(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】時間と周波数にわたる確率的コンステレーションシェーピング
(51)【国際特許分類】
H04B 10/516 20130101AFI20230622BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20230622BHJP
H04B 10/61 20130101ALI20230622BHJP
【FI】
H04B10/516
H04J14/02 198
H04B10/61
(21)【出願番号】P 2020543977
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2019061214
(87)【国際公開番号】W WO2020174275
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-12-16
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519382455
【氏名又は名称】シエナ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120684
【氏名又は名称】宮城 三次
(72)【発明者】
【氏名】ライマー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】エブラヒムザッド,ハミッド
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0262274(US,A1)
【文献】CAI, Jin-Xing et al.,51.5 Tb/s Capacity over 17,107 km in C+L Bandwidth Using Single-Mode Fibers and Nonlinearity Compensation,JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY,米国,IEEE,2018年06月,VOL. 36, NO. 11,pages 2135-2141
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光送信機(800)で実行される方法(1100)であって、
複数のエンコードされたクライアントビット(808,810)から、少なくとも1つの次元で不均一な訪問確率を示すシンボルのセット(814)を生成する工程(1102)と、
複数の周波数分割多重「FDM」サブキャリアにわたって前記シンボルのセットをエンコードする工程(1104)であって、前記シンボルのセットの異なるサブセットは、異なるFDMサブキャリア上でエンコードされる工程と、
前記シンボルのセットがエンコードされる前記複数のFDMサブキャリアを備える光信号(864)を送信する工程(1106)とを備える方法。
【請求項2】
前記エンコードする工程は、前記光送信機で利用可能な順列関数(811)を使用して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記順列関数は、前記光信号が送信される光通信リンクの1つ以上の特性に基づいてプログラムされる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記順列関数は、異なるFDMサブキャリアに異なる容量を提供するようにプログラムされる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記異なるサブセットの少なくとも1つは、
複数の前記シンボル
を含むセットの
うちの連続したシンボルを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記異なるサブセットの少なくとも1つは、
複数の前記シンボル
を含むセットの
うちの非連続
なシンボルを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光送信機で利用可能な複数のルックアップテーブル「LUT」(210,214,218)を使用して、前記エンコードされたクライアントビットを生成する工程を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のLUTは、前記光信号が送信される光通信リンクの1つ以上の特性に基づいてプログラムされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
変調された光信号(864)を送信するように構成されたコンポーネント(844,848,854,
856,862)と、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された回路(801,828,830,832,834)と
を備える光送信機(800)。
【請求項10】
光送信機のプロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実行させるコンピュータ実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体(801)。
【請求項11】
光受信機(900)で実行される方法(1200)であって、
前記光受信機と光送信機(800)との間に確立された光通信リンクを介して光信号(964)を受信する工程(1202)であって、前記受信した光信号は、複数の周波数分割多重「FDM」サブキャリアを備える工程と、
前記複数のFDMサブキャリアからのシンボル推定値(916)のセットをデコードする工程(1204)であって、前記シンボル推定値は、少なくとも1つの次元で不均一な訪問確率を示すシンボルの推定値を備え、前記シンボル推定値の異なるサブセットは、異なるFDMサブキャリアからデコードされる工程と、
前記シンボル推定値のセットから複数のクライアントビット(902)を復元する工程(1206)とを備える方法。
【請求項12】
前記デコードする工程は、前記光受信機で利用可能な逆順列関数(911)を使用して実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記逆順列関数は、前記光通信リンクの1つ以上の特性に基づいてプログラムされる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記逆順列関数は、異なるFDMサブキャリア上で異なる容量を達成するようにプログラムされる、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記異なるサブセットの少なくとも1つは、
複数の前記シンボル推定値
を含むセットの
うちの連続
したシンボル推定値を備える、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記異なるサブセットの少なくとも1つは、
複数の前記シンボル推定値
を含むセットの
うちの非連続
なシンボル推定値を備える、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記光受信機で利用可能な複数のルックアップテーブル「LUT」(710,714,718)を使用して前記複数のクライアントビットを復元する工程を更に備える、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のLUTは、前記光通信リンクの1つ以上の特性に基づいてプログラムされる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
受信機と光送信機(800)との間に確立された光通信リンクを介して光信号(964)を受信するように構成されたコンポーネント(923,925,944,948)と、
請求項11~18のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された回路(901,928,930,932,934)と
を備える光受信機(900)。
【請求項20】
光受信機(900)のプロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項11~18のいずれか一項に記載の方法を実行させるコンピュータ実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体(901)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、光通信の技術分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムでは、光送信機は、ビットをシンボルにマッピングし、特定の変調方式を使用して1つ以上の光キャリアをシンボルで変調することにより、デジタル情報をビットの形でエンコードする。これにより、光送信機は、光通信チャネルを介して光受信機に送信される光信号を生成し、光信号はデジタル情報を表す。光受信機は、光通信チャネルを介して受信された光信号を処理して、シンボルの推定値、ビットの推定値、又はその両方を復元することができる。
【0003】
光受信機で受信された光信号は、光送信機で生成された光信号の劣化版を含むことがある。信号劣化の一因となり得る光通信システムの様々なコンポーネントには、光ファイバ、光増幅器、フィルタ、アイソレータ等が含まれる。増幅器のノイズ、光学的非線形性、偏波依存性損失又は利得(PDL又はPDG)、偏波モード分散(PMD)、周波数依存性損失、およびその他の影響により、信号にノイズや歪みが生じる場合がある。光信号の振幅に対する雑音の振幅は、信号対雑音比(SNR)によって、又は代替的に雑音対信号比(NSR)によって特徴付けることができる。NSRは、ノイズ源を分析するときに便利である。NSRが高いと、シンボルの推定値にノイズが発生し、ビットの推定値に誤りが生じる可能性がある。光受信機で復元されたビット推定値が光送信機でエンコードされた元のビットと異なる確率は、ビット誤り比又はビット誤り率(BER)によって特徴付けられる。特定のアプリケーションには、最大のBER許容値がある。たとえば、アプリケーションでは、BERが10-15を超えないようにする必要がある場合がある。
【0004】
前方誤り訂正(FEC)技術を使用して、BERを低減できる。クライアントからの元の情報ビット(クライアントビットと呼ばれる)を直接シンボルにマッピングする代わりに、クライアントビットは最初に、選択されたFEC方式に基づいてFECエンコーディングを受ける場合がある。結果のFECエンコードされたビットには、パリティやチェックビット等の冗長情報が含まれる。光受信機で復元されたビット推定値は、光送信機で生成されたFECエンコードされたビットの推定値である。これらの推定値は、選択されたFEC方式に基づいて、光受信機でFECデコーディングを受ける場合がある。FECデコーディングでは、FECエンコードされたビットに含まれていた冗長情報を利用して、ビットエラーを検出および修正する。最終的に、元のクライアントビットの推定値は、FECデコーディングビット推定値から復元できる。
【0005】
