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特許7300468保管格子と外部作業ステーションとの間で共通ロボット車両隊を共有する保管及び回収システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】保管格子と外部作業ステーションとの間で共通ロボット車両隊を共有する保管及び回収システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20230622BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B65G1/00 501H
B65G1/137 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020568298
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 CA2019050404
(87)【国際公開番号】W WO2019232613
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】62/682,691
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/770,788
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520440490
【氏名又は名称】アタボティックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ATTABOTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】スコット グラヴェレ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウィンストン ホープ
(72)【発明者】
【氏名】ダリン ロシュー
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-052670(JP,A)
【文献】特開2010-235212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子構造の3次元構体であって、
2次元面積を占め、また1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記2次元面積にわたり2方向に搬走可能な格子構造の下側トラックレイアウト、及び
前記下側トラックレイアウトの前記2次元面積にわたり前記格子構造の下側トラックレイアウトの上方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の保管カラムであり、前記各保管カラムは順次互いに重なり合うよう配列される複数の保管場所を有し、前記保管場所はそこに保管ユニットを配置及び保管しうるサイズである、該複数の保管カラム、及び
前記下側トラックレイアウトの前記2次元面積にわたり前記格子構造の下側トラックレイアウトの上方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の直立シャフトであり、前記各保管カラムはそれぞれに対応する1つの直立シャフトが隣接し、前記直立シャフトを介して前記保管カラムの前記保管場所に前記1台又はそれ以上の保管/回収車両がアクセスして、前記保管カラムの前記保管場所に対して前記保管ユニットを配置又は取出しができる、該複数の直立シャフト、を有する、該格子構造の3次元構体と、並びに
前記格子構造の3次元構体の脇に沿い、かつ前記保管カラム及び前記直立シャフトが分布される前記下側トラックレイアウトの前記2次元面積の外側に存在する少なくとも1つの作業ステーションであって、前記作業ステーションは、延長トラックによって前記格子構造の下側トラックレイアウトに接合され、前記延長トラックにより1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記作業ステーションと前記下側トラックレイアウトとの間で搬走可能であり、これにより前記保管場所と前記作業ステーションとの間における前記保管ユニットの搬送が前記1台又はそれ以上のロボット保管/回収車両によって全体的に実施可能となる、該少なくとも1つの作業ステーションとを備える、保管システム。
【請求項2】
請求項1記載の保管システムにおいて、前記作業ステーションは、単に前記延長トラック及び前記延長トラック上で搬走可能な前記1台又はそれ以上の保管/回収車両によってのみ差配される、保管システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の保管システムにおいて、前記延長トラックは、前記延長トラックの互いに対向する端部で前記格子構造の3次元構体の前記下側トラックレイアウトに連結し、これにより前記各保管/回収車両が、前記延長トラックの一方の端部で前記格子構造の3次元構体から退出し、また前記延長トラックの他方の端部で前記格子構造の3次元構体に再進入する方向に前記延長トラックを横行する、保管システム。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項記載の保管システムにおいて、前記作業ステーションはシュートを備え、前記延長トラックは、前記シュートによって少なくとも部分的に包囲される、保管システム。