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特許7300079微生物、生ゴミの分解に用いるための組成物、および生ゴミ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】微生物、生ゴミの分解に用いるための組成物、および生ゴミ処理方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20230622BHJP
   C12R 1/07 20060101ALN20230622BHJP
【FI】
C12N1/20 A ZNA
C12N1/20 F
C12R1:07
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023055613
(22)【出願日】2023-03-30
【審査請求日】2023-03-31
【微生物の受託番号】NPMD  NITE BP-03807
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520327238
【氏名又は名称】株式会社komham
(74)【代理人】
【識別番号】110003557
【氏名又は名称】弁理士法人レクシード・テック
(72)【発明者】
【氏名】森本 一
(72)【発明者】
【氏名】西山 すの
【審査官】藤山 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-166540(JP,A)
【文献】国際公開第2010/012039(WO,A1)
【文献】特開平04-237491(JP,A)
【文献】Definition: Bacillus sp. (in: firmicutes)strain SKF111034 16S ribosomal RNA gene, partial sequence,Database GenBank[online],2021年05月24日,〈https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/MZ229683.1/〉,Accession No.MZ229683
【文献】Suresh PV,Biodegradation of shrimp processing bio-waste and concomitant production of chitinase enzyme and N-acetyl-D-glucosamine by marine bacteria: production and process optimization,World J Microbiol Biotechnol,vol.28, no.10,2012年10月,pp.2945-2962
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バチルス科(Bacillaceae)に属し、
受託番号NITE BP-03807で寄託されている、微生物。
【請求項2】
請求項1に記載の微生物の変異株であって、
下記(1)~(9)の特性を有する微生物:
(1)グラム染色が陽性の桿菌であり、芽胞形成をする;
(2)生育温度が、30~55℃である;
(3)生育pHが、9~10である;
(4)カタラーゼ反応が、陽性である;
(5)オキシダーゼ反応が、陽性である;
(6)D-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、L-キシロース、D-フルクトース、L-ソルボース、アミグダリン、D-マルトース、D-ツラノース、D-リキソース、D-タガトース、2-ケトグルコン酸カリウム、および/または、5-ケトグルコン酸カリウムの代謝活性を有する;
(7)エスクリン、塩酸リジン、および/または、ゼラチン代謝活性を有する;
(8)エステラーゼ活性、リジンデカルボキシラーゼ活性、ゼラチナーゼ活性、エステラーゼリパーゼ活性、および/または、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ活性を有する;
(9)キチン、でんぷん、および/または、カゼインの資化能を有する。
【請求項3】
請求項1に記載の微生物の変異株であって、
前記変異株は、
16S rRNA遺伝子として、下記(R)の塩基配列からなる遺伝子を含み、
キチン、でんぷん、および/または、カゼインの資化能を有する、微生物:
(R)下記(R1)、(R2)、または(R3)の塩基配列
(R1)配列番号1に示す塩基配列;
(R2)配列番号1に示す塩基配列において、1~58個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列;
(R3)配列番号1に示す塩基配列において、96%以上の同一性を有する塩基配列。
【請求項4】
前記変異株は、下記(1)~(7)および(8)からなる群から選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項3に記載の微生物:
(1)グラム染色が陽性の桿菌であり、芽胞形成をする;
(2)生育温度が、30~55℃である;
(3)生育pHが、9~10である;
(4)カタラーゼ反応が、陽性である;
(5)オキシダーゼ反応が、陽性である;
(6)D-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、L-キシロース、D-フルクトース、L-ソルボース、アミグダリン、D-マルトース、D-ツラノース、D-リキソース、D-タガトース、2-ケトグルコン酸カリウム、および/または、5-ケトグルコン酸カリウムの代謝活性を有する;
(7)エスクリン、塩酸リジン、および/または、ゼラチン代謝活性を有する;
(8)エステラーゼ活性、リジンデカルボキシラーゼ活性、ゼラチナーゼ活性、エステラーゼリパーゼ活性、および/または、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ活性を有する。
【請求項5】
チン、でんぷん、およびカゼインの資化能を有する、請求項2または4に記載の微生物
【請求項6】
前記変異株は、配列番号2で示す塩基配列に対して、ANI値90%以上を有するゲノムDNAを含む、請求項2または3に記載の微生物。
【請求項7】
バチルス科(Bacillaceae)に属し、
16S rRNA遺伝子として、下記(R)の塩基配列からなる遺伝子を含み、
キチン、でんぷん、および/または、カゼインの資化能を有する、微生物:
(R)下記(R1)、(R2)、または(R3)の塩基配列
(R1)配列番号1に示す塩基配列;
(R2)配列番号1に示す塩基配列において、1~58個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列;
(R3)配列番号1に示す塩基配列に対して、96%以上の同一性を有する塩基配列。
【請求項8】
下記(1)~(8)および(9)からなる群から選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項7に記載の微生物:
(1)グラム染色が陽性の桿菌であり、芽胞形成をする;
(2)生育温度が、30~55℃である;
(3)生育pHが、9~10である;
(4)カタラーゼ反応が、陽性である;
(5)オキシダーゼ反応が、陽性である;
(6)D-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、L-キシロース、D-フルクトース、L-ソルボース、アミグダリン、D-マルトース、D-ツラノース、D-リキソース、D-タガトース、2-ケトグルコン酸カリウム、および/または、5-ケトグルコン酸カリウムの代謝活性を有する;
(7)エスクリン、塩酸リジン、および/または、ゼラチン代謝活性を有する;
(8)エステラーゼ活性、リジンデカルボキシラーゼ活性、ゼラチナーゼ活性、エステラーゼリパーゼ活性、および/または、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ活性を有する;
(9)キチン、でんぷん、およびカゼインの資化能を有する。
【請求項9】
請求項1から4、7、および8のいずれか一項に記載の微生物を含む、生ゴミの分解に用いるための組成物。
【請求項10】
請求項1から4、7、および8のいずれか一項に記載の微生物と、生ゴミとを接触させ、前記微生物により生ゴミを分解する工程を含む、生ゴミ処理方法。
【請求項13】
