(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】ローラー型健康器具
(51)【国際特許分類】
A61H 15/00 20060101AFI20230622BHJP
A61H 39/04 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A61H15/00 310F
A61H15/00 320C
A61H39/04 H
(21)【出願番号】P 2020039356
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-04-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ●ウェブサイトへの掲載 1.ウェブサイトへの掲載日 令和1年9月24日 2.ウェブサイトのアドレス https://www.amazon.co.jp/YumiCoreBody・HoggsyRoller(ホグッシーローラー)【村田友美子プロデュース】/dp/B07YBW32HJ/ 3.公開者 村田友美子
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ●ウェブサイトへの掲載 1.ウェブサイトへの掲載日 令和1年10月1日 2.ウェブサイトのアドレス http://yumicorebody.com http://yumicorebody.com/goods/ 3.公開者 村田友美子
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ●販売 1.販売日 令和2年2月4日 2.販売した場所 株式会社イーピック(東京都渋谷区恵比寿西1-8-1かづさやビル203) 3.公開者 村田友美子
(73)【特許権者】
【識別番号】520347018
【氏名又は名称】株式会社Yumi Core Body
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【氏名又は名称】橋本 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【氏名又は名称】橋本 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100226713
【氏名又は名称】橋本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】村田 友美子
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-261405(JP,A)
【文献】特開2015-073804(JP,A)
【文献】実開平01-107334(JP,U)
【文献】実開平06-015630(JP,U)
【文献】特開2017-006678(JP,A)
【文献】特開2010-022729(JP,A)
【文献】特開平11-042270(JP,A)
【文献】登録実用新案第3087002(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 15/00
A61H 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールと組み合わせて使用する
ことができる筋膜リリース用のローラー型健康器具であって、
円筒形の芯部と、前記芯部の外周を被覆した緩衝部とからなり、
前記緩衝部の少なくとも1箇所に、
前記ボールの
半径よりも浅いくぼみが形成され、
前記緩衝部の上側に位置する前記くぼみに前記ボールを
保持した状態で
、
前記ボールに人体
を押し当て
体重をかけて筋膜を刺激することを特徴とするローラー型健康器具。
【請求項2】
前記芯部が硬質であり、前記緩衝部および前記ボールが弾性を有することを特徴とする請求項1記載の筋膜リリース用のローラー型健康器具。
【請求項3】
前記くぼみは、平面視の形状が円形・
軸方向に長い小判形・
軸方向に長い楕円形のいずれかであるとともに、断面視の形状が椀形であることを特徴とする請求項1または2記載のローラー型健康器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に筋膜に外部刺激を与え、筋膜リリースを実現するためのローラー型健康器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肩こりや腰痛、または筋肉痛などの症状を軽減するために、手指または丸みを帯びた指圧棒などを用いたマッサージを自分自身で行う、あるいは整骨院やマッサージ店などにおいて施術を受けることが一般的に行われていた。
