(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】接合体の製造方法、及び、半硬化膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 7/04 20060101AFI20230622BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20230622BHJP
B22F 1/0545 20220101ALI20230622BHJP
B22F 1/102 20220101ALI20230622BHJP
B22F 1/107 20220101ALI20230622BHJP
B22F 7/08 20060101ALI20230622BHJP
B23K 35/26 20060101ALN20230622BHJP
C22C 12/00 20060101ALN20230622BHJP
【FI】
B22F7/04 D
B22F1/00 K
B22F1/00 R
B22F1/0545
B22F1/102
B22F1/107
B22F7/08 E
B23K35/26 310C
C22C12/00
(21)【出願番号】P 2019115611
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000162434
【氏名又は名称】協立化学産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小山 優
(72)【発明者】
【氏名】清水 嘉人
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-045617(JP,A)
【文献】特開2017-110274(JP,A)
【文献】特開2015-153881(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159115(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/0545
B22F 1/10-1/107
B22F 7/04
B22F 7/08
B23K 1/00
B23K 3/06
B23K 35/14
B23K 35/22
B23K 35/26
B22F 1/00
H01B 1/22
B82Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被接合部材と、第2被接合部材とが接合層を介して接合された接合体の製造方法であって、
銀ナノ粒子(A)と、スズを含むはんだ粒子(B)と、溶媒(C)とを含有する接合用組成物を準備する工程(I)と、
前記第1被接合部材の接合面に、前記接合用組成物を塗布して塗膜を形成する工程(II)と、
前記塗膜を、前記スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも低い温度で加熱して、塗膜中の銀ナノ粒子(A)の一部を焼結して半硬化膜を形成する工程(III)と、
前記半硬化膜上に前記第2被接合部材を配置する工程(IV)と、
前記半硬化膜を、スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも高い温度で焼成して接合層とする工程(V)と、を有する、
接合体の製造方法。
【請求項2】
前記銀ナノ粒子(A)の焼結ピーク温度(T2)が、前記スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも高い、請求項1に記載の接合体の製造方法。
【請求項3】
前記工程(III)における加熱温度が、前記融解温度(T1)未満で、かつ、50℃~180℃である、請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
【請求項4】
前記工程(V)における焼成温度が、前記融解温度(T1)を超え、かつ、200℃~350℃である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の接合体の製造方法。
【請求項5】
前記スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)が100℃~200℃である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の接合体の製造方法。
【請求項6】
前記溶媒(C)が、前記焼結ピーク温度(T2)よりも高い沸点を持つ溶媒を含む、請求項
2に記載の接合体の製造方法。
【請求項7】
前記銀ナノ粒子(A)が、表面に脂肪酸及び脂肪族アルデヒドより選択される1種以上が被覆した被覆層を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の接合体の製造方法。