FECエンコーディングは、データパケットを再送信する必要なく、受信したBERを低減するように機能するという点で有利である。しかし、これにはオーバーヘッドの増加という代償がある。FECエンコーディングによって追加されるオーバーヘッド又は冗長性の量は、情報レートRによって特徴付けられ、ここでRは、FECエンコーディング(オーバーヘッド含む)後の入力データシーケンスの長さと出力データシーケンスの長さの比として定義される。たとえば、FECエンコーディングによって25%のオーバーヘッドが追加される場合、FECエンコードされる4ビットごとに、FECエンコーディングによって1ビットのオーバーヘッドが追加され、5つのFECエンコードされたビットが光受信機に送信される。これは、情報レートR=4/5=0.8に対応する。
【発明の概要】
【0006】
広範な態様によれば、光送信機は、複数のエンコードされたクライアントビットから、少なくとも1つの次元で不均一な訪問確率を示すシンボルのセットを生成するように動作する。光送信機は更に、複数の周波数分割多重(FDM)サブキャリアにわたってシンボルのセットをエンコードするように動作する。光送信機は更に、シンボルのセットがエンコードされる複数のFDMサブキャリアを備える光信号を送信するように動作する。
【0007】
幾つかの例によれば、光送信機は、光送信機で利用可能な順列関数を使用して、異なるFDMサブキャリア上のシンボルのセットの異なるサブセットをエンコードするように動作する。
【0008】
幾つかの例によれば、異なるサブセットの少なくとも1つは、シンボルのセット内の連続的なシンボルを備える。幾つかの例によれば、異なるサブセットの少なくとも1つは、シンボルのセット内の非連続的なシンボルを備える。
【0009】
幾つかの例によれば、順列関数は、光信号が送信される光通信リンクの1つ以上の特性に基づいてプログラムされてもよい。
【0010】
幾つかの例によれば、順列関数は、異なるFDMサブキャリアに異なる容量を提供するようにプログラムされてもよい。
【0011】
幾つかの例によれば、光送信機は、光送信機で利用可能な複数のルックアップテーブル(LUT)を使用して、エンコードされたクライアントビットを生成するように動作する。
【0012】
幾つかの例によれば、複数のLUTは、光信号が送信される光通信リンクの1つ以上の特性に基づいてプログラムされてもよい。
【0013】
別の広範な態様によれば、光受信機は、光受信機と光送信機との間に確立された光通信リンクを介して光信号を受信するように動作し、受信した光信号は、複数の周波数分割多重(FDM)サブキャリアを備える。光受信機は更に、複数のFDMサブキャリアからのシンボル推定値のセットをデコードするように動作し、シンボル推定値は、少なくとも1つの次元で不均一な訪問確率を示すシンボルの推定値を備える。光受信機は更に、シンボル推定値のセットから複数のクライアントビットを復元するように動作する。
【0014】
幾つかの例によれば、光受信機は、光受信機で利用可能な逆順列関数を使用して、異なるFDMサブキャリアからのシンボル推定値の異なるサブセットをデコードするように動作する。
【0015】
幾つかの例によれば、異なるサブセットの少なくとも1つは、シンボル推定値のセットの連続的なシンボル推定値を備える。幾つかの例によれば、異なるサブセットの少なくとも1つは、シンボル推定値のセットの非連続的なシンボル推定値を備える。
【0016】
幾つかの例によれば、光受信機は、光受信機で利用可能な複数のLUTを使用して複数のクライアントビットを復元するように動作する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本明細書に開示の技術による光通信システムの例を示す。
【
図2】
図2は、ツリーエンコーディングを使用した確率的コンステレーションシェーピング(PCS)のエンコーディング構造の例を示す。
【
図3】
図3は、
図2のPCSエンコーディング構造の例が動作する16-QAMベースコンステレーションを示す。
【
図4】
図4は、
図2のPCSエンコーディング構造の第2レイヤのルックアップテーブル(LUT)の例を示す。
【
図5】
図5は、
図2のPCSエンコーディング構造の第3レイヤのLUTの例を示す。
【
図6】
図6は、
図2のPCSエンコーディング構造の第4レイヤのLUTの例を示す。
【
図7】
図7は、
図2のPCSエンコーディング構造で使用するためのPCSデコーディング構造の例の概略図を示す。
【
図8】
図8は、本明細書に開示の技術による光送信機の例を示す。
【
図9】
図9は、本明細書に開示の技術による光受信機の例を示す。
【
図10】
図10は、シミュレーション例による、時間のみにわたるPCSに対する、時間と周波数の両方にわたるPCSの起動電力(dBm)の関数としての相対マージン(dB)のプロットである。
【
図11】
図11は、本明細書に開示の技術による光送信機で実行される方法の例を示す。
【
図12】
図12は、本明細書に開示の技術による光受信機で実行される方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本明細書に開示の技術による光通信システム100を示す。通信システム100は、光トランシーバ102を備える。デジタル情報を表す光信号は、光トランシーバ102間の光通信リンクを介して確立された光通信チャネル104を介して、光トランシーバ102間で送信される。本開示の目的のために、光信号を、時間に対する4つの直交次元の関数として考えることが好都合である。4つの直交次元は、2つの直交偏波のそれぞれの同相(I)成分と直交(Q)成分を備え、一般的にXおよびYとして示される。表記上の目的で、特定の時間間隔tでの4つの次元は、XI(t)、XQ(t)、YI(t)、およびYQ(t)として表すことができる。
【0019】
光トランシーバ102は、光トランシーバ102の様々な構成パラメータを調整することができるように、フレキシブルであってもよい。光通信システム100が動作するためには、一方の光トランシーバ102の光送信機セクションの構成パラメータは、他方の光トランシーバ102の光受信機セクションの構成パラメータと互換性がなければならない。構成パラメータの例としては、変調形式又は方式、シンボルレート、前方誤り訂正(FEC)パラメータ、デジタル信号処理(DSP)パラメータ、パルス整形パラメータ、周波数分割多重(FDM)用のサブキャリア数、波長分散補償パラメータ、キャリア位相復元パラメータ、デジタル非線形補償パラメータが挙げられるが、これらには限定されない。
【0020】
光通信チャネル104を介して送信される信号は、光ファイバ、光増幅器、フィルタ、アイソレータ、波長選択スイッチ等の光通信システムの様々な要素によって変更され得る。例えば、信号が光ファイバ又は光フィルタを通過すると、光信号が減衰する可能性があるが、信号が光増幅器を通過すると、信号が強化されてノイズが発生する可能性がある。特定のコンポーネントによって引き起こされる信号損失(又は信号利得)は、信号の偏波状態に依存する場合がある。一般に、この効果は、偏波依存性損失又は利得(PDL又はPDGと表記)と呼ばれる。情報が2つの直交偏波状態を使用してキャリア周波数で送信される場合、システムの特定の要素により、各偏波で異なるレベルのPDLが発生する可能性がある。PDLは、光通信システムの全ての要素にわたって累積される。PDLの結果、一方の偏波の光信号対雑音比(OSNR)は、もう一方の偏波のOSNRよりも低くなる可能性がある。
【0021】
光ファイバのランダムな欠陥又は機械的応力により、2つの直交偏波の光が異なる群速度で伝播する場合がある。この効果は、偏波モード分散(PMD)と呼ばれ、信号の2つの偏波成分が光ファイバの長さにわたってドリフトし、パルスの広がりと歪みを引き起こす。光学システムは、平均微分群遅延(DGD)とも呼ばれるPMDの平均値によって特徴付けられてもよい。PMD補償は、最小平均二乗(LMS)回路等の光受信機での適応フィルタを使用して達成することができる。
【0022】
光信号の劣化も周波数に依存する場合がある。たとえば、異なるFDMチャネルでは、異なるレベルの減衰、又は光フィルタリング後に異なるレベルの歪みが発生する可能性がある。
【0023】
通信チャネルの信頼性は、通信チャネルを介して送信されるビットの総数に対する誤って受信されたビットの比率を測定するビット誤り比又はビット誤り率(BER)によって特徴付けられる。「クライアントビット」という用語は、本明細書では、通信システム内の送信機から受信機への通信を意図した元のビットを指すと理解することができる。「ビット」という用語は、本明細書では、クライアントビット、又はクライアントビットから計算されたビット、又はその両方を備えると理解することができる。
【0024】
【0025】
一般に、コンステレーションは有限数の異なるコンステレーションポイントで構成される。コンステレーションポイントは、異なるビットシーケンスの有限セットの代表であってもよい。従来のラベリング方式は、コンステレーションポイントのセットをビットシーケンスのセットに関連付ける1対1の対応である場合があり、それにより各コンステレーションポイントが正確に1つのビットシーケンス(又はビットのシーケンス)に対応し、2つの異なるコンステレーションポイントが同じビットシーケンスに対応することはなくなる。コンステレーションポイントに対応するビットシーケンスは、コンステレーションポイントのラベルと呼ばれる。
【0026】
【0027】
M-ポイントコンステレーション内の全てのシンボルの平均エネルギー<E>は、式1を使用して計算できる。
【0028】
【0029】
【0030】
エンコーディングのビット単位で測定されたエントロピーHは、式2を使用して計算できる。
【0031】
【0032】
【0033】
従来のコヒーレント伝送システムでは、ビットをシンボルにマッピングすると、通常、M個の可能性からコンステレーションポイントが公平に選択され、連続的なシンボルは互いに独立している。つまり、ビットは、M-ポイントコンステレーションの各シンボルが同じ訪問確率、つまりPK=1/Mを持つようにエンコードされる。これらの状況下では、式2は、M-ポイントコンステレーションがシンボルあたり合計NB=log2(M)ビットをエンコードすることを示している。
【0034】
【0035】
【0036】
一般に、コンステレーション内のシンボルの最適な訪問確率は、PK≠1/Mのように等しくない場合がある。コンステレーションポイントのセット内のシンボルの不均等又は不均一な訪問確率を達成するために使用される手法は、一般に「確率的コンステレーションシェーピング」又はPCSと呼ばれる。PCSを使用して、従来の変調と比較してAWGN許容誤差を改善できる。更に、PCSを使用して、複数の個別のコンステレーションのサポートを必要とせずに、実質的に連続的な方法でraw容量を変更することもできる。
【0037】
一般に、達成可能な情報レートと、K=1,2,...Mに対する訪問確率PKとの関係は、式4に示されている最適化問題によって記述できる。
【0038】
【0039】
【0040】
