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特許7300255喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材および構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材および構造体
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
A24D3/04
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018201388
(22)【出願日】2018-10-26
(62)【分割の表示】P 2016564976の分割
【原出願日】2015-04-30
(65)【公開番号】P2019050807
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2018-11-06
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】1407642.6
(32)【優先日】2014-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】イングランド、ウィリアム
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】平城 俊雅
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-539659(JP,A)
【文献】国際公開第2013/120565(WO,A1)
【文献】特開平10-4946(JP,A)
【文献】特開平2013-532953(JP,A)
【文献】国際公開第2012/168699(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/04
A24D 3/08
A24D 3/16
A24F 47/00
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2端部を有し、第2の材料からなる粒子を含む第1の材料のマトリックスを含むブロックとして形成されており、さらに第1および第2端部の間を延びる複数の貫通孔を含むロッドである、揮発させた喫煙材を冷却するためのエアロゾル冷却部材と、
エアロゾル冷却部材の一端に管と、
エアロゾル冷却部材の他端に中空の吸い口端管とを含む、喫煙材を加熱するための装置と使用するための冷却集合体。
【請求項2】
前記中空の吸い口端管は揮発させた喫煙材をろ過するフィルター機能を供するための中空の管であることを特徴とする請求項1記載の冷却集合体。
【請求項3】
貫通孔はロッドの中心軸に対して実質的に平行に延びていることを特徴とする請求項1記載の冷却集合体。
【請求項4】
貫通孔は横断面で見て部材の半径方向に配置されていることを特徴とする請求項1または3記載の冷却集合体。
【請求項5】
貫通孔の大半は、六角形またはほぼ六角形の断面形状を有することを特徴とする請求項1または3記載の冷却集合体。
【請求項6】
喫煙材と、
第1および第2端部を有し、第2の材料からなる粒子を含む第1の材料のマトリックスを含むブロックとして形成されており、さらに第1および第2端部の間を延びる複数の貫通孔を含むロッドである、喫煙材を加熱した際に発生する揮発させた喫煙材を冷却するためのエアロゾル冷却部材と、
エアロゾル冷却部材の一端に中空の吸い口端管とを含む、喫煙材を加熱するための装置と使用するための喫煙品。
【請求項7】
喫煙材とエアロゾル冷却部材の間にスペーサーを含むことを特徴とする請求項6記載の喫煙品。
【請求項8】
スペーサーは中空のスペーサー管であることを特徴とする請求項7記載の喫煙品。
【請求項9】
前記中空の吸い口端管は、喫煙材を加熱した際に発生する揮発させた喫煙材をろ過するろ過機能を供するように構成されていることを特徴とする請求項6記載の喫煙品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材および構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やしてタバコ煙を発生させている。燃やさずに化合物を放出する製品を作製することによってタバコを燃やすこれらの喫煙品の代替え品を提供する試みがなされている。このような製品の例としては材料を燃やさず加熱することによって化合物を放出するタバコ加熱製品またはタバコ加熱装置としても知られている所謂発熱するが燃焼しない製品などがある。この材料は、例えばタバコまたはニコチンを含むまたは含まない他の非タバコ製品であってもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様では喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材が提供され、この部材は第1および第2端部を有し、第1および第2端部の間を延びる複数の貫通孔を含むモノリシックロッドである。
【0004】
ある実施態様では貫通孔はロッドの中心軸に対して実質的に平行に延びている。
【0005】
ある実施態様では貫通孔は横断面で見て部材の半径方向に配置されている。即ち、一例では部材は貫通孔を画定し、2つの主要構造体、即ち放射状壁および中央壁を有する内部壁を有する。放射状壁は部材の断面の半径に沿って延びており、中央壁は部材の断面の中央の中心に位置する。1つの例では中央壁は円形であるが、他の規則的または不規則な断面形状のものを使用してもよい。同じように1つの例では部材の断面は円形であるが、他の規則的または不規則な断面形状であってもよい。
【0006】
ある実施態様では貫通孔の大半は、六角形またはほぼ六角形の断面形状を有する。この実施態様において、一端から見たときに部材は「ハチの巣」構造と称される構造を有する。
【0007】
ある実施態様では部材は実質的に非圧縮性である。
【0008】
ある実施態様では部材はセラミック材で形成されている 。
【0009】
ある実施態様では部材はポリマーで形成されている。部材は熱可塑性ポリマーで形成してもよい。
【0010】
ある実施態様では部材は押し出し可能なプラスチック材で形成されている。
【0011】
ある実施態様では部材の多孔度は60%~75%の範囲内にある。ここでいう多孔度は、貫通孔によって占められる部材の横断面積のパーセンテージであらわす尺度である。ある実施態様では部材の多孔度は約69%~70%である。
【0012】
