(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】FGFRとVEGFR二重阻害剤としてのピリジン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20230621BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230621BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20230621BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
C07D471/04 105C
C07D471/04 CSP
A61P35/00
A61K31/444
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2022505380
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(86)【国際出願番号】 CN2020104550
(87)【国際公開番号】W WO2021018047
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】201910684252.3
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911266249.6
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010230493.3
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520255698
【氏名又は名称】シージーンテック (スーチョウ, チャイナ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、チョンシア
(72)【発明者】
【氏名】タイ、メイピー
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シューホイ
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/172616(WO,A1)
【文献】特表2012-524056(JP,A)
【文献】特表2016-515604(JP,A)
【文献】特表2010-513447(JP,A)
【文献】特表2015-523383(JP,A)
【文献】特表2011-500544(JP,A)
【文献】特表2010-513448(JP,A)
【文献】特表2012-524055(JP,A)
【文献】特表2011-500545(JP,A)
【文献】特表2011-530511(JP,A)
【文献】特表2011-522866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
(式中、
R
1は
、1、2又は3つのR
aにより任意に置換されたC
1-3アルキルから選ばれ;
R
2とR
3はそれぞれ独立し
て、F、Cl、Br、
及びIから選ばれ;
R
4はH、C
1-6アルキル、C
1-3アルコキシ、C
3-5シクロアルキル
、及び1,3-ジオキソラニルから選ばれ、上記C
1-6アルキル、C
1-3アルコキシ、C
3-5シクロアルキル
、及び1,3-ジオキソラニルは1、2又は3つのR
bにより任意に置換され;
Lは-N(R
5)C(=O)-、-N(R
5)S(=O)
2-
、-N(R
5)CH
2-及び-N(R
5)-から選ばれ;
R
5はそれぞれ独立してH及びC
1-3アルキルから選ばれ;
環Bはピラゾリ
ルから選ばれ、上記ピラゾリ
ルは1又は2つのR
6により任意に置換され;
R
6はH及びC
1-3アルキルから選ばれ;
R
a
はHであり、
R
b
はH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN及びCH
3から選ばれる。)
【請求項2】
R
1
はCH
3及びCH
2CH
3から選ば
れる、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
4はH、シクロプロピル、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、C(CH
3)
3、CH
2CH
2CH
3、CH
2CH(CH
3)
2、OCH
3、OCH
2CH
3
、及び1,3-ジオキソラニルから選ばれ、上記シクロピロピル、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、C(CH
3)
3、CH
2CH
2CH
3、CH
2CH(CH
3)
2、OCH
3、OCH
2CH
3
、及び1,3-ジオキソラニルは1、2又は3つのR
bにより任意に置換される、請求項1
又は請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
4はH、
【化2】
、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、C(CH
3)
3、CH
2CH
2CH
3、OCH
2CH
3、
【化3】
から選ばれる、請求項
3に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
5はそれぞれ独立してH、CH
3及びCH
2CH
3から選ばれる、請求項1
又は請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Lは-NHC(=O)-
、-NHS(=O)
2-、-NHCH
2-及び-NH-から選ばれる、請求項
5に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
-L-R
4は
【化4】
から選ばれる、請求項
4又は
請求項6に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
環Bは
【化5】
から選ばれ、上記
【化6】
は1つ又は2つのR
6により任意に置換される、請求項1
又は請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
環Bは
【化7】
から選ばれる、請求項
8に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
構造単位
【化8】
から選ばれる、請求項
9に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
構造単位
【化9】
から選ばれる、請求項
10に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
下記式から選ばれる、請求項1~
請求項6のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化10】
(式中、
R
1、R
2、R
3、L及びR
4は、請求項1~
請求項6のいずれか一項で定義された通りである。)
【請求項13】
下記式から選ばれる、請求項
12に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化11】
(式中、
R
1、R
2、R
3及びR
4は請求項
12で定義された通りである。)
【請求項14】
下記式で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化12】
【請求項15】
有効成分としての請求項1~
請求項14のいずれか一項に記載の治療有効量の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
FGFRとVEGFR二重阻害剤に関連する薬物の調製における、請求項1~
請求項14のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、又は請求項
15に記載の組成物の使用。
【請求項17】
上記FGFR及びVEGFRの二重阻害剤に関連する薬物が固形腫瘍に使用する薬物であることを特徴とする請求項
16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、以下の優先権を主張する。
CN201910684252.3、出願日2019年07月26日;
CN201911266249.6、出願日2019年12月11日;
CN202010230493.3、出願日2020年03月27日。
【背景技術】
【0002】
本発明はFGFRとVEGFR二重阻害剤に関し、具体的には、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0003】
線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)は、線維芽細胞成長因子(FGF)に特異的に結合可能な受容体タンパク質の一種である。FGFRsのファミリーには、FGFR1b、FGFR1c、FGFR2b、FGFR2c、FGFR3b、FGFR3c、FGFR4が含まれる。線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)は、生物学的シグナルの伝達、細胞増殖の調節、組織の修復に関与する機能を持つ生理活性物質の一群である。FGFRの高発現、突然異変又は融合などの異常は、例えば、肝臓がん、膀胱がん、肺がん、乳がんなどの疾患などで、腫瘍の発生や進行を引き起こす可能性があると臨床的に発見された。FGFRはリガンドFGFに結合し、細胞内複数のチロシン残基の自己リン酸化を引き起こし、MEK/MAPK、PLCy/PKC、PI3K/AKT、STATSなどの下流シグナルが伝達される。従って、FGFRは重要な抗腫瘍標的であると認定される。
【0004】
