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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】カスタムクッション式シートバック
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/02 20060101AFI20230622BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20230622BHJP
   B60N 2/809 20180101ALI20230622BHJP
【FI】
B60N2/02
B60N2/22
B60N2/809
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022189124
(22)【出願日】2022-11-28
【審査請求日】2022-11-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】719007453
【氏名又は名称】原澤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】原澤 和彦
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0273221(US,A1)
【文献】特開昭56-031832(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02345111(FR,A1)
【文献】米国特許第05533787(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/02
B60N 2/22
B60N 2/809
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背もたれサイド部(4)と、背もたれ骨格部(5)と、ヘッドレストクッション部(6)及びヘッドレスト台座部(7)から構成されるヘッドレスト部(1)と、ネックピロティクッション部(8)及びネックピロティ台座部(9)から構成されるネックピロティ部(2)と、背もたれクッション部(10)及び背もたれ台座部(11)から構成される背もたれ部(3)と、スライド機構(12)を有す、背もたれ骨格部(5)、または背もたれサイド部(4)に配設されたスライド機構(12)を使って、ヘッドレスト部(1)と、ネックピロティ部(2)と、背もたれ部(3)を、シートバックの高さ方向に対し上下に移動させる形態のシートバックであって、ヘッドレスト台座部(7)とネックピロティ台座部(9)と背もたれ台座部(11)は、2本1組のレールで構成されるスライド機構(12)の直上に配設される、とともにスライド機構(12)は、背もたれ骨格部(5)の直上に重なって配設され、ヘッドレストクッション部(6)下部とネックピロティクッション部(8)上部、およびネックピロティクッション部(8)下部と背もたれクッション部(10)上部の重なる部分が相補的な形状であり、装着したヘッドレストクッション部(6)と、ネックピロティクッション部(8)と、背もたれクッション部(10)を垂直方向に側面視したときの着座者背面と接する面の断面形状が、人の頭部から脊椎を側面視したときのS字湾曲に契合する形状を形成する構造を特徴とする、カスタムクッション式シートバック。
【請求項2】
スライド機構(12)に装着された、ヘッドレスト台座部(7)と、ネックピロティ台座部(9)と、背もたれ台座部(11)に、着脱交換可能なヘッドレストクッション部(6)と、ネックピロティクッション部(8)と、背もたれクッション部(10)を装着する形態と、ヘッドレストクッション部(6)と、ネックピロティクッション部(8)と、背もたれクッション部(10)を装着した、ヘッドレスト台座部(7)と、ネックピロティ台座部(9)と、背もたれ台座部(11)を、スライド機構(12)に装着する形態を特徴とする、請求項1記載のカスタムクッション式シートバック。
【請求項3】
第1種の形態として、ヘッドレスト部(1)とネックピロティ部(2)と、背もたれ部(3)が、独立してシートバック骨格部(5)に配設される構造を特徴とする、請求項1又は2記載のカスタムクッション式シートバック。
【請求項4】
第2種の形態として、背もたれ部(3)が背もたれサイド部(4)が一体構造になったものと、ヘッドレスト部(1)とネックピロティ部(2)が、独立してシートバック骨格部(5)に配設される構造を特徴とする、請求項1又は2記載のカスタムクッション式シートバック。
【請求項5】
