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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】サッシ枠及びサッシ枠の組付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/964 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
E06B3/964 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019170513
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021046735
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194205
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 禎浩
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-3563(JP,A)
【文献】特開2005-133304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/96-3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左縦枠、右縦枠、上横枠及び下横枠と、
左縦枠と上横枠とを接続する第1のコーナーブロックと、
上横枠と右縦枠とを接続する第2のコーナーブロックと、
右縦枠と下横枠とを接続する第3のコーナーブロックと、
下横枠と左縦枠とを接続する第4のコーナーブロックとを備え、
第1乃至第4のコーナーブロックのうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状を有し、
左縦枠の室内側平面部は、室内板部と、室内板部よりも室外側に形成された室内板段部とを備え、
右縦枠の室内側平面部は、室内板部と、室内板部よりも室外側に形成された室内板段部とを備え、
左縦枠の室内板段部の小口は、組付状態において、上横枠の室内側平面部を構成する室内板部の下端及び下横枠の室内側平面部を構成する室内板部の上端部に当接し、
右縦枠の室内板段部の小口は、組付状態において、上横枠の室内側平面部を構成する室内板部の下端及び下横枠の室内側平面部を構成する室内板部の上端部に当接し、
左縦枠の室内板段部の屋外側の面は、組付状態において、上横枠の室内板部の屋外側の面及び下横枠の室内板部の屋外側の面と面一であり、
右縦枠の室内板段部の屋外側の面は、組付状態において、上横枠の室内板部の屋外側の面及び下横枠の室内板部の屋外側の面と面一であるサッシ枠。
【請求項2】
前記第1のコーナーブロックと、前記第2のコーナーブロックとが互いに鏡像形状を有する請求項1に記載のサッシ枠。
【請求項3】
前記第3のコーナーブロックと、前記第4のコーナーブロックとが互いに鏡像形状を有する請求項1または2に記載のサッシ枠。
【請求項4】
前記第1のコーナーブロックと、前記第3のコーナーブロックとが互いに同一形状を有する請求項1から3のいずれか1項に記載のサッシ枠。
【請求項5】
前記第2のコーナーブロックと、前記第4のコーナーブロックとが互いに同一形状を有する請求項1から4のいずれか1項に記載のサッシ枠。
【請求項6】
左縦枠及び上横枠が第1のコーナーブロックで接続され、
上横枠及び右縦枠が第2のコーナーブロックで接続され、
右縦枠及び下横枠が第3のコーナーブロックで接続され、
下横枠及び左縦枠が第4のコーナーブロックで接続され、かつ、
第1乃至第4のコーナーブロックのうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状を有し、
左縦枠の室内側平面部は、室内板部と、室内板部よりも室外側に形成された室内板段部とを備え、
右縦枠の室内側平面部は、室内板部と、室内板部よりも室外側に形成された室内板段部とを備え、
左縦枠の室内板段部の小口は、組付状態において、上横枠の室内側平面部を構成する室内板部の下端及び下横枠の室内側平面部を構成する室内板部の上端部に当接し、
右縦枠の室内板段部の小口は、組付状態において、上横枠の室内側平面部を構成する室内板部の下端及び下横枠の室内側平面部を構成する室内板部の上端部に当接し、
