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特許7300462通信配線を介する電力に関する電線障害および電気的不均衡の検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】通信配線を介する電力に関する電線障害および電気的不均衡の検出
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20230622BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
H02J13/00 N
H02J13/00 B
H02J1/00 306A
H02J1/00 309
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020554252
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 US2019023468
(87)【国際公開番号】W WO2019194985
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】62/653,385
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/020,881
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508041127
【氏名又は名称】シスコ テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】ゲルゲン ジョエル リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ チャド エム
(72)【発明者】
【氏名】シローニ パオロ
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0317426(US,A1)
【文献】特開2014-225875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0331315(US,A1)
【文献】特開2012-003523(JP,A)
【文献】特表2008-529459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Power over Ethernet(PoE)配電システムにおいてPoEを100ワット超の電力で伝送することであって、前記配電システムは少なくとも2つの電線対を備える、伝送することと、
前記配電システムの熱状態をモニタすることと、
前記電線のうちの1本への電力を少なくとも所定期間切断し、前記電線を評価し、前記電線の各々について繰り返すことにより、障害がないか前記電線の各々を定期的にチェックすることと、
前記電線に電気的不均衡がないかチェックすることと、
を含む、方法。
【請求項2】
電気的不均衡がないかをチェックすることは、前記電線対同士の間に電気的不均衡がないかをチェックすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電気的不均衡がないかをチェックすることは、前記電線同士の間に電気的不均衡がないかをチェックすることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱状態をモニタすることは電流変化を追跡して熱蓄積を識別することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記配電システムは、ルートプロセッサを備える給電装置(PSE)と、ラインカードを備える受電装置と、を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記電線のうちの1つの前記障害または前記電気的不均衡を識別したときに警告を設定することを更に含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
温度限度値のあるパーセンテージ内のケーブル温度を識別し、電力レベルを低減することと、を更に含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
起動時に前記PoEを100ワット未満の電力で伝送することと、
前記PoE配電システムにおいて給電装置(PSE)と受電装置(PD)の間で電力レベルを調整することと、
前記電力を100ワット超まで増大させることと、
を更に含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記PoE配電システムは56ボルト~58ボルトの間の出力電圧を有する給電装置(PSE)を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記PSEにおける前記出力電圧が58.5ボルトを上回ることを検出し、前記出力電圧を遮断することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電線の各々を定期的にチェックすることは、電線の安定性を10ミリ秒の時間期間内に少なくとも1回評価することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記所定期間は0.25ミリ秒以下である、請求項に記載の方法。
