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  • 特許-箱詰め装置及び箱詰め方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】箱詰め装置及び箱詰め方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/10 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
B65B5/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019036516
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020138774
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】平澤 勝人
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-182976(JP,A)
【文献】特開2000-085717(JP,A)
【文献】特開平08-080903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製品からなる製品群を一括して包装箱に収納する箱詰め装置であって、
前記複数の製品の上面にそれぞれ接触して吸着保持する複数の吸着部と、
その複数の吸着部を備える保持部を移動し、前記吸着保持した前記製品群を前記包装箱内に移動する移動手段と、を備え、
前記複数の吸着部のうち、両サイド以外に配置された少なくとも一つの吸着部が、別の吸着部に対して相対的に上昇移動可能に構成し、
前記少なくとも一つの吸着部が上昇移動した際に、前記別の吸着部で吸着保持された前記製品の下方部位を内側に向けて幅寄せする幅寄せ手段を備え、
前記幅寄せ手段は、前記製品群の両サイドに接触可能な一対のガイド部材を備え、
その一対のガイド部材の下方が接近するように傾くことで、その一対のガイド部材の間に挟まれる前記別の吸着部で吸着保持された前記製品の下方部位を内側に向けて幅寄せするように構成することを特徴とする箱詰め装置。
【請求項2】
前記一対のガイド部材は、駆動手段の駆動を受けて開いた姿勢と閉じた姿勢をとり、その閉じた姿勢のときに前記一対のガイド部材の下方が接近するように傾く構成になり、
前記駆動手段の駆動を受けずにフリーな場合に前記一対のガイド部材が自重による吊り下げられた状態になるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の箱詰め装置。
【請求項3】
複数の製品からなる製品群を一括して包装箱に収納する箱詰め方法であって、
前記複数の製品の上面にそれぞれ吸着部を接触させると共に吸着保持し、
前記複数の吸着部のうち、両サイド以外に配置された少なくとも一つの吸着部を別の吸着部に対して相対的に上昇移動し、その上昇移動した前記吸着部に吸着保持される前記製品を持ち上げて前記製品群内にスペースを作り、
そのスペースを利用して前記別の吸着部で吸着保持された前記製品の下方部位を内側に向けて幅寄せして前記製品群の下方の寸法を狭め、
その幅寄せした状態で、前記製品群を前記包装箱内に収納し、
前記製品群を前記包装箱に挿入したら持ち上げていた製品を押し込み、元の状態に戻すことを特徴とする箱詰め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱詰め装置及び箱詰め方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の製品を、包装箱に箱詰めする箱詰め装置として、従来、特許文献1に開示されたものがある。この箱詰め装置は、ロボットアームの先端に取り付けた吸着ヘッドに備えた複数の吸引ノズルを用い、複数の横並びに整列した製品(小箱)を一括して吸着保持し、ロボットアームが適宜の軌跡で吸着ヘッドを移動させ、吸着保持した製品群をまとめて包装箱(外箱)に収納するものである。
【0003】
特許文献1のように、吸着ヘッドに複数の小箱のそれぞれの上面を吸着保持した状態で吊り下げ保持すると、複数の小箱からなる製品群の下端側がフリー状態となるため、製品群12の側面が、外にふくらむように開いた姿勢となり、そのままでは、包装箱内へのスムーズな供給ができなくなる。そこで特許文献1に開示された箱詰め装置は、吸着ヘッドの下端周縁の所定の角部に下方に延びるガイドフレームを設け、ガイドフレームにて製品群の角を抑え、個々の小箱が広がらずに整列した状態で包装箱に挿入する機構を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-84332
