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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】絶縁金属基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/05 20060101AFI20230622BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20230622BHJP
   H05K 3/44 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
H05K1/05 A
H01L23/36 C
H05K3/44 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019232835
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2020113754
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2019-12-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】108101055
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519459894
【氏名又は名称】健策精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】葉竣達
(72)【発明者】
【氏名】鄭國彬
(72)【発明者】
【氏名】林錦隆
【合議体】
【審判長】山田 正文
【審判官】井上 信一
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-229542(JP,A)
【文献】特開2004-349400(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056666(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/05
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅を含む金属基板と、
前記金属基板に位置し、エポキシ樹脂を含む絶縁層と、
前記絶縁層に位置し、且つ複数の中抜き領域を有し、エポキシ樹脂を含むプラスチックフレームと、
前記絶縁層に位置し、且つそれぞれ前記中抜き領域の中に位置し、前記プラスチックフレームに接触する側壁を有する複数の導電性金属シートと、
を含み、前記導電性金属シートの厚さは、1mm~5mmの範囲にある絶縁金属基板(Insulated metal substrate;IMS)。
【請求項2】
前記金属基板は、前記金属基板の前記絶縁層に反対する表面に位置する複数の放熱構造を含む請求項1に記載の絶縁金属基板。
【請求項3】
前記導電性金属シートの厚さは、前記プラスチックフレームの厚さとほぼ同じである請求項1に記載の絶縁金属基板。
【請求項4】
前記導電性金属シートは、前記プラスチックフレームにより囲まれて位置決めされる請求項1に記載の絶縁金属基板。
【請求項5】
複数の中抜き領域を有し、エポキシ樹脂を含むプラスチックフレームを形成する工程と、
金属材料をプレスして、厚さが1mm~5mmの範囲にある複数の導電性金属シートを形成する工程と、
前記導電性金属シートの側壁を前記プラスチックフレームに接触させるように、前記導電性金属シートをそれぞれ前記プラスチックフレームの前記中抜き領域の中に圧着する工程と、
前記プラスチックフレームと前記導電性金属シートを、銅を含む金属基板における、エポキシ樹脂を含む絶縁層に設ける工程と、
を含む絶縁金属基板の製造方法。
【請求項6】
前記プラスチックフレームの形成は、射出成形で行われる請求項5に記載の絶縁金属基板の製造方法。
【請求項7】
厚さが1mm~5mmの範囲にある複数の導電性金属シートを形成する工程と、
前記導電性金属シートの側壁を、エポキシ樹脂を含むプラスチックフレームに接触させるように、前記導電性金属シートを囲む前記プラスチックフレームを形成する工程と、
前記プラスチックフレームと前記導電性金属シートを、銅を含む金属基板における、エポキシ樹脂を含む絶縁層に設ける工程と、
を含む絶縁金属基板の製造方法。
【請求項8】
前記導電性金属シートを囲む前記プラスチックフレームの形成は、
前記導電性金属シートを鋳型内に入れる工程と、
前記鋳型内でプラスチックによって前記プラスチックフレームを射出成形する工程と、
を含む請求項7に記載の絶縁金属基板の製造方法。
【請求項9】
厚さが1mm~5mmの範囲にある複数の導電性金属シートを形成する工程と、
絶縁層を、銅を含む金属基板に貼り付け又は塗布する工程と、
前記導電性金属シートを前記金属基板における、エポキシ樹脂を含む前記絶縁層に設ける工程と、
前記導電性金属シートの側壁を、エポキシ樹脂を含むプラスチックフレームに接触させるように、前記導電性金属シートを囲む前記プラスチックフレームを形成する工程と、
