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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20230622BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
H01L31/10 A
H01L27/146 A
H01L27/146 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020136202
(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2021170624
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2020-08-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】16/849,094
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】林 國峰
(72)【発明者】
【氏名】謝 錦全
【合議体】
【審判長】瀬川 勝久
【審判官】吉野 三寛
【審判官】松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0240580(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0204283(US,A1)
【文献】特開2014-49652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0041900(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0127153(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電層、
前記第1の導電層の上に配置された第1の接合層、
前記第1の接合層の上に配置され、複数のユニットセルを含む光吸収層であって、前記ユニットセルの各々は複数のピラー構造を含み、前記ユニットセルの各々の前記複数のピラー構造は異なるサイズである光吸収層、
前記光吸収層の上に配置された第2の接合層、
前記第2の接合層の上に配置された第2の導電層、および
前記ユニットセルの各々の前記ピラー構造の一部の上に配置された複数のフィルタ層を含み、
前記ユニットセルの各々の前記ピラー構造の一部は、前記光吸収層により吸収される光の波長範囲において、所定の波長より小さい吸収される光の波長域であるサイドバンドを有する光学装置。
【請求項2】
前記ピラー構造の材料は、アモルファスシリコン(a-Si)およびアモルファスシリコン不純物であり、前記ユニットセルの各々のピラー構造の数は、少なくとも6つであり、前記ピラー構造の各々のサイズの幅は0.5um以下である請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記フィルタ層の各々は、マルチフィルムを含む請求項に記載の光学装置。
【請求項4】
2つのユニットセル毎の前記ピラー構造の一部は、互いに隣接して配置され、前記ユニットセルの各々の屈折率は、W字状の変化を示す請求項に記載の光学装置。
【請求項5】
前記光吸収層により吸収される光の波長範囲は、450~700nmであり、所定の波長は550nmである請求項に記載の光学装置。
【請求項6】
前記ピラー構造の各々により吸収される光の波長は、前記ピラー構造のサイズの変化に伴って変化し、前記ピラー構造のサイズが大きいとき、前記ピラー構造により吸収される光の波長は大きく、前記ピラー構造のサイズが小さいとき、前記ピラー構造により吸収される光の波長は小さい請求項1に記載の光学装置。
【請求項7】
前記第1の接合層の材料は、p型アモルファスシリコンであり、前記第2の接合層の材料は、n型アモルファスシリコンであり、前記第1の導電層および前記第2の導電層の材料はインジウムスズ酸化物(ITO)である請求項1に記載の光学装置。
【請求項8】
前記第1の導電層の前記第1の接合層と反対の側に配置された基板をさらに含み、
前記基板の材料は、ガラスである請求項1に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に関するものであり、特に、高空間分解能を有する光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分光計または画像センサなどの光学センサは、光を検出するか、または物体の画像を取り込むように構成されている。光センサは一般的に分光器またはカメラなどの電気機器に搭載される。空間分解能が光センサには重要である。従って、如何にして空間分解能を効果的に向上させるかが、さまざまなメーカーによる技術改善の焦点となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空間分解能を効果的に向上させる光学装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、第1の導電層、第1の接合層、光吸収層、第2の接合層、および第2の導電層を含む光学装置を提供する。第1の接合層は、第1の導電層の上に配置される。光吸収層は、第1の接合層の上に配置され、光吸収層は複数のユニットセルを含み、各ユニットセルは複数のピラー構造を含み、各ユニットセルのピラー構造は異なるサイズである。第2の接合層は、光吸収層の上に配置される。第2の導電層は、第2の接合層の上に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明及び例を読むことで、より完全に理解することができる。
