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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】お薬パック供給装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20230621BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023036369
(22)【出願日】2023-03-09
【審査請求日】2023-03-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000176626
【氏名又は名称】三島光産株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503219721
【氏名又は名称】株式会社Windy
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【弁理士】
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】東島 敦弘
(72)【発明者】
【氏名】中野 姫香
(72)【発明者】
【氏名】中村 行延
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-058613(JP,A)
【文献】特開2015-084231(JP,A)
【文献】特開2014-056491(JP,A)
【文献】特開2005-013488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00ー80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護施設の各入居者毎に且つ各服用回毎にそれぞれ服用すべき薬剤が一包化されて成り且つ対応する各入居者を識別する識別データが表示されている複数のお薬パックの中、「次回以降の各服用回に対応する薬剤がそれぞれ一包化された各お薬パックは含まれない、今回の服用回に対応する薬剤が一包化されたお薬パックであって、介護施設の入居者の全員分又はその中の一部のグループに属する複数の入居者分のお薬パック」を収納しておく、お薬パック収納部と、
前記お薬パック収納部内における各お薬パックの位置を、対応する各入居者の識別データと紐付けて記録しておくお薬パック位置等記録部と、
各入居者の識別データが入力されたとき、前記お薬パック位置等記録部からの情報に基づき前記入力された入居者の識別データに対応する位置に在るお薬パックを取り出すか又は少なくともその一部を排出させるお薬パック取出部と、
を備えたことを特徴とするお薬パック供給装置。
【請求項2】
介護施設の各入居者に対しそれぞれ調剤薬局から交付された「一人の入居者が数日以上継続して服用する一つ又は複数種類の薬剤を各服用回別にそれぞれ分包化して成り且つ対応する各入居者を識別する識別データがそれぞれ表示されている各お薬パックを、所定の服用回分だけ縦方向及び横方向に並べて配置して成るお薬カレンダー」から、「介護施設の入居者の全員分又はその中の一部のグループに属する複数の入居者分の各お薬パックであって、次回以降の各服用回に対応するお薬パックは含まれない、今回の服用回に対応するお薬パック」だけが分離されて成る各お薬パックを収納しておく、お薬パック収納部と、
前記お薬パック収納部内における各お薬パックの位置を、対応する各入居者の識別データと紐付けて記録しておくお薬パック位置等記録部と、
各入居者の識別データが入力されたとき、前記お薬パック位置等記録部からの情報に基づき前記入力された入居者の識別データに対応する位置に在るお薬パックを取り出すか又は少なくともその一部を排出させるお薬パック取出部と、
を備えたことを特徴とするお薬パック供給装置。
【請求項3】
或るお薬パックが前記お薬パック収納部内に収納されるとき、当該お薬パックの一部に表示された入居者識別データを読み取るお薬パック識別データ読み取り部をさらに備えており、
前記お薬パック位置等記録部は、前記お薬パック識別データ読み取り部がお薬パック側の識別データを読み取った後に当該お薬パックが前記お薬パック収納部内に配置されたとき、前記配置されたお薬パック収納部内の位置を前記読み取られたお薬パック側の識別データと紐付けて記録するものである、請求項1又は2に記載のお薬パック供給装置。