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の製品を包装箱に箱詰めする場合、輸送効率の観点等から、収納した複数の製品の製品群と包装箱の内周面との間にできるだけ隙間ができないように入れることが好まし い。このような隙間がないタイトな箱詰めをする場合、一度に複数製品をまとめて入れようとすると、例えば特許文献1のようにガイドフレームを設けて製品群が広がらないようにしても、広がりをゼロにするのは難しく、また、例えば包装箱の開口部の四隅がそれぞれ綺麗に直角に広がっていない場合には、製品群の端に位置する製品の下端と包装箱の上端縁が干渉するおそれが生じる。
【0006】
さらに包装箱は、一般に展開状態のカートンブランクを適宜折り曲げて組み立てていき、例えば側壁面を構成する部分は細長なシートを胴巻き状態にし、先端同士を一方に設けたフラップに糊付して貼り合わせて形成する。このフラップは、通常、包装箱の内周面側に位置する。よって、包装箱の内周面は、接続用のフラップが位置する部分はフラップの厚さ分だけ内側に突出し狭くなる。そして、包装箱を段ボールを用いて形成すると、フラップの厚さも無視できなくなり、例えば製品群の幅寸法と、包装箱の収納空間の幅寸法を等しく設定すると、フラップを設けた箇所では製品群の幅寸法よりも収納空間の幅寸法が狭くなり、その部分での製品群と包装箱、特にフラップとの干渉は避けられない。
【0007】
その結果、特許文献1のような箱詰め装置を用いて複数の製品を纏めて包装箱内に収納しようとすると、所定の製品と包装箱とが強く接触することとなり、製品の表面に擦りキズができたり、例えば製品がモナカアイス等ダメージを受けやすいものだと、破損して不良品になったりしてしまう。
【0008】
そのため、タイトな包装箱に対して箱詰めするためには、人手による箱詰め作業が必須となり、単位時間当たりの処理数の増加に限界があり、作業所の労力の負担も増してしまう。また、箱詰め装置を用いる場合には、包装箱のサイズを製品群に対して少し余裕を持たせて広くする必要があり、輸送効率が低下するという事態を生じる。
【0009】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の箱詰め装置は、(1)複数の製品からなる製品群を一括して包装箱に収納する箱詰め装置であって、前記複数の製品の上面にそれぞれ接触して吸着保持する複数の吸着部と、その複数の吸着部を備える保持部を移動し、前記吸着保持した前記製品群を前記包装箱内に移動する移動手段と、を備え、前記複数の吸着部のうち、両サイド以外に配置された少なくとも一つの吸着部が、別の吸着部に対して相対的に上昇移動可能に構成し、前記少なくとも一つの吸着部が上昇移動した際に、前記別の吸着部で吸着保持された前記製品の下方部位を内側に向けて幅寄せする幅寄せ手段を備え、前記幅寄せ手段は、前記製品群の両サイドに接触可能な一対のガイド部材を備え、その一対のガイド部材の下方が接近するように傾くことで、その一対のガイド部材の間に挟まれる前記別の吸着部で吸着保持された前記製品の下方部位を内側に向けて幅寄せするようにした。
【0011】
本発明によれば、複数の吸着部がそれぞれ製品を吸着保持することで、複数の製品からなる製品群を一括して保持する。その状態で、所定の吸着部が別の吸着部に対して相対的に上昇移動すると、それに追従して当該所定の吸着部が吸着保持している製品も上昇移動し、製品群内の下方に当該上昇移動した製品が位置していた部分にスペースが形成される。なお、係る製品の上昇移動は、製品群から抜け出ない範囲、すなわち、製品の下方が製品群内に位置した状態で行う。そこで、幅寄せ手段により上昇移動しなかった製品に対して幅寄せすると、製品群の下端の幅が狭くなるので、例えば製品群の外形寸法形状と包装箱の内形寸法形状とがほぼ等しいタイトな包装箱に対しても幅寄せした製品群をスムーズに挿入することができる。そして、例えば、幅寄せした製品群を包装箱の奥まで供給した状態で相対的に上昇移動させていた製品を、スペース内に押し込むと、当該製品は周囲の製品を押しのけて進入し、一旦空けたスペースを埋め、整列した製品を包装箱内に収納できる。なお、移動手段は、実施形態ではロボットアーム装置に対応する。
【0012】
記幅寄せ手段は、前記製品群の両サイドに接触可能な一対のガイド部材を備え、その一対のガイド部材の下方が接近するように傾くことで、その一対のガイド部材の間に挟まれる前記別の吸着部で吸着保持された前記製品の下方部位を内側に向けて幅寄せするように構成すると、簡単な構成で確実に複数の製品に対する幅寄せを行うことができる。
【0013】
