(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】リング装置およびリング装置を用いた管の移送方法
(51)【国際特許分類】
F16L 1/00 20060101AFI20230622BHJP
E03F 7/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
F16L1/00 H
E03F7/00
(21)【出願番号】P 2019213768
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】507157676
【氏名又は名称】株式会社クボタ建設
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小丸 維斗
(72)【発明者】
【氏名】岸 正蔵
(72)【発明者】
【氏名】鷹野 英光
(72)【発明者】
【氏名】東 賢人
(72)【発明者】
【氏名】小渕 清志
(72)【発明者】
【氏名】寺谷 浩
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 晃司
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-4278(JP,U)
【文献】特開2010-78142(JP,A)
【文献】特開平11-303576(JP,A)
【文献】特開平9-159057(JP,A)
【文献】実開昭60-118076(JP,U)
【文献】特開2005-307531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0248157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00
E03F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管路内に新設管を敷設する際に、既設管路内に設置されるリング装置であって、
既設管路の内周面に押付けられるリング本体と、リング本体に設けられた取付用フレームとを有し、
リング本体は周方向において円弧状の複数の分割リング片に分割され、
周方向において隣り合う一方の分割リング片の端部と他方の分割リング片の端部とを連結する連結部材と、一方の分割リング片の端部と他方の分割リング片の端部との間隔を周方向において拡縮する間隔調節部材とが備えられ、
既設管路内で新設管を牽引する牽引装置を取付け可能な取付部が取付用フレームに設けられていることを特徴とするリング装置。
【請求項2】
取付用フレームは、リング本体に着脱自在であり、複数の分割リング片にまたがって取り付けられることを特徴とする請求項1記載のリング装置。
【請求項3】
取付用フレームはリング本体から管軸方向に突出しており、
管軸方向におけるリング本体と取付部との間に、牽引装置が配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリング装置。
【請求項4】
各分割リング片は周方向における両端部にフランジを有し、
連結部材は周方向において相対向する一方の分割リング片のフランジと他方の分割リング片のフランジとを連結する連結ボルトおよび連結ナットを有し、
間隔調節部材は間隔調節ボルトからなり、
間隔調節ボルトは、一方の分割リング片のフランジに形成されたねじ孔に螺合してフランジを周方向に貫通し、その先端部が他方の分割リング片のフランジに当接することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリング装置。
【請求項5】
リング本体の下部に位置する分割リング片の径方向における厚さがそれ以外の分割リング片の径方向における厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリング装置。
【請求項6】
上記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリング装置を用いた管の移送方法であって、
リング装置のリング本体を既設管路の内周面に固定し、
牽引装置をリング装置の取付部に取付け、
牽引装置で新設管を牽引することを特徴とする管の移送方法。
【請求項7】
牽引装置を、リング装置のリング本体に対して、牽引される新設管とは反対側の位置に配置することを特徴とする請求項6に記載の管の移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管路内に新設管を敷設する際に、既設管路内に設置されるリング装置およびリング装置を用いた管の移送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図32に示すように、地中に埋設された既設管路200内に新設管201を敷設する際、新設管201の両端下部にそり202を取付け、新設管201に牽引用ロープ203を接続し、牽引用ロープ203をウインチ(牽引装置)で巻き取ることにより、新設管201を牽引して移送している。
【0003】
尚、上記のような管の移送方法については例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の従来形式では、ウインチは地上に設置されているため、ウインチから既設管路200内の新設管201までの距離が長く、これに応じて牽引用ロープ203を長くする必要がある。また、地上にウインチを設置するためのスペースを確保することが困難な場合もある。
