培地プレート(Difco Labs、米国ミシガン州Detroit)内で成長させた。
細菌培養
【0194】
パッセンジャー抗原および/または融合タンパク質を発現する単一のクローン由来の細菌を選択し、BHI培地で一晩培養した。この培養物のアリコートを添加物を用いずに-70℃で凍結した。このストックから、培養物を600nmで0.1~0.2O.D.まで成長させ、アリコートを再度添加剤を用いずに-70℃で凍結した。クローニングした細菌プールを調製するために上記の手順を使用したが、各々の継代の後、ある数の細菌のクローンを選択し、そして本明細書に記述されるように標的抗原の発現を検査した。外来抗原の発現が確認されたクローンが、次の継代に使用された。
マウス内での細菌の継代
【0195】
生後6~8週間のメスのBALB/c(H-2d)マウスをJackson Laboratories(米国メーン州Bar Harbor)から購入し、病原体の無いマイクロアイソレーター環境で維持した。-70℃で凍結保存されたストック培養物のアリコート内の生菌の力価を、解凍中かつ使用前にBHI寒天培地プレート上にプレーティングすることによって判定した。合計で、5×105の細菌をBALB/cマウスに静脈内注射した。3日後、脾臓を採取し、ホモジナイズし、脾臓ホモジネートの段階希釈物をBHI培地内で一晩インキュベートし、BHI寒天培地プレート上にプレーティングした。さらなる継代のために、アリコートを0.1~0.2O.D.まで再度成長させ、-70℃で凍結し、細菌の力価を段階希釈によって再度判定した。初回継代(継代0)の後、この一連の手順を全部で4回繰り返した。
IFN-γに対する細胞内サイトカイン染色
【0196】
リンパ球を、50U/mLのヒトの組み換え型IL-2および1マイクロリットル/mLのブレフェルジンA(Golgistop(商標);PharMingen、米国カリフォルニア州San Diego)を添加した完全RPMI-10培地内で5時間の間、1マイクロモル濃度の、HIV-GAG(AMQMLKETI;配列番号:25)に対する細胞毒性T細胞(CTL)エピトープ、リステリアLLO(GYKDGNEYI;配列番号:26)、またはHPVウイルス遺伝子E7(RAHYNIVTF)(配列番号:24)、のいずれかの存在下で、または不在下で培養した。細胞を最初に表面染色し、次いで洗浄し、そして製造業者(PharMingen、米国カリフォルニア州San Diego)の推奨に従ってCytofix/Cytopermキットを使用して細胞内サイトカイン染色に供した。細胞内IFN-γ染色のためには、FITC-結合ラット抗マウスIFN-γモノクローナル抗体(クローンXMG 1.2)およびそのアイソタイプ対照Ab(ラットIgG1;両者ともPharMingenから入手)が使用された。合計で106の細胞を、1%のウシ血清アルブミンおよび0.02%のアジ化ナトリウム(FACS緩衝液)を含有するPBS中、4℃で30分間染色し、続いてFACS緩衝液中で3回洗浄した。サンプルデータが、FACScan(商標)フローサイトメーターまたはFACSCalibur(商標)機器(Becton Dickinson、米国カリフォルニア州San Jose)のいずれかで取得された。CD8(PERCP結合、ラット抗マウス、クローン53-6.7、Pharmingen、米国カリフォルニア州San Diego)、CD62L(APC結合、ラット抗マウス、クローンMEL-14)、および細胞内IFN-γに対する3色フローサイトメトリーを、FACSCalibur(商標)フローサイトメーターを使用して実施し、データをCELLQuestソフトウェアを用いてさらに解析した(Becton Dickinson、米国カリフォルニア州Mountain View)。CD8+に対して解析し、かつ細胞内IFN-γ染色する前に、細胞をCD8高およびCD62Llow上でゲーティングした。
結果
マウスでの継代が組み換え型リステリアモノサイトゲネスの病毒性を増加する
【0197】