(2)前記一対のガイド部材は、駆動手段の駆動を受けて開いた姿勢と閉じた姿勢をとり、その閉じた姿勢のときに前記一対のガイド部材の下方が接近するように傾く構成になり、前記駆動手段の駆動を受けずにフリーな場合に前記一対のガイド部材が自重による吊り下げられた状態になるように構成するとよい。このようにすると、例えば駆動手段を動作させ、ガイド部材を開閉することで、製品群を両サイドから容易に挟み込み、幅寄せすることができると共に、ガイド部材をフリーな状態にすることで、包装箱内からスムーズに抜き取ることができるので良い。
【0014】
記幅寄せ手段は、前記吸着部の吸着面の向きを水平状態から傾ける機構とするとよい。このようにすると、ガイド部材を設けなくて良くなり、製品に対して横から付勢することなく幅寄せできる。吸着面は、実施形態では吸着ヘッドの下面に対応する。
【0015】
(3)本発明の箱詰め方法は、複数の製品からなる製品群を一括して包装箱に収納する箱詰め方法であって、前記複数の製品の上面にそれぞれ吸着部を接触させると共に吸着保持し、前記複数の吸着部のうち、両サイド以外に配置された少なくとも一つの吸着部を別の吸着部に対して相対的に上昇移動し、その上昇移動した前記吸着部に吸着保持される前記製品を持ち上げて前記製品群内にスペースを作り、そのスペースを利用して前記別の吸着部で吸着保持された前記製品の下方部位を内側に向けて幅寄せして前記製品群の下方の寸法を狭め、その幅寄せした状態で、前記製品群を前記包装箱内に収納し、前記製品群を前記包装箱に挿入したら持ち上げていた製品を押し込み、元の状態に戻すようにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、製品にダメージを与えることなくタイトな箱詰めができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る箱詰め装置の好適な一実施形態を示す図である。
図2】本発明に係る箱詰め方法の好適な一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
図1は、本発明に係る箱詰め装置の好適な一実施形態における要部を示している。箱詰め装置10は、複数の製品11をそれぞれ起立させた姿勢で横一列に配列してなる製品群12を、一度にまとめて段ボールからなる包装箱13に収納するものである。製品11は、例えばモナカアイスの包装体であり、その外形状が概略矩形状となっている。所定温度で冷凍されており、ある程度の硬さを有し、その概略矩形状の形態を維持する。また本形態では、5個の製品11を横一列に並べた姿勢からなる製品群12を、包装箱13に収納する。
【0020】
本形態の箱詰め装置10は、ロボットアーム装置からなる。このロボットアーム装置は、図示省略するロボット本体と、そのロボット本体に連携された多軸のロボットアーム18と、ロボットアーム18の先端に取付けられた保持部20を備える。保持部20は、支持台21と、その下面に配置され、各製品11を吸着する複数の吸引ノズル22と、吸引ノズル22に保持された複数の製品11からなる製品群12の両サイドに接触可能な一対のガイド部材24を備える。ガイド部材24は、平板を用いると良く、肉薄の平板とするとより好ましい。このように、平板とくに肉薄のものを用いると、後述する製品群12の包装箱25内への供給処理並びにガイド部材24の抜き取り処理がよりスムーズに行えるので良い。
【0021】
ガイド部材24は、支持台21に所定の連結部材を介して取り付けてもよいが、必ずしも支持台21に取り付ける必要は無く、別の機構に支持させても良い。別の機構による支持は、ロボットアーム18に連係させても良いし、別のロボットアームその他の機器等に連係させても良いが、同じロボットアーム18に連係させるとガイド部材24の移動などの制御が容易になるのでよい。ガイド部材24の連係機構は、ガイド部材24を支持台21ひいては吸引ノズル22に対して相対的に昇降移動可能に取り付けると良い。
【0022】
ガイド部材24は、左右一対からなり、上方付近を回転中心として所定角度範囲内で正逆回転するように構成される。より具体的には、ガイド部材24が支持台21の下面に対して直交する方向に垂下する第一姿勢と、その第一姿勢から互いに下端が外側に離反移動し、一対のガイド部材24が開いた第二姿勢と、第一姿勢から互いに下端が内側に接近移動し、一対のガイド部材24が閉じた第三姿勢の間を適宜遷移するように構成する。また第一姿勢にある一対のガイド部材24間の間隔は、製品群12の幅とほぼ等しくしている。
【0023】
一対のガイド部材24は、例えば2ポートの開放型の電磁弁を用いたシリンダ駆動により上述した3つの姿勢を遷移するように構成すると良い。すなわち、図示省略するシリンダのシリンダロッドを直接或いは所定のリンク機構等の動力伝達機構を介してしてガイド部材24の上方所定位置に連携する。そして、シリンダロッドの往復動作に伴いガイド部材24が所定角度範囲内で正逆回転する。また電磁弁を用いて姿勢制御は、例えば2ポートを開放してフリーにするとガイド部材24は自重によりまっすぐに垂下し第一姿勢になり、エアの入れる方向を切り替えることで、第二姿勢と第三姿勢に切り替える。
