(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】弾性成形型、及び成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 39/26 20060101AFI20230622BHJP
B29C 39/24 20060101ALI20230622BHJP
B29C 33/40 20060101ALI20230622BHJP
B29C 33/50 20060101ALI20230622BHJP
B29C 39/36 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B29C39/26
B29C39/24
B29C33/40
B29C33/50
B29C39/36
(21)【出願番号】P 2019169635
(22)【出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】519338669
【氏名又は名称】エイベックス・ヘルスケアエンパワー合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 博繁
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-001462(JP,A)
【文献】特開2004-113012(JP,A)
【文献】特開2006-069079(JP,A)
【文献】特開平08-207059(JP,A)
【文献】特開2016-198922(JP,A)
【文献】特開2001-334546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴムを用いて弾性的に伸縮可能に構成され、内部に液状の成形材を注入して成形品を成形するための空洞部が形成された型本体と、
前記型本体に設けられ、前記空洞部から前記成形品を取り出すための開口部と、
前記空洞部のうち、前記成形材の注入時に上方に凸となる部位に設けられ
、正面視で十字形で、かつ断面V字形のスリットとされた空気抜き部と、
を有する弾性成形型。
【請求項2】
前記空洞部の最大内法寸法は、前記開口部の最大開口幅よりも大きく形成されている請求項1に記載の弾性成形型。
【請求項3】
前記開口部の周囲には、鍔状の基部が一体的に設けられている請求項1又は請求項2に記載の弾性成形型。
【請求項4】
前記基部には、前記開口部から前記成形品の取出し方向に離れるにしたがって拡径するテーパ部が設けられている請求項3に記載の弾性成形型。
【請求項5】
シリコーンゴムを用いて弾性的に伸縮可能に構成され、内部に成形材を注入して成形品を成形するための空洞部が形成された型本体と、
前記型本体に設けられ、前記空洞部から前記成形品を取り出すための開口部と、
前記空洞部のうち、前記成形材の注入時に上方に凸となる部位に設けられ
、正面視で十字形で、かつ断面V字形のスリットとされた空気抜き部と、
を有する弾性成形型を用い、
前記開口部を上に向けた状態で前記開口部から前記空洞部に前記成形材を注入すると共に、前記空気抜き部を通じて前記上方に凸となる部位から余分な空気を排出し、前記空洞部に前記成形材を充填する第1工程と、
前記空洞部内の前記成形材を固化させる第2工程と、
前記型本体を気圧差で膨張させて、固化した前記成形品を取り出す第3工程と、
を有する成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性成形型、及び成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形型内に成形材を充填し、成形材を固化し、次いで成形型を気圧差で膨張させて成形品を取り出す成形方法に用いる弾性成形型において、中空の弾性成形型であり、シリコーン樹脂からなり、膜の厚さが1~5mmであり、且つ膜の硬度が10~60〔JIS-K6301スプリング式硬さ試験(A型)で測定した値〕である弾性成形型が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、成形型を気圧差で膨張させて成形品を取り出す成形方法に用いる弾性成形型であって、該成形型が架橋されたフルオロシリコーンゴム含有エラストマーからなり、該フルオロシリコーンゴム含有エラストマーは、フルオロシリコーンゴム30~99.9重量部とシリコーンゴム70~0.1重量部とからなる弾性成形型が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4070898号公報