【請求項8】
前記工程(III)と前記工程(V)との間に、前記塗膜を冷却する工程(VI)を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の接合体の製造方法。
【請求項9】
接合に用いる半硬化膜の製造方法であって、
銀ナノ粒子(A)と、スズを含むはんだ粒子(B)と、溶媒(C)とを含有する接合用組成物を準備する工程(Ia)と、
基材上に、前記接合用組成物を塗布して塗膜を形成する工程(IIa)と、
前記塗膜を、前記スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも低い温度で加熱して、塗膜中の銀ナノ粒子(A)の一部を焼結する工程(IIIa)と、を有する、
半硬化膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
無機系の接合材として、はんだが広く用いられてきた。一方、導電性や熱伝導性を備える接合材として、はんだと金属ナノ粒子等を組み合わせた接合材料が検討されている。
特許文献1には、所定の温度で剥離するべく予め設計された被覆材により被覆された低温焼結性を有する金属ナノ粒子と、当該剥離温度より低温の融点を有するはんだ粒子及び当該融点より低温で揮散するペースト化剤の三成分で構成された接合剤用組成物が開示されている。特許文献1によれば、はんだが融解した後に焼結現象が起きる加熱条件の下で溶融接合を行なうことにより基板へ強固に接着するとされている。特許文献1ではアルコールを被覆した銀ナノ粒子と、錫-ビスマス系はんだ粒子とを組み合わせた導電性接合材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱硬化性樹脂などを用いた接合材では、半硬化して用いる手法が知られている。即ち接合対象となる一方の基材の接合面に接合材を塗布し、熱硬化性樹脂が完全に硬化しない程度に加熱をして固定する方法である。この方法によれば、接合材を基材に固定した状態で保管や搬送が可能となり、取り扱い性に優れている。
本発明者らは、無機系の接合材の取り扱い性の向上の点から、銀ナノ粒子とはんだ粒子とを含む接合用組成物の半硬化方法を検討した。しかしながら、このような接合用組成物を半硬化した場合、最終的に得られる接合層にはボイド(空隙)が多く発生することがあった。熱伝導性や接合強度などの観点から、ボイドの少ない接合層が得られる方法が求められている。
【0004】
本発明はこのような課題を解決するものであり、接合層の高密度化が可能な接合体の製造方法、及び、高密度な接合層が得られる半硬化膜の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る接合体の製造方法は、
第1被接合部材と、第2被接合部材とが接合層を介して接合された接合体の製造方法であって、
銀ナノ粒子(A)と、スズを含むはんだ粒子(B)と、溶媒(C)とを含有する接合用組成物を準備する工程(I)と、
前記第1被接合部材の接合面に、前記接合用組成物を塗布して塗膜を形成する工程(II)と、
前記塗膜を、前記スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも低い温度で加熱して、塗膜中の銀ナノ粒子(A)の一部を焼結して半硬化膜を形成する工程(III)と、
前記半硬化膜上に前記第2被接合部材を配置する工程(IV)と、
前記半硬化膜を、スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも高い温度で焼成して接合層とする工程(V)と、を有する。
【0006】
上記接合体の製造方法の一実施形態は、前記銀ナノ粒子(A)の焼結ピーク温度(T2)が、前記スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも高い。
【0007】
上記接合体の製造方法の一実施形態は、前記工程(III)における加熱温度が、前記融解温度(T1)未満で、かつ、50℃~180℃である。
【0008】
上記接合体の製造方法の一実施形態は、前記融解温度(T1)を超え、かつ、200℃~350℃である。
【0009】
上記接合体の製造方法の一実施形態は、前記スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)が100℃~200℃である。
【0010】
上記接合体の製造方法の一実施形態は、前記溶媒(C)が、前記焼結ピーク温度(T2)よりも高い沸点を持つ溶媒を含む。
【0011】
上記接合体の製造方法の一実施形態は、前記銀ナノ粒子(A)が、表面に脂肪酸及び脂肪族アルデヒドより選択される1種以上が被覆した被覆層を有する。
【0012】
上記接合体の製造方法の一実施形態は、前記工程(III)と前記工程(V)との間に、前記塗膜を冷却する工程(VI)を有する。
【0013】