【請求項4】
各入居者側から各入居者識別データを読み取る入居者識別データ読み取り部をさらに備え、
前記お薬パック収納部は複数のお薬パックを上下方向に沿って順次配置し収納するものであり、
前記お薬パック位置等記録部は前記お薬パック収納部内において上下方向に沿って配置された各お薬パックの高さ位置を取得して各入居者識別データと紐付けて記録するものであり、
前記お薬パック取出部は、前記上下方向に沿って配置された各お薬パックのいずれかを前記お薬パック収納部内から押し出すために使用される押出板と、前記入居者識別データ読み取り部により或る入居者の識別データが読み取られたとき、当該読み取られた入居者の識別データに対応するお薬パックの前記お薬パック収納部内での高さ位置と前記押出板の高さ位置とが一致するように前記押出板か前記お薬パック収納部かのいずれかを上下動させる昇降部と、前記押出板を該当するお薬パックの方向に移動させることにより、当該入居者の識別データに対応するお薬パックを前記お薬パック収納部内から排出させる押出板移動部とを備えている、請求項1又は2に記載のお薬パック供給装置。
【請求項5】
前記お薬パックはその表面側が密閉用シートで覆われたものであり、
前記お薬パック取出部は前記お薬パック収納部内から該当するお薬パックを排出させるものであり、
前記お薬パック取出部により前記お薬パック収納部内から排出されたお薬パックに対し、その表面側の密閉用シートの一部に切れ目を入れてお薬パックの開封を容易にさせる切れ目形成部をさらに備えたものである、請求項1又は2に記載のお薬パック供給装置。
【請求項6】
各服用回の所定の時間帯において、各入居者毎にそれぞれ対応するお薬パックが前記お薬パック収納部から取り出されたことを示す写真や動画を含む情報若しくはこのように取り出されたお薬パック中の薬剤が各入居者に服用されたことを示す写真や動画を含む情報又はこれらの情報から得られる各入居者が当該服用時間帯に服薬したか否かを一覧で示す情報若しくは未だ服薬していない入居者が存在することを職員に警告若しくは報知するための写真や動画を含む情報である服薬関連情報を、職員側の端末に送信する服薬関連データ送信部をさらに備えたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のお薬パック供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者の介護等のための施設において職員が施設内の各入居者の服薬を管理等するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、調剤薬局が薬剤の一包化に際して「一人の患者が数日以上継続して服用する一つ又は複数の薬剤を各服用回別に分包化して各お薬パックとし、当該複数のお薬パックを複数の服用回に渡って一覧できるように縦及び横方向に並べて配置して成るお薬カレンダー」を各患者に交付することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
そして、従来の高齢者介護等のための施設では、図5に示すように、各入居者毎に交付された多数のお薬カレンダー1を施設側が管理し、施設職員は、各食事の後に予定する多数の入居者の服薬のため、各入居者毎のお薬パック1aを、入居者の全員分のお薬カレンダー1からそれぞれ切り離して箱2などに入れておき(図5(a)参照)、施設内の食堂等に集まってなされる各食事が終わった後は、食堂の出口等で、食事を終えた各入居者に対し職員が箱2の中から当該入居者用のお薬パック1aを探し取り出して手渡し(図5(b)参照)、各入居者はそれをその場で(又は自分の部屋に帰ってから)服薬する(図5(c)参照)ことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第7170158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の高齢者介護施設における各入居者の服薬管理方法においては、施設職員が、多数の入居者の当該服用回(各食事の後)に対応する多数のお薬パックを入れた箱の中から、食事が終わった各入居者用のお薬パックだけを探して取り出す作業は、多数の入居者の食事が終わる時間が各入居者毎にバラバラであり前記箱2から該当するお薬パック1aを探して渡すのに多くの時間が掛かってしまうことなどから、極めて煩雑なものであった。