本発明の第2の態様では喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材が提供され、この部材は第1および第2端部を有し、少なくとも1つの管を含むロッドであり、この管はロッドの第1および第2端部の間を延びる貫通孔となるように第1お
よび第2端部の間を延びている。
【0013】
ある実施態様ではロッドは第1の材料で形成され、少なくとも1つの管は第2の別の材料で形成されている。
【0014】
ある実施態様ではロッドはセルロースアセテートで形成されている。
【0015】
ある実施態様ではロッドはセルロースアセテートトウで形成されている。
【0016】
ある実施態様では上記少なくとも1つの管はシリコーンゴム、エチレン酢酸ビニルおよびポリプロピレンの内の少なくとも1つで形成されている。
【0017】
ある実施態様では部材はロッド内に第1および第2端部の間を延びる複数の管を含み、ロッドの第1および第2端部の間を延びる複数の貫通孔を供する。
【0018】
本発明の第3の態様では喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材が提供され、この部材は第1および第2端部を有するロッドであり、ロッド内に複数の活性炭繊維を含み、活性炭繊維はロッドの第1および第2端部の間を延びている。
【0019】
ある実施態様では活性炭繊維は実質的に互いに位置合わせされている。
【0020】
ある実施態様ではロッドは外方ラッパーによって一緒に保持される活性炭繊維からなる。
【0021】
ある実施態様では部材は第2の別の材料に埋め込まれたまたは分散された活性炭繊維を含む。
【0022】
ある実施態様では第2の別の材料はセルロースアセテートを含む。
【0023】
ある実施態様では第2の別の材料はセルロースアセテートトウを含む。
【0024】
本発明の第4の態様では喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材が提供され、この部材は第1および第2端部を有するロッドであり、ロッドは第2の材料からなる粒子を含む第1の材料のマトリックスとして形成されている。
【0025】
ある実施態様では第1の材料は少なくとも1つのポリマーを含む。
【0026】
ある実施態様では第2の材料は炭素を含む。
【0027】
喫煙材を加熱するための装置と使用するための冷却集合体が提供され、冷却集合体は、
揮発させた喫煙材を冷却するための上述のようなエアロゾル冷却部材と、
エアロゾル冷却部材の一端に管とを含む。
【0028】
ある実施態様では前記管は中空の管であり、揮発させた喫煙材をろ過するフィルター機能を供する。
【0029】
ある実施態様では冷却集合体はエアロゾル冷却部材の他端に第2の管を含む。
【0030】
喫煙材を加熱するための装置と使用するための喫煙品が提供され、この喫煙品は、
喫煙材と、
喫煙材を加熱した際に発生する揮発させた喫煙材を冷却するための上述のエアロゾル冷却部材とを含む。
【0031】
ある実施態様では喫煙品は喫煙材とエアロゾル冷却部材の間にスペーサーを含む。ある実施態様ではスペーサーは中空のスペーサー管である。
【0032】
ある実施態様では喫煙品はエアロゾル冷却部材の端部に中空の吸い口端管を含む。ある実施態様では吸い口端管は、喫煙材を加熱した際に発生する揮発させた喫煙材をろ過するろ過機能を供するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の実施態様を単に一例として添付図面を参照して説明する。
図1】喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材の第1の例の略式斜視図である。
図2】喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材の第2の例の略式斜視図である。
図3】喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材の別の例の略式斜視図である。
図4】喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材の別の例の略式斜視図である。
図5】喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材の別の例の略式端面図である。
図6】喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材の別の例の略式端面図である。
図7】喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材の別の例の略式端面図である。
図8】喫煙材を加熱するための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材の別の例の略式端面図である。
図9】喫煙材を加熱するための装置と使用するための構成体の一例の略図である。
図10】喫煙材を加熱するための装置と使用するための消耗品の一例の略図である。
図11】ある程度完成した製品の一例の略図である。
図12】喫煙材を加熱するための装置の一例の略式斜視図である。
図13図12の装置の略式断面斜視図である。
図14図12の装置に使用するのに好適なヒーター支持スリーブと加熱チェンバーの一例の略式断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書中で使用する「喫煙材」なる用語は、加熱されると典型的にはエアロゾルの形体で揮発成分を供する材料を含む。「喫煙材」はあらゆるタバコ含有材を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、刻みタバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。また「喫煙材」は製品によってはニコチンを含むまたは含まない他の非タバコ製品を含んでもよい。
【0035】
喫煙材を燃やさずにまたは燃焼させずに通常吸引可能なエアロゾルを形成するために喫煙品を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させる装置が知られている。このような装置は時には「熱するが燃焼しない(hear-not-burn)」装置または「タバコ加熱製
品」または「タバコ加熱装置」またはこれらと類似するものとして説明される。当該装置は通常一般に長尺であり、時には吸い口端と呼ばれる開口端部を有する。喫煙材は装置内に挿入することができるカートリッジまたはカセットまたはロッドの形体またはそれらの
