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特許7300338長尺フィルムの自動回収装置および長尺フィルムの自動回収方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】長尺フィルムの自動回収装置および長尺フィルムの自動回収方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 18/08 20060101AFI20230622BHJP
   B65H 35/04 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B65H18/08
B65H35/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019138584
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021020780
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000206233
【氏名又は名称】大成ラミック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】益川 佳久
(72)【発明者】
【氏名】関野 光真
(72)【発明者】
【氏名】大橋 雅人
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-102566(JP,U)
【文献】特開2002-187651(JP,A)
【文献】特開平02-169448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/08
B65H 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に連続して繰り出される帯状のフィルムから包装袋を製袋するための製袋機から排出される長尺フィルムを回収するための装置であって、
前記長尺フィルムを一以上の巻取りロッドの回転または回動によって巻き取る巻取部と、
巻き取った前記長尺フィルムの巻回体の側部に向かって押出部材または引出部材を移動させて、該巻回体を前記巻取りロッドから抜き出す抜出機構と、
を備え
前記押出部材または前記引出部材は、前記製袋機から排出される前記長尺フィルムの先端部を、前記巻取りロッドに誘導するガイド部を備えることを特徴とする長尺フィルムの自動回収装置。
【請求項2】
前記抜出機構は、前記押出部材と、該押出部材を前記巻回体の側部に向かって前進させて、該巻回体を押し出すと共に、該押し出し位置から元の位置に後退させるための駆動手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の長尺フィルムの自動回収装置。
【請求項3】
前記抜出機構は、前記引出部材と、該引出部材を前記巻回体の側部に向かって後退させて、該巻回体を引き出すと共に、該巻回体を引き出した引き出し位置から元の位置に前進させるための駆動手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の長尺フィルムの自動回収装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、下方に向かって相互に近接する方向に傾斜した一対のガイド板からなることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の長尺フィルムの自動回収装置。
【請求項5】
前記巻取部によって巻取った前記長尺フィルムの巻回体を、製袋機の製ラインから切り離すための切断装置を備えることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の長尺フィルムの自動回収装置。
【請求項6】
長手方向に連続して繰り出される帯状のフィルムから包装袋を製袋するための製袋機から排出される長尺フィルムを回収する方法であって、
排出された前記長尺フィルムを、一以上の巻取りロッドの回転または回動によって巻き取る巻取工程と、
巻き取った前記長尺フィルムの巻回体と、該巻回体から連続する長尺フィルムとを所定の位置で切断して切り離す切断工程と、
押出部材または引出部材を、駆動手段によって前記巻回体の側部に向かって移動させて該巻回体を前記巻取りロッドから抜き出す抜出工程と、
を含み、
前記製袋機から排出される前記長尺フィルムは、前記押出部材または前記引出部材に設けたガイド部によって、前記巻取りロッドによる巻取位置に誘導されることを特徴とする長尺フィルムの自動回収方法。
【請求項7】
前記押出部材は、前記巻回体を押し出して前記巻取りロッドから抜き出した後、該押し出し位置から元の待機位置に後退することを特徴とする請求項に記載の長尺フィルムの自動回収方法。
