(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】漏水検知機能付き防水副資材、それを含む屋上防水構造物および漏水を検知する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20230622BHJP
E04D 13/04 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
G01N27/00 Z
E04D13/04 E
(21)【出願番号】P 2020079474
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000217365
【氏名又は名称】田島ルーフィング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】臼倉 拓人
(72)【発明者】
【氏名】安部 和広
(72)【発明者】
【氏名】若山 恵英
(72)【発明者】
【氏名】山宮 輝夫
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-268955(JP,A)
【文献】特開2018-173387(JP,A)
【文献】特開平09-218124(JP,A)
【文献】登録実用新案第3100886(JP,U)
【文献】特開2016-038256(JP,A)
【文献】特開平04-301534(JP,A)
【文献】特開平07-217103(JP,A)
【文献】特開2000-131257(JP,A)
【文献】特開2005-274242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00 - E04D 3/40
E04D 13/00 - E04D 15/07
G01M 3/00 - G01M 3/40
G01N 27/00 - G01N 27/10
G01N 27/14 - G01N 27/404
G01N 27/414 - G01N 27/416
G01N 27/42 - G01N 27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋上防水に用いられる金属製防水副資材、電極およびセパレーターを含む漏水検知機能付き防水副資材であって、
金属製防水副資材と電極は異種の金属からなり、
セパレーターは透水性かつ電気絶縁性の材料で形成され、
電極はセパレーターを介して金属製防水副資材に取り付けられ、
金属製防水副資材と電極は、それらの間にセパレーターが介在することによって、電気的に接続しておらず、
金属製防水副資材と電極の間に水が浸入したときに信号を発生させ
、
漏水検知機能付き防水副資材がさらに送信機を含み、金属製防水副資材と電極の間に水が浸入したときに、送信機が信号を送信し、
漏水検知機能付き防水副資材は電源を備えていない、漏水検知機能付き防水副資材。
【請求項2】
漏水検知機能付き防水副資材がさらに信号発生器を含み、金属製防水副資材と電極の間に水が浸入したときに、信号発生器が信号を発生させる、請求項1に記載の漏水検知機能付き防水副資材。
【請求項3】
漏水検知機能付き防水副資材がさらに表示装置を含み、金属製防水副資材と電極の間に水が浸入したときに、表示装置が漏水があったことを表示する、請求項1または2に記載の漏水検知機能付き防水副資材。
【請求項4】
金属製防水副資材が、ドレン、脱気筒、脱気盤、固定金具、端末金物、キャント、コーナーパッチまたは改修工事用の二重ドレンである、請求項1~
3のいずれか1項に記載の漏水検知機能付き防水副資材。
【請求項5】
屋根下地、防水層および請求項1~
4のいずれか1項に記載の漏水検知機能付き防水副資材を含む屋上防水構造物。
【請求項6】
屋上に設けた防水層の漏水を検知する方法であって、請求項1~
4のいずれか1項に記載の漏水検知機能付き防水副資材を屋上に設置し、漏水が生じたときに、信号を受信機で受信し、または表示装置に漏水があったことを表示させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏水検知機能付き防水副資材、それを含む屋上防水構造物および漏水を検知する方法に関する。より詳しくは、本発明は、屋上防水に用いられる金属製防水副資材、電極およびセパレーターを含む漏水検知機能付き防水副資材、屋根下地、防水層および前記漏水検知機能付き防水副資材を含む屋上防水構造物、および屋上に設けた防水層の漏水を検知する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋上にはアスファルト防水、シート防水、塗膜防水等の工法を用いて防水層を設けることが一般的に行われている。その防水層に漏水が生じ、その発見が遅れると、建築物に甚大な被害を及ぼすことがある。そこで、防水層の漏水を検知する方法が種々考案されている。