一部として提供されてもよい。フィルター構造を吸い口端に設けて、ユーザーによって喫煙材が吸引される際に揮発された材料をろ過および/または冷却するようにしてもよい。喫煙材を加熱し、揮発させるためのヒーターを装置の「永久」部品として設けてもよく、あるいは喫煙品または使用後破棄され、交換される消耗品の一部として設けてもよい。この明細書中での「喫煙品」は、喫煙材を含み、使用の際に加熱され、喫煙材および選択的に他の成分を揮発させる装置または物品または他の部材を意味する。使用時に特に重要な用途において喫煙材は燃えず、燃焼させない。
【0036】
このような熱するが燃焼しない装置特有の問題は、揮発させた材料をユーザーに届く前に冷ますことである。喫煙材を加熱するのに高い温度が必要とされ、そして喫煙材は装置の吸い口端に極めて接近している場合がある。さらに例えば従来の紙巻きタバコと異なり、揮発させた材料は通常ユーザーに到達する前に比較的長い喫煙材の本体を通過しない。さらに熱するが燃焼しない装置の外方ハウジングが喫煙材が加熱されるチェンバーから、および揮発させた材料が通過する通路から断熱されている場合がある。その結果、揮発させた材料は、通常は装置を通過する間ほとんど冷まされない。
【0037】
本発明の実施態様のいくつかの特定の例ではこのような装置によって使用の際に発生する揮発させた材料またはエアロゾルを冷却する。本発明の実施態様の特定の例では、このような冷却は、使用の際に装置に設けられる場合があるあらゆる付属のフィルターを超えるまたは加えるろ過機能をほとんどまたは全く、または少なくともろ過機能をほとんどまたは全く持たずに行ってもよい。即ち本発明の冷却部材の実施態様の例の優先事項は、揮発させた材料またはエアロゾルを冷却することであり、ろ過は優先事項ではなく、冷却部材自体では対処されない。この点において上述したように従来の紙巻きタバコにおいて煙はユーザーまでの経路において充分に冷却されているので煙を冷却することは、通常優先事項にはならない。従って、熱するが燃焼しない装置またはタバコ加熱製品/装置にはこの点に関しそれぞれ異なる独自の問題点を含み、そしてこれら装置はそれを行うことは困難である。本明細書で説明する冷却部材は、主装置(通常電力供給源、制御電気回路などを含む)の一部として、および/または消耗品(主装置内に挿入されるまたは主装置と係合させて、使用後破棄され、交換される)の一部として設けてもよく、消耗品のタバコまたは他の喫煙材を加熱するためのヒーターは主装置または消耗品または両方の一部として設けられる。
【0038】
ここで図1を参照すると喫煙材を加熱し、揮発させるための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材10の第1の例略式斜視図である。この例では部材10は円形の断面を有する円筒状である。この例では部材10はモノリシックロッド12である。即ち、ロッド12は単一材料からなるブロックである。ロッド12は第1および第2端部13、14を有する。使用の際に、一端13は喫煙材および部材10が共に使用される加熱装置のヒーターの方に位置し、他端14は吸い口端にまたは吸い口端の方に位置する。
【0039】
図1の部材10は第1および第2端部13、14の間を延びる複数の貫通孔15を有する。図示の例では貫通孔15は互いにほぼ平行に延び、ロッド12の中央長手方向軸16に実質的に平行に延びている。しかしながら、他の構成も可能である。例えば、全ての貫通孔15が互いに平行である必要はない。別の例では貫通孔15のいくつかまたは全てはロッド12の中央長手方向軸16に平行ではない。使用時、エアロゾルまたは揮発した材料は貫通孔15を通過し、エアロゾルまたは揮発した材料から熱を伝導させてエアロゾルまたは揮発した材料を冷ます。
【0040】
一例である図1の部材10は実質的に非圧縮性である、即ち、部材10は適度に硬質であり、部材10を圧縮するのには比較的大きな力を必要とする。このようにして、部材10は使用時に部材10を支持するためのさらなる構成を必要とせず、自立可能である。
【0041】
1つの例では図1の部材10はセラミック材で形成される。セラミック材は無機の非金属材料、場合によっては酸化物結晶材料、窒化物結晶材料または炭化物結晶材料である。好適な例としては炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化チタンおよび二酸化ジルコニウム(ジルコニア)が挙げられるが、他のセラミックまたは非セラミック材を使用してもよい。他の例では図1の部材10は少なくとも1つのポリマーで形成されている。ポリマーは、例えば熱可塑性物質であってもよく、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド(または例えばナイロン6などのナイロン)、ポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリビニル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルブロックアミド、例えばポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブチレンおよびポリメチルペンテンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリスチレン、例えばエチレン酢酸ビニル、エチレンビニルアルコールおよびポリ塩化ビニルなどのポリビニルおよびこれらのあらゆる共重合体、これらのあらゆる派生物およびこれらのあらゆる組み合わせなどが挙げられる。
【0042】
図1の部材10は最初に中実のブロックとして形成してもよく、貫通孔15はブロックに穴を開けるまたは穿孔することによって形成される。しかしながら、より効率的には図1の部材10は最初に例えば選択的に例えば押し出しおよび/または引き抜きなどのいくつかの好適な成形技術によって貫通孔15を設けて形成してもよい。
【0043】
ここで図2を参照すると喫煙材を加熱し、揮発させるための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材20の第2の例の略式斜視図が示されている。この例では部材20は円形の断面を有する円筒状である。この例では部材20は第1および第2端部22、23を有するロッド21である。使用時、一端22は喫煙材および部材20が共に使用される加熱装置のヒーターの方に位置し、他端23は吸い口端にまたは吸い口端の方に位置する。
【0044】