【0003】
特に近年、筋肉を包んで身体全体にはりめぐらされている筋膜のねじれや委縮や癒着がコリや痛みを招き、筋肉の柔軟性を損なうことに着目して、筋膜を柔らかく滑りを良くして、解きほぐすことにより、筋肉の柔軟性向上、関節の可動域の拡大、血行の改善などを目指す、いわゆる筋膜リリースが注目されている。
【0004】
しかしながら、自分自身の手指で行う場合は手の届く範囲が限られるため、筋膜リリースのできる箇所や強さに限界があり、他人による施術を受ける場合はその都度金銭的負担がかかるため、自ら手軽に筋肉のコリや痛みを解消できるような手段として、ローラー型(パイプ状)健康器具が人気を博している。
【0005】
例えば特開2004-305232号公報(特許文献1)および特開2010-22729号公報(特許文献2)に示すように、剛性を有する材料で形成されたパイプ状の健康器具が知られており、更に市販のものとしては外周表面に多数の凸凹が形成されたものも知られている。
【0006】
これらパイプ状の健康器具の使用に際しては、パイプ状の健康器具を床に転がし、その上に人が背中または腰を載せて仰向けに寝ころがり、この仰向けの状態でパイプ状の健康器具を転がしながら往復動し、背中や腰を伸ばして筋膜や筋肉に刺激を与えるものである。
【0007】
また、特開2019-80725号公報(特許文献3)に示すような弾性を有する筋膜リリースのための球状の健康器具が知られている。
【0008】
これら球状の健康器具の使用に際しては、球状の健康器具を手に持って肩や首などの患部に押し当てる、あるいは壁や床と身体の間に挟み、球状の健康器具を転がしながら往復動することで、肩や首などの患部を直に刺激して筋膜や筋肉に刺激を与えるものである。
【0009】
しかしながら、これら従来のパイプ状や球状の健康器具においては、パイプ状の健康器具においては作用範囲が広くて筋膜への刺激が分散することや、球状の健康器具においては壁や床と身体の間に挟んで使用する際に作用させる位置や角度に限度があることから、人体の希望する特定の部位に的確に強くあるいは深く刺激を与えることが難しく、筋膜リリースの十分な効果を実現することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2004-305232号公報
【文献】特開2010-22729号公報
【文献】特開2019-80725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、これまでの筋膜リリース用の健康器具よりも容易かつ効果的な使用が可能であって、人体の希望する特定の部位に的確に強くあるいは深く刺激を与えて筋膜リリースを可能とすることのできる健康器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するためになされた本発明であるローラー型健康器具は、ボールと組み合わせて使用するローラー型健康器具であって、円筒形の硬質な芯部と、前記芯部の外周を被覆した弾性を有する緩衝部とからなり、前記緩衝部の少なくとも1箇所に、ボールの一部が嵌るくぼみが形成され、前記くぼみに前記ボールを嵌めた状態で人体に押し当てて使用することを特徴とする。
【0013】
また、前記くぼみは、前記ボールの四方への移動が規制される形状もしくは前記ローラー型健康器具における幅方向への移動は規制されるとともに前記ローラー型健康器具における軸方向への一定距離の移動は可能である形状のどちらかである場合、くぼみの形状に応じて前記ボールの保持の仕方が異なるため、製造者は使用目的に応じたくぼみの形状を選択可能であるほか、複数種類の溝を同時に有する場合はユーザーが自ら使用目的に応じて適切なくぼみに前記ボールの一部を嵌めて前記ボールを自らの身体に押し当て、所望の部位の筋膜リリースが可能となるため特に望ましい。
【0014】
更に、前記くぼみは、平面視の形状が円形・小判形・楕円形のいずれかであるとともに、断面視の形状が椀形である場合、安定してくぼみ内にボールを保持することが可能であるため特に望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明であるボールと組み合わせて使用するローラー型健康器具によれば、ローラー型健康器具のみで使用することも可能であるとともに、ボールを組み合わせることにより、従来周知のパイプ状や球状の健康器具では不十分であった使用上の利便性を向上させ、ユーザーが容易に自らの身体の希望する特定の部位に的確に強くあるいは深く刺激を与えて筋膜リリースを可能とすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明であるローラー型健康器具の好ましい実施の形態を示す斜視図。
