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特許7300149紙片積層体形成装置および紙片積層体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】紙片積層体形成装置および紙片積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/105 20060101AFI20230622BHJP
   B65H 45/16 20060101ALI20230622BHJP
   B65H 45/24 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B65H45/105 B
B65H45/16
B65H45/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019038394
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2020142870
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】391054453
【氏名又は名称】川之江造機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 旭
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207827530(CN,U)
【文献】特開2006-193266(JP,A)
【文献】特開平10-101264(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106672687(CN,A)
【文献】特開昭60-077045(JP,A)
【文献】特開平09-058928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/105
B65H 45/16
B65H 45/20
B65H 45/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断紙片を折って積載することで紙片積層体を形成する紙片積層部と、
前記紙片積層体を水平面内で動作させ装置外へ搬送する搬送部と、を備え、
前記紙片積層体の最上部に位置する最上紙片は、二つ折りにされた上紙部および下紙部の対により構成されているとともに、
前記上紙部は、前記下紙部と隣接する元半部と、該元半部と隣接し、前記下紙部とは反対側に位置している端半部と、により構成され、
前記搬送部には端部折り設備が備えられ、
該端部折り設備が、前記上紙部を折り、
前記上紙部の端側に位置する前記端半部を、前記元半部の下側に位置させ
前記端部折り設備は、
前記元半部を吸引し、該元半部を起立させるターンプレートと、
該元半部が起立したときに、垂れ下がった状態の前記端半部を前記元半部に対し平行に重ねる重ねプレートと、
該重ねプレートにより押さえつけられた前記上紙部に、前記端半部と前記元半部との間の折り目を形成するためのプッシャと、を備えている、
ことを特徴とする紙片積層体形成装置。
【請求項2】
前記端部折り設備は、
前記元半部が起立したときに、前記端半部を垂れ下がった状態にするためのエア供給部を設けている、
ことを特徴とする請求項に記載の紙片積層体形成装置。
【請求項3】
紙片積層体の製造方法であって、
前記紙片積層体の最上部に位置する最上紙片は、二つ折りにされた上紙部と下紙部との対により構成されているとともに、
前記上紙部は、前記下紙部と隣接する元半部と、該元半部と隣接し、前記下紙部とは反対側に位置している端半部と、により構成され、
前記紙片積層体の製造方法で用いられる紙片積層体形成装置は、
切断紙片を折って積載することで紙片積層体を形成する紙片積層部と、
前記紙片積層体を水平面内で動作させ装置外へ搬送する搬送部と、を備え、
前記紙片積層部において、切断紙片を折って積層することで前記紙片積層体を形成する紙片積層体形成工程と、
前記搬送部において、前記上紙部を折って、前記端半部を前記元半部の下側に位置させる端部折り工程と、を含み、
前記端部折り工程は、
前記元半部を、ターンプレートに吸着させ起立させる元半部起立工程と、
前記元半部が起立した時に垂れ下がった状態の、前記上紙部の端側に位置する前記端半部を重ねプレートで前記元半部に対し平行に重ねる端半部重ね工程と、