本発明に係る半硬化膜の製造方法は、接合に用いる半硬化膜の製造方法であって、
銀ナノ粒子(A)と、スズを含むはんだ粒子(B)と、溶媒(C)とを含有する接合用組成物を準備する工程(Ia)と、
基材上に、前記接合用組成物を塗布して塗膜を形成する工程(IIa)と、
前記塗膜を、前記スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも低い温度で加熱して、塗膜中の銀ナノ粒子(A)の一部を焼結する工程(IIIa)と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接合層の高密度化が可能な接合体の製造方法、及び、高密度な接合層が得られる半硬化膜の製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1及び比較例1で得られた接合層のSEM像である。
【
図2】実施例2及び比較例2で得られた接合層のSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る接合体の製造方法、及び半硬化膜の製造方法について説明する。
【0017】
[接合体の製造方法]
本実施形態に係る接合体の製造方法(以下、本接合体製造方法という)は、
第1被接合部材と、第2被接合部材とが接合層を介して接合された接合体の製造方法であって、
銀ナノ粒子(A)と、スズを含むはんだ粒子(B)と、溶媒(C)とを含有する接合用組成物を準備する工程(I)と、
前記第1被接合部材の接合面に、前記接合用組成物を塗布して塗膜を形成する工程(II)と、
前記塗膜を、前記スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも低い温度で加熱して、塗膜中の銀ナノ粒子(A)の一部を焼結して半硬化膜を形成する工程(III)と、
前記半硬化膜上に前記第2被接合部材を配置する工程(IV)と、
前記半硬化膜を、スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも高い温度で焼成して接合層とする工程(V)とを、通常、この順番で有するものであり、必要に応じて更に他の工程を有していてもよいものである。
【0018】
銀ナノ粒子を焼成すると、通常多数の細孔が形成される。銀ナノ粒子とはんだ粒子とを含む組成物を焼成すると、はんだ粒子に含まれるスズと、銀ナノ粒子中の銀が合金化して、耐熱性の高いAg3Snなどを形成する。そのため、銀ナノ粒子とはんだ粒子を含む組成物を半硬化すると、表面にAg3Snを有する多孔質の銀ナノ粒子焼結体が形成される。その結果、本焼成においても、孔が十分に埋まらずボイドの多い接合層が形成されると推定される。
本接合体製造方法においては、上記工程(III)における加熱温度を、スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも低い温度とすることにより、銀ナノ粒子(A)の一部のみを焼結することで半硬化時においてAg3Snの形成が抑制される。次いで、本焼成(工程(V))においてはんだ粒子(B)を融解させることにより、銀ナノ粒子焼結体の細孔内にスズが充填されるとともにスズと銀が合金化するものと推定される。このようなことから、本接合体製造方法によれば、接合層の高密度化が可能であると推測される。
以下、本接合体製造方法の各工程について説明する。
【0019】
<工程(I)>
まず、銀ナノ粒子(A)と、スズを含むはんだ粒子(B)と、溶媒(C)とを含有する接合用組成物(以下、本接合用組成物ともいう)を準備する。本接合用組成物は、少なくとも、銀ナノ粒子(A)と、スズを含むはんだ粒子(B)と、溶媒(C)とを含有するものであり、必要に応じて更に他の成分を含有してもよいものである。以下、本接合用組成物に含まれ得る各成分について説明する。
【0020】
(銀ナノ粒子(A))
本接合用組成物において、銀ナノ粒子(A)は低温焼結性を有するものの中から適宜選択して用いる。銀ナノ粒子(A)は、工程(V)において、はんだ粒子が有するスズとAg3Sn合金を形成して接合層の強度を向上する。
【0021】
銀ナノ粒子(A)の平均一次粒径は、特に限定されず、焼結温度等の観点から適宜選択すればよい。具体的には銀ナノ粒子の平均一次粒径が500nm以下であればよく、400nm以下が好ましく、300nm以下が更に好ましい。また、銀ナノ粒子の平均一次粒径は、通常、1nm以上であり、5nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。当該銀ナノ粒子(A)の平均一次粒径は、SEMにより観察された任意の20個の銀ナノ粒子の一次粒子径の算術平均値である。
銀ナノ粒子(A)の形状は、真球を含む略球状、板状、棒状などいずれの形状であってもよいが、略球状が好ましい。
【0022】