【請求項13】
Power over Ethernet(PoE)配電システムにおいて電源として動作可能なルートプロセッサであって、
複数の受電装置に電力を送達するための複数のポートと、
前記配電システムの熱状態をモニタし、障害がないか前記ポートの各々において電線をチェックし、前記電線に電気的不均衡がないかをチェックするための、障害検出モジュールであって、前記電線のうちの1本への電力を少なくとも所定期間切断し、前記電線を評価し、前記電線の各々について繰り返すことにより、障害がないか前記ポートの各々において電線をチェックする、障害検出モジュールと、を備える、ルートプロセッサ
を備える、装置。
【請求項14】
電気的不均衡がないかをチェックすることは、電線対同士の間におよび前記電線同士の間に電気的不均衡がないかをチェックすることを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記障害検出モジュールは、温度限度値のあるパーセンテージ内のケーブル温度を識別したときに、前記ルートプロセッサと前記複数の受電装置のうちの1つとの間で電力レベルの再調整を開始するように動作可能である、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記ルートプロセッサは、起動時に前記PoEを100ワット未満の電力で伝送し、前記複数の受電装置と電力レベルを調整し、前記受電装置に100ワット超の電力を伝送するように動作可能である、請求項13~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
Power over Ethernet(PoE)配電システムにおいてPoEを100ワット超の電力で送達するための複数のポートを備えるルートプロセッサと、
前記PoEを受け取るための複数のポートを備える複数の受電装置と、
前記配電システムの熱状態をモニタし、障害がないか前記ポートの各々において電線をチェックし、前記電線に電気的不均衡がないかチェックするための障害検出システムであって、前記電線のうちの1本への電力を少なくとも所定期間切断し、前記電線を評価し、前記電線の各々について繰り返すことにより、障害がないか前記ポートの各々において電線をチェックする、障害検出システムと、
を備える、モジュール式伝達システム。
【請求項18】
前記ルートプロセッサは少なくとも2個のルートプロセッサを備え、前記受電装置はラインカードまたはファブリックカードを備える、請求項17に記載のモジュール式伝達システム。
【請求項19】
前記ルートプロセッサの電力容量を増大させるための拡張電力システムを更に備える、請求項17または18に記載のモジュール式伝達システム。
【請求項20】
前記障害検出システムは、温度限度値のあるパーセンテージ内のケーブル温度を識別したときに、前記ルートプロセッサと前記受電装置のうちの1つとの間で電力レベルの再調整を開始するように動作可能である、請求項17~19のいずれか1項に記載のモジュール式伝達システム。
【請求項21】
Power over Ethernet(PoE)配電システムにおいてPoEを100ワット超の電力で伝送するための手段であって、前記配電システムは少なくとも2つの電線対を備える、伝送するための手段と、
前記配電システムの熱状態をモニタするための手段と、
前記電線のうちの1本への電力を少なくとも所定期間切断し、前記電線を評価し、前記電線の各々について繰り返すことにより、障害がないか前記電線の各々を定期的にチェックするための手段と、
前記電線に電気的不均衡がないかをチェックするための手段と、
を備える、装置。
【請求項22】
請求項2~12のいずれか1項に記載の方法を実行するための手段を更に備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
コンピュータによって実行されると前記コンピュータに請求項1~12のいずれか1項に記載の方法のステップを実行させる命令を備える、コンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、またコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の記載
本願は、2018年4月5日に出願された、「WIRE FAULT AND PAIR UNBALANCE DETECTION FOR POWER OVER COMMUNICATIONS CABLING」と題する米国仮出願第62/653,385号(代理人整理番号第CISCP1341+号)の優先権を主張する。当該仮出願の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に通信ネットワークに関し、より詳細には、通信システムを介する電力に関する安全機能に関する。
【背景技術】
【0003】