前記元半部と前記端半部との間の折り目を形成する折り目形成工程と、
前記端半部を前記元半部の下側に位置させる元半部重ね工程と、を含む、
ことを特徴とする紙片積層体の製造方法。
【請求項4】
前記端半部重ね工程では、前記端半部に対してエアを吹き当てる、
ことを特徴とする請求項に記載の紙片積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙片積層体形成装置および紙片積層体の製造方法に関する。さらに詳しくは、紙片積層体の最上紙片を折って、その一部を残りの一部と重ねる端部折り装置を備えた紙片積層体形成装置、および紙片積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール状にされたウェブを巻き出しながら、ウェブの走行方向に対して垂直な方向に切断して切断紙片とし、これらの切断紙片を折ったあと積層させた製品としては、例えばティッシュペーパーがある。図12には、ティッシュペーパー製品50の断面図を示す。図12(A)は、ティッシュペーパー製品50の断面図であり、図12(B)は、理解を容易にするために、ティッシュペーパー製品50の中の紙片積層体Sの最も上に位置する最上紙片55のみを示している。なお図12(B)は、従来の装置で折ったティッシュペーパー製品50の断面図である。加えて、ティッシュペーパーは、1枚で1組となっているものと、2枚に重ねられたもので一組となっているものがあるが、理解を容易にするために図12では、2枚に重ねられたものを1本の線として表している。
【0003】
図12(A)で示すように、ティッシュペーパー製品50は、箱51の中に紙片積層体Sが収納されている。紙片積層体Sは、複数の右紙片53と、複数の左紙片54と、が積層させて形成されている。右紙片53は、矩形状の紙片を左側の面が谷になるように折られ、また左紙片54は、矩形状の紙片を右側の面が谷になるように折られている。そして、右紙片53の谷となった部分に、この右紙片53のすぐ上に位置する左紙片54の下側半分と、この右紙片53のすぐ下に位置する左紙片54の上側半分と、が位置するように、また左紙片54についてもおなじような構成となるように、紙片積層体Sは積層されている。
【0004】
図12(A)で紙片積層体Sの最も上に位置する最上紙片55の上側の端部は、図12(A)の紙面において、箱51の内部の左端に位置している。この場合、取出し口52は、図12の紙面において左右中央に位置しているので、ティッシュペーパー製品50の使用者は、ティッシュをつまみ出そうとする際に最上紙片55の端部をつまむことはできず、最上紙片55の左右中央をつまむことになる。この場合、ティッシュペーパーの1組だけをつまむことは難しく、ティッシュペーパー製品50の使用者は、複数組のティッシュペーパーをつまみ出す場合があり、この場合、ティッシュペーパーの無駄が生じる。
【0005】
図12(A)、(B)では、最上紙片55は二つ折りにされた上紙部57と下紙部56との対により構成されている。さらに図12(B)では、上紙部57は、下紙部56と隣接する元半部57bと、元半部57bと隣接し、下紙部56とは反対側に位置している端半部57aとにより構成されている。特許文献1には、ティッシュペーパーを最初から意図した組だけ取出すことが容易となるように、図12(B)で示すように、最上紙片55の上紙部57の一部、すなわち上紙部57のうち、上紙部57の端側に位置する端半部57aを、図12(B)の紙面において上側に折り返す、すなわち上紙部57の端半部57aを、上紙部57の元半部57bの上に折り返す折り返し機構が開示されている。この折り返し機構により、最上紙片55の折り目部分、すなわち端半部57aと元半部57bとの間に位置する折り目部分が、取出し口52の真下に位置するようになり、ティッシュペーパー製品50の使用者は、最上紙片55だけをつまみ出すことが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】2006-193266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、特許文献1に記載の折り返し装置では搬送中に問題が生じる。すなわち、ティッシュペーパーなどの紙片積層体Sの最上紙片55の一部を上側に折り返したものでは、折り返した部分、すなわち端半部57aの一部が搬送時に浮き上がり、搬送部のベルトなどに巻き込まれる問題がある。
