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  • 特許-複合材部品を製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】複合材部品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/24 20060101AFI20230622BHJP
   B29C 39/12 20060101ALI20230622BHJP
   B29C 70/48 20060101ALI20230622BHJP
   B29C 70/88 20060101ALI20230622BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20230622BHJP
   B64F 5/10 20170101ALI20230622BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20230622BHJP
   B29L 31/30 20060101ALN20230622BHJP
【FI】
B29C39/24
B29C39/12
B29C70/48
B29C70/88
B64C1/00 B
B64F5/10
B29K105:08
B29L31:30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018209638
(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公開番号】P2019098743
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】10 2017 128 501.6
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】311014956
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Airbus Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Kreetslag 10,21129 Hamburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ファステルト クラウス
(72)【発明者】
【氏名】シュトルツ ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】シーゲル ハウケ
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-219078(JP,A)
【文献】特開平05-038774(JP,A)
【文献】特開2010-089501(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02433467(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0271891(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03228585(EP,A1)
【文献】特開平04-232008(JP,A)
【文献】特開2013-216012(JP,A)
【文献】特開2012-086547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/00-39/44
B29C 70/00-70/88
B29B 11/16
B29B 15/08-15/14
C08J 5/04- 5/10
C08J 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化プラスチックから部品を製造する方法であって、
型表面(4)を有する成形型(2)を用意する(16)ステップ、
乾燥繊維を含むテキスタイル半完成品の第1層(6)を前記型表面(4)上に位置決めする(18)ステップ、
導電性の樹脂透過性格子の第2層(8)を前記第1層(6)上に配置する(20)ステップ、
最上層構造体(12)を配置する(22)ステップ、
モールドを形成するために前記第1層(6)と前記第2層(8)と前記最上層構造体(12)とを含む層構造体(6、8、12)を型締デバイス(14)によって封止する(24)ステップ、
全ての前記層に樹脂を浸透(30)させるために前記モールドに前記樹脂を導入する(28)ステップ、及び
前記部品を硬化(32)し、取り出す(34)ステップであって、前記部品を硬化するステップは、前記成形型(2)を加熱することを含み、且つ、前記第1層(6)は、硬化前又は硬化中において未硬化の樹脂を含むステップ
を含み、
前記第1層(6)は、前記部品の外面に樹脂層を提供するように構成されており、
前記第1層(6)に含まれる前記未硬化の樹脂は、前記部品の硬化のために前記成形型(2)を加熱している最中に崩壊又は分解するように構成された材料を含み、前記第1層(6)に含まれる前記未硬化の樹脂は、硬化前に少なくとも一部、前記層構造体(6、8、12)における残りの層(8,12)中に放出される、方法。
【請求項2】