【請求項8】
前記引出部材は、前記巻回体を引き出して前記巻取りロッドから抜き出した後、該引き出し位置から元の待機位置に前進することを特徴とする請求項に記載の長尺フィルムの自動回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装用フィルムからなる包装袋を製袋機によって連続して製造するに際し、その試運転時等に発生する、製品とならずに廃棄される包装用フィルムや製造された包装袋が複数つながった連続包装袋などの、製袋機から排出される長尺フィルムを回収するための自動回収装置と、その自動回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食品や薬剤、化学品等の液状の被包装物を充填包装するための充填包装機が製袋機として広く知られている(特許文献1等)。この充填包装機によれば、例えば走行する長尺の帯状包装用フィルムを幅方向中央位置で二つに折り畳み、重なり合う端縁部同士を縦方向に連続してヒートシール(縦シール)し、筒状体とした後、該筒状体内に被包装物を充填しながら幅方向に一定の間隔をあけてヒートシール(横シール)することで包装体を連続して製造することができる。
【0003】
このような充填包装機は、被包装物の種類や包装用フィルムの種類、気温等の様々な条件によって好適な運転条件が変化する。そのため、オペレーターは、運転開始前に試運転を行い、手で包装用フィルムを引っ張る等して蛇行を抑制すると共に、連続して製造される製品の仕上がり等を見ながら充填包装機に付設のタッチパネルやボタンで制御部のコンピューターの入力値を変更して、包装用フィルムの走行速度や被包装物の充填スピード、ヒートシール温度などの各種の運転条件を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-153971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにオペレーターは、試運転時に複数の作業を同時に並行して行うための技術の習熟が必要とされ、また操作ミス等が起こり易く、製品とならない包装用フィルムや包装袋(以下、「廃棄フィルム」と言う。)が大量に発生して廃棄されている点に問題があった。
【0006】
また、上記試運転時に排出される廃棄フィルムは、従来は運転条件の調整後にオペレーターが切断し、手で巻き取るなどして回収していた。この作業は、非常に手間であると共に、例えば床に接触して汚染された廃棄フィルムを手で巻き取ることになるため、手が汚染要因となって交差汚染が発生するおそれがあった。
【0007】
そこで、本願発明は、上記従来の技術が抱える問題点を解決することを目的とするものであり、包装用フィルムからなる包装袋を製袋機によって連続して製造するに際し、運転開始時のオペレーターの負担を軽減することができると共に、試運転時等に発生する廃棄フィルムや、製袋機により連続して製造される、包装袋が複数繋がった長尺の連続包装袋を、オペレーターが直接手で触れることなく回収することのできる自動回収装置と、その自動回収方法について提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、上記目的を実現すべく研究開発を行った結果、以下のような発明を開発するに至った。
即ち、本発明は、長手方向に連続して繰り出される帯状のフィルムから包装袋を製袋するための製袋機から排出される長尺フィルムを回収するための装置であって、
前記長尺フィルムを一以上の巻取りロッドの回転または回動によって巻き取る巻取部と、
巻き取った前記長尺フィルムの巻回体の側部に向かって押出部材または引出部材を移動させて、該巻回体を前記巻取りロッドから抜き出す抜出機構と、
を備え
前記押出部材または前記引出部材は、前記製袋機から排出される前記長尺フィルムの先端部を、前記巻取りロッドに誘導するガイド部を備えることを特徴とする長尺フィルムの自動回収装置である。
【0009】
なお、本発明の長尺フィルムの自動回収装置については、さらに下記のような構成にすることがより好ましい解決手段となる。即ち、
(1)前記抜出機構は、前記押出部材と、該押出部材を前記巻回体の側部に向かって前進させて、該巻回体を押し出すと共に、該押し出し位置から元の位置に後退させるための駆動手段とを備えること、
(2)前記抜出機構は、前記引出部材と、該引出部材を前記巻回体の側部に向かって後退させて、該巻回体を引き出すと共に、該巻回体を引き出した引き出し位置から元の位置に前進させるための駆動手段とを備えること、
(3)前記ガイド部は、下方に向かって相互に近接する方向に傾斜した一対のガイド板からなること、
)前記巻取部によって巻取った前記長尺フィルムの巻回体を、製袋機の製ラインから切り離すための切断装置を備えること、
である。
【0010】