Power over Ethernet(PoE)は、有線電気通信ネットワーク上で給電装置(PSE)から受電装置(PD)へとリンク部を介して電力を供給するための技術である。100W以下の電源を使用する従来のPoEシステムでは、このクラスに限れば電力システムには破壊的損傷または生命安全の懸念が生じないため、特別な保護メカニズムは必要ない。100Wの閾値を上回り得るより新しいシステムでは、システムおよびユーザの両方を保護する安全プロトコルのメカニズムを定めることが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本明細書に記載する実施形態を実装可能なシステムの例を示す。
図2】デュアルルートプロセッサカードのシャーシの正面図である。
図3図2に示すシャーシの上面図である。
図4】拡張電力シェルフを備えたデュアルルートプロセッサのシャーシを示す図である。
図5A】ラインカードのシャーシの正面図である。
図5B】デュアルラインカードのシャーシの正面図である。
図5C】デュアルファブリックのシャーシの正面図である。
図6】一実施形態に係る、電線障害および電気的不均衡の検出のためのプロセスを説明するフローチャートである。
図7】一実施形態に係る、電源用の電気的不均衡検出回路のブロック図である。
図8】一実施形態に係る、受電装置用の電気的不均衡検出回路のブロック図である。
図9】一実施形態に係る電線検証プロセスを示す図である。
図10】本明細書に記載する実施形態を実装するのに有用なネットワークデバイスの例を描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面のいくつかの図の全てにわたって、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【0006】
概説
独立請求項において本発明の態様が明記され、従属請求項において好ましい特徴が明記される。ある態様の特徴を各態様に単独で、または他の態様と組み合わせて適用することができる。
【0007】
一実施形態では、方法は一般に、Power over Ethernet(PoE)配電システムにおいてPoEを100ワット超の電力で伝送することであって、配電システムは少なくとも2つの電線対を備える、伝送することと、配電システムの熱状態をモニタすることと、障害がないか電線の各々を定期的にチェックすることと、電線に電気的不均衡がないかをチェックすること、を含む。
【0008】
別の実施形態では、装置は一般に、Power over Ethernet(PoE)配電システムにおいて電源として動作可能なルートプロセッサであって、複数の受電装置に電力を送達するための複数のポートと、配電システムの熱状態をモニタし、障害がないかポートの各々において電線をチェックし、電線に電気的不均衡がないかをチェックするための障害検出モジュールと、を備える、ルートプロセッサを備える。
【0009】
さらに別の実施形態では、モジュール式伝達システムは一般に、Power over Ethernet(PoE)を100ワット超の電力で送達するための複数のポートを備えるルートプロセッサと、PoEを受け取るための複数のポートを備える複数の受電装置と、配電システムの熱状態をモニタし、障害がないかポートの各々において電線をチェックし、電線に電気的不均衡がないかチェックするための障害検出システムと、を備える。
【0010】
明細書の残りの部分および添付の図面を参照することによって、本明細書に記載される実施形態の特徴および利点の更なる理解を実現できる。
【0011】
例示的な実施形態
以下の記載は、当業者が実施形態を製作および使用できるように提示するものである。具体的な実施形態および用途の説明は例として提供されているに過ぎず、当業者には様々な修正が容易に明らかとなるであろう。本明細書に記載する一般原理は、実施形態の範囲から逸脱することなく他の用途に適用され得る。したがって、実施形態は示されたもののみに限定されるものではなく、本明細書に記載する原理および特徴に合致する最も広い範囲を与えられるものとする。明晰にするために、実施形態に関連する技術分野で知られている技術項目に関連する詳細は、詳細に記載していない。
【0012】
標準的なPower over Ethernet(PoE)の最大電力供給能力は約100ワット(W)であるが、多くのクラスの受電装置にとって100W超の電力供給は有益であろう。100Wを上回るPoE用途では、ユーザおよび財産を保護するための安全メカニズムが必要となる。
【0013】
本明細書に記載する実施形態は、従来の90WのPoE実装を上回るより高い電流容量の用途に対して100Wを上回る電力を安全に送達するための、通信配線を介したより高いワット数の電力の送達を可能にする安全システムおよび方法を提供する。安全システムは例えば、望まれない電気的事象、例えば短絡、回路の開放、電気的不均衡、電流容量限度の超過、または生命安全上の懸念を防止し得る。一例では、システムは、4対通信ケーブルを介した最大300ワットの電力の送達の安全な実装を可能にし得る。システムは、例えば、最大15メートルのケーブル距離で100W~300Wの電力を送達する。以下に詳細に記載するように、これらの実施形態は、ラインカードの光学系とは別個のシステム中の、RP(ルートプロセッサ)制御プレーンを備えた伝達ルータにおいて実施できる。電力およびデータの両方が、RPデバイスからPSE(給電装置)中のラインカードデバイスを経てPD(受電装置)アプリケーションへと渡される。
【0014】
