(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】光検査装置
(51)【国際特許分類】
G01M 11/00 20060101AFI20230622BHJP
G01J 1/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
G01M11/00 T
G01J1/00 C
(21)【出願番号】P 2019077550
(22)【出願日】2019-04-16
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】506032473
【氏名又は名称】株式会社アイテックシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海老原 聡
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-201945(JP,A)
【文献】特開2003-329940(JP,A)
【文献】特開2005-173086(JP,A)
【文献】特開2010-206401(JP,A)
【文献】特開平04-309056(JP,A)
【文献】特開2009-296045(JP,A)
【文献】特開2016-136381(JP,A)
【文献】国際公開第2018/190221(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00 - G01M 11/08
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01J 1/00 - G01J 1/60
H01L 21/66
H01L 33/00 - H01L 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設された複数の発光体の光を検査する光検査装置において、
一側面が前記各発光体
の側方で該各発光体の並設方向に沿って配置され
且つ該各発光体の光軸中心の方向に沿って配置されるとともに、該各発光体から該一側面に照射された光が他側面側に実像として結像される板状の光結像手段を有
し、前記光結像手段は、該各発光体から照射された光のうち、入射角が44°以上の照射範囲の照射光を結像するよう設定した
ことを特徴とする光検査装置。
【請求項2】
前記光結像手段により結像される位置に光を検出する受光センサを設けた
ことを特徴とする請求項1記載の光検査装置。
【請求項3】
前記光結像手段により結像された実像を撮影する撮影手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の光検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理用或いは検査用の照明装置に有する発光体の光を検査する光検査装置に関すものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の照明装置の発光体としてLEDが多数使用されているが、経年劣化や温度依存によりLEDの光量が変化するという不具合が発生する。このような不具合は、画像処理用の照明装置においては画像の見え方が変化し、また、検査用の照明装置においては検査時間が長くなるという問題点が発生する。
【0003】
そこで、これらの照明装置においては、光検査装置を用いた光量検査は必要不可欠であり、光量不足が発生したLEDについては交換したり、或いは、交換しないまでも当該LEDに対する電流値を上げ適正な光量を維持するようメンテナンスしている。
【0004】
ところで、光検査装置の光量検査において、検査対象のLEDが隣接する他のLEDの光の影響を受けるときは、LEDの光量を正確に検査することができない。
【0005】
そこで、検査対象のLEDを囲って他のLEDから遮蔽する光検査装置、或いは、LEDから照射される光を集光し、その一部を参照光として取り出し、この参照光の光量に基づき各LEDの光量を検査する光検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の光検査装置は何れも各LEDから照射される光を集光レンズによって集光するため、LED毎に光学系が必要となり、装置構造が複雑化することはもとより、部品点数が増大しコストが上昇するという問題点を有していた。
【0008】
一方、ロッドレンズ等で複数のLEDの光をまとめて集光する構造もあるが、隣接するLEDの光の影響を充分に除去できるものではないし、また、囲いを用いる装置においてはLED毎に囲いが必要となり、装置全体が大型化するという問題点を有していた。
【0009】
本発明の目的は、集光レンズ等の光学系を用いることなく、各発光体の光を同時にかつ精度の良く検査可能な構造簡単な光検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記課題を解決するため、並設された複数の発光体の光を検査する光検査装置において、一側面が各発光体の側方で各発光体の並設方向に沿って配置され且つ各発光体の光軸中心の方向に沿って配置されるとともに、各発光体から一側面に照射された光が他側面側に実像として結像される板状の光結像手段を有し、光結像手段は、各発光体から照射された光のうち、入射角が44°以上の照射範囲の照射光を結像するよう設定した構造となっている。