第3種の形態として、ヘッドレスト部(1)と、背もたれサイド部(4)が一体構造になったものと、ネックピロティ部(2)と、背もたれ部(3)が、独立してシートバック骨格部(5)に配設される構造を特徴とする、請求項1又は2記載のカスタムクッション式シートバック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
慣用の車両用シートバックは、上体の傾きを調整するリクライニング機構、前後の可動域を持つランバーサポート機構、上下と前後の可動域を持つヘッドレスト、幅の調整が可能なシートバックのサイド、といった機能と構造を備えていた。しかし、着座者個々の座高や頭部と頸椎と胸椎と腰椎と仙椎を側面視したときのS字湾曲に合わせて、頭部と、頸椎と、腰椎の3カ所を支持出来るよう、頭部と、頸椎と、腰椎を支える部分を上下に位置調整出来る、とともに着座者個々の座高や頭部と頸椎と胸椎と腰椎と仙椎を側面視したときのS字湾曲に合わせ、カスタマイズしたクッション部を簡単に交換出来るものは、現時点において確認できていない。そのため、頭部の保護機能重視の頸椎保持機能が低い慣用シートでは、頸椎とのシートの間に大きな隙間が出来てしまうことにより、着座時に後方から追突された場合の入力に対して、頸椎へのダメージが大きく、頸椎捻挫の一因となることもあり、長距離移動時には首の疲れを誘発していた。また、着座者個々の腰椎を、着座者にとって適切な状態で支え保持することが出来ないため、長距離移動時の腰痛の原因となることも多々あった。以上のような機能的欠陥を補うために、車両用シートバックに後付けする汎用のネックピロティとランバーサポートが販売されているが、上記に示した課題の根本的な解決には至っていない。
【0003】
特許文献1は、ヘッドレスト部と一体化したネックピロティ部のみが、シェル状の単体としてフレーム上で上下の可動域を持ち、台座部を有していないネックピロティ部とランバーサポート部の形状調整は、円弧が2つ並びふくらみを増減させるのみで、着座者の背中側の脊椎を側面視したときのS字湾曲に契合させるように調整する形態になっていないため、構造的にシートバッククッション部と着座者の脊椎背部との間に隙間を生じるところが出来てしまい、着座者の脊椎のS字弯曲形状を保つことは困難である、とともに着座者の座高や頭部の形状や大きさの違いに対応できないと考えられる。
【0004】
次に、特許文献2は、台座部を有しない定形のネックピロティ部とランバーサポート部を当てものと考えており、それぞれが2組のスライド機構を用いて上下方向に可動域を持たせる構造のみで、ネックピロティ部と腰椎のサポート部そのものを交換することや、形状調整することを想定していないため、個々の着座者に対し、個々の着座者を側面視したときの脊椎のS字弯曲に契合した形態をとることは不可能で、シートバックのクッション部と着座者の脊椎背部との間に隙間が生じてしまう形態のため、シートバックが着座者の脊椎を部分的にしか支えられず、脊椎間の椎間板への負荷を誘発する構造である。その上、ヘッドレスト部の位置調整と形状調整が出来ないため、着座者の座高の違いによる頭部の支えも不十分である。
【0005】
また、特許文献3のエルゴノミクスチェアは、ヘッドレスト部とネックピロティ部による着座者背部の支持を大きな特徴としているが、当該部分に上下の可動域を持たせたり、着座者の脊椎のS字弯曲を支持するという視点がなく、ヘッドレスト部のネック部分を支点に前後に倒れたり起きたりすることによるリラックス効果を主目的としているため、着座者の座高の違いや脊椎の弯曲に対応させるといった構造を有していない。
【0006】
更に、特許文献4は、シートバックのクッション部表面上に配設された頭部と、腰部と、臀部を支えるための台座部を有していない定形の当てものを、位置調整可能な一対のスライド機構を使って上下に移動させ構造であるが、その断面形状は、着座者の頭部から脊椎にかけて側面視したときのS字湾曲に契合させる形態を想定していないため、やはり、シート表面と当てものが着座者背面との間に隙間が生じさせてしまう形態になっている。
【0007】
そして、特許文献5では、シートバックのクッション部表面にスライド機構を有しない幾つかの定形の当てものを配設する簡易的な構造をとり、シートバックと着座者の頭部と頸椎と頸椎から腰椎、着座者の間にできる隙間を部分的に埋めようとするもので、着座者の頭部と脊椎の側面視したときのS字湾曲に契合させる形態を想定していないため、構造的に着座者背面との隙間を完全に埋めることが出来ず、脊椎のS字弯曲を保持するように脊椎各部を支えることは不可能に近い。尚、本文献も各クッション部に台座部を有していない。
【0008】