【0024】
複数の吸引ノズル22は、それぞれの上端が支持台21に固定されて下端の吸着ヘッド22aが吊り下げられた状態で、一列に整列した姿勢で装着される。さらに、吸引ノズル22は、例えば振り子のように少なくとも整列した方向に所定角度範囲内で振れ、吸着ヘッド22aの位置・向きが変位可能に構成される。これにより、吸引ノズル22は、その下端の吸着ヘッド22aが製品11の上面に接触して吸着保持し、製品11の自重も相まって、当該製品11は、吸引ノズル22の下で垂下するように吊り下げ保持される。そして、吸引ノズル22は、それ自体及びまたは支持台21との接続部位等が所定角度範囲内で吸引ノズル22が振れるようになっているため、例えば上述したように吊り下げ保持した製品11に対して例えば横方向に付勢力が係ると、製品11はその付勢力に従って横に変位し、その横方向の変位につれて吸引ノズル22が傾くように変位する。
【0025】
複数の吸引ノズル22のうち、所定の少なくても一つの吸引ノズル22は、他の吸引ノズル22と相対的に昇降移動するように構成する。本形態では、製品群12を構成する製品11は5個のため、吸引ノズル22も5本とし、相対的に昇降移動する吸引ノズル22は、両側から共に3本目の中央の吸引ノズル22としている。昇降移動する吸引ノズル22は、相対的に下降移動させた下降位置にあるとき、その吸着ヘッド22aは他の吸引ノズル22の吸着ヘッド22aと略同一高さに位置し、相対的に上昇移動させた上方位置にあるとき、その吸着ヘッド22aは他の吸引ノズル22の吸着ヘッド22aよりも高い位置に位置する。
【0026】
以下、上述した構成の箱詰め装置10を用いた複数の製品11からなる製品群12の包装箱13内への箱詰め方法の好適な一実施形態を説明する。箱詰め装置10の制御装置は、係る箱詰め処理をすべく、各装置・機器が所定の動作するように制御する。
【0027】
まず、個々の製品11は、図示省略の上流側の搬送装置にて搬送され、所定位置に設けられた製品揃え装置にて所定数(ここでは、5個)の製品11が起立した状態で隣接する製品11同士を接触させて製品群12を形成し、供給待機位置に位置する。箱詰め装置10は、ロボットアーム18を所定の軌道で動作させ、この供給待機位置で待機している製品群12の上方に、ロボットアーム18の先端に取り付けた保持部20を対向位置させる。 このときの保持部20は、シリンダを駆動してガイド部材24を開いた第二姿勢にする(図2(a)参照)。
【0028】
次いで、ロボットアーム18を動作させ、保持部20を下降移動して各吸引ノズル22の吸着ヘッド22aを、それぞれ対向する製品11の上面に接触させると共に吸引を開始して各吸引ノズル22がそれぞれ対応する製品11を吸着保持する。また、2ポート電磁弁を開放してガイド部材24をフリー状態にし、自重により第一姿勢に遷移させる。これにより、図2(b)に示すように、ガイド部材24が製品群12の両サイドに接触して製品群12の下方が外に広がるのを抑止する。
【0029】
次に、中間に位置する所定の吸引ノズル22,この例では両側から3番目の中央の吸引ノズル22を上昇移動する。これに伴い、当該上昇した吸引ノズル22に吸着保持されている中央の製品11が、他の製品と比較して相対的に上昇移動する(図2(c)参照)。このときの上昇移動量は、製品11の高さの半分以上で全長よりは短い距離とする。これにより、相対的に上昇移動した製品11の下面は、製品群12の高さの1/2よりも高い位置に移動するが、製品群12の上面に達せず離脱はしない高さに位置する。このように真ん中の製品11が上昇移動したことにより、製品群12の下方中央にはスペースSが形成される。
【0030】
次いで、電磁弁を操作してシリンダを駆動させ、ガイド部材24を閉じる方向に動作させ、第三姿勢に変位する(図2(d)参照)。これにより、製品群12を構成する両サイドの製品11がガイド部材24により、共に中央に向けて付勢される。この付勢力により、上昇移動しない各製品11は、中央のスペースSに向けて幅寄せされ、下方が中央に寄るように傾斜した姿勢になる。よって、製品群12の下端の幅が縮まる。
【0031】
次いで、ロボットアーム18が動作し、幅寄せされた姿勢の製品群12を、上方開口した包装箱25の直上に位置させる。なお、上述した製品11の上昇移動並びに、幅寄せ処理は、製品群12を包装箱25の上方に位置させ、後述の製品群12を包装箱25内に挿入するまでの所定のタイミングで行えば良い。さらに、係る処理は、ロボットアーム18が静止した状態で行っても良いし、移動・動作中に行っても良い。
【0032】