【0011】
本発明によれば、各発光体から照射される光が隣接する他の発光体の光に影響されることなく光結像手段の他側面側で実像として結像できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光結像手段により結像された光に基づき検査できるため、部品点数が少なくかつ構造簡単な光検査装置が実現され、また、各発光体の光量を精度良く検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明が適用される検査用照明装置の一部省略斜視図
【
図2】本発明に係る光検査装置の構成を示すブロック図
【
図3】本発明に係る光検査装置の結像構造を示す斜視図
【
図4】本発明に係る光検査装置を検査用照明装置に配置した状態を示す一部省略斜視図
【
図5】本発明に係る光検査装置を検査用照明装置に配置した状態を示す正面図
【
図6】本発明に係る光結像手段に対する入射角を説明する示す正面図
【
図7】本発明に係る光結像手段の第1変形例を検査用照明装置に配置した状態を示す正面図
【
図8】本発明に係る光結像手段の第2変形例を検査用照明装置に配置した状態を示す正面図
【
図9】本発明に係る光照明装置の他の実施形態を示す一部省略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至
図6は本発明に係る光検査装置の一実施形態を示すものである。
【0015】
図1は光検査対象の照明装置1を示し、本発明に係る光検査装置を説明する便宜のため以下に簡単に説明する。
【0016】
照明装置1は、コンベア等によって長手方向に移動する長尺物の表面を検査するラインセンサカメラ用のものである。照明装置1の内側にはLED基板2が配置され、LED基板2上に多数のLED(発光体)3が一列に並設されている。この各LED3から照射された光はロッドレンズ4で集光され、更に、拡散板5を通じて外部に照射されるようになっている。また、LED基板2の下面にはLED3で発生した熱を外部に放出する放熱体6が設けられている。
【0017】
光検査装置10は、
図2に示すように、板状の光結像プレート11(光結像手段)と受光センサ12と制御部13と表示部14から構成され、LED3の光を光結像プレート11を通じて受光センサ12で受光し、この受光した光から制御部13で光量を測定・判定し、そして、判定データを表示部14で出力している。なお、制御部13で判定された光量データは光量補正部15を通じてLED3の出力に反映させている。
【0018】
以上、光検査装置10の制御構成を説明したが、光検査装置10の構成のうち光結像プレート11以外の構成は、LED3の光量を測定・判定できる構成となっていれば良く、
図2に示す構成に限るものではない。また、LED3は紫外線、可視光又は赤外線のいずれの発光波長でもよく、発光波長の種類を問わない。更に、光検査装置10は光量を測定・判定しているが、受光センサ12で検出された光の波長及び色温度も測定・判定し光の検査を行うようにしてもよい。
【0019】
光結像プレート11は、株式会社アスカネットで製造・販売されている周知の光結像プレートを採用した。アスカネット製の光結像プレート11の構造は、特許第6431468号公報に詳細に記載されているが、その構造を
図3を参照して説明する。
【0020】
光結像プレート11は、互いに当接又は近接して配置された平板状の第1及び第2の光制御パネル111,112を有している。第1及び第2の光制御パネル111,112の内部には、それぞれ一方側の面に鏡面形成された帯状の平面光反射部111a,112aが一定のピッチp1で並べて形成され、また、平面光反射部111a,112a以外の部分はガラス等の透明部材で形成されている。更に、第1及び第2の光制御パネル111,112の平面光反射部111a,112aは互いに直交状態に配置されている。これにより、平面光反射部111aと平面光反射部112aが交差して平面視で多数の正方形の反射枠を形成する構造となる。
【0021】
このように構成された光結像プレート11において、第1の光制御パネル111の一側面側から照射される光は平面光反射部111aで反射し、更に、この平面光反射部111aに対応する第2の光制御パネル112の平面光反射部112aで反射し、第2の光制御パネル112の他側面側に第1の光制御パネル111側の画像と同一の実像が形成されるよう構成されている。
【0022】
本発明に係る光検査装置10は、以上のように構成された光結像プレート11を用いてLED3の光検査することにある。
【0023】
すなわち、光結像プレート11の一側面が、
図4及び
図5に示すように、各LED3の並設方向に沿って配置されている。また、LED3と光結像プレート11の配置関係は、投影先の光を最適化する入射角となるよう配置する必要があるが、
図6に示すように、光結像プレート11の厚さ寸法t2を1.5mmとし、また、平面反射部111a,112aのピッチp1を0.78mmとするとき、LED3の光の入射角が44°以上(