【0006】
このような問題の対策として、ウインチを既設管路200内に着脱自在に据え付けることが考えられる。
【0007】
しかしながら、ウインチを既設管路200内に据え付けるには、ボルト等を用いてウインチを既設管路200の下部内面に固定する必要があり、そのために、既設管路200にボルト孔を形成する等の機械加工を施さなければならず、施工に手間を要した。
【0008】
本発明は、新設管を牽引する牽引装置を、容易に、既設管路内に着脱自在に据え付けることができるリング装置およびリング装置を用いた管の移送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、既設管路内に新設管を敷設する際に、既設管路内に設置されるリング装置であって、
既設管路の内周面に押付けられるリング本体と、リング本体に設けられた取付用フレームとを有し、
リング本体は周方向において円弧状の複数の分割リング片に分割され、
周方向において隣り合う一方の分割リング片の端部と他方の分割リング片の端部とを連結する連結部材と、一方の分割リング片の端部と他方の分割リング片の端部との間隔を周方向において拡縮する間隔調節部材とが備えられ、
既設管路内で新設管を牽引する牽引装置を取付け可能な取付部が取付用フレームに設けられているものである。
【0010】
これによると、周方向において隣り合う一方の分割リング片の端部と他方の分割リング片の端部とを連結部材で連結し、一方の分割リング片の端部と他方の分割リング片の端部との間隔を間隔調節部材で縮小した状態で、リング本体を既設管路内に嵌め込む。その後、間隔調節部材で一方の分割リング片の端部と他方の分割リング片の端部との間隔を拡大することにより、各分割リング片が既設管路の内周面に押付けられ、リング装置が既設管路内に固定される。
【0011】
その後、牽引装置をリング装置の取付部に取付けることにより、牽引装置がリング装置を介して既設管路内に据え付けられる。この際、既設管路に機械加工を施す必要はなく、牽引装置を容易に既設管路内に据え付けることができる。
【0012】
その後、間隔調節部材で一方の分割リング片の端部と他方の分割リング片の端部との間隔を縮小することにより、各分割リング片の既設管路の内周面への押付け作用が解除され、リング装置を既設管路の内周面から離脱させることができる。これにより、リング装置を容易に撤去することができる。
【0013】
本第2発明におけるリング装置は、取付用フレームは、リング本体に着脱自在であり、複数の分割リング片にまたがって取り付けられるものである。
【0014】
これによると、リング装置の強度を維持したまま、牽引装置の取付位置を変更することができる。
【0015】
本第3発明におけるリング装置は、取付用フレームはリング本体から管軸方向に突出しており、
管軸方向におけるリング本体と取付部との間に、牽引装置が配置されるものである。
【0016】
本第4発明におけるリング装置は、各分割リング片は周方向における両端部にフランジを有し、
連結部材は周方向において相対向する一方の分割リング片のフランジと他方の分割リング片のフランジとを連結する連結ボルトおよび連結ナットを有し、
間隔調節部材は間隔調節ボルトからなり、
間隔調節ボルトは、一方の分割リング片のフランジに形成されたねじ孔に螺合してフランジを周方向に貫通し、その先端部が他方の分割リング片のフランジに当接するものである。
【0017】
これによると、間隔調節ボルトを一方向に回すことにより、一方の分割リング片のフランジと他方の分割リング片のフランジとの間隔が拡大し、間隔調節ボルトを他方向に回すことにより、一方の分割リング片のフランジと他方の分割リング片のフランジとの間隔が縮小する。
【0018】
本第5発明におけるリング装置は、リング本体の下部に位置する分割リング片の径方向における厚さがそれ以外の分割リング片の径方向における厚さよりも薄いものである。
【0019】
これによると、リング装置を既設管路内に固定した際、リング本体の下部に位置する分割リング片の内周と既設管路の内周との段差が減少するため、取付用フレームをリング本体から取り外した状態で、新設管等がリング本体内を通過する場合、リング本体の下部に位置する分割リング片をスムーズに乗り越えることができる。
【0020】
本第6発明は、上記第1発明から第4発明のいずれか1項に記載のリング装置を用いた管の移送方法であって、
リング装置のリング本体を既設管路の内周面に固定し、
牽引装置をリング装置の取付部に取付け、
牽引装置で新設管を牽引するものである。
【0021】
これによると、新設管は牽引装置で牽引されて既設管路内を移送される。
【0022】
本第7発明における管の移送方法は、牽引装置を、リング装置のリング本体に対して、牽引される新設管とは反対側の位置に配置させるものである。
【0023】
これによると、作業者が既設管路内で牽引装置を操作して新設管を牽引している際、万一、リング装置が引っ張られて倒れたとしても、リング装置は、作業者側ではなく、牽引される新設管側に倒れる。このため、作業者の安全性を確保することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によると、リング装置を既設管路内に固定し、牽引装置をリング装置の取付部に取付けることにより、牽引装置が既設管路内に据え付けられる。この際、既設管路に機械加工を施す必要はなく、牽引装置を容易に既設管路内に据え付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における地中に敷設された管路の図である。