【0006】
本発明はこのような従来技術の課題に着目してなされたものであって、施設側が、施設内で予め用意された複数の入居者のための或る服用回に対応する複数のお薬パックの中から、食事が終わった各入居者(又は当該の時間帯に服薬すべき各入居者)のための各お薬パックを取り出してそれを当該入居者に渡すことを短時間内に且つ容易に実現することができるお薬パック供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決するための本発明によるお薬パック供給装置は、高齢者等が入居する介護施設において各入居者の各服用回毎の薬剤をひとまとまりに纏めて包装して成るお薬パック、例えば、各入居者である患者に対しそれぞれ調剤薬局から交付された「一人の患者が数日以上継続して服用する一つ又は複数の薬剤を各服用回別に分包化して各お薬パックとし当該複数のお薬パックを複数の服用回に渡って一覧できるように縦及び横方向に並べて配置して成るお薬カレンダー」から或る服用回における服薬のために分離されたお薬パックであって、その一部に少なくとも対応する各入居者を識別する識別データが表示されているお薬パックを、複数の入居者のために、各服用回の前に、当該複数の入居者用の各お薬パックとして複数個を纏めて順次収納しておくためのお薬パック収納部と、前記お薬パック収納部内における各お薬パックの位置を、それぞれの各入居者の識別データと紐付けて記録しておくお薬パック位置等記録部と、(介護等施設での食事の後などの服用の時間帯に)各入居者の識別データが入力されたとき、前記お薬パック位置等記録部からの情報に基づき前記入力された入居者の識別データに対応する位置に在るお薬パックを取り出すか又は少なくともその一部を排出させる(施設職員らが手に取れる側に出す)お薬パック取出部とを備えたものである。
【0008】
また本発明におけるお薬パック供給装置においては、或るお薬パックが前記お薬パック収納部内に収納されるとき、当該お薬パックの一部に表示された入居者識別データを読み取るお薬パック識別データ読み取り部をさらに備えており、前記お薬パック位置等記録部は、前記お薬パック識別データ読み取り部がお薬パック側の識別データを読み取った後に当該お薬パックが前記お薬パック収納部内に配置されたとき、前記配置されたお薬パック収納部内の位置を前記読み取られたお薬パック側の識別データと紐付けて記録するものであってもよい。
【0009】
また本発明によるお薬パック供給装置においては、各入居者側から各入居者識別データを読み取る入居者識別データ読み取り部をさらに備え、前記お薬パック収納部は複数のお薬パックを上下方向に沿って順次配置し収納するものであり、前記お薬パック位置等記録部は前記お薬パック収納部内において上下方向に沿って配置された各お薬パックの高さ位置を取得して各入居者識別データと紐付けて記録するものであり、前記お薬パック取出部は、前記上下方向に沿って配置された各お薬パックのいずれかを前記お薬パック収納部内から押し出すために使用される押出板と、前記入居者識別データ読み取り部により或る入居者の識別データが読み取られたとき、当該入居者識別データに対応するお薬パックの前記お薬パック収納部内での高さ位置と前記押出板の高さ位置とが一致するように前記押出板か前記お薬パック収納部かのいずれかを上下動させる昇降部と、前記押出板を該当するお薬パックの方向に移動させることにより、当該入居者識別データに対応するお薬パックを前記お薬パック収納部内から排出させる押出板移動部とを備えるものであってもよい。
【0010】
また本発明によるお薬パック供給装置においては、前記お薬パックはその表面側が密閉用シートで覆われたものであり、前記お薬パック取出部は前記お薬パック収納部内から該当するお薬パックを排出させるものであり、前記お薬パック取出部により前記お薬パック収納部内から排出されたお薬パックに対し、その表面側(開口部側)の密閉用シートの一部に切れ目を入れてお薬パックの開封を容易にさせる切れ目形成部をさらに備えたものであってもよい。
【0011】