図6の角度αを含む)となるよう光結像プレート11を配置した設計となっている。なお、LED3の光の入射角が44°未満の場合(
図6の角度β)は一方の平面反射部112aで複数回に亘って反射し、結像が不可能となるように設定している。更に、受光センサ12は光結像プレート11を基準としてLED3と対称の位置に配置されている。
【0024】
本発明に係る光検査装置10によれば、LED3から照射された光が、
図4及び
図5に示すように、光結像プレート11への入射角と同じ角度で投影先(受光センサ12)に照射され、受光センサ12に実像として結像する。ここで、各LED3から照射された光のうち、入射角が44°以上の光がそれぞれ対応する受光センサ12に照射されるため、各LED3の光量を正確に検査することができる。
【0025】
また、光結像プレート11を一枚設置するのみで各LED3の全てに対応できるため、構造が簡単でかつ割安な光検査装置10を実現することができる。
【0026】
更に、
図5に示すように、LED3から照射される光のうち入射各44°以上の光は、ロッドレンズ4等の光学系を通過する光ではないため、LED3の光量検査には集光レンズ等の光学系が不要となる。
【0027】
更にまた、例えばラインセンサカメラ用の照明装置において、長尺物の表面を検査する光と光量検査用の光を同時にかつ別々に取得できるため、長尺物表面検査と光量検査を同時に行うことができ、これにより、長尺物表面検査の際に一部のLED3で光量不良があった場合は不具合LED3を直ちに発見でき、メンテナンスを迅速に行うことができる。
【0028】
なお、本実施形態では光量に基づき光検査を行っているが、受光された光の波長及び色温度も測定・判定し、光量、波長及び色温度の三者全てに基づき光検査するようにしても良い。
【0029】
図7は本発明に係る光検査装置10の第1変形例を示すもので、LED3、光結像プレート11及び受光センサ12を照明装置1の内側に配置したものである。なお、その他の構成については同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0030】
すなわち、照明装置1のケーシング1aの内側にLED基板2を配置する一方、LED基板2上にLED3及び受光センサ12を間隔をおいて設置している。また、ケーシング1aの内側でLED3と受光センサ12との間に光結像プレート11を設置している。
【0031】
この第1変形例に係る光検査装置10によれば、照明装置1のケーシング1aの内側に配置され、光検査装置10全体がコンパクトとなる。
【0032】
図8は本発明に係る光検査装置10の第2変形例を示すもので、LED3、光結像プレート11及び受光センサ12を照明装置1の内側に配置するとともに、照明装置1の幅方向への大型化を抑制する構造となっている。なお、その他の構成については同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0033】
すなわち、第1変形例と同様に照明装置1のケーシング1aの内側にLED基板2を配置する一方、LED基板2上にLED3及び受光センサ12を間隔をおいて設置している。また、ケーシング1aの内側でLED3と受光センサ12との間に光結像プレート11を設置するとともに、受光センサ12を間にして光結像プレート11と反対側には光を反射する反射板16を設置している。
【0034】
ここで、光結像プレート11と反射板16の設置位置は、LED3から投射された光が光結像プレート11を通り、更に反射板16で反射して受光センサ12に結像するよう考慮した位置となっている。
【0035】
この第2変形例に係る光検査装置10によれば、反射板16に到達した光が光結像プレート11側に戻るように反射して受光センサ12に結像するため、光が戻った距離だけ、LED3と受光センサ12との間隔が短くなる。
【0036】
これにより、LED3と受光センサ12との間隔に短くなった分、これらを収容するケーシング1aの幅寸法を小さくすることができる。
【0037】
図9は本発明の他の実施形態に係る光検出装置である。前記実施形態ではLED3の投影先に受光センサ12を配置しLED3の光量検査を行っている。これに対して、本実施形態では光結像プレート11の他側面側の空間に投影された実像17をカメラ18により撮影し検査する構造となっている。本実施形態においても前記実施形態と同様の作用効果を発揮する。なお、前記実施形態と同一構成部分は同一符号を付している。
【0038】
なお、各実施形態において、発光体としてLED3を掲げて説明したが、光量検査が必要な発光体であればこれに限定されるものでない。また、光結像プレート11として株式会社アスカネット製の製品を掲げて説明したが、光結像プレート11の一側面側から照射された光が他側面側で結像する構成を備えているものであれば、プレート構造はもとより、製造会社もこれに限るものではない(特開2013-88694号公報を参照)。
【符号の説明】
【0039】
1…照明装置、3…LED、10…光結像装置、12…受光センサ、17…実像、18…18。