を含む絶縁金属基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、絶縁金属基板及び絶縁金属基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車又はハイブリッド車の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated gate bipolar transistor;IGBT)のパワーモジュールは、絶縁基板を使用する必要があるため、一般的に、銅張セラミック(Direct bond copper;DBC)基板が採用される。しかしながら、セラミックと銅との熱膨張係数差が大きいため、高温・低温試験(High and low temperature test)において、銅層と放熱ベースプレートとの間に位置するはんだ層は剥がれやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
銅張セラミック基板におけるセラミックの代わりに絶縁フィルムを採用してもよいが、電気自動車又はハイブリッド車のパワーモジュール内の電子素子のパワーが高いため、均熱効果を向上させるように、絶縁金属基板における銅層の厚さを増加させる必要があるが、銅層が厚すぎると、エッチングによって回路パターンを製作することは困難である。改めてプレスによって回路パターンを製作すると、回路パターンが繋がらない場合、銅層がいくつかのブロックにプレスされて、後で銅層と絶縁フィルムとを圧着するプロセスが困難で複雑になり、且つ複数のブロックの銅層がそれぞれ絶縁フィルムの複数の異なる位置に設けられてずれが生じやすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の技術的態様の一つは、絶縁金属基板である。
【0005】
本開示の一実施形態によれば、金属基板と、金属基板に位置する絶縁層と、絶縁層に位置し、且つ複数の中抜き領域を有するプラスチックフレームと、絶縁層に位置し、且つそれぞれ中抜き領域の中に位置し、プラスチックフレームに接触する側壁を有する複数の導電性金属シートと、を含む絶縁金属基板(Insulated Metal Substrate;IMS)を提供する。
【0006】
本開示の一実施形態において、金属基板は、金属基板の絶縁層に反対する表面に位置する複数の放熱構造を含む。
【0007】
本開示の一実施形態において、導電性金属シートの厚さは、1mm~5mmの範囲にある。
【0008】
本開示の一実施形態において、導電性金属シートの厚さは、プラスチックフレームの厚さとほぼ同じである。
【0009】
本開示の一実施形態において、導電性金属シートは、プラスチックフレームにより囲まれて位置決めされる。
【0010】
本開示の技術的態様の一つは、絶縁金属基板の製造方法である。
【0011】
本開示の一実施形態によれば、絶縁金属基板の製造方法は、複数の中抜き領域を有するプラスチックフレームを形成する工程と、金属材料をプレスして、複数の導電性金属シートを形成する工程と、導電性金属シートの側壁をプラスチックフレームに接触させるように、導電性金属シートをそれぞれプラスチックフレームの中抜き領域の中に圧着する工程と、プラスチックフレームと導電性金属シートを金属基板における絶縁層に設ける工程と、を含む。
【0012】
本開示の一実施形態において、プラスチックフレームの形成は、射出成形で行われる。
【0013】
本開示の技術的態様の一つは、絶縁金属基板の製造方法である。
【0014】
本開示の一実施形態によれば、絶縁金属基板の製造方法は、複数の導電性金属シートを形成する工程と、導電性金属シートの側壁をプラスチックフレームに接触させるように、導電性金属シートを囲むプラスチックフレームを形成する工程と、プラスチックフレームと導電性金属シートを金属基板における絶縁層に設ける工程と、を含む。
【0015】
本開示の一実施形態によれば、導電性金属シートを囲むプラスチックフレームの形成は、導電性金属シートを鋳型内に入れる工程と、鋳型内でプラスチックによってプラスチックフレームを射出成形する工程と、を含む。
【0016】
本開示の技術的態様のもう一つは、絶縁金属基板の製造方法である。
【0017】
本開示の別の実施形態によれば、絶縁金属基板の製造方法は、複数の導電性金属シートを形成する工程と、絶縁層を金属基板に貼り付け又は塗布する工程と、導電性金属シートを金属基板における絶縁層に設ける工程と、導電性金属シートの側壁をプラスチックフレームに接触させるように、導電性金属シートを囲むプラスチックフレームを形成する工程と、を含む。
【0018】