前記生ゴミは、甲殻類の外骨格、魚、肉、および米からなる群から選択される、請求項10に記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、微生物、生ゴミの分解に用いるための組成物、および生ゴミ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ゴミ等の廃棄物は、焼却処理場において焼却処分されてきた。しかしながら、近年、環境負荷の低減を目的として、微生物処理によって堆肥化(コンポスト化)する生ゴミ処理等が注目されている。
【0003】
また、前記生ゴミとして、カニやエビ等の甲殻類の外骨格が大量に廃棄されている。しかしながら、前記外骨格は、強い結晶構造を有する不溶性のキチンを含むため、廃棄処理が容易ではない(非特許文献1)。そこで、微生物処理によって前記外骨格等の廃棄処理を行うこと等が種々模索されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】関一人等. "木粉を用いた水産系廃棄物の堆肥化 (1): 廃棄物の化学的特性および寒冷地条件下における堆肥化装置を用いた初期分解過程." (2007): 8-14.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本開示は、例えば、キチンおよびデンプン等の多糖、ならびに/または、カゼイン等のタンパク質等を分解可能な新規微生物を提供すること等を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本開示の微生物は、バチルス科(Bacillaceae)に属し、
受託番号NITE BP-03807で寄託されている。
【0007】
本開示の微生物は、バチルス科(Bacillaceae)に属し、
16S rRNA遺伝子として、下記(R)の塩基配列からなる遺伝子を含む:
(R)下記(R1)、(R2)、または(R3)の塩基配列
(R1)配列番号1に示す塩基配列;
(R2)配列番号1に示す塩基配列において、1~58個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列;
(R3)配列番号1に示す塩基配列に対して、96%以上の同一性を有する塩基配列。
【0008】
本開示の微生物は、バチルス科(Bacillaceae)に属し、
下記(1)~(9)の特性を有する:
(1)グラム染色が陽性の桿菌であり、芽胞形成をする;
(2)生育温度が、30~55℃である;
(3)生育pHが、9~10である;
(4)カタラーゼ反応が、陽性である;
(5)オキシダーゼ反応が、陽性である;
(6)D-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、L-キシロース、D-フルクトース、L-ソルボース、アミグダリン、D-マルトース、D-ツラノース、D-リキソース、D-タガトース、2-ケトグルコン酸カリウム、および/または、5-ケトグルコン酸カリウム、および/または、5-ケトグルコン酸カリウムの代謝活性を有する;
(7)エスクリン、塩酸リジン、および/または、ゼラチン代謝活性を有する;
(8)エステラーゼ活性、リジンデカルボキシラーゼ、ゼラチナーゼ、エステラーゼリパーゼ活性、および/または、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ活性を有する;
(9)キチン、でんぷん、および/または、カゼインの資化能を有する。
【0009】
本開示の生ゴミの分解に用いるための組成物は、本開示の微生物を含む。
【0010】
本開示の生ゴミ処理方法は、本開示の微生物と、生ゴミとを接触させ、前記微生物により生ゴミを分解する工程を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、例えば、キチンおよびでんぷん等の多糖、ならびに/または、カゼイン等のタンパク質等を分解可能な新規微生物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例1における、16S rRNAの部分塩基配列に基づくkomham196の系統樹を示す。
図2図2は、実施例1における、光学顕微鏡による、komham196の形態観察の結果を示す写真である。
図3図3は、実施例1における、API(登録商標)50CHを用いた、前記細菌第二段階試験の結果を示す写真である。
図4図4は、実施例1における、API(登録商標)20EおよびAPI(登録商標)20NEを用いた、前記細菌第二段階試験の結果を示す写真である。
図5図5は、実施例1における、API(登録商標)ZYMを用いた、前記細菌第二段階試験の結果を示す写真である。
図6図6は、実施例1における、電子顕微鏡を用いたkomham196の形態観察の結果を示す写真である。
図7図7は、実施例1における、ANI解析の結果を示す。
図8図8は、実施例1における、増殖試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示について、例をあげて具体的に説明する。以下、特に言及しない限り、各開示は、他の開示の説明を援用できる。
【0014】
本発明者らは、鋭意研究の結果、新規微生物を見出し、前記微生物を単離および同定することにより、本開示を確立するに至った。具体的には、本開示の微生物は、形態観察および生理・生化学的性状試験、16S rRNAの部分塩基配列解析ならびにゲノム塩基配列のANI解析の結果、バチルス科(Bacillaceae)に属することは確認されたものの、バチルス科(Bacillaceae)に属する公知の属には属さず、新属の微生物であることを見出した。さらに、本発明者らは、鋭意研究の結果、前記微生物が、甲殻類の外骨格等に含まれるキチン、でんぷん、および/または、カゼインの分解能を示すことを見出し、本開示を確立するに至った。このため、本開示の微生物によれば、例えば、甲殻類の外骨格、魚、肉、および/または米等の分解処理等が期待される。
【0015】
本開示の微生物は、バチルス科(Bacillaceae)に属する新種の微生物である。本開示の微生物は、例えば、受託番号NITE BP-03807で寄託される菌株またはその後代系統(以下、「Alkalithermobacillus komhamensis菌株」、「komham196」ともいう。)を含む。
【0016】
<komham196>
本開示のkomham196またはその後代系統は、例えば、下記(1)~(8)の特性を有する。
(1)グラム染色が陽性の桿菌であり、芽胞形成をする;
(2)生育温度が、30~55℃であり、好ましくは、40~50℃である;
(3)生育pHが、9~10である;
(4)カタラーゼ反応が、陽性である;
(5)オキシダーゼ反応が、陽性である;
(6)D-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、L-キシロース、D-フルクトース、L-ソルボース、アミグダリン、D-マルトース、D-ツラノース、D-リキソース、D-タガトース、2-ケトグルコン酸カリウム、および/または、5-ケトグルコン酸カリウムの代謝活性を有する;
(7)エスクリン、塩酸リジン、および/または、ゼラチン代謝活性を有する;
(8)エステラーゼ活性、リジンデカルボキシラーゼ活性、ゼラチナーゼ活性、エステラーゼリパーゼ活性、および/または、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ活性を有する。
【0017】
本開示のkomham196は、前記(1)~(8)の特性のうち、いずれか1つの特性を有してもよいし、複数の特性を有してもよいし、全ての特性を有してもよい。
【0018】
前記(1)~(8)の特性は、後述の実施例1(5)~(8)に準じて測定できる。
【0019】
本開示のkomham196は、さらに、例えば、次の(9)の特性を有してもよい。
(9)キチン、でんぷん、および/またはカゼインの資化能を有し、好ましくは、キチンの資化能を有する。
【0020】
本開示のkomham196は、一例として、受託番号NITE BP-03807で寄託された菌株(寄託系統)またはその後代系統があげられる。寄託の情報を以下に示す。
寄託の種類:国際寄託
寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター
あて名:日本国 〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室
