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▶ バタフライボード株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】クリップ及びクリップを用いた製品
(51)【国際特許分類】
   B42F 1/02 20060101AFI20230622BHJP
   B42F 9/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B42F1/02 K
B42F9/00 J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023502975
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2022036660
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2021166289
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518034322
【氏名又は名称】バタフライボード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 英彦
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-189678(JP,U)
【文献】登録実用新案第3064235(JP,U)
【文献】実開平2-71681(JP,U)
【文献】特開2000-343864(JP,A)
【文献】特開2006-130726(JP,A)
【文献】登録実用新案第3077652(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0096157(US,A1)
【文献】実開昭62-43780(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/02
B42F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の押さえ部と支点と空間と回動空間を備え、
一対の押さえ部は、互いに対向する面に挟持部を有しており、一方の押さえ部が他方の押さえ部に対して支点を中心に回動自在に連結され、
支点は、一方の押さえ部を開閉するものであり、他方の押さえ部の先端上方に設定され、
空間は、一対の押さえ部の挟持部間に形成されるものであり、
回動空間は、一方の押さえ部が回動する空間であり、支点から外方へ延長される一方の押さえ部の下面と他方の押さえ部の下面との間に設けられた段差により形成され、
一方の押さえ部の挟持部は、磁石を有し、
他方の押さえ部の挟持部は、磁石に吸着される磁石又は吸着材を有し、
磁石と磁石又は吸着材は、少なくとも閉状態から被挟持体の最大挟持状態の回動範囲において対向していることを特徴とするクリップ。
【請求項2】
一方の押さえ部の磁石は、閉状態から被挟持体の最大挟持状態未満の回動範囲において、他方の押さえ部の吸着材及び被挟持体に間接的又は直接的に線接触する当接角部と、被挟持体の最大挟持状態において、被挟持体に間接的又は直接的に面接触する当接平面部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のクリップを用いた製品であって、一対の押さえ部の一方に被挟持体を載せる載置部を有することを特徴とする製品。
【請求項4】
載置部をカバーするカバー部と第2の支点を備え、カバー部は、載置部に対して第2の支点を中心に回動自在に連結されており、回動により載置部の表裏に対向し、第2の支点は、載置部に対してカバー部を開閉すると共に、カバー部を載置部の表裏に移動させるものであり、カバー部は、端部に磁石又は磁石に吸着される吸着材を有しており、カバー部が載置部の表面にあるときに、載置部を有する押さえ部の磁石又は吸着材と吸着すると共に、載置部が無い押さえ部の磁石又は吸着材と吸着するようにされ、カバー部が載置部の裏面にあるときに、載置部を有する押さえ部の磁石又は吸着材と吸着するようにされていることを特徴とする請求項に記載の製品。
【請求項5】
第2の支点は、カバー部の磁石側の端部又は吸着材側の端部が、載置部が無い押さえ部の磁石側の端部又は吸着材側の端部に対して接近・離間させる方向に屈曲するように形成され、接近時において、載置部の表面にあるときのカバー部の磁石側の端部又は吸着材側の端部が、載置部が無い押さえ部の磁石側の端部又は吸着材側の端部に突き合わされることを特徴とする請求項4に記載の製品。
【請求項6】