【
図2】
図1に示したローラー型健康器具およびボールの正面図。
【
図3】
図1に示したローラー型健康器具の使用状態を示す図。
【
図6】
図1に示したローラー型健康器具における要部断面図。
【
図7】本発明であるローラー型健康器具の異なる実施の形態を示す、(a)正面図、(b)平面図、および(c)B-B線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0018】
図1は本発明であるローラー型健康器具100の好ましい実施の形態を示す斜視図、
図2は正面図である。
【0019】
これら図に示すように、前記ローラー型健康器具100は、芯部10と、緩衝部20と、からなり、ボールBと組み合わせて使用し、人体の主に筋膜に外部刺激を与え、筋膜リリースを実現するために使用するものである。
【0020】
前記芯部10は、本実施の形態においては硬質材である硬質PVC(ポリ塩化ビニル)から形成され、所定の内径を有する円筒形を呈するものである。材質について、PVCは適度な硬度と弾性を有することから特に望ましいが、その他の合成樹脂を硬質材として使用するものとしてもよい。
【0021】
前記緩衝部20は、本実施の形態においては弾性材であるEVA発泡体(エチレン・酢酸ビニル共重合体)から形成され、前記芯部10の外周11を被覆して配置されている。材質について、EVA発泡体は適度な硬度と弾性を有することから特に望ましいが、その他の合成樹脂を弾性材として使用するものとしてもよい。
【0022】
本実施の形態において、前記緩衝部20は硬度55度、表面硬度72度のEVA発泡体を用いており、このように比較的硬度の高い素材を用いることで前記ボールBと組み合わせた際の筋膜リリース効果の向上を期待できるが、これに限られるものではなく、より高いまたはより低い硬度の素材を使用することも可能である。
【0023】
前記緩衝部20の外周21には、軸方向に形成された複数本の溝22および周方向に形成された複数本の溝23が形成されており、前記各溝22,23によって前記緩衝部20の表面を区画しており、この区画による凹凸もボールBを組み合わせないで使用する際、人体に刺激を与えて筋膜リリースの効果を発揮できるものとなっている。
【0024】
前記緩衝部20の外周21には、平面視の形状が円形のくぼみ30と、平面視の形状が小判形のくぼみ40とが形成されており、これらくぼみ30,40は、湾曲した内周31,41を有する椀形であって、前記ボールBの一部を嵌めて保持するためのものである。
【0025】
なお、前記ローラー型健康器具100を製造するにあたっては、予め成形した前記芯部10を型内にセットした後に前記型内に硬化前のEVA発泡体を充填することで前記緩衝部20を形成するインサート成形により製造することが好ましいが、その他従来周知の方法によって製造するものとしてもよい。
【0026】
図3は前記ローラー型健康器具100の使用状態を示す図である。
【0027】
この図に示すように、前記ローラー型健康器具100を使用する際には、前記ローラー型健康器具100を床Fに置き、前記くぼみ30(または前記くぼみ40)内に前記ボールBの一部を嵌めた状態で、ユーザーUは筋膜リリースをしたい部位Pに前記くぼみ30(または前記くぼみ40)から突出した前記ボールBが当たるような姿勢で体重を掛けることで、前記ボールBによって前記部位Pに外部刺激を与えるものである。
【0028】
このとき、前記ローラー型健康器具100は前記床F上を転がることが可能であるため、前記ユーザーUは身体を前後に揺するように動かすことで前記部位P周辺に様々な角度からより深くあるいは強く刺激を与え、筋膜リリースをすることができる。
【0029】
このように、前記ローラー型健康器具100と前記ボールBを組み合わせて使用することによって、従来のパイプ状の健康器具においては作用範囲が広くて刺激が分散することや、従来の球状の健康器具においてはその小ささ故に壁や床と身体の間に挟む際に適切な位置に保持するのが難しいことといった問題を解消し、ユーザーUは容易に自らの身体のより深い部分や広い範囲の部位Pの筋膜を刺激して筋膜リリースができるものである。
【0030】
図4は前記ローラー型健康器具100の平面図、
図5は前記
図4のA-A線断面図である。
【0031】
図6は前記ローラー型健康器具100の要部断面図であり、
図6(a)は前記くぼみ30に前記ボールBの一部を嵌めた状態、
図6(b)は前記くぼみ40に前記ボールBの一部を嵌めた状態を示す図である。
【0032】
前記