本接合体製造方法において、銀ナノ粒子(A)の少なくとも一部は、はんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも低温で焼結する。これにより本接合用組成物を用いて、銀ナノ粒子(A)の少なくとも一部が焼結した半硬化膜を形成することができる。
一方、銀ナノ粒子(A)の焼結ピーク温度(T2)は、得られる接合層の高密度化の点から、前記融解温度(T1)よりも高いことが好ましい。
上記焼結ピーク温度(T2)が上記前記融解温度(T1)よりも高い場合、工程(III)において、少なくとも一部の銀ナノ粒子(A)は焼結せずナノ粒子のまま残存する。そのため、工程(V)における加熱の際、融解したはんだ粒子とともに当該ナノ粒子も流動し、空隙の少ない接合層が形成されると推定される。なお上記焼結ピーク温度(T2)が上記前記融解温度(T1)よりも高い場合であっても銀ナノ粒子(A)の少なくとも一部は、工程(III)において焼結する。
本実施形態において銀ナノ粒子(A)の焼結ピーク温度(T2)は、銀ナノ粒子(A)の半数以上が焼結する温度であり、示差熱天秤(TG8120(リガク社製))を用いて、窒素雰囲気下(窒素流速:250ml/min)において、10℃/minの昇温速度で、熱重量示唆熱(TG-DTA)測定により得られた発熱ピーク温度とする。
当該焼結ピーク温度(T2)は、例えば100~350℃の範囲で調整すればよく、100~300℃の範囲が好ましく、100~250℃の範囲がより好ましい。銀ナノ粒子(A)の焼結開始温度及び焼結ピーク温度は銀ナノ粒子の粒径などにより調整できる。
【0023】
銀ナノ粒子(A)は、表面に被覆化合物が被覆した被覆銀ナノ粒子であってもよい。被覆銀ナノ粒子とすることより、銀ナノ粒子(A)の酸化が抑制され、導電性に優れた接合層が得られる。当該被覆化合物は、100~300℃の加熱により、分解又は揮発しやすいものを選択して用いることが好ましい。当該被覆化合物としては、表面酸化の抑制の点から、脂肪酸、脂肪族アミン、脂肪族アルコール、又は、脂肪族アルデヒドが好ましい。
上記被覆化合物を構成する脂肪族基の炭素数は、分散性の点から、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上が更に好ましい。また、加熱時の脱離性及び、はんだ粒子への作用の点から、当該脂肪族基の炭素数は24以下が好ましく、16以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。
【0024】
本実施形態では、接合強度の点から、中でも、銀ナノ粒子(A)が表面に脂肪酸及び脂肪族アルデヒドより選択される1種以上が被覆した被覆層を有する被覆銀ナノ粒子であることが好ましい。脂肪酸及び脂肪族アルデヒドは銀ナノ粒子(A)の表面酸化を抑制すると共に、焼結時にはんだ粒子(B)の表面の酸化被膜を除去する効果も有する。
好ましい脂肪酸の具体例としては、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸が挙げられる。また、好ましい脂肪族アルデヒドの具体例としては、ブタナール、ヘキサナール、オクチナール、ノナナール、デカナール、ウンデシルアルデヒド、オクタデシルアルデヒド、ヘキサデセニルアルデヒドが挙げられる。脂肪酸等は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
銀ナノ粒子の表面酸化抑制の点から、脂肪酸等は銀粒子側にカルボキシ基又はアルデヒド基が配置された単分子膜を形成していることが好ましい。このとき銀ナノ粒子とカルボキシ基又はアルデヒド基とは物理吸着している。また、脂肪酸等が単分子膜を形成している場合において、銀ナノ粒子表面の被覆密度は、2.5~5.2分子/nm2であることが好ましい。
【0026】
上記被覆銀ナノ粒子は、例えば、特開2017-179403号公報などを参考に製造できる。当該特開2017-179403号公報の方法によれば、略球状の銀粒子表面に、脂肪酸等が配置され、単分子膜の被覆層が形成される。当該被覆層の被覆密度は2.5~5.2分子/nm2となり、表面酸化の抑制及び分散性に優れた被覆金属粒子が形成される。なお、被覆密度は、特開2017-179403号公報の方法を用いて算出できる。
【0027】
[はんだ粒子(B)]
本接合用組成物において、はんだ粒子は、スズ(Sn)を含むはんだ粒子(B)を用いる。当該はんだ粒子(B)と、前記銀ナノ粒子(A)との組合せにより、焼結時にスズ銀合金が形成されるため、得られる接合層の機械強度が向上する。
