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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20230622BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
H03B5/32 H
H01L23/02 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019059302
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020161977
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】713005174
【氏名又は名称】エスアイアイ・クリスタルテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096655
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100091225
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 均
(72)【発明者】
【氏名】宮田 秀光
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 俊典
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-164587(JP,A)
【文献】特開2004-135090(JP,A)
【文献】特開2005-006171(JP,A)
【文献】特開2006-351810(JP,A)
【文献】特開2011-223232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/54
H01L23/00-H01L23/26
H03B5/30-H03B5/42
H03H3/007-H03H3/10
H03H9/00-H03H9/76
H10N30/00-H10N39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品筐体と電子部品を備える電子装置であって、
前記電子部品筐体は、
基板と、
前記基板の表側に形成された、素子を収容する収容部と、
前記基板の裏側に配置される電子部品の厚さよりも高く形成され、前記基板の裏側に外縁に沿って、その一部が破断して形成された側壁と、
前記基板の裏側底面における、少なくとも前記側壁の破断によって形成された領域を含む領域に、前記電子部品の厚さよりも浅く形成された凹部と、
前記側壁の前記収容部と反対側の端面に形成された外部電極端子と、
前記外部電極端子と、前記収容部に収容される素子及び前記電子部品とを接続する配線と、を具備し
前記電子部品は、前記基板の裏側面に配設され、前記配線に接続されることで前記外部電極端子と接続される、
ことを特徴とする電子装置
【請求項2】
前記凹部は、配設される前記電子部品の配設領域よりも大きな領域の凹みにより形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子装置
【請求項3】
前記凹部から前記基板の縁側に向けて延設して形成された凹部状の注入部と、
を具備したことを特徴とする請求項2に記載の電子装置
【請求項4】
前記凹部は、前記破断によって形成された領域の長手方向に形成された溝により形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子装置
【請求項5】
前記溝は、配設される前記電子部品よりも大きな領域を囲む環状に形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子装置
【請求項6】
前記溝は、環状内部の領域が前記基板の縁側に向けた凸部を形成している、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子装置
【請求項7】
前記収容部は、圧電素子を収容し、封口板で封止されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1の請求項に記載の電子装置
【請求項8】
記基の裏側面と前記電子部品との間に配設されたアンダーフィルをさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1の請求項に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に係り、例えば圧電デバイス等の素子と電子部品が配設される電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や携帯情報端末機器等の電子機器には、各種素子を収容した電子部品筐体に、更にIC等の電子部品を搭載した電子装置が使用されることがある。この電子装置に収容される素子としては、例えば、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等に用いられる、水晶等を利用した圧電振動片がある。
【0003】