また、本発明は、長手方向に連続して繰り出される帯状のフィルムから包装袋を製袋するための製袋機から排出される長尺フィルムを回収する方法であって、
排出された前記長尺フィルムを、一以上の巻取りロッドの回転または回動によって巻き取る巻取工程と、
巻き取った前記長尺フィルムの巻回体と、該巻回体から連続する長尺フィルムとを所定の位置で切断して切り離す切断工程と、
押出部材または引出部材を、駆動手段によって前記巻回体の側部に向かって移動させて、該巻回体を前記巻取りロッドから抜き出す抜出工程と、
を含み、
前記製袋機から排出される前記長尺フィルムは、前記押出部材または前記引出部材に設けたガイド部によって、前記巻取りロッドによる巻取位置に誘導されることを特徴とする長尺フィルムの自動回収方法である。
【0011】
なお、本発明の長尺フィルムの自動回収方法については、さらに下記のような構成にすることがより好ましい解決手段となる。即ち、
(1)前記押出部材は、前記巻回体を押し出して前記巻取りロッドから抜き出した後、該押し出し位置から元の待機位置に後退すること、
(2)前記引出部材は、前記巻回体を引き出して前記巻取りロッドから抜き出した後、該引き出し位置から元の待機位置に前進すること
ある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製袋機の試運転時等に排出される廃棄フィルムや、製袋機によって連続して製造される連続包装袋などの長尺フィルムを自動的に巻き取って回収することができると共に、巻き取った巻回体をオペレーターによらず、自動的に取り出すことができるため、試運転時等におけるオペレーターの作業負担を軽減することができ、さらにコストを削減することができる。
また、オペレーターは、充填条件の設定や調整等の操作に集中することができるため、操作ミスを効果的に抑制することができ、製袋機の試運転時における廃棄フィルムの発生量を削減することができる。
【0013】
また、本発明によれば、製袋機から排出される廃棄フィルムや連続包装袋を、自動的に巻き取って巻回体として回収することができるため、該廃棄フィルムや連続包装袋が床等に触れて汚染されることがなく、したがって汚染された廃棄フィルムや連続包装袋に手指が触れることがないので、交差汚染の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】製袋機の一例としての縦型の充填包装機を例示する図である。
図2】本発明の長尺フィルムの自動回収装置の一実施形態を示す斜視図である。
図3】巻取部の一実施形態を示す斜視図である。
図4】本発明の長尺フィルムの自動回収装置によるフィルムの巻取方法を説明する図である。
図5】本発明の長尺フィルムの自動回収装置によるフィルムの巻取方法を説明する図である。
図6】(a)および(b)は、巻取部の他の実施形態を示す図である。
図7】切断装置の一実施形態を示す斜視図である。
図8】(a)および(b)は、本発明の長尺フィルムの自動回収装置によって巻取られたフィルムの回収方法を説明する図である。
図9】(a)および(b)は、本発明の長尺フィルムの自動回収装置の他の一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、製袋機の一例として縦型の充填包装機の構成を例示する模式図である。
【0016】
この縦型の充填包装機Pは、例えば、一軸もしくは二軸延伸のナイロンやポリエチレンテレフタレート等からなるベースフィルム層と、例えば無延伸のポリオレフィン樹脂等からなるシーラント層とを積層した積層フィルムからなる1枚の長尺の包装用フィルムをその長手方向に連続的に走行させながら、そのシーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返してその両側縁部同士を重ね合わせて、その包装用フィルムから多数の包装袋を連続的に製袋しつつ、各包装袋内に飲食物、調味料、医薬品、化粧品その他の液状ないし粘稠状あるいはゼリー状等の流動性物質からなる被包装物を自動的に充填するものである。
【0017】
この充填包装機Pは、図1に示すように主として、フィルム折返し部1と、縦シール部形成部2と、被包装物供給部3と、第1の横シール部形成部4aと、第2の横シール部形成部4bと、包装袋を単包または複数包ずつに切断する切断部5とを具える。
【0018】
フィルム折返し部1では、フィルムロールRから連続的に繰出されて走行する1枚の長尺の包装用フィルム6を上方から下方へ連続的に走行させながら、その走行中にU字状および逆L字状の2本のガイドロッド7で案内しつつ包装用フィルム6をそのシーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返し、図では包装用フィルム6の左端部に位置するその両側縁部同士を重ね合わせる。
【0019】