また、端半部57aの一部が、搬送時に浮き上がり、箱詰めの際に意図しない形で織り込まれるという問題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、紙片積層体の最上紙片を意図したようにつまみ出すことができるとともに、紙片積層体の製造時に紙片積層体の取り扱いが容易となる紙片積層体形成装置、および紙片積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の紙片積層体形成装置は、切断紙片を折って積載することで紙片積層体を形成する紙片積層部と、前記紙片積層体を水平面内で動作させ装置外へ搬送する搬送部と、を備え、前記紙片積層体の最上部に位置する最上紙片は、二つ折りにされた上紙部および下紙部の対により構成されているとともに、前記上紙部は、前記下紙部と隣接する元半部と、該元半部と隣接し、前記下紙部とは反対側に位置している端半部と、により構成され、前記搬送部には端部折り設備が備えられ、該端部折り設備が、前記上紙部を折り、前記上紙部の端側に位置する前記端半部を、前記元半部の下側に位置させ、前記端部折り設備は、前記元半部を吸引し、該元半部を起立させるターンプレートと、該元半部が起立したときに、垂れ下がった状態の前記端半部を前記元半部に対し平行に重ねる重ねプレートと、該重ねプレートにより押さえつけられた前記上紙部に、前記端半部と前記元半部との間の折り目を形成するためのプッシャと、を備えていることを特徴とする。
発明の紙片積層体形成装置は、第発明において、前記端部折り設備は、前記元半部が起立したときに、前記端半部を垂れ下がった状態にするためのエア供給部を設けていることを特徴とする。
発明の紙片積層体の製造方法は、紙片積層体の製造方法であって、前記紙片積層体の最上部に位置する最上紙片は、二つ折りにされた上紙部と下紙部との対により構成されているとともに、前記上紙部は、前記下紙部と隣接する元半部と、該元半部と隣接し、前記下紙部とは反対側に位置している端半部と、により構成され、前記紙片積層体の製造方法で用いられる紙片積層体形成装置は、切断紙片を折って積載することで紙片積層体を形成する紙片積層部と、前記紙片積層体を水平面内で動作させ装置外へ搬送する搬送部と、を備え、前記紙片積層部において、切断紙片を折って積層することで前記紙片積層体を形成する紙片積層体形成工程と、前記搬送部において、前記上紙部を折って、前記端半部を前記元半部の下側に位置させる端部折り工程と、を含み、前記端部折り工程は、前記元半部を、ターンプレートに吸着させ起立させる元半部起立工程と、前記元半部が起立した時に垂れ下がった状態の、前記上紙部の端側に位置する前記端半部を重ねプレートで前記元半部に対し平行に重ねる端半部重ね工程と、前記元半部と前記端半部との間の折り目を形成する折り目形成工程と、前記端半部を前記元半部の下側に位置させる元半部重ね工程と、を含むことを特徴とする。
発明の紙片積層体の製造方法は、第発明において、前記端半部重ね工程では、前記端半部に対してエアを吹き当てることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、上紙部の端部折り設備が、上紙部を端半部と元半部とに折るので、紙片積層体形成装置が、端半部と元半部との間の折り目部分が左右の中央に位置する紙片積層体を製造できる。この紙片積層体では、紙片積層体の最上紙片を意図したようにつまみ出すことができる。また、端部折り設備が、端半部を元半部の下側に位置させるので、紙片積層体を搬送する際に端半部が浮き上がることを抑制でき、端半部が搬送部のベルトに絡まったり、意図しない形で織り込まれたりすることを防止できる。加えて、端部折り設備が搬送部に備えられていることにより、紙片積層部での紙片積層体の形成する作業効率を下げることがない。
また、端部折り設備が、ターンプレートで元半部を起立させたとき、垂れ下がった端半部を重ねプレートと、プッシャとで押さえるので、切断紙片がペーパータオルのように、比較的折り目が付きにくい材料であっても、端部折り工程において、確実に上紙部の端半部を、上紙部の元半部に対して平行に重ねることができる。
発明によれば、端部折り設備が、端半部を垂れ下がった状態にするためのエア供給部を設けていることにより、ペーパータオルのように、比較的折り曲がりにくい材料であっても、上紙部の端半部を確実に垂れ下がった状態にすることができる。