組み換え型リステリアワクチンベクターに対する継代の影響を判定するために3つの異なる構築体が使用された。これらの構築体のうちの2つはパッセンジャー抗原のゲノム挿入を担持する。第1の構築体はHIV gag遺伝子(Lm-Gag)を含み、そして第2の構築体はHPV E7遺伝子(Lm-E7)を含む。第3の構築体(Lm-LLO-E7)は、LLOの切断バージョンおよびprfA(リステリア病毒性因子を制御する陽性調節因子)をコードする遺伝子と融合したパッセンジャー抗原(HPV E7)に対する融合遺伝子を有するプラスミドを含む。このプラスミドを使用してprfA陰性突然変異を相補したので、生きている宿主内では、これが無ければ細菌は非病毒性であるので、選択圧力がプラスミドの保存を支持するようになる。多くの細菌の世代に対して3つの構築体すべてが広範囲にインビトロで繁殖されてきた。
【0198】
脾臓内で生存している細菌の数によって測定する時、細菌の継代は、最初の2回の継代の各々で細菌の病毒性の増加をもたらす。Lm-GagおよびLm-LLO-E7については、継代2までの各々の継代で病毒性が増加した(
図7A)。プラスミド含有構築体、Lm-LLO-E7は、病毒性の最も劇的な増加を示した。継代の前に、Lm-LLO-E7の初期免疫化用量は10
7まで細菌を増加する必要があり、細菌を回収するために2日目に脾臓を採取する必要があった(一方で、Lm-Gagに対する10
5細菌の初期用量は3日目に採取した)。初期継代の後、Lm-LLO-E7の標準投与量は3日目の採取を可能にするのに十分であった。Lm-E7については、病毒性の程度は継代されていない細菌に対して1.5倍ほど増加した(
図7B)。
【0199】
こうして、マウスを通した継代はリステリアワクチン株の病毒性を増加する。
継代はL.モノサイトゲネスのCD8+T細胞を誘発する能力を増加する
【0200】
次に、抗原特異的CD8
+T細胞の誘発に対する継代の効果が、HIV-GagペプチドAMQMLKETI(配列番号:25)およびLLO91-99(GYKDGNEYI;配列番号:26)を使用して、MHC-クラスI特異的免疫優勢ペプチドを用いた細胞内サイトカイン染色で判定された。10
3CFUの継代細菌(Lm-Gag)のマウスへの注射は、有意な数のHIV-Gag特異的CD8
+T細胞を誘発したが、継代されていないLm-Gagの同一用量は、検出可能なGag特異的CD8
+T細胞を誘発しなかった。継代されていない細菌の用量を100倍に増加しても、これらの相対的な非病毒性を補填しなかった。実際、より高い用量でも検出可能なGag特異的CD8
+T細胞は誘発されなかった。継代細菌を用いた同一の用量増加は、Gag特異的T細胞の誘発を50%増加した(
図8)。抗原特異的CD8
+T細胞の誘発の同一のパターンが、LLO特異的CD8
+T細胞で観察され、これらはLLO、内在性リステリア抗原で観察されたので、これらの結果がパッセンジャー抗原の特性によって生じたのではないことを示している。
【0201】
こうして、マウスを通した継代はリステリアワクチン株の免疫原性を増加する。
(実施例5)
PrfA含有プラスミドは、抗生剤がないとき、PrfA欠失を持つLM株内で安定である
材料および実験方法
細菌
【0202】
L.モノサイトゲネス株XFL7は、prfA遺伝子内に300個の塩基対欠失を含有し、XFL7は、病毒性を部分的に回復し、かつCAP抵抗性を与えるpGG55を担持し、これは米国特許出願公開第200500118184号に記述されている。
リステリアからのプラスミド抽出のためのプロトコルの開発
【0203】
1mLのリステリアモノサイトゲネスLm-LLO-E7研究ワーキング細胞バンクバイアルを、34μg/mLのCAPを含有する27mLのBH1培地へと接種し、37℃および200rpmで24時間成長させた。
【0204】
培養物の2.5mLサンプル7個をペレットにし(15000rpmで5分間)、ペレットを50μlのリゾチーム溶液を用いて0~60分の様々な長さの時間の間37℃でイ
ンキュベートした。
【0205】
リゾチーム溶液:
- 29μlの1Mリン酸水素二カリウム
- 21μlの1Mリン酸二水素カリウム
- 500μlの40%スクロース(0.45/μmフィルターを通してフィルター滅菌した)