はんだ粒子(B)としては、スズを含み、更に、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)、銅(Cu)、インジウム(In)、銀(Ag)等の元素を含む合金が挙げられ、不可避的に混入する他の元素を含有してもよい。また実質的にスズからなるスズ粒子であってもよい。はんだの具体例としては、Sn-Pb系、Pb-Sn-Sb系、Sn-Sb系、Sn-Pb-Bi系、Sn-Bi系、Sn-Zn-Bi系、Sn-Zn系、Sn-Cu系、Sn-Pb-Cu系、Sn-In系、Sn-Ag系、Sn-Pb-Ag系、Pb-Ag系はんだ等が挙げられる。本実施形態においてはんだ粒子は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
はんだ粒子は所望の金属を公知の方法により混合して製造してもよく、また、はんだ粒子の市販品を用いてもよい。
【0028】
環境に対する負荷軽減の観点から鉛フリーはんだ(Sn-Sb系、Sn-Bi系、Sn-Zn-Bi系、Sn-Zn系、Sn-Cu系、Sn-In系、Sn-Ag系はんだ等)を用いることが好ましく、中でも、Sn-Bi系はんだ、Sn-Zn-Bi系はんだ、又はSn-Zn系はんだを用いることがより好ましい。Znを含むはんだを用いることにより、高強度で実装密度の高い焼結体が得られる。また、ガラス等への濡れ性に優れたBiを含むはんだを用いることにより、密着性に優れた焼結体を得ることができる。
【0029】
はんだ粒子中のスズの含有割合は、接合強度の点から、はんだ粒子全量に対して、30質量%以上80質量%以下が好ましい。
【0030】
はんだ粒子の平均一次粒径は、特に限定されず、例えば、0.5~500μmのものの中から適宜選択して用いることができる。なお、本発明においてはんだ粒子の平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察された任意の20個のはんだ粒子の一次粒子径の算術平均値である。粒子形状は、真球を含む略球状、板状、棒状などいずれの形状であってもよい。
【0031】
はんだ粒子の融点は、金属の含有比率等によって変動があるが、概ね100~250℃の範囲内であり、120~200℃が好ましく、135~155℃がより好ましい。前記はんだ粒子としてSn-Bi系はんだ、Sn-Zn-Bi系はんだ、又はSn-Zn系はんだを用いた場合は、はんだ粒子の融点は、例えば135~200℃の範囲内である。なおはんだ粒子の融点は、熱重量示唆熱(TG-DTA)測定により得られた吸熱ピーク温度から求めることができる。
【0032】
前記銀ナノ粒子(A)と前記はんだ粒子(B)の含有比率は、接合強度の点から、質量比で6:4~8:2の範囲内が好ましい。
【0033】
[溶媒(C)]
本接合用組成物において溶媒(C)は、上記各成分及び下記任意成分を溶解乃至分散可能な溶媒の中から塗膜形成方法(印刷方法)などに応じて適宜選択できる。溶媒は1種単独であっても2種以上を組み合わせた混合溶媒であってもよい。溶媒としては、中でも、脂肪族アミン系溶媒、脂肪族アルコール系溶媒、脂肪族アミノアルコール系溶媒、テルピンアセテート系溶媒、脂肪族アルカン系溶媒、カルビトール系溶媒や、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(KHネオケム株式会社製、キョーワノールM)などが挙げられる。
【0034】
脂肪族アミン系溶媒としては、例えば、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン等が挙げられる。
脂肪族アミノアルコール系溶媒としては、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、オクタノールアミン、デカノールアミン、ドデカノールアミン、オレイルアルコールアミン等が挙げられる。
脂肪族アルコール系溶媒としては、例えば、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。
テルピンアセテート系溶媒としては、例えば、1,8-テルピン-1-アセテート、1,8-テルピン-8-アセテート、1,8-テルピン-1,8-ジアセテート等が挙げられる。
脂肪族アルカン系溶媒としては、例えば、オクタン、デカン、ドデカン、流動パラフィン等が挙げられる。
また、カルビトール系溶媒としては、例えば、ブチルカルビトール、ヘキシルカルビトール、デシルカルビトール等が挙げられる。
【0035】
また、中でも溶媒としてテルピンアセテート系溶媒を含むことが好ましい。テルピンアセテート系溶媒を用いることにより、接合用組成物をスクリーン印刷に好適な組成物とすることができる。テルピンアセテート系溶媒は、例えば、日本テルペン化学(株)のテルソルブTHA-90、テルソルブTHA-70等を用いることができる。
【0036】