図2の部材20はロッド21内に少なくとも1つの管24を有し、管24はロッド21の第1および第2端部22、23の間を延びる貫通孔25を供するために第1および第2端部22、23の間を延びている。ロッド21を通る複数の貫通孔25を供する複数のこのような管24があるのが好ましい。図示の例では管24と貫通孔25は互いにほぼ平行に延び、ロッド21の中央長手方向軸26と実質的に平行に延びている。しかしながら、他の構成も可能である。例えば、全ての管24と貫通孔25が互いに平行である必要はない。別の例ではいくつかまたは全ての管24および貫通孔25はロッド21の中央長手方向軸26に平行ではない。使用時、エアロゾルまたは揮発した材料は貫通孔25を通過し、エアロゾルまたは揮発した材料から熱を伝導させてエアロゾルまたは揮発した材料を冷ます。
【0045】
1つの例では図2の部材20は実質的に非圧縮性である。このようにして、部材20は使用時に部材20を支持するためのさらなる構成を必要とせず、自立可能である。
【0046】
図2の部材20の一例において、主胴体部分またはロッド21は第1の材料で形成され、前記または各管24は第2の別の材料で形成されている。一例では主胴体部分またはロッド21はセルロースアセテートで形成される。一例では主胴体部分またはロッド21はセルロースアセテートトウで形成される。それ自体よく知られているようにトウは連続フィラメントのねじられていない束、この例では多くのセルロースアセテート撚り糸からなるリボンである。一例では前記または各管24はシリコーンゴム、エチレン酢酸ビニルおよびポリプロピレンの内の少なくとも1つで形成されている。他の材料を使用してもよい。種々の管24の内の1つ以上は他とは異なる材料で形成してもよい。主胴体部分またはロッド21および前記または各管24はブロックとして形成し、その後所望の直径に延伸または同時に押し出ししてもよい。
【0047】
ここで図3を参照すると喫煙材を加熱し、揮発させるための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材30の別の例の略式斜視図が示されている。この例では部材30は円形の断面を有する円筒状である。この例では部材30は第1および第2端部32、33を有するロッド31である。使用時、一端32は喫煙材および部材30が共に使用される加熱装置のヒーターの方に位置し、他端33は吸い口端にまたは吸い口端の方に位置する。
【0048】
図3の部材30は第1および第2端部32、33の間を延びる複数の活性炭繊維または糸32を有する。当然のことながらこれは図3で略式に示されているだけであり、数百または数千のこのような繊維34が存在してもよい。それ自体はよく知られているように「活性」炭素は、劇的に炭素の表面積を増大させる非常に多くの小さい低容積の孔を有するように処理された炭素の形体である。図示の例では活性炭繊維34は実質的に互いに位置合わせされている。使用時、エアロゾルまたは揮発した材料は活性炭繊維34に沿って通過し、エアロゾルまたは揮発した材料から熱を伝導させてエアロゾルまたは揮発した材料を冷ます。活性炭繊維または糸34は炭素のみから形成されてもよい。別の例では活性炭繊維または糸34は、例えば糊または他の接着剤が入った槽を介して糸状材料を引っ張り、炭素繊維を糸に塗布して形成してもよく、炭素繊維は糊によって糸に接着される。この場合、糸状材は例えばセルロースアセテートであってもよい。
【0049】
1つの構成において、ロッド31は活性炭繊維34からなり、これらは外方ラッパーまたは鞘35によって一緒に保持され、他の材料は存在しない。ラッパー35は紙などの材料で形成してもよい。別の構成ではロッド31は活性炭繊維34から形成され、これらは第2の別の材料に埋め込まれるまたは分散される。第2の別の材料は、例えばセルロースアセテートであってもよく、例えばセルロースアセテートトウであってもよい。
【0050】
1つの例では図3の部材30は実質的に非圧縮性である。このようにして、部材30は使用時に部材30を支持するためのさらなる構成を必要とせず、自立可能である。
【0051】
ここで図4を参照すると喫煙材を加熱し、揮発させるための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材40の別の例の略式斜視図が示されている。この例では部材40は円形の断面を有する円筒状である。この例では部材40は第1および第2端部42、43を有するロッド41である。使用時、一端42は喫煙材および部材40が共に使用される加熱装置のヒーターの方に位置し、他端43は吸い口端にまたは吸い口端の方に位置する。
【0052】
図4の部材40は第2の材料からなる粒子45を含む第1の材料からなる本体部分44で構成されたマトリックスとして形成されている。(当然のことながら図4は略図であり、通常は数千または数万以上の粒子45が存在する。)
【0053】
一例では胴体部分44の第1の材料は少なくとも1つのポリマーを含む。ポリマーは、例えば、熱可塑性物質、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド(または例えばナイロン6などのナイロンを含む)、ポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリビニル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルブロックアミド、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびポリメチルペンテンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリスチレン、例えばエチレン酢酸ビニル、エチレンビニルアルコールおよびポリ塩化ビニルなどのポリビニルおよびこれらのあらゆる共重合体、これらのあらゆる派生物およびこれらのあらゆる組み合わせであってもよい。胴体部分44の第1の材料は水溶性樹脂であってもよい。
【0054】
一例では粒子45の第2の材料は炭素を含む。炭素は活性炭であってもよい。
【0055】
部材40は、例えば粒子45を本体部分44の材料と混合し、混合物を押し出し、混合を物レンジ加熱して硬化させることによって形成してもよい。
【0056】
ここで図5を参照すると喫煙材を加熱し、揮発させるための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材50の別の例の略式端面図が示されている。この例でも部材50は円筒状であり、この場合円形の断面を有するが(図5から明らかなように)、例えば方形、矩形または他の四辺形、規則的または不規則な他の多角形、例えば5角形、8角形など他の断面形状のものも可能である。この例では部材50はモノリシックロッド、即ちロッドは単一材料からなるブロックである。使用時、ロッド状部材50の一端は、部材50が共に使用される喫煙材および加熱装置のヒーターの方に位置し、もう一方の端部は吸い口端にまたは吸い口端の方に位置する。