ここで図面を参照すると、まず図1では、配電のために通信配線を介した電力(本明細書では改良型PoEとも呼ばれる)を利用し得る、モジュール式伝達システムの例。図1に示すモジュール式伝達システムは、3つのラインカードのシャーシ12に制御および電力を提供する、デュアルルートプロセッサ(RP)カードのシャーシ10を含む。デュアルRPカードのシャーシは、例えば、2RU(ラックユニット)のシャーシである。ルートプロセッサカードのシャーシ10は、各々が20個のダウンリンクポート16を備える2つのルートプロセッサ14(RP0、RP1)と、デュアルポートグラウンドシステム18と、2個の複合電源ユニット(PSU)およびファントレイモジュール20(PSU/FT0、PSU/FT1)と、を備える。拡張可能な伝達システムは、例えば、最大20個の冗長なラインカード接続部、または18個のラインカード接続部および2個のファブリック接続部をサポートできる。各ダウンリンクポート16は、例えば、300Wの電力システムによる合計1Gb/秒または10Gb/秒をサポートできる。ダウンリンクポート16は、ラインカードの各シャーシ12(またはファブリックのシャーシ)に、制御および電力を提供する。一例では、電源ユニット20は、2kWのACまたはDC(または他の電力レベルの)デュアル冗長電力モジュール(1+1)を提供する。各ラインカードのシャーシ12は、デュアルアップリンクポート24を備えるラインカード22(LC0、LC1、LC2)と、ファントレイ26(FT0、FT1、FT2)と、グラウンドシステム28と、を備える。電力およびデータは、ルートプロセッサ14にあるポート16からケーブル17を介して、ラインカード22にあるポート24へと伝送される。この例では、PoE配電システムにおいて、ルートプロセッサ14はPSE(給電装置)であり、ラインカード22はPD(受電装置)である。
【0015】
一実施形態では、ポート16、24は、RJ45(または同様のコネクタ)を利用してデータとPoEを組み合わせる相互接続ポートを備える。例えば、ケーブルおよびコネクタのシステムは、RJ45カテゴリー7式の4対通信配線を備え得る。ポート16、24に、90W超の電力用の能力を識別するべくラベル付けしてもよい。一例では、このケーブルおよびコネクタのシステムは、ピンまたは電線あたり最低で2000ミリアンペアの電流容量をサポートできる。例えば、22AWG(米国ワイヤゲージ規格)の電線を使用して、カテゴリー7/カテゴリー5eのケーブルシステムにおいて電線あたり1500ミリアンペア~2000ミリアンペアをサポートできる。一例では、システムは(300Wにおける22AWGのカテゴリー7のケーブルの技術に基づいて)、最大15メートルのケーブル長さをサポートし得る。1つまたは複数の実施形態では、PSEの内部電源電圧は、56V~57Vの範囲、57V~58Vの範囲、または56V~58Vの範囲で動作し得る。例えば、PSEにおける出力電圧は57Vであり得、このときPDにおける入力電圧は56Vである。15メートルのケーブルの場合、PSEにおける56V電源は、約300Wの電力を送達できる。電流がより小さい場合、システムは例えば、300W未満の電力を15メートルを超える長さまで送達することもできる。
【0016】
図1に示す構成は単なる例であり、他の構成(例えば、ルートプロセッサ、PSU、ラインカード、またはアップリンク/ダウンリンクの個数)を実施形態の範囲から逸脱することなく使用できることを理解されたい。また更に、本明細書に記載するコネクタ、ケーブル、ケーブル長さ、および電力範囲は単なる例であり、他のタイプのコネクタ、ケーブルの長さ、ケーブルシステムのタイプ、または電力レベルを、実施形態の範囲から逸脱することなく使用できる。
【0017】
図2は、図1に示すラインカード接続を伴わないデュアルRPカードのシャーシ10を示し、図3は、図2に示すデュアルルートプロセッサカードのシャーシの上面図である。ルートプロセッサ14は、ルートプロセッサ(RP)のスロット30(図3)内に収容されている。電源ユニット32はファン34の正面に配置されている。複合型電力およびファンモジュールとRPスロット30の間に、プレナムスペース35が挿入されている。電力の経路が36で示されており、空気の通路が38で描かれている。
【0018】
図4は、デュアルルートプロセッサのシャーシ40および拡張電力システム(シェルフ)42の正面図を示す。拡張電力システム42を使用して、例えば、4個の冗長な2kW電力モジュール(2+2)(例えば、図1に示すRPのシャーシ10の送達電力容量の2倍)を提供できる。RPシャーシ40は、ルートプロセッサ43(RP0、RP1)と、グラウンドシステム44と、複合型PEM(Power Entry Module;電力投入モジュール)およびファントレイ45(PEM A/FT0、PEM B/FT1と、を含む。この例では、拡張電力シェルフ42は、4個の複合型電源ユニットおよびファントレイ46(PSU/FT0、PSU/FT1、PSU/FT2、PSU/FT3)と、グラウンドシステム48と、を含む。電力は2個の電力出力部47(電力OUT A、電力OUT B)を介してルートプロセッサ43に供給される。ルートプロセッサカードのシャーシ40はPEM45において電力を受け取り、図1に関して既に記載したように、ダウンリンクポート(図示せず)において電力を送達する。
【0019】