- 450μlの水
- 60μlのリゾチーム(50mg/mL)
【0206】
リゾチームを用いたインキュベーションの後、前述のように懸濁液を遠心分離し、上清は廃棄した。次いで、各々のペレットを、QIAprep Spin Miniprep
Kit(登録商標)(Qiagen、米国メリーランド州Germantown)プロトコルの修正バージョンによってプラスミド抽出に供した。プロトコルに対する変更は以下のとおりである。
1.増加した生物量の完全な溶解を可能にするために、緩衝液PI、P2、およびN3の体積をすべて3倍に増加させた。
2.P2の添加の前に、2mg/mLのリゾチームを再懸濁した細胞に添加した。次いで、中和の前に溶解溶液を37℃で15分間インキュベートした。
3.濃度を増加するために、50μlではなく30μl中でプラスミドDNAを再懸濁した。
【0207】
他の実験では、細胞を15分間P1緩衝液+リゾチーム中でインキュベートし、次いで、P2(溶解緩衝液)およびP3(中和緩衝液)を用いて室温でインキュベートした。
【0208】
各々の二次培養物からの同体積の分離プラスミドDNAを、エチジウムブロマイドで染色した0.8%のアガロースゲル上に通し、構造または分離の不安定性の何らかの兆候を調べるために可視化した。
【0209】
結果は、リゾチームを用いたインキュベーション時間が増加するほど(およそ50分間のインキュベーション最適レベルまで)、L.モノサイトゲネスLm-LLO-E7からのプラスミド抽出の効率が増加することを示した。
【0210】
これらの結果は、リステリアワクチン株からのプラスミド抽出のための効果的な方法を提供する。
レプリカプレーティング
【0211】
元の培養物の希釈物を、LBまたはTB寒天培地を含有するプレートの上に34μg/mLのCAP無しで、または有りでプレーティングした。選択的寒天培地上での計数と非選択的な寒天培地上での計数と間の差異が、プラスミドの何らかの全体的な分離の不安定性があるかどうかを判定するために使用された。
結果
【0212】
L.モノサイトゲネス株XFL7内のpGG55プラスミドの抗生剤無しでの遺伝子的な安定性(すなわち、選択圧力(例えば、抗生剤選択圧力)無しで、プラスミドが細菌によって保持されるまたは細菌と関連付けられて安定して留まる程度)は、ルリア-ベルターニ培地(LB:5g/LのNaCl、10g/mLの大豆ペプトン、5g/Lの酵母抽出物)と、テリフィックブロス(Terrific Broth)培地(TB:10g/Lのグルコー
ス、11.8g/Lの大豆ペプトン、23.6g/Lの酵母抽出物、2.2g/LのKH
2PO
4、9.4g/LのK
2HPO
4)の両方で、連続する二次培養物によって、各2つの培養物で評価された。250mLのバッフル付き振盪フラスコ内の50mLの新鮮培地に定数の細胞(1 ODmL)を接種し、次いでこれを24時間間隔で二次培養した。培養物をオービタルシェーカー内で37℃および200rpmでインキュベートした。各々の二次培養物において、OD
600を測定し、LBでは30世代に達するまで、そしてTBでは42世代に達するまで、経過した細胞倍増時間(または世代)を計算するために使用した。各々の二次培養段階における(およそ4世代ごと)既知の数の細胞(15OD
mL)を遠心分離によってペレット化し、上述のQiagen QIAprep Spin Miniprep(登録商標)プロトコルを使用してプラスミドDNAを抽出した。精製後、プラスミドDNAをアガロースゲルの電気泳動に供し、続いてエチジウムブロマイドで染色した。調製物のプラスミドの量はサンプルによって若干異なったが、全体的な傾向として、細菌の世代数に関してプラスミドの量は一定であった(
図9A~
図9B)。こうして、pGG55は、抗生剤が無い状態でも、株XFL7内で安定性を呈した。
【0213】
安定性試験の間に二次培養の各々の段階で、寒天培地プレート上のレプリカプレーティングによってプラスミド安定性もモニターした。アガロースゲルの電気泳動からの結果と一致して、試験を通してLBまたはTB液体培養物のいずれでもプラスミド含有細胞の数に全体的変化はなかった(それぞれ