前記モールドを真空引きする(26)ステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電性の樹脂透過性格子(8)は金属材料の織布である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記導電性の樹脂透過性格子(8)は金属材料の3次元格子である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記金属材料は銅又は青銅である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1層(6)は不織繊維を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1層(6)の前記繊維は短繊維である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記導電性の樹脂透過性格子(8)と前記最上層構造体(12)との間に中間層(10)を配する(36)ステップを更に含み、前記中間層(10)は非導電性繊維を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記中間層(10)の前記繊維はガラス繊維である、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化プラスチックから部品を製造する方法、及び少なくとも1つのこのような部品を有する航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
安全に運航するために、特に航空機用の繊維強化プラスチック製大型部品には雷保護を施すべきである。このような保護は、例えば、樹脂に埋め込まれた導電層の形態を取る。この場合、このような大型部品の外面上に導電層を結合させてもよい。既知の方法の場合、これは、雷保護用の樹脂含有導電層と予備含浸させ予備形成した未硬化部品(プリプレグ)とを組み合わせ、この複合材を後に硬化させることによって実施され得る。
【0003】
導電層に隣接するこのような層又はプリフォームに十分に樹脂を注入するために、通常、流動補助物が使用される。例えば、表面積が広い領域にわたって樹脂を分配するためのマットが知られており、このマットは、プリフォームに付加的に導入される。成形型上にあるプリフォームの表面領域にも、プリフォームのこの側に樹脂を与えるために、流動補助物が与えられる。このようにして製造される部品の高い表面品質を達成するために、硬化済み部品の少なくとも1つの側を後に処理する必要がある。
【0004】
(特許文献1)は、航空機構造の外面に導電性ストリップが配置されている、繊維強化プラスチック製の航空機構造用の雷保護システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第2 222 563(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複雑な流動補助物なく大型部品を製造できること、また同時に、十分な雷保護を組み込むことができること、及び高品質の部品表面を実現できることが望ましい。
【0007】
したがって、目的は、材料中に雷保護が組み込まれていても別個の流動補助物を必要とすることなく部品又は織繊維布の浸透が可能な、繊維強化プラスチックから特に大型部品を製造する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項1の特徴を有する、繊維強化プラスチックから部品を製造する方法によって達成される。有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項及び以下の説明から得られる。
【0009】
当該方法は、第1の成形型及び型表面を用意するステップと、乾燥繊維を含むテキスタイル半完成品の第1層を型表面上に位置決めするステップと、導電性の樹脂透過性格子の第2層を第1層上に配置するステップと、最上層構造体を配するステップと、モールドを形成するために成形型上の層構造体全体を型締デバイスによって封止するステップと、全ての層に樹脂を浸透させるためにモールドに樹脂を導入するステップと、部品を硬化し、取り出すステップと、を含む。
【0010】
原則的に、当該方法は、樹脂注入成形(RTM:resin transfer moulding)法又は真空注入成形(VARI:vacuum infusion)法である。この方法の基本は、型締デバイスによって成形型上に封止される層構造体の提供である。型締デバイスは、この場合、更なる手段によって成形型の表面上に封止される可撓性フィルムであってもよい。更に、型締デバイスは、上述の成形型に加えて、成形型の更なる硬質又は寸法安定部分の形態を取ってもよい。
【0011】
この目的は、層構造体を成形型上に気密且つ寸法安定性のある状態で封入することである。これに続いて真空引きを行ってもよい。その後、モールド内にある層組立体に樹脂が誘導される。これは純粋に任意の真空引き後に生成される吸引力によって又は樹脂に外部から加えられる圧力によって行ってもよい。
【0012】
本発明による方法の重要な点は、導電性ではあるが樹脂透過性の格子の第2層を、テキスタイル半完成品の第1層上に使用することである。この導電性層を組み込むことで部品の所望の雷保護につながる。しかしながら、樹脂が第2層の格子を通って容易に流れることができるため、樹脂用の通過穴を有する格子としての構成は特に有利である。樹脂に埋め込まれることもなく本質的に不透過性でもないこの導電性層を使用することで、未硬化の樹脂を、製造される部品の一方の側のみから導入することを可能にする。それでも、全ての層に樹脂が浸透する。したがって、この導電層の樹脂透過性構成により、この層は流動補助物として機能する。したがって、別個の流動補助物は必要ない。導電性層はその構造を、導電材料を含まない周知の流動補助物に適合させることができる。
【0013】
例えば前述の最上層構造体などの上層、又は例えば前述の第1層などの下層に入る樹脂は、樹脂透過性の導電性層を通って第2層のそれぞれもう一方の側にある繊維に到達することができる。結果的に、浸透中、樹脂は導電層を同様に透過する。樹脂を導入する方向に関係なく、浸透後に樹脂豊富層を提供する第1層を積層することができる。したがって、導電性層は、最上層構造体とともに樹脂に埋め込まれるため、従来実施されていた導電性層のコーティングは必要ない。