図5A、5B、および5Cはそれぞれ、ラインカードのシャーシ50、デュアルラインカードのシャーシ52、およびデュアルファブリックカードのシャーシ54を示す。各ラインカード(LC0、LC1)55およびファブリックカード(FC0、FC1)56は、例えば、300Wの電力でデュアルアップリンクポート53をサポートできる。各ラインカード55およびファブリックカード56は対応するファントレイ(FT0、FT1)57を有し、各シャーシ50、52、54はグラウンド58を含む。デュアルファブリックのシャーシ54は、複数のラインカードのシャーシをサポートできる。
【0020】
図1、2、3、4、5A、5B、および5Cに示す構成要素および構成は、通信ケーブルシステムを介する電力に関する本明細書に記載する安全システムを利用し得る、モジュール式伝達システムの例に過ぎないことを理解されたい。
【0021】
既に記載したように、より高電力のPoE配電システム(例えば≧100WのPoE)では、機器およびユーザを安全に保護するために、追加の障害検出が必要となる。以下には、図1~5Cに関して上記したモジュール式伝達システム、または通信配線を介する電力(例えば、100W超の、100W~300Wの間の、約300WのPoE)用に構成された他の伝達システム上で実装され得る、障害検出システムおよび方法が記載されている。本明細書に記載する障害検出(安全)システムおよび方法を使用して、例えば、多対ケーブルシステム上の熱蓄積、対の電線の間の電線-電線の不均衡、対-対の不均衡、短絡、またはこれらの任意の組み合わせを防止することができる。以下に記載するように、電線の電流をモニタすること、および、既知の電線パラメータに基づいて電線、電線対、ケーブル(例えば4対ケーブル)の温度の変化を計算することによって、熱蓄積を検出できる。対における2本の電線のうちの一方に他方よりも実質的に大きい電流が流れている場合、対における電線-電線の不均衡が検出され得る。対のうちの1つにその他の対よりも実質的に大きい電流が流れている場合に、対-対の不均衡が検出され得る。短絡または障害を識別するために各電線を評価してもよい。障害が検出された場合、エラーまたは軽度警告もしくは重度警告を発してもよい。検出された障害の深刻さに応じて、電力を低減させることができるかまたはポートを遮断することができる。例えば、熱蓄積が軽度である場合、電力を低減させて、配線上の電流を低減させることができる。電線において短絡または他の障害が検出された場合、または電気的不均衡が検出された場合、対応するポートを遮断することができる。
【0022】
図6は、一実施形態に係る、通信配線システムにおける電力の障害を検出するためのプロセスの概要を説明するフローチャートである。ステップ60において、システムは、例えばPower over Ethernetに関するIEEE規格802.3bt(例えば、クラス8)を使用して、低電力モード(例えば≦90Wまたは他の低い電力設定)で起動する。電力を印加する前にチャネル確認アルゴリズムを実行してリンクを評価してもよい(ステップ62)。例えば、電線の接続の程度を検証するために、電線モニタするプロセスを複数の電線にわたって行ってもよい。次いでシステムは、CDP(Cisco Discovery Protocol)(または任意の他の好適なプロトコル)を使用して、UPoE(Universal Power over Ethernet)が開始の15Wまたは30Wから最大60Wまでの調整を行うのと類似した様式で、90W超の電力に関する調整を行うことができる(ステップ63)。一例では、PSEはPSEが提供できる電力レベルをPDに通知でき、その後PDは使用に適した電力レベルを選択することができる。PSEとPDが、例えば15W、30W、60W、90W、150W、200W、250W、300W、または任意の他の好適な電力レベルで電力レベルを調整してもよい。障害が検出されない場合、システムは、利用可能な最大電力へと自動調整してもよい。イーサネット管理パケットを使用して、例えば、300Wの最大電力の割り当てを可能にできる。
【0023】
電力が増大すると、以下で詳細に記載するように障害検出が行われる。障害検出には、例えば、熱蓄積のチェック(ステップ64)、電気的不均衡チェック(電線-電線の不均衡チェック(ステップ65)、対-対の不均衡チェック(ステップ66))、または短絡/障害保護チェック(ステップ67)を含めることができる。システムはこれらのチェックのうちの1つもしくは複数を任意の順序で実行する(一例として図6においてステップ間の点線で示されている)ように構成されてもよく、または、いくつかのステップを同時に実行してもよい。安全チェックのうちの1つまたは複数を、連続的に実行してもよく、指定された間隔で実行してもよい。例えば、電線を、10ミリ秒の時間枠内の連続ループで1本ずつモニタすることができる。障害が検出されたかまたは指定されたPSE電圧(例えば、58.5V)を上回った場合、電力出力は遮断される(ステップ68および69)。障害が軽度である(例えば、1つまたは複数のパラメータが限度値に近いが限度値を上回ってはいない)場合、電力レベルの再調整によって電力を低減させることができる。障害が続く場合には、ポートを遮断してもよい。警告を発することもできる。1つまたは複数の実施形態では、電力を遮断するために、パケットおよびアイドル(リンク)のモニタリングを使用してもよい。電線が失われている場合、リンクが失われており、電線ごとの障害がカバーされる。
【0024】