例えば、特許文献1では、素子としての圧電振動子を収容すると共に、外部に電子部品としての半導体素子が配設された電子部品収納用パッケージが提案されている。
すなわち図7に示すように、上下面に搭載部を有する平板状の第1絶縁層102の上面104側に圧電振動子110を配設して封止すると共に、第1絶縁層102の下面105側の外縁部に枠状の第2絶縁層103を形成することで、下面側に開放された凹部155が形成され、この凹部155の底面(第1絶縁層102の下面105)に半導体素子111を接続している。
そして、第2絶縁層103の下面の四角には、外部接続用の電極116が形成されている。
【0004】
しかし、特許文献1では、基板(第1絶縁層102)の裏面(下面105)の外縁全周にわたって壁(第2絶縁層103)が形成され、この壁に囲まれた領域内に電子部品(半導体素子111)が配設されている。
このため、電子装置や電子部品筐体が小型化した場合に、搭載する電子部品の実装面積が小さくなり実装できなくなるか、または電子部品も小型化する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-110214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電子装置における、電子部品用の広い実装面積を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1に記載の発明では、電子部品筐体と電子部品を備える電子装置であって、前記電子部品筐体は、基板と、前記基板の表側に形成された、素子を収容する収容部と、前記基板の裏側に配置される電子部品の厚さよりも高く形成され、前記基板の裏側に外縁に沿って、その一部が破断して形成された側壁と、前記基板の裏側底面における、少なくとも前記側壁の破断によって形成された領域を含む領域に、前記電子部品の厚さよりも浅く形成された凹部と、前記側壁の前記収容部と反対側の端面に形成された外部電極端子と、前記外部電極端子と、前記収容部に収容される素子及び前記電子部品とを接続する配線と、を具備し、前記電子部品は、前記基板の裏側面に配設され、前記配線に接続されることで前記外部電極端子と接続される、ことを特徴とする電子装置を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、前記凹部は、配設される前記電子部品の配設領域よりも大きな領域の凹みにより形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電子装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記凹部から前記基板の縁側に向けて延設して形成された凹部状の注入部と、を具備したことを特徴とする請求項2に記載の電子装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記凹部は、前記破断によって形成された領域の長手方向に形成された溝により形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電子装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記溝は、配設される前記電子部品よりも大きな領域を囲む環状に形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載の電子装置を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、前記溝は、環状内部の領域が前記基板の縁側に向けた凸部を形成している、ことを特徴とする請求項5に記載の電子装置を提供する。
(7)請求項7に記載の発明では、前記収容部は、圧電素子を収容し、封口板で封止されている、ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1の請求項に記載の電子装置を提供する。
(8)請求項8に記載の発明では、記基の裏側面と前記電子部品との間に配設されたアンダーフィルをさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1の請求項に記載の電子装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、基板の裏側に形成した側壁の一部が破断しているので、電子部品用の広い実装面積を確保することができる。
そして、側壁の破断によって形成された領域を含む領域に凹部が形成されているため、実装した電子部品に対するアンダーフィルが筐体外に流出することも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電子装置の外観を表した斜視図である。
図2】電子装置の表面の一部破断状態、側面、下面を表した説明図である。
図3】電子装置における裏面の配線状態を表した説明図である。
図4】電子装置の裏面に形成した凹部の変形例を表した説明図である。
図5】電子装置の裏面に形成した凹部の他の変形例を表した説明図である。
図6】電子装置の裏面に形成した凹部の他の変形例を表した説明図である。
図7】従来の電子部品収納用パッケージの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の電子部品筐体、電子装置における好適な実施形態について、図1から図6を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