図1図1は、本開示の一実施形態による光学装置の断面図である。
図2図2は、図1の光学装置の上面図である。
図3図3は、本開示の一実施形態による光学装置の光吸収層の屈折率の概略図である。
図4A図4Aは、本開示の一実施形態による分散シフトキャビティ(dispersion‐shifted cavity)とその屈折率との対応関係の概略図である。
図4B図4Bは、図4Aの分散の概略図である。
図4C図4Cは、本開示の一実施形態による分散フラットキャビティ(dispersion‐flattened cavity)とその屈折率との対応関係の概略図である。
図4D図4Dは、図4Cの分散の概略図である。
図5A図5Aは、本開示の一実施形態によるピラー構造(pillar structure)のサイズの概略図である。
図5B図5Bは、本開示の一実施形態による光吸収層により吸収された光を電流に変換する波形図である。
図6A図6Aは、本開示のもう一つの実施形態による光学装置の上面図である。
図6B図6Bは、図6Aの光学装置の断面図である。
図7A図7Aは、本開示のもう一つの実施形態による光学装置の上面図である。
図7B図7Bは、図7Aの光学装置の断面図である。
図8図8は、本開示のもう一つの実施形態による光吸収層により吸収された光を電流に変換する波形図である。
図9A図9Aは、本開示のもう一つの実施形態による光学装置の上面図である。
図9B図9Bは、図9Aの光学装置の断面図である。
図10A図10Aは、本開示のもう一つの実施形態による光学装置の上面図である。
図10B図10Bは、本開示のもう一つの実施形態による光吸収層により吸収された光を電流に変換する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の技術用語は、本開示の技術分野における一般的な定義に基づいている。本開示が1つまたはいくつかの用語を記述または説明している場合、この用語の定義は、本開示の記述または説明に基づいている。開示された実施形態のそれぞれは、1つまたは複数の技術的特徴を有する。可能な実施形態では、当業者は、本開示の任意の実施形態の全てまたはいくつかの技術的特徴を選択的に実装するか、または本開示の実施形態の全てまたはいくつかの技術的特徴を選択的に組み合わせるであろう。
【0007】
以下の実施形態のそれぞれにおいて、同じ参照番号は、同じまたは類似の要素または構成要素を表している。
【0008】
図1は、本開示の一実施形態による光学装置の断面図である。図2は、図1の光学装置の上面図である。本実施形態では、光学装置100は、CMOSイメージセンサ(CIS)、環境光センサ(ALS)、分光器などに適している。
【0009】
図1および図2に示すように、光学装置100は、第1の導電層110、第1の接合層120、光吸収層130、第2の接合層140、第2の導電層150、および基板160を含む。
【0010】
本実施形態では、第1の導電層120の材料はインジウムスズ酸化物(ITO)であり、第1の導電層120は、例えば、接地に結合されたコンタクト電極(contact electrode)である。第1の接合層120は、第1の導電層110の上に配置される。本実施形態では、第1の接合層120の材料は、p型アモルファスシリコンである。
【0011】
光吸収層130は、第1の接合層120の上に配置される。光吸収層130は、複数のユニットセル131を含む。各ユニットセル131は、複数のピラー構造(pillar structures)132_1、132_2、132_3、132_4、132_5、および132_6を含む。本実施形態では、例えば、各ユニットセル131は、少なくとも6つのピラー構造がある。各ユニットセル131のピラー構造132_1、132_2、132_3、132_4、132_5、および132_6は、異なるサイズである。例えば、ピラー構造132_1、132_2、132_3、132_4、132_5、および132_6のサイズは、連続的に増加する。
【0012】
例えば、ピラー構造132_1のサイズは、ピラー構造132_2のサイズより小さい。ピラー構造132_2のサイズは、ピラー構造132_3のサイズより小さい。ピラー構造132_3のサイズは、ピラー構造132_4のサイズより小さい。ピラー構造132_4のサイズは、ピラー構造132_5のサイズより小さい。ピラー構造132_5のサイズは、ピラー構造132_6のサイズより小さい。
【0013】
本実施形態では、ピラー構造132_1、132_2、132_3、132_4、132_5、および132_6の材料は、アモルファスシリコン(a-Si)およびアモルファスシリコン不純物である。従って、各ユニットセル131の対応する屈折率が図3に示されている。図3では、各ユニットセル131の屈折率は、例えば、W字状の変化を示す。
【0014】
第2の接合層140は、光吸収層130の上に配置される。本実施形態では、第2の接合層140の材料は、n型アモルファスシリコンである。第2の導電層150は、第2の接合層140の上に配置される。本実施形態では、第2の導電層150の材料はインジウムスズ酸化物(ITO)であり、第2の導電層150は、例えば、電圧端子VCCに結合されたコンタクト電極である。基板160は、第1の導電層110の第1の接合層120と反対の側に配置される。本実施形態では、基板160の材料は、例えば、ガラスである。光学装置100は、第1の接合層120、光吸収層130、および第2の接合層140を介して閉じ込めモード波(confinement mode wave)を電流に変換し、第1の導電層110および第2の導電層150を介して電流を出力する
【0015】