左縦枠の室内板段部の屋外側の面は、組付状態において、上横枠の室内板部の屋外側の面及び下横枠の室内板部の屋外側の面と面一であり、
右縦枠の室内板段部の屋外側の面は、組付状態において、上横枠の室内板部の屋外側の面及び下横枠の室内板部の屋外側の面と面一であるサッシ枠の組付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に取付けられるサッシ枠及びサッシ枠の組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開口部においては、通常、サッシ枠が固定され、そのサッシ枠に障子等が配置される構造となっている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の従来のサッシ枠を組み立てる場合には、上横枠及び下横枠のそれぞれの端部と、左縦枠及び右縦枠のそれぞれの端部とを接続させて四周を連続させるために、上横枠及び下横枠並びに左縦枠及び右縦枠のそれぞれの端部に切欠を形成する加工を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-61347号公報
【0005】
このような従来のサッシ枠の構成及びこれに対応する組付構造の課題を列挙すれば次の通りである。
(1) 形材の切欠加工を行う場合には、多くの工数が必要であり、しかも精度よく加工するには加工者の熟練を要していた。
(2) 形材の切欠加工を、加工装置を用いて行うことが可能であるものの、このような加工装置は一般的に高額な工作機械であり、その設備投資を検討する必要があった。
(3) 建物の施工現場の開口部の寸法変更等により形材の寸法を短くする必要が生じた場合、形材の寸法を開口部に合わせるための切断加工後に、再度の切欠加工により切欠きを形成する必要があった。
(4) 形材の組付方向を誤った状態で、形材の切欠加工及び他の形材との接続を行うと、サッシ枠の組み立てを正しく行えず、追加の形材や作業が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、加工者の熟練または高価な加工装置が必要な切欠加工を行うことなく、かつ、建物の施工現場において開口部の寸法変更等により形材の寸法を短くする必要が生じた場合でもその寸法を切断加工するのみで組付可能であり、かつ、サッシ枠の正しい組み立てに必要な形材の組付方向を簡単に確認できるサッシ枠及びその組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、左縦枠、右縦枠、上横枠及び下横枠と、左縦枠と上横枠とを接続する第1のコーナーブロックと、上横枠と右縦枠とを接続する第2のコーナーブロックと、右縦枠と下横枠とを接続する第3のコーナーブロックと、下横枠と左縦枠とを接続する第4のコーナーブロックとを備え、第1乃至第4のコーナーブロックのうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状を有し、左縦枠の室内側平面部は、室内板部と、室内板部よりも室外側に形成された室内板段部とを備え、右縦枠の室内側平面部は、室内板部と、室内板部よりも室外側に形成された室内板段部とを備え、左縦枠の室内板段部の小口は、組付状態において、上横枠の室内側平面部を構成する室内板部の下端及び下横枠の室内側平面部を構成する室内板部の上端部に当接し、右縦枠の室内板段部の小口は、組付状態において、上横枠の室内側平面部を構成する室内板部の下端及び下横枠の室内側平面部を構成する室内板部の上端部に当接し、左縦枠の室内板段部の屋外側の面は、組付状態において、上横枠の室内板部の屋外側の面及び下横枠の室内板部の屋外側の面と面一であり、右縦枠の室内板段部の屋外側の面は、組付状態において、上横枠の室内板部の屋外側の面及び下横枠の室内板部の屋外側の面と面一であるサッシ枠を提供する。
【0008】
本発明のサッシ枠においては、前記第1のコーナーブロックと、前記第2のコーナーブロックとが互いに鏡像形状を有することが好ましい。
【0009】
本発明のサッシ枠においては、前記第3のコーナーブロックと、前記第4のコーナーブロックとが互いに鏡像形状を有することが好ましい。
【0010】
本発明のサッシ枠においては、前記第1のコーナーブロックと、前記第3のコーナーブロックとが互いに同一形状を有することが好ましい。
【0011】
本発明のサッシ枠においては、前記第2のコーナーブロックと、前記第4のコーナーブロックとが互いに同一形状を有することが好ましい。
【0012】
