(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】係留設備
(51)【国際特許分類】
E02B 3/20 20060101AFI20230622BHJP
B63B 21/00 20060101ALI20230622BHJP
B63B 35/34 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
E02B3/20 A
B63B21/00 Z
B63B35/34 Z
(21)【出願番号】P 2022114477
(22)【出願日】2022-07-19
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591182433
【氏名又は名称】富士海事工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】重岡 良政
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-043356(JP,A)
【文献】実開平06-060611(JP,U)
【文献】特開昭49-021888(JP,A)
【文献】特開平09-143922(JP,A)
【文献】特開平03-065489(JP,A)
【文献】実開昭63-104414(JP,U)
【文献】特開平06-158614(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0867012(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0140218(KR,A)
【文献】特開平10-025726(JP,A)
【文献】特開2015-000660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/20
B63B 21/00
B63B 35/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川の川縁領域に固定、設置されると共に、水面に浮いた状態でタグボートによって牽引可能であり、運搬船が横付けされる基台と、
前記基台の外縁側に形成された貫通孔と、
前記貫通孔に上下方向に挿通して設置され、駆動機構によって前記基台に対して上下動可能に駆動され、水底に接地可能なスパッドと、
前記基台に移動可能に設けられ、陸側と基台との間で運搬車両の出入りを可能にする橋渡部材と、
を有することを特徴とする係留設備。
【請求項2】
前記基台は略矩形形状であり、前記スパッドは前記基台の外縁側に複数個所、設置されていることを特徴とする請求項1に記載の係留設備。
【請求項3】
前記基台の先端側には、河川に設置された状態で、水流方向に沿って突出する突部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の係留設備。
【請求項4】
前記基台には、横付けされた運搬船に対して、荷物を搬出、搬入するための回転可能なクレーン装置が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の係留設備。
【請求項5】
前記橋渡部材は、前記基台に2個所設けられており、一方の橋渡部材を介して基台に乗り込んだ運搬車両に対して、前記クレーン装置から荷物を搬入することが可能であり、
他方の橋渡部材は、荷物が搬入された運搬車両をバックさせることなく、そのまま陸側に移動可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の係留設備。
【請求項6】
前記基台には、陸側に設置された固定部材と連結されるウインチが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の係留設備。
【請求項7】
前記スパッドと基台は、前記スパッドが水底に当接して固定された後、
前記駆動機構が発生する動力が前記スパッドへ伝達されるのを遮断するフリー状態に維持されることを特徴とする請求項2に記載の係留設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川と陸地の境界領域に設置され、船舶用の荷物の物流拠点となる係留設備に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を輸送する方法として、陸路を利用することが一般的であるが、国によっては、河川に運搬船を乗り入れて荷物を輸送することが行なわれている(例えば、ミャンマーのヤンゴン川、エーヤワディー川、カラダン川、クラブリー川、コック川、サルウィン川、シッタン川、チンドウィン川、バゴー川、メコン川、モエイ川、パラグアイのパラグアイ川、パラナ川、バングラデッシュのガンジス川、メグナ川、フェニ川、プラマプトラ川、ムフリ川など)。これらの河川は、日本の河川とは異なり、流れが緩やかで幅が広いという特徴があり、道路網が十分に整備されていないケースでは、運搬船を利用した河川輸送することが利便性において有利である。
