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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】内視鏡処置具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/03 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
A61B17/03
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019214899
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021083707
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504136993
【氏名又は名称】独立行政法人国立病院機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑井 寿雄
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-505777(JP,A)
【文献】国際公開第2014/034254(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0077668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡のチャネル内に挿入可能なチューブ状のシース(10)と、
前記シース(10)に挿通された駆動ワイヤ(11)と、
前記駆動ワイヤ(11)の遠位端に取り付けられた第1外刃(21)、第2外刃(22)、及び、中刃(23)と、を有し、前記第2外刃(22)は弾性体からなり、前記第2外刃(22)は前記第1外刃(21)に対して付勢力により先端に行くに従って略V状に開脚しており、
前記第1外刃(21)及び前記中刃(23)は開閉可能な一対の第1把持片であり、前記駆動ワイヤ(11)を前記シース(10)に対して遠位側にスライドさせることにより前記第1外刃(21)及び中刃(23)を開き、前記駆動ワイヤ(11)を前記シース(10)に対して近位側にスライドさせることにより前記第1外刃(21)及び中刃(23)を閉じる開閉部(30)と、を備え、
前記第1外刃(21)及び前記第2外刃(22)は開閉可能な一対の第2把持片であり、前記駆動ワイヤ(11)を前記シース(10)に対して遠位端側にスライドさせることにより前記シース(10)の遠位端から突出して第1外刃(21)及び第2外刃(22)を開き、前記駆動ワイヤ(11)を前記シース(10)に対して近位端側にスライドさせることにより前記シース(10)内に埋没して第1外刃(21)及び第2外刃(22)を閉じ
前記開閉部(30)は、第1把持片を揺動可能に支持するブラケット(33)と、前記ブラケット(33)に設けられた第1揺動軸(31)と、前記第1外刃(21)の末端部と前記第1揺動軸(31)とを接続する第1脚部(34)と、前記中刃(23)の末端部と前記第1揺動軸(31)とを接続する第2脚部(35)と、前記第1外刃(21)と前記中刃(23)と貫通して揺動可能に支持する第2揺動軸(32)と、を備える、
ことを特徴とする内視鏡処置具(900)。
【請求項2】
前記第1外刃及び前記第2外刃の長さは同じであり、前記中刃の長さは前記第1外刃及び前記第2外刃の長さよりも短いことを特徴とする請求項に記載の内視鏡処置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡治療後出血に対する予防対策として粘膜欠損部に対するクリップ縫縮が多くの施設で行われている。やや大きめの粘膜欠損の場合は、端からファスナーを上げるようにクリップを順にかけていくことにより縫縮が可能である。しかしながらかなり大きめの粘膜欠損の場合には通常のクリップのみで縫縮することは困難である。
【0003】
かなり大きめの粘膜欠損の場合の処置方法として、例えばHold-and-drag閉鎖術がある。この方法はクリップ状把持具にて粘膜欠損の健常粘膜を軽く把持する。そして把持したまま対側まで引き寄せた後に、引き寄せた粘膜をクリップ片側のアームにかけたままクリップをわずかに開いて、対側粘膜も含めて再度把持する手法である。しかしながら引き寄せた粘膜が外れてしまう場合があり、かかる場合は繰り返して掴み直しをトライする必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】内視鏡治療後の縫縮術のコツ,西澤俊宏,Gastroenterological Endoscopyvol.59(6),Jun 2017.