さらに本発明によるお薬パック供給装置においては、各入居者毎にそれぞれ対応するお薬パックが前記お薬パック収納部から取り出されたことを示す写真や動画を含む情報若しくはこのように取り出されたお薬パック中の薬剤が各入居者に服用されたことを示す写真や動画を含む情報又はこれらの情報から得られる各入居者が当該服用時間帯に服薬したか否かを示す写真や動画を含む情報若しくは未だ服薬していない入居者が存在することを職員に警告若しくは報知するための写真や動画を含む情報である服薬関連情報を、職員側の端末に送信する服薬関連等データ送信部をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、複数の入居者の或る服用回(例えば或る食事の後の服用回)に対応する複数のお薬パック(当該複数の入居者の当該服用回のための各お薬パック)をお薬パック収納部内に纏めて順次収納すると共に、お薬パック位置等記録部が前記お薬パック収納部内おける各お薬パックの位置をそれぞれ対応する各入居者の識別データと紐付けて記録しておき、お薬パック取出部が今回の食事を終えた入居者の識別データに基づいて特定される当該入居者に対応するお薬パックの位置に基づいて当該対応するお薬パックを前記お薬パック収納部から取り出す(又は少なくともお薬パックの一部を前記お薬パック収納部から排出させ外側に出す)ようにしている。したがって、本発明によれば、施設側は、施設内で予め用意された複数の入居者のための当該服用回に対応する複数のお薬パックの中から、食事が終わった各入居者(又は当該の時間帯に服薬すべき各入居者)に対応する各お薬パックを順次取り出してそれを当該各入居者に順次渡すことを短時間内に且つ容易に実現できるようになる。
【0013】
よって、本発明においては、「一人の入居者(患者)のためだけに、各服用回毎の服用分の薬剤(一包化された薬剤)を供給する装置」ではなく、「施設に入居している全員の(又はその中の一部のグループの)複数の入居者のために、或る服用回(例えば施設での或る食事の後の服用時間帯)に対応するお薬パック(一包化された薬剤)を当該複数の入居者に対しそれぞれ順次供給する装置」として構成したので、これを利用することにより、施設職員らは、施設の全員(又はその中の一部のグループ)の入居者(複数の入居者)が集まって行う食事の後などにおいて、当該各入居者の当該服用回のためのお薬パックを、それらの各入居者全員にそれぞれ順次、極めて効率的に提供することができるようになる。
【0014】
また本発明におけるお薬パック供給装置において、各お薬パックの表面側に表示された入居者識別データを読み取るお薬パック識別データ読み取り部を備えるようにしたときは、少なくとも当該お薬パックが前記お薬パック収納部内に配置されたときの位置と前記読み取られたお薬パック1aの識別データとの紐付けを、より適正に行うことができる。
【0015】
また本発明によるお薬パック供給装置において、前記お薬パック収納部は複数のお薬パックを上下方向に沿って順次配置し収納するものとし、前記お薬パック位置等記録部は各お薬パックの前記お薬パック収納部内における高さ位置を各入居者識別データと紐付けて記録するものとし、さらに、或る服用時間帯(施設での食事の後など)での服用が必要な入居者の識別データが前記入居者識別データ読み取り部により読み取られたとき、前記お薬パック取出部は、前記押出板の高さ位置と当該入居者識別データに対応するお薬パックの前記お薬パック収納部内での高さ位置とが一致するように前記押出板か前記お薬パック収納部かのいずれかを移動させ、さらに前記押出板が当該お薬パックを前記お薬パック収納部から押し出すように移動させるようにしたときは、極めて簡単な機械的構成だけで、当該入居者の識別データに対応するお薬パックを前記お薬パック収納部内から排出させることができる。
【0016】
また本発明によるお薬パック供給装置において、前記お薬パック取出部により必要なお薬パックが前記お薬パック収納部内から排出されるとき、前記切れ目形成部が、前記排出されるお薬パックの表面側(開口部側)の密閉用シートの一部に切れ目を入れてお薬パックの開封を容易にさせるようにしたときは、当該入居者側は、前記お薬パック収納部内から排出されたお薬パックを手に取って前記切れ目から前記密閉用シートを破断させるだけで、お薬パックの内部の薬剤を極めて容易に取り出し服用することができる。
【0017】