図4Aは、本開示の一実施形態による分散シフトキャビティとその屈折率との対応関係の概略図である。図4Bは、図4Aの分散の概略図である。一般に、光は、導波路キャビティの分散による光伝播で減衰する可能性がある。導波路キャビティの分散を解決するために、図4Aに示されるように、分散シフトキャビティ(DSC)などの、導波路キャビティの異なる屈折率が用いられることができる。図4に示されるように、分散シフトキャビティにより、分散は、元の波長(点線など)から他の波長(実線など)にシフトされることができる。従って、元の波長の分散は0に近い可能性がある。
【0016】
図4Cは、本開示の一実施形態による分散フラットキャビティとその屈折率との対応関係の概略図である。図4Dは、図4Cの分散の概略図である。導波路キャビティの分散を解決するために、図4Cに示されるように、分散フラットキャビティ(DFC)などの、導波路キャビティの異なる屈折率が用いられることができる。図4Dに示されるように、分散フラットキャビティにより、分散が平坦化(点線など)されることができる。従って、分散は効果的に抑制されることができ、即ち、特定の波長では分散がほとんどないため、導波路キャビティを伝播する光が減衰されないことができる。
【0017】
本実施形態では、光学装置100のユニットセル131は、図4A図4Dの概念を用いている。従って、光学装置100は、光伝播の分散を効果的に抑制することができる。
【0018】
図5Aは、本開示の一実施形態によるピラー構造のサイズの概略図である。図5Aでは、a1はピラー構造のサイズを示し、a2はピラー構造の最大設置範囲を示し、Dはピラー構造のサイズの幅である。本実施形態では、各ピラー構造のサイズの幅は、0.5μm以下である。
【0019】
a1とa2の比(a1/a2)は、ピラー構造により吸収される光の波長を決定することができる。例えば、a1とa2の比率(a1/a2)が小さいとき、ピラー構造により吸収される光の波長は小さくなることがある。a1とa2の比率(a1/a2)が大きいとき、ピラー構造により吸収される光の波長は大きくなることがある。従って、ピラー構造は、光を吸収して、対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。例えば、a1とa2の比率(a1/a2)は46%であり、ピラー構造は光を吸収して、対応する光の波長(550nm近くなど)で最大の電流を生成することができる。
【0020】
ピラー構造で変換される電流は、以下の式(1)により算出されることができる。
【0021】
【数1】
【0022】
ここで、Jphは光子電流密度を示しており、qは電荷を示しており、Nphは入射光子による誘起電荷の数を示しており、Pはピラー構造の上面での入射光パワーを示しており、Pは、ピラー構造の底面の光パワーを示しており、且つ(P-P)は、ピラー構造内にある光パワーを示している。
【0023】
本実施形態では、各ピラー構造により吸収される光の波長は、ピラー構造のサイズの変化に伴って変化する。また、ピラー構造のサイズが大きいとき、ピラー構造により吸収される光の波長は大きく、ピラー構造のサイズが小さいとき、ピラー構造により吸収される光の波長は小さい。
【0024】
例えば、ピラー構造132_1により吸収される光の波長は、ピラー構造132_2により吸収される光の波長よりも短い。ピラー構造132_2により吸収される光の波長は、ピラー構造132_3により吸収される光の波長よりも短い。ピラー構造132_3により吸収される光の波長は、ピラー構造132_4により吸収される光の波長よりも短い。ピラー構造132_4により吸収される光の波長は、ピラー構造132_5により吸収される光の波長よりも短い。ピラー構造132_5により吸収される光の波長は、ピラー構造132_6により吸収される光の波長よりも短い。
【0025】
図5Bは、本開示の一実施形態による光吸収層により吸収された光を電流に変換する波形図である。本実施形態では、光吸収層130により吸収される光の波長範囲は、例えば、450~700nmである。図5Bでは、曲線S11は、ピラー構造132_1に対応し、曲線S12は、ピラー構造132_2に対応し、曲線S13は、ピラー構造132_3に対応し、曲線S14は、ピラー構造132_4に対応し、曲線S15は、ピラー構造132_5に対応し、且つ曲線S16は、ピラー構造132_6に対応する。
【0026】
ピラー構造132_1は、光を吸収して、曲線S11の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造132_2は、光を吸収して、曲線S12の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造132_3は、光を吸収して、曲線S13の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。
【0027】
ピラー構造132_4は、光を吸収して、曲線S14の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造132_5は、光を吸収して、曲線S15の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造132_6は、光を吸収して、曲線S16の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。
【0028】
図6Aは、本開示のもう一つの実施形態による光学装置の上面図である。図6Bは、図6Aの光学装置の断面図である。図6Aおよび図6Bに示すように、光学装置600は、光学装置100と類似している。即ち、光学装置600は、図1の第1の導電層110、第1の接合層120、光吸収層130、第2の接合層140、第2の導電層150、および基板160を含み、光学装置600は、複数のフィルタ層610をさらに含む。
【0029】