幾つかの例によれば、PCSは、光送信機でFECエンコーディングの前にPCSエンコーディングを適用し、その後、対応する光受信機でFECデコーディングの後にPCSデコーディングを適用することによって実装され得る。例えば、PCSエンコーディングは、光送信機でクライアントビットのブロックに適用されて、「整形」又は「不平衡」ビットを生成することができる。この用語は、PCSエンコーディングによって出力される各ビットが0と1になる確率が等しくないという事実を反映するために使用される。たとえば、PCSエンコーディングによって生成された整形ビットは、1の値よりも0の値を持つ可能性が高くなる。これは、0の値と1の値を等しく持つ可能性が高い平均クライアントビットとは対照的であり、従って、一般に「非整形」又は「均衡」と呼ばれる。PCSエンコーディングによって生成された整形ビットは、その後FECエンコードされて最終的にシンボルにマッピングされ、各シンボルはコンステレーションポイントのセットから選択される。PCSエンコーディングの結果として、特定のコンステレーションポイントを選択する確率は、他のコンステレーションポイントを選択する確率よりも高くなる可能性がある。言い換えると、コンステレーション内のポイントの訪問確率は、不均等又は不均一である可能性がある。光受信機では、FECエンコードされた整形ビット推定値のブロックが、受信されたシンボル推定値から復元され得る。FECデコーディングが整形ビット推定値に適用された後、PCSデコーディングを適用して、修正されたクライアントビットのブロックを生成できる。
【0041】
米国特許第9,698,939号明細書で、Oveis Gharanらは、代数的エンコーディングとツリーエンコーディングを使用したPCSの技法について説明している。“Low-complexity shaping for enhanced nonlinearity tolerance”, Proceedings of ECOC 2016, pp. 467-469, Cho et al.は、PCSのもう1つの手法である「カットアンドペースト」又はCAPエンコーディングについて説明している。
【0042】
【0043】
Khandani及びKabalによる“Shapingmultidimensional signal spaces. I. Optimum shaping, shell mapping”, IEEE Transactions on Information Theory, Vol. 39, Issue 6, 1993及びFischerによる“Precoding and Signal Shaping for Digital Transmission”, John Wiley & Sons, Inc., 2002, ISBN: 0-471-22410-3に記載されているように、Oveis Gharanによって記述されたツリーエンコーディングは、シェルマッピングの概念に関連している。代数的エンコーディングとは異なり、シェルマッピングで使用される整形アルゴリズムは、各シンボルを個別に処理しない。代わりに、シェルマッピングは、類似したエネルギーレベルを持つシンボルのグループを考慮する。
【0044】
前述のように、シンボルは光信号によって一意に表すことができ、それによりそれぞれの次元XI、XQ、YI、YQに沿って、1つ以上の時間間隔にわたって、そして場合によっては1つ以上のFDMサブキャリアにわたって、光信号のコンポーネントの一意の組み合わせはそれぞれ、M個のシンボルの1つに対応する。通常、1つの時間間隔の1つの偏波にわたってエンコードされた2次元(複素数)シンボルを考慮する代数的エンコーディングとは異なり、ツリーエンコーディングは、複数の時間間隔にわたってエンコードされた多次元シンボルを考慮する。各時間間隔は、16QAMや64QAM等の「ベースコンステレーション」で変調される。たとえば、シンボルが128の時間間隔でエンコードされる場合、合計Ndim=4x128=512の変調次元があり、4つの因数が1つの時間間隔のXI、XQ、YI、およびYQ次元を占める。2つの次元で6ビットをエンコードする64QAMベースコンステレーション、つまり、実数次元あたり3ビットと虚数次元あたり3ビットで、これにより、512次元で合計23x512=21536 ≒ 10462の可能なシンボルが生成される。標準の整形されていない変調の場合、全ての可能な送信シンボルのセットは、512次元のハイパーキューブ内のコンステレーションポイントの均一な格子として見ることができ、全てのコンステレーションポイントは同じ訪問確率を持つ。しかしながら、512次元超球の体積内にあるコンステレーションポイントのサブセットを選択することにより、平均シンボルエネルギー<E>が最小化されることが示される可能性がある。つまり、平均シンボルエネルギー<E>を最小化するために、超球内にある各コンステレーションポイントは同じ訪問確率を持つ可能性があるが、超球外にある各コンステレーションポイントは0の訪問確率を持つ可能性がある。512次元のシンボルごとにエンコードできるビット数はlog2(L)であり、ここで、Lは超球内にあるコンステレーションポイントの数を示す。更に、L個の512次元のシンボルは、2つの次元、たとえばX偏波のIとQに投影すると、シンボルの訪問確率が等しくないように見える。より一般的には、ツリーエンコーディングを使用して生成された多次元シンボルは、少なくとも1つの次元で不均一な訪問確率を示すものとして理解できる。
【0045】
超球の半径は、超球内にあるコンステレーションポイントの数Lと平均シンボルエネルギー<E>の両方を一意に決定するため、平均シンボルエネルギー<E>と達成可能な伝送速度の間には明確な関係がある。
【0046】
ただし、512次元の超球内で同じシンボルの訪問を実現するには、宇宙にある原子よりも多くのコンステレーションポイントに一意のラベルを付けてインデックスを付ける必要があり、計算リソースの点で法外に高価になる。ツリーエンコーディングのPCS手法は、ツリー構造の一連のルックアップテーブル(LUT)をプログラミングして、シンボルエネルギーのセット(又は複数のセット)を繰り返し「マージ」および「クリッピング」することにより、この巨大なサイズのインデックス作成問題を削減する。
【0047】
【0048】
LUTは一連のレイヤでプログラムされ、16-QAM、64-QAM、256-QAM、その他のベースコンステレーション等、底部レイヤのベースコンステレーションから始まる。ツリー構造の各レイヤで、エネルギーシェルの可能な組み合わせのセットは、前のレイヤのエネルギーシェルのデカルト積から構築され、そのセットはLUTでインデックス付けされる。メモリやコストの制限等の実用的な実装の考慮事項を守るために、各LUTに使用されるビット数は、同様のエネルギーを持つシェルを平均化すること(「マージ」と呼ばれる)、および/又は最もエネルギーの高いシェルを削除する(「クリッピング」と呼ばれる)ことで削減できる。このマージとクリッピングのプロセスは、目的の容量が達成されるまで、ツリーの各レイヤに適用できる。マージおよびクリッピングの正確なルールは、ツリーエンコードされた信号の線形および/又は非線形の伝搬特性を最適化するように設計できる。各レイヤでのマージおよびクリッピングパラメーターは、数値シミュレーションを使用して取得できる。
【0049】
一般に、「PCSエンコーディング」は、クライアントビットから整形シンボルを生成するプロセスを指すために本明細書で使用され得る。従って、PCSエンコーディングには、整形ビットを生成するツリーエンコーディング、FECエンコードされた整形ビットを生成するFECエンコーディング、FECエンコードされた整形ビットから整形シンボルを生成するビット対シンボルマッピングが含まれ得る。同様に、「PCSデコーディング」は、本明細書では、整形シンボルの推定値からクライアントビットを復元するプロセスを指すために使用され得る。従って、PCSデコーディングには、FECエンコードされた整形ビットの推定値を導出するためのシンボル対ビットデマッピングが含まれ、その後、FECデコーディングにより、修正整形ビットが復元され、ツリーデコーディングにより、修正整形ビットから修正クライアントビットが復元される。
【0050】
本明細書での説明は、PCSエンコーディングがツリーエンコーディング構造を使用して実施され、PCSデコーディングがツリーデコーディング構造を使用して実施される例に焦点を合わせる。しかしながら、PCSエンコーディングおよびPCSデコーディングは、代数的エンコーディングおよび代数的デコーディング等の他の技法を使用して代替的に実装され得ることを理解されたい。
【0051】
図2は、PCSエンコーディングのための例示的な構造200の概略図を示す。ビット202および204は、PCSエンコーディング構造200に入力され、整形シンボル205は、PCSエンコーディング構造200によって出力される。ビット202および204は、それらが0の値および1の値を有する可能性が等しいという点で、「非整形」又は「均衡」と呼ばれ得る。PCSエンコーディング構造200によって生成された整形シンボル205は、コンステレーションポイントのセットから選択され、選択の確率は、セットにわたって不均一である。ビット202は、クライアントビットを備え得る。ビット204はまた、クライアントビットを備え得る。あるいは、又は更に、ビット204は、FECエンコーディングから出力されたパリティビットを備え得る。説明を簡単にするために、ビット202は本明細書ではクライアントビット202と呼ばれることがあり、ビット204は本明細書では追加ビット204と呼ばれることがある。以下の簡単な例の目的のため、FECエンコーディングは無視される。PCSエンコーディングと組み合わせたFECエンコーディングの使用については、
図8で更に説明する。
【0052】
例示的なPCSエンコーディング構造200は、4つのレイヤを備える。しかしながら、より多いおよびより少ない数のレイヤが考えられる。各レイヤの内容の説明は、説明を簡単にするためにのみ提供される。レイヤは、以下に記載されるものとは異なるように定義されてもよいことが理解されるべきである。
【0053】
PCSエンコーディング構造200のレイヤ2、3、および4は、ツリーエンコーディング構造(本明細書では「ツリーエンコーダ」とも呼ばれる)に対応し、非整形クライアントビット202を入力として受け取り、整形ビット219、220を出力する。
【0054】
PCSエンコーディング構造200のレイヤ1は、ベースコンステレーションの整形シンボル205に対する整形ビット219、220および追加ビット204のマッピングに対応する。レイヤ1で実行されるマッピングは、例として特定のベースコンステレーションを検討することでよりよく理解できる。
【0055】
図3は、PCSエンコーディング構造200のレイヤ1が動作することができる16-QAMベースコンステレーションを示す。コンステレーションポイントは象限I~IV間で対称であるので、PCSエンコーディング構造200は、象限I内の点のみに基づいてプログラムすることができ、ここで象限I内の点は、複数の異なるエネルギーシェルに対応する。非整形ビットはその後、象限I~IVの間でランダムに選択するために使用でき、これにより、各象限の対応するコンステレーションポイント(つまり、同じエネルギーシェルに属する点)の相対的な訪問確率が同じになる。