載置部の表面にあるときのカバー部の磁石側の端部又は吸着材側の端部に、載置部が無い押さえ部の表面に重なり合う重合面を備え、重合面は、載置部が無い押さえ部の磁石又は吸着材に吸着される磁石又は磁石に吸着される吸着材を備えていることを特徴とする請求項4に記載の製品。
【請求項7】
載置部の表面にあるときのカバー部の磁石側の端部又は吸着材側の端部に、載置部が無い押さえ部の表面に重なり合う重合面を備え、重合面は、載置部が無い押さえ部の磁石又は吸着材に吸着される磁石又は磁石に吸着される吸着材を備えていることを特徴とする請求項5に記載の製品。
【請求項8】
重合面の第2の支点側には、屈曲部が設けられており、屈曲部は、重合面を載置部が無い押さえ部の表面に対して接近・離間させる方向に屈曲自在であることを特徴とする請求項に記載の製品。
【請求項9】
重合面の第2の支点側には、屈曲部が設けられており、屈曲部は、重合面を載置部が無い押さえ部の表面に対して接近・離間させる方向に屈曲自在であることを特徴とする請求項に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップ及びクリップを用いた製品に関する。
【背景技術】
【0002】
紙等を挟むクリップ又はクリップを用いた製品は、バネの力を利用したものや磁力を利用したものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
バネの力を利用したクリップは、強い保持力を得るには素材弾性を高くする必要がある。
しかしながら、強い保持力に比例してクリップを開く力も強くなるため、使い勝手が悪いという問題があった。
【0004】
磁力を利用したクリップは、磁力は距離の2乗に反比例する特性(クーロンの法則)を持つため、多くの紙を保持できる力を得るには、磁力を強くする必要がある。
しかしながら、磁力を強くすると、挟んだ紙が少ないときに開く場合、強い力が必要となり、その上、保持する紙の枚数により、保持力及びクリップを開く力にバラつきが生じるため、使い勝手が悪いという問題があった。
【0005】
このため、クリップやクリップを用いた製品の使い勝手の向上が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
求項記載によるクリップは、一対の押さえ部と支点と空間と回動空間を備え、一対の押さえ部は、互いに対向する面に挟持部を有しており、一方の押さえ部が他方の押さえ部に対して支点を中心に回動自在に連結され、支点は、一方の押さえ部を開閉するものであり、他方の押さえ部の先端上方に設定され、空間は、一対の押さえ部の挟持部間に形成されるものであり、回動空間は、一方の押さえ部が回動する空間であり、支点から外方へ延長される一方の押さえ部の下面と他方の押さえ部の下面との間に設けられた段差により形成され、一方の押さえ部の挟持部は、磁石を有し、他方の押さえ部の挟持部は、磁石に吸着される磁石又は吸着材を有し、磁石と磁石又は吸着材は、少なくとも閉状態から被挟持体の最大挟持状態の回動範囲において対向していることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4記載による製品は、前述のクリップを用いた製品であって、一対の押さえ部の一方に被挟持体を載せる載置部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上の構成により、紙等の着脱における使い勝手が向上したクリップ及びクリップを用いた製品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る実施形態の製品の一例であるクリップボードの斜視図である。
図2】(a)は、図1の平面図、(b)は、図1の底面図である。
図3】(a)は、図2の右側面図、(b)は、左側面図である。
図4】磁石の配置構成を説明する拡大図であり、(a)は、上面側の磁石の配置構 成を示し、(b)は、載置部側の磁石の配置構成を示しており、いずれも上面側から見た図である。
図5】クリップボードの被覆仕上げ構造を示す拡大概略図である。
図6図2の(6)-(6)線断面図であり、要部を拡大して示す。
図7】クリップを開けた状態を示す斜視図である。
図8】クリップの開閉動作を説明する図であり、(a)は、紙を挟んだ状態を示し、(b)は、クリップを開けた状態を示し、(c)は、クリップを閉じた状態を示す。
図9】カバー部を開いた状態を示す斜視図である。
図10】カバー部の開閉動作を説明する図である。
図11】開いたカバー部を載置部側で保持した状態を示す斜視図である。
図12】開いたカバー部を載置部側で保持した状態を示す断面図である。
図13】紙を揃える状態を示す斜視図である。
図14】クリップボードを自立させた状態を示す斜視図である。