本発明はまた、左縦枠及び上横枠が第1のコーナーブロックで接続され、上横枠及び右縦枠が第2のコーナーブロックで接続され、右縦枠及び下横枠が第3のコーナーブロックで接続され、下横枠及び左縦枠が第4のコーナーブロックで接続され、かつ、第1乃至第4のコーナーブロックのうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状を有し、左縦枠の室内側平面部は、室内板部と、室内板部よりも室外側に形成された室内板段部とを備え、右縦枠の室内側平面部は、室内板部と、室内板部よりも室外側に形成された室内板段部とを備え、左縦枠の室内板段部の小口は、組付状態において、上横枠の室内側平面部を構成する室内板部の下端及び下横枠の室内側平面部を構成する室内板部の上端部に当接し、右縦枠の室内板段部の小口は、組付状態において、上横枠の室内側平面部を構成する室内板部の下端及び下横枠の室内側平面部を構成する室内板部の上端部に当接し、左縦枠の室内板段部の屋外側の面は、組付状態において、上横枠の室内板部の屋外側の面及び下横枠の室内板部の屋外側の面と面一であり、右縦枠の室内板段部の屋外側の面は、組付状態において、上横枠の室内板部の屋外側の面及び下横枠の室内板部の屋外側の面と面一であるサッシ枠の組付構造を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加工者の熟練または高価な加工装置が必要な切欠加工を行うことなく、かつ、建物の施工現場において開口部の寸法変更等により形材の寸法を短くする必要が生じた場合でもその寸法を切断加工するのみで組付可能であり、かつ、サッシ枠の正しい組み立てに必要な形材の組付方向を簡単に確認できるサッシ枠及びその組付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】サッシ枠の分解斜視図
図2】サッシ枠の要部斜視図
図3】同分解斜視図
図4】コーナーブロックの斜視図
図5】(A)~(D)はそれぞれ左縦枠、右縦枠、上横枠及び下横枠の端部を示す図
図6】サッシ枠(すべり出し窓)の縦断面図
図7】サッシ枠(すべり出し窓)の横断面図
図8】サッシ枠(縦すべり出し窓)の縦断面図
図9】サッシ枠(縦すべり出し窓)の横断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るサッシ枠1は、例えば開口部(図示せず)に配置されて、障子等を建て込むすべり出し窓(縦すべり出し窓)用の枠となるもので、図1乃至図9に示されているように、左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5と、4つのコーナーブロック6(61~64)とを備える。第1のコーナーブロック61は、左縦枠2と上横枠4とを接続し、第2のコーナーブロック62は、上横枠4と右縦枠3とを接続し、第3のコーナーブロック63は右縦枠3と下横枠5とを接続し、第4のコーナーブロック64は下横枠5と左縦枠2とを接続する。本発明のサッシ枠においては、第1乃至第4のコーナーブロック61~64のうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状を有するものである。なお、本明細書においては、共通する構成に、共通する用語を用いると共に、各図において略同一に示して詳細な説明は省略し、必要に応じて同一または類似の符号で示すこととする。また、室内側(屋内側)とは図6における右側を示し、室外側(屋外側)とは図6における左側を示す。
【0016】
本実施形態の左縦枠2は、室内側平面部2aと、室外側平面部2bと、室内側平面部2a及び室外側平面部2bを接続する右縦枠側平面部2cとを備えており、略L字形状を有している。右縦枠側平面部2cは、段部2dを有している。左縦枠2は、アルミニウムを押し出し成形することにより長尺状に形成されたものである。なお、図7に示すように、右縦枠側平面部2cと縦框の間にステー71aを設けて、障子を横軸にすべり出して開閉するすべり出し窓とすることができる。
【0017】
左縦枠2には、長手方向の全体に亘って、2条のタッピングホール21と、右縦枠側平面部2cの屋外方向の一端側に形成された溝部22と、右縦枠側平面部2cの屋内方向の一端側に形成された室内板部23とが形成されている。また、室内板部23の右縦枠側には、サッシ枠の組付け後に小口(切断面)が隠れるよう、室内板部23よりも室外側に形成した室内板段部23cが設けられている。よって、室内側平面部2aは、室内板部23と室内板段部23cから構成されている。
【0018】