(komham196)
受託番号:NITE BP-03807
識別のための表示:komham196
受領日:2023年1月23日
【0021】
本開示のkomham196は、例えば、16S rRNA遺伝子として、下記(R)の塩基配列からなる遺伝子を含み、好ましくは、下記(R1)の塩基配列からなる遺伝子、すなわち、配列番号1で示す塩基配列からなる16S rRNA遺伝子を有する。
【0022】
(R)下記(R1)、(R2)、または(R3)の塩基配列
(R1)配列番号1に示す塩基配列;
(R2)配列番号1に示す塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列;
(R3)配列番号1に示す塩基配列に対して、96%以上の同一性を有する塩基配列。
【0023】
前記(R1)において、配列番号1の塩基配列は、16S RNAをコードする塩基配列である。前記配列番号1の塩基配列は、例えば、komham196から単離できる。
【0024】
komham196の16S rRNA遺伝子の塩基配列(配列番号1)
5'-AATGCGGCGTGCCTAATACATGCAAGTCGAACGAACCGACGAGGAGCTTGCTCCTCTTAGGTTAGTGGCGGATGGGTGAGTAACACGTGGGCAACCTGCCCTGTAGATTGGGATAACTTACGGAAACGTGAGCTAATACCGAATAATCCTTTTAGACGCATGTCTAAAAGTTAAAAGATGGCTCTGCTATCACTACAGGATGGGCCCGCGGCGCATTAGCTAGTTGGTAAGGTAACGGCTTACCAAGGCGACGATGCGTAGCCGACCTGAGAGGGTGATCGGCCACACTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTAGGGAATCTTCCGCAATGGACGCAAGTCTGACGGAGCAACGCCGCGTGAGTGATGAAGGCCTTCGGGTCGTAAAACTCTGTTGTTAGGGAAGAACAAGTATCGGAGTAACTGCCGGTACCTTGACGGTACCTAACGAGGAAGCCACGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGtGGCAAGCGTTGTCCGGATTTATTGGGCGTAAAGGGCGCGCAGGCGGTCTCTTAAGTCTGATGTGAAATCTTGCGGCTCAACCGCAAGCGGTCATTGGAAACTGGGAGACTTGAGTGCAGAAGAGGAGAGTGGAATTCCACGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGAGATGTGGAGGAACACCAGTGGCGAAGGCGACTCTCTGGTCTGTAACTGACGCTGAGGCGCGAAAGCGTGGGGAGCAAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGAGTGCTAGGTGTTAGGGGTTTCGATGCCCTTAGTGCCGAAGTAAACACATTAAGCACTCCGCCTGGGGAGTACGGCCGCAAGGCTGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGGCCCGCACAAGCAGTGGAGCATGTGGTTTAATTCGAAGCAACGCGAAGAACCTTACCAGGTCTTGACATCCTTTGACCACCCTAGAGATAGGGCTTTCCCCTTCGGGGGACAAAGTGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCTTGACCTTAGTTGCCAGCATTCAGTTGGGCACTTTAAGGTGACTGCCGGTGACAAACCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGACCTGGGCTACACACGTGCTACAATGGATGGTACAGAGGGTCGCGAAGCCGCGAGGCGGAGCCAATCCCACAAAGCCATTCTCAGTTCGGATTGCAGGCTGCAACTCGCCTGCATGAAGCCGGAATTGCTAGTAATCGCGGATCAGAATGCCGCGGTGAATACGTTCCCGGGCCTTGTACACACCGCCCGTCACACCACGAGAGTTTGTAACACCCGAAGTCGGTGAGGTAACACACTACGTGAGCCAGCCGCCTAAGGGGACAAG-3'
【0025】
前記(R2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(R2)の塩基配列を含むS16 rRNA遺伝子を有する微生物が、前記komham196の特性を維持する範囲であればよい。前記komham196の特性は、例えば、前記(1)~(9)の特性、好ましくは、前記(9)の特性があげられる(以下、同様。)。前記(R2)の「1もしくは数個」は、前記(R1)の塩基配列において、例えば、1~58個、1~43個、1~29個、1~14個、1~10個、1~5個、1~3個、1または2個、1個である。本開示において、塩基数等の個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。つまり、例えば、「1~5個」との記載は、「1、2、3、4、5個」の全ての開示を意味する(以下、同様)。
【0026】
前記(R3)において、「同一性」は、例えば、前記(R3)の塩基配列を含むS16 rRNA遺伝子を有する微生物が、前記komham196の特性を維持する範囲であればよい。前記(R3)の「同一性」は、前記(R1)の塩基配列において、例えば、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記「同一性」は、2つの塩基配列またはアミノ酸配列をアライメントすることによって求めることができる(以下、同様)。前記アライメントは、例えば、BLAST、FASTA等を用いてデフォルトのパラメータで算出できる。
【0027】
前記16S rRNA遺伝子の測定は、例えば、公知の方法により測定することができる。前記公知の方法には、PCR(Polymerase Chain Reaction)法やシーケンシング解析等を用いることができる。前記16S rRNAを含むrRNAは、ウイルスを除く全生物に存在し、タンパク質合成に関わる重要な分子である。このため、前記rRNAの進化速度は比較的遅く、種のレベルにおいて高い相同性を示すことが知られている。細菌は、基準株とのDNA-DNAハイブリダイゼーションの相同性が70%以上の場合、同種であると定義される(参考文献1)。一方、16S rRNA配列を用いた菌種同定においては、97%以上の同一性があれば、類縁関係があり、98.7%以上の同一性があれば、同種である可能性が高いとされている(参考文献2)。このため、16S rRNA配列を用いた菌種同定において、98.7%以上の種がいない場合、新種であるとされる。前記菌種同定は、具体的には、公的な遺伝子バンクに登録されている16S rRNAの塩基配列と、対象の菌体とを比較することにより実施される。前記公的な遺伝子バンクは、例えば、日本DNAデータバンク、GenBank、およびEMBL等があげられる。前記公知の塩基配列の比較は、例えば、塩基配列の解析ソフト(例えば、BLAST等)により実施できる。
参考文献1:Wayne L. G., Brenner D. J., Colwell R. R., Grimont P. A. D., Kandier O., Krichevsky M. I., Moore L. H., Moore W. E. C., Murray R. G. E., Stackebrandt E., Starr M. P., Truper H. G. 1987; Report of the Ad Hoc Committee on Reconciliation of Approaches to Bacterial Systematics. Int. J. Syst. Bacteriol. 37:463-464
参考文献2:Stackebrandt, Erko. "Taxonomic parameters revisited: tarnished gold standards." Microbiol. Today 33 (2006): 152-155.