図2に戻ると、シンボル選択222は、整形ビット219、220に適用されて、象限Iに位置するコンステレーションポイントからシンボル203を選択することができる。追加ビット204は、象限Iの点に対応するシンボル203に象限選択224を適用するために使用でき、それにより、16-QAMベースコンステレーションの4つの象限全てにわたるコンステレーションポイントのセット全体から選択される整形シンボル205を生成する。
【0056】
再び
図3を参照すると、第1象限のポイントは、エネルギーの昇順でインデックスが付けられ、原点に最も近いポイントは最低エネルギーシェルにあり、原点から最も遠いポイントは最高エネルギーシェルにある。エネルギーが原点からの距離の2乗で表される場合、ポイントのそれぞれのエネルギーを表1に示す。インデックス2と3を持つポイントは同じエネルギーを示すが、以下の説明の目的で、これらのポイントは異なるエネルギーシェルに属していると理解できる。従って、表1の各インデックスは、異なるエネルギーシェルに対応している。
【0057】
【0058】
図2に戻ると、レイヤ2、3、および4は、ボトムアップ方式でプログラムされたLUTのセットに対応している。すなわち、レイヤ2のLUT218は、レイヤ1のベースコンステレーションに基づいてプログラムされてもよく、レイヤ3のLUT214は、レイヤ2のLUT218のプログラミングに基づいてプログラムされてもよく、そしてレイヤ4のLUT210は、レイヤ3のLUT214のプログラミングに基づいてプログラムされてもよい。LUT210、214、および218のそれぞれのプログラミングは、マージおよび/又はクリッピングを含み得る。プログラムされると、LUT210、214、および218の内容は、PCSエンコーディング構造200のレイヤ2、3、および4によって定義されるツリーエンコーダの動作を制御する。
【0059】
PCSエンコーディング構造200のレイヤ1では、各シンボルは、表1および
図3に示すように、1から4までのインデックスが付けられた4つの可能なエネルギーシェルの1つで表される。
【0060】
PCSエンコーディング200のレイヤ2では、LUT218は、
図3の2つのシンボルの選択から生じるエネルギーシェルの16の可能な組み合わせを最初に決定することによってプログラムされてもよい。このため、レイヤ2は「2シンボル」レイヤと呼ばれることがある。
図3のシンボルはIおよびQの座標で表されるため、2次元シンボルと呼ばれることがある。従って、これらの2次元シンボルのうちの2つを組み合わせると、2つのI座標と2つのQ座標が存在し、合計で4つの座標になるため、結果は4次元シンボルと呼ばれることがある。4次元シンボルの16の可能なエネルギーシェルを表2に示す。これらのエネルギーシェルには1~16のインデックスが付けられている。
【0061】
【0062】
たとえば、表1のインデックス1で表される2次元シンボル(左の子インデックスと呼ばれる)を表1のインデックス4で表される2次元シンボル(右の子インデックスと呼ばれる)と組み合わせると、4次元シンボルの結果のエネルギーは20であり、表2のインデックス6で表される。
【0063】
以下でより詳細に説明されるように、レイヤ2のLUT218は、表2の内容に基づいてプログラムされてもよい。同様に、レイヤ3のLUT214は、表2で提供される16のエネルギーシェルの256の可能な組み合わせに基づいてプログラムされてもよい。PCSエンコーディング構造200の各追加レイヤで必要とされるプログラミングは、法外に高価になる可能性があることは容易に明らかである。従って、計算要件を削減するために、マージを使用して、等しい又は類似のエネルギーを持つエネルギーシェルを平均化できる。たとえば、レイヤ2のLUT218を決定する際に、1ビットのマージを使用して、表2の内容を表3の内容に変換できる。言い換えると、隣接するエネルギーシェルがペアになり、それによって表2の16の可能なエネルギーシェルが、1から8までのインデックスが付けられた8つの可能なエネルギーシェルに変換される。
【0064】
【0065】
表3の内容により、
図4に示されているLUT218の基礎を形成することができる。矢印402で示されるように、LUT218に入力される単一のクライアントビットの場合、2つの子インデックス、すなわち、矢印406で示される左の子インデックス、および矢印408で示される右の子インデックスが出力される。各子インデックス406、408は、LUT218内の全ての可能な値(すなわち、1~4)を表すことができるように、長さが2ビットである。子インデックス406、408は、
図2に示すように、それぞれ、子インデックス219、220に対応することができ、これらは、整形シンボル203を生成するためにシンボル選択222によって使用される整形ビットである。
【0066】
2ビットの子インデックス406、408の値は、クライアントビット402の値と、404で示される親インデックスの値によって決定される。親インデックス404は、3ビットの長さであり、それにより、LUT218内のエネルギーシェルの全ての可能な値(すなわち、1~8)を表すことができるようになる。親インデックス404は、PCSエンコーディング構造200の次に高いレイヤのLUTから受け取ることができる。この例では、親インデックス404は、レイヤ3のLUT214の1つから受け取る。
【0067】
PCSエンコーディング構造200のレイヤ3では、LUT214は、レイヤ2に関して説明された4次元シンボルのうちの2つの選択から生じるエネルギーシェルの64の可能な組み合わせを最初に決定することによってプログラムされてもよい。各4次元シンボルは、
図3の2次元シンボルの2つの組み合わせに基づいているため、レイヤ3は「4シンボル」レイヤと呼ばれる。2つの4次元シンボルを組み合わせると、4つのI座標と4つのQ座標が存在し、合計で8つの座標になるため、結果は8次元シンボルと呼ばれることがある。8次元シンボルの64の可能なエネルギーシェルを表4に示す。これらのエネルギーシェルには1~64のインデックスが付けられている。
【0068】
【0069】
2ビットのマージを使用して、表4の内容を表5の内容に変換できる。言い換えると、4つの隣接するエネルギーシェルごとに結合され、それによって表4の64の可能なエネルギーシェルが、1から16までのインデックスが付けられた16の可能なエネルギーシェルに変換される。
【0070】
【0071】
PCSエンコーディング構造200によって出力されるビット203の所望のシェーピングを達成するために、計算要件を低減するために使用されるマージに加えて、クリッピングを使用して、様々なLUTから最高エネルギーシェルを除去することができる。たとえば、1ビットクリッピングを使用して、8つの最高エネルギーシェルを表5から削除すると、表6になる。
【0072】
【0073】
表6の内容により、
図5に示されているLUT214の基礎を形成することができる。矢印502で示されるように、LUT214に入力される2つのクライアントビットの場合、2つの子インデックス、すなわち、矢印506で示される左の子インデックス、および矢印508で示される右の子インデックスが出力される。各子インデックス506、508は、LUT214内の全ての可能な値(すなわち、1~8)を表すことができるように、長さが3ビットである。子インデックス506、508は、
図2に示すように、それぞれ、子インデックス215、216に対応することができ、各子インデックス215、216は、レイヤ2のLUT218の1つのための親インデックス404として使用される。
【0074】
3ビットの子インデックス506、508の値は、クライアントビット502の値と、504で示される親インデックスの値によって決定される。親インデックス504は、3ビットの長さであり、それにより、LUT214内のエネルギーシェルの全ての可能な値(すなわち、1~8)を表すことができるようになる。親インデックス504は、PCSエンコーディング構造200の次に高いレイヤのLUTから受け取ることができる。この例では、親インデックス504は、レイヤ4のLUT210から受け取る。
【0075】
PCSエンコーディング構造200のレイヤ4では、LUT210は、レイヤ3に関して説明された8次元シンボルのうちの2つの選択から生じるエネルギーシェルの64の可能な組み合わせを最初に決定することによってプログラムされてもよい。2つの8次元シンボルを組み合わせると、8つのI座標と8つのQ座標が存在し、合計で16の座標になるため、結果は16次元シンボルと呼ばれることがある。16次元シンボルの64の可能なエネルギーシェルを表7に示す。これらのエネルギーシェルには1~64のインデックスが付けられている。
【0076】
【0077】
3ビットクリッピングを使用して、56個の最高エネルギーシェルを表7から削除すると、表8になる。
【0078】
【0079】
表8の内容により、
図6に示されるLUT210の基礎を形成することができる。LUT214および218とは対照的に、LUT210は、上位レイヤからの入力を受信せず、従って、クライアントビットのみを使用して子インデックスを決定する。例えば、表8を参照する親インデックスは、クライアントビットから決定されてもよい。従って、矢印602で示されるように、LUT210に入力される3つのクライアントビットの場合、2つの子インデックス、すなわち、矢印606で示される左の子インデックス、および矢印608で示される右の子インデックスが出力される。各子インデックス606、608は、LUT210内の全ての可能な値(すなわち、1~4)を表すことができるように、長さが少なくとも2ビットでなければならない。子インデックス606、608は、
図2に示すように、それぞれ、子インデックス211、212に対応することができ、各子インデックス211、212は、レイヤ3のLUT214の1つのための親インデックス504として使用される。幾つかの例によれば、LUT214の親インデックス504は長さが3ビットであるため、子インデックス606および608は、最上位ビットを0に設定することによって同じ長さにすることができる。これは
図6に示され、各子インデックス606、608は3ビットの長さを有する。
【0080】
ツリーエンコーダのLUT210、214、218がプログラムされると、クライアントビット202は、ツリーエンコーダへの入力として提供され得る。上記のように、クライアントビット202は、LUT210、214、および218にインデックスを付けるために使用され得る。次に、ツリーエンコーダは、整形ビットの長いシーケンス219、220を出力することができる。整形ビット219、220は、追加ビット204(非整形であり、追加のクライアントビット又はFECパリティビット又はその両方を含む可能性がある)と共に、レイヤ1のシンボル選択222および象限選択224に従って光シンボルにマッピングされてもよい。
【0081】
最高のエネルギーシェルがツリーエンコーダの1つ以上のレイヤでクリッピングされる結果、PCSエンコーディング構造200によって出力されるシンボルの平均エネルギー<E>は、代数的エンコーディングと同様の方法で削減できる。