タッピングホール21は、第1及び第4のコーナーブロック61及び64と接続するためのネジを緊結するために使用される。本実施形態では、一方のタッピングホールは、右縦枠側平面部2cの裏面側(建物の開口部側)に形成されており、他方のタッピングホールは、段部2dを構成する面の裏面側に形成されている。なお、本実施形態の溝部22は、段部2dにより構成されている。
【0019】
室内板段部23cには、右縦枠側先端の屋外側に溝部23aが形成されている。この溝部23aには、タイト材72が挿入される。このタイト材72は、図7図9に示すように障子の室内側面に当接して、サッシの水密・気密性能を向上させるものである。本実施形態の溝部23aは、タイト材72が溝部23aから脱落することを防止する抜け止め部23bを有している。室内板段部23cは、組付状態において、後述する上横枠4の室内板部43の下端部及び下横枠5の室内板部53の上端部にその小口が当接する。特に本実施形態では、室内板段部23cの屋外側の面23d(抜け止め部23bの屋外側の面)が、組付状態において、室内板部43及び室内板部53の屋外側の面43c、53cと面一となるように構成されている。
【0020】
左縦枠2を、第1及び第4のコーナーブロック61及び64と接続する際、切欠で左縦枠2を押えることができないため、ネジの緊結により左縦枠2が回転する方向に動く傾向がある。室内板部23が上横枠4の室内板部43及び下横枠5の室内板部53のように右縦枠側先端まで平坦に伸びていると、組付状態によっては室内板部23の小口が、上横枠4の室内板部43及び下横枠5の室内板部53の屋内側の面よりも屋内側にはみ出して、鉛直方向から切断面が見える虞がある。本実施形態では、室内板段部23cを設けているので、その屋内側の面が上横枠4の室内板部43及び下横枠5の室内板部53の屋内側の面(室内側平面部4a,5a)よりも面内に納まるため、室内板段部23cの小口が隠れて鉛直方向から見えることがなく、組付け後の美観を保つことができる。
【0021】
本実施形態の右縦枠3は、室内側平面部3aと、室外側平面部3bと、室内側平面部3a及び室外側平面部3bを接続する左縦枠側平面部3cとを備えており、略L字形状を有している。左縦枠側平面部3cは、段部3dを有している。
【0022】
右縦枠3には、左縦枠2と同様に、長手方向の全体に亘って、2条のタッピングホール31と、左縦枠側平面部3cの屋外方向の一端側に形成された溝部32と、左縦枠側平面部3cの屋内方向の一端側に形成された室内板部33と、その左縦枠側に室内板段部33cが形成されている。
【0023】
タッピングホール31は、第2及び第3のコーナーブロック62及び63と接続するためのネジを緊結するために使用される。
【0024】
タッピングホール31、溝部32及び室内板部33は、左縦枠2のタッピングホール21、溝部22及び室内板部23と同様の構成を有するように構成されているので、その詳細な説明は省略する。
【0025】
特に本実施形態の右縦枠3は、左縦枠2と同一の形状を有しており、組付状態においては、左縦枠2と右縦枠3とが互いに鏡像形状を有している。
【0026】
本実施形態の上横枠4は、室内側平面部4aと、室外側平面部4bと、室内側平面部4a及び室外側平面部4bを接続する下横枠側平面部4cとを備えており、略L字形状を有している。下横枠側平面部4cは、段部4dを有している。
【0027】
上横枠4には、長手方向の全体に亘って、2条のタッピングホール41と、下横枠側平面部4cの屋外方向の一端側に形成された溝部42と、下横枠側平面部4cの屋内方向の一端側に形成された室内側平面部4aを構成する室内板部43とが形成されている。なお、図8に示すように、下横枠側平面部4cと上框の間にステー71bを設けて、障子を縦軸にすべり出して開閉する縦すべり出し窓とすることができる。
【0028】
タッピングホール41は、第1及び第2のコーナーブロック61及び62と接続するためのネジを緊結するために使用される。本実施形態では、一方のタッピングホールは、下横枠側平面部4cの裏面側(建物の開口部側)に形成されており、他方のタッピングホールは、段部4dを構成する面の裏面側に形成されている。
【0029】
溝部42には、水切り材73が入り込む。この水切り材73は、図6図8に示すように、上框の上部に直接雨水等がかかることを防止するものである。本実施形態の溝部42は、水切り材73が溝部42から脱落することを防止する抜け止め部42aを有している。本実施形態の溝部42は、段部4dの下横枠側の面に形成されている。
