(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】大動脈瘤の治療用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4704 20060101AFI20230622BHJP
A61P 9/14 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A61K31/4704
A61P9/14
(21)【出願番号】P 2019542278
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 JP2018033923
(87)【国際公開番号】W WO2019054432
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2017175373
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017200093
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504300181
【氏名又は名称】国立大学法人浜松医科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(72)【発明者】
【氏名】海野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】矢田 達朗
(72)【発明者】
【氏名】井上 敬介
(72)【発明者】
【氏名】牧之瀬 勇一
(72)【発明者】
【氏名】金田 昇
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-178460(JP,A)
【文献】国際公開第2013/103148(WO,A1)
【文献】ZHANG, Q. et al.,Suppression of Experimental Abdominal Aortic Aneurysm in a Rat Model by the Phosphodiesterase 3 Inhi,Journal of Surgical Research,2011年,Vol.167,P. e385-e393
【文献】UMEBAYASHI, R. et al.,Cilostazol Attenuated Angiotensin II-induced Abdominal Aortic Aneurysms in Apolipoprotein E deficien,第44回日本動脈硬化学会総会プログラム・抄録集,2012年,P.252
【文献】KOGA, Y. et al.,2(1H)-Quinolinone derivatives as novel anti-arteriostenotic agents showing anti-thrombotic and anti-,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,1998年,Vol.8,P.1471-1476
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4704
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする大動脈瘤の治療剤であって、大動脈瘤の治療が、少なくとも瘤の破裂抑制を含むものである、治療剤。
【請求項2】
(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする大動脈瘤の破裂抑制剤。
【請求項3】
大動脈瘤が腹部大動脈瘤である、請求項2に記載の破裂抑制剤。
【請求項4】
破裂抑制が、ステントグラフト内挿術後の破裂抑制である、請求項2又は3に記載の破裂抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする大動脈瘤の治療用組成物に関する。特には、腹部大動脈瘤の治療用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
大動脈瘤は「大動脈の一部の壁が、全周性、または局所性に(径)拡大または突出した状態」として定義される。ここで、大動脈壁の一部が局所的に拡張して瘤を形成する場合、または直径が正常径の1.5倍(胸部で45mm、腹部で30mm)を超えて拡大した(紡錘状または嚢状に拡大した)場合に「瘤(Aneurysm)」と称される。我が国における年間発症頻度は人口10万人あたりおよそ3人と報告されているが、日本胸部外科学会の統計によれば、大動脈瘤手術の件数は年々増加傾向にある。
【0003】
大動脈瘤は、その瘤壁の形態、瘤の存在部位、原因、瘤の形などによって分類される。
瘤壁の形態としては、真正、仮性、及び解離性の大動脈瘤に分類される。
瘤の存在部位としては、胸部、胸腹部、及び腹部大動脈瘤に分類される。
大動脈瘤は、その原因から動脈硬化性、外傷性、炎症性、感染性、及び先天性のものに分類される。
また、瘤の形から、大動脈瘤は紡錘状及び嚢状に分類される。
【0004】