VERGFRファミリーには、VEGFR-1、VEGFR-2(KDR)及びVEGFR-3の三つの特異なチロシンキナーゼ受容体が含まれる。VEGFR-2は内皮細胞増殖を引き起こし、血管透過性効果を高め、血管新生を促進するVEGFのシグナル伝達の重要な調節因子であり、VEGFR-2とVEGFの親和性はVEGFR-1よりも高い。内皮細胞の中にはVEGFR-2のみが発現されると、VEGFR-2を活性化して血管新生を促進する効果が高いことが研究で明らかになった。従って、VEGFR-2は抗血管新生薬の開発の主なターゲットである。
【0005】
VEGFR経路とFGFR経路は連携して、血管新生における内皮細胞の活性化と生成を完了する。VEGFは、血管新生の促進作用を発揮するためにFGFの存在を必要とする場合がある。FGFRとVEGFR経路の相乗効果は、腫瘍の免疫回避を阻害し、腫瘍抑制効果を高めることもできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【化1】
【0007】
式中、
R1はH及び1、2又は3つのRaにより任意に置換されたC1-3アルキルから選ばれ;
R2とR3はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH及びNH2から選ばれ;
R4は、H、C1-6アルキル及びC3-5シクロアルキルから選ばれ、上記C1-6アルキルとC3-5シクロアルキルは1、2又は3つのRbにより任意に置換され;
Lは-N(R5)C(=0)-、-N(R5)S(=O)2-、-N(R5)C(=0)N(R5)-、及び-N(R5)-から選ばれ;
R5はそれぞれ独立してH及びC1-3アルキルから選ばれ;
環Bは5~6員ヘテロアリールから選ばれ;
RaとRbは、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH2、CN及びCH3から選ばれ;
上記5~6員ヘテロアリールは、独立して-NH-、-O-、-S-及び-N-から選ばれる1、2、3又は4つのヘテロ原子、又はヘテロ原子団を含む。
【0008】
本発明の一部の形態において、上記R1はH、CH3及びCH2CH3から選ばれ,上記CH3とCH2CH3は1、2又は3つのRaにより任意に置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0009】
本発明の一部の形態において、上記R1はH、CH3、CH2OH、CH2CH2OH及びCH2CH3から選ばれ,他の変量は本発明で定義された通りである。
【0010】
本発明の一部の形態において、上記R4はH、シクロプロピル、CH3、CH2CH3、CH(CH3)2、C(CH3)3及びCH2CH2CH3から選ばれ、上記シクロプロピル、CH3、CH2CH3、CH(CH3)2、C(CH3)3及びCH2CH2CH3は、1、2又は3つのRbにより任意に置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0011】
本発明の一部の形態において、上記R
4は-H、
【化2】
、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、C(CH
3)
3及びCH
2CH
2CH
3から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0012】
本発明の一部の形態において、上記R5はそれぞれ独立してH、CH3及びCH2CH3から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0013】
本発明の一部の形態において、上記Lは-NHC(=O)-、-NHC(=O)NH-、-NHS(=O)2-及び-NH-から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0014】
本発明の一部の形態において、上記-L-R
4は
【化3】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0015】
本発明の一部の形態において、上記環Bは、イミダゾリル、ピラゾリル、ピペリジニル、モルホリニル及びテトラヒドロピラニルから選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0016】
本発明の一部の形態において、上記環Bは、イミダゾリルとピラゾリルから選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0017】
本発明の一部の形態において、上記構造単位
【化4】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0018】
本発明の一部の形態において、上記構造単位
【化5】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0019】
本発明は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【化6】
【0020】
式中、
R1はH及び1、2又は3つのRaにより任意に置換されたC1-3アルキルから選ばれ;
R2とR3はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH2及びCH3から選ばれ;
R4はH、C1-6アルキル、C1-3アルコキシ、C3-5シクロアルキル、テトラヒドロピラニル、及び1,3-ジオキソラニルから選ばれ、上記C1-6アルキル、C1-3アルコキシ、C3-5シクロアルキル、テトラヒドロピラニル及び1,3-ジオキソラニルは、1、2又は3つのRbにより任意に置換され;
Lは-N(R5)C(=O)-、-N(R5)S(=O)2-、-N(R5)C(=O)N(R5)-、-N(R5)CH2-及び-N(R5)-から選ばれ;
R5はそれぞれ独立してH及びC1-3アルキルから選ばれ;
環Bはピラゾリルとイミダゾリルから選ばれ、上記ピラゾリルとイミダゾリルは1又は2つのR6により任意に置換され;
R6はH及びC1-3アルキルから選ばれ;
RaとRbはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH2、CN及びCH3から選ばれる。
【0021】
本発明の一部の形態において、上記R1はH、CH3及びCH2CH3から選ばれ,上記CH3とCH2CH3は1、2又は3つのRaにより任意に置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0022】
本発明の一部の形態において,上記R1はH、CH3、CH2OH、CH2CH2OH及びCH2CH3から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0023】
本発明の一部の形態において、上記R4はH、シクロプロピル、CH3、CH2CH3、CH(CH3)2、C(CH3)3、CH2CH2CH3、CH2CH(CH3)2、OCH3、OCH2CH3、テトラヒドロピラニル及び1,3-ジオキソラニルから選ばれ、上記シクロプロピル、CH3、CH2CH3、CH(CH3)2、C(CH3)3、CH2CH2CH3、CH2CH(CH3)2、OCH3、OCH2CH3、テトラヒドロピラニル及び1,3-ジオキソラニルは1、2又は3つのRbにより任意に置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0024】
本発明の一部の形態において、上記R
4は、H、
【化7】
、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、C(CH
3)
3、CH
2CH
2CH
3、OCH
2CH
3、
【化8】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0025】
本発明の一部の形態において、上記R5はそれぞれ独立してH、CH3及びCH2CH3から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0026】
本発明の一部の形態において、上記Lは-NHC(=O)-、-NHC(=O)NH-、-NHS(=O)2-、-NHCH2-及び-NH-から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0027】
本発明の一部の形態において、上記-L-R
4は
【化9】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0028】
本発明の一部の形態において、上記環Bは
【化10】
から選ばれ、上記
【化11】
は1又は2つのR
6により任意に置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0029】
本発明の一部の形態において、上記環Bは
【化12】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0030】
本発明の一部の形態において、上記構造単位
【化13】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0031】
本発明の一部の形態において、上記構造単位
【化14】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0032】
本発明は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【化15】
【0033】
式中、
R1はH及び1、2又は3つのRaにより任意に置換されたC1-3アルキルから選ばれ;
R2とR3はそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH2及びCH3から選ばれ;
R4はH、C1-6アルキル、C1-3アルコキシ、C3-5シクロアルキル、テトラヒドロピラニル及び1,3-ジオキソラニルから選ばれ,上記C1-6アルキル、C1-3アルコキシ、C3-5シクロアルキル、テトラヒドロピラニル及び1,3-ジオキソラニルは1、2又は3つのRbにより任意に置換され;