図6に示す上記したプロセスは単なる例であること、および、実施形態の範囲から逸脱することなく、ステップの組み合わせ、追加、削除、または修正が可能であることを理解されたい。
【0025】
以下では、図6のステップ64~67に対して実行できる安全チェック(障害検出)の詳細について記載する。
【0026】
1つまたは複数の実施形態では、ケーブル電流の変化を追跡することおよびケーブル電流温度を計算することによって、熱蓄積を検出することができる。ケーブル温度は、アンペア数、ケーブルゲージ、およびケーブルの長さの関数である。既知のパラメータを使用することおよび電線サイズ(例えば22AWG)を想定することによって、束ねられた状態にあるケーブルの温度限度値を計算することができる。温度範囲は、例えば、正常、軽度、重度、および危険として定義され得る(例えば、軽度はケーブル温度限度値の20℃以内に定義され、重度はケーブル温度限度値の10℃以内に定義され、危険はケーブル温度限度値に定義される)。温度範囲が軽度の範囲内にある場合、システムは配線上の電流を低減させるような電力の再調整を強制してもよい。温度が危険の範囲にある場合、ポートへの電力供給を停止することができる。温度は、各電線、各電線対、4対ケーブル、または任意の組み合わせにおいて計算することができる。例えば、障害検出に使用するために、2017年5月24日に出願された「Thermal Modeling for Cables Transmitting Data and Power」と題する米国特許出願第15/604,344号に記載されているようなケーブルの熱モデル化を行うことができる。
【0027】
モニタ(または計算)された電流に基づいてアクションが行われてもよい。例えば、ケーブルの電流がケーブルの電流上限値を上回った場合、ポートを遮断してもよい。ケーブル電流が指定された範囲に達した場合、ラインカード(PD)にPSEとの電力調整を行わせて、配線上の電流を低減させることができる。電流は、電線ごとに、電線対ごとに、ケーブルごとに、または任意の組み合わせでモニタすることができる。電流範囲は、正常、軽度、重度、および危険として定義され得る(例えば、軽度は最大電流の20%以内に定義され、重度は最大電流の10%以内に定義され、危険は最大電流に定義される)。範囲が軽度である場合、ケーブルの電流を低減するように再調整を行うことができる。危険の温度に達した場合、ポートへの電力供給を停止することができる。
【0028】
図6のステップ65および66に示すように、電気的不均衡に基づいて障害を識別することができる。(電線の対の中の電線同士の間の)電線-電線の不均衡および(電線の対同士の間の)対-対の不均衡を追跡することができる。電線-電線のまたは対-対の不均衡が指定された限度値を上回った場合、警告を発することができる。ケーブル劣化を探査し、電線-電線のまたは対-対の不均衡の検出時に軽度の警告を発することもできる。対-対の不均衡の検出回路の例が、PSEに関しては図7に、PDに関しては図8に示されているが、これらについて以下に記載する。
【0029】
1つまたは複数の実施形態では、障害検出回路は、4対通信ケーブル(例えば、少なくとも2つの電線対を備えるケーブル)において、対ごとの障害および不均衡の検出を提供する。障害検出回路は、電流の不一致を個々にモニタして見つけ出し、かかっている負荷を調整される負荷に照らして調査し、インピーダンス変化をもたらす電線にわたる自動負荷平準化を検討する。センタータップおよびリンクのモニタを使用して、電線ごとの障害を検出することができる。
【0030】
図7は、一実施形態に係る、PoE電源における対ごとの障害および不均衡の検出のための障害検出回路の例を示す。障害検出は、PSE電源における各ポート(例えば、図1のルートプロセッサ14にあるポート16)に対して行われる。簡潔にするために、回路は、ポートのうちの1つにある4つの電線対のうちの1つについてのみ示されている。各電線対に、障害検出のための回路が提供される。図7に示す回路はPSE(図1のルートプロセッサ14)に位置しており、電源70からポートにあるコネクタ71までのチェックを行う。既に記載したように、電源70は、例えば58VDCまたは他の好適な電力レベルを提供できる。コネクタ71は、例えば、ケーブルを介して受電装置(例えば図1のラインカード22)に電力およびデータを提供するための、RJ45コネクタを備え得る。
【0031】
マイクロコントローラ72(例えば、PIC(プログラマブルインターフェースコントローラ))を使用して、4対全てを比較し、不均衡状態または障害のあることを指示し、警告を発出してもよい。電力は、電源70から、微分増幅器74と通信している抵抗器73を通って運ばれる。回路は、(抵抗器73を介して)電源70からおよびコントローラ72から入力を受け取り、1対のインダクタ77を備える変圧器76に入力を提供する、電界効果トランジスタ(FET)75を含む。変圧器76からコネクタ71へと電力が伝送される。コントローラ72はまた、イーサネット配線へとタップされている立上がりおよび立下り検出器78から入力を受信する。イーサネットのデータおよび制御論理回路は、モジュール79によって提供される。イーサネット回路は、イーサネット磁気要素(magnetics)83とDCブロック84とを含む。
【0032】