【0003】
ところで、これらの河川は、雨季と乾季で水位が大きく変化(7~10m程度)すること、陸側が十分に整備されていないこと等の理由により、船舶(運搬船)を接岸させるための設備(桟橋などの接岸設備)を設けることは容易ではない。すなわち、このような設備は、護岸整備のための工事、河川と陸地の境界領域での埋め立て工事、船舶が横付けされる桟橋などを設置する工事が必要とされるため、コスト面において実現することは難しい。特に、上記したような河川には、曲がりくねった状態のものがあり、時間の経過に伴う浸食、洪水等によって船舶を接岸させる位置が変化する可能性があるため、特定の個所に船舶用の接岸設備を設置することは適切ではない。
【0004】
したがって、上記したような国での河川を利用した荷物の運搬作業は、係留設備を設けることなく、運搬船を陸に接近させた状態で、多数の人物によって荷物の運び出し作業、及び、搬入作業が行なわれており、作業者は、頭上に荷物を置いた運搬作業が強いられる等、非効率な状況となっている。
【0005】
船舶を陸地に接岸させる構造物として、例えば、特許文献1に開示された係留装置が知られている。この係留装置は、船舶が接岸できる浮桟橋を係留するものであり、水底に設置された一対の台座支柱と、これらの台座支柱に揺動可能に保持される揺動支柱とを備えている。前記揺動支柱の一端は、水底に固定された基礎部に揺動可能に連結されており、揺動支柱の他端は、連結チェーンを介して浮桟橋に連結されている。
この係留装置は、大波が来襲した際に、浮桟橋が漂流することを防止するための構造であり、浮桟橋は、平行クランクとなった揺動支柱を介して水面に沿って変位することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、日本の河川は、急流で川幅が狭いという特徴があり、また、陸上の交通網が整備されているため、河川に運搬船用の係留設備を設置する必要性はない。
しかしながら、上記したような河川輸送を行なっている国に対して、インフラ整備等で開発援助をすることがある。このような場合、適切な河川用の係留設備(係留設備の設計思想)がないのが現状であり、例えば、上記した特許文献1に開示されているような係留装置を設置しようとすると、以下の問題が生じてしまう。
【0008】
前記浮桟橋は、平行クランクとして構成された揺動構造によって水平面に沿って移動可能であるため、運搬船を横付けした状態で安定した搬入、搬送作業を行なえない。
前記浮桟橋は平行クランク構造で水底に固定する構造であることから、基礎部を水底に対して強固に固定する必要があり、設置コストが高くなってしまう。また、浮桟橋と水底との間に揺動構造を設けているため、設置コストが高くなってしまう。
前記浮桟橋は、津波のような大きな水面変化があったときに漂流しないように水底に固定される構造であるため、一旦、装置を設置すると、その位置を変更することは容易ではない。
【0009】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、河川の任意の川縁領域に移動可能に設置することができ、運搬船を横付けして、安定した状態で荷物の搬出入が行なえる係留設備を容易かつ低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記したような河川で物品を搬送する国では、河川に隣接して造船所を設置していることが多い。本発明では、このような実情に着目し、造船所において、以下のような構成の係留設備を建造し、そのまま河川に進水させてタグボートで牽引して、任意の川縁領域に設置できるように構成することを特徴としている。
【0011】
すなわち、上記した目的を達成するために、本発明に係る係留設備は、河川の川縁領域に固定、設置されると共に、水面に浮いた状態でタグボートによって牽引可能であり、運搬船が横付けされる基台と、前記基台の外縁側に形成された貫通孔と、前記貫通孔に上下方向に挿通して設置され、駆動機構によって前記基台に対して上下動可能に駆動され、水底に接地可能なスパッドと、前記基台に移動可能に設けられ、陸側と基台との間で運搬車両の出入りを可能にする橋渡部材と、を有することを特徴とする。