【0003】
たとえば、特開2004-233142号公報(特許文献1)は、防水層と躯体の間に敷設した導電層と、導電層に電気的に接続した第1の電極と、躯体に埋め込まれた鉄筋に電気的に接続された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電気伝導度を測定する電流測定装置と、前記電流測定装置の測定データに基づいて漏水を判定する判定手段とを有する、建築構造物の躯体上に表装された防水層の漏水を検知する漏水検知システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の漏水検知システムは、建築構造物の躯体の全面の上に導電層を設けるので、施工工事が大掛かりであり、施工費用もかさむ。
本発明は、建築物の屋上に設けた防水層の漏水を効率的に検知することができ、設置が容易な防水副資材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、屋上防水に用いられる金属製防水副資材にセパレーターを介して電極を取り付けることにより、金属製防水副資材に漏水検知機能を付与することができることを見いだし、本発明を完成した。
【0007】
本発明(I)は、屋上防水に用いられる金属製防水副資材、電極およびセパレーターを含む漏水検知機能付き防水副資材であって、
金属製防水副資材と電極は異種の金属からなり、
セパレーターは透水性かつ電気絶縁性の材料で形成され、
電極はセパレーターを介して金属製防水副資材に取り付けられ、
金属製防水副資材と電極は、それらの間にセパレーターが介在することによって、電気的に接続しておらず、
金属製防水副資材と電極の間に水が浸入したときに信号を発生させることを特徴とする。
【0008】
本発明(II)は、屋根下地、防水層および本発明(I)の漏水検知機能付き防水副資材を含む屋上防水構造物である。
【0009】
本発明(III)は、屋上に設けた防水層の漏水を検知する方法であって、本発明(I)の漏水検知機能付き防水副資材を屋上に設置し、漏水が生じたときに、信号を受信機で受信し、または表示装置に漏水があったことを表示させることを特徴とする。
【0010】
本発明は、次の実施態様を含む。
[1]屋上防水に用いられる金属製防水副資材、電極およびセパレーターを含む漏水検知機能付き防水副資材であって、
金属製防水副資材と電極は異種の金属からなり、
セパレーターは透水性かつ電気絶縁性の材料で形成され、
電極はセパレーターを介して金属製防水副資材に取り付けられ、
金属製防水副資材と電極は、それらの間にセパレーターが介在することによって、電気的に接続しておらず、
金属製防水副資材と電極の間に水が浸入したときに信号を発生させる、漏水検知機能付き防水副資材。
[2]漏水検知機能付き防水副資材がさらに信号発生器を含み、金属製防水副資材と電極の間に水が浸入したときに、信号発生器が信号を発生させる、[1]に記載の漏水検知機能付き防水副資材。
[3]漏水検知機能付き防水副資材がさらに送信機を含み、金属製防水副資材と電極の間に水が浸入したときに、送信機が信号を送信する、[1]または[2]に記載の漏水検知機能付き防水副資材。
[4]漏水検知機能付き防水副資材がさらに表示装置を含み、金属製防水副資材と電極の間に水が浸入したときに、表示装置が漏水があったことを表示する、[1]または[2]に記載の漏水検知機能付き防水副資材。
[5]金属製防水副資材が、ドレン、脱気筒、脱気盤、固定金具、端末金物、キャント、コーナーパッチまたは改修工事用の二重ドレンである、[1]~[4]のいずれかに記載の漏水検知機能付き防水副資材。
[6]屋根下地、防水層および[1]~[5]のいずれかに記載の漏水検知機能付き防水副資材を含む屋上防水構造物。
[7]屋上に設けた防水層の漏水を検知する方法であって、[1]~[5]のいずれかに記載の漏水検知機能付き防水副資材を屋上に設置し、漏水が生じたときに、信号を受信機で受信し、または表示装置に漏水があったことを表示させる、方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の漏水検知機能付き防水副資材は、漏水検知機能を有しているので、漏水検知装置の設置のための追加の工事は不要であり、設置が容易である。本発明の漏水検知機能付き防水副資材を用いることにより、建築物の屋上の防水層の漏水を早期に発見することができ、漏水による被害を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る漏水検知機能付き防水副資材の投影図である。