【文献】特許第4210000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
弾性成形型には、成形品の取出し口及び成形材の注入口である開口部が設けられている。この開口部が上に向くようにして弾性成形型を設置し、該開口部から空洞部に液状の成形材を注入し、該成形材を固化させることで成形品を製造することができる。弾性成形型に液状の成形材を注入したとき、空洞部内の空気の多くは開口部から抜けるが、空洞部のうち上方に凸となる部位等に一部の空気が残り、空気溜まりが形成されることがある。空気溜まりが存在する状態で成形材を固化させると、空気溜まりの部分が成形されず、成形品の形状が不完全となる。このため、従来は弾性成形型に成形材を注入した後、該弾性成形型を圧縮する等の手法により空洞部の余分な空気を排出するようにしていた。
【0006】
本発明は、弾性成形型の空洞部に液状の成形材を注入した際に、余分な工数を必要とすることなく、空洞部の空気溜まりを減少させることを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る弾性成形型は、シリコーンゴムを用いて弾性的に伸縮可能に構成され、内部に液状の成形材を注入して成形品を成形するための空洞部が形成された型本体と、前記型本体に設けられ、前記空洞部から前記成形品を取り出すための開口部と、前記空洞部のうち、前記成形材の注入時に上方に凸となる部位に設けられた空気抜き部と、を有する。
【0008】
この弾性成形型では、空洞部のうち、液状の成形材の注入時に上方に凸となる部位に空気抜き部が設けられているので、当該部位に集まった空気が空気抜き部から外部に排出される。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る弾性成形型において、前記空洞部の最大内法寸法が、前記開口部の最大開口幅よりも大きく形成されている。
【0010】
この弾性成形型では、空洞部の最大内法寸法が、開口部の最大開口幅よりも大きく形成されているので、いわゆるアンダーカットを有する成形品を製造できる。このような成形品であっても、弾性成形型を変形させることで型抜きを行うことができる。
【0011】
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る弾性成形型において、前記開口部の周囲には、鍔状の基部が一体的に設けられている。
【0012】
この弾性成形型では、開口部の周囲に鍔状の基部が一体的に設けられているので、該基部を保持することで、空洞部の無用な変形を抑制しつつ、成形装置における弾性成形型の保持等を容易に行うことができる。
【0013】
第4の態様は、第3の態様に係る弾性成形型において、前記基部には、前記開口部から前記成形品の取出し方向に離れるにしたがって拡径するテーパ部が設けられている。
【0014】
この弾性成形型では、基部にテーパ部が設けられているので、該テーパ部が設けられていない場合と比較して開口部の周囲が変形し易い。したがって、弾性成形型から成形品を抜き易くなる。また、弾性成形型の耐久性を向上させることができる。
【0015】
第5の態様に係る成形品の製造方法は、シリコーンゴムを用いて弾性的に伸縮可能に構成され、内部に成形材を注入して成形品を成形するための空洞部が形成された型本体と、前記型本体に設けられ、前記空洞部から前記成形品を取り出すための開口部と、前記空洞部のうち、前記成形材の注入時に上方に凸となる部位に設けられた空気抜き部と、を有する弾性成形型を用い、前記開口部を上に向けた状態で前記開口部から前記空洞部に前記成形材を注入すると共に、前記空気抜き部を通じて前記上方に凸となる部位から余分な空気を排出し、前記空洞部に前記成形材を充填する第1工程と、前記空洞部内の前記成形材を固化させる第2工程と、前記型本体を気圧差で膨張させて、固化した前記成形品を取り出す第3工程と、を有する。
【0016】