発明によれば、端部折り工程があることにより、上紙部の端半部と元半部との間の折り目部分が、紙片積層体の左右の中央に位置するようになり、紙片積層体の最上紙片を意図したようにつまみ出すことができる。また、端部折り工程では、端半部を元半部の下側に位置させるので、紙片積層体を搬送する際に端半部が浮き上がることを抑制でき、端半部が搬送部のベルトに絡まったり、意図しない形で織り込まれたりすることを防止できる。加えて、紙片積層体形成工程と別に端部折り工程が設けられているので、紙片積層部での紙片積層体の形成する作業効率を下げることがない。
また、端部折り工程が、ターンプレートで元半部を起立させる元半部起立工程と、垂れ下がった端半部を重ねプレートで押さえる端半部重ね工程と、折り目形成工程と、元半部重ね工程と、から構成されていることにより、切断紙片がペーパータオルのように、比較的折り目が付きにくい材料であっても、端半部重ね工程において確実に上紙部の端半部を、上紙部の元半部に対して平行に重ねることができる。
発明によれば、端半部重ね工程で、元半部に対してエアを吹き当てることにより、ペーパータオルのように、比較的折り曲がりにくい材料であっても、上紙部の端半部を確実に垂れ下がった状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る紙片積層体形成装置の端部折り設備の側面方向の断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る紙片積層部の説明用断面図である。
図3図1の搬送部を構成する端部折り設備の側面図である。
図4図1の搬送部の正面図である。
図5図1の搬送部の平面図である。
図6図1の端部折り設備の端部折り工程の説明図(A)、(B)である。
図7図1の端部折り設備の端部折り工程の説明図(C)、(D)である。
図8図1の端部折り設備の端部折り工程の説明図(E)、(F)である。
図9図1の端部折り設備の端部折り工程の説明図(G)、(H)である。
図10図1の端部折り設備の端部折り工程の説明図(I)、(J)である。
図11図1の端部折り設備の端部折り工程の説明図(K)である。
図12】ティッシュペーパー製品の断面図であり、(A)は、端部折り設備がない場合のティッシュペーパー製品50の断面図、(B)は、従来の折り返し設備が使用された場合のティッシュペーパー製品50の断面図、(C)、本願の紙片積層体形成装置で用いられている端部折り設備が使用された場合のティッシュペーパー製品50の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための紙片積層体形成装置および紙片積層体の製造方法を例示するものであって、本発明は紙片積層体形成装置および紙片積層体の製造方法を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、本稿において「平行」の表記は、実質的に平行であることを意味し、厳密に平行である必要はない。
【0013】
<第1実施形態の紙片積層体形成装置10>
本発明の第1実施形態に係る紙片積層体形成装置10は、切断紙片を折畳み、紙片積層体Sを形成する紙片積層部11と、紙片積層体Sを紙片積層体形成装置10外へ搬送する搬送部12と、を備えている。まず、紙片積層体Sを構成する切断紙片の各部の名称について説明した後、紙片積層体形成装置10を構成する各部について説明する。
【0014】
(紙片積層体S)
図12は、ティッシュペーパー製品50の断面図である。ティッシュペーパー製品50は、本稿の紙片積層体Sの一例である。上記したように、図12(A)は、端部折り設備30がない場合のティッシュペーパー製品50の断面図であり、図12(B)は、従来の折り返し装置が使用された場合のティッシュペーパー製品50の断面図であり、図12(C)は、本願の紙片積層体形成装置10で用いられている端部折り設備30が使用された場合のティッシュペーパー製品50の断面図である。図12(B)、および図12(C)は、ティッシュペーパー製品50の中の紙片積層体Sの最も上に位置する最上紙片55のみを示している。
【0015】
なお、ティッシュペーパーは、1枚で1組となっているものと、2枚に重ねられたもので一組となっているものがあるが、理解を容易にするために図12では、2枚に重ねられたものを1本の線として表している。
【0016】
図12(A)で示すように、ティッシュペーパー製品50は、箱51の中に紙片積層体Sが収納されている。紙片積層体Sは、複数の右紙片53と、複数の左紙片54と、が積層させて形成されている。右紙片53は、矩形状の紙片を左側の面が谷になるように折られ、また左紙片54は、矩形状の紙片を右側の面が谷になるように折られている。そして、右紙片53の谷となった部分に、この右紙片53のすぐ上に位置する左紙片54の下側半分と、この右紙片53のすぐ下に位置する左紙片54の上側半分が位置するように、また左紙片54についてもおなじような構成となるように、紙片積層体Sは積層されている。