【0028】
本開示のkomham196の16S rRNAは、公知の微生物の16S rRNA遺伝子の塩基配列と比較して、例えば、98.7%未満、98%以下、97%以下、96.07%以下、96%以下、95%以下、90%以下の同一性であることが好ましく、さらに、95.99%以下の相同性であることが好ましい。前記公知の微生物は、例えば、Bacillus sp. (in: firmicutes)、Bacillus sp. JAMB750、Bacillus suaedae、Alkalihalobacillus alcalophilus、およびHalalkalibacterium halodurans等があげられる。
【0029】
本開示のkomham196の近縁種として、例えば、バチルス属の細菌があげられる。
【0030】
本開示のkomham196は、例えば、配列番号2で示す塩基配列からなるゲノムDNAを有する。
【0031】
菌株のゲノムDNA菌種の同定は、例えば、ANI(Average Nucleotide Identity:平均ヌクレオチド同一性)解析を用いてもよい。前記ANI解析は、対象株と比較株の完全長ゲノム配列やドラフトゲノム配列の同一性(ANI値)をコンピュータ上で計算し、種の異同を判断する方法である。前記ANI解析では、95%以上の値を示すと、同じ菌種に属するゲノムであると判断でき、95%未満の値を示すと、異なる菌種に属するゲノムであると判断できる。前記ANI解析の方法は、例えば、下記参考文献3を参照できる。
参考文献3:Rodriguez-R, Luis M., and Konstantinos T. Konstantinidis. The enveomics collection: a toolbox for specialized analyses of microbial genomes and metagenomes. No. e1900v1. PeerJ Preprints, 2016.
【0032】
本開示のkomham196のゲノム配列(配列番号2)と、公知の微生物のゲノム配列とのANI値は、例えば、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満であることが好ましい。前記公知の微生物は、例えば、Paenibacillus macerans、Alkalihalobacillus alcalophilus、Salipaludibacillus agaradhaerens、Sporosarcina pasteurii、Alkalihalobacillus clausii、Evansella clarkii、Alkalihalobacillus krulwichiae、Alkalihalobacillus gibsonii、Alkarihalophilus pseudofirmus、およびHalalkalibacterium halodurans等があげられる。
【0033】
本開示のkomham196は、例えば、配列番号2で示す塩基配列に対して、ANI値を、74%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上を有するゲノムDNAを含むことが好ましい。
【0034】
本開示のkomham196は、例えば、ゲノムDNAとして、下記(G)の塩基配列からなる遺伝子を含み、好ましくは、下記(G1)の塩基配列からなる遺伝子、すなわち、配列番号2で示す塩基配列からなるゲノムDNAを有する。
【0035】
(G)下記(G1)、(G2)、または(G3)の塩基配列
(G1)配列番号2に示す塩基配列;
(G2)配列番号2に示す塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列;
(G3)配列番号2に示す塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列。
【0036】
前記(G1)において、配列番号2の塩基配列は、ゲノムDNAをコードする塩基配列である。前記配列番号2の塩基配列は、例えば、komham196から単離できる。
【0037】
前記(G2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(G2)の塩基配列を有するゲノムDNAを含む微生物が、前記komham196の特性を維持する範囲であればよい。前記komham196の特性は、例えば、前記(1)~(9)の特性、好ましくは、前記(9)の特性があげられる(以下、同様。)。前記(G2)の「1もしくは数個」は、前記(G1)の塩基配列において、例えば、1~587773個、1~440829個、1~293886個、1~146942個、1~117553個、1~88165個、1~58776個、1~29387個、1~14694個、1~7347個、1~3673個、または1~1836個である。
【0038】
前記(G3)において、「同一性」は、例えば、前記(G3)の塩基配列を有するゲノムDNAを含む微生物が、前記komham196の特性を維持する範囲であればよい。前記(G3)の「同一性」は、前記(G1)の塩基配列において、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0039】
本開示のkomham196は、例えば、細菌形態観察、細菌第一段階試験、および細菌第二段階試験等を用いて、帰属分類群を同定してもよい。前記細菌形態観察は、例えば、コロニーの色調、細胞形態、グラム染色性、および芽胞形成能等の観察があげられる。前記細菌第一段階試験は、例えば、コロニー性状、細胞形態、および運動性の観察、ならびにカタラーゼ、オキシダーゼ、O/Fテスト等の生理生化学的性状試験等があげられる。前記細菌第二段階試験は、例えば、生理・生化学的性状試験用キットによる炭素源等の資化性、酸化/発酵性、および酵素活性等の試験があげられる。本開示のkomham196は、例えば、後述の実施例1における、細菌形態観察、細菌第一段階試験、および細菌第二段階試験等の結果に示される形態学的特徴および生理・生化学的な性状を示す。
【0040】
本開示のkomham196は、例えば、後述の実施例1の培養条件に準じて培養することにより、継代可能である。これにより、本開示は、前記komham196の後代系統を得ることができる。
【0041】
<変異株>
本開示の微生物は、例えば、komham196またはその後代系統の変異株であってもよい。
【0042】
本開示の変異株は、例えば、komham196の新種としての分類学的性質を維持している菌体である。前記性質は、例えば、前述の(1)~(9)の特性があげられる。前記変異株は、例えば、前記(1)~(9)の特性のうち、いずれか1つの特性を有してもよいし、複数の特性を有してもよいし、全ての特性を有してもよい。本開示の変異株は、前記本開示のkomham196の説明を援用できる。
【0043】
本開示の変異株は、例えば、前記komham196への突然変異、または、外来性の遺伝子導入等によって取得することができる。前記突然変異は、例えば、常法により、変異を導入することにより引き起こすことができる。前記変異の導入方法は、例えば、相同組換え;ZFN、TALEN、CRISPR-CAS9、CRISPR-CPF1等を用いたゲノム編集技術:等により、実施できる。前記変異の導入方法は、例えば、部位特異的突然変異誘発法等の変異導入法により、実施してもよい。また、前記変異の導入方法は、例えば、ランダム突然変異誘発法により、実施してもよい。前記ランダム突然変異誘発法は、例えば、α線、β線、γ線、X線等の放射線照射処理;メタンスルホン酸エチル(EMS)、エチニルニトロソウレア(ENU)等の変異誘発剤による化学物質処理;重イオンビーム処理;等があげられる。