【0012】
上記した構成の係留設備は、運搬船が横付けされる基台が、河川の川縁領域に固定、設置される。基台には、貫通孔が形成されており、この部分にスパッドが上下動可能に挿通され、駆動機構によって水底に接地した状態で基台が固定される。この際、基台は、スパッドによって水面上で移動が規制された状態となり、安定した状態に保持される。このため、基台に運搬船を横付けした状態で、橋渡部材を介して運搬車両が乗り入れても、安定して荷物の搬出、搬入作業が行えるようになる。また、基台は水面に対して浮くため、スパッドを持ち上げた状態で牽引することができ、容易に場所を変更して設置することが可能である。さらに、基台は、河川沿いに設置されている造船所からそのまま進水させて、タグボートで牽引できるため、構造が簡単で、設置に関するコストを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、河川の任意の川縁領域に移動可能に設置することができ、運搬船を横付けして、安定した状態で荷物の搬出入が行なえる係留設備を容易かつ低コストで提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る係留設備を河川に設置した状態の概略図。
【
図2】スパッド及び基台に配設される駆動機構の一構成例を示す図。
【
図3】(a)及び(b)は、駆動機構によってスパッドが垂直方向に移動する状態を示す図。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る係留設備を河川に設置した状態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る係留設備の実施形態について説明する。
図1から
図3は、本発明の第1の実施形態に係る係留設備を示す図であり、
図1は河川に設置した状態の概略図、
図2はスパッド及び基台に配設される駆動機構の一構成例を示す図、そして、
図3(a)及び(b)は、駆動機構によってスパッドが垂直方向に移動する状態を示す図である。
【0016】
係留設備1は、運搬船100が横付けされる基台(ポンツーン)3を備えている。本実施形態の基台3は、略矩形の形状を備えており、その長辺の長さ(河川の流れに沿った方向の長さ)は40~60m程度、短辺の長さ(長辺に対して直交する辺の長さ)は20~30m程度、その深さ(肉厚)は2~5m程度に形成されている。
【0017】
基台3は、河川の水に浮くように構成されていれば良く、空洞構造、中実構造、これらの構造体の組み合わせ等で構成され、プレート状に構成されていても良いし、多数個のブロック体を組み合わせて連結したものであっても良い。この場合、このような基台3は、川沿いにある造船所で製造し、そのまま滑らせて進水できることから、コストや手間を考慮して、1枚のプレート状に構成したもの、或いは、4~5枚程度のプレート体を連結して構成したものであることが好ましい。
また、基台3には、後述するように、運搬車両110が乗り入れたり、荷物を取り扱うクレーン装置50が設置されることから、そのような重量体が載置できる大きさや強度が確保されていれば良い。
【0018】
基台3は、それ自体の重さが調節できるように、ポンプによって、バラスト水が注排水されるように構成されていても良く、水面200に浮いた状態で保持される以外にも、水面から離間した状態で保持される構成であっても良い。また、基台3の大きさや形状については、河川の大きさ、搬送入される荷物の種類、横付けされる運搬船の大きさなどに応じて、適宜、変形することが可能である。
【0019】
前記基台3は、非自航式でタグボート(曳舟)等によって牽引可能に構成されており、河川内を移動可能となっている。勿論、スラスターなどを搭載する等して、自航式として構成されていて良い。
【0020】
前記基台3上には、陸側300と基台3との間で、運搬車両110の出入りを可能にする橋渡部材5が設けられている。本実施形態の橋渡部材5は、川沿いに沿って、所定間隔で2箇所設けられている。各橋渡部材5は、それぞれ基台3の表面に移動可能に設置されており、本実施形態では、矩形形状で基台3の表面に回動可能に設置されている。基台3の表面には、橋渡部材5の先端側に締結され、ワイヤ7を巻き取るウインチ8と、ワイヤ7を一定の高さ位置で引き上げるための一対のポスト9が設置されている。
これにより、各ウインチ8の駆動によって橋渡部材5は回動駆動され、陸側300との間で搬入経路5A、及び、搬出経路5Bを形成することが可能となる。