【0017】
紙片積層体Sの最上部に位置する切断紙片は、最上紙片55である。図12(B)および図12(C)で示すように、この最上紙片55は、二つ折りにされた上紙部57と下紙部56との対により構成されている。そして上紙部57は、下紙部56と隣接する元半部57bと、元半部57bと隣接し、下紙部56とは反対側に位置している端半部57aと、により構成されている。すなわち、上紙部57は、端半部57aと元半部57bとを合わせた状態の紙片の一部であり、最上紙片55は、下紙部56と上紙部57とを合わせた状態の紙片である。
【0018】
本願の紙片積層体形成装置10を用いた場合、紙片積層体Sは、図12(C)で示すように、端半部57aが、元半部57bの下側に位置しているように形成される。なお、端半部57aおよび元半部57bは、厳密に上紙部57を半分にした面積を有する必要はなく、例えば端半部57aの面積が、上紙部57の30~70%の間であれば問題ない。
【0019】
(紙片積層部11)
図2は、本発明の第1実施形態に係る紙片積層体形成装置10を構成する紙片積層部11の説明用断面図である。説明用断面図であるため、紙片の積層に必要な部材を主に表している。紙片積層部11は、一続きのウェブを、そのウェブの進行方向に対して垂直に切断することで切断紙片とし、この切断紙片を、例えば図12(A)に示すティッシュペーパー製品50の紙片積層体Sのように積層して、紙片積層体Sを形成する装置である。
【0020】
紙片積層部11は、図2の上側に位置する第1ウェブW1、および第2ウェブW2として示すように、2か所からウェブの供給を受ける。これらの第1ウェブW1および第2ウェブW2は、切断紙片の種類によっては、2枚重ねになっている場合がある。まず、図2の左側に位置する第1ウェブW1について説明する。第1ウェブW1は、第1押えロール15aに巻き取られ、第1アッパーカッターロール16aと第1ロアーカッターロール17aの間を通過する際に、第1アッパーカッターロール16aの周上に設けられているカッターと、第1ロアーカッターロール17aの周上に設けられているカッターと、により切断され、切断紙片となる。この際、第1フォールディングロール18aの周上に設けられているジョーピースにより切断紙片の端縁部が挟まれ、第1フォールディングロール18aの周面上から第1フォールディングバー19aに切断紙片は受け渡される。また、第1フォールディングバー19aに受け渡される際、切断紙片は、第1ウェブW1の進行方向に垂直な折り目により2つ折りにされる。
【0021】
次に図2の右側に位置する第2ウェブW2について説明する。第2ウェブW2は、第2押えロール15bに巻き取られ、第2アッパーカッターロール16bと第2ロアーカッターロール17bの間を通過する際に、第2アッパーカッターロール16bの周上に設けられているカッターと、第2ロアーカッターロール17bの周上に設けられているカッターと、により切断され、切断紙片となる。この際第2フォールディングロール18bの周上に設けられているジョーピースにより切断紙片の端縁部が挟まれ、第2フォールディングロール18bの周面上から第2フォールディングバー19bに切断紙片は受け渡される。また、第2フォールディングバー19bに受け渡される際、切断紙片は第2ウェブW2の進行方向に垂直な折り目により2つ折りにされる。
【0022】
第1フォールディングバー19a上で2つ折りにされた切断紙片と、第2フォールディングバー19b上で2つ折りにされた切断紙片とは、エレベータフィンガ21上に、図12(A)で示すように、紙片積層体Sとして積層される。例えば、第1フォールディングバー19a上で積層された切断紙片は、図12(A)では左紙片54として表され、第2フォールディングバー19b上で積層された切断紙片は、図12(A)では右紙片53として表される。紙片積層体Sを構成する切断紙片が、あらかじめ定められた枚数に到達すると、カウントフィンガ20が紙片積層体Sの上面に打ち込まれ、第1フォールディングバー19aと、第2フォールディングバー19bから供給される切断紙片の、エレベータフィンガ21上への供給が停止し、カウントフィンガ20上へ、次の紙片積層体Sが形成される。
【0023】