さらに本発明によるお薬パック供給装置において、前記服薬関連等データ送信部が、各服用回の所定の時間帯において、各入居者毎にそれぞれ対応するお薬パックが前記お薬パック収納部から取り出されたことを示す写真や動画を含む情報若しくはこのように取り出されたお薬パック中の薬剤が各入居者に服用されたことを示す写真や動画を含む情報又はこれらの情報から得られる各入居者が当該服用時間帯に服薬したか否かを一覧で示す情報若しくは未だ服薬していない入居者が存在することを職員に警告若しくは報知するための写真や動画を含む情報である服薬関連情報を、職員側の端末に送信するようにしたときは、施設職員側が各入居者の当該服用回における服薬が適正に行われたかどうか、又は当該服用回における服薬を未だ済ませていない入居者が居るかどうか(及びそれは誰か)などを、自動的に又は極めて容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るお薬パック供給機の主として外観構成を説明するための斜視図である。
図2】本実施形態の主として内部構成を説明するための斜視図である。
図3】本実施形態の主として内部構成を説明するための斜視図である。
図4】本実施形態の電気的構成の一例を説明するための概略ブロック図である。
図5】従来の介護施設での入居者の服薬管理の手順の一例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態に係るお薬パック供給機の主として外観構成を説明するための斜視図、図2及び図3は本実施形態の主として内部構成を説明するための斜視図、図4は本実施形態の電気的構成の一例を説明するための概略ブロック図である。
【0020】
図1において、10はお薬パック供給機、11はお薬パック1a(図5参照)を収納しておくお薬パックカセットであって上下方向に例えば20個収納できる容器が左右に2個配置されて成るお薬パックカセット、12はお薬パック1aの表面側に表示された当該お薬パック1aを服用する入居者の識別データ及び/又は入居者が保持しているカード等に表示された識別データ(いずれの識別データも本実施形態ではQRコード(登録商標。以下同じ。)として表示されている)を読み取るQRコードリーダー、13は前記お薬パックカセット11に収納された複数のお薬パック中の前記QRコードリーダー12で読み取られた入居者の識別データに対応するお薬パックがお薬パック供給機10から排出されて載置されるお薬パック取出口、14は前記お薬パック供給機10を職員側が操作等するためのタッチパネル、15は電源スイッチ、16は前記お薬パック供給機10を持ち上げるための持ち手、17は職員側が各入居者用のお薬パック1aが上下方向に順次積層されるように各お薬パック1aを前記お薬パックカセット11内に順次収納するときに各お薬パックaを載置するお薬パック載置台である。
【0021】
次に図2において、20は前記お薬パックカセット11内に収納された各お薬パック1aのいずれかを後述の搬入滑り台21方向に押し出す押出板、21は前記押出板20により押し出されたお薬パック1aが移動する搬入滑り台、22は前記お薬パック1aが前記搬入滑り台21上を滑って移動する開封台、23は前記開封台22上まで移動したお薬パック1aの表面側(開口部側)の密閉用シート(本実施形態ではアルミ箔製被覆シート)の一部に切れ目を入れるための開封刃、24は前記開封刃23により切れ目が形成されたお薬パック1aを前記開封台22から後述の搬出滑り台25側に移動させる払い出しリフト、25は前記お薬パック1aを前記お薬パック取出口13側に移動させる搬出滑り台である。
【0022】
また図3において、27は前記QRコードリーダーにより或る入居者の識別データが読み取られたとき当該入居者用のお薬パック1aの前記お薬パックカセット11内での高さ位置が前記押出板20の高さ位置と一致するように前記お薬パックカセット11を上下動させるリフター(昇降部)、28は前記リフター27を駆動するモーターを制御するモーターコントローラ、29は前記お薬パック1aの前記カセット11内での高さ位置を示すデータ及び前記QRコードリーダー12により読み取られた識別データなどに基づいて前記リフター27、前記払い出しリフト24及び前記開封刃23を動かすモーターなどを制御するPLC(プログラマブルロジックコントローラ)、30は前記PLC29に電源を供給するDC電源、31は前記モーターなどへの電源供給等の切り替えを行う電源スイッチである。
【0023】