データおよび電力の両方を取り扱うために大型の磁気要素を使用するのを回避する目的で、システムは、データ伝送用の組み込まれた磁気要素の代わりに受動的結合を使用してもよい。システムはイーサネット磁気要素79を経由する代わりにAC結合を使用する。このことにより、データおよび電力の両方を取り扱うために大型の磁気要素を使用することが回避される。短絡を防止するために、コンデンサを使用してイーサネット磁気要素からのDC電力をブロックしてもよい。一例では、コンデンサを直列に使用し、適したパワーインダクタを用いて電力を供給するようにインダクタを使用する。
【0033】
図8は、一実施形態に係る、受電装置80(例えば図1のラインカード22)における対ごとの障害および不均衡の検出のための回路の例を示す。図7に関して上記したように、簡潔にするために、回路は4つの対のうちの1つについてのみ示されている。受電装置80は、PSEからコネクタ81(例えばRJ45コネクタ)を介して電力およびデータを受け取る。電力はインダクタ87を介して伝送され、電界効果トランジスタ(FET)85を通過する。コントローラ82(任意)は4つの対を比較して、対同士の間に不均衡がないかをチェックする。図8の回路は、処理機能を有さずに(例えばコントローラ82を除去して)構成することもできる。この場合、FET85に対して(コントローラの代わりに)PD80から直接、エラー制御が行われる。既に記載したように、回路のイーサネット部分は、イーサネット磁気要素89とDCブロック88とを含む。
【0034】
既に指摘したように、システムはまた、人の健康に干渉しないことが知られている10ミリ秒の時間期間内にケーブルシステム中の各電線を分析することによって、電線に短絡がないかをチェックし、生命の安全のための障害保護を行うことができる。一実施形態では、システムは制御ループを使用して、周期的な間隔(例えば、9ミリ秒、10ミリ秒)で電線の安定性を評価する。一例では、安全アルゴリズムは10ミリ秒の時間枠内でループする。PSEにおける回路の短絡または開放などの配線異常がないか、各電線がモニタされる。電圧が測定され、エラーがない場合はループが繰り返される。全ての電線に電力を供給し、時間nにおいて第1の電線(n)への電力供給を停止する。一例では、システムは電線1に対する電力を0.25ミリ秒以下の間切断し、ゼロ時間まで電力を評価する。システムは例えば1.00ミリ秒待機し(待機時間はバーストを伴わずに平均電流をより高く維持するのに寄与する)、それから次の電線へとループしてもよい。電線長さの最大/最小範囲に照らしてモデル化された電線ゲージに基づいて、立下がり時間がモニタされ計算される。電線を負に駆動してモニタ時間をより短くすることもできる。時間(n)+0.25ミリ秒において、次の電線が電力供給される。電線長さの最大/最小範囲に照らしてモデル化された電線ゲージに照らして、立上がり時間がモニタされ計算される。このプロセスは全ての電線がチェックされるまで続く。この例では、プロセス全体で10ミリ秒を要する。
【0035】
図9は、1ミリ秒の遅延後に各電線が試験される別の例を示す。電線1を0.25ミリ秒の間オフにし、その後で電力降下を評価するための0.75ミリ秒の遅延が続く。このプロセスが8本全ての電線に繰り返され、結果的に9ミリ秒の周期となる。
【0036】
上記した安全アルゴリズムによって繰り返し周波数ベースが導入される場合があり、この結果、低周波の放射性エミッションおよび高レンジの伝導性エミッションの両方が生じる可能性がある。以下のアルゴリズムを利用して、安全メカニズムをよりランダムに分散させ、この繰り返し周波数ベースを回避することができる。
【0037】
EMC(電磁環境適合性)のスペクトルピーキングを排除するために、このアルゴリズムは、図9に0.25ミリ秒+0.75ミリ秒=1.00ミリ秒として示す電線_xの時間スパンを変化させる。2個の乱数を生成することができ、一方の乱数は対称となる電線_x(整数1~8)を選択し、他方の乱数は次の電線_xまでの遅延時間(0.1ミリ秒~0.75ミリ秒)を選択する。この結果、各オフタイム位置が、標準的な10ミリ秒の安全評価時間枠内に定義される9ミリ秒の時間枠内で分散されることになる。
【0038】
障害検出プロセスにおいて使用される上記したプロセスおよび時間間隔は単なる例であること、ならびに、このプロセスは実施形態の範囲から逸脱することなく異なる時間間隔またはアルゴリズムを含み得ることを理解されたい。
【0039】
これらの実施形態は、複数のネットワークデバイスを含むデータ通信ネットワークの環境で動作する。ネットワークは、任意の個数のノード(例えば、ルータ、スイッチ、ゲートウェイ、コントローラ、アクセスポイント、または他のネットワークデバイス)を介して連絡している任意の個数のネットワークデバイスを含むことができ、このことにより、ネットワーク内でのデータの移動が促進される。ネットワークデバイスは、1つまたは複数のネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)(例えば、イーサネット仮想プライベートネットワーク(EVPN)、レイヤ2仮想プライベートネットワーク(L2VPN))、仮想ローカルエリアネットワーク(VLAN)、ワイヤレスネットワーク、企業ネットワーク、共同ネットワーク、データセンター、モノのインターネット(IoT)、インターネット、イントラネット、または任意の他のネットワーク)を介して通信できるか、またはこれらと通信した状態であり得る。