縦シール部形成部2では、包装用フィルム6の折り返して重ね合わせた両側縁部同士を1対の縦シールロール8によって包装用フィルム6の長手方向(縦方向)に連続的に加熱および加圧して縦シール部6aを形成し、これにより包装用フィルム6を筒状に形成する。
【0020】
被包装物供給部3では、図示しないタンクから図示しないポンプおよび供給路を介して供給された被包装物Mを、上記1対の縦シールロール8の間を上方から下方へ貫通している充填ノズル9によって、筒状に形成した包装用フィルム6の内側へ連続的に、または所定量ずつ間欠的に充填する。
【0021】
第1横シール部形成部4aでは、筒状に形成した包装用フィルム6をその長手方向に一定間隔をおいて、図では紙面と直交する方向に平行に並んだヒートシールロールとしての1対の横シールロール10によって全幅に亘り加熱しつつ加圧して互いに溶着させて間欠的に横シール部6bを形成する。その後、第1横シール部形成部4aと同様の構成の第2横シール部形成部4bで、横シール部6bを再押圧して該シールを確実なものとし、これにより多数の包装袋Wが包装用フィルム6の長手方向へ繋がった状態で連続的に製袋される。なお、連続的に製袋された包装袋Wは、切断部5によって横シール部6bが全幅に亘って切断され、所要の個数ずつに切り分けられる。
【0022】
このような構成からなる充填包装機Pにおいては、従来、運転開始にあたりオペレーターが包装用フィルム6を手で引っ張りながらその蛇行を調整すると共に、製造される包装袋Wの仕上がり等を見ながら充填包装機に付設のタッチパネルやボタン(図示しない)で制御部のコンピューター(図示しない)への入力値を変更して、包装用フィルム6の走行速度や被包装物Mの充填速度、縦シールロール8および横シールロール10のヒートシール温度や圧力、フィルム走行位置などの各種の運転条件を決定している。
したがって、運転開始時には、オペレーターが複数の作業を同時に行う必要があるため、オペレーターの高い習熟が必要とされると共に、製品とならないような包装袋Wが、包装用フィルム6の長手方向へ多数繋がった状態(連続包装袋W’)で形成されることになり、その回収に手間がかかると共に、回収時に床等に触れた連続包装袋W’にオペレーターが触る可能性があり、交差汚染の発生の原因となっていた。
【0023】
本実施形態では、上記のように充填包装機Pの試運転時等に発生する製品とならない連続包装袋W’(廃棄フィルム)を、オペレーターを必要とすることなく自動的に回収する場合を一例として、本発明の自動回収装置20について説明する。
なお、本実施形態では、充填包装機Pの試運転時に発生する製品とならない連続包装袋W’を回収する場合を一例として説明するが、それに限定されるものではなく、本発明の自動回収装置20は、製袋機の試運転時のみならず、製袋機によって製造された連続包装袋W’を巻回した状態で出荷等する場合や、押出ラミネート機やスリッター機等で発生するフィルム端部の廃棄フィルムを回収する場合等、製袋機から連続して排出される長尺フィルムを回収する際に好適に利用することができる。
【0024】
自動回収装置20は、図1に示すように充填包装機Pの切断部5の下方に配置することが好ましく、充填包装機Pと一体(インライン)または別体(アウトライン)で設けることができるが、インラインで取り付けた場合には、省スペース化を図ることができるため好ましい。
【0025】
自動回収装置20は、図1および図2に示すように充填包装機Pから排出される連続包装袋W’を巻き取るための一本以上(図2では二本)の巻取りロッド21を具える巻取部22と、充填包装機Pの切断部5によって充填包装機Pの製造ラインから切り離された巻取りロッド21に巻き取られた連続包装袋W’の巻回体を、巻取りロッド21から抜き出すための抜出機構23と、を有している。以下、各部について説明する。
【0026】
巻取部22は、図3に拡大して示すように二本の巻取りロッド21を有し、該二本の巻取りロッド21が、一の基部24に連続包装袋W’に向かって突出するように平行に取り付けられている。基部24はモータ25に接続され、該モータ25によって基部24が回転することで、二本の巻取りロッド21が同時に回転するように構成されている。
充填包装機Pから排出された連続包装袋W’は、図4に示すように二本の巻取りロッド21の間に誘導され、基部24の回転に伴って巻取りロッド21の外周に巻き付くことで、図5に示すように巻取られることになる(巻回体26)。
【0027】
なお、巻取りロッド21は、アルミ等の軽金属や樹脂などの軽量な材料からなることが好ましく、また滑りやすい材料を用いることや、加工を施すことで、巻回体26を巻取ロッド21から取り出し易くすることが好ましい。