【
図2】同、管路の新設管同士の継手部分の断面図である。
【
図3】同、管路の新設管同士の継手部分に備えられるロックリングの切断部分を拡大器で拡大するときの図である。
【
図5】同、管路の新設管に取り付けられた第1および第2管移送装置の正面図である。
【
図6】同、新設管を敷設する際に用いられる第1および第2リング装置の正面図である。
【
図8】同、第1および第2リング装置の一部切欠き側面図である。
【
図9】同、第1および第2リング装置の一部拡大断面図である。
【
図10】同、第1および第2リング装置の正面図であって、第1および第2リング装置を既設管路内に固定した状態を示す。
【
図11】同、新設管を敷設する際に用いられる心出し用治具の側面図である。
【
図12】同、新設管を敷設する際に用いられる心出し用治具の正面図である。
【
図13】同、新設管を敷設する際に用いられる内面反力板の正面図である。
【
図14】同、新設管を敷設する際に用いられる内面反力板を新設管同士の継手部分の内周側隙間にセットした図である。
【
図15】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図16】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図17】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図18】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図19】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図21】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図22】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図23】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図であり、心出し作業の手順を示している。
【
図24】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図であり、心出し作業の手順を示している。
【
図25】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図であり、心出し作業の手順を示している。
【
図26】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図27】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図28】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図29】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図30】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【
図31】同、新設管を既設管路内に敷設する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、
図1に示すように、1は地中に埋設された既設管路2内に敷設された新設管路である。新設管路1は複数本の新設管5~11を接合したものである。これら新設管5~11はそれぞれ、ダクタイル鉄管であり、一端部に挿口15を有し、他端部に受口16を有している。このうち、新設管5,8,11は直管であり、新設管6,7,9,10はそれぞれ11.25°の角度で屈曲した曲管である。挿口15が受口16に挿入されることにより、新設管5~11同士が接合される。
【0028】
尚、既設管路2内には、H形鋼からなる複数の受台121が設置され、各新設管5~11の受口16が受台121上に支持されて据え付けられている。
【0029】
図2に示すように、受口16の内周にはシールリング17と押輪18と複数のボルト19とロックリング20と円環状のスプリング21とが備えられている。シールリング17は、受口16の内周と挿口15の外周との間をシールするものであり、ゴム等の弾性材でできている。押輪18はシールリング17を押して圧縮状態に保つものである。ボルト19は管周方向Eの複数箇所において押輪18に螺合しており、押輪18からのボルト19の突出長さを調節することにより、押輪18からシールリング17への押圧力を調節することができる。
【0030】
挿口15の外周面には凹部23が全周にわたり形成されている。ロックリング20は、一箇所が切断された一つ割り構造のリングであり、スプリング21によって管径方向内側に押されているため、挿口15の凹部23内の外周面に抱き付いている。
【0031】
尚、
図3に示すように、ロックリング20は、切断部分22の幅28を拡大器29で拡大することによって拡径し、拡大器29を切断部分22から取り外すことによって縮径して元の径に戻るような弾性を有している。
【0032】
図2に示すように、挿口15の先端と受口16の奥端面24との間には、内周側隙間25が全周にわたり形成されている。尚、凹部23の一端面26がロックリング20に当接することにより、受口16に対する挿口15の離脱方向Aへの移動量が限定され、凹部23の他端面27がロックリング20に当接することにより、受口16に対する挿口15の挿入方向Bへの移動量が限定される。