【0044】
前記変異株は、16S rRNA遺伝子として、下記(R)の塩基配列からなる遺伝子を含む:
(R)下記(R1)、(R2)、または(R3)の塩基配列
(R1)配列番号1に示す塩基配列;
(R2)配列番号1に示す塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列;
(R3)配列番号1に示す塩基配列に対して、96%以上の同一性を有する塩基配列。
【0045】
前記(R1)~(R3)は、本開示のkomham196における説明を援用できる。
【0046】
前記変異株は、例えば、ゲノムDNAとして、下記(G)の塩基配列からなる遺伝子を含み、好ましくは、下記(G1)の塩基配列からなる遺伝子、すなわち、配列番号2で示す塩基配列からなるゲノムDNAを有する。
【0047】
(G)下記(G1)、(G2)、または(G3)の塩基配列
(G1)配列番号2に示す塩基配列;
(G2)配列番号2に示す塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列;
(G3)配列番号2に示す塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列。
【0048】
前記(G1)~(G3)は、本開示のkomham196における説明を援用できる。
【0049】
<生ゴミ処理方法>
本開示は、他の例において、生ゴミを処理可能な方法を提供する。本開示の生ゴミ処理方法(以下、「処理方法」ともいう。)は、前記本開示の微生物を使用する。本開示の処理方法は、本開示の微生物と、生ゴミとを接触させ、前記微生物により生ゴミを分解する工程(以下、「分解工程」ともいう。)を含む。本開示の処理方法は、本開示の微生物を使用することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。
【0050】
本開示において、「生ゴミ」は、食品廃材を意味する。前記食品廃材は、例えば、食品の可食部の残飯、および通常の食習慣では一般通念上食べない食品の不可食部等があげられる。前記不可食部は、例えば、魚介類の殻、魚や肉の内蔵および骨、および野菜くず等があげられる。本開示において、前記分解工程で処理に供される生ゴミは、生ゴミを含んでいればよく、他のゴミ類を含んでもよい。前記他のゴミ類は、例えば、包装紙等の紙類、ビニール袋、ラップ、およびゴム手袋等があげられる。
【0051】
前記分解工程において、前記微生物と前記生ゴミとの接触は、例えば、混合により実施できる。前記混合は、例えば、攪拌機等を用いて機械的に実施できる。
【0052】
前記分解工程において、前記分解の温度(分解温度)は、例えば、本開示の微生物が生ゴミを処理可能な温度である。前記分解温度は、例えば、30℃~55℃であり、好ましくは、40℃~50℃である。
【0053】
前記分解工程において、前記分解のpH(分解pH)は、例えば、本開示の微生物が生ゴミを処理可能なpHである。前記分解pHは、例えば、pH9~10である。
【0054】
前記分解工程において、例えば、酸素を供給してもよい。前記供給は、例えば、前記生ゴミと本開示の微生物との混合物を攪拌することにより実施することができる。前記供給の時間間隔は、例えば、1時間~10時間であり、好ましくは、5時間~8時間、さらに好ましくは8時間である。前記供給時間は、例えば、1分~30分、好ましくは、1分~10分、さらに好ましくは、5分である。
【0055】
前記分解工程において、前記生ゴミと本開示の微生物との混合物の水分含量は、例えば、40~70%であり、好ましくは、50%~70%であり、さらに好ましくは、55%~65%である。
【0056】
前記生ゴミは、例えば、多糖および/またはタンパク質を含むことが好ましい。前記多糖は、例えば、キチンおよびデンプン等があげられる。前記タンパク質は、例えば、カゼイン等があげられる。
【0057】
前記生ゴミは、例えば、カニおよびエビ等の甲殻類の外骨格、魚、肉、および米等があげられる。
【実施例
【0058】
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。なお、「mol/l」は、「M」と標記することもある。
【0059】
[実施例1]
本開示の新規微生物を同定し、コンポストに添加したキチン、デンプン、およびカゼインを質化できた。
【0060】
(1)komham196の単離
北海道の魚介類廃棄物処理場のコンポストを試料として取得した。8gのハイペプトン、3gの酵母エキス、1gのリン酸二カリウム、および0.25gの塩化アンモニウムを900mlの蒸留水に溶解し、前記溶解後、100mlのアルカリ緩衝液(炭酸ナトリウム、pH9.0)を添加し、PYA培地(pH9.0)を作製した。前記作製後、前記試料を蒸留水で希釈し、前記PYA培地に接種した。前記接種後、50℃の条件下で培養した。前記培養後、培地上に生育したコロニーを分離した。前記分離後、前記PYA培地に接種し、培養を繰り返し行った。その後、単離精製を行い、新規微生物、komham196を単離した。
【0061】
(2)komham196の16S rRNA塩基配列の決定
前記実施例1(1)で単離したkomham196について、微生物を同定するために、16S rRNAの塩基配列を解析した。具体的には、前記単離したkomham196からDNAを抽出した。前記抽出後、下記プライマーセット(ファスマック社製、合成依頼)およびKOD One(登録商標) PCR Master Mix(TOYOBO社製)を前記DNAに添加し、反応液を調製した。前記調製後、サーマルサイクラー(T100 サーマルサイクラー、BIO-RAD社製)を用いて、前記DNAの16S rRNA遺伝子について増幅した。前記増幅後、得られたPCR産物を用いて、DNAシーケンスを行い、前記実施例1(1)で単離したkomham196の16S rRNAの塩基配列を得た。前記塩基配列は、配列番号1で表される塩基配列であった。
【0062】
・27Fプライマー(配列番号3)
5’-AGAGTTTGATCMTGGCTCAG-3’
・1492Rプライマー(配列番号4)
5’-GGYTACCTTGTTACGACTT-3’
【0063】
(3)既存微生物の16S rRNA塩基配列との比較
前記実施例1(2)で得られた16S rRNA塩基配列を用いて、komham196の16S rRNAと既存微生物の16S rRNAとの比較を行った。具体的には、前記比較には、BLASTを使用した。BLASTのホモロジー検索により、komham196の16S rRNA塩基配列と同一または類似の配列を有する微生物を検索した。前記検索の結果を、下記表1に示す。下記表1に示すように、配列番号5で表される塩基配列を有する微生物、バチルス属(Bacillus sp.)のSKF111034菌株が、komham196の16S rRNAの塩基配列に最も近い16S rRNA塩基配列を有することがわかった。komham196の16S rRNAとSKF111034菌株の16S rRNA塩基配列との相同率(同一性)は、96.07%であり、98.7%より低かった。これらの結果から、komham196は、98.7%以上の同一性を有する微生物がおらず、新種であることがわかった。