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項記載の保管システムにおいて、前記延長トラックは、前記作業ステーションの一方の端部に又は該一方の端部に隣接する位置に設けられる入口で前記作業ステーションに進入し、また前記作業ステーションの反対側の端部における又は反対側端部に隣接する位置する出口で前記作業ステーションから退出する、保管システム。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項記載の保管システムにおいて、前記作業ステーションはエンクロージャを有し、前記エンクロージャ内に前記延長トラックが前記格子構造の下側トラックレイアウトから延長する、保管システム。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項記載の保管システムにおいて、前記作業ステーションは前記延長トラックによって差配されるアクセス開口を有し、1台の前記保管/回収車両が前記作業ステーションの前記アクセス開口に到着するとき、前記アクセス開口を介して該保管/回収車両上に担持された保管ユニットにアクセスする、保管システム。
【請求項8】
請求項7記載の保管システムにおいて、前記作業ステーションは前記アクセス開口が空いている天板を有し、また前記延長トラックは前記天板の下方で延在する、保管システム。
【請求項9】
請求項1記載の保管システムにおいて、前記少なくとも1つの作業ステーションは複数の作業ステーションを有し、各作業ステーションはそれぞれに対応する延長トラックによって前記格子構造の下側トラックレイアウトに結合される、保管システム。
【請求項10】
請求項1記載の保管システムにおいて、保管ユニットのグループの前記格子構造の3次元構体から前記作業ステーションへのシーケンス付け配送を組織化するよう構成された少なくとも1つのプロセッサであって、(a) 複数の保管/回収車両に対してそれぞれに対応する保管場所から前記保管ユニットを回収するよう命令する信号を生成するステップと、及び(b) 前記複数の保管/回収車両に対して特別なシーケンスで前記保管/回収車両の前記延長トラックへの到着を統制するよう前記格子構造の3次元構体中をナビゲート走行するよう命令する信号を生成するステップとを含む、該プロセッサを備える、保管システム。
【請求項11】
請求項10記載の保管システムにおいて、前記少なくとも1つのプロセッサは、ステップ(b) が、前記複数の保管/回収車両のうちから、第2保管/回収車両よりも高くランク付けされるシーケンス優先度を有する第1保管/回収車両を識別するステップ、及び前記第2保管/回収車両に対して、前記第1保管/回収車両が前記格子構造の下側トラックレイアウトに沿って前記延長トラックに搬走している間に前記延長トラックに関して妨害しない関係にある前記格子構造の3次元構体内の駐車スポットに前記第2保管/回収車両を駐車するよう命令する信号を生成するステップを有するよう構成される、保管システム。
【請求項12】
保管システムにおいて、
1台又はそれ以上の保管/回収車両と、
格子構造の3次元構体であって、
2次元面積を占め、また前記1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記2次元面積にわたり2方向に搬走可能な格子構造のトラックレイアウト、及び
前記トラックレイアウトの前記2次元面積全体にわたり前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の保管カラムであり、前記各保管カラムは順次互いに重なり合うよう配列される複数の保管場所を有し、前記保管場所はそこに保管ユニットを配置及び保管し得るサイズである、該複数の保管カラム、及び
前記トラックレイアウトの前記2次元面積にわたり前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の直立シャフトであり、前記各保管カラムはそれぞれに対応する1つの前記直立シャフトが隣接し、前記直立シャフトを介して前記保管カラムの前記保管場所に前記1台又はそれ以上の保管/回収車両がアクセスして、前記保管カラムの前記保管場所に対して前記保管ユニットを配置又は取出しができる、該複数の直立シャフト、を有する、該格子構造の3次元構体と、並びに
前記保管カラム及び前記直立シャフトが分布される前記トラックレイアウトの前記2次元面積の外側に存在する少なくとも1つの作業ステーションとを備え、
前記少なくとも1つの作業ステーションと格子構造3次元構体内の前記保管場所との間における前記保管ユニットの搬送は前記1台又はそれ以上のロボット保管/回収車両によってのみ実施される、保管システム。
【請求項13】
請求項12記載の保管システムにおいて、保管ユニットのグループの前記格子構造の3次元構体から前記作業ステーションへのシーケンス付け配送を組織化するよう構成された少なくとも1つのプロセッサを備え該少なくとも1つのプロセッサは、(a) 複数の保管/回収車両に対してそれぞれに対応する保管場所から前記保管ユニットを回収するよう命令する信号を生成するステップと、及び(b) 前記複数の保管/回収車両に対して特別なシーケンスで前記保管/回収車両の前記作業ステーションへの到着を統制するよう前記格子構造の3次元構体中をナビゲート走行するよう命令する信号を生成するステップとを含む、保管システム。
【請求項14】
請求項13記載の保管システムにおいて、前記少なくとも1つのプロセッサは、ステップ(b) が、前記複数の保管/回収車両のうちから、第2保管/回収車両よりも高くランク付けされるシーケンス優先度を有する第1保管/回収車両を識別するステップ、及び前記第2保管/回収車両に対して、前記第1保管/回収車両の前記作業ステーションへの搬走に関して妨害しない関係にある前記格子構造の3次元構体内の駐車スポットに前記第2保管/回収車両を駐車するよう命令する信号を生成するステップを有するよう構成される、保管システム。