図10および
図11)。
【0214】
これらの所見はprfAをコードするプラスミドが、prfA内に突然変異を含有するリステリア株内で、抗生剤無しで安定性を呈することを実証する。
材料および方法(実施例6~10)
【0215】
PCR試薬:
【0216】
prfA遺伝子の増幅およびD133V突然変異の区別に使用したプライマーを表1に示す。プライマーADV451、452、および453のストック溶液を、プライマーをTE緩衝液中、400μMまで希釈することによって調製した。ストック溶液のアリコートを水中20μM(PCRグレード)までさらに希釈して希釈標準溶液を調製した。プラ
イマーは-20℃で保存した。PCRで使用した試薬を表2に示す。
【0217】
【0218】
【0219】
prfA突然変異を含む(pGG55 D133V)、および含まない(pGG55 WT)pGG55プラスミドを、製造業者の取扱説明書に従いPureLink(商標)HiPure Plasmid Midiprep Kit(Invitrogen、K2100-05)を使用して、大腸菌またはリステリアモノサイトゲネスのいずれかからミディプレップで抽出し、精製した。リステリアからのプラスミド精製については、pGG55 D133VまたはWTプラスミドを担持する細菌株を凍結ストックからクロラムフェニコール(25μg/mL)添加BHI寒天培地プレート内に画線プレーティングした。各々の株からの単一コロニーを、5mLの選択培地(25μg/mLのクロラムフェニコールを含むBHI培地)内で6時間激しく振盪しながら37℃で成長させ、類似の条件下で一晩の成長のために1:500で100mLの選択培地に継代接種した。一晩培養からの細菌を4,000×gで10分間遠心分離して採取し、2mg/mLのリゾチーム(Sigma、L7001)を含有する緩衝液R3(再懸濁緩衝液)に再懸濁した。細菌懸濁液を、標準プロトコルに進む前に少なくとも1時間、37℃でインキュベートした。溶出したプラスミドの濃度および純度を分光光度計で260nmおよび280nmにおいて測定した。テンプレートDNAを調製するために、pGG55 D133VおよびWTプラスミドをミディプレップストック溶液から最終濃度の1ng/μlになるように水中で再懸濁した。pGG55 WTプラスミドについては、10-1から10-7までの希釈に対応する1ng/μl溶液からの10倍の段階希釈物を調製した。
臨床グレードの材料を試験するためのprfA特異的PCRプロトコル
【0220】
反応混合物は1×PCR緩衝液、1.5mMのMgCl2、0.8mMのdNTP、0.4μMの各々のプライマー、0.05U/μlのTaq DNAポリメラーゼ、および0.04ng/μlのpGG55 D133Vテンプレートプラスミドを含有していた。各々の試験のために10本のチューブが必要であり、そして25μlの反応における各々のチューブ内の主要構成成分を表3に示す。PCR反応のために、表4に示すように、11個の反応のために十分な試薬を含むマスターミックスを調製し、各々のチューブにこのPCRミックスのうちの24μlを添加した。引き続いて、合計1μlの段階希釈したpGG55 WTプラスミドを、対応するチューブに添加した:チューブ3の中に1ng、チューブ4の中に100pg、チューブ5の中に10pg、チューブ6の中に1pg、チューブ7の中に100fg、チューブ8の中に10fg、チューブ9の中に1fg、チューブ10の中に0.1fg。方法感度を判定する目的で標準曲線を較正するためにこの段階希釈を使用した。さらに、チューブ1に0.5μlの水および0.5μlのプライマー
ADV451(20μMストック)を添加し、チューブ2に1μlの水を添加し、25μlの最終体積を完了した。25μlの反応のためのチューブ当たりの各々の試薬の量を表5に示す。反応で使用されたPCRサイクルの条件を表6に示す。
【0221】