Lは-N(R5)C(=O)-、-N(R5)S(=O)2-、-N(R5)C(=O)N(R5)-、-N(R5)CH2-及び-N(R5)-から選ばれ;
R5はそれぞれ独立してH及びC1-3アルキルから選ばれ;
環Bはピラゾリル及びイミダゾリルから選ばれ、上記ピラゾリル及びイミダゾリルは1又は2つのR6により任意に置換され;
R6はH及びC1-3アルキルから選ばれ;
RaとRbはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH2、CN及びCH3から選ばれる。
【0034】
本発明の一部の形態において、上記R1はH、CH3及びCH2CH3から選ばれ,上記CH3とCH2CH3は1、2又は3つのRaにより任意に置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0035】
本発明の一部の形態において,上記R1はH、CH3、CH2OH、CH2CH2OH及びCH2CH3から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0036】
本発明の一部の形態において、上記R4はH、シクロプロパニル、CH3、CH2CH3、CH(CH3)2、C(CH3)3、CH2CH2CH3、CH2CH(CH3)2、OCH3、OCH2CH3、テトラヒドロピラニル及び1,3-ジオキソラニルから選ばれ、上記シクロプロパニル、CH3、CH2CH3、CH(CH3)2、C(CH3)3、CH2CH2CH3、CH2CH(CH3)2、OCH3、OCH2CH3、テトラヒドロピラニル及び1,3-ジオキソラニルは1、2又は3つのRbにより任意に置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0037】
本発明の一部の形態において、上記R
4はH、
【化16】
、CH
3、CH
2CH
3、CH(CH
3)
2、C(CH
3)
3、CH
2CH
2CH
3、OCH
2CH
3、
【化17】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0038】
本発明の一部の形態において、上記R5はそれぞれ独立してH、CH3及びCH2CH3から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0039】
本発明の一部の形態において、上記Lは-NHC(=O)-、-NHC(=O)NH-、-NHS(=O)2-、-NHCH2-及び-NH-から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0040】
本発明の一部の形態において、上記-L-R
4は
【化18】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0041】
本発明の一部の形態において、上記環Bは
【化19】
から選ばれ、上記
【化20】
は1又は2つのR
6により任意に置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0042】
本発明の一部の形態において、上記環Bは
【化21】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0043】
本発明の一部の形態において、上記構造単位
【化22】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0044】
本発明の一部の形態において、上記構造単位
【化23】
から選ばれ、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0045】
本発明の別の一部の形態は、上記変量の任意の組み合わせからなる。
【0046】
本発明の一部の形態において、上記化合物又はその薬学的に許容される塩は、以下から選ばれる。
【化24】
【0047】
式中、
R1、R2、R3、L及びR4は、本発明で定義された通りである。
【0048】
本発明の一部の形態において、上記化合物又はその薬学的に許容される塩は、以下から選ばれる。
【化25】
【0049】
式中、
R1、R2、R3及びR4は、本発明で定義された通りである。
【0050】
本発明は、さらに下記式で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【化26】
【0051】
本発明は、さらに有効成分としての治療有効量の上記化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0052】
本発明は、さらにFGFR及びVEGFR二重阻害剤に関連する薬物の調製における、上記化合物又はその薬学的許容される塩又は上記医薬組成物の使用を提供する。
本発明の一部の形態において、上記使用で、FGFR及びVEGFR二重阻害剤に関連する薬物は固形腫瘍に使用する薬物である。
【0053】
(定義と説明)
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を有する。一つの特定の用語又は連語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で、商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。本明細書で用いられる「薬学的許容される塩」は、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対するもので、これらは信頼できる医学判断の範囲内にあり、ヒト及び動物の組織との接触に適し、毒性、刺激性、アレルギー反応又はほかの問題又は合併症があまりなく、合理的な利益/リスク比に合う。
【0054】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明で発見した塩で、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と比較的に無毒の酸又は塩基とで製造される。本発明の化合物に比較的に酸性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の塩基でこれらの化合物の中性の形態と接触することで塩基付加塩を得ることができる。薬学的許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アンモニア又はマグネシウム塩あるいは類似の塩を含む。本発明で化合物に比較的塩基性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は、適切な不活性溶媒において十分な量の酸でこれらの化合物の中性の形態と接触することで酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実例は、無機酸塩及び有機酸塩、さらにアミノ酸(例えばアルギニンなど)の塩、及びグルクロン酸のような有機酸の塩を含み、上記無機酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含み、上記有機酸は、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸やメタンスルホン酸などの類似の酸を含む。本発明の一部の特定的の化合物は、塩基性及び酸性の官能基を含有するため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に転換することができる。
【0055】
本発明の薬学的許容される塩は、酸基又は塩基性基を含む母体化合物から通常の方法で合成することができる。通常の場合、このような塩の製造方法は、水又は有機溶媒あるいは両者の混合物において、遊離酸又は塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させて製造する。
【0056】
塩の形態以外、本発明によって提供される化合物はプロドラッグの形態も存在する。本明細書で記載される化合物のプロドラッグは、生理条件で化学変化が生じて本発明の化合物に転換しやすい。また、プロドラッグ薬物は、体内環境で化学又は生物化学の方法で本発明の化合に転換される。
【0057】
本発明の一部の化合物は、非溶媒和物形態又は溶媒和物の形態で存在してもよく、水化合物形態を含む。一般的に、溶媒和物の形態は非溶媒和物の形態と同等であり、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0058】
光学活性な(R)-及び(S)-異性体ならびにD及びL異性体は、不斉合成又はキラル試薬又はほかの通常の技術を用いて調製することができる。本発明のある化合物の一つの鏡像異性体を得るには、不斉合成又はキラル補助剤を有する誘導作用によって調製することができるが、ここで、得られたジアステレオマー混合物を分離し、かつ補助基を分解させて単離された所要の鏡像異体性を提供する。あるいは、分子に塩基性官能基(例えばアミノ基)又は酸性官能基(例えばカルボキシル基)が含まれる場合、適切な光学活性な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成させ、さらに本分野で公知の通常方式の方法によってジアステレオマーの分割を行った後、回収して単離された鏡像異体を得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、通常、クロマトグラフィー法によって行われ、上記クロマトグラフィーはキラル固定相を使用し、かつ任意の化学誘導法(例えば、アミンからカルバミン酸塩を生成させる)併用する。本発明の化合物は、化合物を構成する一つまた複数の原子には、非天然の原子同位元素が含まれてもよい。例えば三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)又はC-14(14C)のような放射性同位元素で化合物を標識することができる。また、例えば重水素を水素に置換して重水素化薬物を形成することができ、重水素と炭素で形成された結合は、通常の水素と炭素で形成された結合よりも強く、重水素化されていない薬物と比較して、重水素化された薬物には、毒性の副作用が軽減され、薬物の安定性が増し、治療効果が向上され、薬物の生物学的半減期が延ばされるという利点がある。本発明の化合物の同位体組成の変換は、放射性であるかいやかに関わらず、本発明の範囲に含まれる。