図3を参照すると、PCSエンコーディング構造200は、より多くのクライアントビット202を、インデックス4を有するコンステレーションポイントに対応するシンボルよりも、インデックス1を有するコンステレーションポイントに対応するシンボルにマッピングさせる。言い換えると、第1象限のコンステレーションポイントは、不均一な訪問確率を有し、インデックス1のポイントは最も高い訪問確率を有し、インデックス4のポイントは最も低い訪問確率を有し、インデックス2およびインデックス3のポイントは中間の訪問確率を有する。象限選択224は、非整形の追加ビット204を使用して、象限Iの訪問確率を象限II、III、およびIVに伝播させ、それにより、原点に近いコンステレーションポイントは、原点から遠いコンステレーションポイントよりも高い訪問確率を有する。
【0082】
代数的エンコーディングとは異なり、ツリー構造のLUTのサイズに対する実際的な制限により、シンボル間の時間的な相関が生じる場合がある。これらの時間的相関は、線形AWGNチャネルで達成可能なデータレートを制限することにより、パフォーマンスを低下させる傾向がある。しかしながら、ツリーエンコーディングによって誘発される時間的相関も、非線形伝播のパフォーマンスを大幅に向上させることが確認されている。従って、PCSにツリーエンコーディングを使用することには利点がある。
【0083】
光受信機が整形シンボル205から元のクライアントビット202および追加ビット204を復元するために、光受信機は、LUT210、214、および218のプログラミングに関する情報を受信することができる。光受信機は、光送信機で実行されるツリーエンコーディングを効果的に逆にするツリーデコーディングを実装することができる。
【0084】
図7は、
図2のPCSエンコーディング構造200と共に使用するための例示的なPCSデコーディング構造700の概略図を示す。PCSデコーディング構造700は、非整形クライアントビット702および非整形追加ビット704を整形シンボル705から復元するために、PCSエンコーディング構造200の動作を逆転し得る。
【0085】
PCSデコーディング構造700は、PCSエンコーディング構造200に対応し、従って、4つのレイヤも備える。PCSデコーディング構造700のレイヤ2、3、および4は、整形ビット719、720を入力として受け取り、非整形クライアントビット702を出力するツリーデコーディング構造(本明細書では「ツリーデコーダ」とも呼ばれる)に対応する。
【0086】
PCSデコーディング構造700のレイヤ1では、シンボルからビットへのデマッピング723は、整形シンボル705に適用され得る。以下の例の目的のために、整形シンボル705は、光送信機で生成された整形シンボル205と同一であると想定され得る。しかしながら、一般に、整形シンボル705は、整形シンボル205の推定値でありもよく、推定値は、光送信機から光受信機に送信された光信号の劣化版から決定されたものである。ツリーデコーディングと組み合わせたFECエンコーディングの使用については、
図9で更に説明する。シンボルからビットへのデマッピング723は、象限選択224に従って、象限を表すために使用された整形シンボル705のビットを決定することを最初に含み得る。704で示されるこれらのビットは、追加ビット204に対応する。次に、シンボルからビットへのデマッピング723は、整形シンボル705の残りの非象限ビットから整形ビット719、720を決定することを含み得る。
【0087】
PCSデコーディング構造700のレイヤ2では、整形ビット719、720は、LUT718に入力され得る。LUT718のプログラミングは、LUT218のプログラミングに基づいており、光送信機でLUT218によって達成されるエンコーディングは、光受信機でLUT718によって達成されるデコーディングによって逆転される。例えば、LUT718のそれぞれによって達成されるデコーディングは、
図4のLUT218に適用される矢印402、404、406、および408の方向を逆にすることによって理解することができる。LUT718に入力される整形ビット719、720は、2ビットの左の子インデックスおよび2ビットの右の子インデックスであり、ここで、各インデックスの左側のビットが最上位ビットであり、右側のビットが最下位ビットであると想定できる。LUT718は、クライアントビット702と、715、716によって示される3ビットの親インデックスとの2種類の出力を提供する。
【0088】
表9は、各LUT718の内容を示している。左の子インデックスと右の子インデックスの16の異なる組み合わせが存在する。
【0089】
【0090】
PCSデコーディング構造700のレイヤ3では、ビット715、716は、LUT714に入力され得る。LUT714のプログラミングは、LUT214のプログラミングに基づいており、光送信機でLUT214によって達成されるエンコーディングは、光受信機でLUT714によって達成されるデコーディングによって逆転される。例えば、LUT714のそれぞれによって達成されるデコーディングは、
図5のLUT214に適用される矢印502、504、506、および508の方向を逆にすることによって理解することができる。従って、LUT714に入力されるビット715、716は、3ビットの左の子インデックスおよび3ビットの右の子インデックスである。LUT714は、クライアントビット702と、711、712によって示される3ビットの親インデックスとの2種類の出力を提供する。
【0091】
表10は、各LUT714の内容を示している。左の子インデックスと右の子インデックスの64の異なる組み合わせが存在する。明確にするために、表10はこれらの64の組み合わせを4行と16列で示している。左の子インデックスと右の子インデックスの64の組み合わせに対応するそれぞれの親インデックスとクライアントビットも、4行と16列で示されている。文字Nは、クリッピングの結果として選択されていないエントリを示す。たとえば、左の子インデックスが2で右の子インデックスが8の場合、対応する親インデックスとクライアントビットは文字Nで示される。これは、左と右の子インデックスの(2,8)の特定の組み合わせが、LUT210の基礎を形成する表8の内容をもたらす3ビットのクリッピングの結果として実現されないためである。
【0092】
【0093】
PCSデコーディング構造700のレイヤ4では、ビット711、712は、LUT710に入力され得る。LUT710のプログラミングは、LUT210のプログラミングに基づいており、光送信機でLUT210によって達成されるエンコーディングは、光受信機でLUT710によって達成されるデコーディングによって逆転される。例えば、LUT710によって達成されるデコーディングは、
図6のLUT210に適用される矢印602、606、および608の方向を逆にすることによって理解することができる。従って、LUT710に入力されるビット711、712は、3ビットの左の子インデックスおよび3ビットの右の子インデックスである(前述のように、最上位ビットは0である)。LUT710は、3つのクライアントビット702を出力として提供する。
【0094】
表11は、LUT710の内容を示している。左の子インデックスと右の子インデックスの64の異なる組み合わせが存在する。明確にするために、表11はこれらの64の組み合わせを4行と16列で示している。左の子インデックスと右の子インデックスの64の組み合わせに対応するクライアントビットも、4行と16列で示されている。文字Nで示される各エントリは、決して選択されない左の子インデックスと右の子インデックスの組み合わせに対応する。これらの組み合わせは、光送信機で使用されるLUT210の基礎を形成する表8で使用されるツリープログラミングの結果として、事実上許可されない。表11の左の子インデックスと右の子インデックスの組み合わせは、表8で提供されている8つの組み合わせに対応して、8つしか許可されない。
【0095】
【0096】
“MultiplexedTransmission of Optical Signals”(2001)と題された米国特許第6,313,932号明細書において、Robertsらは、波長分割多重(WDM)によって多重化されて多数のチャネルを提供する光パルスの列を送信することを記載している。
【0097】
周波数分割多重(FDM)を使用して、変調された光スペクトルを、それぞれが異なる中心周波数を有する複数のサブキャリアにデジタル分割することができ、それにより各サブキャリアを使用して、シンボルの異なるストリームを表す信号を送信することができる。このようにして、複数のシンボルストリームは、光通信チャネルを介して並行して同時に通信され得る。FDMは、信号の帯域幅が大幅に重ならないようにサブキャリアの周波数が十分に分離されている場合に可能である。各異なるサブキャリアは、異なるFDMチャネルに対応する。
【0098】
直交FDMは、スペクトルがオーバーラップしている多数の近接した直交サブキャリア信号を使用して、データを伝送する。“Optical Sub-Carrier Multiplexed Transmission”(2005)というタイトルの米国特許出願公開第2005/0074037号明細書では、Rickardらは、離散フーリエ変換(DFT)を使用して光送信用のOFDMサブキャリアを作成する方法について説明している。“Coherent Optical 25.8-Gb/s OFDM Transmission Over 4160-km SSMF”,Journal of Lightwave Technology, Vol. 26, Issue 1, pp. 6-15 (2008)では、Jansenらは、光OFDMの波長分散を許容するためのサイクリックプレフィックスの使用について説明している。
【0099】
図8は、本明細書に開示の技術の例による、光トランシーバ(「光送信機800」)の例示的な光送信機セクション800のブロック図である。
【0100】
光送信機800は、クライアントビット802を表す光信号864を送信するように動作する。光送信機800は、偏波分割多重(PDM)を使用する。他の例(図示せず)では、光信号864の生成は、単一偏波変調、非偏波キャリアの変調、モード分割多重、空間分割多重、ストークス空間変調、偏波平衡変調等の代替技術を含み得る。レーザー844は、連続波(CW)光キャリア846を生成するように動作する。偏波ビームスプリッタ848は、CW光キャリア846を、それぞれの電気-光変調器854、856によって変調される直交偏波コンポーネント850、852に分割するように動作し、ビームコンバイナ862によって結合される変調された偏波光信号858、860を生成し、それにより光信号864を生成するように動作する。幾つかの例(図示せず)では、偏波ビームスプリッタ848およびビームコンバイナ862の位置を逆にすることができる。幾つかの例(図示せず)では、偏波ビームスプリッタ848およびビームコンバイナ862は、単純なパワースプリッタおよびコンバイナで置き換えることができる。
【0101】
光送信機800は、送信デジタル信号プロセッサ(DSP)801を備える。送信DSP801は、M個のそれぞれのFDMサブキャリアに対応するシンボル816のM個の並列ストリームに処理819を適用するように動作することができる。処理819は、シンボル816のデジタルアップサンプリングを備え得る。処理819は、時間領域又は周波数領域のいずれかで、サンプリングされた波形に続いて適用される演算を更に備え得る。このような操作には、パルス整形、FDMサブキャリア多重化、波長分散事前補償、および歪み事前補償が含まれる場合がある。処理819は、1つ以上のフィルタの適用を含み得、これは、1つ以上の高速フーリエ変換(FFT)および1つ以上の対応する逆FFT(IFFT)の適用を含み得る。