また図3に示すように巻取りロッド21は、外側部21aを弧状に丸めることが好ましく、これにより、後述するように巻取りロッド21に巻き取られた連続包装袋W’の巻回体26を抜出機構23によって抜き出す際に、巻回体26の内側面に接している巻取りロッド21の外側部21aが引っ掛かることがなく抜き出し易くなるという効果が期待できる。この効果は、図6(a)に示すように二本の巻取りロッド21を先端部(突出方向)に向けて相互に近接させることや、図6(b)に示すように先端部に向けて狭幅となるようなテーパーの付いた形状にすることで一層、有効になる。
【0028】
本実施形態では、巻取りロッド21によって巻取られた連続包装袋W’の巻回体26を、充填包装機Pの切断部5を用いて充填包装機Pの製造ラインから切り離しているが、自動回収装置20に別の切断手段を設けてもよく、例えば、図7に示すように巻取部22の上方に切断装置35を設け、それらを基板等で連結することで一体化して構成することもできる。また、切断装置35と巻取部22との間にシューター(図示しない)等の機構をさらに設けてもよい。
【0029】
また、抜出機構23は、図8に一実施形態として示したように押出部材としての押出板27と、該押出板27を巻回体26に向かって前進または後退させるための駆動手段として例えば、リニアガイドとエアシリンダが組み合わされたアクチュエータ(図示しない)を備える。切断部5によって巻回体26が切り離されると、押出板27に接続されたアクチュエータのピストンロッド28の前進(押工程)に伴って、図8(a)に示す巻取り位置(連続包装袋W’の巻取り操作位置)から、巻取りロッド21に沿って巻回体26に向かって図に矢印で示す方向に前進し、図8(b)に示すように巻回体26を押し出して、巻取りロッド21の突出先端から落下させる。巻回体26の落下後には、押出板27は、ピストンロッド28の後退に伴って元の巻取り位置まで後退(引工程)し、次回の巻取り操作時まで待機することになる。
【0030】
なお、押出板27は、図2に示すようにL字状の板と一体になって、コ字状の巻き崩れ防止カバー31を構成している。該巻き崩れ防止カバー31により、巻取りロッド21に巻取られる連続包装袋W’の巻ずれ(斜めに巻取られることや、巻取り中にずれが生じること)を防止して、巻回体26が歪むのを防止することができる。とくに、製品となる連続包装袋W’を出荷等するために巻回する際には、巻き崩れた巻回体26がそのまま、装置等に取り付けられるとフィルムが装置に絡まって動作不具合を引き起こす原因となるため、巻き崩れを防止することが重要である。
また、巻き崩れ防止カバー31は、手指の巻取部22への進入を阻止して、巻き込みを防止する効果も有している。
【0031】
駆動手段としては、上記エアシリンダ式アクチュエータの他、油圧シリンダ、エアーモーター、油圧モーター、電動シリンダ等を用いたアクチュエータ等を用いることが好ましい。
また、押出部材としては、押出板27の他、巻回体26を押し出すことができればどのような構造のものを用いてもよい。
【0032】
押出板27の内側面には、図4に示す連続包装袋W’の巻取り位置において、切断部5と巻取りロッド21との間に位置するように、一対のガイド板29からなるガイド部30を突設することが好ましい。一対のガイド板29は、下方に位置する二本の巻取りロッド21の間に向かって相互に近接するように傾斜して配置することが好ましく、これにより充填包装機Pから排出される連続包装袋W’のバタつき(前後の揺れ)や連続包装袋W’の折れ曲がり等を防止することができ、連続包装袋W’を二本の巻取りロッド21間の隙間に誘導することができる。
【0033】
次に、抜出機構23の他の一実施形態を図9に示す。以下の説明では、上述した実施形態で説明した要素と同一または対応する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
この実施形態では、抜出機構23が、引出部材としての引出板32と、該引出板32を巻回体に向かって前進または後退させるための駆動手段33として、例えば、リニアガイドとエアシリンダが組み合わせたアクチュエータを具える。
【0034】
図9(a)に示すように切断部5によって巻回体26が切り離されると、巻き崩れ防止カバー31に接続された駆動手段33のピストンロッド34が後退(引工程)し、これに伴って、巻き崩れ防止カバー31を構成する引出板32が、巻取りロッド21に沿って巻回体26に向かって図に矢印で示す方向に前進し、図9(b)に示すように巻回体26を引き出して、巻取りロッド21の突出先端から落下させる。巻回体26の落下後には、引出板32は、ピストンロッド34の前進に伴って元の巻取り位置まで前進(押工程)し、次回の巻取り操作時まで待機することになる。なお、引出部材としては、引出板32の他、巻回体26を引き出すことができればどのような構造のものを用いてもよい。
【0035】
以下に、図2の自動回収装置20を代表例として、連続包装袋W’を巻取って回収する方法を説明する。