【0059】
用語「任意」また「任意に」は後記の事項又は状況によって可能であるが必ずしも現れるわけではなく、かつ当該記述はそれに記載される事項又は状況が生じる場合によってその事項又は状況が乗じない場合を含むことを意味する。
【0060】
用語「置換された」は特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されたことで、特定の原子価状態が正常でかつ置換後の化合物が安定していれば、重水素及び水素の変形体を含んでもよい。置換基が酸素(すなわち=O)である場合、2つの水素原子が置換されたことを意味する。酸素置換は、芳香族基を生じない。用語「任意に置換される」は、置換されてもよく、置換されなくてもよく、別途に定義しない限り、置換基の種類と数は化学的に安定して実現できれば任意である。
【0061】
変量(例えばR)のいずれかが化合物の組成又は構造に1回以上現れた場合、その定義はいずれの場合においても独立である。そのため、例えば、一つの基が0~2個のRで置換された場合、上記基は任意に2個以下のRで置換され、かついずれの場合においてもRは独立して選択肢を有する。また、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0062】
連結基の数が0の場合、例えば、-(CRR)0-は、当該連結基が単結合であることを意味する。
【0063】
そのうち一つの変量が単結合の場合、それで連結する2つの基が直接連結し、例えばA-L-ZにおけるLが単結合を表す場合、この構造は実際にA-Zになる。
【0064】
置換基がない場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、A-XのXがない場合、当該構造が実際にAとなることを表す。挙げられた置換基に対してどの原子を通して置換された置換基が明示しない場合、このような置換基はその任意の原子を通して結合してもよい。例えば、置換基としてのピリジル基は、ピリジン環の任意の炭素原子を通して置換基に結合してもよい。挙げられた連結基がほかの連結方向を明示しない場合、その連結方向は任意であり、例えば、
【化27】
における連結基Lは-M-W-であり、この時-M-W-は左から右への読み取る順序と同じ方向に環Aと環Bを構成
【化28】
することができる。また、左から右への読み取る順序と逆方向に環Aと環Bを構成
【化29】
することもできる。上記連結基、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0065】
別途に定義しない限り、用語「C1-6アルキル」は直鎖又は分枝鎖の1~6個の炭素原子で構成された飽和炭化水素基を表す。上記C1-6アルキル基には、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-4、C6及びC5アルキル基などが含まれ、それは1価(例えばメチル基)、2価(例えばメチレン基)又は多価(例えばメチン基)であってもよい。C1-6アルキル基の実例は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル又はイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、及びt-ブチル基を含む)、ペンチル基(n-ペンチル基、イソペンチル基及びネオペンチル基を含む)、ヘキシル基などを含むが、これらに限定されない。
【0066】
別途に定義しない限り、用語「C1-3アルキル」は直鎖又は分枝鎖の1~3個の炭素原子で構成された飽和炭化水素基を表す。上記C1-3アルキル基にはC1-2とC2-3のアルキル基などが含まれ、それは1価(例えばメチル基)、2価(例えばメチレン基)及び多価(例えばメチン基)であってもよい。C1-3アルキル基の実例は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0067】
別途に定義しない限り、用語「C1-3アルコキシ」は酸素原子を通して分子の残り部分に連結した1~3個の炭素原子を含むアルキル基を表す。上記C1~3アルコキシ基は、C1~2、C2~3,C3及びC2アルコキシなどが含まれる。C1~3アルコキシ基の実例はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n―プロポキシ基又はイソプロポキシ基を含む)などを含むが、これらに限定されない。
【0068】
別途に定義しない限り、「C3~5シクロアルキル」は3~5個の炭素原子から構成された飽和炭化水素基であり、それは単環式環系を表し、上記C3-5シクロアルキルはC3-4又はC4-5シクロアルキルなどが含まれ;それは1価、2価又は多価であってもよい。C3~5シクロアルキル基の実例はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基などを含むが、これらに限定されない。
【0069】
別途に定義しない限り、本発明の用語「5~6員ヘテロアリール環」と「5~6員ヘテロアリール基」は交換的に使用することができ、用語「5~6員ヘテロアリール基」は5~6個の環原子で構成された共役π電子系を持つ単環式基であり、その1、2、3及び4個の環原子は独立してO、S及びNのヘテロ原子から選ばれ、残りは炭素原子である。窒素原子が任意に四級化されており、窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化される(すなわち、NO及びs(O)P、pは1又は2である。)。5~6員ヘテロアリール基は、ヘテロ原子又は炭素原子を通して分子の他の部分に連結される。上記5~6員ヘテロアリール基は5員又は6員ヘテロアリール基を含む。5~6員ヘテロアリール基の実例は、ピロリル基(N-ピロリル基、2-ピロリル基、及び3-ピロリル基などを含む)、ピラゾリル基(2-ピラゾリル基及び3-ピラゾリル基などを含む)、イミダゾリル基(N-イミダゾリル基、2-イミダゾリル基、4-イミダゾリル基な及び5-イミダゾリル基などを含む)、オキザゾリル基(2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基及び5-オキザゾリル基などを含む)、トリアゾリル基(1H-1、2、3-トリアゾリル基、2H-1、2、3-トリアゾリル基、1H-1、2、4-トリアゾリル基及び4H-1、2、4-トリアゾリル基など)、テトラゾリル基、イソキサゾリル基(3-イソキサゾリル基、4-イソキサゾリル基及び5-イソキサゾリル基など)、チアゾリル基(2-チアゾリル基、4-チアゾリル基及び5-チアゾリル基などを含む)、フラニル基(2-フラニル基及び3―フラニル基などを含む)、チエニル基(2-チエニル基及び3-チエニル基などを含む)、ピリジル基(2-ピリジル基、3-ピリジル基及び4-ピリジル基などを含む)、ピラジニル基又はピリミジニル基(2-ピリミジニル基又は4-ピリミジニル基などを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0070】
用語「脱離基」とは別の官能基又は原子で置換反応(例えば求核置換反応)で置換されてもよい官能基又は原子を指す。例えば、体表的な脱離基は、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、塩素、臭素、ヨウ素、例えばメタンスルホン酸エステル、トルエンスルホン酸エステル、p-ブロモベンゼンスルホン酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステル基、例えばアセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基などのアシルオキシ基を含む。
【0071】
用語「保護基」は「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」又は「メルカプト保護基」を含むが、これらに限定されない。用語「アミノ保護基」とはアミノ基の窒素の位置における副反応の防止に適する保護基を指す。体表的なアミノ酸保護基は、ホルミル基、アルカノイル基(例えばアセチル基、トリクロロアセチル基又はトリフルオロアセチル基)のようなアシル基、t-ブトキシカルボニル(Boc)基のようなアルコキシカルボニル基、ベントキシカルボニル(Cbz)基及び9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基のようなアリールメトキシカルボニル基、ベンジル(Bn)基、トリフェニルメチル(Tr)基、1,1-ビス(4’-メトキシフェニル基のようなアリールメチル基、トリメチル(TMS)基及びt-ブチルジメチルシリル(TBS)基のようなシリル基などを含むが、これらに限定されない。用語「ヒドロキシ保護基」とはヒドロキシ基の副反応の防止に適する保護基を指す。代表的なヒドロキシ保護基は、メチル基、エチル基及びt-ブチル基のようなアルキル基、アルカノイル基(例えばアセチル基)のようなアシル基、ベンジル(Bn)基、p-メトキシベンジル(PMB)基、9-フルオレニルチル(Fm)基及びジフェニルメチル(DPM)基のようなアリールメチル基、トリメチルシリル(TMS)及びt-ブチルジメチルシリル(TBS)基のようなシリル基などを含むが、これらに限定されない。
【0072】
本発明の化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下の挙げられた具体的実施形態、ほかの化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0073】