図15】紙を挟んでいない状態を示す斜視図である。
図16】本発明に係る実施形態のクリップを示し、(a)は、紙を挟んだ状態を示し、(b)は、クリップを開けた状態を示し、(c)は、クリップを閉じた状態を示す。
図17】クリップボードAの変形例を示す平面図である。
図18図17の(18)-(18)線拡大断面図であり、一部切り欠いて示す。
図19】クリップの開閉動作を説明する図であり、(a)は、クリップを開けた状態を示し、(b)は、クリップを閉じた状態を示す。
図20】クリップの変形例を示し、(a)は、クリップを開けた状態を示し、(b)は、クリップを閉じた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。
最初に、クリップを用いた製品を説明し、次にクリップを説明する。
本実施形態では、クリップを用いた製品をクリップボードとして例示するが、本発明の製品は、クリップボード以外の製品も含まれる。
以下の説明では、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0012】
[クリップボードの基本構成]
本実施形態のクリップボードAは、クリップBを有し、このクリップBで複数枚の紙(被挟持体)cを挟持した状態でカバーして持ち運ぶことができる(図1参照)と共に、紙cにものを書くことができるようにしたものである。
【0013】
クリップボードAは、図1図4に示すように、クリップBを構成する一対の押さえ部1、2と、一対の押さえ部1、2を回動自在に連結する支点p1と、押さえ部2と同一体として形成された載置部3と、載置部3の一端部に連結されたカバー部4と、一対の押さえ部1、2の間に設けられた空間sと、押さえ部1、2に設けられた磁石5、6と、載置部3とカバー部4とを回動自在に連結する第2の支点p2とを備えている。
【0014】
ここで、図2及び図4(b)を参照されたい。
載置部3が一体形成された押さえ部2の範囲は、押さえ部2の外側の端部から磁石6の先端部までの範囲であり、この磁石6の先端部を押さえ部の終端及び載置部3の始端(2点鎖線で示す)としている。
【0015】
押さえ部1、押さえ部2と載置部3、カバー部4、第2の支点p2は、図5に示すように、たわみ等が抑えられた硬質の素材から所定の形状に形成された薄板状のベース板dを有しており、各ベース板dを夫々離間させた状態で、透明又は不透明の薄い柔軟性を有する樹脂シートeで被覆している。
また、支点p1は、押さえ部1と押さえ部2のベース板dが突き合わされる端部が斜めに切断され、切断されて尖った部分を離間させた状態で突き合わせて樹脂シートeで被覆されている。
各ベース板dが離間した部位の樹脂シートeの対面部分を接着することで、各ベース板dが樹脂シートeで包んだ状態となり、各ベース板dのずれを防止した状態で保持できる。
この樹脂シートeでベース板dを被覆することによって、押さえ部1、押さえ部2と載置部3、カバー部4、支点p1、第2の支点p2を回動自在に一体に連結できると共に、各部の表面を保護することができる。
なお、樹脂シートeに換えて紙、皮革(天然・人工)を用いることができる。
また、押さえ部1と押さえ部2のベース板dを一体とし、支点p1が設けられる部位に切れ込みを入れることで支点p1を作ってもよい。
【0016】
[クリップの構成]
クリップBは、前述のように一対の押さえ部1、2からなり、図6に示すように、押さえ部1、2とで紙cを挟持して保持する。
押さえ部1、2は、互いに向かい合う面を挟持部10、20としており、この挟持部10、20で紙cを挟むようになっている。
挟持部10、20の端部には、磁石5、6が図8において上下で対面するように設けられており、この磁石5、6同士の磁力によって、挟持部10、20が紙cを挟んで保持できるようにされている。
【0017】
[押さえ部1の構成]
押さえ部1は、図6図8に示すように、押さえ部2に対して支点p1を中心として接近・離間する方向に回動するようになっており、押さえ部1を回動させることにより、クリップBを開閉するようにされている。
押さえ部1は、挟持部10を有する押さえ部本体1aと、押さえ部2と支点p1を介し
て回動自在に連結される連結部1bと、押さえ部本体1aと連結部1bとを繋ぐスペーサ1cとを備えている。
【0018】
押さえ部本体1aの端部には、磁石5を嵌合する嵌合凹部10aが磁石の平面形状と適合する形状として形成されており、この嵌合凹部10aに磁石5が嵌合保持されている。
押さえ部本体1aは、スペーサ1c側に力点p3が確保されており、図8(b)に示すように、力点p3に力を加えることで、支点p1を中心としてテコの要領で押さえ部1を回動させることができる。