また本接合用組成物においては、溶媒(C)として、前記焼結ピーク温度(T2)よりも高い沸点を持つ溶媒を含むことが好ましい。中でもT2より高く、且つ、沸点が160℃以上400℃以下の溶媒(高沸点溶媒ということがある)を含むことが好ましい。このような溶媒を含むことにより工程(V)における銀ナノ粒子の焼成時に塗膜内に溶媒が残存し、はんだ粒子や銀ナノ粒子が塗膜内で適切に再配置やすくなり、ボイドが抑制される。このような観点から、中でも、沸点が200℃以上の溶媒を含むことが好ましい。また、接合層中の溶媒の残留を抑制する点から、溶媒の沸点は350℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましい。
【0037】
溶媒(C)は、上記高沸点溶媒に、沸点が160℃未満の低沸点溶媒を組み合わせてもよい。
低沸点溶媒の含有割合は、溶媒全量を100質量%として、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20%以下が更に好ましい。
【0038】
本接合用組成物中の溶媒(C)の割合は、塗膜の形成方法などに応じて適宜調整すればよく、接合用組成物全量に対して、0.1~95質量%とすることができ、0.2質量%~90質量%が好ましく、0.4質量%~80質量%がより好ましい。
【0039】
<他の成分>
本接合用組成物は、必要に応じてさらに他の成分を含有してもよい。他の成分としては、フラックス剤、還元剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤等が挙げられる。
【0040】
本接合用組成物は、はんだ粒子(B)などの酸化を抑制するため、フラックス剤及び還元剤より選択される1種以上(D)(以下、フラックス剤等(D)ということがある。)を含有することが好ましい。フラックス剤等(D)を含有することにより、焼成時におけるはんだ粒子(B)の濡れ性が向上して、接合強度に優れた接合層が形成される。
【0041】
フラックス剤は、はんだのフラックス剤として公知のものの中から、適宜選択できる。フラックス剤としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの脂肪族カルボン酸;安息香酸、サリチル酸、フタル酸などの芳香族カルボン酸;アビエチン酸、ロジンなどのテルペン系カルボン酸などの有機カルボン酸;アニリン塩酸塩、ヒドラジン塩酸塩などの有機ハロゲン化合物;尿素、ジエチレントリアミンヒドラジンなどのアミン類などが挙げられる。また還元剤としては、例えば、塩酸、フッ酸、燐酸などの無機酸;フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化銅、フッ化亜鉛などのフッ化物、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化第一銅、塩化ニッケル、塩化アンモニウム、塩化第一錫などの塩化物、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム、臭化錫、臭化亜鉛などの臭化物や、脂肪酸、脂肪族アルデヒドなどが挙げられる。上記脂肪酸及び脂肪族アルデヒドは、前記銀ナノ粒子(A)で例示した脂肪酸等と同様のものが挙げられる。
フラックス剤等(D)は1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、たとえば、フラックス剤と還元剤とを組み合わせて用いてもよい。
【0042】
フラックス剤等(D)の合計の含有割合は、はんだ粒子の酸化被膜を除去する観点から、はんだ粒子に対して0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1%以上が更に好ましい。一方、フラックス剤等(D)の合計の含有割合は、はんだ粒子に対し2質量%以下が好ましく、1.8質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。上記上限値以下とすることで組成物中における銀ナノ粒子の焼結性が向上し、焼結強度が向上する。
【0043】
分散剤としてはポリエステル系分散剤やポリアクリル酸系分散剤等の、公知の分散剤が挙げられる。得られる接合層の強度の点から、接合用組成物中の分散剤の割合は、組成物全量100質量%に対し、0.1~5質量%が好ましく、0.5~2質量%がより好ましい。
【0044】
また、本接合用組成物は、粘度を調整するために増粘剤やゲル化剤を含有してもよい。
ゲル化剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィンが挙げられ、これらは前記流動パラフィンをゲル化できる。中でもポリエチレンが好ましい。ポリオレフィンの重量平均分子量は、例えば、10,000以上のものの中から適宜選択することができ、10,000~5,000,000が好ましく、20,000~3,000,000がより好ましい。接合用組成物をゲル化することにより、塗膜のパターン形状を保持することができる。