本発明で使用される溶媒は市販品として入手可能である。本発明は以下の略語を使用する。apは水を、eqは当量、等量を、DCMはジクロロメタンを、PEはPEを、DMFはN、N-ジメチルホルムアミドを、DMSOはジメチルスルホキシドを、EtOACは酢酸エチルを、EtOHはエタノールを、MeOHはメタノールを、CBzはアミン保護基であるベントキシカルボニル基を、BOCはアミン保護基であるt-ブトキシカルボニル基を、HOAcは酢酸を、r.t.は室温を、O/Nは一晩行うことを、THFはテトラヒドロフランを、Boc2Oはジカルボン酸ジ―t-ブチルを、TFAはトリフルオロ酢酸を、iPrOHは2-プロパノールを、mpは融点を、Xantphosは4,5-ビス(ジフェニルホスフィの-9,9-ジメチルキサンテンを、Pd(dppf)は、Cl2は、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリドを、DIEAはN、N’-ジイソプロピルエチルアミンを、NISはN-ヨードスクシンイミドを表す。
【0074】
化合物は本分野の通常の名称又はChemDraw(登録商標)ソフトによって名付けられ、市販化合物はメーカーのカタログの名称が使用された。
【0075】
(技術的効果)
本発明の化合物は、優れたFGFRs、VEGFR2キナーゼ活性を有し、本発明の化合物中の芳香環への窒素ヘテロ原子の導入により、この変化によって体内の化合物の代謝の安定性を顕著に向上させ、薬物の経口による吸収の暴露量を大幅に増加させ、臨床においてより良い治療効果を示す可能性があることを意外的に発見し、本発明の化合物は、優れた腫瘍治療効果を示した。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、本発明の実施例により詳しく説明するが、本発明の何らの不利な制限にもならない。ここで、本発明を詳しく説明し、その具体的な実施例の形態も開示したため、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、本発明の具体的な実施形態に様々な変更や改善を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
【0078】
【0079】
工程1
3,5-ジニトロブロモベンゼン(10g、40.49mmol)及び(2,4-ジフルオロ)フェニルボロン酸(6.39g、40.49mmol)を水(2mL)及びアセトニトリル(120mL)に溶解し、酢酸パラジウム(454.46mg、2.02mmol)及びトリエチルアミン(12.29g、121.46mmol、16.91mL)を入れ、85℃で16時間撹拌した後、反応液を直接にスピン乾燥させて、固体粗生成物を得て、PE:EA=5:1カラムによって精製し、化合物aを得た。
1HNMR(400MHz,CDCl3)deruta9.06(t,J=2.00Hz,1H),8.72(dd,J=1.92,1.10Hz,2H),7.54(td,J=8.74,6.32Hz,1H),7.00-7.15(m,2H)。
【0080】
工程2
化合物a(6.5g、23.20mmol)をEtOAc(65mL)の水素化ボトルに溶解し、50Psi水素ボンベ(46.77mg、23.20mmol、2ep)で、Pd/C(1g、23.20mmol、10%純度)を入れ、45℃で16時間撹拌した。反応液を濾過し、濾液をスピン乾燥させて、化合物bを得た。
LCMS(ESI)m/z:220.9[M+1]+;
1HNMR(400MHz,DMSO-d6,)deruta7.36-7.45(m,1H),7.20-7.30(m,1H),7.10(td,J=8.52,2.44Hz,1H),5.92(d,J=1.52Hz,2H),5.86(d,J=1.82Hz,1H),4.84(s,4H)。
【0081】
工程3
化合物b(2.37g,10.76mmol)のDMSO(15mL)溶液に、DIEA(417.28mg、3.23mmol、562.37μl)、エトキシトリメチルシラン(2.29g、19.37mmol)を加え、4-ブロモ-1-フルオロ-2-ニトロベンゼン(2.37g、10.76mmol、1.32mL)を加え、100℃で16時間撹拌した。反応液に100mLの水を入れて撹拌し、大量の固体を析出させ、減圧で濾過した後、濾過ケーキを回収し、20mLの無水トルエンを濾過ケーキに加え、スピン乾燥させて、化合物cを得た。
LCMS(ESI)m/z:419.9[M+1]+;
1HNMR(400MHz,CDCl3)deruta9.40(s,1H),8.33(d,J=2.26Hz,1H),7.33-7.46(m,2H),7.21-7.25(m,2H),7.11-7.19(m,1H),6.86-6.97(m,2H),6.76(d,J=1.52Hz,1H),6.68(d,J=1.76Hz,1H),6.56(t,J=2.02Hz,1H)。
【0082】
工程4
窒素の保護下で、化合物c(4.5g、10.71mmol)のピリジン(30mL)の懸濁液にシクロプロピルスルホニルクロリド(1.66g、11.78mmol)を加え、20℃で2時間撹拌した。反応液に酢酸(34.6mL)を加え、さらに水(250mL)を加え、酢酸エチル(150mL*2)を加えて抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧で濃縮し、化合物dを得た。
LCMS(ESI)m/z:525.8[M+1]+。
【0083】
工程5
化合物d(5.6g、10.68mmol)に、1-メチル-4-ピラゾールボレート(2.78g、13.35mmol)のジメチルスルホキシド(110mL)/水(30mL)中に、トリフェニルホスフィン(1.40g、5.34mmol)、酢酸パラジウム(359.67mg、1.60mmol)、炭酸カリウム(3.84g、27.77mmol)を加え、窒素の保護下、100℃で16時間撹拌した。撹拌しながら、反応液に200mLの水を加えて固体を析出し、減圧で濾過し、濾過ケーキを回収して、濾過ケーキをジクロロメタン経由でシングルネックボトルに移し、再び減圧で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を石油エーテル/酢酸エチル=0/1のカラム(高速シリカゲルカラムクロマトグラフィー)によって精製し、化合物eを得た。
LCMS(ESI)m/z:526.4[M+3]+;
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ9.45(s,1H),8.29(d,J=2.02Hz,1H),7.73(s,1H),7.62(s,1H),7.53-7.58(m,1H),7.37-7.48(m,2H),7.16-7.24(m,3H),6.90-7.01(m,2H),6.71(s,1H),3.96(s,3H),2.52-2.65(m,1H),1.22-1.26(m,2H),0.98-1.11(m,2H)。
【0084】
工程6
化合物e(2.8g、5.33mmol、1ep)のギ酸(30mL)溶液にPd/C(1g、5.33mmol、純度10%)を加え、水素バルーン(15psi)雰囲気下で、30℃で16時間撹拌した。反応後、珪藻土で濾過し、濾液を減圧で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(カラム:YMC-TriartPrepC18150*40mm*μm;移動相:[水(0.1%トリフルオロ酢酸)-アセトニトリル];B(アセトニトリル)%:35%~50%、10分)にかけ、化合物Aのトリフルオロ酢酸塩を得た。化合物Aのトリフルオロ酢酸塩を重炭酸ナトリウム溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧で濃縮し、化合物Aを得た.
LCMS(ESI)m/z:506.0[M+1]+;
1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.25(brs,1H),8.65(s,1H),8.19(s,1H),7.99(s,1H),7.94(s,1H),7.71-7.81(m,1H),7.64-7.70(m,1H),7.55-7.63(m,3H),7.40-7.51(m,2H),7.27(brt,J=7.53Hz,1H),3.88(s,3H),2.81-2.93(m,1H),0.98-1.08(m,4H)。
【0085】
【0086】
合成方法は比較例1と同じであり、メタンスルホンアミドでシクロプロパンスルホンアミドを取り替え、化合物Bのトリフルオロ酢酸塩を得た。化合物Bのトリフルオロ酢酸塩を重炭酸ナトリウム溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して、化合物Bを得た。
LCMS(ESI)m/z:480.1[M+1]+;
1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.35(s,1H),9.17(s,1H),8.24(s,1H),8.01(s,1H),7.97(s,1H),7.68-7.78(m,3H),7.61(brd,J=8.53Hz,2H),7.49(s,1H),7.38-7.47(m,1H),7.27(dt,J=2.13,8.47Hz,1H),3.88(s,3H),3.18(s,3H)。
【0087】
【0088】
工程1
2,6-ジクロロ-4-アミノピリジン(10g、61.35mmol)及び(2,4-ジフルオロべンゼン)ボロン酸(11.62g、73.62mmol)のジオキサン(100mL)/水(30mL)溶液に、Pd(dppf)CI2(4.49g、6.13mmol),K3PO4(26.04g、122.70mmol)を加え、窒素ガスの保護下で、100℃で16時間撹拌した。反応を完了して、液を分層し、有機相を減圧で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を石油エーテル/酢酸エチル=5/1のカラム(高速シリカゲルカラムクロマトグラフィー)によって精製して、化合物kを得た