【0030】
室内板部43には、下枠側先端の屋外側に溝部43aが形成されている。この溝部43aには、タイト材72が挿入される。このタイト材72は、左右の縦枠2,3に挿入したものと同一である。本実施形態の溝部43aは、タイト材72が溝部43aから脱落することを防止する抜け止め部43bを有している。室内板部43は、組付状態において、左縦枠2の室内板段部23c及び右縦枠3の室内板段部33cの小口に当接する。特に本実施形態では、室内板部43の屋外側の面43c(抜け止め部43bの屋外側の面)が、組付状態において、室内板段部23c及び室内板段部33cの屋外側の面23d、33dと面一となるように構成されている。
【0031】
本実施形態の下横枠5は、室内側平面部5aと、室外側平面部5bと、上横枠側平面部5cと、傾斜面部5dとを備えている。上横枠側平面部5cの一端は、室内側平面部5aに接続されている。傾斜面部5dの一端は、室外側平面部5bに接続されている。上横枠側平面部5cには、一端が傾斜面部5dの他端に接続された接続面部5eの他端が接続されている。なお、上横枠4と同様に、上横枠側平面部5cと下框の間にステー71bを設けて、縦すべり出し窓とすることができる。
【0032】
下横枠5には、長手方向の全体に亘って、2条のタッピングホール51と、上横枠側平面部5cの屋内方向の一端側に形成された室内側平面部5aを構成する室内板部53とが形成されている。
【0033】
タッピングホール51は、第3及び第4のコーナーブロック63及び64と接続するためのネジを緊結するために使用される。本実施形態では、一方のタッピングホールは、上横枠側平面部5cの裏面側(建物の開口部側)に形成されており、他方のタッピングホールは、傾斜面部5dの裏面側に形成されている。
【0034】
室内板部53には、上枠側先端の屋外側に溝部53aが形成されている。この溝部53aにも、左右の縦枠2,3及び上横枠4と同一のタイト材72が挿入される。本実施形態の溝部53aは、タイト材72が溝部53aから脱落することを防止する抜け止め部53bを有している。室内板部53は、組付状態において、左縦枠2の室内板段部23c及び右縦枠3の室内板段部33cの小口に当接する。特に本実施形態では、図2に示すように、室内板部53の屋外側の面53c(抜け止め部53bの屋外側の面)が、組付状態において、室内板段部23c及び室内板段部33cの屋外側の面23d、33dと面一となるように構成されている。
【0035】
本実施形態では、左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5は、アルミニウムを押し出し成形することにより長尺状に形成されたものである。
【0036】
第1のコーナーブロック61は、図1に示したように、組付状態において、左縦枠2が固定される縦枠固定部61aと、上横枠4が固定される横枠固定部61bと、室内側平面部61cと、室外側平面部61dとを備えている。
【0037】
縦枠固定部61aは、板状に構成されており、組付状態において、左縦枠2のタッピングホール21と連通する位置に、左縦枠2との接続に使用されるネジが挿通される2つのネジ孔61eが形成されている。
【0038】
横枠固定部61bは、板状に構成されており、縦枠固定部61aと垂直となるように縦枠固定部61aに連続している。横枠固定部61bには、複数のネジ孔61fが形成されており、固定する形材に合わせて適宜使用する。本実施形態では、複数のネジ孔61fのうち、2つのネジ孔は、組付状態において、上横枠4のタッピングホール41と連通する位置に形成されており、上横枠4との接続に使用されるネジが挿通される。
【0039】
室内側平面部61cは、板状に構成されており、縦枠固定部61a及び横枠固定部61bと垂直となるように縦枠固定部61a及び横枠固定部61bに連続している。本実施形態では、室内側平面部61cは、組付状態において、左縦枠2の室内板部23と面一となるように構成されており、左右方向における寸法は、室内板部23の左右方向における寸法と同じである。
【0040】
室外側平面部61dは、板状に構成されており、縦枠固定部61a及び横枠固定部61bと垂直、かつ、室内側平面部61cと平行となるように縦枠固定部61a及び横枠固定部61bに連続している。本実施形態では、室外側平面部61dは、組付状態において、左縦枠2の室外側平面部2bと面一となるように構成されており、左右方向における寸法は、室外側平面部2bの左右方向における寸法と同じである。
【0041】