各フィルタ層610は、各ユニットセル131のピラー構造の一部の上に配置される。例えば、フィルタ層610は、各ユニットセル131のピラー構造132_4、ピラー構造132_5、およびピラー構造132_6の上に配置される。
【0030】
本実施形態では、各ユニットセル131のピラー構造(ピラー構造132_4、ピラー構造132_5、およびピラー構造132_6など)の一部は、光吸収層130により吸収される光の波長範囲において、所定の波長より小さいサイドバンドを有する。本実施形態では、各フィルタ層610は、例えば、マルチフィルムを含むことができる。フィルタ層610により、ピラー構造132_4、ピラー構造132_5、およびピラー構造132_6のサイドバンドが効果的に抑制され、光学装置600の精度を高めることができる。
【0031】
図7Aは、本開示のもう一つの実施形態による光学装置の上面図である。図7Bは、図7Aの光学装置の断面図である。図7Aおよび図7Bに示すように、光学装置700は、光学装置600と類似している。光学装置700と光学装置600との違いは、ピラー構造の配置である。即ち、光学装置700では、2つのユニットセル毎のピラー構造の一部が互いに隣接して配置される。例えば、2つのユニットセル131毎のピラー構造132_4、ピラー構造132_5、およびピラー構造132_6が隣接して配置される。
【0032】
光学装置700は、複数のフィルタ層610も含む。各フィルタ層610は、各ユニットセル131のピラー構造の一部に配置される。例えば、フィルタ層610は、各ユニットセル131のピラー構造132_4、ピラー構造132_5、およびピラー構造132_6の上に配置される。本実施形態では、各ユニットセル131のピラー構造(ピラー構造132_4、ピラー構造132_5、およびピラー構造132_6など)の一部は、光吸収層130により吸収される光の波長範囲において、所定の波長より小さいサイドバンドを有する。本実施形態では、各フィルタ層610は、例えば、マルチフィルムを含むことができる。光学装置700は、光学装置600と同じ効果を達成することができる。さらに、フィルタ層610を形成するプロセスは、光学装置700のピラー構造の配置により簡略化されることができる。
【0033】
図8は、本開示のもう一つ実施形態による光吸収層により吸収された光を電流に変換する波形図である。本実施形態では、光吸収層130により吸収される光の波長範囲は、例えば、450~700nmであり、所定の波長は550nmである。
【0034】
図8では、曲線S11は、ピラー構造132_1に対応し、曲線S12は、ピラー構造132_2に対応し、曲線S13は、ピラー構造132_3に対応し、曲線S14は、ピラー構造132_4に対応し、曲線S15は、ピラー構造132_5に対応し、且つ曲線S16は、ピラー構造132_6に対応する。
【0035】
図5Bに比べ、図8の曲線S14、S15、およびS16から分かるように、ユニットセル131のピラー構造132_4、ピラー構造132_5、およびピラー構造132_6のサイドバンドは、効果的に抑制されることができる。従って、光学装置(光学装置600または光学装置700など)の精度を高めることができる。
【0036】
図9Aは、本開示のもう一つの実施形態による光学装置の上面図である。図9Bは、図9Aの光学装置の断面図である。図9Aおよび図9Bに示すように、光学装置900は、光学装置700と類似している。光学装置900と光学装置700との違いは、光学装置900がフィルタ層610を含まないことである。
【0037】
本実施形態では、各ユニットセルのピラー構造の一部の材料は、アモルファスシリコンおよびアモルファスシリコン不純物であり、各ユニットセルのピラー構造の他の部分は、ゲルマニウム(Ge)とゲルマニウムの不純物であり、各ユニットセルのピラー構造の他の部分は、光吸収層により吸収される光の波長範囲の所定の波長以下のサイドバンドを有する。また、光吸収層により吸収される光の波長範囲は、450~700nmであり、所定の波長は550nmである。
【0038】
例えば、本実施形態では、ユニットセル131のピラー構造132_1、ピラー構造132_2、およびピラー構造132_3の材料は、アモルファスシリコンおよびアモルファスシリコン不純物である。ユニットセル131のピラー構造132_4、ピラー構造132_5、およびピラー構造132_6の材料は、ゲルマニウム(Ge)およびゲルマニウム不純物である。従って、図8の曲線S14、S15、およびS16に示されるように、ユニットセル131のピラー構造132_4、ピラー構造132_5、およびピラー構造132_6のサイドバンドも効果的に抑制されることができる。
【0039】
上記の実施形態では、ユニットセル131は、6つのピラー構造131_1、131_2、131_3、131_4、131_5、および131_6を含むが、本開示の実施形態は、これに限定されない。ユーザは、各ユニットセルのピラー構造の数を調整して、本実施形態に適合させることができる。例えば、少なくとも6つのピラー構造があってもよい。 もう一つの実施形態を以下に説明する。
【0040】
図10Aは、本開示のもう一つの実施形態による光学装置の上面図である。図10Aに示すように、光学装置1000は、光学装置100と類似している。光学装置1000と光学装置100との違いは、ピラー構造の数である。光学装置1000では、各セル131は、12個のピラー構造133_1、133_2、133_3、133_4、133_5、133_6、133_7、133_8、133_9、133_10、133_11、および133_12を含む。ユニットセル131のピラー構造133_1、133_2、133_3、133_4、133_5、133_6、133_7、133_8、133_9、133_10、133_11、および133_12は、異なるサイズである。
【0041】