以上の特許文献1から5は、定形の当てもの的なクッション部が、前後に移動や収縮や上下に移動したりするといったもので、着座者を側面視したときの背面を部分的に支える構造を大前提にしているため、個々の着座者を側面視したときの背面形状を構成する脊椎のS字湾曲を支持することが構造的に不可能な、シート表面と着座者の背面との間に隙間が生じてしまう形態である。これらに対し、本願発明の特徴は、個々の着座者を側面視したときの背面形状に契合するように、垂直方向の表面断面形状を幾つかに相似的にパターン化してある各クッション部の中から選び、組み合わせ、隙間と段差ないようにセットすることにより、シート表面と着座者の背面との間に隙間をなくし、着座者を側面視したときの背面形状を構成する脊椎のS字湾曲を支持できる形態を備えるもので、各クッション部が簡単に着脱可能な上に、各クッション部が台座部を有するというもので、特許文献1から5のどれにも相当していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開昭62-270110号公報
【文献】仏国特許出願公開第2345111号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0273221号明細書
【文献】米国特許出願公開第4862536号明細書
【文献】米国特許出願公開第5533787号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
様々な機能・構造が考えられた上で、開発・製品化されてきた慣用の車両用シートであるが、頸椎と腰椎を支えるシートバック部には形態的改良の余地を残している。
【0011】
上下・前後に調整可能なヘッドレスト部を持つシートバックであっても、固定式のヘッドレストに比べ、着座時に後方から頭部への急激な入力があった場合の頭部への急激な後方への揺れ防止を主目的とするため、頸椎との間に隙間が出来ているものが多く、頸部に疾患を持つ者に対する配慮がない形態でもあった。
【0012】
そのため、着座時に後方から頭部への急激な入力があった場合に、頸椎の後方へ瞬間的に激しい揺れを防止することができず、健常な者でも頸椎捻挫等の頸椎損傷を引き起こすことがあるため、頸部に疾患を持つ者にとってはなおさらである。
【0013】
また、ランバーサポートの構造や形状を持ったシートバックであっても、前後の調整のみで、着座者の座高によって異なる腰椎の位置や腰椎から胸椎下部にかけての弯曲形状に契合させるための、形状調節構造および上下位置調節構造を備えていないため、健常な者でも長時間着座したときに腰痛や疲れを誘発することもあり、腰の疾患を抱えている者にとって改善の必要があった。
【0014】
これらを解決するために、主に、頸椎支持部と、腰椎支持部に、独立した位置調整構造を持たせる、とともに着座者の後頭部と、頸椎と、胸椎と、腰椎と仙椎の繋がりがつくる側面から見たときのS字湾曲を、背中側から保持出来るよう、ヘッドレスト部と、ネックピロティ部と、背もたれ部を、着座者個々の座高および頭部と頸椎と胸椎と腰椎と仙椎を側面視したときのS字湾曲を保持するべく、着座者の背面とシートとの間に生じる隙間を極力なくし、着座者脊椎を側面視したときのS字湾曲を支えることが可能な、表面形状をカスタマイズしてある各クッション部の着脱交換と、各部の位置調整が可能な構造を持った、カスタムクッション式シートバックを本発明で提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
背もたれサイド部4と、背もたれ骨格部5と、ヘッドレストクッション部6及びヘッドレスト台座部7から構成されるヘッドレスト部1と、ネックピロティクッション部8及びネックピロティ台座部9から構成されるネックピロティ部2と、背もたれクッション部10及び背もたれ台座部11から構成される背もたれ部3と、スライド機構12を有す、背もたれ骨格部5、または背もたれサイド部4に配設されたスライド機構12を使って、ヘッドレスト部1と、ネックピロティ部2と、背もたれ部3を、シートバックの高さ方向に対し上下に移動させる形態のシートバックであって、ヘッドレストクッション部6下部と、ネックピロティクッション部8上部が、接するようにスライドし、重なり合う、とともにネックピロティクッション部8下部と、背もたれクッション部10上部が、接するようにスライドし、重なり合う形態によって、装着したヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10を垂直方向に側面視したときの着座者背面と接する面の断面形状が、人の頭部から脊椎を側面視したときの滑らかなS字湾曲に契合する形状を形成する構造を特徴とする、カスタムクッション式シートバック。