第2のコーナーブロック62は、図1に示したように、組付状態において、右縦枠3が固定される縦枠固定部62aと、上横枠4が固定される横枠固定部62bと、室内側平面部62cと、室外側平面部62dとを備えている。第2のコーナーブロック62は、第1のコーナーブロック61と略同一に構成されているので、詳細な説明は省略する。特に本実施形態では、第1のコーナーブロック61及び第2のコーナーブロック62は、同一形状を有している。
【0042】
縦枠固定部62aは、右縦枠3のタッピングホール31と連通する位置に、右縦枠3との接続に使用されるネジが挿通される2つのネジ孔62eが形成されている。
【0043】
横枠固定部62bには、4つのネジ孔62fが形成されている。これら4つのネジ孔62fのうち、2つのネジ孔は、組付状態において、上横枠4のタッピングホール41と連通する位置に形成されており、上横枠4との接続に使用されるネジが挿通される。
【0044】
室内側平面部62cは、組付状態において、右縦枠3の室内板部33と面一となるように構成されており、左右方向における寸法は、室内板部33の左右方向における寸法と同じである。
【0045】
室外側平面部62dは、組付状態において、右縦枠3の室外側平面部3bと面一となるように構成されており、左右方向における寸法は、室外側平面部3bの左右方向における寸法と同じである。
【0046】
第3のコーナーブロック63は、図1に示したように、組付状態において、右縦枠3が固定される縦枠固定部63aと、下横枠5が固定される横枠固定部63bと、室内側平面部63cと、室外側平面部63dとを備えている。第3のコーナーブロック63は、第1のコーナーブロック61と略同一に構成されているので、詳細な説明は省略する。特に本実施形態では、第1のコーナーブロック61及び第3のコーナーブロック63は、同一形状を有している。
【0047】
縦枠固定部63aは、右縦枠3のタッピングホール31と連通する位置に、右縦枠3との接続に使用されるネジが挿通される2つのネジ孔63eが形成されている。
【0048】
横枠固定部63bには、4つのネジ孔63fが形成されている。これら4つのネジ孔63fのうち、2つのネジ孔は、組付状態において、下横枠5のタッピングホール51と連通する位置に形成されており、下横枠5との接続に使用されるネジが挿通される。
【0049】
室内側平面部63cは、組付状態において、右縦枠3の室内板部33と面一となるように構成されており、左右方向における寸法は、室内板部33の左右方向における寸法と同じである。
【0050】
室外側平面部63dは、組付状態において、右縦枠3の室外側平面部3bと面一となるように構成されており、左右方向における寸法は、室外側平面部3bの左右方向における寸法と同じである。
【0051】
第4のコーナーブロック64は、図1に示したように、組付状態において、左縦枠2が固定される縦枠固定部64aと、下横枠5が固定される横枠固定部64bと、室内側平面部64cと、室外側平面部64dとを備えている。第4のコーナーブロック64は、第1のコーナーブロック61と略同一に構成されているので、詳細な説明は省略する。特に本実施形態では、第1のコーナーブロック61及び第4のコーナーブロック64は、同一形状を有している。
【0052】
縦枠固定部64aは、左縦枠2のタッピングホール21と連通する位置に、左縦枠2との接続に使用されるネジが挿通される2つのネジ孔64eが形成されている。
【0053】
横枠固定部64bには、4つのネジ孔64fが形成されている。これら4つのネジ孔64fのうち、2つのネジ孔は、組付状態において、下横枠5のタッピングホール51と連通する位置に形成されており、下横枠5との接続に使用されるネジが挿通される。
【0054】
室内側平面部64cは、組付状態において、左縦枠2の室内板部23と面一となるように構成されており、左右方向における寸法は、室内板部23の左右方向における寸法と同じである。
【0055】
室外側平面部64dは、組付状態において、左縦枠2の室外側平面部2bと面一となるように構成されており、左右方向における寸法は、室外側平面部2bの左右方向における寸法と同じである。
【0056】
本実施形態では、第1~4のコーナーブロック61~64は、アルミダイキャスト等の成形品である。
【0057】