【0057】
図5の部材50は第1および第2端部の間を延びる複数の貫通孔または管腔55を有する。図示の例では貫通孔55は互いにほぼ平行に延び、ロッド状部材50の中心軸に対して実質的に平行に延びている。しかしながら、他の構成も可能である。例えば、全ての貫通孔55が互いに平行である必要はない。別の例ではいくつかまたは全ての貫通孔55はロッド状エレメント50の中央長手方向軸に平行ではない。使用時、エアロゾルまたは揮発した材料は貫通孔55を通過し、エアロゾルまたは揮発した材料から熱を伝導させてエアロゾルまたは揮発した材料を冷ます。
【0058】
この例では横断面で見て(図5に示すように)貫通孔55は、ほぼ放射状に配置されている。即ち、貫通孔55を画定する部材50の内壁は2つの主要構造体を有する、即ち放射状壁56および中央壁57を有する。放射状壁56は部材50の断面の半径に沿って延びている。中央壁57は部材50の断面のほぼ中央を通過する。図示の例では中央壁57は円形であるが、他の形状も可能であり、必要であれば部材50全体の実質的な断面形状に従う規則的または不規則な多角形形状であってもよい。例えば、第1の最も内方の中央壁57aおよび第1の最も内方の中央壁57aの半径方向外方に位置する第2の中央壁57bがあってもよい。さらに中央壁を設けてもよい。放射状壁56は最も内方の中央壁57と第2中央壁57bの間を延びてもよい。さらに放射状壁56は部材50の第2中央壁57bと最も外方にある壁58の間を延びてもよい。要求される流れ構成および冷却効果によって、最も内方の中央壁57aと第2中央壁57bの間を延びている放射状壁56のいくつかまたは全ては、部材50の第2中央壁57bと最も外方にある壁58の間を延びている放射状壁56と半径方向に位置合わせされてもよい。同様に、図示の例では部材50の中央が開口するように最も内方の中央壁57aの半径方向内方に設けられる放射状壁はないが、1つ以上の放射状壁および/または他の非放射状壁および/または他の突起が部材50の中央内にまたは横断して延びてもよい。さらに放射状壁56は、各対の放射状壁56間の放射角度が同じになるように角度方向に規則的に互いに間隔を置いて位置するが、必ずしもこうある必要はなく、対応する対の放射状壁は異なる角度で離れてもよい。これにより部材50を可撓性に設計することを可能にし、空気または蒸気の流れに対する部材50の効果的な多孔度を所定のまたは所望の値に設定することができる。それに応じて通過する蒸気またはエアロゾルに晒される部材50内の有効表面積を調整または所望の値に設定することができ、部材内の有効表面積は得られる冷却の量を決定する主要因の1つであることが分かっている。これらの要因の全てが使用時に得られる冷却を良好に調整することができ、場合によっては使用の際に部材50を通過する蒸気の滴径、並びに部材50を通過する間に凝縮するかもしれない蒸気の量などの特徴を良好に調整することを可能にする。
【0059】
図5の具体例では最も内方の中央壁57aと第2中央壁57bの間を延びている各放射状壁56aは、部材50の第2中央壁57bと最も外方にある壁58の間を延びている放
射状壁56bの対応する1つと半径方向に位置合わせされる。加えてさらなる放射状壁56cが部材50の第2中央壁57bと最も外方にある壁58の間に設けられている。この例ではさらに「中間」放射状壁56cが部材50の第2中央壁57bと最も外方にある壁58の間を延びている他の放射状壁56bの間の中間に位置するが、他の構成も可能である。
【0060】
図5の具体例では部材50の長手方向の全体的な多孔度が約69%になるような大きさを有し、配置された貫通孔55が28個ある(即ち貫通孔55によって画定された総断面積は、総断面積の約69%であり、放射状壁56および中央壁57によって画定された断面積は総断面積の約31%である)。一般に約60%~75%、または特に約65%~72%およびさらに約69%~70%の多孔度が良好に機能することが分かっている。
【0061】
ここで図6を参照すると喫煙材を加熱し、揮発させるための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材60の別の例の略式端面図が示されている。この例では部材60もまた円形の断面を有する円筒状であるが(図6から明らかなように)、ここでも他の断面形状が可能である。この例では部材60はモノリシックロッドであり、即ちロッドは単一材料からなるブロックであり、および複数の貫通孔または管腔65を有する。
【0062】
図6の例は図5の例と多くの点で類似しており、上述したものと類似の選択肢および代替手段が利用可能である。従って、簡潔のために同じまたは類似の態様および選択肢または代替手段の説明はここでは繰り返さずに主な違いについてのみ説明する。
【0063】
図6の例では最も内方の中央壁67aと第2の中央壁67bの間を延びている各放射状壁66aは、部材60の第2の中央壁67bと最も外方の壁68の間を延びている放射状壁66bの対応する1つと半径方向に位置合わせされ、またその逆であってもよい。即ち、図5の例と比較すると、最も外方の放射状壁66bの間に中間の放射状壁(上述のように最も内方の中央壁67aおよび第2の中央壁67bの間を延びている放射状壁66aの対応する1つと位置合わせされる)がない。この例では部材60の長手方向の全体的な多孔度が約65%~66%になるような大きさを有し、配置された貫通孔65が36個ある。
【0064】
ここで図7を参照すると喫煙材を加熱し、揮発させるための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材70の別の例の略式端面図が示されている。この例では部材70もまた円形の断面を有する円筒状であるが(図7から明らかなように)、ここでも他の断面形状のものを使用してもよい。この例では部材70はモノリシックロッドであり、即ちロッドは単一材料からなるブロックであり、複数の貫通孔または管腔75を有する。
【0065】
図7の例は図5の例と多くの点で類似しており、上述したものと類似の選択肢および代替手段が利用可能である。従って、簡潔のために同じまたは類似の態様および選択肢または代替手段の説明はここでは繰り返さずに主な違いについてのみ説明する。
【0066】