また図4は本実施形態の電気的構成を示す概略ブロック図である。図4において、41は各お薬パック1aに表示されたQRコード又は各入居者が保持するカード等に表示されたQRコードから読み取られた入居者の識別データなどをORコードリーダー12などから受信して必要な制御情報を前記リフター27などに出力する入居者服薬管理部(PLC、CPU及びプログラム等により構成される)、42は少なくとも各入居者の識別データと各お薬パック1aの前記お薬パックカセット11内での高さ位置などを互いに紐付けて記録しておく服薬管理データベース、43は前記入居者服薬管理部41からの制御信号により前記押出板20を移動させる押出板移動部(モーターなどにより構成される)、44は前記入居者服薬管理部41からの制御信号により前記開封刃23(図2参照)を前記開封台22上のお薬パック1aの表面側(開口部側)を覆う密閉シートに向けて移動させる開封刃移動部(モーターなどにより構成される)である。
【0024】
また図4において、45は、前記入居者服薬管理部41により記録及び生成された、各入居者の服薬状況などを表示するための表示用データ(例えば、当日の食事に参加した複数の入居者に対し各お薬パック1aを当該食事の後に供給したか否かを示す情報、各入居者毎にそれぞれ対応するお薬パックが前記お薬パック収納部から取り出されたことを示す写真や動画を含む情報、このように取り出されたお薬パック中の薬剤が各入居者に服用されたことを示す写真や動画を含む情報、又はこれらの情報から得られる各入居者が当該服用時間帯に服薬したか否かを一覧で示す情報など)を、職員が保持するタブレット端末等に無線送信する表示用データ送信部、46は、前記入居者服薬管理部41により生成された、未だ服薬をしていない入居者が居ることを職員らに警告若しくは報知する報知用データを、職員が保持するタブレット端末等に無線送信する報知用データ送信部である。
【0025】
次に本実施形態の動作を説明する。本実施形態では、施設職員は、施設での食事の前に、当該食事後に服用すべき各入居者用のお薬パック1aを、食事に参加する入居者全員分の各お薬カレンダー1(図5(a)参照)からそれぞれ切り離し、それらを順次、各お薬パック1aの表面側に印刷されたQRコード(QRコードに変換された識別データ)をQRコードリーダー12で読み取りながら前記お薬パックカセット11中に上下方向に順次収納していく。このとき、前記入居者服薬管理部41は、各お薬パック1aの前記お薬パックカセット11内における高さ位置を、例えば当該お薬パック1aが前記お薬パックカセット11が空の状態から何番目に入れられたかなどの情報に基づいて取得する。なお前記入居者服薬管理部1は、このような方法以外に、例えば前記お薬パックカセット11に取り付けられた高さ位置センサからの情報により、前記お薬パックカセット11内に配置される各お薬パック1aの前記お薬パックカセット11内における高さ位置を取得するようにしてもよい。
【0026】
前述のとおり、介護施設では、各食事の前に、施設職員が各入居者の全員分のお薬カレンダー1からそれぞれ当該食事の後に服用すべきお薬パック1aを切り離し、それらを、順次各お薬パック1aに表示されたQRコード(これで示される識別データ)を読み取りながら各お薬パックを前記お薬パックカセット11内に上下方向に積み重ねられるように順次配置、収納していくが、このとき、前記入居者服薬管理部41は、前記QRコードリーダー12(図1参照)により読み取られた或るお薬パック1aの識別データが入力されると、当該識別データと、これに対応するお薬パック1aの前記お薬パックカセット11内における高さ位置データとを互いに紐付けて服薬管理データベース42に記録する。
【0027】
介護施設での食事が終わった入居者は順次、施設職員に促されて(又は施設職員が代行して)食堂出口近くに設置された本実施形態に係るお薬パック供給機10のQRコードリーダー12に自らのカード等を近づけて自らの識別データを読み取らせる。この読み取られた識別データは順次、前記入居者服薬管理部41に入力される。このとき、前記入居者服薬管理部41は、前記入力された識別データに基づいて前記服薬管理データベース42にアクセスし、前記QRコードリーダー12の前に居る入居者に対応する(すなわち前記入力された識別データに対応する)お薬パックの高さ位置データを取得する。
【0028】
そして、前記入居者服薬管理部41は、この取得した高さ位置データに基づき、前記リフター27などを制御して当該お薬パック1aが前記押出板20と対向する高さ位置にくるように前記お薬パックカセット11を昇降させる。前記入居者服薬管理部41は、前記お薬パックカセット11が昇降して当該入居者用のお薬パック1aが前記押出板20と対向する高さ位置まで移動すると、前記押出板移動部43を制御して前記押出板20を当該お薬パック1aの方向に移動させ、これにより当該入居者用のお薬パック1aを、前記お薬パックカセット11から排出させ、開封台22(図2参照)へと移動させる。