腹部大動脈瘤(Abdominal Aortic Aneurysm;以下、「AAA」とも言う。)は、大動脈壁が脆弱となり正常径の1.5倍以上(AAA最大短径30mm超)に拡大する疾患であり、破裂に至った場合の死亡率は50~90%に上ると言われている。AAAの破裂率(%/年)は、AAA最大短径が30mm程度の場合はほぼ0%/年であるものの、径が大きくなる程高まり、70mmを超えると20~40%/年にもなると言われている。破裂の可能性が増大したAAAの治療法は、大動脈瘤切除術(人工血管置換術)又はステントグラフト内挿術により瘤の破裂を防ぐ外科的手術が唯一の選択肢であり、薬物治療法は確立していない。外科的手術の実施目安はAAA最大短径50mm超あるいは半年以内に5mm以上の拡大したものとされているものの(参考文献http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_takamoto_d.pdf)、AAAは高齢者に多く見られる疾患であり、全身状態から開腹を要する人工血管置換術を選択できない患者や、大動脈瘤の形態学的な制約によりステントグラフトが適応できない患者では治療は行うことができない。そのため、瘤破裂を予防あるいは抑制することなどによるAAAの治療剤の開発が強く望まれている。腹部大動脈瘤に限らず、大動脈瘤一般に、内科的治療に有効な治療剤が強く望まれている。
【0005】
AAAの治療剤開発に関しては、APO-E欠損マウス AngiotensinII持続投与(AngII)誘発モデル、エラスターゼ誘発モデル、塩化カルシウム(CaCl2)誘発モデルなどの動物モデルを用いた研究が知られている。しかし、これらの動物モデルでの有効性を確認した後、さらに臨床試験で有効性を示し得た薬剤はない。結果として臨床で使用可能な治療剤は今日に至るまで1つも存在しない。
【0006】
上記の事実は、これらの動物モデル自体の限界を示唆しているとも考えられる。即ち、これらの動物モデルは、血管壁を構成する内膜、中膜、外膜のうち内膜の動脈硬化や中膜に外的に炎症を惹起させて動脈瘤を形成させるものであるが、このようにして誘発される大動脈瘤はヒトAAAの病態の一部を構成しているにすぎない。すなわち、ヒト大動脈瘤の病態を忠実に反映しているとは必ずしもいえない。具体的には、動脈瘤が破裂に至らない(エラスターゼ誘発、又はCaCl2誘発モデル)、最大短径が持続的に拡大しない(AngII誘発、エラスターゼ誘発、又はCaCl2誘発モデル)、大動脈瘤の壁内に壁在血栓が付着しない(AngII誘発、又はCaCl2誘発モデル)など、ヒトAAAとの相違点が多いことが問題とされている(非特許文献1)。
【0007】
既存モデルの中で破裂に至るモデルとして、AngII誘発モデルがある。しかしこのモデルでは、そもそも腹部というより胸部や、横隔膜直下の大動脈に瘤が形成されるので、ヒトAAAのほとんどが腎動脈分枝以下の大動脈に発生することを考慮すると、AngII誘発モデルはヒトAAAを直接模倣するものではない。また、大動脈の一部の壁が拡大(または突出)した状態であるヒトAAAとは異なり、大動脈壁が二層に剥離し動脈走行に沿って二腔になった状態である大動脈解離像を呈することから、病理学的にも相違が認められる。よって、AngII誘発モデルはAAAの破裂を評価する実験モデルとしては適切とは言えない。またモデル動物において誘発された動脈瘤の拡大を抑制しても破裂を抑制しえなかった事例(非特許文献2)もあることから、既存モデルを参照する限り、AAA拡大を抑制することによってAAAの破裂を抑制できると考える蓋然性はない。
【0008】
このような中、ヒトAAAの病理組織観察より、大動脈壁内血流を司る微小血管であるvasa vasorum(VV)の狭窄からAAA壁が虚血、低酸素状態にあることが見出され、VVの循環不全、壁組織の低酸素を惹起することにより、ヒトのAAA病理組織像により近似した動物モデルが新たに開発された(非特許文献3)。このモデルの大動脈瘤病理組織像では、動脈壁の内膜肥厚や中膜変性像に加え、従来の動物モデルでは認められなかった壁在血栓の増加や外膜の脂肪細胞の増加が再現されており、AAA破裂と壁の脂肪細胞造成との関連が示された(非特許文献4)。ラットで作成された本モデル(以下、「大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデル」と表記することがある。)を用いることにより、従来モデルよりもより適切に薬剤の効果を評価することが可能と考えられる。
【0009】
一方、(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン(以下、「化合物1」と表記することがある。)は、抗血小板作用、抗血栓作用やPDE3阻害作用を有し、適用対象としては、脳粥状硬化、脳梗塞、一過性脳虚血発作、回復型虚血性神経脱落症等の脳疾患、心筋梗塞、狭心症等の心疾患、バージャー病、閉塞性動脈硬化症、間欠性跛行等の慢性動脈閉塞症、糖尿病性神経症、糖尿病性皮膚潰瘍、糖尿病性腎症等の糖尿病合併症、経皮的冠動脈形成術(PTCA)、方向性冠動脈粥腫切除術(DCA)やステントのインターベンション処置後の再狭窄防止、人工血管等の人工臓器や腎等の移植処置後の再閉塞の防止、また手術後、人工腎透析等の体外循環時の血栓、塞栓の発生防止等の虚血性疾患等が知られている(非特許文献5、特許文献1)。しかしながら、化合物1が大動脈瘤の治療、例えば腹部大動脈瘤の破裂抑制や拡大抑制に基づく治療に有効であることは知られていない。