【0064】
SKF111034菌株の16S rRNA遺伝子の塩基配列(配列番号5)
5'-CTGGGCGGGGTGCCTATACATGCAGTCGAGCGAACAGAAGAGGAGCTTGCTCCTCGGACGTTAGCGGCGGACGGGTGAGTAACACGTGGGCAACCTGCCCTGTAGATGGGGATAACTCCGGGAAACCGGGGCTAATACCGAATGAATCTTTCAAACGCATGTTTGAAAGCTAAAAGATGGTTATGCTATCACTACAGGATGGGCCCGCGGCGCATTAGCTAGTTGGTAAGGTAACGGCTTACCAAGGCGACGATGCGTAGCCGACCTGAGAGGGTGATCGGCCACACTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTAGGGAATCTTCCGCAATGGACGAAAGTCTGACGGAGCAACGCCGCGTGAGTGATGAAGGCCTTCGGGTCGTAAAACTCTGTTGTTAGGGAAGAACAAGTACGAGAGTCACTGCTCGTACCTTGACGGTACCTAACGAGAAAGCCACGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGTGGCAAGCGTTGTCCGGAATTATTGGGCGTAAAGCGCGCGCAGGCGGTCTTTTAAGTCTGATGTGAAATCTTGCGGCTCAACCGTAAGCGGTCATTGGAAACTGGGAGACTTGAGTACAGAAGAGGAGAGTGGAATTCCACGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGAGATGTGGAGGAACACCAGTGGCGAAGGCGACTCTCTGGTCTGTAACTGACGCTGAGGCGCGAAAGCGTGGGGAGCAAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGAGTGCTAGGTGTTAGGGGTTTCGATGCCCTTAGTGCCGAAGTCAACACATTAAGCACTCCGCCTGGGGAGTACGGCCGCAAGGCTGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGGCCCGCACAAGCAGTGGAGCATGTGGTTTAATTCGAAGCAACGCGAAGAACCTTACCAGGTCTTGACATCCTTTGACCACCCTAGAGATAGGGCTTTCCCCTTCGGGGGACAAAGTGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCTTGACCTTAGTTGCCAGCATTCAGTTGGGCACTCTAAGGTGACTGCCGGTGACAAACCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGACCTGGGCTACACACGTGCTACAATGGATGGTACAGAGGGCAGCAAAACCGCGAGGTCGAGCGAATCCCATAAAGCCATTCTCAGTTCGGATTGTAGGCTGCAACTCGCCTACATGAAGCCGGAATTGCTAGTAATCGCGGATCAGAATGCCGCGGTGAATACGTTCCCGGGCCTTGTACACACCGCCCGTCACACCACGAGAGTTTGTAACACCCGAAGTCGGTGGGGTAACCATAGGAGCCAGCCGCCCTAAGGGTGAACAGAT-3'
【0065】
【表1】
【0066】
(4)系統樹の作製
次に、前記実施例1(3)のホモロジー検索の結果から、16S rRNAの部分塩基配列に基づく系統樹の作製を行い、komham196の系統学的位置について分析した。前記系統樹の作製には、子進化・系統学的解析ツールのMEGA(Molecular Evolutionary Genetics Analysis)ソフトウェアおよび近隣結合法(Neighbor-joining)を用いた。これらの結果を図1に示す。
【0067】
図1は、16S rRNAの部分塩基配列に基づくkomham196の系統樹を示す。図1において、左下のスケールバーは、0.050であり、5%の相違塩基を意味する。系統枝の分岐に位置する数字は、ブートストラップ値を示す。
【0068】
(5)分類学的性質の検討1
komham196について、形態観察および生理学的性状試験(以下の「細菌第一段階試験」ともいう。)を実施し、分類学的性質について検討した。具体的には、50℃、24時間の条件下で、komham196を好気培養した。前記培養後、光学顕微鏡による形態観察、および参考文献4に記載の方法に基づき、カタラーゼ反応、オキシダーゼ反応、ブドウ糖からの酸/ガス産生、ブドウ糖の酸化/発酵(O/F)について試験を行った。これらの結果を図2および表2に示す。
参考文献4:Barrow GI, Feltham RKA. Cowan and Steel’s Manual for the Identification of Medical Bacteria. 3rd edition. Cambridge: University Press; 1993.
【0069】
【表2】
【0070】
図2は、光学顕微鏡による、komham196の形態観察の結果を示す写真である。光学顕微鏡による形態観察の結果、komham196は、図2に示すようなコロニーを形成することがわかった。
【0071】
上記表2に示すように、komham196は、運動性を有する桿菌で、芽胞を形成し、カタラーゼ反応は陽性を示し、オキシダーゼ反応は、陽性を示すことがわかった。
【0072】
(6)分類学的性質の検討2
komham196について、グラム陽性菌またはグラム陰性菌を判別するために、分類同定試験を行った。具体的には、下記参考文献5-6に基づき、3%KOHを用いた分類同定試験を行った。PYA(pH9)液体培地を用いて、komham196を培養した。前記培養から24時間以内の平板培養物から、滅菌爪楊枝を用いて、菌体を釣菌した。前記釣菌後、ガラススライド上に滴下した1滴の3%KOHと前記菌体とを混和した。前記混和後、光学顕微鏡(BX50F4、オリンパス社製)を用いて、前記菌体の観察を行った。前記観察において、粘性を帯びて糸を引くものをグラム陰性菌と判断し、さらさらに溶解するものをグラム陽性菌と判断した。この結果、菌体と3%KOHとを混和したものは、糸引きが確認されなかった。以上の結果から、komham196は、グラム陽性菌であることがわかった。
参考文献5:Ryu, E. I. H. Y. O. "A simple method of differentiation between Gram-positive and Gram-negative organisms without staining." Kitasato Archives of Experimental Medicine 17 (1940): 58-63.
参考文献6:竹田茂. "活性汚泥細菌同定のための簡易試験法の比較検討." 日本水処理生物学会誌 31.3 (1995): 161-167.