図5の例と同じように図7の具体例では最も内方の中央壁77aと第2の中央壁77bの間を延びている各放射状壁76aは、部材70の第2の中央壁77bと最も外方にある壁78の間を延びている放射状壁76bの対応する1つと半径方向に位置合わせされ、加えてさらなる放射状壁76cが部材70の第2の中央壁77bと最も外方の壁78の間に設けられている。この例ではさらなる「中間」放射状壁76cが部材70の第2の中央壁77bと最も外方の壁78の間を延びている他の放射状壁76bの間の中間に位置するが、他の構成も可能である。この例では放射状壁の間の半径および角度方向の間隔は図5の例のものより小さく、従ってより多くの貫通孔75がある。この特定の例では部材70の長手方向の全体的な多孔度が約64%になるような大きさを有し、配置された貫通孔75、55が40個ある。
【0067】
ここで図8を参照すると喫煙材を加熱し、揮発させるための装置と使用するためのエアロゾル冷却部材80の別の例の略式端面図が示されている。この例でも部材80は円形の断面を有する円筒状であるが(図8から明らかなように)、他の形状も可能である。この例では部材80はモノリシックロッドであり、即ちロッドは単一材料からなるブロックであり、複数の貫通孔または管腔85、85’を有する。この例では部材80の内部壁86は、管腔85の大半が端部から見たときに六角形の断面形状(図8に示すように)または少なくともほぼ六角形の断面形状を有するように配置されている。当然のことながら最も外方の壁88に近い円周の管腔85’は最も外方の壁88の湾曲形状に適合するように異なる形状を有することになり、同様に一部の管腔85の最も外方の周壁も最も外方の壁88の形状に適合するように僅かに湾曲してもよい。それでも上述のように管腔85の大半は六角形の断面形状または少なくともほぼ六角形の断面形状を有する。このようにして、部材80はハチの巣状構造と称される構造を有し、一部の用途で利点を有する場合がある。この特定の例では19個の六角形の主貫通孔85と12個の非六角形の小さい貫通孔85’があり、これらは部材80の長手方向の全体的な多孔度が約70%になるような大きさで配置されている。
【0068】
一例における図5~8の部材50、60、70、80のいずれも実質的に非圧縮性である、即ち部材50、60、70、80は適度に硬質であり、部材50、60、70、80を圧縮するには比較的大きな力を必要とする。このようにして部材50、60、70、80は、使用の際に部材50、60、70、80を支持するためのさらなる構成を必要とせず自立可能である。
【0069】
一例において図5~8の部材50、60、70、80はセラミック材で形成される。セラミック材は無機の非金属材料であり、場合によって結晶性酸化物、窒化物または炭化物材料である。好適な例としては炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化チタンおよび二酸化ジルコニウム(ジルコニア)が挙げられるが、他のセラミックまたは非セラミック材を使用してもよい。他の例では 図5~8の部材50、60、70、80は少なくとも1つのポリマーで形成されている。ポリマーは、熱可塑性物質、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド(または例えばナイロン6を含むナイロン)、ポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリビニル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびポリメチルペンテンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル、エチレンビニルアルコールおよびポリ塩化ビニルなどのポリビニルおよびこれらのあらゆる共重合体、これらのあらゆる派生物およびこれらのあらゆる組み合わせであってもよい。
【0070】
図5~8の部材50、60、70、80は中実のブロックとして最初に形成してもよく、貫通孔55、65、75、85がブロックに穴を空けるまたは穿孔することによって形成される。しかしながら、特に図5~8の部材50、60、70、80が少なくとも1つのポリマーで形成される場合、より効率的には部材50、60、70、80に例えば押し出しおよび/または引き抜きを選択的に含むいくつかの好適な成形技術によって最初に貫通孔55、65、75、85を形成してもよい。
【0071】
上述したようにここで説明した冷却部材の1つの用途は喫煙材を加熱するための加熱装置の主装置内にあり、主装置は通常電源、制御回路などを含む。また上述した別の用途は、主装置に挿入されるまたはそうでなければ主装置と係合し、使用後破棄され、交換される消耗品の一部となるここで説明した冷却部材のための用途である。消耗品のタバコまたは他の喫煙材を加熱するためのヒーターを主装置または消耗品の一部として設けてもよく、またはヒーターを場合によっては両方に設けてもよい。
【0072】
図9は喫煙材を加熱するための装置と使用するためのものであり、上述したような冷却部材を組み込んだ装置90の一例を略式に示している。この例では装置90はマウスピース集合体90である。マウスピース集合体90は喫煙材を加熱するための加熱装置の主装置の一部であってもよく、または使用時に主装置と係合させてもよく、または主装置に挿入されるまたはそうでなければ主装置と係合し、使用後破棄され、交換される消耗品の一部であってもよい。明確化かつ単純化のために、ここで説明するマウスピース集合体90が消耗品の一部であるという観点から以下に説明するが、当然のことながらここで説明するマウスピース集合体90はこれとは別に加熱装置の主装置の一部または使用の際にこれと係合させてもよい。
【0073】
この例ではマウスピース集合体90は単独の冷却部材91を有し、これは上述の例のいずれかによるものであってもよい。冷却部材91の一方の側で(使用時に吸い口端になる)、第1の吸い口端中空管92は冷却部材91の一端と当接する。吸い口端の管92は、例えば螺旋状に巻かれた紙の管の形体の紙、セルロースアセテート、板紙、耐熱クリンプ紙またはパーチメントクリンプ紙などのクリンプ紙および低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリマー材、または一部の他の好適な材料で形成してもよい。冷却部材91のもう一方の側には第2の中空管93があり、これは 喫煙材を加熱する主装置の非常に熱い部分から冷却部材91を離し、従って冷却部材91を高い温度から保護し、さらには縮合を防ぐのに役立つのでエアロゾルの生成を向上させる役割を果たす。第2の管93も例えば螺旋状に巻かれた紙の管の形体の紙、セルロースアセテート、板紙、耐熱クリンプ紙またはパーチメントクリンプ紙などのクリンプ紙および低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリマー材、または一部の他の好適な材料で形成してもよい。吸い口端の管92と第2の管93は冷却部材91を支持する。吸い口端の管92はフィルター機能を有してもよく、場合によってはチューブフィルターと称してもよい。