【0010】
なお、エラスターゼ誘発モデルラットにおいて、PDE3阻害剤であるシロスタゾールがAAA拡大を抑制することが実験的に報告されているが(非特許文献6)、この論文は、シロスタゾールをAAA形成前に予防的に投与することで、瘤の形成と拡大が抑制されたことを報告したものであり、AAA形成後に治療目的で薬剤を投与することの有効性の検討とは観点が根本的に異なっている。そもそも、臨床において、AAAの形成を予防するために全てのヒトにあらかじめ薬剤を投与することはあり得ない。また、非特許文献6のような予防的投与で効果の認められた薬剤が、ヒトでの臨床研究で動脈瘤形成後に治療的に投与してさらなる拡大を抑制し得たものは存在しない。さらに、非特許文献6にはシロスタゾールがAAAの破裂を抑制する可能性についても示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【非特許文献】
【0012】
【文献】Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 2017(Mar);37(3):401-10
【文献】Atherosclerosis 2010; 210(1):51-6
【文献】PLoS ONE 2015;10(8):e0134386
【文献】Sci. Rep. 2016;6:31268
【文献】Biochem. Biophys. Research Commun. 2007;353(4):1111-14
【文献】J. Surg. Res. 2011;167:e385-93
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、大動脈瘤に対する治療用組成物、特には、腹部大動脈瘤の破裂や拡大を抑制する治療用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、化合物1が、大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルにて腹部大動脈瘤の破裂を抑制し、さらに、拡大を抑制することを見出し、本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明は、(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン(化合物1)若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする大動脈瘤の治療用医薬組成物に関する。より好ましくは、本発明は、化合物1若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする腹部大動脈瘤の治療用医薬組成物に関する。さらに好ましい態様において、本発明の腹部大動脈瘤の治療とは大動脈瘤の破裂抑制及び/又は拡大抑制であって、本発明は、化合物1若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする腹部大動脈瘤の破裂抑制及び/又は拡大抑制剤に関する。ここで、大動脈瘤の破裂抑制とは、大動脈瘤の破裂予防と言うこともできる。よって、本発明の一態様である(腹部)大動脈瘤の破裂抑制剤とは、(腹部)大動脈瘤の破裂予防剤と言うこともできる。
【0016】
また、本発明は、一つの好ましい態様として、ステントグラフト内挿術後の大動脈瘤患者に対する治療用医薬組成物に関する。当該医薬組成物は、破裂抑制、拡大抑制、及び/または縮小化によって大動脈瘤の治療を行うものである。例えば、本発明は、(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするステントグラフト内挿術後の腹部大動脈瘤の破裂抑制剤に関する。
【0017】
また、別の好ましい態様として、本発明は、ステントグラフト内挿術あるいは大動脈瘤切除術(人工血管置換術)前の大動脈瘤患者に対する治療用医薬組成物に関する。ステントグラフト内挿術あるいは大動脈瘤切除術(人工血管置換術)前の段階において、本発明の治療用医薬組成物は大動脈瘤の治療(破裂抑制、拡大抑制、及び/または縮小化)のために用いられる。例えば、本発明は、(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするステントグラフト内挿術あるいは大動脈瘤切除術(人工血管置換術)前の腹部大動脈瘤の破裂抑制剤に関する。
【0018】
すなわち、本発明は、(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の、大動脈瘤の治療用途に関する。より具体的には、次の[1]~[33]に関する。
[1](-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、大動脈瘤の治療用医薬組成物。