電子装置1は、図1に示すように、基板10と、基板10の表側に形成された収容部が配置される本体2を備え、収容部内には圧電振動片6(図示しない)が実装された状態で封口板5により密封されている。
基板10の裏側には、その外縁に沿って側壁20A、側壁20Bが形成されている。両側壁20A、20Bは、基板10の裏側外縁に沿った全周ではなく(枠体ではなく)、その一部が破断して形成されることで、IC40の配置面積を広く確保することができる。
本実施形態の電子装置1では、基板10の裏底面12に、IC40の厚さよりも浅く、IC40よりも大面積の凹み13が形成されている。IC40は、凹み13の凹み底面16(図示しない)にバンプ接続されている。そして、凹み13に連続して、同じ深さの注入部14、15が形成されている。この注入部14、15から凹み底面16とIC40との間にアンダーフィルが注入されるが、凹み13の外縁面(内側面)が存在しているため、アンダーフィルが電子装置(電子部品筐体)の外部に流出することが防止される。
【0011】
(2)実施形態の詳細
図1は、電子部品筐体にIC40を搭載した電子装置1の外観斜視図である。
本実施形態の電子装置1は、図1(a)に示すように、平面視で略方形形状の電子部品筐体3とIC40を備えている。この電子部品筐体3は、本体2と、本体2との間にキャビティC(収容部)を形成するとともに内部を気密封止する封口板5と、を備えている。
本体2は、互いに重ね合わされた状態で接合された、第1基板10a~第3基板10cからなる基板10と、第1基板10a上に接合された封口板5と共にキャビティCを形成するシールリング30と、を備えている。このキャビティC内には、後述する圧電振動片6が実装されている。
【0012】
本実施形態の電子部品筐体3における平面視でのサイズは、例えば長手方向の長さが2.0mm、短手方向の長さが1.2mmに形成される。
他に、長手方向が1.6mm、短手方向が1.0mmの電子部品筐体3や、長手方向が1.2mm、短手方向が1.0mmの電子部品筐体3等、各種サイズに適用される。
【0013】
一方、電子部品筐体3は、図1(b)に示すように、基板10の裏側に、基板10の外縁に沿った全周のうち一部が破断して形成された側壁20A、20Bが形成されている。
この側壁20A、20Bの厚さ(四隅部分を除く)は、0.18mmに形成されている。
また側壁20Aと側壁20Bとの間で破断された部分の長さは、本実施形態では1.3mmとなっている。すなわち、側壁20Aと側壁20Bはそれぞれ、基板10の裏側短辺全体に形成されると共に、その両端側が長辺に沿って0.35mmずつ形成されている。
【0014】
基板10の裏底面12には、凹部として機能する凹み13が形成され、その内側底面である凹み底面16(図示しない)には、IC40が配設されている。
凹み13の長手方向の両側には、凹み底面16とIC40との間にアンダーフィルを注入するための、注入部14、15が凹み13から外側に延出して形成されている。
【0015】
図2は、電子装置1の平面視、側面視、裏面視した状態を表した説明図である。
図2(a)では、電子装置1の封口板5の一部を破断して、収容部として機能するキャビティC内の状態を表している。
この図2(a)に示すように、第1基板10a(図示しない)の上面、シールリング30の内面、及び、封口板5の内側面により収容部として機能するキャビティCが形成されている。
第1基板10a上には、圧電振動片6を実装するための実装部71、71が形成され、その表面には図示しない電極パッドが配設されている。
シールリング30は、導電性の枠状部材であり、第1基板10aの上面に接合されている。具体的には、シールリング30は、銀ロウ等のロウ材や半田材等による焼付けによって第1基板10a上に接合、あるいは、第1基板10a上に形成(例えば、電解メッキや無電解メッキの他、蒸着やスパッタ等により)された金属接合層に対する溶着等によって接合されている。
【0016】
このキャビティC内に形成された実装部71には、圧電振動片6が実装されている。
本実施形態の圧電振動片6は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された、いわゆる音叉形の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。本実施形態では、圧電材料として水晶を使用して形成した圧電振動片のうちの、いわゆるサイドアーム型の圧電振動片6を例に説明する。
圧電振動片6は、基部62(図2(b)参照)から平行に延びる1対の振動腕部61、61と、この振動腕部61、61の外側に同方向に基部62から延びる支持腕部63、63を備え、この支持腕部63、63により、キャビティC内に保持される。すなわち、支持腕部63、63が、キャビティC内に形成した実装部71(上面の電極パッド)に導電性接着剤72で接続され、固定されている。
支持腕部63、63と、振動腕部61の主面と側面には図示しない2系統の励振電極が形成されている。2系統の励振電極は、それぞれ支持腕部63、63から導電性接着剤72と電極パッドを介して後述する貫通電極75と電気的に接続されている。
なお、導電性接着剤72は、図2(b)で示すように、一本の支持腕部63に対して長手方向の2箇所で固定している。