LCMS(ESI)m/z:240.9[M+1]+。
【0089】
工程2
化合物k(1g、4.16mmol)のピリジン(10mL)の溶液にメタンスルホニルクロリド(1.90g、16.62mmol、1.29mL)を加え、30℃で1時間撹拌した。反応液に水(30mL)を加え、再び酢酸エチル(30mL*3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を石油エーテル/酢酸エチル=3/1のカラム(高速シリカゲルカラムクロマトグラフィー)によって精製して、化合物mを得た。
LCMS(ESI)m/z:318.9[M+1]+。
【0090】
工程3
化合物1c(0.1g、308.53umol)をDMF(3mL)に溶解し、窒素ガスの保護下で、ヘキサブチルスズ(268.47mg、462.79umol、231.44uL)、化合物m(157.34mg、493.64umol)を入れ、再びPd(dppf)Cl2.CH2Cl2(125.98mg、154.26umol)を加え、窒素ガスの保護下で、110℃で16時間撹拌し、反応が完了した後、温室まで冷却し、再び反応液を加え、フッ化カリウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出し、有機相と合わせて、減圧で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(カラム:Welch Xtimate C18 150*25mm*5μm;移動相:[水(0.225%ギ酸)-アセトニトリル];B(アセトニトリル)%:15%~45%、8.5分)によって分離し、化合物Cのギ酸塩を得た。化合物Cのギ酸塩を重炭酸ナトリウム溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して、化合物Cを得た。
LCMS(ESI)m/z:481.1[M+1]+;
1HNMR(400MHz,METHANOL-d4)δ9.97(brd,J=7.28Hz,1H),8.37(brs,1H),8.26(s,1H),8.01-8.13(m,2H),7.69-7.84(m,1H),7.65(s,1H),7.50-7.57(m,2H),7.05-7.22(m,2H),3.98(s,3H),3.23(s,3H)。
【0091】
【0092】
工程1
4-ブロモ-2-アミノピリジン(5g、28.90mmol)のEtOH(60mL)中にクロロアセトアルデヒド(8.51g,43.35mmol、6.97mL)を滴下して、80℃で16時間撹拌した。反応液を減圧でスピン乾燥させて、粗化合物1aを得た。
LCMS(ESI)m/z:197.0[M+1]+,199.0[M+3]+;
1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.89-8.96(m,1H),8.40-8.45(m,1H),8.30(d,J=1.52Hz,1H),8.19(d,J=2.02Hz,1H),7.70(dd,J=1.76,7.28Hz,1H)。
【0093】
工程2
化合物1a(10g、50.75mmol)と1-メチル-4-ピラゾールボレート(11.62g、55.83mmol)をジオキサン(155mL)とH2O(75mL)に溶解し、Pd(dppf)CI2(3.71g、5.08mmol)及びリン酸カリウムを加え、100℃で16時間撹拌し、反応液に水(150mL)を加え、酢酸エチル(150mL*2)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過し、濾液をスピン乾燥して粗生成物を得た。粗生成物を石油エテール/酢酸エチル=3/1のカラム(高速シリカゲルカラムクロマトグラフィー)によって精製して、化合物1bを得た。
LCMS(ESI)m/z:198.8[M+1]+;
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ8.11(brd,J=7.04Hz,1H),7.79(s,1H),7.54-7.71(m,3H),7.37(brs,1H),6.90(d,J=6.78Hz,1H),3.96(s,3H)。
【0094】
工程3
化合物1b(24g、121.08mmol)のジクロロメタン(240mL)溶液の中に、ヨードスクシンイミド(32.69g、145.29mmol)を加え、30℃で16時間撹拌した。反応液を濾過し、濾液を得て、濾液に水(40mL)を加え、又ジクロロメタン(200mL*2)を加え抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物をジクロロメタン/メタノール=10/1のカラム(高速シリカゲルカラムクロマトグラフィー)によって精製して、化合物1cを得た。
LCMS(ESI)m/z:325.0[M+1]+。
【0095】
工程4
化合物1c(1g、3.09mmol)、(2,6-ジクロロ-4-ピリジン)ボロン酸(650.96mg、3.39mmol)のジオキサン(10mL)と水(3mL)の混合溶液に、Pd(dppf)Cl2(225.75mg,308.53μmol),リン酸カリウム(1.31g、6.17mmol)を加えた。窒素ガスの保護下で、マイクロ波反応器にて、120℃で1時間撹拌した。反応液に水(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL*2)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をジクロロメタン/メタノール=10/1のカラム(高速シリカゲルカラムクロマトグラフィー)によって精製し、化合物1dを得た。
LCMS(ESI)m/z:343.9[M+1]+。
【0096】
工程5
化合物1d(150mg、435.80μmol)、シクロプロパンスルホンアミド(52.80mg、435.80μmol)のジオキサン(4mL)溶液の中に、酢酸パラジウム(9.78mg、43.58μmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルオキサンテン(25.22mg、43.58μmol)、炭酸セシウム(425.97mg、1.31mmol)を加えて、マイクロ波反応器にて窒素ガスの保護下で、120℃で1時間攪拌した。反応液を珪藻土で吸引濾過し、濾液を減圧で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール=10/1のカラム(高速シリカゲルカラムクロマトグラフィー)によって精製して、化合物1eを得た。
LCMS(ESI)m/z:429.0[M+1]+。
【0097】
工程6
化合物1e(150mg、349.74μmol)、2,4-ジフルオロフェニルボロン酸(90.00mg、569.94μmol)のジオキサン(3mL)/水(1mL)の溶液に、Pd(dppf)Cl2(25.59mg,34.97μmol)、リン酸カリウム(222.71mg、1.05mmol)を加え、窒素ガスの保護下で、100℃で16時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(カラム:Boston Green ODS 150mm*30mm*5μm;移動相:[水(0.075%トリフルオロ酢酸)-アセトニトリル]; B(アセトニトリル)%:32%~52%、12分)によって分離し、精製して、化合物1のトリフルオロ酢酸塩を得た。化合物1のトリフルオロ酢酸塩に重炭酸ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して、化合物1を得た。
LCMS(ESI)m/z:507.0[M+1]+;
1HNMR(400MHz,MeOD)δ8.78(d,J=7.28Hz,1H),8.39(s,1H),8.30(s,1H),8.17-8.26(m,1H),8.16(s,1H),8.05(s,1H),7.83(s,1H),7.78(dd,J=1.52,7.28Hz,1H),7.39(s,1H),7.10-7.20(m,2H),4.00(s,3H),3.08-3.20(m,1H),1.20-1.32(m,2H),1.04-1.14(m,2H)。
【0098】
表1の化合物2は、化合物1の経路を参照して調製し、その相違点は、工程6で使用した原料として、2,4-ジフルオロフェニルボロン酸の代わりに下表における原料Bを使用して、対応する化合物のトリフルオロ酢酸塩を得たことにある。得られた化合物のトリフルオロ酢酸塩を重炭酸ナトリウム溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して、対応する化合物を得た。
【表1】
【0099】
【0100】
工程1
化合物1d(0.5g、1.45mmol)、カルバミン酸エチル(110.01mg、1.23mmol)の1,4-ジオキサン(15mL)の溶液の中に、酢酸パラジウム(32.61mg、145.27μmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(168.11mg、290.53μmol)、炭酸セシウム(1.42g、4,36mmol)を加えた。窒素ガスの保護下で、マイクロ波反応器にて、120℃で20分撹拌した。反応液を直接に濾過し、濾液を減圧で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=15:1)によって精製して、化合物3aを得た。
LCMS(ESI)m/z:397.1[M+1]+。
【0101】
工程2