本開示の上記実施形態によれば、絶縁金属基板の製造中に、まず、金属材料をプレスして導電性金属シートを形成する。そして、導電性金属シートをプラスチックフレームの中抜き領域の中に位置決めして、プラスチックフレームが導電性金属シートを緊密に囲むようにしてシート状構造を形成する。このように、導電性金属シート及びプラスチックフレームと絶縁層とをより緊密に結合させ、絶縁層への貼り付けの信頼性を向上させる。また、プラスチックフレームが絶縁性と温度耐性の特性を持ち、且つ金属(例えば、銅)基板及び絶縁層とほぼ同じ物理的特性(例えば、熱膨張係数)を持つため、貼り付けが完了した後、プラスチックフレームは、後のプロセスに影響を与えずに絶縁金属基板の中に残ることができる。また、プラスチックフレームと導電性金属シートを含むシート状構造を絶縁層によって金属基板に貼り付けると、従来の銅張セラミック基板の製造で使用されるはんだ層を省いて、コストを削減することができる。なお、複数の導電性金属シートは、プラスチックフレームによって位置制限されてから、絶縁層に配置されることができるので、ずれが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施形態による絶縁金属基板を示す上面図である。
図2図1の絶縁金属基板の線分2-2に沿った断面図である。
図3】本開示の一実施形態による絶縁金属基板の製造方法を示すフロー図である。
図4図3の製造方法によって絶縁金属基板を組み合わせる場合の模式図である。
図5】本開示の一実施形態による絶縁金属基板の製造方法を示すフロー図である。
図6図5の製造方法によって絶縁金属基板を組み合わせる場合の模式図である。
図7】本開示の別の実施形態による絶縁金属基板の製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面で本発明の複数の実施形態を開示し、明らかに説明するために、下記叙述で多くの実際の細部を合わせて説明する。しかしながら、これらの実際の細部は本発明を制限するためのものではないことを理解すべきである。つまり、本発明の実施形態の一部において、これらの実際の細部は、必要ないものである。また、図面を簡略化するために、ある従来慣用の構造及び素子は、図面において簡単で模式的に示される。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態による絶縁金属基板100を示す上面図である。図2は、図1の絶縁金属基板100の線分2-2に沿った断面図である。図1図2を同時に参照すると、絶縁金属基板100は、金属基板110と、絶縁層120と、プラスチックフレーム130と、複数の導電性金属シート140と、を含む。絶縁層120は、金属基板110に位置する。プラスチックフレーム130は、絶縁層120に位置し、且つ複数の中抜き領域132を有する。導電性金属シート140は、絶縁層120に位置し、且つそれぞれ中抜き領域132の中に位置し、プラスチックフレーム130に接触する側壁142を有する。
【0022】
本実施形態において、金属基板110の絶縁層120に反対する表面112に複数の放熱構造160を有する。他の実施形態において、金属基板110は、放熱構造160を有しない平面基板であってよいが、本開示を制限するためのものではない。
【0023】
また、本実施形態における絶縁金属基板100が電気自動車又はハイブリッド車における絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated gate bipolar transistor;IGBT)のパワーモジュールに適用されることができ、このようなパワーモジュール内の電子素子のパワーが高いので、均熱効果を向上させるために、導電性金属シート140の厚さを増加させる必要がある。本実施形態における導電性金属シート140の厚さは、1mm~5mmの範囲にあってよく(例えば、厚さが3mmである)、均熱効果を効果的に向上させることができる。本実施形態において、導電性金属シート140の材質は、銅であってよいが、本開示を制限するためのものではない。
【0024】
導電性金属シート140は、プラスチックフレーム130により囲まれて且つプラスチックフレーム130の中抜き領域132に位置決めされ、且つその厚さがプラスチックフレーム130の厚さとほぼ同じであるため、ほぼ面一である上面及び底面を有するシート状構造150を形成することができる。導電性金属シート140とプラスチックフレーム130を含むシート状構造150が面一で平坦な底面を有するため、それを絶縁層120に貼り付ける工程を簡単にし、貼り付けの緊密度と信頼性を向上させることができる。また、複数の導電性金属シート140は、プラスチックフレーム130により位置制限されてから、絶縁層120に設けられてよいため、ずれが生じにくい。本実施形態において、プラスチックフレーム130の材質は、エポキシ樹脂を含んでよいが、本開示を制限するためのものではない。プラスチックフレーム130は、絶縁性と温度耐性の特性を持ち、且つ金属基板110(例えば、銅基板110)及び絶縁層120とほぼ同じ物理的特性(例えば、熱膨張係数)を持つため、貼り付けが便利である以外、後のプロセスに影響を与えずに絶縁金属基板100の中に残ることができ、且つ更に高温・低温試験に合格することができる。
【0025】
また、プラスチックフレーム130と導電性金属シート140から形成したシート状構造150を金属基板110における絶縁層120に貼り付けると、貼り付けの緊密度と信頼性を向上させることができるとともに、従来の銅張セラミック基板(Direct bond copper;DBC)におけるはんだ層を省いて、コストを削減することができる。本実施形態において、絶縁層120の材質は、エポキシ樹脂を含んでよいが、本開示を制限するためのものではない。