【0017】
なお、圧電振動片6は、振動腕部61の振動特性を改善し小型化するために、先端部に拡幅部を設けたり、上下の両主面に長手方向の溝を形成したりすることも可能である。また、いわゆるサイドアーム型の圧電振動片6に限られず、基部で実装する圧電振動片や所謂センターアーム型の圧電振動片等の各種圧電振動片が実装可能である。
【0018】
図2(b)の側面図に示されるように、基板10は、構成する第1基板10a~第3基板10cが積層形成され、第3基板10cの一方の面(第2基板10bと接していない面)が、基板10の裏底面12となっている。
この基板10の裏面側には、側壁20Aと側壁20Bが形成されている。側壁20A、20Bは、後述するIC40の厚さよりも厚く形成されている。但し、本実施形態ではIC40が凹み13の凹み底面16にバンプ接続されるため、側壁20A、20Bの厚さは、裏底面12からIC40の表面(バンプ接続される側の反対側の面)までの距離よりも長く形成されていればよい。
【0019】
第1基板10a~第3基板10c及び側壁20A、20Bは、例えばウエハ状のセラミック基板を複数枚重ねて接合した後、各セラミック基板を貫通する複数のスルーホールを行列状に形成し、その後、各スルーホールを基準としながらセラミック基板を格子状に切断することで作製される。その際、スルーホールが4分割されることで、本体2の4隅に平面視1/4円弧状の切欠部25(図1参照)が厚み方向の全体にわたって形成される。
第1基板10a~第3基板10c及び側壁20A、20Bは、焼結などにより結合されることで一体化されている。
なお、基板10と側壁20A、20Bはセラミック製としたが、その具体的なセラミック材料としては、例えばアルミナ製のHTCC(High Temperature Co-Fired Ceramic)や、ガラスセラミック製のLTCC(Low Temperature Co-Fired Ceramic)等が挙げられる。
【0020】
第1基板10aの上面は、キャビティCの底面に相当する。
第1基板10aには、実装部71に対応する位置に形成された貫通孔に、貫通電極75が配設されている。この貫通電極75は、実装部71の電極パッドに接続されると共に、第1基板10aと第2基板10bとの間に形成された図示しない配線電極を介して、後述する外部接続端子21A~外部接続端子21Dのいずれかと接続されている。
【0021】
第3基板10cの裏面側に形成された、側壁20Aと側壁20Bは、基板10の外縁に沿った全体のうち、両長辺部分の一部が破断することで形成されている。この側壁20Aと側壁20Bとが破断されていることで形成される領域の面積だけ、第3基板10cの裏底面12の面積を広く確保することができる。これにより、より大きなIC40(電子部品)を配置することができる。
【0022】
第3基板10cは、積層配置する前の中央部に所定形状の貫通孔が形成され、第2基板10bと一体化することで、凹部として機能する凹み13と注入部14、15が形成されている。これにより、第2基板10bが露出し、第2基板10bの露出面が凹み13の凹み底面16となっている。
凹み13の深さが第3基板10cの厚さであり、この厚さは凹み13の内側に配設されるIC40の厚さよりも薄く形成されている。具体的には、第3基板10cの厚さ=凹み13の深さ=0.075mmである。
本実施形態の凹み13は、長手方向の長さが1.2mm、短手方向の長さが1.1mmに形成され、内側に配設されるIC40よりも大きく形成されている。そして、凹み13は、側壁20Aと側壁20Bとが破断されることで形成された領域を含んで形成されることで、より大きな領域を確保することで、その内側により大きなIC40を配設することが可能になっている。
【0023】
IC40は、この凹み13により形成された凹み底面16に形成されている配線17上にバンプ接続されている。配線17の詳細については後述する。
そして、バンプ接続されたIC40と凹み底面16との間に、凹み13と同じように凹んでいる注入部14、注入部15からアンダーフィルが注入される。
このアンダーフィルを注入した際に、凹み13の内側面がアンダーフィルの注入領域の全周を囲んでいるので、アンダーフィルが凹み13の内側面で止まり、外部に流出することが防止される。すなわち、本実施形態では、側壁20A、20B間に破断部分が存在する(基板10の裏面全周にわたって形成されていない)が、破断部分からアンダーフィルが流出することがない。
なお、本実施形態では、アンダーフィルの注入部が注入部14、15の2箇所に形成されているが、1箇所でもよく、また3箇所以上形成するようにしてもよい。
但し、アンダーフィル用の注入部は、その外側に側壁(20A、20B等)が存在する位置に形成することが好ましい。
【0024】
図3は、電子装置1における裏面の配線状態を表した説明図である。この図3は、電子部品筐体3にIC40を取り付けて電子装置1とする前の状態でもある。
図3において右下り斜線で示すように、側壁20Aの端面の短手方向の両側には、外部接続端子21Aと外部接続端子21Cが形成され、側壁20Bの端面の短手方向の両側には、外部接続端子21Bと外部接続端子21Dが形成されている。
これら各外部接続端子21A~21Dの各々は、切欠部25の外面に形成された側面電極23A~側面電極23Dに接続されている。