【請求項15】
請求項12に記載の保管システムにおいて、
前記少なくとも1つの作業ステーションは、前記1台又はそれ以上の保管/回収車両が搬送可能なエンクロージャと、前記エンクロージャにおけるアクセス開口を有し、
前記1台又はそれ以上の保管/回収車両のうちの一台上に担持される保管ユニットは、該保管ユニットを担持する前記保管/回収車両が前記少なくとも1つの作業ステーションの前記アクセス開口に到達するときにアクセス可能である、
保管システム。
【請求項16】
請求項15記載の保管システムにおいて、前記エンクロージャは、入口スポット及びこの入口とは反対側の端部における出口スポットを有し、記保管/回収車両は、前記入口スポットと前記出口スポットとの間の走行中に前記アクセス開口を通過して走行す、保管システム。
【請求項17】
請求項15記載の保管システムにおいて、前記作業ステーションは前記アクセス開口が空いている天板を有し、また前記エンクロージャは前記天板の下方で延在する、保管システム。
【請求項18】
請求項12記載の保管システムにおいて、前記保管システムは、前記3次元構体と前記少なくとも1つの作業ステーションとの間にいかなるコンベヤーもない、保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件出願は、2018年6月8日付けで米国特許商標局(USPTO)に出願された「改良型保管及び回収システム」と題する米国仮出願番号62/682,691号、並びに2018年11月22日付けで米国特許商標局(USPTO)に出願された「改良型保管及び回収システム」と題する米国仮出願番号62/770,788号の優先権及び恩恵を主張しており、各米国仮特許出願が参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする、2019年4月3日付けでカナダ国知的所有権局に出願された「改良型保管及び回収システム」と題する国際出願番号第PCT/CA2019/050404号の特許協力条約(PCT)国際出願の国内段階出願である。
本発明は、総じて受注処理環境に有用な自動保管及び回収システムに関するものである。
本発明は、総じて受注処理環境に有用な自動保管及び回収システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする、本願人による先行PCT出願である特許文献1(国際公開第2016/172793号)は、対応するビン又は他の保管ユニットが保持されている保管場所の3次元アレイに対してロボット保管/回収車両の車両隊をナビゲートする3次元保管格子構体を採用しているグッズ・トゥ・マン保管及び回収システムを開示した。この保管/回収車両は、保管場所の3次元アレイの上方に配置した格子構造の上側トラックレイアウト、及び保管場所のアレイ下方の接地面レベルに配置した格子構造の下側トラックレイアウトの双方において2次元的に水平方向に移動する。同一の保管/回収車両は、さらに、上側及び下側のトラックレイアウトにともに結合する垂直方向の縦シャフトで第3の垂直次元にある構体を移動する。保管場所の各カラムは、これら縦シャフトのうち1つが隣接し、これにより格子における各及びすべての保管場所に保管/回収車両が直接アクセス可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/172793号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
継続的開発はシステム設計、及びこれらに対する新規な用途に多くの改善をもたらされており、これらの詳細は以下の開示からより明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様によれば保管システムを提供し、この保管システムは、
格子構造の3次元構体であって、
2次元面積を占め、また1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記2次元面積にわたり2方向に搬走可能な格子構造の下側トラックレイアウト、及び
前記下側トラックレイアウトの前記2次元面積にわたり前記格子構造の下側トラックレイアウトの上方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の保管カラムであり、前記各保管カラムは順次互いに重なり合うよう配列される複数の保管場所を有し、前記保管場所はそこに保管ユニットを配置及び保管しうるサイズである、該複数の保管カラム、及び
前記下側トラックレイアウトの前記2次元面積にわたり前記格子構造の下側トラックレイアウトの上方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の直立シャフトであり、前記各保管カラムはそれぞれに対応する1つの直立シャフトが隣接し、前記直立シャフトを介して前記保管カラムの前記保管場所に前記1台又はそれ以上の保管/回収車両がアクセスして、前記保管カラムの前記保管場所に対して前記保管ユニットを配置又は取出しができる、該複数の直立シャフト、を有する、該格子構造の3次元構体と、並びに