まず、オペレーターの指示により充填包装機Pの試運転が開始されると、例えば、運転開始から包装用フィルムの繰り出し速度等から算出した時間が経過したのに合わせて、自動充填包装機Pの制御部から自動回収装置20に連続包装袋W’の巻取り操作開始の指示が出される。なお、自動回収装置20は、例えば充填包装機Pの製造ラインや、自動回収装置20のガイド部30にセンサーを設けておき、連続包装袋W’の先端部が通過したのを検知することで巻き取り操作を開始するようにしてもよい。
【0036】
自動回収装置20は、巻取り操作開始の指示に従って、基部24のモータ25が起動し、二本の巻取りロッド21間を走行する連続包装袋W’が、図5に示すように基部24の回転に伴って該二本の巻取りロッド21の外周に巻き付けられて、自動的に巻取られることになる。
【0037】
本実施形態では、一つの基部24に二本の巻取りロッド21を設け、該基部24の回転によって連続包装袋W’を巻取るようにしているが、二本の巻取りロッド21のそれぞれにモータを接続し、各巻取りロッド21を回転または回動させて連続包装袋W’を巻取るように構成してもよい。なお、巻取りロッド21は、一本以上であればよく、例えば一本の巻取ロッド21に磁石等の吸着材を設けると共に、連続包装袋W’の端部に被吸着材を設け、該吸着材と被吸着材とを相互に吸着させた状態で巻取ロッド21を回転させることで、該連続包装袋W’を巻取るようにしてもよい。
【0038】
連続包装袋W’が巻取部22において自動的に巻取られている間に、オペレーターは、フィルムロールRから繰り出される包装用フィルム6の蛇行を調整すると共に、製造された包装袋Wの仕上がり等を見ながら包装用フィルム6の走行速度や被包装物Mの充填速度、縦シールロール8および横シールロール10のヒートシール温度などの各種の運転条件を決定する。
したがって、オペレーターは、運転条件の設定に集中することができ、操作ミスを防止することができるため、廃棄される連続包装袋W’の発生量を削減することができる。
【0039】
運転条件が決定されると、オペレーターは、本運転開始の指示(例えば、充填包装機Pに付設されているタッチパネルやボタンへの指示等)を行う。なお、本運転開始の指示は、自動回収装置20による巻取時間や、連続包装袋W’の巻取量に基づいて自動的に行ってもよい。
【0040】
本運転が開始されると、一定時間の経過後に充填包装機Pの切断部5が作動し、走行する連続包装袋W’を横シール部6b上で全幅に亘って切断し、図8(a)に示すように巻取りロッド21上の巻回体26が、充填包装機Pの製造ラインから切り離される。
一方、充填包装機Pの製造ラインでは、製品となる連続包装袋W’が連続して製造され、切断部5において所定の個数毎に切断されて出荷されることになる。
【0041】
続いて、図8(b)に示すように、アクチュエータのピストンロッド28が前進するのに伴って、該ピストンロッド28に接続された押出板27が巻回体26に向かって前進し、該押出板27によって、巻回体26を押し出して巻取りロッド21の突出先端部から落下させる。なお、巻取りロッド21の突出先端部から抜け落ちて落下した巻回体26は、例えば、落下位置に準備しておいたキャスター付のパレットや移動台車に載置され、該パレット等をAGV(無人搬送車)によって移動させることや、落下位置に設けたベルトコンベアを介して移動させることが好ましく、これによれば人手を必要とすることなく、巻回体26を簡単に回収して廃棄することができる。
【0042】
巻回体26の押出後、押出板27は、ピストンロッド28の後退に伴って元の巻取り位置まで後退し、次の巻取り作業時まで待機することになる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の本発明の自動回収装置は、製袋機の試運転時のみならず、製袋機によって製造された連続包装袋を巻回した状態で出荷等する場合や、押出ラミネート機やスリッター機等で発生するフィルム端部の廃棄フィルムを回収する場合等、製袋機から連続して排出される長尺フィルムを回収する際に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 フィルム折返し部
2 縦シール部形成部
3 被包装物供給部
4a 第1の横シール部形成部
4b 第2の横シール部形成部
5 切断部
6 包装用フィルム
6a 縦シール部
6b 横シール部
7 ガイドロッド
8 縦シールロール
9 充填ノズル
10 横シールロール
20 自動回収装置
21 巻取りロッド
22 巻取部
23 抜出機構
24 基部
25 モータ
26 巻回体
27 押出板
28 ピストンロッド
29 ガイド板
30 ガイド部
31 巻き崩れ防止カバー
32 引出板
33 駆動部
34 ピストンロッド
35 切断装置
P 充填包装機
M 被包装物
W 包装袋
W’連続包装袋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9