PCR反応の完了後、5μlのゲルローディング緩衝液(6×、ブロモフェノールブルー入り)を各々のサンプルに添加し、10μlをTBE緩衝液中の1.2%のアガロースゲル内での電気泳動によって解析した。ゲルの寸法は7cm×7cm×1cmであり、15サンプルウェル(1mm×2mm)コームを有する。ゲルを100Vで30分間程度、ブロモフェノールブルー染料がゲルの中心に達するまで実行した。ゲルをエチジウムブロマイド(0.5μg/mL)中で20分間染色し、水中で10分間脱染した。ゲルをUV光を用いた照明によって可視化し、写真撮影した。帯域濃度測定ソフトウェア(Quantity Oneバージョン4.5.1、BioRad)を使用して画像を解析した。
【0222】
【0223】
【0224】
【0225】
【0226】
ジデオキシシークエンシング法を使用してプラスミドのシークエンシングを行った。プラスミドpGG55 D133VとpGG55 WTを異なる比(1:1、1:10、1;100、1:1,000、および1:10,000)で混合した。混合物中のプラスミドの合計量を一定(500μg)に保ち、方法の感度を判定するために野生型配列を含有するプラスミドをD133Vプラスミドに関して10倍に段階希釈した。
結果
(実施例6)
シークエンシングは、D133V突然変異の復帰を検出するためには感度の高い方法ではない
【0227】
野生型prfA配列を検出する際のシークエンシングの感度を見積もるために、pGG55 D133VおよびWTプラスミドを異なる比で混合し、シークエンシングした。結果を
図12に示し、シークエンシングが、prfAD133V突然変異を区別するうえで高い特異性を有することが明らかになった(
図12)。一方で、感度は低く、配列内に検出可能なピークを有する野生型prfA pGG55プラスミドの最大希釈は10対1である(
図12)。結論として、シークエンシングは大変特異的だが、この方法の感度は低く、Lm-LLO-E7サンプル内でprfAD133V突然変異の復帰突然変異体などの稀な事象の存在をスクリーニングするのには適切でない。
(実施例7)
D133V突然変異の復帰を検出するための高度に特異的で感度の高いPCR法の開発
【0228】
稀な事象を検出するためのシークエンシングの感度が低いことを考えると、D133V突然変異の野生型への復帰を検出するために類似の特異性を有するより感度の高い方法を開発することが必要不可欠となる。この目標を達成するために、野生型配列を特異的に増幅するPCRベースの方法を設計し、これはD133V突然変異した配列の10,000,000個のコピーに対してprfAの少なくとも1個の野生型コピーを検出するのに十分な感度である。この方法のために3つのプライマーを設計した。すなわち、ADV451、ADV452、およびADV453である(表1)。ADV451とADV452の両方は、フォワードプライマーであり、prfA遺伝子の398の位置でA→T(D133V)突然変異を区別するように、3’位置の最後のヌクレオチドが異なる。ADV453プライマーは、ADV451およびADV452プライマーのアニーリング部位のおよそ300bp下流に位置付けられたリバースプライマーである(
図13)。プライマーADV451、またはADV452、およびADV453を用いて得られる予想PCR帯域は326bpである。厳しい条件の下では、ADV451プライマーはpGG55 D133Vプラスミドのみを増幅するべきであるが、一方でADV452は野生型prfA配列に特異的であることになる。
(実施例8)
PCR法の特異性
【0229】
プライマーADV451を使用した反応は、大変特異的であり、突然変異D133V prfA配列を増幅した(レーン1~3)が、野生型配列(レーン4~6)は増幅しなかった。しかしながら、5ngのテンプレートDNAを使用したときにはレーン4では大変かすかな帯域を検出することができるが、1ngでは検出できなかった(
図14)。
【0230】
図15に示すように、ADV452プライマーを用いた反応は野生型prfA配列(レーン4、5、および6)のみを増幅し、D133V prfA突然変異を担持するpGG55をテンプレートとして使用したときには(レーン1、2、および3)、反応に5ngのプラスミドを使用したときでも帯域を検出しなかった(