前記格子構造の3次元構体の脇に沿い、かつ前記保管カラム及び前記直立シャフトが分布される前記下側トラックレイアウトの前記2次元面積の外側に存在する少なくとも1つの作業ステーションであって、前記作業ステーションは、延長トラックによって前記前記格子構造の下側トラックレイアウトに接合され、前記延長トラックにより前記1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記作業ステーションと前記下側トラックレイアウトとの間で搬走可能であり、これにより前記保管場所と前記作業ステーションとの間における前記保管ユニットの搬送が前記1台又はそれ以上のロボット保管/回収車両によって全体的に実施可能となる、該少なくとも1つの作業ステーションとを備える。
【0006】
本発明の第2態様によれば保管システムを提供し、この保管システムは、
1台又はそれ以上の保管/回収車両と、
格子構造の3次元構体であって、
2次元面積を占め、また前記1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記2次元面積にわたり2方向に搬走可能な格子構造のトラックレイアウト、及び
前記トラックレイアウトの前記2次元面積全体にわたり前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の保管カラムであり、前記各保管カラムは順次互いに重なり合うよう配列される複数の保管場所を有し、前記保管場所はそこに保管ユニットを配置及び保管し得るサイズである、該複数の保管カラム、及び
前記トラックレイアウトの前記2次元面積内に前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の直立シャフトであり、前記各保管カラムはそれぞれに対応する1つの前記直立シャフトが隣接し、前記直立シャフトを介して前記保管カラムの前記保管場所に前記1台又はそれ以上の保管/回収車両がアクセスして、前記保管カラムの前記保管場所に対して前記保管ユニットを配置又は取出しができる、該複数の直立シャフト、を有する、該格子構造の3次元構体と、並びに
前記保管カラム及び前記直立シャフトが分布される前記トラックレイアウトの前記2次元面積の外側に存在する少なくとも1つの作業ステーションとを備え、
前記少なくとも1つの作業ステーションと前記格子構造3次元構体内の前記保管場所との間における前記保管ユニットの搬送は前記1台又はそれ以上のロボット保管/回収車両によってのみ実施される。
【0007】
本発明の第3態様によれば保管システムを提供し、この保管システムは、
1台又はそれ以上の保管/回収車両と、
保管ユニットを配置及び保管し得るサイズである保管場所3次元アレイを有する3次元構体と、及び
前記保管場所から選択された保管ユニットが前記少なくとも1台の保管/回収車両によって搬送可能である少なくとも1つの作業ステーションと、を備え、
前記各作業ステーションは、前記1台又はそれ以上の保管/回収車両が搬走可能なエンクロージャと、前記エンクロージャにおけるアクセス開口とを有し、前記車両が前記ワークステーションの前記アクセス開口に到着するとき1台の前記保管/回収車両上に担持された保管ユニットにアクセスできる。
【0008】
本発明の第4態様によればグッズ・トゥ・パーソン受注システムのための作業ステーションを提供し、この作業ステーションは、前記作業ステーションの使用中に回収された保管ユニットが搬送される規定通路と、及び
前記規定通路の周りに少なくとも部分的に範囲が及ぶエンクロージャと、及び
前記エンクロージャに貫通するアクセス開口であって、前記規定通路に沿って搬送される所与の保管ユニットが前記アクセス開口の位置に到着する際に、前記アクセス開口から前記保管ユニットにアクセス可能となる、該アクセス開口と、及び
前記アクセス開口における作業者の手の挿入を検出するよう動作可能な手感知機構とを備える。
【0009】
本発明の第5態様によれば保管システムを提供し、この保管システムは、
1台又はそれ以上の保管/回収車両と、
格子構造の3次元構体であって、
2次元面積を占め、また前記1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記2次元面積にわたり2方向に搬走可能な格子構造のトラックレイアウト、及び
前記トラックレイアウトの前記2次元面積内に前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の保管カラムであり、前記各保管カラムは順次互いに重なり合うよう配列される複数の保管場所を有し、前記保管場所はそこに保管ユニットを配置及び保管し得るサイズである、該複数の保管カラム、及び
前記トラックレイアウトの前記2次元面積内に前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の直立シャフトであり、前記各保管カラムはそれぞれに対応する1つの前記直立シャフトが隣接し、前記直立シャフトを介して前記保管カラムの前記保管場所に前記1台又はそれ以上の保管/回収車両がアクセスして、前記保管カラムの前記保管場所に対して前記保管ユニットを配置又は取出しができる、該複数の直立シャフト、を有する、該格子構造の3次元構体と、並びに
1組の検出可能なマーカーのセット、及び前記検出可能なマーカーを検出するよう動作可能である1組のセンサのセットであって、第1の前記検出可能なマーカー又はセンサは、前記格子構造トラックレイアウトにおける前記直立シャフトの上方又は下方にあるスポット又はその近傍で前記格子構造3次元格子構体内に支持され、第2の前記検出可能なマーカー又はセンサは、前記保管/回収車両に担持される、該検出可能なマーカーのセット及びセンサのセットと、を備え、