【0074】
この例の冷却部材91はマウスピース90のほぼ中央に位置するが、他の例ではマウスピース集合体90の多少一端または他端の方に位置してもよい。図9の例では吸い口端管92、冷却部材91および第2の管93は、吸い口端管92、冷却部材91および第2の管93の周りにきつく巻かれて、これらを接合するチッピング紙94によって一緒に保持される。この時点ではマウスピース集合体90は、「組み立て済み」である。
【0075】
1つの具体例において第1の吸い口端管92の長さは11mm、冷却部材91の長さは19mmそして第2の管93の長さは11mmであってもよく、マウスピース集合体90全体としての外径は5.4mmであってもよい。チッピング紙94を除く冷却部材91、吸い口端の管92と第2の管93の外径は、例えば5.13mm~5.25mmの範囲内であってもよく、5.25mmは1つの好ましい選択肢である。例えば特定の用途、入ってくるエアロゾルまたは蒸気の通常の温度、エアロゾルまたは蒸気および喫煙材の特性
(材質)等に応じて、他の寸法のものも使用してもよい。
【0076】
ここで図10を参照すると喫煙材を加熱するための装置と使用するための消耗品100の一例が略式に示されている。消耗品100はマウスピース集合体101および円筒状の喫煙材ロッド102を有する。マウスピース集合体101は冷却部材を含み、これは本明細書で説明した冷却部材のいずれかによるものであってもよい。図示の例ではマウスピース集合体101は図9を参照して説明したマウスピース集合体91とほぼ同じまたは類似する。即ちマウスピース集合体101は冷却部材104、吸い口端管105および第2管106の周りに巻かれたチッピング紙103によって「組み立て済み」である。この場合その後マウスピース集合体101をマウスピース集合体101と喫煙材102の少なくとも隣接する端部の周りに巻かれる別のチッピング紙107で喫煙材102に接合してもよ
い。他の例では、マウスピース集合体101を組み立て済みにせずに代わりに消耗品100をマウスピース部分の部材用に設けられる別のチッピング紙を使わずに冷却部材104、吸い口端管105、第2の管106および喫煙材102をチッピング紙107で巻くことによって一回の操作で効果的に形成される。
【0077】
図11は喫煙材を加熱するための装置と使用するための装置を製造するための製造工程の一例中のある程度完成した製品110の例を略式に示しており、該装置はそれぞれ上述の冷却部材を含む。このある程度完成した製品110は2つの冷却部材111、112を有し、これらは同じものでも異なるものでもよく、それぞれここで説明した例の冷却部材のいずれかによるものであってもよい。2つの冷却部材111、112は、第1の比較的長い中空の管113によって互いに間隔を置いて位置する。別の中空の管114、115が冷却部材111、112の対向端に設けられている。管113、114、115は同じまたは異なる材料で形成してもよく、例えば図9の例に関して説明した材料のいずれかで形成されてもよい。冷却部材111、112および管113、114、115は、冷却部材111、112および管113、114、115の周りにきつく巻かれて、これらを接合するチッピング紙116を使用して互いに接合させてもよい。製造中、中央の中空管113は中央で切断され、喫煙材を加熱するための装置と使用するための2つの構造体が供され、それぞれが冷却部材111、112を含み、それぞれは図9を参照して説明した装置90に類似するものであってもよい。当然のことながらさらに間隔を空ける管を有する冷却部材をある程度完成した製品に設けて本明細書中で説明した構造体を複数製造するためにこれを延ばすことも可能である。
【0078】
必要であれば、風味材をここで説明したマウスピース集合体90のいずれかに含有させてもよい。例えば、風味剤を一部の例ではマウスピース集合体の部材を接合するために使用されるチッピング紙のいずれかに添加してもよい。これとは別にまたはこれに加えて風味材からなる1つ以上のプラグをマウスピース集合体の管の1つ以上に導入してもよい。このようなプラグは、例えば風味剤が添加される風味剤キャリアーとしてのセルロースアセテートトウであってもよい。本明細書中で使用する「風味」および「風味剤」なる用語は各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味や香りを製品に加えるのに用いることができる材料を指す。このような材料としては、抽出物(例えば、ユーカリ、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油など)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物息消臭剤などのその他の添加剤などが挙げられる。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これら材料は、例えば油、液体、粉末などの任意の好適な形態であってもよい。
【0079】
上述したように喫煙材、少なくとも1つの冷却部材および任意の少なくとも1つのスペーサーまたは支持管(フィルター機能も供するものでもよい)を含む「消耗品」は、それ自身のヒーターを有してもよく、これは使用後ユーザーによって処分される消耗部材または装置の一部として供される。これとは別に喫煙材を加熱するためのヒーターを消耗品を使用時に係合させる主装置(通常電源、制御回路などを含む)の部品として設けてもよい。本発明の実施態様のいくつかの例と使用可能な喫煙材を加熱するための後者のタイプの装置の一例が本出願人によるPCT/EP2014/072828および米国仮出願番号61/897,193号に示されており、その全内容を参照することによってここに組み込むものとする。
【0080】
図12および13は本出願人によるPCT/EP2014/072828および米国仮出願番号61/897,193号に開示されている装置121の例の一部の略式斜視図および断面斜視図であり、図14図12および13の装置121に好適に使用されるヒーター支持スリーブと加熱チェンバーの一例を略式に示している断面斜視図である。図12および13では装置121内に挿入された消耗品130が示されており、この消耗品130はここで説明したいくつかの例のいずれかによる冷却部材131を少なくとも有する。装置121は喫煙材を加熱し、喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させて、典型的には吸引することができるエアロゾルを形成するように構成されている。装置121は喫煙材を燃やさず加熱することによって化合物を放出する加熱装置121である。この例の装置121は円形の断面を有するほぼ長尺の円柱状の外方ハウジング122を有するほぼ長尺形状である。外方ハウジング122は開口端部123を有し、これをここでは吸い口端と称する場合もある。