[2]大動脈瘤の治療が、瘤の破裂抑制、瘤の拡大抑制及び瘤の縮小化からなる群から選択される少なくとも一の治療を含む、前記[1]に記載の治療用医薬組成物。
[3]大動脈瘤の治療が大動脈瘤の破裂抑制である、前記[1]又は[2]に記載の治療用医薬組成物。
[4]大動脈瘤の治療が大動脈瘤の拡大抑制である、前記[1]又は[2]に記載の治療用医薬組成物。
[5]ステントグラフト内挿術後の大動脈瘤患者に用いられるものである、前記[1]乃至[4]のいずれか一に記載の治療用医薬組成物。
[6]ステントグラフト内挿術あるいは大動脈瘤切除術(人工血管置換術)前の大動脈瘤患者に用いられるものである、前記[1]乃至[4]のいずれか一に記載の治療用医薬組成物。
[7]大動脈瘤が腹部大動脈瘤である、前記[1]乃至[6]のいずれか一に記載の治療用医薬組成物。
[8]腹部大動脈瘤の最大短径が30mm超、又は40mm超の腹部大動脈瘤患者に用いられるものである、前記[7]に記載の治療用医薬組成物。
[9]腹部大動脈瘤の最大短径が50mm以下の腹部大動脈瘤患者に用いられるものである、前記[8]に記載の治療用医薬組成物。
[10]腹部大動脈瘤の最大短径が50mm超、60mm超、又は70mm超の腹部大動脈瘤患者に用いられるものである、前記[7]又は[8]に記載の治療用医薬組成物。
[11]薬学的に許容される担体を含有するものである、前記[1]乃至[10]のいずれか一に記載の治療用医薬組成物。
【0019】
[12]治療を必要とする対象に有効量の(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を投与する工程を含む、大動脈瘤の治療方法であって、対象が腹部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、及び胸部大動脈瘤からなる群から選択される大動脈瘤を有する患者である、治療方法。
[13]必要とされる治療が、大動脈瘤の破裂抑制、拡大抑制及び縮小化からなる群から選択される治療である、前記[12]に記載の治療方法。
[14]必要とされる治療が大動脈瘤の破裂抑制である、前記[12]又は[13]に記載の治療方法。
[15]必要とされる治療が大動脈瘤の拡大抑制である、前記[12]又は[13]に記載の治療方法。
[16]対象がステントグラフト内挿術後の大動脈瘤患者である、前記[12]乃至[15]のいずれか一に記載の治療方法。
[17]対象がステントグラフト内挿術あるいは大動脈瘤切除術(人工血管置換術)前の大動脈瘤患者である、前記[12]乃至[15]のいずれか一に記載の治療方法。
[18]対象が腹部大動脈瘤を有する患者である、前記[12]乃至[17]のいずれか一に記載の治療方法。
[19]対象が最大短径が30mm超、又は40mm超の腹部大動脈瘤を有する患者である、前記[18]に記載の治療方法。
[20]対象が最大短径が50mm以下の腹部大動脈瘤を有する患者である、前記[19]に記載の治療方法。
[21]対象が最大短径が50mm超、60mm超、又は70mm超の腹部大動脈瘤を有する患者である、前記[18]又は[19]に記載の治療方法。
[22](-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が薬学的に許容される担体と共に投与されるものである、前記[12]乃至[21]のいずれか一に記載の治療方法。
【0020】
[23]大動脈瘤の治療用医薬組成物の製造のための、(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[24]大動脈瘤の治療が、瘤の破裂抑制、瘤の拡大抑制及び瘤の縮小化からなる群から選択される少なくとも一の治療を含む、前記[23]に記載の使用。
[25]大動脈瘤の治療が大動脈瘤の破裂抑制である、前記[23]又は[24]に記載の使用。
[26]大動脈瘤の治療が大動脈瘤の拡大抑制である、前記[23]又は[24]に記載の使用。
[27]ステントグラフト内挿術後の大動脈瘤患者に用いられるものである、前記[23]乃至[26]のいずれか一に記載の使用。
[28]ステントグラフト内挿術あるいは大動脈瘤切除術(人工血管置換術)前の大動脈瘤患者に用いられるものである、前記[23]乃至[26]のいずれか一に記載の使用。
[29]大動脈瘤が腹部大動脈瘤である、前記[23]乃至[28]のいずれか一に記載の使用。
[30]治療用医薬組成物が薬学的に許容される担体を含有するものである、前記[23]乃至[29]のいずれか一に記載の使用。
【0021】