【0102】
シンボル816および選択された変調方式に基づいて、送信DSP801は、4つの次元XI、XQ、YI、YQに対応する各特定の時間間隔tで4つのデジタル駆動信号を生成するように動作し得る。処理819は、光スペクトルの電気的表現を含む出力信号820、822、824、826をもたらし得、ここで光スペクトルの合計帯域幅はWで示され、各FDMサブキャリアの帯域幅はW/Mで示される。出力信号820、822、824、826は、多重化されたスーパーチャネル全体の4次元XI、XQ、YI、YQに対応するデジタル駆動信号である。例えば、デジタル駆動信号820、822は、X偏波のIおよびQ成分にそれぞれ対応することができ、一方、デジタル駆動信号824、826は、Y偏波のIおよびQ成分にそれぞれ対応することができる。この例によれば、時間間隔tにおいて、デジタル駆動信号820、822は、それぞれ、SXI(t), SXQ(t)と示すことができ、一方、デジタル駆動信号824、826は、それぞれ、SYI(t), SYQ(t)と示すことができる。
【0103】
光送信機800は、デジタル駆動信号820、822、824、826をそれぞれのアナログ駆動信号に変換するためにそれぞれ使用することができる複数のデジタル-アナログ変換器(DAC)828、830、832、834を備える。例えば、デジタル駆動信号820、822は、それぞれDAC828、830に入力されて、IおよびQアナログ駆動信号836、838を生成することができる。デジタル駆動信号824、826は、それぞれDAC832、834に入力されて、IおよびQアナログ駆動信号840、842を生成することができる。アナログ駆動信号836、838は、電気-光変調器854を駆動するために使用され、アナログ駆動信号840、842は、電気-光変調器856を駆動するために使用され、最終的には光信号864となる。
【0104】
送信DSP801は、整形ビットを生成するために、クライアントビット802の少なくとも一部8022にPCSエンコーディングを適用するように動作可能であり得る。クライアントビット802の残りの部分8024は、非整形のままであり得る。例示的な光送信機800では、PCSエンコーディングは、ツリーエンコーディング803を使用して実装される。ツリーエンコーディング803は、光送信機800で利用可能な複数のプログラム可能なLUTに基づいて、整形ビット806のシーケンスを出力することができる。例えば、
図2を参照すると、ビット8022はクライアントビット202に対応することができ、ツリーエンコーディング803はPCSエンコーディング構造200のレイヤ2~4に対応することができ、整形ビット806は整形ビット219、220に対応することができる。
【0105】
幾つかの例によれば、LUTは、光送信機800のハードウェアに常駐するか、又はハードウェアに実装することができ、LUTの内容は、光送信機800のファームウェアによってプログラムすることができる。一例では、たとえば、光送信機800が400Gbpsの送信モードから600Gbpsに切り替わる場合、ファームウェアは、異なるデータレートのためのLUTのプログラミングを制御することができる。
【0106】
送信DSP801は、ツリーエンコーディング803によって出力された整形ビット806にFECエンコーディング805を適用するように、また存在する場合は非整形ビット8024に適用するように動作することができる。FECエンコーディング805は体系的であり得る。FECエンコーディング805の出力の一部808は、整形ビット806を備えることができ、一方、FECエンコーディング805の出力の残りの部分810は、FECエンコーディング805によって生成されたパリティビット、ならびにそれらが存在する場合、非整形ビット8024を備え得る。シンボル選択807を部分808に適用して、整形シンボル812を生成することができる。これは、例えば、
図2に関して説明したように、整形シンボル203を生成するための整形ビット219、220へのシンボル選択222の適用に対応し得る。FECエンコーディング805によって追加されたパリティを含む部分810、ならびに存在する場合は非整形ビット8024を使用して、象限選択809を整形シンボル812に適用し、それにより整形シンボル814を生成することができる。これは、例えば、
図2に関して説明したように、整形シンボル203およびクライアントビット204に象限選択224を適用して整形シンボル205を生成することに対応し得る。一緒に、シンボル選択807および象限選択809は、一般にマッピング813と呼ばれることがある。
【0107】
ツリーエンコーディング803等のツリーエンコーディングを使用してPCSエンコーディングが実装される場合、PCSエンコーディングは、エンコードされた光シンボルのエネルギーに時間的相関を誘発する可能性がある。これらの時間的相関は、多くのファイバアプリケーションで非線形干渉を低減するという点で有利であることがわかっている。この非線形の利点により、代数的エンコーディング又はCAPエンコーディングに比べて、ネット分散が低いシステムでネットシステムのマージンが約1dB向上する可能性がある。FDMシステムで使用する場合、ツリーエンコーディングは、FDMサブキャリアごとに個別のツリーエンコーダをプログラミングすることで実装できる。時間的相関は各ツリーエンコーダによって引き続き誘発されるが、FDMサブキャリアの数が増えるにつれて、結果として生じる非線形の利点が減少する可能性がある。
【0108】
ここでは、FDMサブキャリアごとに個別のツリーエンコーダを適用する代わりに、単一のツリーエンコーダを使用して複数のFDMサブキャリアにわたってデータをエンコードし、ツリーエンコーダが時間エンコーディングと周波数エンコーディング用にプログラムされるようにすることが提案される。単一のツリーエンコーダから出力された整形シンボルは、複数のFDMサブキャリアにわたってエンコードされてもよい。光送信機で利用可能な順列関数は、整形シンボルが様々なFDMサブキャリアにどのようにマッピングされるかを正確に制御することができる。
図8では、順列関数は811で示され、整形シンボル816を生成するために整形シンボル814に適用される。整形シンボル814は、シンボルのシリアルストリームを含み得、一方、整形シンボル816は、M個のFDMサブキャリアに対応するシンボルのM個のパラレルストリームを備え得る。整形シンボル816は、整形シンボル814の並べ替えられた又は再配置されたバージョンを含み得、ここで並べ替えられたバージョンは、複数のFDMサブキャリアへの整形シンボル814の所望のマッピングを達成するように設計される。
【0109】
多数の順列関数が考えられる。
【0110】
幾つかの例によれば、順列関数は、連続した整形シンボルの長いブロックが単一のFDMサブキャリアにマッピングされるようにプログラムされ得る。例えば、整形シンボルの大きなセットは、複数のサブセットに分割されてもよく、各サブセットは、連続した整形シンボルの長いブロックからなる。順列関数は、第1のサブセットが第1のFDMサブキャリア上でエンコードされるように、第2のサブセットが第2のFDMサブキャリア上でエンコードされるように、等のようにプログラムされ得る。ツリーエンコーディングから生じる整形シンボルの時間的相関が与えられると、順列関数のこのプログラミングを使用して時間エンコーディングを実現することができ、これは前述のように高ネット分散システムに有利である可能性がある。この場合(高いネット分散)の場合、パフォーマンスは既存のソリューションのパフォーマンスに似ている可能性があるが、全てのFDMサブキャリアに対して1つのツリーだけで実装される。
【0111】
別の例によれば、順列関数は、連続した整形シンボルが異なるFDMサブキャリアにマッピングされるようにプログラムされ得る。たとえば、2つのFDMサブキャリア(「FDM1」および「FDM2」と表示)でエンコードされる一連の連続した整形シンボルV1、V2、V3、V4、…、VNが与えられた場合、順列関数をプログラムし、シンボルV1を時間t1でFDM1にマッピングさせることや、シンボルV2を時間t1でFDM2にマッピングさせることや、シンボルV3を時間t2でFDM1にマッピングさせることや、シンボルV4を時間t2でFDM2にマッピングさせること等が可能となる。前の例と同様に、各FDMサブキャリアは、PCSエンコーディングによって生成された一連の整形シンボルの異なるサブセットをエンコードする。しかしながら、前の例とは対照的に、各サブセットは、セット内に不連続な整形シンボルを備える。たとえば、非連続的なシンボルV1とV3はFDM1でエンコードされ、非連続的なシンボルV2とV4はFDM2でエンコードされる。ツリーエンコーディングから生じる可能性のある整形シンボルの時間的相関に加えて、順列関数のこのプログラミングは、FDMサブキャリアにわたるシンボルエネルギーを相互に関連付け、それによって時間周波数エンコーディングを実現するが、これは、低正味分散のメトロシステムや分散補償されたサブマリンシステムに有利な場合がある。ツリーエンコーディングによって導入された相関関係を利用して、複数のFDMサブキャリアにわたってデータをエンコードすることにより、非線形伝播の利点を実現できる。
【0112】
順列関数811は、光送信機800のハードウェアに常駐するか、ハードウェアに実装することができる。幾つかの例によれば、順列関数811は、光送信機800のファームウェアを介してプログラム可能であり得る。他の例によれば、複数の異なる順列関数811が事前に計算されて光送信機800のハードウェアに実装されて、所望のマッピングを突き止めるためにそれらを循環させることができる。他の例によれば、ツリーノードの出力は、適切なFDMサブキャリアに直接ハードワイヤードされてもよい。そのような例では、順列関数811が不要になるが、様々なファイバアプリケーションを処理する柔軟性が制限される。
【0113】
幾つかの例(図示せず)によれば、光送信機800で適用されるPCSエンコーディングは、ツリーエンコーディングの代わりに代数的エンコーディングを使用して実装されてもよい。例えば、ツリーエンコーディング803は、米国特許第9,698,939号明細書でOveis Gharanらにより説明されているような代数的エンコーディングで置き換えることができる。
【0114】
それとともに、PCSエンコーディング構造(ツリーエンコーディング803、シンボル選択807、および象限選択809によって
図8に表される)および順列関数811は、光信号が送信される光通信リンクの1つ以上の特性に基づいてプログラムされてもよい。プロパティとしては、たとえば、リンクの正味分散、リンクの各スパン内の光ファイバのタイプ、距離の関数としての正味分散(分散マップ)、現在のチャネルの信号帯域幅とサブキャリアの数、そして場合によっては、距離の関数としての現在のチャネルの光パワーが挙げられる。幾つかの例によれば、PCSエンコーディング構造および順列関数811は、光通信リンクの1つ以上の特性の変化に基づいて再プログラムされてもよい。幾つかの例によれば、PCSエンコーディング構造および順列関数811は、異なるFDMサブキャリア上で異なる容量を達成するようにプログラムされ得る。