【0033】
図1に示すように、既設管路2は、上下に傾斜した勾配管路部31と、勾配管路部31の下部に連通する下部水平管路部32と、勾配管路部31の上部に連通する上部水平管路部33とを有している。
【0034】
新設管路1はパイプインパイプ工法により既設管路2内に敷設され、この際、第1および第2管移送装置37,38と、第1ワイヤ39(第1索体の一例)と、第2ワイヤ40(第2索体の一例)と、第1および第2リング装置41,42と、既設管路2内で新設管5~11を牽引する第1および第2牽引装置43,44と、心出し用治具45と、内面反力板46と、接合用索体47と、接合用牽引装置48等が用いられる。
【0035】
図4,
図5に示すように、第1管移送装置37は、既設管路2の内面を滑動自在な左右一対のそり50と、各新設管5~11の外周に取り付けられる円環状の取付バンド51と、左右両そり50間に設けられた連結フレーム52とを有している。左右両そり50は取付バンド51に設けられ、連結フレーム52には左右一対の連結孔52a,52bが形成されている。尚、第2管移送装置38は第1管移送装置37と同じ構造を有している。
【0036】
図1,
図4に示すように、第1管移送装置37を各新設管5~11の挿口15側の端部に取り付けるとともに、第2管移送装置38を各新設管5~11の受口16側の端部に取り付け、そり50を既設管路2の内周面に対して滑らすことにより、各新設管5~11を既設管路2内で移送することができる。
【0037】
尚、上記挿口15側の端部および受口16側の端部とは、第1および第2管移送装置37,38を取り付けた状態で、
図2に示した内周側隙間25が管軸方向において所定の大きさになる位置に該当する。
【0038】
図6~
図9に示すように、第1リング装置41は、既設管路2の内周面に押し付けられるリング本体53と、リング本体53に着脱自在に設けられた取付用フレーム54とを有している。リング本体53は、周方向Cにおいて、円弧状の第1~第4分割リング片55~58に4分割されている。第1~第4分割リング片55~58はそれぞれ、本体フレーム59~61と、本体フレーム59~61の周方向Cにおける両端部に設けられた四角平板状のフランジ63~66とを有している。尚、第1分割リング片55と第4分割リング片58とは上下方向において対向配置され、第2分割リング片56と第3分割リング片57とは左右方向において対向配置されている。
【0039】
周方向Cにおいて対向する第2および第3分割リング片56,57のフランジ65と第4分割リング片58のフランジ66とは連結部材78によって連結されている。連結部材78は、フランジ65,66に形成された貫通孔70,71に挿通される連結ボルト68と、連結ボルト68に螺合するナット69とを有している。
【0040】
また、第4分割リング片58のフランジ66の両端部には、フランジ65とフランジ66との間隔72を周方向Cにおいて拡縮するための間隔調節ボルト73(間隔調節部材の一例)が複数備えられている。両間隔調節ボルト73はそれぞれフランジ66に形成されたねじ孔74に螺合してフランジ66を周方向Cに貫通し、両間隔調節ボルト73の先端が相手方のフランジ65に当接している。両間隔調節ボルト73を一方向に回すことにより、
図9の実線で示すように間隔72が拡大し、両間隔調節ボルト73を他方向に回すことにより、
図9の仮想線で示すように間隔72が縮小する。
【0041】
同様に、周方向Cにおいて対向する第1分割リング片55のフランジ63と第2および第3分割リング片56,57のフランジ64とは連結部材79によって連結されている。連結部材79は、フランジ63,64に形成された貫通孔70,71に挿通される連結ボルト76と、連結ボルト76に螺合するナット77とを有している。
【0042】
また、第2および第3分割リング片56,57のフランジ64の両端部には、周方向Cにおけるフランジ63とフランジ64との間隔80を拡縮するための間隔調節ボルト81(間隔調節部材の一例)が複数設けられている。両間隔調節ボルト81はそれぞれフランジ64に形成されたねじ孔74に螺合してフランジ64を周方向Cに貫通し、両間隔調節ボルト81の先端が相手のフランジ63に当接している。両間隔調節ボルト81を一方向に回すことにより、間隔80が拡大し、両間隔調節ボルト81を他方向に回すことにより、間隔80が縮小する。
【0043】
尚、
図6に示すように、リング本体53の下部に位置する第4分割リング片58の本体フレーム61の径方向における厚さT1は、残りの第1~第3分割リング片55~57の各本体フレーム59,60の径方向における厚さT2よりも薄く設定されている。
【0044】
取付用フレーム54は、リング本体53から管軸方向Gに突出しており、一端が第4分割リング片58の本体フレーム61に着脱自在に取り付けられた左右一対の下部フレーム85と、両下部フレーム85の他端間に設けられた連結フレーム86と、左右一対の傾斜フレーム87とを有している。
【0045】
尚、下部フレーム85の一端は第4分割リング片58の本体フレーム61にボルトおよびナット89を介して着脱自在に連結されている。また、両傾斜フレーム87の上端は第2および第3分割リング片56,57の本体フレーム60にボルトおよびナット90を介して着脱自在に取り付けられ、両傾斜フレーム87の下端は連結フレーム86の両端に取り付けられている。これにより、取付用フレーム54は、第2~第4分割リング片56~58(複数の分割リング片の一例)にまたがって取り付けられる。