一方、基板10に形成した凹み13の凹み底面16と注入部14、15の底面には、左下り斜線で示したように、配線17が形成されている。これらの配線は一例であって配置されるIC40等の電子部品に応じて形成される。
そして、凹み底面16に形成された配線17の一部は、点線で示すように、第3基板10cと第2基板10bの間に延設して、側面電極23A~側面電極23Dのいずれかと接続されている。
側面電極23A~側面電極23Dは、配線17によりIC40と接続されると共に、第2基板10bと第1基板10a間に形成された配線電極、貫通電極75等を通って圧電振動片6に供給されることで、振動腕部61を励振させるようになっている。
なお、外部接続端子21A~21Dや配線17、配線電極等は、例えば蒸着やスパッタ等で形成された単一金属による単層膜、または異なる金属が積層された積層膜である。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の電子装置1では、電子部品筐体3における基部10の裏側面に形成する側壁を、基部10の外縁に沿った枠状に形成するのではなく、その一部を破断した側壁20Aと側壁20Bで形成しているので、破断によって露出した領域分だけIC40等の電子部品の配置領域を広く確保することができる。
そして、この側壁の破断によって露出形成された領域を含む領域に凹部が形成されているので、基板10の裏面の側壁を破断箇所、側壁20Aと側壁20Bとの間からアンダーフィルが外部に流出することが防止できる。
また、本実施形態では、凹み13と連続して、同じように凹む注入部14、15が形成されている。すなわち、IC40の配置面である凹み底面16と同一平面に底部がある注入部14、15が形成されているので、凹み底面16とIC40の間へのアンダーフィルの注入を容易に行うことができる。
【0026】
次に、基板10の裏面に形成する凹部についての変形例について説明する。
すなわち、実施形態では凹部として、IC40よりも大きく形成した凹み13を形成することでアンダーフィルの流出を防止する場合について説明した。
これに対して、以下に説明する変形例は、凹部として機能する溝を基板10の裏面に形成したものである。
【0027】
図4図6は、凹部として機能する溝13b~13gを基板10の裏面に形成したものである。他の部分については、実施形態と同一であるので、説明を省略する。また、図4図6では、配線17等については表示を省略している。
図4図6において、各溝13b~13gについては、その領域をわかりやすくするために、網掛けにより表示している。
溝13b~溝13gは、いずれも実施形態と同様に第3基板10cの厚さと同じ深さに形成されている。
【0028】
図4に示した第1変形例では、実施形態の凹み13と同じ外縁となる溝13bがIC40を囲むように形成されている。
これにより、溝13の内側は、第3基板10cによる裏底面12が露出していて、この内側の裏底面12にIC40がバンプ接続される。
第1変形の溝13bは、閉じた環状に形成されると共に、内側にIC40を配置する領域と、その長手方向の両側に注入部14b、15bを確保した形状に形成されている。すなわち、溝13bは、環状内部の領域が基板10の縁側に向けた凸部を形成する形状に形成される。
第1変形例の注入部14b、15bは、IC40をバンプ接続する裏底面12と同一平面であり、ここからアンダーフィルが注入される。
【0029】
なお、説明した実施形態では、基板10には、長辺の2箇所が破断されることで、側壁20Aと側壁20Bが形成されている。
これに対して、第1変形例では、長辺の2箇所と短辺の2箇所で破断されることで、側壁20A、側壁20B、側壁20C、側壁20Dが基板10の裏面四隅に形成されている。
第1変形例では、注入部14bの長手方向外側(図面左側)は、側壁20Aと側壁20Cの破断部であり、注入部15bの長手方向外側(図面右側)は、側壁20Bと側壁20Dの破断部である。しかし、注入部14b、15bと破断部の間に溝13bが形成されているので、アンダーフィルが破断部から外に流出することが防止されている。
なお、実施形態と同様に、両短辺につながっている(破断部がない)側壁20A、側壁20Bが形成される場合であっても、第1変形例と同じ形状の溝13bを形成するようにしてもよい。
【0030】
図5は、第2変形例~第4変形例における電子部品筐体3の裏面部の状態を表したものである。
第2変形例では、図5(a)に示すように、実施形態と同様に両短辺に側壁20Aと側壁20Bが形成されると共に、一方の長辺にも側壁20A、側壁20Bと連続する側壁20Eが形成されている。すなわち、第2変形例では、他方の長辺部分が破断され、他の3辺に連続する側壁20A、側壁20E、側壁20Bが形成されている。
なお、この第2変形例の側壁20Aと側壁20Bを、第1変形例と同様に、その中央に破断部を設けるようにしてもよい。この場合、側壁20C、両側に延長した(2隅を含む)側壁20E、側壁20Dで構成される。
【0031】
そして第2変形例では、実施形態と同様の形状で、注入部14b、15bを含む閉じた領域の溝13cが基板10の裏面(第3基板10c)に形成されている。そして溝13cにおける一方の長辺の外側は、側壁20Eの内側面と一致するように形成されている。
溝13cは、実施形態で説明した溝13aに比べ、一方の長辺に側壁20Eが形成されている分だけ短手方向の幅(長さ)が形成されている。