【0073】
(7)分類学的性質の検討3
komham196について、生化学的性状試験(以下の「細菌第二段階試験」ともいう。)を実施し、分類学的性質について検討した。具体的には、前記細菌第二段階試験には、API(登録商標)50CH、API(登録商標)20E、API(登録商標)20NE、API(登録商標)ZYM(全てBiomerieux社製)を使用した。これらの結果を図3図5および表3~表4に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
図3は、API(登録商標)50CHを用いた、前記細菌第二段階試験の結果を示す写真である。上記表3は、前記細菌第二段階試験の結果を示す表である。図3および上記表3に示すように、komham196は、D-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、L-キシロース、D-フルクトース、L-ソルボース、アミグダリン、D-マルトース、D-ツラノース、D-リキソース、D-タガトース、2-ケトグルコン酸カリウムおよび/または5-ケトグルコン酸カリウムの代謝活性を有することがわかった。
【0076】
図4は、API(登録商標)20EおよびAPI(登録商標)20NEを用いた、前記細菌第二段階試験の結果を示す写真である。図4に示すように、komham196は、エスクリン(ESC)、塩酸リジン(LDC)、およびゼラチン(GEL)代謝活性を有し、エステラーゼ活性、リジンデカルボキシラーゼ活性、およびゼラチナーゼ活性を有することがわかった。
【0077】
【表4】
【0078】
図5は、API(登録商標)ZYMを用いた、前記細菌第二段階試験の結果を示す写真である。上記表4は、前記細菌第二段階試験の結果を示す表である。図5および上記表4に示すように、komham196は、エステラーゼ活性、エステラーゼリパーゼ活性、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ活性を有することがわかった。
【0079】
(8)形態観察
komham196について、形態観察を行った。具体的には、電子顕微鏡を用いて、komham196の形態観察を行った。透過電子顕微鏡(TEM)による観察に用いるために、PYA(pH9)液体培地を用いてkomham196を培養した。前記培養後、懸濁液の小滴をカーボン膜上に置き、2%酢酸ウラニルを用いてネガティブ染色を行った。前記染色後、TEM(modelJEM-1400Flash;JEOL社製)を用いて、100kVの電圧で観察を行った。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察に用いるために、PYA(pH9)液体培地を用いてkomham196を培養した。前記培養後、2%グルタルアルデヒドを用いて前固定を行った。前記前固定後、2%四酸化オスミウルを用いて後固定を行った。前記後固定後、0.1mol/l リン酸緩衝液を用いて洗浄を行った。前記洗浄後、段階的な濃度のエタノール(30-100%)を用いて脱水を行った。前記脱水後、臨界点乾燥により、試料を乾燥させた。前記乾燥後、試料をオスミウルコーティングした。その後、SEM(model JSM-7500F; JEOL社製、20,000倍)を用いて、5kVの電圧で観察を行った。これらの結果を図6に示す。
【0080】
図6は、電子顕微鏡を用いたkomham196の形態観察の結果を示す写真である。図6(A)は、SEMによるkomham196の形態観察の結果を示す写真であり、図6(B)は、TEMによるkomham196の形態観察の結果を示す写真である。図7中のスケールバーは、1μmを示す。図6に示すように、komham196は、鞭毛を有する桿菌であることがわかった。
【0081】
(9)ゲノムDNAの塩基配列の決定
komham196について、ゲノムDNAの塩基配列の決定を行った。具体的には、まず、komham196のゲノムDNAの抽出を行った。前記抽出には、Genomictip 20G(QIAGEN社製)を使用した。前記抽出後、SMRTbell Express Template Prep Kit 20(PacBio社製)を用いて、Procedure Checklist-Preparing HiFi Libraries from Low DNA Input Using SMRTbell(登録商標)Express Template Prep Kit 2.0に記載の手順に従って、ライブラリーを調製した。前記調製後、Binding kit 2.2(PacBio社製)を用いて、前記ライブラリーのポリメラーゼ複合体を形成させた。前記形成後、Sequel IIe(PacBio社製)を用いて、シーケンシングを行った。その後、SMRT(登録商標) Link(v. 11.0.0.146107)を用いて、得られた配列からアダプター配列を除去し、サブリードを作製した。前記作製後、前記サブリードをアライメントしたコンセンサス配列を作製した。前記作製後、1リードあたりの平均品質値が20未満のコンセンサス配列を除去し、HiFiリードを作製した。前記作製後、Filtlong(ver. 0.2.1)を用いて1000塩基以下のHiFiリードを削除した。前記削除後、Flye(ver. 2.9-b1774)のデフォルト条件を用いて、高品質のHiFiリードをアセンブルした。この結果、komham196のゲノムDNAは、塩基配列2からなることがわかった。
【0082】
(10)ゲノム塩基配列のANI解析
komham196について、さらに、新種の微生物であることを確かめるために、ANI解析を行った。具体的には、前記実施例1(1)で得られた塩基配列について、pyani v0.2.11およびBLASTを用いて(参考文献7)、ANI値を決定した。これらの結果を図7に示す。
参考文献7:Pritchard, Leighton, et al. "Genomics and taxonomy in diagnostics for food security: soft-rotting enterobacterial plant pathogens." Analytical Methods 8.1 (2016): 12-24.
【0083】
図7は、ANI解析の結果を示す。図7に示すように、komham196のゲノムDNAの塩基配列に最も同一性の高いゲノムDNAでも、95%未満の同一率であった。これらの結果から、komham196は、公知の菌種に属する微生物ではなく、新種の微生物であることが確認された。
【0084】
(11)コンポスト中における基質利用性評価
komham196について、コンポスト中での基質利用性を検討した。具体的には、121℃、20分間の条件下で、単離源のコンポストのオートクレーブ滅菌処理を2回行った。前記滅菌処理により、前記コンポストに生息する微生物を滅菌した。つぎに、前記実施例1(1)で得たkomham196を、80mlのPYA液体培地に植菌し、48時間の条件下で、培養を行った。前記培養後、8000rpm、5分間の条件下で、遠心分離を行った。前記遠心分離後、上清を除き、集菌を行った。前記集菌後、滅菌水を用いて、2回洗浄を行った。前記洗浄後、3mlの滅菌水を用いて懸濁した。その後、下記表5に示すようにサンプルを50mlチューブに作製し、50℃、48時間の条件下で、静置培養を行った。前記静置培養後、各サンプルのDNA量を測定した。この結果、サンプル3~6では、菌体の増殖が確認できた。これらの結果から、komham196は、キチン、デンプン、およびカゼインの資化能を有することがわかった。
【0085】
【表5】
【0086】
(12)増殖試験
前記実施例1(11)の結果から、komham196は、キチン、デンプン、またはカゼインを資化できることがわかったため、さらに、微生物の増殖試験を行った。具体的には、前記実施例1(11)で得た静置培養後の各サンプルから250mgを採取した。前記採取後、NucleoSpin(登録商標) Soil(タカラバイオ社製)を用いて、DNAの抽出を行った。前記抽出後、前記DNAについて、Qubit dsDNA BR kit (ThermoFisher Scientific社製)およびQubit 4 Fluorometer(ThermoFisher Scientific社製)を用いて定量を行った。これらの結果を、図8に示す。