力点p3は、図8(a)に示すように支点p1よりも外側にあるため、磁石5、6の磁力を強くしても、テコの力で押さえ部1の回動を少ない力で行うことができると共に、図8(a)に示すように、磁石5、6の磁力を強くすることができることで、紙cを最大に挟んだ状態において確実に保持することができる。
【0019】
連結部1bは、図8(a)に示すように、支点p1よりも外側にあり、力点p3の範囲と同じ範囲の長さを有しており、押さえ部2の端部から外側に突出するように配置されている。
【0020】
スペーサ1cは、図8(a)に示すように、連結部1bの長さと同じ長さであると共に、紙cの最大枚の厚みと同じ厚みとしており、挟持部10、20の間に空間sを確保している。
またスペーサ1cは、紙cを挟んだ際に、紙cの端部を当接させることで、紙cを揃えることができきる。
スペーサ1cの長さは、支点p1の外側にあれば連結部1bと異なる長さであってもよい。
【0021】
磁石5は、図8(a)に示すように、紙cを最大挟持状態で挟んだ際に、紙の表面に面接触する当接平面部50と、閉状態(図8(c)参照)から紙cの最大挟持状態未満の回動範囲において、磁石6及び紙cに対して線接触する当接角部51を備えている。
ここで、線接触とは、当接角部51が実際には磁石5、6が樹脂シートeで被覆されているため、磁石6に対して直接的に当接はしないが、磁力が樹脂シートeを通して作用するため、間接的に接触することを意味する。
また、前述した各ベース板dを樹脂シートeで被覆されず、軸支等の他の方法で連結した場合には、当接角部51が磁石6に対して直接的に線接触する。
磁石5の厚みは、ベース板dと同等の厚みであり、樹脂シートeで被覆した際に段差が生じないようにされている。
【0022】
ここで、図4図6を参照されたい。
磁石5、6は、平面視において、略台形に形成されていると共に、長手方向で非対称となるように形成されている。
磁石5、6は、対面する方向において異なる磁極となるように配置されていると共に、2個並列された磁石5、6の磁極が反対向きとなるように配置されている。
長手方向で非対称となる略台形とした磁石5、6は、磁石5の一方の斜面を一方向に向けて配置すれば、一面側(図示において上面)の磁極がN極となり、磁石6の他方の斜面を他方向に向けて配置すれば、磁石5の一面側と対面する面(図示において下面)の磁極がS極となる。
すなわち、長手方向で非対称となる略台形に形成することで、磁石5、6の磁極方向を設定することが容易となる。
磁石5、6は、一方を磁力によって吸着される金属等の吸着材としてもよい(図示せず)。
【0023】
[押さえ部2の構成]
押さえ部2は、図6図8に示すように、挟持部20が載置部3の載置面30と同一面となるように載置部3と一体形成されたものである。
押さえ部2の範囲中において、磁石6が適合して嵌合される嵌合孔21が開孔されており、この嵌合孔21に磁石6が嵌合されている。
磁石6の厚みは、押さえ部2及び載置部3の同一のベース板dと同等の厚みであり、樹脂シートeで被覆したときに、段差が生じないようにしている。
【0024】
[載置部の構成]
載置部3は、目的の紙cの最大サイズに合わせた大きさに形成されたものであり、紙cの最大サイズ以下のサイズまで対応可能にされている。
【0025】
[カバー部の構成]
カバー部4は、図4及び図6に示すように、クリップBで挟んだ紙cをカバーするものである。
カバー部4は、図9図12に示すように、載置部3の端部に対して第2の支点p2を介して、開閉できると共に、載置部3の載置面30と、載置部3の裏面31とにわたり、移動自在に回動するように連結されている。
【0026】
カバー部4は、図6に示すように、載置部3の一端部(図6において左側)に第2の支点p2があり、他端部(以下「先端部」という)に磁石7が設けられており、図4及び図6に示すように、カバーした状態で磁石5と突き合わさって吸着すると共に、磁石6と対面して吸着する大きさにされている。
また、カバー部4は、図10図12に示すように、裏面31にある場合には、磁石7の角部70が磁石6の角部61と線接触して互いに吸着される大きさにされている。
すなわち、カバー部4が裏面31にあるときには、カバー部4が載置部3に対して磁石6と磁石7との吸着で保持されるので、カバー部4を手で押さえなくてもカバー部4の垂れ下がりを防止することができる。
また、磁石6と磁石7とが互いの角部70、61との線接触で吸着されるため、載置部の裏面31に対してカバー部4が小さい吸着力で保持される。
これにより、磁石6、7を弱い力で離間させることができるため、カバー部4を載置部3から弱い力で離間させることができる。
カバー部4の端部には、磁石7を嵌合する嵌合凹部4aが磁石7の平面形状と適合する形状として形成されており、この嵌合凹部4aに磁石7が嵌合保持されている。