【0016】
スライド機構12に装着された、ヘッドレスト台座部7と、ネックピロティ台座部9と、背もたれ台座部11に、着脱交換可能なヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10を装着する形態と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10を装着した、ヘッドレスト台座部7と、ネックピロティ台座部9と、背もたれ台座部11を、スライド機構12に装着する形態を特徴とする、カスタムクッション式シートバック。
【0017】
第1種の形態として、ヘッドレスト部1とネックピロティ部2と、背もたれ部3が、独立してシートバック骨格部5に配設される構造を特徴とするカスタムクッション式シートバック。
【0018】
第2種の形態として、背もたれ部3が背もたれサイド部4が一体構造になったものと、ヘッドレスト部1とネックピロティ部2が、独立してシートバック骨格部5に配設される構造を特徴とする、カスタムクッション式シートバック。
【0019】
第3種の形態として、ヘッドレスト部1と、背もたれサイド部4が一体構造になったものと、ネックピロティ部2と、背もたれ部3が、独立してシートバック骨格部5に配設される構造を特徴とする、カスタムクッション式シートバック。
【発明の効果】
【0020】
主に、着座者を側面視したときの頸椎の支持と、腰椎の支持のための位置調整機能を備え、着座者の頭部と、頸椎と、胸椎と、腰椎と仙椎の繋がりがつくるS字湾曲に契合する形態を形成する、とともに背中側から前記形状を支持出来るよう、表面形状のカスタマイズが可能で、着脱交換可能な各クッション部が、上下の位置調整できる構造を持った本願発明の調整式シートバックは、慣用のシートバックに比べ、乗車時における後部からの追突による頸部への衝撃や、長距離移動時の首の疲れ・腰痛を軽減出来る、とともに頸椎や腰椎に何らかの症状を抱えている人の患部を、着座時に背中側からのサポートを提供出来る機能を持った構造であり、本発明の構造・形態は、列車・飛行機・船舶用のシートやオフィス・レジャー用のシート等への転用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a) 第1種の形態の斜視図である。 (b) 第1種の形態の正面図である。
図2】(a) 第2種の形態の斜視図である。 (b) 第2種の形態の正面図である。
図3】(a) 第3種の形態の斜視図である。 (b) 第3種の形態の正面図である。
図4】(a) 第1種と第2種と第3種の形態における、座高が低い着座者を側面視した時の、着座者の背面と着座者の背面に契合した形状に成形した、ヘッドレスト部とネックピロティ部と背もたれ部との関係を示した本発明品の断面図である。 (b) 第1種と第2種と第3種の形態における、座高が高い着座者を側面視した時の、着座者の背面と着座者の背面に契合した形状に成形した、ヘッドレスト部とネックピロティ部とい背もたれ部との関係を示した本発明品の断面図である。
図5】(a) 各クッション部を軟質部A1と硬質部A2で構成した場合の、各クッション部と、着座者の脊椎のS字弯曲形状との関係を、第1種の形態を用いて説明した図である。
図6】(a) ネックピロティクッション部8が、ヘッドレストクッション部6に、背もたれクッション部10が、ネックピロティクッション部8に、下方から上方に重なるときの第1接続部B1と第2接続部B2の関係を示した図である。 (b) ヘッドレストクッション部6が、ネックピロティクッション部8に、ネックピロティクッション部8が、背もたれクッション部10に、上方から下方に重なるときの第1接続部B1と第2接続部B2の関係を示した図である。 (c) ヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10が、上記(a)(b)以外の形態で接しているときの第1接続部B1と第2接続部B2の関係を示した図である。
図7】(a) 図6(a)の、ネックピロティクッション部8と、ヘッドレストクッション 部6と、背もたれクッション部10を、シートバックの下方向に詰めた状態での第1接続部B1と第2接続部B2の関係を示した図である。 (b) 図7(a) の状態にある、ネックピロティクッション部8と、ヘッドレストクッション部6と、背もたれクッション部10を、シートバックの上方向に移動した状態での第1接続部B1と第2接続部B2の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1の(a)(b) 、図2の(a)(b)、図3の(a)(b)に示すように、シートバック本体の表面は、ヘッドレスト部1と、ネックピロティ部2と、背もたれ部3と、背もたれサイド部4から構成される形態を備える。