【0014】
本発明では、「樹脂」という用語は、繊維材料とともに繊維複合材部品を形成するのに好適な任意のマトリックス材料を指すものである。マトリックス材料は、この場合、また、触媒を既に含んでいてもよい(多成分樹脂系)。樹脂は、より狭義の意味で、例えばエポキシ樹脂系の熱硬化性樹脂を指す場合がある。しかしながら、熱可塑性樹脂も排除すべきではない。
【0015】
本開示内で使用される「上(upper)」及び「下(lower)」という表現は、垂直範囲を必ずしも意味するものではなく、「型とは逆に面している側」(上)及び「型に面している側」(下)の意味で理解すべきである。
【0016】
層構造体全体並びに成形型及び型締デバイスによって形成されるモールドは、また、樹脂の導入のため両側からアクセス可能である必要はない。例えばモールド表面とは反対の、この構造体の1つの方向から樹脂を導入することで十分である。しかしながら、樹脂の導入は、もう一方の方向からも行ってよい。層組立体全体における樹脂の有利な拡散により、結果的に、樹脂で被覆された導電層の表面品質が型表面の表面仕上げの結果として直接追従することを可能にする。
【0017】
有利な実施形態では、当該方法は、また、モールドを真空引きするステップを含む。その結果、特に又は単にこの手法で生成した吸引によって樹脂がその浸透のために個々の層に引き込まれる。このステップは前述のRTM法の場合のある状況下では省略することができるが、真空注入成形の場合には必要である。
【0018】
有利な実施形態では、樹脂透過性導電性格子は金属材料の織布である。格子は、雷保護を最適化するための特定の構造を有してもよい。このような適切な構造は、実験的に又は既に利用可能なデータに基づき決定され得る。格子の構造は、また、第1層への樹脂の流動挙動を大きく決定する。金属織布の最も単純な変形形態は、金属繊維、ワイヤ又はフィルムが1つの平面内にのみ延びる2次元の布である。特定の透過性を実現するために、この布は網目を有する。網目幅は、隣接する層の十分な浸透と十分な雷保護との両方を実現する効果に合わせて最適化することができる。
【0019】
有利な実施形態では、樹脂透過性導電性格子は金属材料の3次元格子である。3次元格子構造の場合、2次元構造の場合に比べて更に大きくなり透過性を更に向上する傾向がある流れ穴を設けることができる。流れ穴は、この場合、格子の範囲の主平面に対して斜めにも延びてよい。格子の3次元構造は、位置をずらして配置した切り込みを有する基材フィルム又は基材シートを延伸する又は引くことによって変形し、3次元の規則的に又は不規則に湾曲した構造を形成することによって作製されるエキスパンドメタル格子に類似する手法で製造され得る。
【0020】
特に好適な実施形態では、金属材料は銅又は青銅である。これら材料は特に導電性が高いため、所望の雷保護に特に好適である。
【0021】
更に有利な実施形態では、第1層は不織繊維を含む。これらは最上層構造体の材料と同じ材料で作製してもよい。第1層は、例えば、方向性繊維束を含んでもよい。第1層を作製するために残りの繊維を使用することが適切な場合がある。この第1層の目的は、製造される部品が塗料のコーティングを受け入れることができるようにする樹脂豊富層を提供することである。したがって、この第1層によって作製される樹脂層は部品の外面を形成する。この外層の注入用の付加的な流動補助物の欠如は、特に良好な表面品質を更なる手段なしで達成できることを意味する。また、本発明による方法によって製造された部品に穴を開ける場合、最上層構造体から繊維が出ないようにすべきであることも意図される。
【0022】
有利な実施形態では、第1層の繊維は短繊維として構成されていてもよい。第1層の繊維は断面及びその構造が最上層構造体の繊維に一致してもよいが、特に数センチメートルの範囲の相対的に短い長さを有してもよい。このため、繊維が全体として全方向に延びることができ、その結果高い強度を有する非常に均質な樹脂豊富層を作製することができる。
【0023】
当該方法は、また、導電性の樹脂透過性格子と最上層構造体との間に中間層を配するステップを含んでもよく、中間層は非導電性繊維を含む。これら繊維は、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、ケブラー繊維、ポリエステル繊維等の形態を取ってもよい。このため、導電層と最上層構造体によって積層された実際の構造部品との間に絶縁層が得られる。落雷の場合に実際の構造部品をこの絶縁体によって損傷から保護することができ、これは特に炭素繊維を含むプラスチックの場合に有利である。
【0024】
本発明による方法の場合、層はまた、耐温性でない材料を含んでもよく、耐温性でない材料は、部品の硬化のために成形型を加熱している最中に崩壊又は分解するため、層に含まれる未硬化の樹脂は、その硬化前に少なくとも一部、残りの層中に放出される。その結果、第1層における樹脂の層厚さを最小にすることができる。浸透時、十分量の樹脂が第1層に入る。層組立体は、型締デバイスと任意の真空引きとによって互いに押し付けられるため、後の加熱時、繊維の崩壊によって最下層の形態が変化する。最下層の体積は減少し、最下層に含まれる樹脂は隣接する層に入ることができる。それでも、樹脂の残留物は最下層中に留まり、部品の、成形型に面している側の十分に滑らかな面を提供する。
【0025】
本発明は、また、上述の方法によって製造された少なくとも1つの部品を有する航空機に関する。
【0026】
少なくとも1つの部品は、尾部ユニット、翼、又は胴体部品であってもよい。
【0027】
本発明の更なる特徴、利点及び用途の可能性は、以下の例示的実施形態の説明及び図から明らかになる。本明細書では、図に記載される及び/又は示される全ての特徴は、これらが個々の請求項又はその従属請求項においていかに組み合わされるかとは無関係に、個々に及び任意の所望の組み合わせにおいて本発明の対象を成す。更に、図中、同じ又は類似の物体には同じ参照符号が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による方法によって積層された層構造の概略図である。