カバー部4は、載置部3の厚みよりも薄い板状として形成されており、これにより、クリップボードAの軽量化を実現している。
磁石7は、図4に示すように、磁石5、6と同じ平面形状であると共に、磁石5、6よりも薄く形成されたものであり、図6に示すように、カバー部4のベース板dと同等の厚みとすることで、樹脂シートeで被覆した際に段差が生じないようにされている。
また、磁石7は、磁石5、6よりも薄くすることで、磁石5、6の磁力を下回る磁力されているため、前述のように線接触による磁石6、7の吸着力を磁力によっても小さできる。
磁石7は、磁力によって吸着される金属材としてもよい。
【0027】
第2の支点p2は、図6に示すように、載置部3及びカバー部4のベース板dの間のベース板dの両端を被覆した樹脂シートe部分である。
この第2の支点p2は、軟質な樹脂シートeにより屈曲できるようになっており、図10に示すように、カバー部4を図面上左側にスライドさせることで、磁石5、6から磁石7を離間させることができ、これによって、図9に示すように、カバー部4を開くことができる。
この場合、カバー部4を被覆する樹脂シートeの少なくとも載置部3側に面する材質を摩擦抵抗力が低く滑りやすいものとすることで、紙c上を滑るカバー部4のスライドをスムースに行うことができると共に、カバー部4のスライド時の抵抗による紙cの抜けを抑制することができる。
そして、図11及び図12に示すように、カバー部4を載置部3の裏面31に移動させて載置部3と重ね合わすことができる。
これによって、載置部3がカバー部の厚みを加えた厚みを有するものとなるため、載置部3の剛性が高くなり、載置部3上の紙cにものを書く際の載置部の変形等を防止することができる。
【0028】
このクリップボードAは、図13に示すように、磁石5と磁石7を吸着させた状態で、クリップBを開くことで、押さえ部1とカバー部4が一体となった状態で、載置部3とカバー部4との間の紙cの保持が解除される。
この状態でクリップボードAを立てて上下に揺らすことで、紙cを揃えることができる。
また、図14に示すように、カバー部4を支持手段として載置部3を立てた状態にすることができる。
また、図15に示すように、紙cを挟まない状態である場合、カバー部4を載置部3の裏面31に移動させた状態にしてもよいし、カバー部4を載置部3の載置面30に移動させた状態としてもよい(図示せず)。
本発明のクリップボードAは、カバー部4が無い構成としてもよい。
【0029】
このようなクリップボードAは、クリップBをテコの要領で開閉できるので、磁石5、6の磁力を強くしても、小さな力で開閉することができる。
また、磁石5、6の磁力を強くすることで、紙cを確実に保持することができる。
また、カバー部4によって、保持した紙cをカバーすることができるので、仕舞い状態において紙cの汚れや破損を防止することができる。
【0030】
[単体のクリップの構成]
単体のクリップCは、図16に示すように、クリップボードAのクリップBの押さえ部2から載置部3を除いた構成である。
このようなクリップCによっても、クリップCをテコの要領で開閉できるので、磁石5、6の磁力を強くしても、小さな力で開閉することができる。
また、磁石5、6の磁力を強くすることで、紙cを確実に保持することができる。
【0031】
[クリップボードの変形例]
図17図20は、クリップボードAの変形例を示している。
なお、前述の実施形態と重複する部分についての説明は省略する。
本変形例のクリップボードAは、クリップBの押さえ部2に対して押さえ部1の連結部1bが押さえ部2の厚み方向の上側に段差eを設けて連結されており、この段差eにより、押さえ部1の連結部1bの下面に押さえ部1の回動空間s1を確保したものである。
【0032】
回動空間s1は、以下の構成により確保される。
本変形例の連結部1bは、前述の実施形態の連結部1bのようにスペーサ1cを介さず、押さえ部1の押さえ部本体1aに直接取り付けられる。
そして、連結部1bにおける後端側の下端と押さえ部2における先端側の上端を支点p1を介して連結する。
これにより、支点p1から外方(押さえ部1の先端側)に延長される押さえ部1の連結部1bにおける下面10bと押さえ部2における下面20bとの間に段差eが形成される。
そして、この段差eによって、連結部1bにおける下面10bの下側に回動空間s1が確保されると共に、回動空間s1が押さえ部2の厚みと同等、押さえ部1の連結部1bの長さと同等の大きさとなるため、押さえ部1の回動に十分な回動空間s1を確保できる。
このクリップボードAは、例えば、載置部3を机f上等に置いた状態や磁石に吸着する吸着材を有する壁面(図示せず)等に貼り付けた状態で、押さえ部1の表面11を押すことで、押さえ部1が回動空間s1内で回動してクリップBが開く。