【0021】
前記基台3の外縁側には、スパッド10が設置されている。本実施形態の基台3は、上記したように略矩形形状に形成されており、スパッド10、は基台3の外縁側(四隅の角部の4箇所)に、それぞれ1本ずつ、計4本、設置されている(基台に複数個所、設置されている)。各スパッド10は、同一の構成であり、駆動機構15によって、基台3に対して上下動可能に駆動され、その一端部が水底210に当接した状態で接地可能となっている。
【0022】
前記基台3には、
図2に示すように、スパッド10を貫通させる貫通孔11が形成されており、その部分には、貫通孔を閉塞し、前記駆動機構15の構成要素を収容したボックス状のスパッド支持筐体(以下、筐体と称する)12が設置されている。前記スパッド10は、貫通孔11及び筐体12を挿通して、一端が水中に延出しており、他端が基台3の表面から上方に向けて突出している。また、スパッド10の水底側の端部には、水底210に当て付いて安定化できるように、板状の当接部10Aが設けられている。
【0023】
なお、前記スパッド10の本数、設置位置については、コストがかからず安定した状態で基台3を保持できる構成であれば特に限定されることはない。
【0024】
前記駆動機構15は、
図2及び
図3に示すように、筐体12内に配設された複数の駆動モータ(油圧モータ)16と、駆動モータ16とスパッド10との間に配設される動力伝達機構17とを備えている。前記動力伝達機構17の構成については、限定されることはないが、本実施形態では、スパッド10の外面に長手方向に沿って形成されたラック17aと、このラック17aに長手方向に沿って一定間隔で噛合するピニオン17bとを備えたラック・ピニオン方式で構成されている。このため、ピニオン17bが駆動モータ16によって回転駆動されることで、スパッド10は、下降したり(
図3(a)参照)、上昇する(
図3(b)参照)ように駆動される。
【0025】
上記した基台3は、タグボードで牽引され、河川の川沿い領域の任意の位置に設置される。基台3が水上を移動しているときは、各スパッド10は、前記駆動機構によって、上昇した位置に保持され、基台3の移動を妨げることはない。そして、基台3が所定の位置に到着した際、前記駆動機構15によって、各スパッドが下降され、先端の当接部10Aが水底に当接することで、位置決めがなされる。
【0026】
前記動力伝達機構17にクラッチ機構を設けておいても良く、スパッド10への動力伝達を遮断するようにしても良い。すなわち、スパッド10が水底に当接して所定の位置に固定された後は、ラック17aとピニオン17bを動力非伝達状態にして、筐体12(基台3)とスパッド10がフリー状態となるように構成しても良い。これにより、河川の水位が変化しても、基台3は、浮いた状態で各スパッド10によって水平方向に移動することなく位置決めが成された状態となり、駆動モータ16及び動力伝達機構17の負荷を浮けることなく、上下動する(水面の変化に追従する)ことが可能となる。
【0027】
なお、スパッド10と基台3は、上記したようなラック17aとピニオン17bが係合する動力伝達状態に維持されていても良い。このような動力伝達状態では、両者の係合力を、基台3に作用する浮力以下に設定しておくことで、基台3は、水面の変化に追従することが可能である。
【0028】
前記基台3には、陸側300に設置された固定部材(例えば、ボラード等)と連結されるウインチ20を設けておくことが好ましい。
このようなウインチ20を設けておくことで、基台3を安定して係留しておくことが可能となる。
【0029】
また、本実施形態の基台3には、横付けされた運搬船100に対して、荷物を搬出、搬入するための回転可能なクレーン装置50が設置されている。このクレーン装置50は、基台3上に設置、固定される支持部51と、支持部51に回転可能に設置されたアーム部52とを備えており、アーム部52の先端に配設されたウインチ53及びフック54によって、運搬船100と、基台3上に乗り入れた運搬車両110との間で荷物の受け渡し作業が可能となる。
【0030】
そして、本実施形態の基台3上には、油圧、制御ユニット60が設置されており、上述した各スパッドの駆動機構15、橋渡部材5を回動させるウインチ8、クレーン装置50等の駆動要素を1個所で駆動、制御するようにしている。
【0031】