【0026】
述べられた素子の接続関係、材料と効果については、繰り返して説明しなく、最初に説明されることを理解されたい。以下の叙述において、絶縁金属基板100の製造方法を説明する。
【0027】
図3は、本開示の一実施形態による絶縁金属基板100の製造方法を示すフロー図である。図4は、図3の製造方法によって絶縁金属基板100を組み合わせる場合の模式図である。図3図4を同時に参照すると、絶縁金属基板100の製造方法は、下記工程を含む。まず、工程S1において、複数の中抜き領域132を有するプラスチックフレーム130を形成する。そして、工程S2において、複数の導電性金属シート140を形成する。その後、工程S3において、導電性金属シート140の側壁142をプラスチックフレーム130に接触させるように、導電性金属シート140をそれぞれプラスチックフレーム130の中抜き領域132に圧着する。そして、工程S4において、プラスチックフレーム130と導電性金属シート140を金属基板110における絶縁層120に設ける。以下の記述において、上記の各工程を更に説明する。
【0028】
まず、鋳型内でプラスチックによって中抜き領域132を有するプラスチックフレーム130を射出成形する。本実施形態において、プラスチックフレーム130の材質は、エポキシ樹脂を含んでよいが、本開示を制限するためのものではない。そして、金属材料をプレスによって複数の導電性金属シート140を形成して、回路パターンとする。本実施形態において、導電性金属シート140が十分な厚さを有し、電気自動車又はハイブリッド車における絶縁ゲートバイポーラトランジスタパワーモジュールに適用されて、均熱効果を向上させるように、金属材料は、厚い銅板材であってよい。
【0029】
中抜き領域132を有するプラスチックフレーム130と導電性金属シート140を形成した後、圧着によって導電性金属シート140をそれぞれプラスチックフレーム130の中抜き領域132に位置決めして、導電性金属シート140の側壁142をプラスチックフレーム130に接触させ、且つプラスチックフレーム130が導電性金属シート140を囲んでそれに緊密に結合される。つまり、プラスチックフレーム130と導電性金属シート140とは、緊密に設計される。プラスチックフレーム130の厚さと導電性金属シート140の厚さとがほぼ同じであるため、両者が圧着された後、形成されたシート状構造150が面一で平坦な上面と底面を有して、後で金属基板110における絶縁層120との貼り付けに寄与する。本実施形態において、絶縁層120の形成としては、絶縁フィルムを金属基板110に貼り付けても、又は絶縁ペーストで金属基板110に塗布してもよい。また、本実施形態において、プラスチックフレーム130の材質(例えば、エポキシ樹脂)は、絶縁性と温度耐性の特性を有してよく、且つ導電性金属シート140及び絶縁層120と類似している熱膨張係数を有してよい。
【0030】
そして、プラスチックフレーム130と導電性金属シート140から形成したシート状構造150を金属基板110における絶縁層120に貼り付けると、従来の銅張セラミック(Direct bond copper;DBC)基板の製造で使用されるはんだ層を省いて、コストを削減することができる。本実施形態において、金属基板110は、平面基板又は複数の放熱構造160を有する放熱基板であってよいが、本開示を制限するためのものではない。
【0031】
それぞれプラスチックフレーム130を射出成形し、導電性金属シート140をプレスして形成し、両者を圧着し面一で平坦な底面を有するシート状構造150を形成するため、シート状構造150と金属基板110に位置する絶縁層120との貼り付けを簡単にし、貼り付けの緊密度と信頼性を向上させる。なお、複数の導電性金属シート140は、プラスチックフレーム130により位置制限された後、絶縁層120に設けられてよいため、ずれが生じにくい。また、プラスチックフレーム130の材質(例えば、エポキシ樹脂)は、絶縁性と温度耐性の特性を有してよく、且つ導電性金属シート140及び絶縁層120と類似している熱膨張係数を有してよいため、後のプロセスに影響を与えずに絶縁金属基板100の中に残ることができる。
【0032】
図5は、本開示の一実施形態による絶縁金属基板100の製造方法を示すフロー図である。図6は、図5の製造方法によって絶縁金属基板100を組み合わせる場合の模式図である。絶縁金属基板100の製造方法は、以下の工程を含む。まず、工程S1’において、複数の導電性金属シート140を形成する。そして、工程S2’において、導電性金属シート140の側壁142がプラスチックフレーム130に接触するように、導電性金属シート140を囲むプラスチックフレーム130を形成する。その後、工程S3’において、プラスチックフレーム130と導電性金属シート140を金属基板110における絶縁層120に設ける。
【0033】
まず、金属材料は、プレスによって複数の導電性金属シート140を形成して、回路パターンとする。本実施形態において、金属材料は、導電性金属シート140の厚さが1mm~5mmの範囲にある(例えば、厚さが3mmである)ように、銅板材であってよいが、本開示を制限するためのものではない。