【0040】
図10は、本明細書に記載する実施形態を実装するために使用し得るネットワークデバイス100(例えば、伝達システム、図1のルートプロセッサカードのシャーシ)の例を示す。一実施形態では、ネットワークデバイス100は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組み合わせにおいて実装可能な、プログラム可能なマシンである。ネットワークデバイス100は、1つまたは複数のプロセッサ102と、メモリ104と、インターフェース106と、電線障害および対不均衡検出モジュール108と、を含む。
【0041】
メモリ104は揮発性メモリであっても不揮発性ストレージであってもよく、ここにはプロセッサ102によって実行および使用される様々なアプリケーション、オペレーティングシステム、モジュール、およびデータが格納される。例えば、電線障害および不均衡検出モジュール108の構成要素(例えば、コード、論理回路、またはファームウェア、等)を、メモリ104に格納することができる。ネットワークデバイス100は、任意の個数のメモリ要素を含み得る。
【0042】
ネットワークデバイス100は、任意の個数のプロセッサ102(例えば、シングルまたはマルチプロセッサのコンピューティングデバイスまたはシステム)を含んでもよく、このプロセッサ102は、パケットまたはパケットヘッダを処理するように動作可能な転送エンジンまたはパケットフォワーダと通信し得る。プロセッサ102はソフトウェアアプリケーションまたはモジュールから命令を受信してもよく、これによりプロセッサは、本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態の機能を実行する。
【0043】
論理回路は、プロセッサ102が実行できるように、1つまたは複数の有形媒体にコード化され得る。例えば、プロセッサ102は、メモリ104などのコンピュータ可読媒体に格納されているコードを実行することができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子的(例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み出し専用メモリ)、EPROM(消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ))、磁気的、光学的(例えば、CD、DVD)、電磁的、半導体技術の、または任意の他の好適な媒体であり得る。一例では、コンピュータ可読媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体を備える。図6のフローチャートに関して上記した1つまたは複数の機能、または本明細書に記載する電力レベル調整もしくは安全サブシステムなどの他の機能を実行するために、論理回路を使用することができる。ネットワークデバイス100は、任意の個数のプロセッサ102を含み得る。
【0044】
インターフェース106は、データもしくは電力を受け取るためのまたはデータもしくは電力を他のデバイスに伝送するための、インターフェースまたはネットワークインターフェース(ラインカード、ポート、コネクタ)を任意の数だけ備え得る。ネットワークインターフェースは様々な異なる通信プロトコルを使用してデータを送信または受信するように構成することができ、ネットワークインターフェースまたはワイヤレスインターフェースに結合された物理リンクを介してデータを通信するための機械的回路構成、電気回路構成、および信号回路構成を含み得る。例えば、ラインカードは、ポートプロセッサとポートプロセッサコントローラとを含み得る。インターフェース106は、PoE、改良型PoE、PoE+、UPoE、または類似の動作を行うように構成されてもよい。
【0045】
電線障害および不均衡検出モジュール108は、本明細書に記載する障害検出において使用されるハードウェアまたはソフトウェアを備えてもよい。
【0046】
図10に示す上記したネットワークデバイス100は単なる例であること、および異なる構成のネットワークデバイスを使用してもよいことを理解されたい。例えば、ネットワークデバイス100は、本明細書に記載する能力を促進するように動作可能なハードウェア、ソフトウェア、アルゴリズム、プロセッサ、デバイス、構成要素、または要素の、任意の好適な組み合わせを更に含んでもよい。
【0047】
要約すれば、一実施形態では、方法は、Power over Ethernet(PoE)配電システムにおいてPoEを100ワット超の電力で伝送することであって、配電システムは少なくとも2つの電線対を備える、伝送することと、配電システムの熱状態をモニタすることと、障害がないか電線の各々を定期的にチェックすることと、電線に電気的不均衡がないかチェックすること、を含む。本明細書では装置もまた開示される。
【0048】
方法および装置は示された実施形態に従って記載されているが、これらの実施形態に対して本発明の範囲から逸脱することなく変更を行い得ることを、当業者は認識するであろう。したがって、上記の説明に含まれているおよび添付の図面に示されている内容は、全て例示として解釈されるものであって、限定的な意味で解釈されるものではないことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10