本実施形態では、上記したように、橋渡部材を基台3に、所定間隔をおいて2個所設けており、一方の橋渡部材を陸側300との間で搬入経路5Aとし、他方の橋渡部材を搬出経路5Bとしている。この場合、前記クレーン装置50を、両側の橋渡部材(搬入経路5A、搬出経路5B)の中間領域に設置しておくことで、基台3に乗り込んだ運搬車両110を停車させて荷物を搬入することが可能であり、荷物が搬入された運搬車両110をバックさせることなく、そのまま他方の橋渡部材を経由して陸側300に移動させる配置態様にすることが可能となる。これにより、効率的な荷物の搬送作業を実現することができる。
【0032】
以上のような係留設備1によれば、物流を、河川を利用して行なっている地域では、運搬船を接岸させるための埋め立て工事や、船舶が横付けされる桟橋などの設置工事等を行なう必要がなく、低コストで運搬船から荷物の搬入、搬出作業が行なえるようになる。この場合、係留設備の基台3は、スパッド10によって水平方向の移動が規制された状態で上下方向に変位できるので、水面が変化しても基台3が安定化する。また、基台3に運搬車両110が乗り入れ、クレーン装置50で荷物の搬入、搬出作業ができるため、多数の作業者が不要となり、効率的な輸送作業が行えるようになる。さらに、スパッド10を基台3から持ち上げて河川の状況に応じて基台3の位置を変更することが容易に行えるため、特定の位置に運搬船の接岸設備を設ける必要がなく、設備が無駄になることもない。
【0033】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る係留設備を示す図である。
以下、第2の実施形態について説明するが、第1の実施形態と同様な構成については、同じ参照符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0034】
この実施形態の基台3の先端側には、河川に設置された状態で、水流方向に沿って突出する突部3A,3Bが形成されている。上記したように、基台3については、大きさや形状については、限定されることはないが、このような突部3A,3Bを形成した略矩形形状にしておくと、突部3A,3Bに対する陸側の領域P1,P2の内、下流側の陸側の領域(P2とする)では、流れの影響が受け難くなるため、安定して運搬船を横付けすることが可能となる。
【0035】
また、本実施形態では、基台3に3個所のスパッド10を設けるようにしており、基台3上に上記したクレーン装置を設けるのではなく、必要に応じて自走式のクレーン車50Aが乗り込むようにしている。さらに、橋渡部材5については、1個所に設置している。
【0036】
このような係留設備によれば、前記第1の実施形態と比較すると、構成要素が少ないことから、より低コスト化することが可能となる。
【0037】
なお、陸側300の地面がぬかるんでいる等の状況となっていれば、橋渡部材5がセットされる部分に、コンクリート舗装を施したり、鉄板部材330を敷設する(
図1、
図4参照)等、境界部分が安定するようにしても良い。また、スパッド10が水底と当接する部分においても、スパッドが安定するように、基礎部材350を設置したり、簡単な基礎工事を行なうようにしても良い。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態の構成に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
上記した駆動機構15、動力伝達機構17は一例であり、同様な機能が発揮できれば、適宜、変形することが可能である。例えば、前記スパッド10を上下駆動させる駆動機構については、ウインチの巻き取り、繰り出しによって構成することが可能である。また、橋渡部材5は、回動方式としたが、スライド方式にする等、適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 係留設備
3 基台
5 橋渡部材
10 スパッド
12 筐体
15 駆動機構
50 クレーン装置
50A クレーン車両
100 運搬船
110 運搬車両
200 水面
300 陸側
【要約】
【課題】河川の任意の川縁領域に移動可能に設置することができ、運搬船を横付けして、安定した状態で荷物の搬出入が行なえる係留設備を容易かつ低コストで提供する。
【解決手段】本発明に係る係留設備1は、河川の川縁領域に固定、設置されると共に、水面に浮いた状態でタグボートによって牽引可能であり、運搬船100が横付けされる基台3と、基台3の外縁側に形成された貫通孔と、貫通孔に上下方向に挿通して設置され、駆動機構によって基台3に対して上下動可能に駆動され、水底210に接地可能なスパッド10と、前記基台に移動可能に設けられ、陸側と基台との間で運搬車両の出入りを可能にする橋渡部材5と、を有する。
【選択図】
図1