上述のように構成された第1乃至第4のコーナーブロック61~64においては、各縦枠固定部61a~64aの室内外方向の寸法は、左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5の室内外方向の寸法と一致している。また、各横枠固定部61b~64bの上下方向の寸法は、上横枠4及び下横枠5の上下方向の寸法と一致している。さらに、室内側平面部61c~64cの左右方向における寸法は、左縦枠2、右縦枠3の室内板部23、33の左右方向における寸法と同じであり、室外側平面部61d~64dの左右方向における寸法は、左縦枠2、右縦枠3の室外側平面部2b、3bの左右方向における寸法と同じである。
よって、第1乃至第4のコーナーブロック61~64を用いて、左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5を組付けた場合、サッシ枠1の最も室外側に位置する面及びサッシ枠1の最も室内側に位置する面はそれぞれ面一となり、凹凸が殆ど形成されない。そのため、従来の上下枠と縦枠とが直接接合される場合と比べて、より均一な美観を有した形態となっている。
【0058】
本実施形態のサッシ枠1は、水密材としてのマットシーラー8を備えている。具体的には、第1~第8のマットシーラー81~88を備えている。第1~第8のマットシーラー81~88は、弾性を備えた素材(例えばブチルゴム)により構成されている。
【0059】
第1のマットシーラー81は、左縦枠2の上端と第1のコーナーブロック61の縦枠固定部61aとの間に配置されている。第2のマットシーラー82は、上横枠4の左端と第1のコーナーブロック61の横枠固定部61bとの間に配置されている。第3のマットシーラー83は、上横枠4の右端と第2のコーナーブロック62の横枠固定部62bとの間に配置されている。第4のマットシーラー84は、右縦枠3の上端と第2のコーナーブロック62の縦枠固定部62aとの間に配置されている。
【0060】
第5のマットシーラー85は、右縦枠3の下端と第3のコーナーブロック63の縦枠固定部63aとの間に配置されている。第6のマットシーラー86は、下横枠5の右端と第3のコーナーブロック63の横枠固定部63bとの間に配置されている。第7のマットシーラー87は、下横枠5の左端と第4のコーナーブロック64の横枠固定部64bとの間に配置されている。第8のマットシーラー88は、左縦枠2の下端と第4のコーナーブロック64の縦枠固定部64aとの間に配置されている。
【0061】
これらの第1~第8のマットシーラー81~88は、第1乃至第4のコーナーブロック61~64と、左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5とを、ネジで緊結固定することによって、防水機能を発揮する。
【0062】
本実施形態では、第1、第4、第5及び第8のマットシーラー81、84、85及び88はそれぞれ、第1~第4のコーナーブロック61~64の縦枠固定部61a~64aの全体を覆う大きさを有している。また、第2、第3、第6及び第7のマットシーラー82、83、86及び87はそれぞれ、第1~第4のコーナーブロック61~64の横枠固定部61b~64bの全体を覆う大きさを有している。
【0063】
以上のような構成を備えた本実施形態のサッシ枠1の作用効果は、次の通りである。
(1) 左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5のタッピングホール21~51へのネジの緊結のみで、左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5とコーナーブロック6(第1~第4のコーナーブロック61~64)とを連結することができるので、サッシ枠の組付けの際の形材の切欠加工が不要であり、そのため加工者の熟練を要することなく簡単にサッシ枠の加工及び組付けを行うことができる。
(2) 左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5のタッピングホール21~51へのネジの緊結のみで、左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5とコーナーブロック6(第1~第4のコーナーブロック61~64)とを連結することができるので、形材の切欠加工のための加工装置が不要であり、形材の切欠加工のための設備投資を低く抑えることができる。
(3) 建物の施工現場の開口部の寸法変更等により形材の寸法を短くする必要が生じた場合でも、切欠加工を必要とすることなく、形材の寸法を開口部に合わせるための切断加工のみで、寸法変更等に対応したサッシ枠の組付けを行うことができる。