エレベータフィンガ21は、エレベータバー23によってスライドポスト22に沿って上下昇降自在に設けられている。紙片積層体Sを構成する切断紙片があらかじめ定められた枚数に到達するとエレベータフィンガ21は降下し、紙片積層体Sを、搬送部12を構成する第1コンベアベルト31上に移送する。第1コンベアベルト31は図2の矢印が示す方向に回転しており、この第1コンベアベルト31上に移送された紙片積層体Sは、この第1コンベアベルト31により図2の左から右へ移送される。
【0024】
(搬送部12)
図1には、本発明の第1実施形態に係る紙片積層体形成装置10の搬送部12の側面方向からの図を示す。なお図1では、搬送部12を構成する端部折り設備30は側面方向の断面図として表されている。図3には、図4におけるIII-III矢視での、図1の搬送部12を構成する端部折り設備30の側面図を、図4には、図1におけるIV-IV矢視での搬送部12の正面図を、図5には、図1のV-V矢視での搬送部12の平面図を示す。
【0025】
搬送部12は、紙片積層体Sを、紙片積層体形成装置10の機外へ搬送するための装置である。紙片積層体Sは、例えば紙片積層体Sを、紙片積層体Sの長手方向(図1の奥行方向)に垂直な向きで切断する工程へ移送される。
【0026】
図1に示すように搬送部12は、紙片積層体Sを、第1コンベアベルト31、第2コンベアベルト45、第3コンベアベルト46の順に、図1の紙面において、左から右へ移送する。図5に示すように、第1コンベアベルト31は、図5の紙面において左右方向に10本設けられている。同じように、第2コンベアベルト45も、図5の紙面において、左右方向に10本設けられ、第3コンベアベルト46も、左右方向に10本設けられている。
【0027】
図1に示すように、搬送部12には、端部折り設備30が設けられている。この端部折り設備30は、紙片積層体Sの最上部に位置する最上紙片55の上紙部57を折り、その一部を他の一部と重ねることができる装置である。本稿の発明に係る端部折り設備30は、上紙部57を折り、この端半部57aを元半部57bの下側に位置させることができる機能を有している。
【0028】
(端部折り設備30)
上記したように、端部折り設備30は、上紙部57を折り、この上紙部57の一部である端半部57aを、上紙部57の残りの一部である元半部57bの下側に位置させることができる機能を有している。
【0029】
紙片積層体形成装置10が、上紙部57の端部折り設備30を備えていることにより、上紙部57の端半部57aと元半部57bとの間の折り目部分が、図12(C)において紙片積層体Sの左右の中央に位置するようになり、紙片積層体Sの最上紙片55を意図したようにつまみ出すことができる。また、端部折り設備30が、端半部57aを元半部57bの下側に位置させるので、紙片積層体Sを搬送する際に端半部57aが浮き上がることを抑制でき、端半部57aが後工程にあるカッターコンベアのベルトに絡まったり、意図しない形で織り込まれたりすることを防止できる。加えて、端部折り設備30が搬送部12に備えられていることにより、紙片積層部11での紙片積層体Sの形成する作業効率を下げることがない。
【0030】
図4に示すように、端部折り設備30は2つの枠体38を有している。この2つの枠体38の間には、10本の第2コンベアベルト45が設けられている。2つの枠体38には、この枠体38に対して上下に動作可能なブラケット33がそれぞれ設けられている。このブラケット33には、後述するターンプレート34、プッシャ35および重ねプレート36が結合されている。すなわちブラケット33が上下に動作することにより、ターンプレート34、プッシャ35および重ねプレート36が同時に上下に動作する。
【0031】
ブラケット33は、枠体38に設けられているアクチュエータ39により上下に動作可能となっている。上下動作の案内は、枠体38に設けられたリニアガイド39aにより行われている。リニアガイド39aのブロックのブロックサポータ39bは、ブラケット33と結合されている。
【0032】
端部折り設備30は、元半部57bを吸引するターンプレート34を備えている。このターンプレート34は、元半部57bを吸引したあと、この元半部57bを起立させる。元半部57bが起立するとは、元半部57bが、実質的に鉛直な姿勢となった状態を意味する。ターンプレート34は、図4に示すように、図4の紙面において、左右に長いプレートであるとともに、下面に吸引のための孔が設けられている。このターンプレート34は、中心軸34aを中心に回転可能な構成である。またターンプレート34は、第1エアシリンダ40により、リンク機構を介して駆動される。