流動パラフィンとゲル化剤との配合比率は、パターン保持性を向上する観点点から、流動パラフィンとゲル化剤の合計100質量%に対し、ゲル化剤が0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、1.5質量%以上12質量%以下が更に好ましい。
【0045】
本接合用組成物の調製方法は、溶媒中に銀ナノ粒子とはんだ粒子と他の成分を均一に分散できる方法であればよい。例えば、溶媒に各成分を添加し、公知の撹拌機や分散機を用いて分散することで接合用組成物が得られる。
【0046】
<工程(II)>
次いで上記工程(I)で準備した本接合用組成物を接合対象となる第1被接合部材に塗布する。塗膜の形成方法は、公知の塗布手段及び印刷手段の中から適宜選択できる。塗膜をパターン状に形成でき、厚膜化が可能な点から、ディスペンサー塗布、又はスクリーン印刷が好ましい。
【0047】
ディスペンサー塗布は、前記接合用組成物を定量吐出する装置を用いて塗布する方法である。吐出方式は、特に限定されず、例えば、エアパルス方式、メカニカル方式、非接触方式、プランジャー方式などの中から適宜選択できる。一例として、エアパルス方式のディスペンサーの場合、シリンジに前記接合用組成物を充填し、エアパルスをかけることで接合用組成物を一定量ずつ吐出させ、ドット状など所定のパターンに塗布する方法である。第2被接合部材を軽く押し付けることで、接合用組成物は接合面に濡れ広がる。
またスクリーン印刷は、所定の開口部を有するスクリーンに接合用組成物を塗布し、前記第1被接合部材上に前記スクリーンを配置し、スキージを用いて第1被接合部材にスクリーンを押し付けることで接合用組成物を所定パターンに転写する方法である。
接合用組成物の塗膜の膜厚は、例えば、1~100μmの範囲で適宜調整すればよく、2~80μmが好ましい。
なお第1被接合部材と第2被接合部材は、製造する接合体の用途に応じて適宜選択すればよい。被接合部材の接合面の材質は、焼結温度に対する耐熱性があればよく、例えば、金、銅等の金属類、シリコン、無機系セラミックスなどが挙げられる。
【0048】
<工程(III)>
次いで工程(III)により上記塗膜を半硬化する。前記工程(III)における加熱温度は、前記融解温度(T1)未満であることを条件に、銀ナノ粒子(A)の焼結ピーク温度(T2)などを考慮しながら、50℃~180℃の範囲で任意に設定できる。中でも、100℃~150℃の範囲内とすることが好ましい。
加熱時間は、銀ナノ粒子の焼結性を考慮して、たとえば、1分~24時間、好ましくは15分~4時間の範囲で適宜調整する。なお、工程(III)において、塗膜は、通常、無加圧で加熱する。
これにより、はんだ粒子(B)が実質的に融解せず、銀ナノ粒子(A)の一部が焼結した半硬化膜が得られる。
【0049】
<工程(IV)>
次いで、接合対象である第2被接合部材の接合面を前記半硬化膜上に配置する(工程(IV))。
本接合体製造方法においては、工程(III)と工程(IV)のとの間、又は、工程(IV)と工程(V)との間に、前記塗膜(半硬化膜)を冷却する工程(VI)を有してもよい。ここで本実施形態において、冷却とは、冷気を吹き付けるなど積極的に冷却する場合のみならず、半硬化膜の状態で保管や運搬などを行うことにより結果的に半硬化膜が冷却されることを含む。冷却時間は特に限定されないが、例えば、1分以上、5分以上、10分以上とすることができる。
【0050】
<工程(V)>
次いで、前記半硬化膜を、スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも高い温度で焼成して接合層とする。当該本焼成工程における加熱温度は、前記融解温度(T1)を超え、かつ、200℃~350℃であることが好ましい。加熱時間は、銀ナノ粒子の焼結性を考慮して、たとえば、10秒~12時間、好ましくは1分~2時間の範囲で適宜調整する。工程(V)では、半硬化膜を加圧しながら焼結を行ってもよく、無加圧であってもよい。
【0051】
上記本接合体製造方法によれば、第1被接合部材と、第2被接合部材とが高密度化された接合層を介して接合された接合体を得ることができる。当該接合体は、第1被接合部材と第2被接合部材との接合強度や、熱伝導性などに優れている。
【0052】
[半硬化膜の製造方法]
本実施形態に係る半硬化膜の製造方法(以下、本半硬化膜製造方法という)は、
銀ナノ粒子(A)と、スズを含むはんだ粒子(B)と、溶媒(C)とを含有する接合用組成物を準備する工程(Ia)と、
基材上に、前記接合用組成物を塗布して塗膜を形成する工程(IIa)と、
前記塗膜を、前記スズを含むはんだ粒子(B)の融解温度(T1)よりも低い温度で加熱して、塗膜中の銀ナノ粒子(A)の一部を焼結する工程(IIIa)とを、通常、この順番で有するものであり、必要に応じて更に他の工程を有していてもよいものである。
【0053】
本半硬化膜製造方法における工程(Ia)、工程(IIa)及び工程(IIIa)は、前記本接合体製造方法における工程(I)、工程(II)及び工程(III)と同様であるため詳細な説明は省略する。