【
図2】
図2は、本発明の第二の実施形態に係る漏水検知機能付き防水副資材の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第三の実施形態に係る漏水検知機能付き防水副資材の投影図である。
【
図4】
図4は、本発明の第四の実施形態に係る漏水検知機能付き防水副資材の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の屋上防水構造物の一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明するが、本発明は図面に示されたものに限定されない。
【0014】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る漏水検知機能付き防水副資材の投影図であり、防水副資材が脱気筒である場合の例を示す。(a)はI-I線断面図であり、(b)は底面図である。漏水検知機能付き防水副資材1は、金属製防水副資材2、電極3およびセパレーター4を含む。
図1の金属製防水副資材2は脱気筒21である。脱気筒21は、外筒部22、内筒部23および底板部24からなる。脱気筒21は金属製である。セパレーター4は透水性かつ電気絶縁性の材料で形成されている。セパレーター4の材料は、限定されないが、たとえば、合成繊維の網状物などを挙げることができる。電極3はセパレーター4を介して脱気筒21の底板部24に取り付けられている。脱気筒21と電極3は、それらの間にセパレーター4が介在することによって、電気的に接続していない。
図1の実施形態では、電極3は正方形の帯状の形状を有するが、電極の形状はその形に限定されない。電極の形状は、環状、線状、円形、多角形のいずれでもよい。
図1の実施形態では、電極3は底板部24の下面に取り付けられているが、底板部24の上面に取り付けてもよい。ただし、防水層下面に浸入した漏水を検知する場合は、電極3は底板部24の下面に取り付けることが好ましい(底板部上面に電極がある場合、脱気筒上部(局所的)の漏水しか検知できないが、底板部下面に電極がある場合、脱気筒からの距離が離れた部位(広範囲)の漏水を検知することができる。)。
【0015】
漏水検知機能付き防水副資材1は信号発生器5を含む。信号発生器5は、第一の接続コード6によって金属製防水副資材2(脱気筒21)と電気的に接続され、第二の接続コード7によって電極3と電気的に接続されている。
図1の第一の接続コード6は内筒部23に接続されているが、電極3と脱気筒の底板部24との間に水が浸入したときに生じる電気を信号発生器5に伝導することができる限りにおいて、第一の接続コード6は脱気筒21のいずれの箇所に接続されていてもよい。
【0016】
防水副資材は金属製である。防水副資材を構成する金属は、限定されないが、好ましくは、ステンレス鋼などである。
ここで、金属とは合金をも含む。
金属製防水副資材2と電極3は異種の金属からなる。異種の金属の組み合わせは、両者のイオン化傾向が相違する限りにおいて、特に限定されない。たとえば、ステンレス鋼と亜鉛の組み合わせ、銅と亜鉛の組合せなどが挙げられる。電極は、単一の金属で形成されている必要はなく、基材に金属をめっきしたものであってもよいし、金属を含む導電インクで基材を被覆したものであってもよい。
【0017】
金属製防水副資材2と電極3は異種の金属からなるので、電極3と金属製防水副資材2(脱気筒21の底板部24)の間に水が浸入すると、水が電界液として振る舞い、金属製防水副資材2と電極3のイオン化傾向の差に基いて、金属製防水副資材2と電極3の間に電位差が生じ、金属製防水副資材2が第二の電極の役割をし、すなわち金属製防水副資材2と電極3は電池として機能し、その電池を電源として信号発生器5を駆動し、信号発生器5が信号を発生させる。
【0018】
本発明の漏水検知機能付き防水副資材は、金属製防水副資材と電極の間に水が浸入したときに、自ら発電した電気により信号を発信するので、別途、電源を必要とせず、装置を小型化することができ、設置が容易であり、電源交換などのメンテナンスが不要である。
【0019】