[31]大動脈瘤の治療における使用のための、(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[32]大動脈瘤の治療が、瘤の破裂抑制、瘤の拡大抑制及び瘤の縮小化からなる群から選択される少なくとも一の治療を含む、前記[31]に記載の(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[33]大動脈瘤の治療が大動脈瘤の破裂抑制である、前記[31]又は[32]に記載の(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[34]大動脈瘤の治療が大動脈瘤の拡大抑制である、前記[31]又は[32]に記載の(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[35]治療がステントグラフト内挿術後の大動脈瘤患者に対する治療である、前記[31]乃至[34]のいずれか一に記載の(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[36]治療がステントグラフト内挿術あるいは大動脈瘤切除術(人工血管置換術)前の大動脈瘤患者に対する治療である、前記[31]乃至[34]のいずれか一に記載の(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[37]大動脈瘤が腹部大動脈瘤である、前記[31]乃至[36]のいずれか一に記載の(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【0022】
また、本発明は、次の[A]~[G]のように記載される発明にも関する。
[A](-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする大動脈瘤の治療剤。
[B]大動脈瘤の治療が、瘤の破裂抑制、瘤の拡大抑制及び瘤の縮小化からなる群から選択される少なくとも一の治療を含む、前記[A]に記載の治療剤。
[C](-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする大動脈瘤の破裂抑制剤。
[D]大動脈瘤が腹部大動脈瘤である、前記[C]に記載の破裂抑制剤。
[E]破裂抑制が、ステントグラフト内挿術後の破裂抑制である、前記[C]又は[D]に記載の破裂抑制剤。
[F](-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする大動脈瘤の拡大抑制剤。
[G]大動脈瘤が腹部大動脈瘤である、前記[F]に記載の拡大抑制剤。
【発明の効果】
【0023】
本発明の化合物1は、後記実施例に示すとおり、大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルにおいてAAAの破裂を抑制し、非破裂生存率の改善を示した。さらに、大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルにおいてAAA瘤径の拡大を抑制した。従って、本発明の(-)-6-[3-[3-シクロプロピル-3-[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]ウレイド]プロポキシ]-2(1H)-キノリノン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、腹部大動脈瘤の破裂抑制及び/又は拡大抑制に代表される、大動脈瘤に対する新たな内科的治療方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルに一般飼料又は化合物1混餌飼料をAAAモデル作成手術の1週間前(術前7日)から投与した時の瘤径(AAA最大短径)の経日変化を示す図である。縦軸は瘤径、横軸はAAA誘導処置の術後経過日数(PODは術後日数を意味する)を示す。◆は化合物1投与群(n=20)の各時点における瘤径の平均値(mm)をプロットしたものである。一方、×は化合物1の非投与群(n=20)の各時点における瘤径の平均値(mm)をプロットしたものである。検体数は各時点の測定時における生存例を示す。なお、手術後7日の瘤径計測までに死亡したラットはいないが、手術後14日以降では死亡したラットの瘤径が欠測している。このため手術後14日以降の結果は生存例のみを対象とした瘤径の平均値を表す。
【
図2】
図2は、大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルに一般飼料又は化合物1混餌飼料をAAAモデル作成手術の1週間前(術前7日)から投与した時の非破裂生存率を示す図である。縦軸を累積生存(大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルの誘発処置時点の生存を1.0とする)、横軸に術後経過日数(誘発処置日を0日とした処置後の経過日数)として、化合物1投与(化合物1(+))群(n=20)、及び化合物1非投与群(化合物1(―))群(n=20)の生存関数を示した。p=0.036は、投与群と非投与群との間の非破裂生存の差異をLog Rank検定によって有意差検定した値である。検体数は各時点の開始時における生存例を示す。なお各時点の瘤径測定までに死亡した検体があるため、
図1とは検体数が異なる。
【
図3】