すなわち、クリップボードAを持ち上げて押さえ部1を回動させることなく、机f上等に置いた状態や壁面に貼り付けた状態でクリップBを開くことができる。
【0033】
変形例のクリップボードAは、カバー部4が載置部3の載置面30をカバーした状態において、カバー部4の先端の重合面40が押さえ部1の表面11に重ね合わされるものである。
カバー部4は、先端に重合面40を有し、この重合面40に磁石8(又は磁石に吸着される金属材)が設けられており、重合面40が押さえ部1の表面11に重ね合わされた際に、押さえ部1の磁石5に吸着することで、カバー部4の載置面30に対するカバー状態を保持している。
磁石8は、重合面40の長手方向の長さよりも多少短い薄板状のものであり、押さえ部1に設けられた2つの磁石5にわたるようにされていると共に、短手幅が磁石の短手幅よりも大きい幅としている。
磁石8の磁極は、前述した実施形態におけるカバー部4の磁石7の磁極と同じであり、カバー部4が載置面30をカバーした状態で押さえ部1の磁石5に吸着し、カバー部4が載置部3の裏面31と対向した状態で押さえ部2の磁石6に吸着するようにされている。
【0034】
重合面40の第2の支点p2側には、屈曲部41が設けられている。
屈曲部41は、重合面40を押さえ部1の表面11に対して、接近・離間させる方向に屈曲自在にされたものである。
屈曲部41を、重合面40が押さえ部1の表面11に接近する方向に屈曲させることで、重合面40を押さえ部1の表面11に重ね合わせることができる。
一方、屈曲部41を、重合面40が押さえ部1の表面から離間する方向に屈曲させることで、重合面40を押さえ部1の表面から離間させることができる。
重合面40が押さえ部1の表面から離間した状態で、カバー部4を開くことにより、載置部3の載置面30を開放することができる。
【0035】
このような変形例のクリップボードAは、重合面40が表面11に対して重なり合っていて、屈曲部41の屈曲により、表面11に対して接近・離間させるようにしていると共に、磁石8の短手幅を磁石5の短手幅よりも大きい幅としている。
これにより、重合面40を、表面11上を図面上左右方向にスライドさせることができると共に、スライドによって磁石8の位置がずれても磁石5と対向させることができる。
しかも、紙の高さ(枚数や折り曲げ時)が変化しても、重合面40のスライド及び屈曲部の屈曲によって、重合面を表面11に対して密着固定できる。
【0036】
[単体のクリップの変形例]
図20は、単体のクリップCの変形例を示している。
変形例のクリップCは、変形例のクリップボードAのクリップBの押さえ部2から載置部3を除いた構成である。
このようなクリップCによっても、クリップCをテコの要領で開閉できるので、磁石5、6の磁力を強くしても、小さな力で開閉することができる。
また、クリップCを机上等に置いた状態や磁石に吸着する吸着材を有する壁面等に貼り付けた状態で、押さえ部1の表面を押すことで、押さえ部1が回動空間s1内で回動してクリップCが開く。
すなわち、クリップCを持ち上げて押さえ部1を回動させることなく、机上等に置いた状態でクリップCを開くことができる。
また、磁石5、6の磁力を強くすることで、紙cを確実に保持することができる。
【0037】
以上、本発明に係る実施形態のクリップボードA及びクリップCを、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0038】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
A:クリップボード
B:クリップ
C:クリップ
1:押さえ部
2:押さえ部
3:載置部
4:カバー部
5:磁石
6:磁石
7:磁石
8:磁石
p1:支点
p2:第2の支点
s:空間
s1:回動空間
c:紙
e:段差
10:挟持部
20:挟持部
30:載置面
31:裏面
40:重合面
41:屈曲部
51:当接角部
50:当接平面部
10b:下面
20b:下面
【要約】
クリップやクリップを用いた製品の使い勝手の向上。
一対の押さえ部と支点と空間を備え、一対の押さえ部は、互いに対向する面に挟持部を有しており、支点を中心に回動自在に連結され、支点は、一対の押さえ部を開閉するものであり、空間は、一対の押さえ部が閉状態において、夫々の押さえ部の挟持部間に形成されるものであり、一方の押さえ部の挟持部は、磁石を有し、他方の押さえ部の挟持部は、磁石に吸着される磁石又は吸着材を有し、磁石と吸着材は、少なくとも閉状態から被挟持体の最大挟持状態の回動範囲において対向していることを特徴とする。
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図20