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、大きめの粘膜欠損部であっても簡易且つ確実に縫縮することができる内視鏡処置具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる内視鏡処置具は、内視鏡のチャネル内に挿入可能なチューブ状のシース(10)と、前記シース(10)に挿通された駆動ワイヤ(11)と、前記駆動ワイヤ(11)の遠位端に取り付けられた第1外刃(21)、第2外刃(22)、及び、中刃(23)と、を有し、前記第2外刃(22)は弾性体からなり、前記第2外刃(22)は前記第1外刃(21)に対して付勢力により先端に行くに従って略V状に開脚しており、前記第1外刃(21)及び前記中刃(23)は開閉可能な一対の第1把持片であり、前記駆動ワイヤ(11)を前記シース(10)に対して遠位側にスライドさせることにより前記第1外刃(21)及び中刃(23)を開き、前記駆動ワイヤ(11)を前記シース(10)に対して近位側にスライドさせることにより前記第1外刃(21)及び中刃(23)を閉じる開閉部(30)と、を備え、前記第1外刃(21)及び前記第2外刃(22)は開閉可能な一対の第2把持片であり、前記駆動ワイヤ(11)を前記シース(10)に対して遠位端側にスライドさせることにより前記シース(10)の遠位端から突出して第1外刃(21)及び第2外刃(22)を開き、前記駆動ワイヤ(11)を前記シース(10)に対して近位端側にスライドさせることにより前記シース(10)内に埋没して第1外刃(21)及び第2外刃(22)を閉じる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大きめの粘膜欠損部であっても簡易且つ確実に縫縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】菱形リンク機構にて第1把持片を開閉する第1実施形態にかかる内視鏡処置具を説明する図であって、第1外刃、第2外刃、及び、中刃が開いている状態を説明する図である。
図2】菱形リンク機構にて第1把持片を開閉する第1実施形態にかかる内視鏡処置具を説明する図であって、第1外刃と中刃とが閉じている状態を説明する図である。
図3】菱形リンク機構にて第1把持片を開閉する第1実施形態にかかる内視鏡処置具を説明する図であって、第1外刃と中刃とが閉じており、且つ、第1外刃と第2外刃とが閉じている状態を説明する図である。
図4】菱形リンク機構にて第1把持片を開閉する第1実施形態にかかる内視鏡処置具の使用態様を説明する図であって、そのうち(a)は粘膜欠損を把持する前の状態を説明する図であり、(b)は第1外刃と中刃とが閉じて粘膜欠損の一端を軽く把持した状態を説明する図であり、(c)は第1外刃と第2外刃とが閉じて粘膜欠損の一端側と他端側とを強固に把持した状態を説明する図である。
図5】シュート機構にて第1把持片を開閉する第2実施形態にかかる内視鏡処置具を説明する図であって、第1外刃、第2外刃、及び、中刃が開いている状態を説明する図である。
図6】シュート機構にて第1把持片を開閉する第2実施形態にかかる内視鏡処置具を説明する図であって、第1外刃と中刃とが閉じている状態を説明する図である。
図7】シュート機構にて第1把持片を開閉する第2実施形態にかかる内視鏡処置具を説明する図であって、第1外刃と中刃とが閉じており、且つ、第1外刃と第2外刃とが閉じている状態を説明する図である。
図8】シュート機構にて第1把持片を開閉する第2実施形態にかかる内視鏡処置具の使用態様を説明する図であって、そのうち(a)は粘膜欠損を把持する前の状態を説明する図であり、(b)は第1外刃と中刃とが閉じて粘膜欠損の一端を軽く把持した状態を説明する図であり、(c)は第1外刃と第2外刃とが閉じて粘膜欠損の一端側と他端側とを強固に把持した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
【0010】
(1)第1実施形態
図1は本発明にかかる内視鏡処置具(900)の概略を説明する図である。図1に示されるように、本発明にかかる内視鏡処置具(900)は、内視鏡のチャネル内に挿入可能なチューブ状の可撓性を有するシース(10)と、シース(10)に挿通された駆動ワイヤ(11)と、駆動ワイヤ(11)の遠位端に取り付けられた第1外刃(21)、第2外刃(22)、及び、中刃(23)を有する。
【0011】
第1外刃(21)及び中刃(23)は開閉可能な一対の第1把持片であり、例えば内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD;endoscopic submucosal dissection)後の潰瘍部の粘膜を把持することができる。開閉部(30)は略菱形のリンク機構であり、駆動ワイヤ(11)をシース(10)に対して遠位側にスライドさせることにより第1外刃(21)及び中刃(23)が開き、一方、駆動ワイヤ(11)をシース(10)に対して近位側にスライドさせることにより第1外刃(21)及び中刃(23)が閉じる。第1外刃(21)及び第2外刃(22)の長さは同じであり、中刃(23)の長さは第1外刃(21)及び第2外刃(22)の長さよりも短い。
【0012】