図3は、大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルに一般飼料又は化合物1混餌飼料をAAAモデル作成手術の1週間後(術後7日)に、大動脈瘤の形成を確認した後に投与開始した場合の瘤径(AAA最大短径)の経日変化を示す図である。縦軸は瘤径、横軸はAAA誘導処置の術後経過日数(PODは術後日数を意味する)を示す。◆は化合物1投与群(n=15)の各時点における瘤径の平均値(mm)をプロットしたものである。一方、×は化合物1の非投与群(n=18)の各時点における瘤径の平均値(mm)をプロットしたものである。p=0.014は、手術後7日から14日までにおける投与群と非投与群との間の瘤径の平均値の差異を反復測定分散分析によって有意差検定した値である。検体数は各時点の測定時における生存例を示す。なお、手術後14日の瘤径計測までに死亡したラットはいないが、手術後21日以降では瘤破裂により死亡したラットの瘤径が欠測している。このため手術後21日以降の結果は生存例のみを対象とした瘤径の平均値を表す。
【
図4】
図4は、大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルに一般飼料又は化合物1混餌飼料をAAAモデル作成手術の1週間後(術後7日)に、大動脈瘤の形成を確認した後に投与開始した場合の非破裂生存率を示す図である。縦軸を累積生存(大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルの誘発処置時点の生存を1.0とする)、横軸に術後経過日数(誘発処置日を0日とした処置後の経過日数)として、化合物1投与(化合物1(+))群(n=15)、及び化合物1非投与群(化合物1(―))群(n=18)の生存関数を示した。p=0.055は、投与群と非投与群との間の非破裂生存の差異をLog Rank検定によって有意差検定した値である。検体数は各時点の開始時における生存例を示す。なお各時点の瘤径測定までに瘤破裂により死亡した検体があるため、
図3とは検体数が異なる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明における化合物1は公知であり、前記特許文献1(WO97/12869号)に記載の方法、又はそれに準じた方法によって製造することができる。
また、本発明では化合物1の塩若しくは溶媒和物を用いることもできる。化合物1の塩及び溶媒和物は、常法により製造することができる。
【0026】
本発明の化合物1の塩としては塩基との付加塩が挙げられ、薬学的に許容できるものであれば特に制限はない。このような塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属類、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属類との塩基付加塩が挙げられる。
【0027】
本発明の化合物1の溶媒和物としては、水和物、アルコール和物(例えば、エタノール和物)等が挙げられる。
【0028】
本発明の腹部大動脈瘤の破裂抑制剤は、AAAの破裂を抑制し、ひいては、AAAの破裂による死亡を予防するものである。また、胸腹部大動脈瘤、胸部大動脈瘤等を含む大動脈瘤の破裂抑制にも適用可能である。大動脈瘤切除術(人工血管置換術)前や、ステントグラフト内挿術前又は内挿術後のいずれにおいても大動脈瘤破裂抑制剤として有用である。ステントグラフト内挿術前又は内挿術後のいずれにおいても、本発明の大動脈瘤の治療用医薬組成物は、好ましくはAAAの破裂抑制剤として使用される。さらに、本発明の腹部大動脈瘤の治療用医薬組成物の拡大抑制作用は、AAAの拡大を抑制し、ひいては、AAAの拡大から破裂による死亡を予防するものである。また、胸腹部大動脈瘤、胸部大動脈瘤等を含む大動脈瘤の拡大抑制にも適用可能である。大動脈瘤切除術(人工血管置換術)前や、ステントグラフト内挿術前又は内挿術後のいずれにおいても大動脈瘤拡大抑制剤として有用である。ステントグラフト内挿術前又は内挿術後のいずれにおいても、本発明の大動脈瘤の治療用医薬組成物は、好ましくはAAAの拡大抑制剤としても使用される。
【0029】
本発明の化合物1は、単独又は他の薬学的に許容される溶解剤、賦形剤、結合剤、希釈剤等の担体を用いて、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、ローション剤、軟膏剤、注射剤、座剤等の剤型とすることができる。これらの製剤は、公知の方法で製造することができる。例えば、経口投与用製剤とする場合には、トラガントガム、アラビアガム、ショ糖エステル、レシチン、オリーブ油、大豆油、PEG400等の溶解剤;澱粉、マンニトール、乳糖等の賦形剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤;結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤;タルク、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;軽質無水ケイ酸等の流動性向上剤;トウモロコシデンプン等の希釈剤等を適宜組み合わせて処方することにより製造することができる。
【0030】