この成形品の製造方法では、第1工程において、開口部を上に向けた状態で該開口部から空洞部に成形材を注入するときに、空気抜き部を通じて、空洞部のうち上方に凸となる部位から余分な空気を排出できる。このため、余分な工数を必要とすることなく、空洞部の空気溜まりを減少させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、弾性成形型の空洞部に液状の成形材を注入した際に、余分な工数を必要とすることなく、空洞部の空気溜まりを減少させることを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る弾性成形型を示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係る弾性成形型の上下を逆転させて示す斜視図である。
【
図3】(A)は、
図1のA部の拡大断面図であり、空気抜き部の一例としての貫通孔を示している。(B)は、
図1のA部の拡大断面図であり、空気抜き部の一例としての断面V字形のスリットを示している。
【
図4】(A)は、空気抜き部の一例としての貫通孔を示す拡大正面図である。(B)は、空気抜き部の一例としての十字形のスリットを示す拡大正面図である。(C)は、(B)のスリットが開いた状態を示す拡大正面図である。(D)は、空気抜き部の一例としての十字形で断面V字形のスリットを示す拡大正面図である。(E)は、(D)のスリットが開いた状態を示す拡大正面図である。
【
図5】(A)は、基部における開口部の周囲が平坦に構成された例を示す部分断面図である。(B)は、基部における開口部の周囲にテーパ部が設けられた例を示す部分断面図である。
【
図6】弾性成形型に液状の成形材を注入し、棒を成形材中に差し込んで、該棒を支持部材により支持した状態を示す断面図である。
【
図7】(A)は、
図6のB部の拡大断面図であり、空洞部のうち成形材の注入時に上方に凸となる部位に空気溜まりが形成された状態を示している。(B)は、
図6のB部の拡大断面図であり、空気溜まりの空気が貫通孔から排出される状態を示している。(C)は、
図6のB部の拡大断面図であり、空気溜まりが解消された状態を示している。
【
図8】(A)は、
図6のB部の拡大断面図であり、空洞部のうち成形材の注入時に上方に凸となる部位に空気溜まりが形成された状態を示している。(B)は、
図6のB部の拡大断面図であり、空気溜まりの空気が断面V字形のスリットから排出される状態を示している。(C)は、
図6のB部の拡大断面図であり、空気溜まりが解消された状態を示している。
【
図9】
図6において、成形材が固化した状態を示す断面図である。
【
図10】
図9において、気圧差により弾性成形型を膨張させた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
図1、
図2において、本実施形態に係る弾性成形型10は、型本体12と、開口部14と、空気抜き部16と、を有している。
【0020】
型本体12は、シリコーンゴムを用いて弾性的に伸縮可能に構成されている。型本体12の内部には、液状の成形材18を注入して成形品20を成形するための空洞部22が形成されている。空洞部22の形状は、成形品20の外形に対応した立体形状である。成形材18が空洞部22内で固化することで、成形品20が製造される。成形品20は、例えば動物を模したキャラクターの棒アイス菓子である(
図11)。成形材18は、この棒アイス菓子の材料である。
【0021】
固化には、冷却により固化するものに限られず、加熱により固化するもの、時間経過により固化するもの等が含まれる。また、成形品20は、硬質なものに限られず、弾性体も含まれる。よって、成形品20の具体例として、アイス菓子、チョコレート菓子、焼き菓子、グミキャンディー、消しゴム、プラモデル、人形等の立体物が挙げられる。
【0022】
シリコーンゴムの硬度は、例えば30度以下であり、20度以下であってもよい。この硬度は、JIS-K6301スプリング式硬さ試験(A型)で測定した値である。シリコーンゴムとして、耐熱性の高いものを使用することで、成形材18を注入した弾性成形型10をオーブンで焼いて焼き菓子を製造することも可能である。
【0023】
図6において、空洞部22の最大内法寸法Wは、開口部14の最大開口幅wよりも大きく形成されている。つまり、W>wの関係にある。換言すれば、空洞部22には、型本体12が変形するか、型本体12が分割型でないと型抜きできない部分、いわゆるアンダーカットが存在している。型本体12は弾性的に伸縮可能であるので、アンダーカットが存在していても型抜き可能となっている。
【0024】