具体的には、開閉部(30)は、第1把持片を揺動可能に支持するブラケット(33)と、ブラケット(33)に設けられた第1揺動軸(31)と、前記第1外刃(21)の末端部と前記第1揺動軸(31)とを接続する第1脚部(34)と、前記中刃(23)の末端部と前記第1揺動軸(31)とを接続する第2脚部(35)と、前記第1外刃(21)と前記中刃(23)と貫通して揺動可能に支持する第2揺動軸(32)とを備える。
【0013】
図示しない内視鏡ハンドル部を操作して駆動ワイヤ(11)を遠位端側に移動させると押圧力がブラケット(33)を介してリンク機構である開閉部(30)に伝達され、このリンク機構の作動により第1鉗子片が開かれるようになっている。
【0014】
図2は本発明にかかる内視鏡処置具(900)の概略を説明する図であって、第1外刃(21)及び中刃(23)からなる第1把持片が閉じている状態を説明する図である。図示しない内視鏡ハンドル部を操作して駆動ワイヤ(11)を近位側に移動させると、牽引力がブランケット(33)を介してリンク機構である開閉部(30)に伝達され、リンク機構の作動により第1鉗子片が閉じられる。
【0015】
第2外刃(22)は例えば金属製の弾性体からなり、第2外刃(22)は第1外刃(21)に対して付勢力により先端に行くに従って略V状に開脚している。第1外刃(21)及び第2外刃(22)は開閉可能な一対の第2把持片であり、駆動ワイヤ(11)をシース(10)に対して遠位端側にスライドさせることによりシース(10)の遠位端から突出して第1外刃(21)及び第2外刃(22)を開き、一方、駆動ワイヤ(11)をシース(10)に対して近位端側にスライドさせることによりシース(10)内に埋没して第1外刃(21)及び第2外刃(22)が閉じる。
【0016】
図3は本発明にかかる内視鏡処置具900の概略を説明する図であって、第1外刃(21)及び中刃(23)からなる第1把持片が閉じており、且つ、第1外刃(21)及び第2外刃(22)からなる第2把持片も閉じている状態を説明する図である。第1把持片が閉じている状態で、更に、図示しない内視鏡ハンドル部を操作して駆動ワイヤ(11)を近位側に移動させると、略V状に開脚している第2把持片がシース(10)内に埋没して第1外刃(21)及び第2外刃(22)が閉じる。
【0017】
次に第1実施形態にかかる内視鏡処置具(900)の使用態様について説明する。
【0018】
内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection:EMR)は内視鏡を用いて筋層以下(粘膜下層の奥)に障害を与えずに、粘膜下層の深さで粘膜層を広く切除し、組織を回収する技術である。EMR後の粘膜欠損に対するクリップを用いた内視鏡的縫縮術は術後遅発性出血の予防に有用であるが、大きめの粘膜欠損の場合はクリップによる縫縮が困難となる虞がある。
【0019】
ESDは、腫瘍径に関わらず腫瘍の一括切除が可能であり、従来の内視鏡治療では切除困難であった腫瘍に対しても内視鏡での低侵襲な治療が可能となる。ESD後の切除後潰瘍底は剥き出しの状態で術後経過観察されることがあり、粘膜が欠損した状態の潰瘍底は術後の腹痛や発熱の原因の一つになる場合がある。ESD後の術後潰瘍底に対してのクリップ閉鎖では大きめの粘膜欠損の場合、術後潰瘍底の適切な閉鎖が困難となる虞がある。
【0020】
上述のようなEMR又はESD後の大きめの粘膜欠損の場合であっても、本実施形態にかかる内視鏡処置具を使用する下記に示す手順により適切な閉鎖が可能となる。
【0021】
図4(a)に示されるように、例えば開口面が略楕円形の粘膜欠損部(44)がある場合、駆動ワイヤ(11)をシース(10)に対して近位側にスライドさせることにより第1外刃(21)及び中刃(23)が閉じることで粘膜欠損部の一端を軽く把持する。即ち、一回目の把持は、第1外刃(21)及び中刃(23)が閉じることによる粘膜欠損部の一端側の把持である。
【0022】
次に図4(b)に示されるように、第1外刃(21)及び中刃(23)が閉じて粘膜欠損部の一端を軽く把持した状態にて、粘膜欠損部の他端側へ移動させる。
【0023】
次に図4(c)に示されるように、第1把持片が閉じている状態から、更に、駆動ワイヤ11を近位側に移動させると、略V状に開脚している第2把持片がシース(10)内に埋没して第1外刃(21)及び第2外刃(22)が閉じて、粘膜欠損部の一端側と他端側とを把持する。即ち、二回目の把持は、第1外刃(21)及び第2外刃(22)が閉じることによる粘膜欠損部の一端側と他端側との把持である。
【0024】
これによりかなり大きめの粘膜欠損の場合であっても、引き寄せた粘膜欠損部の一端側が外れることなく簡易且つ確実に縫縮することができる。
【0025】
(2)第2実施形態
図5は本発明にかかる内視鏡処置具(910)の概略を説明する図である。図5に示されるように、本発明にかかる内視鏡処置具(910)は、内視鏡のチャネル内に挿入可能なチューブ状のシース(50)と、シース(50)に挿通された駆動ワイヤ(51)と、駆動ワイヤ(51)の遠位端に取り付けられた第1外刃(61)、第2外刃(62)、及び、中刃(63)を有する。第1外刃(61)及び第2外刃(62)の長さは同じであり、中刃(63)の長さは第1外刃(61)及び第2外刃(62)の長さよりも短い。
【0026】