(4) 第1乃至第4のコーナーブロック61~64のうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状であるため、コーナーブロックと枠との組み合わせの誤りを回避することができ、サッシ枠の正しい組み立てを簡単に行え、追加の形材や作業が必要となることを回避できる。
(5) 縦枠固定部61a~64aの大きさと、横枠固定部61b~64bの大きさと、ネジ孔の位置及びタッピングホールの位置の一致とにより、形材とコーナーブロックとの組付方向を簡単に判別することができるので、形材とコーナーブロックとの組付方向を間違えることを回避できる。
【0064】
以上のような構成を備えたサッシ枠による組付構造は、左縦枠2及び上横枠4が第1のコーナーブロック61で接続され、上横枠4及び右縦枠3が第2のコーナーブロック62で接続され、右縦枠3及び下横枠5が第3のコーナーブロック63で接続され、下横枠5及び左縦枠2が第4のコーナーブロック64で接続され、かつ、第1乃至第4のコーナーブロック61~64のうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状を有する構造となっている。
【0065】
以上のように構成されたサッシ枠の組付方法について、説明する。
工程1:形材の切断。
左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5用の形材をそれぞれ所望の寸法に切断して、左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5を作製する。
工程2:左縦枠2、右縦枠3、上横枠4及び下横枠5の長手方向の両端(切断した部分)に、コーナーブロックを固定し、矩形状のサッシ枠を構成する。
【0066】
上記実施形態においては、第1乃至第4のコーナーブロックが全て同一形状を有する場合について説明したが、第1乃至第4のコーナーブロック61~64のうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状であれば、本発明の効果を奏するものである。
【0067】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において、通常の知識を有する者により可能である。例えば、実施形態のすべり出し窓(縦すべり出し窓)用のサッシ枠ではなく引違い窓やFIX窓用のサッシ枠でもよい。
【符号の説明】
【0068】
1:サッシ枠
2:左縦枠
2a:室内側平面部 2b:室外側平面部 2c:右縦枠側平面部 2d:段部
21:タッピングホール
22:溝部
23:室内板部
23a:溝部 23b:抜け止め部 23c:室内板段部 23d:屋外側の面
3:右縦枠
3a:室内側平面部 3b:室外側平面部 3c:左縦枠側平面部 3d:段部
31:タッピングホール
32:溝部
33:室内板部
33a:溝部 33b:抜け止め部 33c:室内板段部 33d:屋外側の面
4:上横枠
4a:室内側平面部 4b:室外側平面部 4c:下横枠側平面部 4d:段部
41:タッピングホール
42:溝部
42a:抜け止め部
43:室内板部
43a:溝部 43b:抜け止め部
5:下横枠
5a:室内側平面部 5b:室外側平面部 5c:上横枠側平面部 5d:傾斜面部
5e:接続面部
51:タッピングホール
53:室内板部
53a:溝部 53b:抜け止め部 53c:屋外側の面
6:コーナーブロック
61:第1のコーナーブロック
61a:縦枠固定部 61b:横枠固定部 61c:室内側平面部
61d:室外側平面部 61e:ネジ孔 61f:ネジ孔
62:第2のコーナーブロック
62a:縦枠固定部 62b:横枠固定部 62c:室内側平面部
62d:室外側平面部 62e:ネジ孔 62f:ネジ孔
63:第3のコーナーブロック
63a:縦枠固定部 63b:横枠固定部 63c:室内側平面部
63d:室外側平面部 63e:ネジ孔 63f:ネジ孔
64:第4のコーナーブロック
64a:縦枠固定部 64b:横枠固定部 64c:室内側平面部
64d:室外側平面部 64e:ネジ孔 64f:ネジ孔
71a、71b:ステー
72:タイト材
73:水切り材
8:マットシーラー
81:第1のマットシーラー 82:第2のマットシーラー
83:第3のマットシーラー 84:第4のマットシーラー
85:第5のマットシーラー 86:第6のマットシーラー
87:第7のマットシーラー 88:第8のマットシーラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9