【0023】
図4の(a)(b)、図5(a) 、図6の(a)(b)(c)、 図7の(a)(b) に示すように、ヘッドレスト部1は、ヘッドレスト部クッション部6と、ヘッドレスト台座部7で構成され、ネックピロティ部2は、ネックピロティクッション8と、ネックピロティ台座部10で構成され、背もたれ部3は、背もたれクッション部10と、背もたれ台座部11で構成され、各台座部はスライド機構12に装着して上下に移動する形態を備え、図5(a)に示すように各クッション部は、第1接続部B1と第2接続部B2で、接するようにスライドし、重なり合う形態で接続し、表面カバーCで覆われる構造を持つ。尚、第1接続部B1とは、ネックピロティクッション部8の下部と、ヘッドレストクッション部6の上部が重なり合う箇所であり、第2接続部B2とは、ネックピロティクッション部8下部と、背もたれクッション部10上部が重なり合う箇所である。
【0024】
図1の(a)(b)に示すように、第1種の形態は、1ヘッドレスト部1と、ネックピロティ部2と、背もたれ部3がそれぞれ独立している、とともにヘッドレスト台座部7と、ネックピロティ台座部9と、背もたれ台座部11がスライド機構12を使って上下にスライドする形態を備えるが、各部の境となる形状は直線とは限らない。
【0025】
図2の(a)(b)に示すように、第2種の形態は、背もたれ部3と、背もたれサイド部4が一体構造をとり、ヘッドレスト台座部7と、ネックピロティ台座部9と、背もたれ台座部11が上下にスライドする形態を備えるが、各部の境となる形状は直線とは限らない。
【0026】
図3の(a)(b)に示すように、第3種の形態は、ネックピロティ部2と、背もたれサイド部4が一体構造をとり、ヘッドレスト台座部7と、ネックピロティ台座部9と、背もたれ台座部11が上下にスライドする形態を備えるが、各部の境となる形状は直線とは限らない。
【0027】
装着したヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10を垂直方向に側面視したときの着座者背面と接する面の断面形状が、人の頭部から脊椎を側面視したときの滑らかなS字湾曲に契合する形状を形成する構造とは、シートバックを高さ方向に側面視したときに、装着された状態のヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10が、第1接続部B1と第2接続部B2で、接するようにスライドし、重なり合うことによって形成された着座者背面と接する面の形状が、個々の着座者の頭部13と、頸椎14と、胸椎15と、腰椎16と、仙椎17を側面視したときに、各椎間板の前後の厚さが均等に保たれた状態の脊椎のS字湾曲に契合する形状が形成される構造である。そして、着座者の着座時の背面からの圧力では形状変化しにくい高反発のクッション素材を各クッション部に使用し、高弾性の各台座部の素材を使用することによって、前記S字湾曲の保持力が高めることが出来る、とともに、表側に形状追従性を持った軟質部(A1)、芯部に硬質部(A2)の2層構造をとることによって、シートバック表面と着座者の背面との密着性を高め、シートバック表面と着座者の背面との間に隙間をつくらないことが可能になる構造である。
【0028】
着脱交換可能なヘッドレストクッション部(6)と、ネックピロティクッション部(8)と、背もたれクッション部10は、垂直方向の表面断面形状を身長や座高に応じて形成してあるものの中から、個々の着座者の頭部13と、頸椎14と、胸椎15と、腰椎16と、仙椎17を側面視したときのS字弯曲に契合するものをセレクトし、各台座部に装着して使用する。
【0029】
図4(a)(b)、 図5(a)、図6(a)(b)(c)、図7(a)(b)に示すように、ヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10は、各クッション部の垂直方向の表面断面形状について、想定出来る着座者の座高と頭部13と、頸椎14と、胸椎15と、腰椎16と、仙椎17の長さの平均値をもとにした長さと、前記着座者の脊椎を側面視視したときの、各椎の間にある椎間板の前後の厚さが均等に保たれた状態のS字湾曲の平均的な形状を算出し、パターン化成形したものを着脱して使用する形態をとる。
【0030】
図5(a)に示すように、ヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10の表面部に軟質部A1に薄手で弾性が低く、密着性や形状追従性の高い、低反発のウレタン等の素材を配し、コア部分に硬質部A2を配設することにより、個々の着座者の脊椎を側面視したときのS字湾曲を保持し、背面とシートバックのとの密着性を高めることが可能で、生理学的または人間工学的に、着座者の脊椎への局所的な負荷がない状態を保持出来る形態となる。