【0115】
幾つかの例によれば、送信DSP801は、光送信機800のメモリに格納されたコンピュータ実行可能な命令又はコードを実行することにより、PCSエンコーディング(ツリーエンコーディング803等)、FECエンコーディング805(シンボル選択807および象限選択809等)、マッピング813、順列関数811、およびシンボル処理819のうちの1つ以上を実装することができる。
【0116】
光送信機800は、この文書では説明されていない追加の構成要素を備えることができる。
【0117】
図9は、本明細書に開示の技術の例による、光トランシーバ(「光受信機900」)の例示的な光受信機セクション900のブロック図である。
【0118】
光受信機900は、受信した光信号964から訂正ビット902を復元するように動作することができ、ここでビット902は、光送信機による光通信リンクを介した光受信機900への通信を意図したクライアントビットの推定値を備えることができる。例えば、受信された光信号964は、光送信機800によって生成された光信号864の劣化バージョンを備えることができ、ここで、受信された光信号964の劣化は、たとえば、ノイズ、非線形効果、PDL又はPDG、および光送信機800で実行されるアナログ信号処理の不完全さの1つ以上によって引き起こされた可能性がある。偏波ビームスプリッタ948は、受信された光信号964を直交偏波コンポーネント958、960に分割するように動作する。光ハイブリッド925は、レーザー944によって生成された光信号946に関してコンポーネント958、960を処理するように動作する。光検出器923は、光ハイブリッド925の出力950、952、954、956を、それぞれ、受信したアナログ信号936、938、940、942に変換するように動作する。4つの受信アナログ信号は、特定の時間間隔tでの4つの次元XI、XQ、YI、YQに対応する。
【0119】
光受信機900は、受信したアナログ信号936、938、940、942をそれぞれサンプリングし、それぞれ受信したデジタル信号920、922、924、926を生成するように動作するアナログデジタル変換器(ADC)928、930、932、934を備える。一例では、受信したアナログ信号936、938は、それぞれ、X偏波のIおよびQ成分に対応することができ、受信したアナログ信号940、942は、それぞれ、Y偏波のIおよびQ成分に対応することができる。この例によれば、時間間隔tにおいて、受信したデジタル信号920、922は、それぞれRXI(t), RXQ(t)と示されてもよく、受信したデジタル信号924、926は、それぞれRYI(t), RYQ(t)と示されてもよい。
【0120】
光受信機900は、受信DSP901を備える。
【0121】
受信DSP901は、それぞれのデジタル信号970、972、974、976を導出するために、デジタル信号920、922、924、926に処理921を適用するように動作することができる。処理921は、デジタル信号920、922、924、926への1つ以上のフィルタの適用を含むことができ、1つ以上のFFTおよび1つ以上の対応するIFFTの適用を含むことができる。処理921はまた、FDMサブキャリア逆多重化、波長分散後補償、歪み後補償、およびサンプリングを含み得る。921で適用されたFDMサブキャリア逆多重化の結果として、シンボル推定値970、972、974、976は、M個のFDMサブキャリアに対応するシンボル推定値のM個の並列ストリームを備えることができる。シンボル推定値970、972、974、976は、その後、919で示されるように、キャリア位相復元又は他のシンボルベースの演算を受け、その結果、シンボル推定値916が得られる。
【0122】
受信DSP901は、ビット推定値908および910を導出するために、シンボル推定値916にデマッピング913を適用するように動作することができる。ビット推定値908は、ツリーエンコーディング803によって生成された整形ビット806に対応するビット808の推定値に対応することができる。ビット推定値910は、FECエンコーディング805によって生成されたパリティビット、ならびに存在しない場合は非整形ビット8024を含む、ビット810の推定値に対応し得る。ビット推定値は、バイナリ値を含む場合と、対数尤度比等の信頼値を含む場合を備える。バイナリ値の変数(つまり、ビット)の場合、その対数尤度比(LLR)は、ビットが1に等しい確率とビットが0に等しい確率の比の対数として定義される。たとえば、ビットbに対して、LLR(b)=log(p(b=1)/p(b=0))であり、ここでPは確率を示す。整数のセット等の非バイナリ値変数の場合、たとえば、特定の整数値の確率を他の可能な整数値の確率の合計で割った値の対数等、他のメトリックを使用できる。
【0123】
受信DSP901は、訂正ビット912、9024を復元するために、FECデコーディング905をビット推定値908、910に適用するように動作することができる。FECデコーディング905は、硬判定デコーディング又は軟判定デコーディングを備えることができる。軟判定デコーディングの1つの例は、最尤(ML)デコーディングである。光受信機900が光送信機800と互換性がある場合、FECデコーディング905およびFECエンコーディング805は、同じFEC方式に対応する。FECデコーディング905が、FECエンコードされたビットの推定値908、910に存在する全てのエラーを訂正することができる場合、訂正ビット912は、整形ビット806と同一であり、訂正ビット9024は、存在する場合、元のクライアントビット8024と同一である。FECデコーディング905が、FECエンコードされたビットの推定値908、910に存在する全てのエラーを訂正することができない場合、訂正ビット912は、整形ビット806とは異なるか、又は訂正ビット9024は、元のクライアントビット8024とは異なるか、若しくはその両方である。この場合、FECエンコーディング805およびFECデコーディング905によって実施されるFEC方式は、失敗したと見なされ得る。
【0124】
受信DSP901は、順列関数811等の対応する光送信機で適用される順列関数の効果を逆にするために、光受信機900で利用可能な逆順列関数911を実装するように動作することができる。
図9に示される例によれば、逆順列関数911は、FECデコーディング905によって出力される訂正ビット912に適用される。逆順列関数911は、訂正ビット912の並べ替えられたバージョンであるビット906を出力する。逆順列関数911によって出力された並べ替えビット906は、ツリーデコーディング903の適切なノードにマッピングされる正しい順序にある。
【0125】
逆順列関数911は、光受信機900のハードウェアに常駐するか、又はハードウェアに実装することができる。幾つかの例によれば、逆順列関数911は、光受信機900のファームウェアを介してプログラム可能であり得る。
【0126】
FECデコーディング905の後に逆順列関数911を適用することにより、シンボルデマッピング913において各FDMサブキャリアからのデータを独立してデコードすることが可能であり、それにより、異なるFDMサブキャリアが異なる容量を有するように形成されるシナリオに対処する。
【0127】
しかしながら、他の例(図示せず)によれば、逆順列関数911は、デマッピング913の後、しかしFECデコーディング905の前に適用されてもよい。FECデインターリーバ内のビットの位置は既知であるため、FECデコーディング905の後にビットが正しいツリーノードに提供されるように既知の位置にシンボルをマッピングすることにより、逆順列関数911は、FECデコーディング905の前にビット推定値908に適用されてもよい。
【0128】
ツリーデコーディング903は、ツリーエンコーディング803の逆を適用することによって実装され得る。ツリーデコーディング903は、光受信機900で利用可能な複数のプログラム可能なLUTを使用して実装され得る。幾つかの例によれば、LUTは、光受信機900のハードウェアに常駐するか、又はハードウェアに実装することができ、LUTの内容は、光受信機900のファームウェアによってプログラムすることができる。ツリーデコーディング903をビット906に適用すると、訂正ビット9022が得られる。それとともに、訂正ビット9022、9024は、訂正ビット902を形成する。
図7を参照すると、整形ビット906は整形ビット719、720に対応することができ、ツリーデコーディング903はPCSデコーディング構造700のレイヤ2~4に対応することができ、ビット9022はクライアントビット702に対応することができる。FEC方式が全てのエラーを正常に訂正した場合、訂正ビット9022はクライアントビット8022と同一であり、訂正ビット902はクライアントビット802と同一である。
【0129】
幾つかの例(図示せず)によれば、光送信機800で適用されるPCSエンコーディングは、ツリーエンコーディングの代わりに代数的エンコーディングを使用して実装されたものであり、光受信機900で適用されるPCSデコーディングは、ツリーデコーディングの代わりに代数的デコーディングを使用して実装される。例えば、ツリーデコーディング903は、米国特許第9,698,939号明細書でOveis Gharanらにより説明されているような代数的デコーディングで置き換えることができる。
【0130】
幾つかの例によれば、受信DSP901は、光受信機900のメモリに格納されたコンピュータ実行可能な命令又はコードを実行することにより、PCSデコーディング(ツリーデコーディング903等)、逆順列関数911、FECデコーディング905、デマッピング913、およびシンボル処理919のうちの1つ以上を実装することができる。
【0131】
光受信機900は、この文書では説明されていない追加の構成要素を含むことができる。
【0132】
特定のプログラミング変更が光送信機で適用されるとき、対応する変更が光受信機で適用され得ることを理解されたい。例えば、光送信機800と光受信機900との間の互換性を維持するために、光送信機800でのPCSエンコーディング構造および/又は順列関数811の再プログラミング(たとえば、リンク状態の変化を反映するため)は、光受信機900におけるPCSデコーディング構造および/又は逆順列関数911の対応する再プログラミングを伴うべきである。
【0133】
図10は、例示的なシミュレーションによる、時間のみにわたるPCSに対する、時間と周波数の両方にわたるPCSの起動電力(dBm)の関数としての相対マージン(dB)のプロットである。シミュレーションは、7つのWDMチャネルを持つコヒーレントFDMシステムに基づいており、それぞれに4つのFDMサブキャリアがあり、クライアントレートが200Gbpsで、2000kmの95%光分散補償ELEAFにわたっている。円形マーカーで示される曲線は、4つのFDMサブキャリアのそれぞれに個別のツリーエンコーダが適用される1番目のツリーエンコーディング設計で達成されたシステムマージンを表している。三角形のマーカーで示される曲線は、4つのFDMサブキャリア全てに単一のツリーエンコーダが適用される2番目のツリーエンコーディング設計で達成されたシステムマージンを表している。どちらの曲線も、1番目のツリーエンコーディング設計の最大システムマージンによって正規化されている。曲線を比較すると、2番目のツリーエンコーディング設計では、1番目のツリーエンコーディング設計と比較してシステムマージンが0.92dB改善されていることがわかる。従って、4つのFDMサブキャリア全てに単一のツリーエンコーダを使用して時間と周波数の両方でエンコードすると、非線形干渉が減少し、システムマージンが高くなる。この例では、非線形のメリットは、ツリーエンコーダによって出力された相関シンボルが異なるFDMサブキャリアにマッピングされた結果であり、その結果、シンボルエネルギーがサブキャリア間で相関される。