【0081】
特に図13の断面を参照すると、装置121は加熱チェンバー124を有し、これは
使用の際に加熱され、揮発させる喫煙材125を含む。喫煙材125は円柱形状のロッド状の消耗品130の一部として供され、これはこの例では上述のように冷却部材131を有し、これは上述の例のいずれかによるものであってもよい。装置121は電力制御回路127および電源128を含む電子/電力チェンバー126をさらに有する。加熱チェンバー124と電子/電力チェンバー126は装置121の長手方向軸X-Xに沿って互いに隣接している。電力制御回路127は喫煙材125の加熱を制御するために構成、配置されたマイクロプロセッサー装置などのコントローラーを含んでもよい。電源128はバッテリーであってもよく、充電可能なバッテリーまたは充電不可のバッテリーであってもよい。
【0082】
加熱チェンバー124はヒーター支持スリーブ129内に収容され、これは外方ハウジング122に収容される。この例ではヒーター支持スリーブ129は断面が円形のほぼ長尺の円筒である。さらにそして特に図14を参照すると、この例のヒーター支持スリーブ129は壁が二重になっているスリーブである。従って、ヒーター支持スリーブ129は外方円筒状壁129’および内方円筒状壁129’’を有し、これらは小さな幅dによって隔てられている。外方および内方円筒状壁129’、129’’は各端部で接合されている。ヒーター支持スリーブ129の機能の1つは、加熱チェンバー124からの外方ハウジング122の断熱の補助であり、これにより外方ハウジング122は熱くならず、少なくとも使用中に触れても熱すぎることはない。外方および内方円筒状壁129’、129’’の間のスペースは、例えば空気を含んでもよく、あるいはヒーター支持スリーブ129の断熱性を向上させるために脱気してもよい。別例として外方および内方円筒状壁129’、129’’の間のスペースを例えば好適な発泡体型材料を含む何か別の断熱材で満たしてもよい。ヒーター支持スリーブ129は、その中に装着される部品に構造的安定性を供する。
【0083】
ヒーター支持スリーブ129は、少なくとも1つの加熱エレメントを含む。図に示した例ではヒーター支持スリーブ129は複数の加熱素子または加熱セグメントを含む。少なくとも2つのヒーターセグメント135があることが好ましいが、他の数のヒーターセ
グメント135を有する構成も可能である。特に図示の例では4つのヒーターセグメント135がある。この例ではこれらヒーターセグメント135はヒーター支持スリーブ129の長手方向軸X-Xに沿ってまたはこれに平行に整列している。電力制御回路127お
よびヒーターセグメント135への電力接続部は、喫煙材125の選択された領域が例えば必要に応じて順番に(徐々に)または一緒に(同時に)独立して 加熱されるようにヒ
ーターセグメント135の少なくとも2つ、より好ましくは全てが互いに独立して給電されるように構成されるのが好ましい。この特定の例ではヒーターセグメント135は、使用の際に喫煙材125を収容する中空の内部を有するほぼ環状のまたは円筒状の形状を有する。一例ではヒーターセグメント135はセラミック材で作成してもよい。例としてはアルミナおよび窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素セラミックが挙げられ、これはら積層し、焼結させてもよい。例えば赤外線照射によって加熱する赤外線ヒーターセグメント135または例えばヒーターセグメント135の周囲の抵抗性電気巻線によって形成された抵抗加熱エレメントなどの他の加熱構成も可能である。
【0084】
一例では ヒーターセグメント135の内の1つ135’は低い熱容量または熱質量を
有する容積を含むまたは画定するようなものであってもよく、および/またはそれ自体が他のヒーターセグメント135より低い熱容量または熱質量を有してもよい。このことは少なくとも供給される電力が同じまたは類似する場合、小さい熱容量を有するおよび/
または小さい熱容量の容積を画定するヒーターセグメント135’の内部が他のヒーターセグメント135の内部より速く加熱することを意味する。このことは装置121が最初に使用されるとそのヒーターセグメント135’内の喫煙材125がより素早く揮発し、ユーザーがすぐに吸入することができるということを意味する。このヒーターセグメント135’は吸い口端123に近いことが好ましく、従って例えば吸い口端123から順番に離れるように移動して第1または第2のヒーターセグメント135であってもよい。図13に示す例ではこのヒーターセグメント135’は吸い口端123に2番目に近い。ヒーターセグメント135は、機械的な遮断器140によってヒーター支持スリーブ129内に取り付けられ、支持される。機械的遮断器140はヒーターセグメント135を機械的、構造的に支持するような剛性を有する。機械的遮断器140は、ヒーターセグメント135からヒーター支持スリーブ129への熱損失を小さくするまたは最小限にするためにヒーターセグメント135とヒーター支持スリーブ129の間の隙間または空隙を維持する役割を果たす。
【0085】
使用の際に、ユーザーは新しい消耗品130を装置121内に挿入する。それから装置121を作動させて喫煙材125を加熱する。使用後、ユーザーは使用済み消耗品130装置121から取り外して、通常その使用済み消耗品130を廃棄する。
【0086】
図5~8を参照して説明したような冷却部材50、60、70、80を使用してエアロゾルの温度を約50°Cに減少できることが分かっている。総論として管腔が多く存在するほど、冷却部材50、60、70、80の内部表面積が大きくなり、温度低下量が多くなる傾向にある。それでも、ある程度の構造的硬直性が冷却部材50、60、70、80に要求され、内部壁は熱を奪う役割を果たす。半径方向に配置された管腔を有する冷却部材の場合、管腔の数は一般に20~50の範囲にあり、六角形または他の多角形構造の管腔を有する冷却部材の場合、管腔の数は一般に15~25の範囲にある。
【0087】
ここで説明した種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14