化合物3a(150mg,378.00μmol)、2,4-ジフルオロフェニルボロン酸(71.63mg,453.60μmol)のTHF(1.5mL)とH20(0.5mL)の溶液の中に、Pd(dppf)Cl2(27.66mg,37.80μmol)、リン酸カリウム(160.47mg、755.99μmol)を加えた。窒素ガスの保護下、マイクロ波条件で、100℃で30分撹拌した。反応液を分離し、有機相を減圧で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:Boston Green ODS150*30mm*5μm、移動相:[水(0.075%トリフルオロ酢酸)-アセトニトリル]、B(アセトニトリル)%:25~55%、8min)によって分離し、化合物3のトリフルオロ酢酸塩を得た。化合物3のトリフルオロ酢酸を重炭酸ナトリウム溶液に入れ、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して化合物3を得た。
LCMS(ESI)m/z:475.1[M+1]+;
1HNMR(400MHz,CD3OD)δ8.81(d,J=7.28Hz,1H),8.37(s,1H),8.24-8.31(m,2H),8.12-8.21(m,2H),8.03(s,1H),7.71-7.81(m,2H),7.05-7.19(m,2H),4.27(q,J=7.04Hz,2H),4.00(s,3H),1.35(t,J=7.16Hz,3H)。
【0102】
表2の化合物4の調製は、化合物3の経路を参照にして調製し、その相違点は、工程2で使用した原料として、2,4-ジフルオロフェニルボロン酸の代わりに下記表における原料Bを使用して、対応する化合物のトリフルオロ酢酸塩を得たことにある。得られたトリフルオロ酢酸塩を重炭酸ナトリウム溶液に加え酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して対応する化合物を得た。
【表2】
【0103】
【0104】
工程1
化合物1d(200mg、581.06μmol)及びエチルスルホンアミド(114.16mg、1.05mmol)を1,4-ジオキサン(5mL)に溶解し、酢酸パラジウム(13.05mg、58.11μmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9―ジメチルキサンテン(67.24mg、116.21μmol)及び炭酸セシウム(567.96mg、1.74mmol)を加え、窒素ガスの保護下で、120℃で1時間撹拌した。反応液を直接に濾過し、濾過ケーキをDCM/MeOH=10/1で洗浄し、濾液をスピン乾燥して、粗生成物を得た。粗生成物を高速シリカゲルカラム(DCM/MeOH=10/1)によって精製して、化合物6aを得た。
LCMS(ESI)m/z:417.3[M+1]+。
【0105】
工程2
化合物6a(0.2g、479.75μmol)及び2,4-ジフルオロフェニルボロン酸(113.64mg、719.62μmol)を1,4-ジオキサン(6mL)及びH2O(3mL)に溶解し、リン酸カリウム(305.51mg、1.44mmol)及びPd(dppf)Cl2(35.10mg,47.97μmol)を加え、窒素ガスの保護下で、100℃で16時間攪拌した。反応液を濾過し、スピン乾燥して粗生成物を得、分取用HPLC(カラム:Boston Green ODS150*30mm*5μm;移動相:[水(0.075%トリフルオロ酢酸)-アセトニトリル];B(アセトニトリル)%:20%~50%、7分)に注入し精製して、化合物6のトリフルオロ酢酸塩を得た。化合物6のトリフルオロ酢酸塩を重炭酸ナトリウム溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して、化合物6を得た。
LCMS(ESI)m/z:495.0[M+1]+;
1HNMR(400MHz,CD3OD)deruta8.80(brd,J=7.34Hz,1H),8.42(s,1H),8.33(s,1H),8.13-8.23(m,2H),8.10(s,1H),7.76-7.88(m,2H),7.33(s,1H),7.08-7.22(m,2H),4.02(s,3H),3.61(q,J=7.36Hz,2H),1.43ppm(brt,J=7.36Hz,3H)。
【0106】
表3の化合物の調製は、化合物6の経路を参照して調製し、その相違点は、工程1で使用した原料として、エチルスルホンアミドの代わりに下表の原料Bを使用して、対応する化合物のトリフルオロ酢酸塩を得たことにあり、得られた化合物のトリフルオロ酢酸塩を炭酸水素ナトリウムの溶液に加え酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧で濃縮し、対応する化合物を得た。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【0107】
【0108】
工程1
化合物1a(5g,25.38mmol)、1,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-ボロン酸ピナコールエステル(6.20g,27.91mmol)溶液のジオキサン(45mL)/水(15mL)中にPd(dppf)Cl2(1.86g,2.54mmol)、リン酸カリウム(10.77g、50.75mmol)を加えた。窒素ガスの保護下で、100℃で16時間撹拌した。反応液を濾過し、再び水(100mL)を加え、ジクロロメタン(100mL*3)を加えて抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して粗生成物を得た。組成物をジクロロメタン/メタノール=10/1のカラム(高速シリカゲルカラムクロマトグラフィー)によって精製して化合物12aを得た。
LCMS(ESI)m/z:212.9[M+1]+。
【0109】
工程2
化合物12a(0.12g、565.37μmol)のジクロロメタン(5mL)の溶液に、NIS(152.64mg、678.45μmol)を加え、25℃で16時間攪拌した。反応液に水(10mL)を加え、ジクロロメタン(10mL*3)を加えて抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して、化合物12bを得た。
LCMS(ESI)m/z:338.9[M+1]+。
【0110】
工程3
12b(2.72g、14.20mmol)のジオキサン(45mL)/水15(mL)の溶液に、Pd(dppf)Cl2(865.55mg、1.18mmol)、リン酸カリウム(5.02g、23.66mmol)を加え、窒素ガスの保護下で、100℃で16時間撹拌した。反応液を直接に濾過し、水(100mL)を加え、酢酸エチル(100mL*3)を加えて抽出し、有機相を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をジクロロメタン/メタノール=10/1のカラム(高速シリカゲルカラムクロマトグラフィー)によって精製して、化合物12cを得た。
LCMS(ESI)m/z:358.1[M+1]+。
【0111】
工程4
12c(0.15g、418.73μmol)、カルバミン酸エチル(32mg、359.18μmol)のジオキサン(15mL)の溶液に、酢酸パラジウム(9.40mg、41.87μmol)、炭酸セシウム(409.29mg、1.26mmol)、Xantphos(48.46mg、83.75μmol)を加えた。窒素ガスの保護下で、マイクロ波反応器にて120℃で20分撹拌した。反応液を直接に濾過し、濾液を減圧で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレート(DCM;MeOH=15:1)によって精製して、化合物12dを得た。
LCMS(ESI)m/z:411.1[M+1]+。
【0112】
工程5
12d(30mg、73.02μmol)、2,4-ジフルオロフェニルボロン酸(13.84mg、87.62μmol)のテトラヒドロフラン(1.5mL)/水(0.5mL)溶液に、Pd(dppf)Cl2(5.34mg、7.30μmol)、K3PO4(31.00mg、146.04μmol)を加えた。窒素ガスの保護下で、マイクロ波条件で、100℃で30分撹拌した。反応液を分層し、有機相を回収して減圧で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:Welch Xtimate C18 100*25mm*3μm;移動相:[水(0.075%トリフルオロ酢酸)-アセトニトリル];B(アセトニトリル)%:20%~50%,8min)により分離して、化合物12のトリフルオロ酢酸塩を得た。化合物12のトリフルオロ酢酸塩に重炭酸ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して、化合物12を得た。
LCMS(ESI)m/z:489.2[M+1]+;
1HNMR(400MHz,MeOD-d4)δ8.85(d,J=7.28Hz,1H),8.28(s,2H),8.11-8.22(m,1H),7.85-7.97(m,2H),7.79(s,1H),7.65(d,J=7.54Hz,1H),7.04-7.19(m,2H),4.27(q,J=7.04Hz,2H),3.91(s,3H),2.60(s,3H),1.35(t,J=7.04Hz,3H)。
【0113】
【0114】
工程1
12c(0.25g、687.89μmol)、メタンスルホンアミド(132.77mg、1.40mmol)のジオキサン(5mL)溶液に、酢酸パラジウム(15.67mg、69.79μmol)、Xantphos(80.76mg、139.58μmol)、炭酸セシウム(682.16mg、2.09mmol)を加えた。窒素ガスの保護下で、マイクロ波反応器にて、120℃で1時間撹拌した。反応液を直接に吸引濾過して濾過液を得、減圧で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)によって分離して、化合物13aを得た。
【0115】
工程2