図2】部品を製造する方法の順序をブロック図として概略的に示す。
図3】本発明による方法によって製造された少なくとも1つの部品を有する航空機を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、型表面4を有する成形型2を示す。部品は型表面4上で製造される。まず、乾燥繊維を含むテキスタイル半完成品の第1層6が型表面4上に位置決めされる。第1層6は、部品の外面上にできる限り滑らかな均質樹脂層を付与することを意図している。この外面は、例えば、後の使用時に外側に面する航空機の部品の表面であってもよい。部品を成形型2から取り出した後、第1層6は塗装されてもよく、これ以上の後の処理はないことが好ましい。
【0030】
第1層の上に、導電性の樹脂透過性格子を含む第2層8が位置決めされる。第2層は、例えば、金属材料で作製することができ、金属材料は特に銅又は青銅であってもよい。格子は、この全ての層の構成部分、即ち、材料ストランド、表面積領域、シート部分等が同一平面内に延びるという点において2次元で構成されていてもよい。この第2層8は、当該方法によって製造された部品の雷保護の役割を果たす。
【0031】
あるいは、しかし、格子8は単なるシートに比べてかなり厚みのある3次元格子であることが好ましい。第2層8はエキスパンドメタル格子として構成されていてもよい。エキスパンドメタル格子は、樹脂が成形型2に向かう方向と成形型2から離れる方向の両方に通過することを可能にする通過穴を有する。例えば、第1層6及び第2層8に樹脂が分配される場合、主に成形型2に面する側から最上層構造体12の方向における樹脂の流れを容易に達成することができる。これは反対方向にも行うことができることは言うまでもない。
【0032】
オプションとして、非導電性繊維の中間層10をこの第2層8上に位置決めしてもよい。これにより、第2層8と、第2層8の上に位置する最上層構造体12との間の電気絶縁が設けられる。
【0033】
最上層構造体12は、同じ方向又は異なる方向に延びる1つ以上の繊維層を含んでもよい。最上層構造体12は、所望の強度を有する構造部品を作製する役割を果たす。したがって、最上層構造体12は実際の部品のコアを形成する。特に、最上層構造体12中に使用される繊維は炭素繊維であってもよい。
【0034】
全体的に層組立体と呼ばれ得る図示されるこれら種々の層を配置後、型締デバイス14が成形型2に対して適用される。層組立体は気密状態で密閉される。任意の真空引きの後、樹脂を導入してもよい。樹脂の導入は、成形型2とは逆に面している層構造体の側において行うことができるが、樹脂は型表面4に面する側を通じて導入されることが望まれる場合がある。全ての層はそれらの多少の開放構造により樹脂の拡散を可能にすることから、一方の側から導入される樹脂を層構造体全体に分配することができる。換言すると、これは、まとめて1つの方向から層に樹脂が浸透することを意味する。
【0035】
この場合、雷保護の実際の機能のほかに、第2層8は、第1層6又は最上層構造体12に樹脂を浸透させる流動補助物として解釈することもできる。このようにして、樹脂を、第2層8の側方範囲及び垂直範囲の全体にわたって均一に与えることができる。
【0036】
十分量の樹脂を導入後、部品は、特に型締デバイス14を型表面4上に保持している間に熱を適切に供給することによって硬化される。硬化を行う間、特に任意の真空を維持してもよい。
【0037】
最上層構造体は、当該方法によって製造される部品が所望の強度のみならず、外方向の対応する雷保護及び雷保護層と主要構造部品との間の絶縁体も有するという効果を有する。層構造体の両側から樹脂を供給する必要はなく、追加の流動補助物は必要ない。
【0038】
図2は、本発明による方法の順序をブロック図で示す。まず、成形型が用意され16、その後、乾燥繊維を含むテキスタイル半完成品の第1層が型表面上に位置決めされる18。導電性の樹脂透過性格子の第2層が第1層上に配置される20。最上層構造体は、その後、格子上に位置決めされる22。層構造体又は層組立体は、モールドを形成するために型締デバイスによって封止される24。その後、所望であれば、真空引き26を行ってもよい。その後、樹脂の導入28を実施し、その結果、浸透30に至る。硬化32後、部品の取り出し34を行ってもよい。最上層構造体の配置前に、非導電性繊維を含む中間層が配置又は配され36てもよい。
【0039】
最後に、図3は、胴体40と、翼42と、尾部ユニット44と、を含む航空機38を示す。これら部品の1つ以上あるいはこれら部品の一部分のみを、少なくとも一部、上述の方法によって製造してもよい。その結果、このような部品の製造に伴う労力を低減することができるとともにコストを最適化することができる。
【0040】
加えて、「含む(comprising)」は他の要素又はステップを排除するものではなく、「a」又は「an」は多数を排除するものではないことに留意されたい。また、上述の例示的実施形態の1つに関して記載した特徴又はステップはまた、上述の他の例示的実施形態の他の特徴と併せて使用してもよいことにも留意されたい。特許請求の範囲における参照番号は限定と解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0041】
2 成形型
4 型表面
6 第1層
8 第2層
10 中間層
12 最上層構造体
14 型締デバイス
16 用意する
18 位置決めする
20 配置する
22 配置する
24 封止する
26 真空引きする
28 導入する
30 浸透
32 硬化
34 取り出す
36 配する
38 航空機
40 胴体部品
42 翼
44 尾部ユニット
図1
図2
図3