本発明の漏水検知機能付き防水副資材は、金属製防水副資材自体が第二の電極の役割をすることを特徴とする。金属製防水副資材自体が第二の電極の役割をすることにより、正極と負極の両方を防水副資材に取り付ける場合に比べ、製造の手間および費用を削減することができ、また、電極面積を大きくすることができるので、発電効率を上げることができるという利点がある。
【0020】
信号発生器5が発生させた信号は、無線または有線で表示装置(図示せず)に送られ、表示装置に漏水があったことが表示される。表示装置としては、限定するものではないが、スマートフォンまたはコンピュータを用いることができる。
【0021】
信号を無線で送る場合は、漏水検知機能付き防水副資材はさらに送信機(図示せず)を含む。送信機は信号発生器が発生させた信号を送信する。送信された信号は、受信機(図示せず)で受信し、表示装置に漏水があったことが表示される。受信機としては、限定するものではないが、スマートフォンまたはコンピュータを用いることができる。
【0022】
金属製防水副資材としては、限定するものではないが、ドレン、脱気筒、脱気盤、固定金具、端末金物、キャント、コーナーパッチ、改修工事用の二重ドレンなどを挙げることができる。
【0023】
図2は、本発明の第二の実施形態に係る漏水検知機能付き防水副資材の分解斜視図であり、防水副資材がドレンである場合の例を示す。
図2の漏水検知機能付き防水副資材1は、金属製防水副資材2、電極3およびセパレーター4を含む。
図2の金属製防水副資材2はドレン31である。ドレン31はドレン本体32、防水層押え33、ストレーナ34およびスペーサー35を含む。ただし、スペーサーは必須ではない。電極3はドレン本体32の上面に取り付けられている。電極3とドレン本体32の間にはセパレーター4が介在する。ドレン31の表面は塗料で被覆されていてもよいが、セパレーター4が接するドレン31の表面の少なくとも一部は金属面が露出している。漏水検知機能付き防水副資材1は信号発生器5を含む。信号発生器5は、第一の接続コード6によって金属製防水副資材2(ドレン31)と電気的に接続され、第二の接続コード7によって電極3と電気的に接続されている。
図2の第一の接続コード6はドレン本体32に接続されているが、電極3とドレン本体32との間に水が浸入したときに生じる電気を信号発生器5に伝導することができる限りにおいて、第一の接続コード6はドレン31のいずれの箇所に接続されていてもよい。信号発生器5はドレン31(たとえばストレーナ34の外部または内部)に取り付けてもよいし、ドレン31から離れた場所に設置してもよい。
防水副資材は、改修工事用の二重ドレンであってもよい。改修工事用の二重ドレンは、ドレン本体とドレンキャップからなり、通常、銅製である。改修工事用の二重ドレンが銅製の場合は、電極は好ましくは亜鉛で作製する。
【0024】
図3は、本発明の第三の実施形態に係る漏水検知機能付き防水副資材の投影図であり、防水副資材がキャントである場合の例を示す。(a)は平面図、(b)は正面図、(c)側面図である。
図3の漏水検知機能付き防水副資材1は、金属製防水副資材2、電極3およびセパレーター4を含む。
図3の金属製防水副資材2はキャント41である。キャント41は台形の断面を有する中空の筒状物からなる。
図3のキャント41は台形の断面を有するが、断面はその形状に限定されず、たとえば直角三角形であってもよい。電極3はキャント41の底面の内面43に取り付けられている。電極3とキャント41の底面の内面43の間にはセパレーター4が介在する。
図3の電極3はキャント41の底面の内面43に取り付けられているが、他の場所に取り付けてもよい。たとえば、キャント41の直立面の内面44、キャント41の斜面45の内面、キャント41の斜面45の外面に取り付けてもよい。漏水検知機能付き防水副資材1は信号発生器5を含む。信号発生器5は、第一の接続コード6によって金属製防水副資材2(キャント41)と電気的に接続され、第二の接続コード7によって電極3と電気的に接続されている。
図3の第一の接続コード6はキャント41の直立面の内面44に接続されているが、電極3とキャント41との間に水が浸入したときに生じる電気を信号発生器5に伝導することができる限りにおいて、第一の接続コード6はキャント41のいずれの箇所に接続されていてもよい。
図3の信号発生器5はキャント41の直立面の内面44に取り付けられているが、取り付け位置は限定されず、キャント41の外面でもよいし、キャント41から離れた場所に設置してもよい。
図3の電極3およびセパレーター4はキャント41の内面に取り付けられているが、キャント41の外面に取り付けてもよい。電極3およびセパレーター4をキャント41の内面に取り付ける場合は、キャント41の斜面45の少なくとも一部は通水性である必要がある。