図16)。結論として、プライマーADV451およびADV452を用いたPCR反応は、大変特異的であり、pGG55プラスミド内のprfA遺伝子の位置398においてA←→T(D133V)突然変異を区別することができる。これらの結果に基づいて、反応に使用されるテンプレートDNAの標準量として1ngの量を選択した。
(実施例9)
CR法の感度
【0231】
1ngのテンプレートDNAを使用して反応の感度を試験した。野生型prfA配列を担持するプラスミドに対して、感度を見積もるために漸減するDNAの量(10
-1~10
-7の10倍希釈に対応する)も反応に含めた。これらの反応では、プライマーADV452およびADV453のみを使用した。30サイクル(53℃のアニーリング温度で10サイクル、そして50℃のアニーリング温度で追加的に20サイクル)のPCR反応では、方法の感度は1対100,000であった(データ非表示)。
図5に示すように、PCRサイクルの数を37へと増加することは、D133V復帰突然変異体の検出に対して、特異性を著しく損なうことなく方法の視感度を10
-6へと改善した。DNAの初期量として1ngのプラスミドが使用されたとき、10
-6希釈において明らかな帯域が見られ、これは100万個のD133V突然変異に対する1コピーの野生型配列の検出レベルに対応した。より長い曝露後、レーン1およびレーン9では大変弱い帯域のみが目に見え、方法の堅牢な特異性を再確認した。一方で、5ngのDNAで開始したときには、10
-7希釈において帯域を容易に検出することができ、PCRの感度を増加した。しかしながら、pGG55 D133Vプラスミドを用いて類似の強度の帯域を検出することもでき、方法の特異性の限度を示す(
図17)pGG55 D133Vプラスミドを用いて観察されたこの帯域は、サイクル数の増加で著しく蓄積しうるプライマーADV452を用いたD133V突然変異の非特異的増幅に起因する可能性がある。これらの結果は、特異性を著しく損なうことなく、この方法に対する感度の限度が1対1,000,000~1対10,000,000にあることを示す。
(実施例10)
LLOの融合タンパク質をE7に発現する組み換え型リステリア(LM-LLO-E7)
【0232】
この株は野生型の親株10403Sよりおよそ4~5ログ弱毒化されており、融合タンパク質tLLO-E7を分泌する。この免疫療法はバックボーンXFL7に基づき、このバックボーンは、病毒性遺伝子転写活性化剤prfA内での不可逆な欠失によって10403Sから派生する。PrfAは、リステリオシンO(LLO)、ActA、PlcA(ホスホリパーゼA)、PlcB(ホスホリパーゼB)などの、インビボ細胞内成長およびL.モノサイトゲネスの生存のために要求されるいくつかの病毒性遺伝子の転写を調節する。プラスミドpGG55は、「クロラムフェニコール」を用いた選択手段により、インビトロでLm-LLO-E7によって保持される。しかしながら、Lm-LLO-E7によるプラスミドのインビボでの保持のために、それは突然変異prfA(D133V)のコピーを担持し、これはDNA結合および病毒性遺伝子の転写の活性化では、野生型PrfAより活性が低いことが実証されてきた。突然変異prfAを用いた相補は、野生型株10403Sと比較するとLm-LLO-E7から分泌されたLLOの量のおよそ40倍の減少をもたらすことを観察した。これは株Lm-LLO-E7が、actA、inlA、inlB、inlC、plcBなどのPrfAによって調節される病毒性遺伝子の発現の減少を呈する可能性があることを暗示する。Lm-LLO-E7では、prfAの突然変異コピーを用いた相補が、PrfAによって調節される異なる病毒性遺伝子の発現の減少を生じる可能性があり、結果としておよそ4~5ログの全体的な弱毒化をもたらす。
【0233】
本発明のある特定の特徴が本明細書に例示され記述されてきたが、当業者であれば数多くの修正、置換、変更、および同等物を思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨に含まれるかかるすべての修正および変更を網羅することを意図していることが理解されるべきである。
【配列表】