13a(200mg、479.75μmol)、2,4-ジフルオロフェニルボロン酸(90.91mg、575.70μmol)のテトラヒドロフラン(15mL)/水(0.5mL)溶液に、Pd(dppf)Cl2(35.10mg、47.97μmol)、リン酸カリウム(203.67mg、959.50μmol)を加え、窒素ガスの保護下で、マイクロ波反応器にて100℃で45分撹拌した。反応液に水(10mL)を入れ、酢酸エチル(10mL*3)を入れて抽出し、有機相を合併して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(DCM:MeOH=10:1によって分離し、粗生成物を得て、粗生成物を分取高速液体クロマトグラフィー(カラム:Boston Green ODS150*30mm*5μm;移動相:[水(0.078%トリフルオロ酢酸塩)―アセトニトリル];B(アセトニトリル)%:23%~53%、8min)によって分離した後、化合物13のトリフルオロ酢酸塩を得た。化合物 13のトリフルオロ酢酸塩を重炭酸ナトリウム溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で濃縮して、化合物13を得た。
LCMS(ESI)m/z:495.0[M+1]+;
1HNMR(400MHz,CD3OD-d4)δ8.83(d,J=7.28Hz,1H),8.35(s,1H),8.19(dt,J=6.90,8.85Hz,1H),7.90-7.98(m,2H),7.84(s,1H),7.68-7.77(m,1H),7.31(d,J=1.00Hz,1H),7.09-7.21(m,2H),3.92(s,3H),3.41(s,3H),2.61(s,3H)。
【0116】
生物学的試験データ:
実験例1:本発明の化合物のインビトロ酵素活性試験
33P同位体標識キナーゼ活性試験(Reaction Biology Corp)を使用してIC50値を測定して、ヒトFGFR1、FGFR2、VEGFR2に対する試験化合物の阻害能力を評価した。
【0117】
バッファー条件:20mM Hepes(pH7.5),10mM MgCl2,1mM EGTA,0.02%Brij35,0.02mg/mL BSA,0.1mM Na3VO4,2mM DTT,1%DMSO。
【0118】
実験工程:温室下で、試験化合物をDMSOに溶解し、10mMの溶液を調製して準備した。基質を新しく調製したバッファーに溶解し、その中に試験キナーゼを加えて均一に混合した。音響技術(Echo550)を使用して、試験化合物の溶解されたDMSO溶液を上記均一に混合した反応溶液に加えた。反応溶液中の化合物濃度は、10μM、2.50μM、0.62μM、0.156μM、39.1nM、9.8nM、2.4nM、0.61nM、0.15nM、0.038nM又は3μM、1μM、0.333μM、0.111μM、37.0nM、12.3nM、4.12nM、1.37nM、0.457nM、0.152nMである。15分間インキュベーションした後、
33P-ATP((活性0.01μCi/μL、対応する濃度は表4に示される)を加え、反応を開始した。FGFR1、FGFR2、KDR及び反応溶液中の濃度の情報は表4に挙げられた。温室で120分間反応させた後、反応液をP81イオン交換濾紙(Whtman#3698-915)にスポットした。濾紙を0.75%のリン酸溶液で繰り返し洗浄した後、濾紙上に残ったリン酸化基質の放射能を測定した。キナーゼ活性データは、試験化合物を含むキナーゼ活性とブランク群(DMSOのみを含む)のキナーゼ活性の比で表し、Prism4ソフトウェア(GraphPad)によりカーブフィッティングを行ってIC
50を得、実験結果は表5に示した通りである。
【表4】
【表5】
【0119】
注:N/Aは試験しなかったことを表す。
結論:本発明の化合物は、優れたFGFRs、VEGFR2キナーゼ活性を有する。対照化合物A及びBのトリフルオロ酢酸塩と比較し、本発明のイミダゾピリジンコアの複数の化合物は、FGFR1又はFGFR2キナーゼでほぼ4倍~10倍向上され、VEGFR2キナーゼ活性でほぼ1~13倍向上され、臨床的により低い使用量で優れた治療効果を示す可能性が高い。対照化合物Cのギ酸塩と比較し、本発明の化合物の芳香環上の窒素原子の導入部位の違いは活性に大きく影響し、本発明のベンゼン環スルホンアミドの2位にヘテロ原子Nを導入した活性は4位の活性よりもはるかに高く、VEGFR2の活性は1000倍向上されたことが発見された。
【0120】
実験例2:本発明の化合物の薬物動態の評価
【0121】
実験手順:0.1mg/mLの5%DMSO/10%溶液85%水の試験化合物の清澄化した溶液を雌のBalb/cマウス(一晩禁食、7~9週齢)に尾静脈から注射し、投与量は0.2mg/kgであった。90%(25%HP-β-CD/10%ポリオキシエチレンヒマシ油(pH=4~5)試験化合物の清澄化溶液0.1mg/mLを、雌Balb/cマウス(一晩禁食、7~9週齢)に投与し、投与量は1mg/kgであった。二つの群の動物に対して、投与後それぞれ、0.0833、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、8.0、24時間後に頸部静脈から、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、8.0、24時間後に尾静脈から約30μLを採血し、EDTA-K2を含んだ抗凝固チューブ内に入れ、血漿を遠心分離した。LC-MS/MS法を使用して血中薬物濃度を測定し、WinNonlinTMVersion6.3(Pharsight,MountainView,CA)薬物動態学ソフトウェアを使用して、非コンパートメントモデル線形対数ラダー法によって関連する薬物動態パラメーターを計算した。
【0122】
【0123】
注:――計算によりパラメーターが得られないことを表し;C0は初期濃度を表し;Cmaxはピーク濃度を表し;Tmaxはピークに達する時間を表し;T1/2は消失半減期を表し、Vdssは定常状態の見かけの分布量を表し:CIは総クリアランス率を表し;Tlastは薬物を定量的に試験できる最後の時点を表し;AUC0-lastは0時間からの定量可能な時点までの血漿濃度-時間曲線下面積を表し;AUC0-infは、0時間から無限大に外挿するまでの血漿濃度-時間曲線下の面積を表し;MRT0-lasは、0時間から最後の定量可能な時点までの平均滞留時間を表す。F(%)は生物学的利用能を表す。
【0124】
対照化合物Aのトリフルオロ酢酸塩と比較して、本発明の化合物1のトリフルオロ酢酸塩は、血漿クリアランスはほぼ1倍減少し、静脈投与の薬物の暴露量AUCはほぼ2倍向上され、経口によって吸収された薬物の暴露量はほぼ2倍向上された。
【0125】
実験結論:本発明の化合物の芳香族環への窒素ヘテロ原子の導入により、化合物の体内代謝安定性が顕著に向上され、薬物の経口による吸収の暴露量が大幅に向上され、将来臨床において、より優れた薬物の経口による吸収の暴露量と優れた治療効果を得ることができる。
【0126】
実験例3:インビトロでの動物腫瘍モデルでの抗腫瘍活性試験
【0127】
試験目的:
マウスのヒト胃がんSNU―16皮下異種移植腫瘍モデルにおける本発明の化合物の抗腫瘍効果を研究する。
【0128】
実験方法:
1)腫瘍組織の準備:
腫瘍組織の準備:5%CO2、37℃、飽和湿度の条件で、SNU-16細胞を、10%牛胎児血清を含むRPMI-160培地で定期的に培養した。細胞の成長によって、週に1~2回、継代又は水分補給し、継代比は1:3~1:4であった。
【0129】
2)組織接種と群分け
対数増殖期のSNU-16細胞を収集し、細胞を数えた後、50%の無血清RPMI―1640培地と50%のマトリゲルに再懸濁させ、細胞濃度を4×107細胞/mLに調整し;細胞をアイスボックスに置き、1mLのシリンジを使用して細胞懸濁液を吸引し、ヌードマウスの右脇下に皮下注射し、各動物に200μL(8×106細胞/匹)を接種して、SNU-16移植腫瘍モデルを構築した。動物の状態を定期的に観察し、電子ノギスを使用して腫瘍の直径を測定し、Excelスプレッドシートにデータを入力し、腫瘍の体積を計算して、腫瘍の成長をモニタリングした。腫瘍の体積が100~300mm3に達したら、健康状態が良く、腫瘍の体積が類似している60匹の担癌マウス(腫瘍の体積104~179mm3)を選択し、無作為化ブロック法で10匹(n=6)に分けられ、各群の平均腫瘍の体積は約143mm3であった。
【0130】
3)週に2回腫瘍の直径を測定し、腫瘍の体積を計算し、動物の体重を測って記録した。
【0131】
腫瘍体積(TV)の計算式は次の通りである:TV(mm3)=1×w2/2。ここで、1は腫瘍の長径(mm)を表し、wは腫瘍の短径(mm)を表す。
【0132】
化合物の抗腫瘍効果は、TGI(%)又は相対腫瘍増殖率T/C(%)によって評価される。相対腫瘍増殖率T/C(%)=TRTV/CRTV×100%(TRTV:治療群の平均RTV;CRTV:陰性対照群の平均RTV)。腫瘍測定結果に基づいて相対腫瘍体積(RTV)を計算する。計算式はRTV=Vt/V0である。ここで、V0は群を分けて投与する時(すなわち、D0)に測定した腫瘍体積であり、Vtは対応するマウスの特定の測定時の腫瘍体積であり、TRTV及びCRTVは同じ日のデータを取った。
【0133】
TGI(%)は、腫瘍増殖阻害理を反映する。TGI(%)=[(1-(特定の治療群の投与終了時の平均腫瘍体積-当該治療群の投与開始時の平均腫瘍体積)/(溶媒対照群の治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群の治療開始時の平均腫瘍体積))×100%。
【0134】
試験結果:
マウスの胃がんSNU-16モデルにおいて、28日間連続投与した後、溶媒群と比較して、本発明の化合物は顕著な抗腫瘍活性を表し、腫瘍増殖阻害率(%TGI)は69%であり、相対腫瘍増殖率(%T/C)は31%であった。具体的な結果は表7、
図1と
図2に示された(図面におけるQDは1日1回を表す)。
【表7】
【0135】
*全ての投与群は、8日目の投与量を20mg/kg/日、17日目の投与量を40mg/kg/日に変更した。
【0136】
実験結論:本発明の化合物は顕著な抗腫瘍活性を示した。