第2変形例では、注入部14b、15bが第1変形例と同様に短手方向の中央部に形成されているので、側壁20A、側壁20Bの短手方向中央よりも、破断部側にずれて形成されている。但し、注入部14b、15bは、その短手方向中央ではなく、より側壁20E側に形成し、またはその逆側に形成するようにしてもよい。注入部14bを側壁20E側、注入部15bを反対側に形成することも可能である。但し、側壁20E側はアンダーフィルの流出がないので、側壁20E側に寄せて形成することが好ましい。
【0032】
次に第3変形例について図5(b)を参照して説明する。
実施形態及び第1、第2変形例では、IC40の外側全週にわたって凹部(凹み13、溝13b、溝13c)が形成されている。
これに対し第3変形例では、実施形態と同様に側壁20Aと側壁20Bが形成され、この側壁20Aと側壁20B間の破断によって形成された領域に、長手方向に沿った2本の溝13d、13dが形成されている。
両溝13d、13dは、一方の側壁20Aの端部位置から他方の側壁20Bの端部位置まで形成されている。
【0033】
第3変形例では、基板10(第3基板10c)の裏底面12にIC40がバンプ接続され、IC40と側壁20Aとの間の位置と、側壁20Bとの間の位置、例えば図5(b)に示した点X位置と点Y位置からアンダーフィルが注入される。
点X位置、点Y位置の外側(IC40の反対側)には、側壁20A、側壁20Bが存在するので、注入部14b、15bを形成するための溝は形成されていない。
【0034】
次に第4変形例について図5(c)を参照して説明する。
この第4変形例は、第3変形例と同様に、側壁の破断部に対応する位置に限定して溝を形成した例である。
第3変形例では、図5(c)に示すように、一方の長辺部分とこの長辺と直交する一方の短辺部分に側壁の破断部が形成されている。
すなわち、基板10における裏面の4隅のうちの1箇所に側壁20Cが形成されると共に、他3箇所の隅を連続する側壁20Eと側壁20Bが形成されている。側壁20Cと側壁20Bとの間に長辺方向の破断部が形成され、側壁20Cと側壁20Eとの間に短辺方向の破断部が形成されている。
【0035】
この直交方向に形成された両破断部に対応して、L字状の溝13eが形成されている。側壁20B、側壁20Eの存在位置側に溝は形成されていない。
この第4変形例では、IC40と側壁20B間の位置、例えば点Y位置からアンダーフィルが注入される。
なお、第4実施形態では、アンダーフィルの注入箇所が点Y位置の1箇所になるため、短辺方向の溝13eを中央で外側に膨らませることで、第1、第2変形例のように注入部14bを形成するようにしてもよい。
【0036】
図6は、第5、第6変形例における電子部品筐体3の裏面部の状態を表したものである。
図6(a)に示した第5変形例では、図5(a)に示した第2変形例と同様に、3辺で連続する側壁20A、側壁20E、側壁20Bが形成され、長辺で破断されている。
第5変形例では、3方に連続する側壁が形成されているので、破断している側壁20Aと側壁20Bの間に溝13fが形成されている。
そして、第3変形例と同様に、基板10(第3基板10c)の裏底面12にIC40がバンプ接続され、IC40と側壁20Aとの間の位置と、側壁20B間の位置、例えば図5(b)に示した裏底面12上の点X位置と点Y位置からアンダーフィルが注入される。
【0037】
次に図6(b)に示した第6変形例について説明する。
この第6変形例では、第3変形例と同様に、側壁20Aと側壁20Bが両短辺に形成されている。
上述した第1~第5変形例では、基板10の裏底面12に配設されるIC40の外側に溝13b~13fが形成されている。
これに対して第6変形例では、図6(b)に示すように、溝13gにおける、内側縁(基板10の中央側)と外側縁が、それぞれ、IC40を配設した場合のIC40の外縁よりも内側と外側になるように形成されている。これにより、溝13gの幅を他の変形例よりも広く形成することができ、より多くのアンダーフィルを収容することができる。
この第6変形例では、第3変形例と同様に、裏底面12上の点X位置、点Y位置からアンダーフィルが注入される。
【0038】
第6変形例で説明したように、基板10の裏面に形成した溝13gの幅を広くすることで、溝幅上にIC40の外縁が位置するように構成する、ことは第1、2、4、5変形例にも同様に適用することが可能である。
なお、第1~第6変形例で説明した各溝13a~13gの幅については、基板10の裏面に確保される裏底面12の広さや配置するIC40の形状・大きさにより最終決定されるが、例えば、0.05mm~0.2mm程度の範囲で形成される。
【符号の説明】
【0039】
1 電子装置
10 基板
10a 第1基板
10b 第2基板
10c 第3基板
12 裏底面
13 凹み(凹部)
13b~13g 溝(凹部)
14、14b 注入部
15、15b 注入部
16 凹み底面
17 配線
2 本体
20A~20E 側壁
21A~21D 外部接続端子
23A~23D 側面電極
25 切欠部
3 電子部品筐体
30 シールリング
40 IC
5 封口板
6 圧電振動片
61 振動腕部
62 基部
63 支持腕部
71 実装部(電極パッド)
72 導電性接着剤
75 貫通電極
C キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7