図3の実施形態では、キャント41の斜面の一部が金網42によって構成されている。金網に代えて、キャント41の斜面に水を通すための孔を複数形成してもよい。
【0025】
図4は、本発明の第四の実施形態に係る漏水検知機能付き防水副資材の斜視図であり、防水副資材が端末金物である場合の例を示す。漏水検知機能付き防水副資材1は、金属製防水副資材2、電極3およびセパレーター4を含む。
図4の金属製防水副資材2は端末金物51である。端末金物は一般に防水層の端部を固定するための副資材である。
図4の端末金物51は、特に、パラペットに設けられた防水層の端部を固定するためのものであり、直立面52で防水層を押さえ、上面53にシーリング材を施工し、防水層の端部を塞ぐ。シーリング材の施工が不完全であると、防水層の端部から雨水が浸入し、漏水が生じやすいので、端末金物51の上面53に電極3を設け、端末金物51の上面53で漏水を検知することにより、漏水による被害の拡大を未然に防止することができる。端末金物は、使用される場所により形状が異なるが、端末金物の形状は限定されない。
【0026】
本発明(II)は、屋根下地、防水層および本発明(I)の漏水検知機能付き防水副資材を含む屋上防水構造物である。
図5は、本発明の屋上防水構造物の一例の断面図であり、防水副資材が脱気筒である場合の例を示す。
図5の実施形態では、屋上防水構造物11は、屋根下地12、断熱材14、防水層13および漏水検知機能付き防水副資材1を含む。漏水検知機能付き防水副資材1は、脱気筒21、電極3およびセパレーター4を含む。脱気筒21は断熱材14の上に設置されており、脱気筒の底板部24、電極3およびセパレーター4は、屋根下地12と防水層13の間に埋設されている。脱気筒21は屋根下地12(たとえばコンクリート)または/および断熱材14の湿気を大気に逃がす役割をする。防水層13に漏水が生じ、脱気筒の底板部24と電極3との間に水が浸入すると、脱気筒の底板部24と電極3が電池として機能し、信号発生器5が信号を発生させる。
図5の実施形態では、脱気筒21は断熱材14の上に設置されているが、屋根下地12の上に設置してもよい。
図5の実施形態では、屋上防水構造物11は断熱材14を含むが、断熱材14は必須ではない。また、脱気筒として二重脱気タイプの脱気筒を使用することができる。二重脱気タイプの脱気筒は2つの内筒部(第一の内筒部および第一の内筒部よりも小さい直径の第二の内筒部)と2つの底板部(第一の内筒部に結合した第一の底板部および第二の内筒部に結合した第二の底板部)を有する。二重脱気タイプの脱気筒を使用する場合は、第二の底板部を屋根下地12(たとえばコンクリート)の上に配置し、第一の底板部を断熱材の上に配置する。
【0027】
本発明(III)は、屋上に設けた防水層の漏水を検知する方法である。本発明(III)の方法は、本発明(I)の漏水検知機能付き防水副資材を屋上に設置し、漏水が生じたときに、信号を受信機で受信し、または表示装置に漏水があったことを表示させることを特徴とする。受信機または表示装置は、限定するものではないが、好ましくは、スマートフォンまたはコンピュータである。スマートフォンやコンピュータで漏水があったことを知ることにより、漏水による被害を早期に防止することができる。好ましくは、受信機または表示装置に漏水箇所を表示させる。受信機または表示装置に漏水箇所を表示させるには、信号発生器に漏水検知機能付き防水副資材の設置箇所の情報を記憶させ、信号発生器が信号を発信する際に設置箇所の情報も同時に発信するようにすればよい。本発明の漏水を検知する方法は、建築物の屋上の防水層を漏水を早期に発見することができ、漏水による被害を最小限に抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の漏水検知機能付き防水副資材は、建築物の屋上の防水層の漏水を検知するのに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 漏水検知機能付き防水副資材
2 金属製防水副資材
3 電極
4 セパレーター
5 信号発生器
6 第一の接続コード
7 第二の接続コード
11 屋上防水構造物
12 屋根下地
13 防水層
14 断熱材
21 脱気筒
22 外筒部
23 内筒部
24 底板部
31 ドレン
32 ドレン本体
33 防水層押え
34 ストレーナ
35 スペーサー
41 キャント
42 金網
43 底面の内面
44 直立面の内面
45 斜面
51 端末金物
52 直立面
53 上面