【0046】
また、連結フレーム86には、第1牽引装置43を取付け可能な左右一対のアイボルト88a,88b(取付部の一例)が設けられている。
【0047】
各間隔調節ボルト73,81を他方向に回して間隔72,80を縮小した状態で、第1リング装置41を既設管路2内に嵌め込み、各間隔調節ボルト73,81を一方向に回して間隔72,80を拡大することにより、
図10に示すように、第1~第4分割リング片55~58がそれぞれ径方向外向きに移動して既設管路2の内周面に押付けられ、第1リング装置41が既設管路2内に固定可能である。
【0048】
また、第2リング装置42は、第1リング装置41と同じ構成を有し、第1リング装置41と同様にして既設管路2内に固定可能である。
【0049】
図8に示すように、第1牽引装置43は、第1ワイヤ39を巻取りおよび送出し可能な万能型の手動式ウインチやレバーホイスト等(牽引装置の一例)であり、第1リング装置41のアイボルト88a,88bに掛止可能なアンカーフック82と、第1ワイヤ39の先端に設けられたフック83とを有している。
【0050】
左右2台の第1牽引装置43のアンカーフック82をそれぞれ第1リング装置41の一方のアイボルト88aおよび他方のアイボルト88bに係止することにより、これら両第1牽引装置43が管軸方向Gにおけるリング本体53とアイボルト88a,88bとの間に配置される。
【0051】
同様に、第2牽引装置44は、第2ワイヤ40を巻取りおよび送出し可能な手動式のウインチやレバーホイスト等(牽引装置の一例)であり、第2リング装置42のアイボルト88a,88bに掛止可能なアンカーフック82と、第2ワイヤ40の先端に設けられたフック83とを有している。
【0052】
左右2台の第2牽引装置44のアンカーフック82をそれぞれ第2リング装置42の一方のアイボルト88aおよび他方のアイボルト88bに係止することにより、これら両第2牽引装置44が管軸方向Gにおけるリング本体53とアイボルト88a,88bとの間に配置される。
【0053】
図11,
図12に示すように、心出し用治具45は、挿口15内に着脱自在に固定できる本体フレーム91と、車輪92と、本体フレーム91に対して車輪92を昇降させる昇降装置93とを有している。本体フレーム91は、側面視において三角枠形状に形成されており、上下方向に起立した縦フレーム94と、一端部が縦フレーム94の下端部に取付けられた横フレーム95と、縦フレーム94の上端部と横フレーム95の他端部との間に取り付けられた傾斜フレーム96とを有している。
【0054】
縦フレーム94の上端部には、ねじ棒98によって上下方向に移動自在な固定部材99が設けられている。ねじ棒98は縦フレーム94に内蔵され、固定部材99はねじ棒98の上端に取り付けられている。固定部材99を一方向に回すことにより、ねじ棒98が縦フレーム94内から上方へ送り出され、固定部材99が上昇する。また、固定部材99を他方向に回すことにより、ねじ棒98が縦フレーム94内に送り込まれ、固定部材99が下降する。
【0055】
車輪92は車輪取付用ブラケット100に回転自在に左右一対設けられている。昇降装置93は、縦フレーム94に設けられたナット体101と、ナット体101に螺合してナット体101を上下に貫通する昇降用ボルト102とを有している。昇降用ボルト102の下端に車輪取付用ブラケット100が設けられている。
【0056】
車輪取付用ブラケット100には、車輪92の向きを限定する左右一対の向き限定板103が設けられている。両向き限定板103間に縦フレーム94が挟まれていることにより、車輪92の向きは、昇降用ボルト102の周方向において一方向(横フレーム95の長手方向)に限定され、昇降用ボルト102を中心にして周方向へ変化することはない。
【0057】
昇降用ボルト102を一方向に回すことによって車輪92が下降し、昇降用ボルト102を他方向に回すことによって車輪92が上昇する。
【0058】
図13,
図14に示すように、内面反力板46は、その左右両端部が挿口15の先端と受口16の奥端面24との間の内周側隙間25に挿脱自在である。内面反力板46には左右一対のアイボルト105a,105bが設けられている。
【0059】
図19に示すように、接合用牽引装置48にはレバーホイストが用いられている。また、接合用索体47は、スリングベルト107と、接合用牽引装置48(レバーホイスト)に備えられているチェン108と、レバーホイストに備えられているアンカーフック84とを有している。尚、スリングベルト107とチェン108とは接合されている。
【0060】
以下に、既設管路2内に新設管路1を敷設する管の敷設方法を説明する。
【0061】
図15に示すように、勾配管路部31に既に据え付けられた接合済みの新設管7の挿口15が隣接する接合済みの新設管6の受口16に挿入されて、挿口15の先端と受口16の奥端面との間に内周側隙間25(
図2参照)が形成された状態で、両新設管6,7が接合されている。
【0062】
そして、
図9の仮想線で示すように、第1リング装置41のリング本体53の両フランジ65,66を連結ボルト68およびナット69で連結し、間隔調節ボルト73を他方向に回して両フランジ65,66間の間隔72を縮小するとともに、両フランジ63,64を連結ボルト76およびナット77で連結し、間隔調節ボルト81を他方向に回して両フランジ63,64間の間隔80を縮小する。