【0029】
さらに、前記入居者服薬管理部41は、前記開封刃23を、前記開封台23上に移動したお薬パック1aの表面側に移動させ、お薬パック1aの表面側(開口部側)を覆う密閉用シートに入居者が開封し易いように切れ目を生じさせる。このように表面側の密閉用シートに切れ目が生じさせられたお薬パック1aは、前記入居者服薬管理部41により制御される払い出しリフト24により前記搬出滑り台25上を滑り落ちて行き、お薬パック取出口13(図1参照)まで移動する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態においては、介護施設での食事の前に、複数の入居者がその食事の後に服用する複数のお薬パック1aを各お薬カレンダー1からそれぞれ切り離してお薬パックカセット11内に当該各お薬パックのQRコードから各識別データを読み取りながら纏めて順次収納しておき、その際、前記入居者服薬管理部41が、各入居者の識別データ(対応する各お薬パック1aに表示された識別データと同一のもの)と各お薬パック1aの前記お薬パックカセット11内における高さ位置データとを互いに紐付けて前記服薬管理データベース42に記録するようにし、その後、介護施設での食事が終わった入居者に対しては、例えば食堂の出口近くに配置されたお薬パック供給機10のQRコードリーダー12が、当該食事を終えた入居者が保持するカード等に表示されたQRコードから識別データを読み取り、前記入居者服薬管理部41が、その識別データ(の入居者)に対応するお薬パック1aの前記高さ位置に基づいて、該当する高さ位置のお薬パック1aを、前記リフター27及び前記押出板20を制御することにより前記お薬パックカセット11から取り出して開封台22まで移動させ、さらに前記開封刃23が当該お薬パック1aの密閉シートに切れ目を生じさせるようにした。よって、本実施形態によれば、施設側は、施設内で食事の前に用意した複数の入居者のための当該服用回に対応する複数のお薬パック1aの中から、食事が終わった各入居者(すなわち当該食事の後の時間帯に服薬すべき各入居者)の全員にそれぞれ対応する各お薬パックを順次取り出してそれを当該各入居者に順次渡すことを短時間内に且つ容易に実現できるようになる。
【0031】
このように本実施形態においては、「一人の入居者(患者)のためだけに、各服用回毎の服用分の薬剤(一包化された薬剤)を供給する装置」ではなく、「施設に入居している全員の(又はその中の一部のグループの)複数の入居者のために、或る服用回(例えば施設での或る食事の後の服用時間帯)に対応するお薬パック(一包化された薬剤)1aを当該複数の入居者に対しそれぞれ順次供給する装置」として構成したので、これを利用することにより、施設職員らは、施設の全員(又はその中の一部のグループ)の入居者(複数の入居者)が集まって行う食事の後の各入居者の当該服用回のためのお薬パック1aを、それらの各入居者全員に対しそれぞれ順次、極めて効率的に供給することができるようになる。
【0032】
また本実施形態においては、各お薬パック1aの表面側(開口部側)の密閉用シートに表示された入居者識別データを読み取るお薬パック識別データ読み取り部を備えるようにしたので、当該お薬パック1aが前記お薬パックカセット11内に配置されたときの前記お薬パックカセット11内での配置位置と前記読み取られたお薬パック1aの識別データなどの紐付けをより適正に行うことができる。
【0033】
また本実施形態においては、前記お薬パックカセット11は複数の各お薬パック1aを上下方向に沿って順次配置し収納するものとし、前記入居者服薬管理部41は、各お薬パック1aの前記お薬パックカセット11内での高さ位置を対応する各入居者の識別データと紐付けて記録するものとし、さらに、或る時間帯での服用が必要な入居者の識別データが前記QRコードリーダー12により読み取られたとき、前記入居者服薬管理部41が、前記押出板20の高さ位置と当該読み取られた識別データに対応するお薬パック1aの高さ位置とが一致するように、前記お薬パックカセット11を昇降させ、さらに前記押出板20が当該お薬パック1aを前記お薬パックカセット11から押し出すように移動させるようにしたので、極めて簡単な機械的構成だけで、当該読み取られた識別データに対応するお薬パック1aを前記お薬パックカセット11内から取り出すことができる。