【0033】
ターンプレート34には、エア供給部37が設けられている。このエア供給部37は、ターンプレート34により元半部57bが起立した際に、端半部57aに向けてエアを噴射する。
【0034】
端部折り設備30が、端半部57aを垂れ下がった状態にするためのエア供給部37を設けていることにより、ペーパータオルのように、比較的折り曲がりにくい材料であっても、上紙部57の端半部57aを確実に垂れ下がった状態にすることができる。
【0035】
元半部57bが起立したときに、元半部57bに隣接する端半部57aは、元半部57bと端半部57aとの間の折り目部分から垂れ下がった状態となる。端部折り設備30には、この垂れ下がった状態の端半部57aを前記元半部57bに対して平行に重ねる重ねプレート36が備えられている。この重ねプレート36は、図4で示すように、図4の紙面において、左右に長いプレートである。またこの重ねプレート36は、図1に示すように第2エアシリンダ41により上下に動作させられる。この重ねプレート36が下降することにより、最上紙片55が折られ、端半部57aが元半部57bに対して平行に重ねられる。
【0036】
図1に示すように、端部折り設備30には、端半部57aが元半部57bに対し平行に重ねられたあと、元半部57bと端半部57aとの間に折り目を形成するためのプッシャ35が備えられている。プッシャ35は、第3エアシリンダ42により、図1の紙面において左右に動作させられる。
【0037】
端部折り設備30が、ターンプレート34と、重ねプレート36と、プッシャ35とを備えていることにより、切断紙片がペーパータオルのように、比較的折り目が付きにくい材料であっても、端部折り工程において、確実に上紙部57の端半部57aを、上紙部57の元半部57bに対して平行に重ねることができる。
【0038】
<端部折り設備30による端部折り工程>
図6から図11を用いて、本実施形態に係る端部折り設備30を用いた端部折り工程を説明する。図6から図11では、図1に記載の端部折り設備30のうち、端部折り工程において、直接、最上紙片55の端部折り工程で用いる部材以外は省略している。また、端部折り工程は、図6から図11に記載の図の番号、すなわちAからKにしたがって進行する。
【0039】
(第1工程)
図6(A)は、端部折り工程を構成する第1工程の説明図である。第1工程では、ターンプレート34の下に紙片積層体Sが位置できるような高さになるように、ブラケット33があらかじめ定められた位置に位置している。この位置にブラケット33が位置していると、その下に紙片積層体Sを位置させることが可能となる。第1工程では、図6(A)の紙面において左から右へ向けて、紙片積層部11で積層された紙片積層体Sが第1コンベアベルト31により搬送される。
【0040】
(第2工程)
図6(B)は、端部折り工程を構成する第2工程の説明図である。第2工程では、第1コンベアベルト31および第2コンベアベルト45により、紙片積層体Sが図6(B)の紙面上の左から右へ、矢印で示すように移動し、あらかじめ定められた位置で停止する。
【0041】
(第3工程)
図7(C)は、端部折り工程を構成する第3工程の説明図である。第3工程では、矢印で示すように、ブラケット33が下降し、ブラケット33に連結しているターンプレート34が紙片積層体Sの最上紙片55の上紙部57に押し付けられる。
【0042】
(第4工程)
図7(D)は、端部折り工程を構成する第4工程の説明図である。この第4工程は、特許請求の範囲で記載されている元半部起立工程である。第4工程では、まず、ターンプレート34は上紙部57の一部である元半部57bを吸引する。そして、図7(D)の矢印で示すように、ターンプレート34が回転することで、ターンプレート34が元半部57bを起立させる。元半部57bは、起立させられ、実質的に鉛直な状態となる。
【0043】
また、この際切断紙片が比較的折り曲がりやすい材料、例えばティッシュペーパーである場合、図7(D)に記載されているように、元半部57bの上側から、図7(D)の左側、すなわち紙片積層体Sが位置している方向へ、端半部57aが自然に垂れ下がった状態となる。しかし切断紙片が比較的折り曲がりにくい材料、例えばペーパータオルなど厚地の材料である場合、端半部57aが元半部57bの上側から自然には垂れ下がった状態にはならない場合がある。よって第4工程では、図7(D)に記載されているように、エア供給部37から端半部57aに対してエアを吹き当てる場合がある。