本半硬化膜製造方法における基材は、耐熱性を有するものであればよく、前記第1被接合部材と同様のものであってもよく、また、剥離性の基材を用いることにより、得られた半硬化膜を接合用シートとして用いることができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
(製造例1:被覆銀ナノ粒子Ag1の製造)
特開2017-179403号公報を参考に、銀ナノ粒子の表面に2.5~5.2nm2の被覆密度でウンデカン酸が被覆した被覆銀ナノ粒子Ag1を製造した。平均一次粒径は65nmであった。また、下記TG-DTA測定による被覆銀ナノ粒子Ag1の焼結温度(T2)は、160~180℃であった。
【0056】
(製造例2:接合用組成物1の調製)
前記被覆銀ナノ粒子Ag1を1.88質量部、SnBiはんだ粒子(三井金属鉱業製、ST-5; 粒子径約5μm; Sn:Bi=42:58(モル比); 融点(T1)は143℃)8.4質量部、溶媒としてテルソルブTHA-70(日本テルペン化学株式会社製;沸点は223℃)0.3質量部、及び、酪酸3-ヒドロキシ-2,2,4-トリメチルペンチル(東京化成工業株式会社製)0.2質量部を混合して、接合用組成物1を得た。
【0057】
(製造例3:接合用組成物2の調製)
製造例2において、被覆銀ナノ粒子Ag1の代わりに、被覆銀ナノ粒子Ag2(被覆化合物:脂肪族アルコール、粒子径10nm以下、焼結温度T2は180℃~260℃)を用いた以外は製造例2と同様にして、接合用組成物2を得た。
【0058】
(製造例4:接合用組成物3の調製)
製造例2において、被覆銀ナノ粒子Ag1の代わりに、被覆銀ナノ粒子Ag3(被覆化合物:脂肪族アミン、粒子径10nm以下、焼結温度T2は180℃~260℃)を用いた以外は製造例2と同様にして、接合用組成物3を得た。
【0059】
[実施例1:接合体の製造]
製造例2の接合用組成物1を、開口部が4mm四方×厚み0.05mmのメタルマスクを用いて5mm四方×厚み0.5mmの合成石英ガラス基板上に塗布し、塗膜を形成した。次いで、塗膜を大気中110℃で60分間加熱し、半硬化膜を得た。当該半硬化膜は銀ナノ粒子の一部が焼結していることが確認された。
次いで、得られた半硬化膜の上に、金メッキされた窒化アルミナ系セラミックス基板を配置した。半硬化物をガラス基板とセラミックス基板とで挟んだ状態で、大気雰囲気下、半硬化物の厚み方向に0.35kgf/mm2の圧力をかけながら175℃で1分間加熱実装し、更に250℃で60分間加熱し秒間加熱焼成して接合層とし、ガラス基板とセラミックス基板とが接合層を介して接合された接合体を製造した。
【0060】
[実施例2~3:接合体の製造]
実施例1において、接合用組成物1に代えて、それぞれ接合用組成物2又は3を用いた以外は、実施例1と同様にして接合体を製造した。
【0061】
[比較例1:接合体の製造]
前記実施例1において、塗膜の加熱条件を、大気中110℃で60分間から、大気中175℃で60分間に変更した以外は、実施例1と同様にして接合体を製造した。
工程(III)と工程(V)における温度条件を表1に示す。
【0062】
[比較例2~3:接合体の製造]
比較例1において、接合用組成物1に代えて、それぞれ接合用組成物2又は3を用いた以外は、比較例1と同様にして接合体を製造した。
【0063】
【0064】
[評価]
<実装密度評価>
実施例及び比較例で製造した各接合体の接合層をガラス基板側から走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、実装密度を評価した。SEM観察で径が2μm以上の空隙が認められなかったものを〇、径が2μm以上の空隙が認められたものを×として、結果を表1に示す。代表して実施例1と比較例1のSEM像を
図1に、実施例2と比較例2のSEM像を
図2に示す。実施例1と比較例1は、いずれも接合用組成物1を用いて製造された接合層である。本発明の接合体製造方法に従って製造された実施例1の接合層は径が1μm以上の空隙が認められず、比較例1に対して、実装密度が高いことが明らかとなった。また
図2に示すように、同じ接合用組成物2を用いた実施例2と比較例2との比較でも、実施例2の実装密度が高くなっている。
【0065】
<密着性評価>
次に、実施例及び比較例の各接合体を12時間静置した後、接合面の観察を行った。うきや剥がれが認められなかったものを〇、うきや剥がれが認められたものを×として結果を表1に示す。
実施例1~3の接合体は、いずれも各基板との界面において接合層のうきや剥がれは認められず、密着性に優れていた。一方、比較例1~3の接合体では、界面でのうきが認められ、接合が不十分な状態であった。
このように、本発明の製造方法によれば、実装密度が高く優れた密着性を有する接合層を有する接合体が製造できる。