【0034】
また本実施形態において、或るお薬パック1aが前記押出板20により前記お薬パックカセット11内から排出されて前記開封台22上に移動したとき、前記開封刃23が、前記開封台22上のお薬パック1aの表面側(開口部側)の密閉用シートの一部に切れ目を入れてお薬パック1aの開封を容易にさせるようにしたので、各入居者側は、前記お薬パックカセット11内から排出されたお薬パック1aを手に取って前記切れ目から前記密閉用シートを破断させるだけで、お薬パック1aの内部の薬剤を極めて容易に取り出して服用することができる。
【0035】
さらに本実施形態においては、前記入居者服薬管理部41が、各服用回の所定の時間帯において、各入居者毎にそれぞれ対応するお薬パックが前記お薬パック収納部から取り出され又は排出されたことを前記服薬管理データベース42等に記録し、この記録された情報又はこれから得られる情報、すなわち、各入居者毎にそれぞれ対応するお薬パックが前記お薬パック収納部から取り出されたことを示す写真や動画を含む情報、このように取り出されたお薬パック中の薬剤が各入居者に服用されたことを示す写真や動画を含む情報、これらの情報から得られる各入居者が当該服用時間帯に服薬したか否かを一覧で示す情報、又は未だ服薬していない入居者が存在することを職員に警告若しくは報知するための写真や動画を含む情報などを、表示用データ又は報知用データとして、表示用データ送信部45又は報知用データ送信部46から職員側端末に送信するようにしたので、施設職員側は各入居者の当該服用回における服薬が適正に行われたかどうか、又は当該服用回における服薬を未だ済ませていない入居者がいるかどうか(またそれは誰か)などを自動的に又は極めて容易に知ることができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態においては、食事を終えた入居者のためのお薬パック1aを取り出すために、前記お薬パックカセット11を昇降させることにより、当該入居者用のお薬パック1aを前記押出板20の高さ位置に一致させ対向させるようにしたが、本発明ではこれとは逆に、前記押出板20を上下動させることにより当該入居者用のお薬パック1aを前記押出板20の高さ位置と一致させ対向させるようにしてもよい。また前記実施形態では、各お薬パックに対応する入居者識別データは各お薬パックの表面側に印刷等されたQRコードを読み取ることにより取得しているが、本発明では、例えばお薬パックに付された電子タグ(RFID)から無線で識別データを取得するようにしたり、又は各入居者が保持するカードに内蔵等された電子タグ(RFID)から若しくは各入居者が保持するスマートフォンなどの携帯端末から無線で識別データを取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 お薬パック供給機
11 お薬パックカセット
12 QRコードリーダー
13 お薬パック取出口
14 タッチパネル
15 電源スイッチ
16 持ち手(窪み)
17 お薬パック載置台
20 押出板
21 搬入滑り台
22 開封台
23 開封刃
24 払い出しリフト
25 搬出滑り台
27 リフター(昇降部)
28 モーターコントローラ
29 PLC(プログラマブルロジックコントローラ)
30 DC電源
31 電源スイッチ
41 入居者服薬管理部
42 服薬管理データベース
43 押出板移動部
44 開封刃移動部
45 表示用データ送信部
46 報知用データ送信部
【要約】
【目的】施設側職員が食事が終わった各入居者のための各お薬パックを多数のお薬パックの中から取り出してそれを当該各入居者に渡すことを、短時間内に且つ容易に実現することができるお薬パック供給装置を提供する。
【構成】介護施設において各入居者の各服用回毎の薬剤を纏めて包装して成り各入居者の識別データが表示された各お薬パックを、複数の入居者のために各服用回の前に纏めて順次収納しておくお薬パック収納部と、前記お薬パック収納部内の各お薬パックの位置を各入居者の識別データと紐付けて記録するお薬パック位置等記録部と、前記入力された各入居者の識別データに基づき当該入居者の識別データに対応する位置に在るお薬パックを取り出すか又は少なくともその一部を排出させるお薬パック取出部とを備えている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5