【0063】
この状態で、第1リング装置41のリング本体53を既設管路2の下部水平管路部32内に嵌め込む。その後、
図9の実線で示すように、第1リング装置41の間隔調節ボルト73を一方向に回して両フランジ65,66間の間隔72を拡大し、連結ボルト68およびナット69を締め付けるとともに、間隔調節ボルト81を一方向に回して両フランジ63,64間の間隔80を拡大し、連結ボルト76およびナット77を締め付ける。
【0064】
これにより、第1リング装置41の第1~第4分割リング片55~58の端部間の間隔72,80が拡大されて、
図10に示すように、第1~第4分割リング片55~58が既設管路2の下部水平管路部32の内周面に押し付けられ、第1リング装置41が下部水平管路部32内に固定される。
【0065】
また、上記第1リング装置41と同様にして、第2リング装置42を既設管路2の上部水平管路部33内に固定する。
【0066】
その後、
図8,
図15に示すように、第1リング装置41のアイボルト88a,88bにそれぞれ第1牽引装置43のアンカーフック82を引っ掛けて、左右一対(すなわち2台)の第1牽引装置43を第1リング装置41に接続する。この際、第1牽引装置43を、第1リング装置41のリング本体53に対して、これから接合しようとする接合前の新設管8とは反対側の位置に配置する。
【0067】
同様に、第2リング装置42のアイボルト88a,88bにそれぞれ第2牽引装置44のアンカーフック82を引っ掛けて、左右一対(すなわち2台)の第2牽引装置44を第2リング装置42に接続しておく。この際、第2牽引装置44を、第2リング装置42のリング本体53に対して、接合前の新設管8とは反対側の位置に配置する。
【0068】
これにより、第1および第2牽引装置43,44が第1および第2リング装置41,42を介して既設管路2内に据え付けられる。この際、既設管路2に機械加工を施す必要はなく、第1および第2牽引装置43,44を容易に既設管路2内に据え付けることができる。
【0069】
さらに、接合前の新設管8の両端部に第1管移送装置37と第2管移送装置38とを取り付ける。
【0070】
また、左右両第1牽引装置43の第1ワイヤ39のフック83(
図8参照)を接合前の新設管8の第1管移送装置37の連結孔52a,52b(
図5参照)に引っ掛けて、
図15に示すように第1管移送装置37に第1ワイヤ39を接続し、左右両第2牽引装置44の第2ワイヤ40のフック83(
図8参照)を接合前の新設管8の第2管移送装置38の連結孔52a,52b(
図5参照)に引っ掛けて、
図15に示すように第2管移送装置38に第2ワイヤ40を接続する。
【0071】
また、接合前の新設管8の挿口15に滑剤を塗布する。さらに、勾配管路部31に既に据え付けられた接合済みの新設管7の受口16内に、シールリング17と押輪18とボルト19とロックリング20とスプリング21をセットする。
【0072】
また、第1作業者111が心出し用治具45の本体フレーム91を接合前の新設管8の挿口15内に挿入して取り付ける。この際、固定部材99を一方向に回して上昇させることにより、本体フレーム91の下端から固定部材99までの高さが増加するため、
図12に示すように、固定部材99と本体フレーム91の下端とが挿口15の内面に強く押し付けられて、本体フレーム91が挿口15内に強固に取り付けられる。
【0073】
その後、
図16に示すように、第2作業者112が左右両第1牽引装置43を手動操作して左右両第1ワイヤ39を巻取るとともに、第3作業者113が左右両第2牽引装置44を手動操作して左右両第2ワイヤ40を送出すことにより、左右両第1ワイヤ39を管牽引方向Dへ引っ張るとともに左右両第2ワイヤ40を管牽引方向Dへ引き出しながら、接合前の新設管8を牽引して勾配管路部31に移送する。
【0074】
この際、第2作業者112は、第1リング装置41のリング本体53に対して接合前の新設管8とは反対側の位置に立って、第1牽引装置43を手動操作するため、第1リング装置41は、万一、第1ワイヤ39に引っ張られて倒れたとしても、第2作業者112の側ではなく、牽引される新設管8の側に倒れる。これにより、第2作業者112の安全性を確保することができる。
【0075】
同様に、第3作業者113は、第2リング装置42のリング本体53に対して接合前の新設管8とは反対側の位置に立って、第2牽引装置44を手動操作するため、第2リング装置42は、万一、第2ワイヤ40に引っ張られて倒れたとしても、第3作業者113の側ではなく、牽引される新設管8の側に倒れる。これにより、第3作業者113の安全性を確保することができる。
【0076】
図17に示すように、接合前の新設管8が、第1ワイヤ39で牽引されて勾配管路部31を斜め下方へ移送され、勾配管路部31に既に据え付けられた接合済みの新設管7の手前側まで達すると、
図18に示すように、第2作業者112が、第1ワイヤ39のフック83(
図8参照)を接合前の新設管8の第1管移送装置37の連結孔52a,52b(
図5参照)から離脱して、第1ワイヤ39を第1管移送装置37から取り外す。この際、左右両第2ワイヤ40を張った状態に保つことにより、接合前の新設管8が勾配管路部31を滑り落ちることはなく、安全性が確保される。
【0077】
その後、
図13,
図14,
図19,