光学装置1000のピラー構造133_1、133_2、133_3、133_4、133_5、133_6、133_7、133_8、133_9、133_10、133_11、および133_12は、光学装置100のピラー構造132_1、132_2、132_3、132_4、132_5、および132_6に類似している。この説明は、光学装置100のピラー構造132_1、132_2、132_3、132_4、132_5、および132_6の実施形態と類似しているため、その説明はここでは繰り返さない。
【0042】
図10Bは、本開示の一実施形態による光吸収層により吸収された光を電流に変換する波形図である。本実施形態では、光吸収層130により吸収される光の波長範囲は、例えば、450~700nmである。図10Bでは、曲線S21は、ピラー構造133_1に対応し、曲線S22は、ピラー構造133_2に対応し、曲線S23は、ピラー構造133_3に対応し、曲線S24は、ピラー構造133_4に対応し、曲線S25は、ピラー構造133_5に対応し、曲線S26は、ピラー構造133_6に対応し、曲線S27は、ピラー構造133_7に対応し、曲線S28は、ピラー構造133_8に対応し、曲線S29は、ピラー構造133_9に対応し、曲線S30は、ピラー構造133_10に対応し、曲線S31は、ピラー構造133_11に対応し、且つ曲線S32は、ピラー構造133_12に対応する。
【0043】
ピラー構造133_1は、光を吸収して、曲線S21の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造133_2は、光を吸収して、曲線S22の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造133_3は、光を吸収して、曲線S23の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。
【0044】
ピラー構造133_4は、光を吸収して、曲線S24の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造133_5は、光を吸収して、曲線S25の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造133_6は、光を吸収して、曲線S26の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。
【0045】
ピラー構造133_7は、光を吸収して、曲線S27の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造133_8は、光を吸収して、曲線S28の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造133_9は、光を吸収して、曲線S29の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。
【0046】
ピラー構造133_10は、光を吸収して、曲線S30の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造133_11は、光を吸収して、曲線S31の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。ピラー構造133_12は、光を吸収して、曲線S32の対応する光の波長で最大の電流を生成することができる。
【0047】
さらに、光学装置1000は、図6A図6Bと同様のフィルタ層610も含むことができ、これにより、対応するピラー構造のサイドバンドを抑制することができる。光学装置1000のフィルタ層610の設定方法は、図6Aおよび図6Bの実施形態を参照することができ、その説明はここでは繰り返さない。さらに、光学装置1000は、ピラー構造に異なる材料を埋め込むことができ、これにより、対応するピラー構造のサイドバンドを抑制することができる。異なる材料を埋め込む方法は、図9Aおよび図9Bの実施形態を参照することができ、その説明はここでは繰り返さない。
【0048】
要約すると、本開示によって開示された光学装置によれば、光吸収層はユニットセルを含み、各ユニットセルはピラー構造を含み、各ユニットセルのピラー構造は、異なるサイズである。従って、高空間分解能を達成することができる。また、光学装置は、フィルタ層をさらに含むことができ、各フィルタ層は、各ユニットセルのピラー構造の一部に配置されるか、または異なる材料がピラー構造に埋め込まれ、これにより、対応するピラー構造のサイドバンドを抑制することができる。従って、光学装置の精度を高めることができる。
【0049】
本発明は、例として及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。逆に、当業者には自明の種々の変更及び同様の配置をカバーするものである。よって、添付の特許請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
【符号の説明】
【0050】
100 光学装置
110 第1の導電層
120 第1の接合層
130 光吸収層
131 ユニットセル
132_1、132_2、132_3、132_4、132_5、132_6 ピラー構造
140 第2の接合層
150 第2の導電層
160 基板
600 光学装置
610 フィルタ層
700 光学装置
900 光学装置
1000 光学装置
133_1、133_2、133_3、133_4、133_5、133_6、133_7、133_8、133_9、133_10、133_11、および133_12 ピラー構造
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B