図2において、開口部14は、型本体12に設けられ、空洞部22から成形品20を取り出すための部位である。また、開口部14は、空洞部22に液状の成形材18を注入するための注入口も兼ねている。なお、注入口と、取出し口となる開口部14とが別々に設けられていてもよい。
【0025】
図2、
図5(A)において、開口部14の周囲には、鍔状の基部24が一体的に設けられている。この基部24は例えば円形に形成され、中央部に開口部14が形成されている。基部24の外周には、例えば円筒状の壁部26が立設されている。なお、基部24の構成はこれに限られない。
図5(B)に示される例では、基部24に、開口部14からの成形品20(
図10)の取出し方向である矢印U方向に離れるにしたがって拡径するテーパ部32が設けられている。
【0026】
壁部26の内側には、成形時に支持部材28が取付け可能となっている。支持部材28は、円筒状の壁部26の内側に嵌るように、例えば円板状に形成されている。支持部材28の中央部には、棒30が挿し込まれる孔28Aが形成されている。棒30は、成形品20の持ち手部分となる部材である。
図6に示されるように、成形品20の成形時に、棒30は、支持部材28の孔28Aに嵌入されて支持されるようになっている。
【0027】
図1から
図3、
図6において、空気抜き部16は、型本体12の空洞部22のうち、成形材18の注入時に上方に凸となる部位に設けられている。成形材18の注入時には、成形材18の注入口となる開口部14が上に向けられる。このとき上方に凸となる部位は、腕42の先端部分である。よって、図示の例では、空気抜き部16が左右の腕42の先端部分にそれぞれ設けられている。弾性成形型10(キャラクター)の正立状態(
図1)では、空気抜き部16は、空洞部22のうち下に凸となる部位に設けられている。なお、空気抜き部16の形状、位置、数等は、空洞部22の形状に応じて適宜変更することが可能である。
【0028】
図1、
図2、
図3(A)、
図4(A)に示されるように、空気抜き部16は、例えば直径0.5mm程度のピンホールであり、成形材18の注入時に該成形材18が漏れ出さない程度の大きさに設定される。なお、空気抜き部16の構成はこれに限られず、例えば
図3(B)、
図4(B)~(E)に示される構成であってもよい。
【0029】
図3(B)に示される例では、空気抜き部16が断面V字形のスリットとされている。このスリットは、空洞部22内の圧力変化に伴い弾性的に開閉するように構成されている(
図8)。
【0030】
図4(B)に示される例では、空気抜き部16が正面視で十字形のスリットとされている。スリットの末端には、亀裂進展抑制部34が形成されている。亀裂進展抑制部34は、対応と円形の孔や凹部である。この十字形のスリットは、空洞部22内の圧力上昇に伴い弾性的に開閉するように構成されている。
図4(C)は、
図4(B)のスリットが開いた状態を示している。
【0031】
図4(D)に示される例では、空気抜き部16が正面視で十字形で、かつ断面V字形のスリットとされている。スリットの末端には、亀裂進展抑制部34が形成されている。この十字形のスリットは、空洞部22内の圧力上昇に伴い弾性的に開閉するように構成されている。
図4(E)は、
図4(D)のスリットが開いた状態を示している。
【0032】
(作用)
本実施形態に係る弾性成形型10の作用を、成形品20の製造方法と併せて説明する。弾性成形型10では、開口部14の周囲に鍔状の基部24が一体的に設けられているので、該基部24を保持することで、空洞部22の無用な変形を抑制しつつ、成形装置における弾性成形型10の保持等を容易に行うことができる。
【0033】
成形品20の製造方法は、弾性成形型10を用いており、第1工程S1~第3工程S3を有している。
図6において、第1工程S1では、開口部14を上に向けた状態で開口部14から空洞部22に成形材18を注入すると共に、空気抜き部16を通じて上方に凸となる部位から余分な空気を排出し、空洞部22に成形材18を充填する。このとき、成形材18が空気抜き部16の一例としての空気抜き部16よりも高い位置まで注入されることで、空気抜き部16付近の圧力が高まる。これにより、
図7(A)~(C)に示されるように、上方に凸となる部位に溜まった空気36が、ピンホールから矢印OUT方向に排出される。
図7(C)に示されるように、ピンホールの大きさや数を調整することにより、成形材18が空洞部22に充填された状態において、成形材18がピンホールから漏れ出さないようにすることができる。