図20に示すように、第2作業者112が、接合済みの新設管7の挿口15の先端と接合済みの新設管6の受口16の奥端面24との間に形成されている内周側隙間25に内面反力板46の左右両端部を嵌め込んで、内面反力板46を新設管6と新設管7との接合部内に取付ける。
【0078】
そして、第2作業者112が左右一対のスリングベルト107の一端を内面反力板46の左右一対のアイボルト105a,105bに接続し、第1作業者111が左右一対の接合用牽引装置48(レバーホイスト)のアンカーフック84を接合前の新設管8の受口16の開口端部に引っ掛けることにより、接合済みの新設管7と接合前の新設管8とを接合用索体47で接続する。
【0079】
その後、第1作業者111が、左右両接合用牽引装置48を手動操作して、チェン108を接合用牽引装置48で巻き取るとともに、第3作業者113が左右両第2牽引装置44を手動操作して左右両第2ワイヤ40を送出すことにより、
図21に示すように、接合前の新設管8を接合済みの新設管7に向けて移動させ、
図22に示すように、接合前の新設管8の挿口15の先端が接合済みの新設管7の受口16の端面に当接すると、第1作業者111は接合用牽引装置48の手動操作を停止するとともに、第3作業者113は第2牽引装置44の手動操作を停止する。これにより、左右両第2ワイヤ40が、弛まずに、張った状態で保持される。
【0080】
この際、
図23に示すように、接合済みの新設管7の受口16はジャッキアップされて受台121上に据え付けられているが、接合前の新設管8はまだジャッキアップされていないため、接合前の新設管8の軸心115は接合済みの新設管7の軸心116よりも下方に位置し、心出し用治具45の車輪92が接合済みの新設管7の受口16内に入り込む。
【0081】
その後、第2作業者112が、接合済みの新設管7の受口16内にセットされているシールリング17に滑剤を塗布し、
図3,
図23に示すように、受口16内にセットされているロックリング20の切断部分22の幅28を拡大器29で拡大する。これにより、ロックリング20が拡径する。
【0082】
その後、
図24に示すように、第2作業者112がインパクトドライバー等を用いて心出し用治具45の昇降用ボルト102を一方向に回す。これにより、
図25に示すように、車輪92が下降して接合済みの新設管7の受口16の下部内面に当接し、さらに車輪92が下降しようとして接合済みの新設管7の受口16の内面を下向きに押圧することにより、この押圧力の反力で接合前の新設管8の挿口15を上方に移動させ、接合前の新設管8の軸心115を接合済みの新設管7の軸心116と同じ高さに合わせる。
【0083】
さらに、
図24に示すように、第3作業者113が左右両第2牽引装置44のうちの左側の第2牽引装置44を手動操作して左側の第2ワイヤ40を巻取ることにより、左側の第2ワイヤ40が管牽引方向Dとは逆方向へ引っ張られ、接合前の新設管8の挿口15が左側に移動する。また、第3作業者113が右側の第2牽引装置44を手動操作して右側の第2ワイヤ40を巻取ることにより、右側の第2ワイヤ40が管牽引方向Dとは逆方向へ引っ張られ、接合前の新設管8の挿口15が右側に移動する。
【0084】
このようにして接合前の新設管8の挿口15を接合済みの新設管7の受口16に対して左右方向に移動させることで、左右方向において接合前の新設管8の軸心115を接合済みの新設管7の軸心116に合わせることができる。これにより、接合前の新設管8の軸心115を上下左右方向において接合済みの新設管7の軸心116に合わせることができ、接合前の新設管8の中心が接合済みの新設管7の中心に合致する。
【0085】
上記のようにして心出しを行った後、
図26,
図27に示すように、第2作業者112が接合済みの新設管7内から新設管5内に退避し、第1作業者111が、左右両接合用牽引装置48を手動操作して、左右両チェン108を接合用牽引装置48で巻き取るとともに、第3作業者113が左右両第2牽引装置44を手動操作して左右両第2ワイヤ40を送出すことにより、接合前の新設管8を管牽引方向Dへ移動させ、接合前の新設管8の挿口15を接合済みの新設管7の受口16に挿入する。
【0086】
この際、接合前の新設管8の挿口15の先端が拡径状態のロックリング20の内周を通過するのとほぼ同時に拡大器29に当たるため、拡大器29がロックリング20から外れ、ロックリング20が、縮径して元の径に戻り、挿口15の外周に抱き付く。
【0087】
また、車輪92が接合済みの新設管7の受口16の下部内周面を管牽引方向D(挿入方向)へ転動するため、接合前の新設管8の挿口15が接合済みの新設管7の受口16にスムーズに接合される。
【0088】
そして、
図28に示すように、接合前の新設管8の挿口15の先端部と接合済みの新設管7の受口16の奥端面24との間に複数のディスタンスピース118をセットしておき、挿口15の先端部と受口16の奥端面24との間に所定の大きさの隙間119をあける。尚、ディスタンスピース118は管周方向Eにおいて複数箇所にセットされ、管周方向Eにおいて隣り合うディスタンスピース118間に受口16内のボルト19が位置する。
【0089】
その後、
図29に示すように、第1作業者111が心出し用治具45を新設管8の挿口15内から撤去する。この際、
図11の仮想線で示すように、心出し用治具45の固定部材99を他方向に回して下降させることにより、本体フレーム91の下端から固定部材99までの高さが減少し、心出し用治具45が容易に挿口15内から取り外される。
【0090】
その後、第2作業者112が、トルクレンチを用いて接合済みの新設管7の受口16内のボルト19(