【0134】
単一のツリーエンコーダを使用して複数のFDMサブキャリアにわたって整形シンボルをエンコードすることにより、一部のFDMサブキャリアが他のFDMサブキャリアとは異なるデータレートを持つようにツリーエンコーダをプログラムすることができる。たとえば、ツリーエンコーダのルートレイヤーへの入力としてクライアントビットが提供されていない場合、ツリーは2つのツリー構造に効果的に分割され、それぞれが次元の半分をアドレス指定する。ツリーエンコーダの各半分は、異なる容量に対して個別にプログラムできるが、順列関数は、2つの容量の大きい方を最も内側のFDMサブキャリアにマッピングするようにプログラムでき、低い方の容量は最も外側のFDMサブキャリアにマッピングされる。同様に、ツリーの2つの最上位レイヤへの入力としてクライアントビットが提供されていない場合、ツリーは事実上4つのツリー構造に分割され、それぞれが4分の1の次元を処理する。ツリーエンコーダの各4分の1は、異なる容量にプログラムできるが、順列関数は、出力を適切なFDMサブキャリアにマッピングするようにプログラムできる。このプロセスは、ツリーのレイヤが削除されると、確率的シェーピングの利点と達成可能な容量の両方が減少するが、ツリーの下位レイヤまで続行できる。
【0135】
このプロセスは、FDMサブキャリア間で変化するノイズ又は歪みがある場合に有利である。たとえば、より高いノイズ又は歪みが発生している(又は発生することが予想される)第1のFDMサブキャリアの場合、ツリーエンコーダをプログラミングして第1のFDMサブキャリアの容量を減らし、第1のFDMサブキャリア上でエンコードされる整形シンボルのサブセットの平均訪問確率が低くなるようにして、ノイズへの耐性を向上させると有利な場合がある。同時に、より低いノイズ又は歪みが発生している(又は発生することが予想される)2番目のFDMサブキャリアは、第2のFDMサブキャリア上でエンコードされる整形シンボルのサブセットがより高い平均訪問確率を有するように構成することによって、第1のFDMサブキャリアの減少した容量を補償することができる。このようにして、チャネルの総容量を固定したまま、ノイズ耐性を向上させるために、個々のFDMサブキャリアの容量を変化させることができる。例えば、隣接するWDMチャネルからの線形クロストークを許容するために、最も外側のFDMサブキャリアの容量を減らし、他のFDMサブキャリアの容量を対応する量だけ増やすことができる。
【0136】
通常、各ツリーエンコーダは固定容量用にプログラムされ、この容量の変更には複雑なレートスロットリングが必要になるため、異なるFDMサブキャリアの容量を調整することは、各FDMサブキャリアに異なるツリーエンコーダが適用される設計では困難である。対照的に、単一のツリーエンコーダが複数のFDMサブキャリアに適用される場合、光送信機でのLUTの単純な再プログラミングと、光受信機での対応するLUTの再プログラミングによって、FDMのそれぞれの容量を調整できる。
【0137】
図11は、本明細書に開示の技術による、光送信機800等の光送信機で実行される例示的な方法1100を示す。
【0138】
1102において、シンボルのセットは、複数のエンコードされたクライアントビットから生成されてもよく、各シンボルは、不均一な訪問確率を示すコンステレーションポイントのセットから選択されたコンステレーションポイントに対応する。言い換えれば、整形シンボルのセットを生成するために、PCSエンコーディングを複数のクライアントビットに適用することができる。幾つかの例によれば、PCSエンコーディングは、単一のツリーエンコーダを使用して実装され得る。例えば、光送信機800は、クライアントビット802から整形シンボル814のセットを生成するために、ツリーエンコーディング803、FECエンコーディング805、シンボル選択807、および象限選択809を実装する命令又はコードを実行し得る。ツリーエンコーディングは、PCS構造200のLUT210、214、218等の複数のLUTを使用して実装することができる。LUTは、光信号が送信される光通信リンクの1つ以上の特性に基づいてプログラムされてもよい。例えば、LUTは、リンクの正味の分散に基づいてプログラムされてもよい。LUTは、リンクプロパティの変更を反映するように再プログラムすることもできる。別の例では、ツリーエンコーディングの代わりに代数的エンコーディングを使用して、PCSエンコーディングを実装できる。
【0139】
1104では、整形シンボルのセットは、複数のFDMサブキャリアにわたってエンコードされ得る。シンボルのセットの異なるサブセットは、異なるFDMサブキャリア上でエンコードされる。例えば、光送信機800は、順列関数811に整形シンボルのセット814を整形シンボルのセット816に再配列又は再配置させる命令又はコードを実行することができ、整形シンボル814の異なるサブセットが異なるFDMサブキャリア上でエンコードされるように、整形シンボル816のセットを複数のFDMサブキャリアにわたってエンコードさせる命令又はコードを実行することができる。前述のように、サブセットは、整形シンボル814のセット内の連続的なシンボル、又は整形シンボル814のセット内の非連続的なシンボルを含むことができる。サブセットは異なる平均訪問確率を示す可能性があり、その結果、FDMサブキャリアの容量が異なる。順列関数は、光信号が送信される光通信リンクの1つ以上の特性に基づいてプログラムされてもよい。例えば、順列関数は、リンクの正味の分散に基づいてプログラムされてもよい。順列関数は、リンクプロパティの変更を反映するように再プログラムすることもできる。ツリーエンコーディングと順列関数に使用されるLUTのプログラミングは、非線形伝搬に有益な異なるFDMサブキャリア上のシンボル間の時間的および周波数的相関を達成するために共同で最適化することもできる。
【0140】
1106では、光信号は、光通信リンクを介して光受信機に送信されてもよく、光信号は、整形シンボル816のセットがエンコードされる複数のFDMサブキャリアを備える。例えば、光送信機800は、整形シンボルのセット816がエンコードされる複数のFDMサブキャリアを光信号864で送信させる命令又はコードを実行することができる。送信は、DAC828、830、832、834によってそれぞれアナログ駆動信号836、838、840、842に変換されるデジタル駆動信号820、822、824、826を生成する送信DSP801を含むことができ、アナログ駆動信号836、838、840、842は、電気-光変調器854、856を駆動するために使用される。
【0141】
図12は、本明細書に開示の技術による光受信機900等の光受信機で実行される方法の例1200を示す。
【0142】
1202では、光信号は光受信機で受信されてもよく、光信号は複数のFDMサブキャリアを備える。例えば、光受信機900は、光信号964を受信することができる。受信は、受信された光信号964を直交偏波コンポーネント958、960に分割する偏波ビームスプリッタ948と、レーザー944によって生成された光信号946に関してコンポーネント958、960を処理する光ハイブリッド925とを含むことができる。受信は更に、光ハイブリッド925の出力950、952、954、956をそれぞれ受信したアナログ信号936、938、940、942に変換する光検出器923を含むことができる。受信は更に、受信したアナログ信号936、938、940、942をそれぞれサンプリングして、それぞれ受信したデジタル信号920、922、924、926を生成するADC928、930、932、934を含むことができる。
【0143】
1204では、複数のFDMサブキャリアからシンボル推定値のセットをデコードすることができ、各シンボル推定値は、不均一な訪問確率を示すコンステレーションポイントのセットから選択されたコンステレーションポイントに対応する。言い換えると、シンボル推定値は、それらがPCSエンコーディングを使用して生成された整形シンボルの推定値を含むという点で「整形」され得る。整形シンボル推定値のセットは、異なるFDMサブキャリアからデコードされた整形シンボル推定値の異なるサブセットを備えることができる。例えば、光受信機900は、整形シンボル推定値のセット916を復元するために、シンボル復元921およびシンボル処理919を実施する命令又はコードを実行することができる。
【0144】
1206では、複数のクライアントビットが、整形シンボル推定値のセットから復元され得る。言い換えると、クライアントビットを復元するために、整形シンボル推定値のセットにPCSデコーディングを適用できる。幾つかの例によれば、PCSデコーディングは、単一のツリーデコーダを使用して実装され得る。例えば、光受信機900は、整形シンボル推定値916から訂正ビット902を復元するために、デマッピング913、FECデコーディング905、逆順列関数911、およびツリーデコーディング903を実装する命令又はコードを実行することができる。ツリーデコーディングは、PCS構造700のLUT710、714、718等の複数のLUTを使用して実装され得る。ツリーデコーダのLUTは、光送信機で実装されたツリーエンコーダのそれぞれのLUTの動作を反転するようにプログラムされてもよい。別の例では、PCSデコーディングは、ツリーデコーディングの代わりに代数的デコーディングを使用して実装されてもよい。
【0145】
ツリーエンコーディングを使用したPCSエンコーディングは、エンコードされた光シンボルのエネルギーに時間的な相関を誘発する。本明細書で詳細に説明したように、これらの時間相関は、複数のFDMサブキャリアにわたって単一のツリーエンコーダからのデータをエンコードすることにより非線形伝搬の利点を達成するために利用され、それにより時間周波数エンコーディングを実現する。
【0146】
複数のFDMサブキャリアにわたる時間周波数エンコーディングは、ツリーエンコーディング以外のPCSエンコーディング技法を使用して実現することもできる。たとえば、代数的エンコーダーのプログラミングを変更して、複数のFDMサブキャリアにわたる幾つかの時間のシンボルのブロックにわたってPCSを実現できる。代数的エンコーダーは、線形パフォーマンス用に最適化されたときに非線形の利点を提供しない可能性があるが、代数的エンコーダーは、時間周波数エンコーディングを利用するように再プログラムすることができる。
【0147】
クレームの範囲は、実施例に記載された詳細によって限定されるべきではなく、全体としての説明と一致する最も広い解釈が与えられるべきである。