【0034】
図8(A)~(C)に示されるように、空気抜き部16が断面V字形のスリットである場合には、該スリットは、空洞部22内の圧力変化に伴い弾性的に開閉する。具体的には、成形材18がスリットよりも高い位置まで注入されることでスリット付近の圧力が高まり、スリットが開く。これにより、上方に凸となる部位に溜まった空気36が、スリットから矢印OUT方向に排出される。成形材18の注入が完了すると、スリットが閉じる方向に復元することで、成形材18の漏れが抑制される。このとき、スリットが完全に閉じなくてもよい。
【0035】
このように、弾性成形型10では、空洞部22のうち、液状の成形材18の注入時に上方に凸となる部位に空気抜き部16が設けられているので、当該部位に集まった空気が空気抜き部16から外部に排出される。
【0036】
壁部26の内側における基部24の上には、棒30が嵌入された支持部材28が取り付けられる。この支持部材28により、開口部14が塞がれる。棒30は、支持部材28の孔28Aに嵌入され、該孔28Aの周囲の部分との間の摩擦力によって支持される。棒30の一端側は、空洞部22に充填された成形材18中に浸漬され、棒30の他端側は、空洞部22の外部(支持部材28の上方)に突出した状態とされる。
【0037】
図9において、第2工程S2では、空洞部22内の成形材18を固化させる。本実施形態では、成形品20としての棒アイス菓子を製造するため、その材料である液状の成形材18を冷凍して固化させる。このとき、
図7(C)及び
図8(C)に示されるように、成形材18の一部が空気抜き部16に残っていてもよい。微細なバリは、型抜き時に除去されるためである。
【0038】
次に、第3工程S3では、型本体12を気圧差で膨張させて、固化した成形品20を取り出す。具体的には、例えば型本体12を容器38内に収め、壁部26を容器38の内側に嵌め込む。そして、容器38に設けられた吸引口40から容器38内の空気を矢印V方向に吸引し、真空引きする。そうすると、型本体12の内側と外側に気圧差が生じて、
図10に示されるように、型本体12が膨張する。
図10においては、型本体12が容器38の内壁に密着するまで膨張しているが、成形品20の型抜きが可能な程度に膨張すればよい。支持部材28を棒30から矢印U方向に取り外し、型抜きを行うことで、成形品20を得ることができる(
図11)。
【0039】
弾性成形型10では、空洞部22の最大内法寸法Wが、開口部14の最大開口幅wよりも大きく形成されている、つまりアンダーカットを有する(
図6)。このような形状の成形品20であっても、弾性成形型10を変形させることで型抜きを行うことができる。
【0040】
なお、容器38内を大気圧に戻せば、弾性成形型10は元の形状に復元するので、繰返し使用が可能である。また、
図5(B)に示されるように、基部24にテーパ部32が設けられている場合には、該テーパ部32が設けられていない場合(
図5(A))と比較して開口部14の周囲が変形し易い。したがって、弾性成形型10から成形品20を抜き易くなる。また、型抜き時に開口部14の周囲に作用する引張応力が減少するので、弾性成形型10の耐久性を向上させることができる。
【0041】
このように、本実施形態によれば、弾性成形型10の空洞部22に液状の成形材18を注入した際に、余分な工数を必要とすることなく、空洞部22の空気溜まりを減少させることを可能にすることができる。またこれによって、空気溜まりによる欠けが生じ易い例えば成形品20の腕42を、その先端まで欠けることなく形成することができる。
【0042】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0043】
空洞部22の最大内法寸法Wが、開口部14の最大開口幅wよりも大きく形成されている(W>w)ものとしたが、これらの寸法の大小関係はこれに限られず、W≦wであってもよい。
【0044】
また、開口部14の周囲に、鍔状の基部24が一体的に設けられているものとしたが、基部24を別体で設けてもよく、また基部24を有しない構造であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 弾性成形型
12 型本体
14 開口部
16 空気抜き部
18 成形材
20 成形品
22 空洞部
24 基部
32 テーパ部
36 空気
S1 第1工程
S2 第2工程
S3 第3工程