そして、保持部20を下降移動し、製品群12の下端側を包装箱25内に挿入する(図2(e)参照)。この挿入の際、製品群12の下方部位は中央に幅寄せされて、包装箱25の幅よりも狭くなっているので、スムーズに包装箱25内にスムーズに入る。
【0033】
さらに、製品群12の下方部位が包装箱25内に進入したら、適宜のタイミングで2ポート電磁弁を開放し、ガイド部材24を自重により第一姿勢に遷移させる。このようにガイド部材24がフリーとなって吊り下がった状態にする。そして、ロボットアーム18が動作し、支持台21ひいては吸引ノズル22をさらに下降移動し製品群12を包装箱25の底部まで挿入する(図2(e)参照)。この製品群12の下降移動の際に、ガイド部材24を上昇移動させ包装箱25の外に位置させると良い。例えば製品群12の下方部位を包装箱25内に挿入する工程を行った際に、ガイド部材24の下端も包装箱25内に進入したとしても、フリー状態になってまっすぐに吊り下げられた状態のガイド部材24は、製品群12と包装箱25の内壁との間に位置していても、スムーズに上方に向けて抜き取ることができる。このガイド部材24の引き上げ処理のタイミングは、製品群12が包装箱25の奥まで挿入した後で行っても良いが、製品群12の下方部位がある程度包装箱25内に挿入されたタイミングで行うと、製品群12と包装箱25間の接触抵抗が少ない状態で引き上げるためよりスムーズに抜けて良い。また、ガイド部材24を早目に引き上げることでガイド部材24の厚み分の余裕ができるため、製品群12を包装箱25に挿入しやすくなる。
【0034】
そして、先行して挿入した製品11の下面が包装箱25の底面に接すると共に、ガイド部材24が包装箱25の外に抜け出た状態で、中央の吸引ノズル22を下降移動し、一旦引き上げた真ん中の製品11を押し込む。これにより、真ん中の製品11は、周囲の製品11を押しのけて進入する。本形態では、製品11は冷凍されたモナカアイスであり、ある程度の強度を有する共に、製品の表面は包装フィルムで覆われて接触抵抗が低いことも相まって、スムーズに入り込む。先行して挿入された両側の計4個の製品11は、押し込まれてくる真ん中の製品11に進入に伴いその下方が外側に押し広げられ、包装箱25の内周面に接近する。
【0035】
そして、真ん中の製品11を下まで押し込むと、製品群12を構成する5つの製品11の外形寸法形状は、包装箱25の内形寸法形状とほぼ一致し、内部に綺麗に収まる。また、包装箱25の内周面の4角のうちの一箇所には、貼付け用のフラップが存在しているが、製品群12の全体の包装箱25内への挿入時は、製品が幅寄せされているためフラップに対向する製品との間にも隙間が確保され、挿入時にフラップに触れて表面に傷などついたり、ましてや製品が損傷したりすることもなくスムーズに挿入される(図2(f)参照)。そして、製品11が外側に押し広げられるが、フラップに対向した製品の表面はフラップ全体に対して面接触するが、製品が損傷したり、製品の表面に擦りキズが付いたりすることもない。よって、製品群12の外形寸法と、包装箱25の内形寸法との差がほぼないタイトな包装箱に対しても、箱詰め装置を用いて自動的に製品群を収納することができる。
【0036】
上述した実施形態では、製品群12の両サイドを抑え、幅寄せするガイド部材24を設けたが、本発明は必ずしもガイド部材を設ける必要は無く、ガイド部材を設けない構成としても良い。その場合、例えば吸引ノズル22の吸着ヘッド22aをリンク機構等に連係し、吸着ヘッド22aの姿勢を傾けるようにすると良い。このようにすると、製品11の上面に吸着ヘッド22aが吸着されていて、製品11の上面と吸着ヘッド22aの吸着面は面一になっているため、吸着ヘッド22aを傾けることで、製品11の上面ひいては製品11が傾く。よって、ガイド部材24による幅寄せと同様の効果が発揮する。但し、ガイド部材24を設け、ガイド部材24により製品を幅寄せする方が、簡単な構成でしかも一括して各製品を幅寄せできるのでよい。
【0037】
また、上述した実施形態では、幅方向の中央の製品を持ち上げたが、持ち上げる製品は必ずしも中央でなくても良く、片側にずれていても良く外側から2番目などでもよい。但し、中央の方が均等に幅寄せできるので、バランスも良く好ましい。
【0038】
また、上述した実施形態では、製品11は、袋体で個包装されたモナカアイスとしたが、本発明はこれに限ることはなく、製品(個包装の場合には収納された物品)や箱体などある程度の強度があるものであればよい。
【0039】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0040】
1 :従来特許文献
2 :製品群
10 :箱詰め装置
11 :製品
12 :製品群
13 :包装箱
18 :ロボットアーム
20 :保持部
21 :支持台
22 :吸引ノズル
22a :吸着ヘッド
24 :ガイド部材
図1
図2