図2,
図28参照)を回し、押輪18からのボルト19の突出長さを調節する。これにより、押輪18からシールリング17への押圧力を調節することができる。尚、上記調節作業は、管周方向Eにおいて隣り合うディスタンスピース118間を通じて、行われる。
【0091】
その後、第2作業者112がディスタンスピース118を取り外し、
図30に示すように、第1作業者111が、接合用牽引装置48を手動操作して、チェン108を接合用牽引装置48で巻き取るとともに、第3作業者113が左右両第2牽引装置44を手動操作して左右両第2ワイヤ40を送出すことにより、接合前の新設管8を管牽引方向Dへ移動させ、接合前の新設管8の挿口15を接合済みの新設管7の受口16に所定の位置まで挿入する。
【0092】
尚、所定の位置とは、
図2に示すように、挿口15の先端と受口16の奥端面24との間の内周側隙間25が管軸方向Gにおいて所定の大きさになる位置である。ここでは、
図2の仮想線および
図4で示すように、接合前の新設管8の第1管移送装置37の取付バンド51が接合済みの新設管7の受口16の開口端面に当接することで、接合前の新設管8の挿口15が接合済みの新設管7の受口16に所定の位置まで挿入される。
【0093】
このようにして接合前の新設管8を接合済みの新設管7に接合し、その後、スリングベルト107と接合用牽引装置48と内面反力板46を取り外して撤去し、
図31に示すように、第1作業者111が接合された新設管8の受口16をジャッキアップして持ち上げ、受台121を設置して、新設管8の受口16を受台121上に据え付ける。
【0094】
その後、上記と同様な手順を繰り返して残りの新設管9~11を接合することにより、
図1に示すように、既設管路2内に新設管路1を敷設する。
【0095】
その後、
図9の仮想線で示すように、第1リング装置41の間隔調節ボルト73を他方向に回して両フランジ65,66間の間隔72を縮小するとともに、間隔調節ボルト81を他方向に回して両フランジ63,64間の間隔80を縮小することにより、第1~第4分割リング片55~58の端部間の間隔72,80が縮小され、第1~第4分割リング片55~58の下部水平管路部32の内周面への押付け作用が解除され、第1リング装置41を下部水平管路部32の内周面から離脱させることができる。これにより、第1リング装置41を容易に撤去することができる。
【0096】
また、上記第1リング装置41と同様にして、第2リング装置42も容易に撤去することができる。
【0097】
また、
図6,
図10に示すように、第1および第2リング装置41,42のリング本体53の下部に位置する第4分割リング片58の厚さT1を残りの第1~第3分割リング片55~57の厚さT2よりも薄くしているため、第1および第2リング装置41,42を既設管路2内に固定した際、第4分割リング片58の内周と既設管路2の内周面との段差が減少する。これにより、新設管5~11を既設管路2内に搬入する際、搬入側にある第1リング装置41又は第2リング装置42のリング本体53から取付用フレーム54を取り外すことで、搬入側にある第1リング装置41又は第2リング装置42を既設管路2内に固定したままで、新設管5~11がリング本体53の内側を容易に通過可能となり、新設管5~11を既設管路2内に搬入することができる。
【0098】
また、新設管5~11を既設管路2内に搬入した後、取付用フレーム54をリング本体53に取り付けることで、第1リング装置41およびは第2リング装置42の強度を維持したまま第1および第2牽引装置43,44の取付位置が変更可能となる。
【0099】
上記実施の形態では、
図6に示すように、第1および第2リング装置41,42のリング本体53はそれぞれ、第1~第4分割リング片55~58に4分割されているが、4分割のみに限定されるものではなく、4分割以外の複数分割されていてもよい。
【0100】
上記実施の形態では、
図6に示すように、第1リング装置41の取付用フレーム54に左右2台の第1牽引装置43を取付け、左右2本の第1ワイヤ39を用いて新設管8を牽引しているが、第1リング装置41の取付用フレーム54に1台の第1牽引装置43を取付け、1本の第1ワイヤ39を用いて新設管8を牽引してもよい。同様に、第2リング装置42の取付用フレーム54に左右2台の第2牽引装置44を取付け、左右2本の第2ワイヤ40を新設管8の第2管移送装置38に連結しているが、第2リング装置42の取付用フレーム54に1台の第2牽引装置44を取付け、1本の第2ワイヤ40を新設管8の第2管移送装置38に連結してもよい。
【0101】
上記実施の形態では、第1および第2リング装置41,42をそれぞれ既設管路2内に固定した際、リング本体53の外周面が全周にわたって既設管路2の内周面に密接しているが、リング本体53の外周面と既設管路2の内周面との間に僅かな隙間が生じている場合、リング本体53を管軸方向Gに傾斜させて既設管路2の内周面に引っ掛けることにより、第1および第2リング装置41,42をそれぞれ既設管路2内に固定してもよい。
【符号の説明】
【0102】
2 既設管路
5~11 新設管
41 第1リング装置
42 第2リング装置
43 第1牽引装置
44 第2牽引装置
53 リング本体
54 取付用フレーム
55~58 分割リング片
63~66 フランジ
72,80 間隔
73,81 間隔調節ボルト(間隔調節部材)
78,79 連結部材
88a,88b アイボルト(取付部)
G 管軸方向