【0087】
図8は、増殖試験の結果を示すグラフである。図8に示すように、キチン、デンプン、またはカゼインを添加したサンプルでは、培養開始前(0時間)と比較して、48時間後ではDNA量が増加していることがわかった。これらの結果から、komham196は、キチン、デンプン、およびカゼインの資化能を有することが確認できた。
【0088】
以上、実施形態および実施例を参照して本開示を説明したが、本開示は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0089】
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
バチルス科(Bacillaceae)に属し、
受託番号NITE BP-03807で寄託されている、微生物。
(付記2)
付記1に記載の微生物の変異株である、微生物。
(付記3)
前記変異株は、16S rRNA遺伝子として、下記(R)の塩基配列からなる遺伝子を含む、付記2に記載の微生物:
(R)下記(R1)、(R2)、または(R3)の塩基配列
(R1)配列番号1に示す塩基配列;
(R2)配列番号1に示す塩基配列において、1~58個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列;
(R3)配列番号1に示す塩基配列において、96%以上の同一性を有する塩基配列。
(付記4)
前記変異株は、下記(1)~(7)および(8)からなる群から選択される少なくとも1つの特性を有する、付記2または3に記載の微生物:
(1)グラム染色が陽性の桿菌であり、芽胞形成をする;
(2)生育温度が、30~55℃である;
(3)生育pHが、9~10である;
(4)カタラーゼ反応が、陽性である;
(5)オキシダーゼ反応が、陽性である;
(6)D-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、L-キシロース、D-フルクトース、L-ソルボース、アミグダリン、D-マルトース、D-ツラノース、D-リキソース、D-タガトース、2-ケトグルコン酸カリウム、および/または、5-ケトグルコン酸カリウムの代謝活性を有する;
(7)エスクリン、塩酸リジン、および/または、ゼラチン代謝活性を有する;
(8)エステラーゼ活性、リジンデカルボキシラーゼ活性、ゼラチナーゼ活性、エステラーゼリパーゼ活性、および/または、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ活性を有する。
(付記5)
さらに、下記(9)の特性を有する、付記4に記載の微生物:
(9)キチン、でんぷん、および/または、カゼインの資化能を有する。
(付記6)
前記変異株は、配列番号2で示す塩基配列に対して、ANI値74%以上を有するゲノムDNAを含む、付記2から5のいずれかに記載の微生物。
<微生物>
(付記7)
バチルス科(Bacillaceae)に属し、
16S rRNA遺伝子として、下記(R)の塩基配列からなる遺伝子を含む、微生物:
(R)下記(R1)、(R2)、または(R3)の塩基配列
(R1)配列番号1に示す塩基配列;
(R2)配列番号1に示す塩基配列において、1~58個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列;
(R3)配列番号1に示す塩基配列に対して、96%以上の同一性を有する塩基配列。
(付記8)
下記(1)~(8)および(9)からなる群から選択される少なくとも1つの特性を有する、付記7に記載の微生物:
(1)グラム染色が陽性の桿菌であり、芽胞形成をする;
(2)生育温度が、30~55℃である;
(3)生育pHが、9~10である;
(4)カタラーゼ反応が、陽性である;
(5)オキシダーゼ反応が、陽性である;
(6)D-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、L-キシロース、D-フルクトース、L-ソルボース、アミグダリン、D-マルトース、D-ツラノース、D-リキソース、D-タガトース、2-ケトグルコン酸カリウム、および/または、5-ケトグルコン酸カリウムの代謝活性を有する;
(7)エスクリン、塩酸リジン、および/または、ゼラチン代謝活性を有する;
(8)エステラーゼ活性、リジンデカルボキシラーゼゼラチナーゼ、エステラーゼリパーゼ活性、および/または、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ活性を有する;
(9)キチン、でんぷん、および/または、カゼインの資化能を有する。
(付記9)
配列番号2で示す塩基配列に対して、ANI値74%以上を有するゲノムDNAを含む、付記7または8に記載の微生物。
<特性>
(付記10)
バチルス科(Bacillaceae)に属し、
下記(1)~(9)の特性を有する、微生物:
(1)グラム染色が陽性の桿菌であり、芽胞形成をする;
(2)生育温度が、30~55℃である;
(3)生育pHが、9~10である;
(4)カタラーゼ反応が、陽性である;
(5)オキシダーゼ反応が、陽性である;
(6)D-アラビノース、D-リボース、D-キシロース、L-キシロース、D-フルクトース、L-ソルボース、アミグダリン、D-マルトース、D-ツラノース、D-リキソース、D-タガトース、2-ケトグルコン酸カリウムおよび/または5-ケトグルコン酸カリウム、および/または、5-ケトグルコン酸カリウムの代謝活性を有する;
(7)エスクリン、塩酸リジン、および/または、ゼラチン代謝活性を有する;
(8)エステラーゼ活性、リジンデカルボキシラーゼゼラチナーゼ、エステラーゼリパーゼ活性、および/または、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ活性を有する;
(9)キチン、でんぷん、および/または、カゼインの資化能を有する。
(付記11)
バチルス科(Bacillaceae)に属し、
配列番号2で示す塩基配列に対して、ANI値74%以上を有するゲノムDNAを含む、付記10に記載の微生物。
<用途>
(付記12)
付記1から11のいずれかに記載の微生物を含む、生ゴミの分解に用いるための組成物。
(付記13)
付記1から11のいずれかに記載の微生物を含む、多糖および/またはタンパク質の分解に用いる組成物。
(付記14)
付記1から11のいずれかに記載の微生物を含む、キチン、デンプン、および/またはカゼインの分解に用いる組成物。
<方法>
(付記15)
付記1から11のいずれかに記載の微生物と、生ゴミとを接触させ、前記微生物により生ゴミを分解する工程を含む、生ゴミ処理方法。
(付記16)
前記分解を、30℃~55℃の温度下で実施する、付記15に記載の処理方法。
(付記17)
前記分解を、pH9~10の条件下で実施する、付記15または16に記載の処理方法。
(付記18)
前記生ゴミは、甲殻類の外骨格、魚、肉、および米からなる群から選択される、付記15から17のいずれかに記載の処理方法。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、本開示によれば、キチンおよびデンプン等の多糖、ならびに/または、カゼイン等のタンパク質等を分解可能な新規微生物を提供できる。このため、本発明は、例えば、廃棄物処理等の分野において、極めて有用といえる。

【要約】
【課題】 キチンおよびデンプン等の多糖、ならびに/または、カゼイン等のタンパク質等を分解可能な新規微生物を提供する。
【解決手段】 本開示の微生物は、バチルス科(Bacillaceae)に属し、
受託番号NITE BP-03807で寄託されている。
【選択図】 図6

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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