【0044】
端半部重ね工程で、元半部57bに対してエアを吹き当てることにより、ペーパータオルのように、比較的折り曲がりにくい材料であっても、上紙部57の端半部57aを確実に垂れ下がった状態にすることができる。
【0045】
(第5工程)
図8(E)は、端部折り工程を構成する第5工程の説明図である。この第5工程は、特許請求の範囲で記載されている端半部重ね工程である。第5工程では、図8(E)の矢印で示すように、重ねプレート36が下降し、垂れ下がった状態の端半部57aを、元半部57bに対して、元半部57bに平行に重ねる。
【0046】
(第6工程)
図8(F)は、端部折り工程を構成する第6工程の説明図である。この第6工程は、特許請求の範囲で記載されている折り目形成工程である。第6工程では、図8(F)の矢印で示すように、プッシャ35が、端半部57aと元半部57bとの間に位置する折り目部分に押し当てられ、折り目が形成される。
【0047】
(第7工程)
図9(G)は、端部折り工程を構成する第7工程の説明図である。第7工程では、図9(G)の矢印で示すように、プッシャ35が図9(G)の左へ移動し、元の位置に戻される。
【0048】
(第8工程)
図9(H)は、端部折り工程を構成する第8工程の説明図である。第8工程では、図9(H)の矢印で示すように、重ねプレート36が上昇し、元の位置に戻される。
【0049】
(第9工程)
図10(I)は、端部折り工程を構成する第9工程の説明図である。この第9工程は、特許請求の範囲で記載されている元半部重ね工程である。第9工程では、図10(I)の矢印で示すように、ターンプレート34が元の位置に戻される。このターンプレート34の動作により、ターンプレート34に吸引されている元半部57bが、紙片積層体Sに重ねられる。加えて、端半部57aは、元半部57bに対して第5工程、第6工程で重ねられているので、端半部57aは元半部57bの下側に位置するようになる。この状態でターンプレート34は元半部57bの吸引を終了する。
【0050】
(第10工程)
図10(J)は、端部折り工程を構成する第10工程の説明図である。第10工程では、図10(J)の矢印で示すように、ブラケット33が上昇し、元の位置に戻される。
【0051】
(第11工程)
図11(K)は、端部折り工程を構成する第11工程の説明図である。第11工程では、図11(K)の矢印で示すように、第2コンベアベルト45により、端部折り設備30により、端部が折られた状態となっている紙片積層体Sが、第3コンベアベルト46にまで移動させられる。
【0052】
端部折り工程があることにより、上紙部57の端半部57aと元半部57bとの間の折り目部分が、図12(C)に示すように紙片積層体Sの左右の中央に位置するようになり、紙片積層体Sの最上紙片55を意図したようにつまみ出すことができる。また、端部折り工程では、端半部57aを元半部57bの下側に位置させるので、紙片積層体Sを搬送する際に端半部57aが浮き上がることを抑制でき、端半部57bが後工程のカッターコンベアのベルトに絡まったり、意図しない形で織り込まれたりすることを防止できる。加えて、紙片積層体形成工程と別に端部折り工程が設けられているので、紙片積層部11での紙片積層体Sの形成する作業効率を下げることがない。
【0053】
端部折り工程が、元半部起立工程と、端半部重ね工程と、折り目形成工程と、元半部重ね工程と、から構成されていることにより、切断紙片がペーパータオルのように、比較的折り目が付きにくい材料であっても、確実に上紙部57の端半部57aを、上紙部57の元半部57bに対して平行に重ねることができる。
【0054】
<他の実施形態の紙片積層体形成装置10>
第1実施形態の紙片積層体形成装置10について説明したが、切断紙片の材料により、他の実施形態の紙片積層体形成装置10も考えられる。例えば重ねプレート36が無い構成の端部折り設備30を備えた紙片積層体形成装置10、またはエア供給部37が無い構成の端部折り設備30を備えた紙片積層体形成装置10が考えられる。
【符号の説明】
【0055】
10 紙片積層体形成装置
11 紙片積層部
12 搬送部
30 端部折り設備
34 ターンプレート
35 プッシャ
36 重ねプレート
37 エア供給部
55 最上紙片
56 下紙部
57 上紙部
57a 端半部
57b 元半部
S 紙片積層体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12