本発明の化合物1は、経口投与又は非経口投与により投与される。本発明の化合物1の投与量は、患者の体重、年齢、性別、症状等によって異なり、当業者であれば適宜設定することができるが、通常成人の場合、化合物1として一日0.01~1000mg、好ましくは5~400mg、より好ましくは25~200mgを1~2回に分けて投与するのが好ましい。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0032】
実施例1 大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルにおける化合物1の作用
大動脈壁を周囲組織から分離し、カテーテルを挿入した後、腹部大動脈を糸でカテーテルと一緒に結紮する手術によって誘導したラットAAAモデル(非特許文献3)における化合物1の作用を検討した。
なお、本試験において、化合物1は前記特許文献1に記載の方法に従って製造し、一般飼料(FR2,フナバシファーム製)に0.15%混餌し、使用した。
【0033】
(1)供試動物及び飼育環境
Sprague-Dawley雄性ラット(300-350g:日本SLC)を実験に用いた。室温:25℃±1℃にて飼育し、餌および水は自由に与えた。
【0034】
(2)大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルの作成
非特許文献3記載の方法に従い作成した。すなわち、ラットの大動脈壁を周囲組織から分離し、ポリウレタンカテーテルを挿入した後、腹部大動脈をモノフィラメント糸でプラスチックカテーテルと一緒に結紮し、AAA誘導することによってラットAAAモデルを作成した。
【0035】
(3)群構成及び薬物投与
一般飼料投与群(以下、「対照群」と言う。)(n=20)と化合物1の0.15%混餌飼料投与群(以下、「化合物1群」と言う。)(n=20)の2群に分けた。一般飼料又は化合物1混餌飼料は、AAAモデル作成手術の1週間前(術前7日)から実験終了まで自由に摂餌させた。
【0036】
(4)観察及び検査方法
2群とも手術の28日後まで、瘤径をエコーにて測定するとともに、生存を比較した。
また、28日後に生存中の動物を犠牲死させ、AAA病理組織を解析した。
AAA最大短径は手術日、手術後7日、14日、21日及び28日に超音波診断装置(Vevo770,VisualSonics社製)により測定した。
【0037】
(5)結果
瘤径の測定結果を
図1に示す。
対照(化合物1(-))群、化合物1(化合物1(+))群の両群でAAAの瘤径に有意差はなかったものの、化合物1群において瘤径の増大に対する抑制傾向が見られた。
次に、非破裂生存率の結果を
図2に示す。
手術日から手術後28日までの追跡において化合物1(化合物1(+))群では破裂による死亡率は対照(化合物1(-))群と比し有意に低く(Log Rank検定によるp値は0.036)、即ち、生存率は有意に改善した(当該期間内に化合物1群では1匹、対照群では2匹の原因不明の死亡例が確認されたが、その余の死亡例はいずれもAAAの破裂によるものと剖検で確認された。)。
【0038】
実施例2 大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルにおける化合物1の作用・2
実施例1と同じモデルにおいて、形成後のAAAに対する化合物1の作用を検討した。
即ち、実施例1の(3)において、化合物1混餌投与の開始がAAAモデル作成手術の1週間前(術前7日)から実験終了までであったところを、本実施例ではAAAモデル作成手術の1週間後(術後7日)から実験終了までと変更した。なお、術後7日目に大動脈瘤径3mm以上を有するラットを超音波診断装置(Vevo770,VisualSonics社製)により測定して選出し、その後に一般飼料投与群(以下、「対照群」と言う。)(n=18)と化合物1の0.15%混餌飼料投与群(以下、「化合物1群」と言う。)(n=15)の2群にランダムに振り分けた。その他の条件、即ち、実施例1における(1)供試動物及び飼育環境、(2)大動脈壁低酸素誘発ラットAAAモデルの作成、及び(4)観察及び検査方法等は原則として実施例1と同様とした。
【0039】
瘤径の測定結果を
図3に示す。
手術後7日から14日までにおいて化合物1(化合物1(+))群ではAAAの瘤径は対照(化合物1(-))群と比し有意に低く(反復測定分散分析によるp値は0.014)、即ち、化合物1の投与は瘤径の増大を抑制した。
次に、非破裂生存率の結果を
図4に示す。
手術日から手術後28日までの追跡において化合物1(化合物1(+))群では破裂による死亡率は対照(化合物1(-))群と比し低く(Log Rank検定によるp値は0.055)、即ち、化合物1の投与で生存率の改善傾向が見られた(死亡例はいずれもAAAの破裂によるものと剖検で確認された。)。
以上の結果から、化合物1がAAAの破裂抑制及び拡大抑制において極めて有効であることが明らかとなり、大動脈瘤の治療用医薬組成物、特にはAAAの破裂抑制剤(AAA破裂の予防薬)、AAAの拡大抑制剤(AAA拡大予防薬)として極めて有用であることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の化合物1は、大動脈瘤の破裂抑制及び/又は拡大抑制に有効であり、大動脈瘤に対する内科的な治療を可能とするものとして産業上の利用可能性を有している。