第1外刃(61)及び中刃(63)は開閉可能な一対の第1把持片であり、例えば内視鏡的粘膜下層剥離術後の潰瘍部の粘膜を把持することができる。開閉部(60)は、第1把持片のそれぞれの刃に設けられたシュート内を貫通した固定ピンが往復運動することで第1把持片が開閉するシュート機構であり、駆動ワイヤ(51)をシース(50)に対して遠位側にスライドさせることにより第1外刃(61)及び中刃(63)を開き、駆動ワイヤ(51)をシース(50)に対して近位側にスライドさせることにより第1外刃(61)及び中刃(63)が閉じる。
【0027】
具体的には、開閉部(60)は、第1外刃(61)及び中刃(63)の末端を接続する可動ピン(73)と、第1外刃(61)及び中刃(63)の中部にそれぞれ設けられたシュート(61s,63s)と、シュート(61s,63s)を貫通する固定ピン(72)と、を有する。
【0028】
図示しない内視鏡ハンドル部を操作して駆動ワイヤ(51)を遠位端側に移動させると押圧力が可動ピン(73)に伝達され、固定ピン(72)が第1外刃(61)及び中刃(63)の中部にそれぞれ設けられたシュート(61s,63s)内を近位側に移動することで第1鉗子片が開かれるようになっている。
【0029】
図6は本発明にかかる内視鏡処置具(910)の概略を説明する図であって、第1外刃(61)及び中刃(63)からなる第1把持片が閉じている状態を説明する図である。図示しない内視鏡ハンドル部を操作して駆動ワイヤ(51)を近位側に移動させると、牽引力が可動ピン(73)を介してシュート機構である開閉部(60)に伝達され、固定ピン(72)が第1外刃(61)及び中刃(63)の中部にそれぞれ設けられたシュート(61s,63s)内を遠位側に移動することで第1鉗子片が閉じられる。
【0030】
第1実施形態と同様に、第2外刃(62)は例えば金属製の弾性体からなり、第2外刃(62)は第1外刃(61)に対して付勢力により先端に行くに従って略V状に開脚している。第1外刃(61)及び第2外刃(62)は開閉可能な一対の第2把持片であり、駆動ワイヤ(51)をシース(50)に対して遠位端側にスライドさせることによりシース(50)の遠位端から突出して第1外刃(61)及び第2外刃(62)を開き、一方、駆動ワイヤ(51)をシース(50)に対して近位端側にスライドさせることによりシース(50)内に埋没して第1外刃(61)及び第2外刃(62)が閉じる。
【0031】
図7は本発明にかかる内視鏡処置具(910)の概略を説明する図であって、第1外刃(61)及び中刃(63)からなる第1把持片が閉じており、且つ、第1外刃(61)及び第2外刃(62)からなる第2把持片も閉じている状態を説明する図である。第1把持片が閉じている状態で、更に、図示しない内視鏡ハンドル部を操作して駆動ワイヤ(51)を近位側に移動させると、略V状に開脚している第2把持片がシース(50)内に埋没して第1外刃(61)及び第2外刃(62)が閉じる。
【0032】
次に第2実施形態にかかる内視鏡処置具(910)の使用態様について説明する。
【0033】
図8(a)に示されるように、例えば開口面が略楕円形の粘膜欠損部(44)がある場合、駆動ワイヤ(51)をシース(50)に対して近位側にスライドさせることにより第1外刃(61)及び中刃(63)が閉じることで粘膜欠損部の一端を軽く把持する。即ち、一回目の把持は、第1外刃(61)及び中刃(63)が閉じることによる粘膜欠損部の一端側の把持である。
【0034】
次に図8(b)に示されるように、第1外刃(61)及び中刃(63)が閉じて粘膜欠損部の一端を軽く把持した状態にて、粘膜欠損部の他端側へ移動させる。駆動ワイヤ(51)を近位側に移動させると牽引力が可動ピン(73)を介してシュート機構である開閉部60に伝達され、固定ピン(72)が第1外刃(61)及び中刃(63)の中部にそれぞれ設けられたシュート(61s,63s)内を遠位側に移動することで第1鉗子片が閉じる。
【0035】
次に図8(c)に示されるように、第1把持片が閉じている状態から、更に、駆動ワイヤ51を近位側に移動させると、略V状に開脚している第2把持片がシース(50)内に埋没して第1外刃(61)及び第2外刃(62)が閉じて、粘膜欠損部の一端側と他端側とを把持する。即ち、二回目の把持は、第1外刃(61)及び第2外刃(62)が閉じることによる粘膜欠損部の一端側と他端側との把持である。
【0036】
これによりかなり大きめの粘膜欠損の場合であっても、引き寄せた粘膜欠損部の一端側が外れることなく簡易且つ確実に縫縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
内視鏡的粘膜下層剥離術後潰瘍治療に利用できる。
【符号の説明】
【0038】
10,50:シース
11,51:駆動ワイヤ
21,61:第1外刃
22,62:第2外刃
23,63:中刃
31:第1揺動軸
32:第2揺動軸
33:ブラケット
34:第1脚部
35:第2脚部
30:開閉部
61s,63s:シュート
72:固定ピン
73:可動ピン
900,910:内視鏡処置具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8