【0034】
そして、導電性金属シート140を鋳型内に入れ、鋳型内でプラスチックによって導電性金属シート140を緊密に囲むプラスチックフレーム130を射出成形し、このように、プラスチックフレーム130及び導電性金属シート140を含むシート状構造150を形成することができる。つまり、プラスチックフレーム130と導電性金属シート140とは、緊密に設計される。本実施形態において、プラスチックフレーム130の材質は、エポキシ樹脂を含んでよいが、本開示を制限するためのものではない。鋳型の設計により、射出成形され且つ導電性金属シート140を囲むプラスチックフレーム130の高さと導電性金属シート140の高さとをほぼ同じようにし、つまり、形成されたシート状構造150は面一で平坦な上面と底面を有し、後で金属基板110における絶縁層120との貼り付けに寄与する。本実施形態において、絶縁層120の形成としては、絶縁フィルムを金属基板110に貼り付けても、又は絶縁ペーストで金属基板110に塗布してもよい。本実施形態がプラスチックフレーム130の形成形態に、前の実施形態と異なっていることは、注意すべきである。本実施形態は、導電性金属シート140を鋳型内に入れてプラスチックフレーム130を射出成形することで、導電性金属シート140がプラスチックフレーム130により囲まれるようにして、シート状構造150を形成する。この方法によれば、導電性金属シート140とプラスチックフレーム130との間の結合をより緊密にし、その構造の安定性を強めることができる。
【0035】
そして、プラスチックフレーム130と導電性金属シート140から形成したシート状構造150を金属基板110における絶縁層120に貼り付けると、従来の銅張セラミック(Direct bond copper;DBC)基板の製造で使用されるはんだ層を省いて、コストを削減することができる。本実施形態において、金属基板110は、平面基板又は複数の放熱構造160を有する放熱基板であってよいが、本開示を制限するためのものではない。
【0036】
図7は、本開示の別の実施形態による絶縁金属基板100の製造方法を示すフロー図である。絶縁金属基板100の製造方法は、以下の工程を含む。まず、工程S1’’において、複数の導電性金属シートを形成する。そして、工程S2’’において、絶縁フィルムを金属基板に貼り付け又は絶縁ペーストを金属基板に塗布し絶縁ペーストを半硬化させてから、絶縁層を形成する。その後で、工程S3’’において、導電性金属シートを金属基板における絶縁層に設ける。それから、工程S4’’において、絶縁層を有する金属基板と導電性金属シートとを共に鋳型内に入れてプラスチックフレームを射出成形して、導電性金属シートの側壁をプラスチックフレームに接触させるように、導電性金属シートを囲むプラスチックフレームを形成する。
【0037】
金属材料をプレスして導電性金属シート140を形成してから、導電性金属シート140を鋳型内に入れ、鋳型内でプラスチックによって導電性金属シート140を緊密に囲むプラスチックフレーム130を射出成形するため、プラスチックフレーム130及び導電性金属シート140を含むシート状構造150を形成することができる。この方法により、導電性金属シート140とプラスチックフレーム130との間の結合をより緊密にして、形成されたシート状構造150により安定した構造を持たせることができる。鋳型の設計により、プラスチックフレーム130と導電性金属シート140を含むシート状構造150に面一で平坦な底面を持たせることができ、このように、シート状構造150と金属基板110に位置する絶縁層120との貼り付けを簡単にし、貼り付けの緊密度と信頼性を向上させることができる。なお、複数の導電性金属シート140は、プラスチックフレーム130により位置制限された後、絶縁層120に設けられてよいため、ずれが生じにくい。また、プラスチックフレーム130の材質(例えば、エポキシ樹脂)は、絶縁性と温度耐性の特性を有してよく、且つ導電性金属シート140及び絶縁層120と類似している熱膨張係数を有してよいため、後のプロセスに影響を与えずに絶縁金属基板100の中に残ることができる。
【0038】
本開示の実施形態を前述の通りに開示したが、これは、本開示を限定するものではなく、当業者であれば、本開示の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修飾を加えてもよいので、本開示の保護範囲は、後の特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0039】
100…絶縁金属基板、 110…金属基板、 112…表面、
120…絶縁層、 130…プラスチックフレーム、 132…中抜き領域、
140…導電性金属シート、 142…側壁、 150…シート状構造、
160…放熱構造、
S1、S2、S3、S4、S1’、S2’、S3’、S1’’、S2’’、S3’’、S4’’…工程、
2-2…線分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7