図6(a)に示すように、前記くぼみ30においては、その平面視形状が円形であることから、前記内周31全面に前記ボールBが保持され、前記ボールBの四方の移動はいずれも制限されて動かない状態となる。
【0033】
そのため、前記ユーザーUは安定した状態で前記くぼみ30から突出した前記ボールBを所望の前記部位Pに押し当てた後に、前記ローラー型健康器具100の回転を利用して身体を前後に揺するように動かすことで、前記ボールBから前記部位Pへと前記ボールBが静止状態で押すよりも多彩な角度・深さ・強さの刺激を与えることが可能となる。特に狭い範囲や深い位置の部位に刺激を与えたい場合にはこの前記くぼみ30を使用する。
【0034】
前記
図6(b)に示すように、前記くぼみ40においては、その平面視形状が小判形であることから、前記内周41全面に前記ボールBが保持されるものではなく、幅方向(図示する上下方向)における前記ボールBの移動は制限されるが、軸方向(図示する左右方向)における一定距離の前記ボールBの移動は可能な状態に保持される。
【0035】
そのため、前記ユーザーUは安定した状態で前記くぼみ30から突出した前記ボールBを所望の前記部位Pに押し当てた後に、前記ローラー型健康器具100の回転を利用して身体を前後に揺するように動かすことで、前記ボールBから前記部位Pへと前記ボールBが静止状態で押すよりも多彩な角度・深さ・強さの刺激を与えることが可能となるのみならず、更に身体を左右に揺するように動かすことで、前記くぼみ40内における軸方向へ動く範囲で前記ボールBを前記部位Pに押し当てつつ更に刺激を与えることが可能である。
【0036】
本実施の形態において、前記くぼみ30の深さh1および前記くぼみ40の深さh2は前記ボールBの半径rよりも浅い形状となっており、このように前記くぼみ30または前記くぼみ40から前記ボールBの大半が露出していることで前記ボールBを前記部位Pに押し当てやすくなっているが、前記くぼみ30の深さh1および前記くぼみ40の深さh2は、前記ボールBが埋没しないように前記ボールの直径を上限として任意の範囲に設計してもよい。
【0037】
なお、くぼみの個数は、本実施の形態においては平面視の形状が円形の前記くぼみ30および平面視の形状が小判形の前記くぼみ40の各1個が軸方向(図示する左右方向)における同一線上に形成されているものであるが、複数形成するものとしてもよく、また、くぼみの形状は、前述した平面視の形状が円形または小判形のものに限らず、楕円形であってもよい(図示せず)。
【0038】
図7は本発明の異なる実施の形態であるローラー型健康器具200を示す図であり、
図7(a)は正面図、
図7(b)は平面図、
図7(c)は前記
図7(b)におけるB-B線断面図である。
【0039】
このローラー型健康器具200は、平面視の形状が円形であって同じ大きさのくぼみ30が軸方向(図示する左右方向)における同一線上に2個形成されている点において前記ローラー型健康器具100と異なる。
【0040】
前記ローラー型健康器具200によれば、
図7(a)に示すように2つの前記ボールBを同時に前記くぼみ30に嵌めて使用することが可能であることから、例えばユーザーUが腰の左側と右側を同時に刺激したい場合などに特に適するものである。
【0041】
尚、前記ボールBは、弾性を有するものであることが望ましく、その材質は単一の素材により形成されるもの、複数の素材が積層して形成されるもの等従来周知の材質とすることが可能であり、また、その形状は中空のもの、中実のもの、表面に溝や突起を有するもの等従来周知の形状とすることが可能である。
【0042】
以上のように、本発明であるボールと組み合わせて使用するローラー型健康器具によれば、ローラー型健康器具のみで使用することも可能であるとともに、ボールを組み合わせることにより、従来周知のパイプ状や球状の健康器具では不十分であった使用上の利便性を向上させ、ユーザーが容易に自らの身体の希望する特定の部位に的確に強くあるいは深く刺激を与えて筋膜リリースを可能とすることができるものである。
【0043】
尚、本発明であるボールと組み合わせて使用するローラー型健康器具は、主に筋膜に刺激を与えることによる筋膜リリースを行うためのものであるが、単純に筋肉を刺激することによる指圧・マッサージ効果を得るためのものとして使用することもできる。
【符号の説明】
【0044】
10 芯部、11 外周、20 緩衝部、21 外周、22,23 溝、30 くぼみ、31 内周、40 くぼみ、41 内周、100,200 ローラー型健康器具、B ボール、F 床、P 部位、U ユーザー、h1 くぼみ30の深さ、h2 くぼみ40の深さ、r ボールBの半径