【0031】
図4(a)(b)、 図5(a)、図6(a)(b)(c)、図7(a)(b)に示したスライド機構12は、背もたれ骨格部5に配設した場合の図であり、ヘッドレスト台座部7用のスライド機構12を、ネックピロティ台座部9に、ネックピロティ台座部9用のスライド機構12を、背もたれ台座部11に配設、またはヘッドレスト台座部7用と、ネックピロティ台座部9用のスライド機構12を、背もたれ台座部11に配設する場合もある。また、スライド機構12の構造は、レール、または筒、または棒状の軸、ボルト、ラック&ピニオン、チェーン、ベルト等を使用する形態をとる。
【0032】
図4(a)(b)、図5(a)、図6(a)(b)(c) 、図7(a)(b)に示す、ヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10の垂直方向の表面断面形状を相似的にパターン化されたものを使用することに限らず、各クッション部の側面断面部形状を、個々の着座者の頭部と脊椎を側面視したときの形状および座高に合わせ新たに成形して使用することも可能である他、個々の着座者に合わせてその都度形状記憶させる機能を持たせることも可能で、内圧・形状が調整可能なエアクッションや、柔軟で形状追従性の高い低反発の発泡ウレタンからできたルーズクッションや、ウレタン部への補助部材の挿入可能なウレタン素材や、変形・調整・記憶が可能な形状記憶可能な素材を使用することも可能である。
【0033】
図4(a)(b)、図5(a)、図6(a)(b)(c)、図7(a)(b)に示す、ヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10は、ヘッドレスト台座部7と、9ネックピロティ台座部9と、背もたれ台座部11に、マジックテープ(登録商標)や、フックや、ホックや、ファスナー等を使って脱着交換出来る形態を備える。
【0034】
図5(a)、図6(a)(b)(c)に示すように、ヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10のそれぞれを着脱可能な、ヘッドレスト台座部7と、ネックピロティ台座部9と、背もたれ台座部11は、高剛性の素材による平板状の形態を備える。
【0035】
図4(a)(b)、図5(a)、図6(a)(b)(c) 、図7(a)(b)は、ヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10をヘッドレスト台座部7と、ネックピロティ台座部9と、背もたれ台座部11に装着済みのものを、スライド機構12に装着して使用する形態と、スライド機構12に装着済みのヘッドレスト台座部7と、ネックピロティ台座部9と、背もたれ台座部11に、ヘッドレストクッション部6と、ネックピロティクッション部8と、背もたれクッション部10に装着して使用する2種類の形態を前提にしている。
【0036】
各クッション部の第1接続部B1と第2接続部B2における形態の組み合わせは、図6(a)(b)に示した2通りの組み合わせに限らず、(a)と(b)を組み合わせたもの、または(a)と(c)の組み合わせ、または(b)と(c)の組み合わせ、または(c)のみでも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ヘッドレスト部(c)
2 ネックピロティ部
3 背もたれ部
4 背もたれサイド部
5 背もたれ骨格部
6 ヘッドレストクッション部
7 ヘッドレスト台座部
8 ネックピロティクッション部
9 ネックピロティ台座部
10 背もたれクッション部
11 背もたれ台座部
12 スライド機構
13 頭部
14 頸椎
15 胸椎
16 腰椎
17 仙椎
A1 軟質部
A2 硬質部
B1 第1接続部
B2 第2接続部
C 表面カバー

【要約】      (修正有)
【課題】後部からの追突による頸部への衝撃や長距離移動時の首の疲れ・腰痛を軽減出来るとともに、頸椎や腰椎に何らかの症状を抱えている人の患部を着座時に背中側からのサポートを提供出来る機能を持ったシートバックを提供する。
【解決手段】着座者のへドレスト部と、ネックピロティ部と、背もたれ部それぞれの形状や位置を調整可能にすることで、着座者の頭部13と、頸椎14と、胸椎15と、腰椎16と仙椎17を側面視したときのS字湾曲の形状を着座者の背中側から保持する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7