任意な1台の前記保管/回収車両が行先とされる標的シャフト上方又は下方の対応するスポットへの到着中に、前記センサによる対応する前記マーカーの検出を使用して、前記保管/回収車両の前記標的シャフトに対する整列をチェック及び調整してから、前記保管/回収車両の前記格子構造トラックレイアウトから前記標的シャフト内への移行を試みる。
【0010】
本発明第6態様によれば、格子構造3次元構体における1台又はそれ以上の保管/回収車両の位置決めを制御する方法であり、前記1台又はそれ以上の保管/回収車両が、格子構造トラックレイアウトで2次元方向及び直立シャフトにおける3次元方向に搬走可能であり、前記直立シャフトの軸線は前記格子構造トラックレイアウトに直交するものである方法を提供し、この方法は、(a) 1組の検出可能なマーカーのセット又は1組のセンサのセットいずれかの第1セットを、前記格子構造トラックレイアウトにおける前記直立シャフトの上方又は下方にあるスポット又はその近傍で前記格子構造3次元格子構体内に支持し、また前記1組の検出可能なマーカーのセット又は前記1組のセンサのセットいずれかの第2セットを、前記保管/回収車両に担持し、前記センサは前記検出可能なマーカーを検出するよう動作可能であるステップと、(b) 任意な1台の前記保管/回収車両が行先とされる標的シャフト上方又は下方の対応するスポットへの到着中に、前記1つのセンサを使用して前記1つの検出可能なマーカーを検出するステップと、及び(c) 前記1つのセンサによる前記マーカーの検出を使用して、前記保管/回収車両の前記標的シャフトに対する整列を検出及び調整してから、前記1台の保管/回収車両の前記格子構造トラックレイアウトから前記標的シャフト内への移行を試みるステップと、を備える。
【0011】
本発明の第7態様によれば保管システムを提供し、この保管システムは、
格子構造の3次元構体であって、
2次元面積を占め、また1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記2次元面積にわたり2方向に搬走可能な格子構造の下側トラックレイアウト、及び
前記下側トラックレイアウトの前記2次元面積にわたり前記格子構造の下側トラックレイアウトの上方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の保管カラムであり、前記各保管カラムは順次互いに重なり合うよう配列される複数の保管場所を有し、前記保管場所はそこに保管ユニットを配置及び保管し得るサイズである、該複数の保管カラム、及び
前記下側トラックレイアウトの前記2次元面積にわたり前記格子構造の下側トラックレイアウトの上方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の直立シャフトであり、前記各保管カラムはそれぞれに対応する1つの前記直立シャフトが隣接し、前記直立シャフトを介して前記保管カラムの前記保管場所に前記1台又はそれ以上の保管/回収車両がアクセスして、前記保管カラムの前記保管場所に対して前記保管ユニットを配置又は取出しができる、該複数の直立シャフト、を有する、該格子構造の3次元構体と、並びに
対応する1つの前記直立シャフトの下方にある前記下側トラックレイアウトの各スポットにおけるそれぞれに対応するリフト機構であって、前記格子構造下側トラックレイアウト内に設置し、また任意な1台の保管/回収車両を、対応する1つの直立シャフトの下端部に上方にリフトするよう動作可能な、該リフト機構と、を備える。
【0012】
本発明の第8態様によれば自動化保管システムで保管ユニットを搬送する保管/回収車両を提供し、この保管/回収車両は、1つの前記保管ユニットの下面に類似するサイズ及び形状の着床エリアを有する上側プラットフォームと、及び前記着床エリアの外周縁近傍の位置における1組の装荷状態センサのセットとを備え、前記装荷状態センサのすべてによる前記1つの保管ユニットの下面検出は、前記1つの保管ユニットが前記プラットフォームに対して完全に装荷されまた適正に整列した状態にあることを確認するとともに、前記装荷状態センサの部分集合のみによる前記1つの保管容器の下面検出は、前記1つの保管ユニットが前記プラットフォームに対して部分的に装荷されまた不適正に整列した状態にあることを示す。
【0013】
本発明の第9態様によれば保管システムから回収した保管ユニットをシーケンス化して作業ステーションの入口又は取込みポイントに提示する方法を提供し、この方法は、(a) 格子構造3次元構体を設ける構築ステップであり、前記格子構造3次元構体は、
2次元面積を占め、また1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記2次元面積にわたり2方向に搬走可能な格子構造のトラックレイアウト、及び
前記トラックレイアウトの前記2次元面積内に前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の保管カラムであり、前記各保管カラムは順次互いに重なり合うよう配列される複数の保管場所を有し、前記保管場所はそこに保管ユニットを配置及び保管し得るサイズである、該複数の保管カラム、及び
前記トラックレイアウトの前記2次元面積にわたり前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の直立シャフトであり、前記各保管カラムはそれぞれに対応する1つの前記直立シャフトが隣接し、前記直立シャフトを介して前記保管カラムの前記保管場所に前記1台又はそれ以上の保管/回収車両がアクセスして、前記保管カラムの前記保管場所に対して前記保管ユニットを配置又は取出しができる、該複数の直立シャフト、を有する、該構築ステップと、(b) 対応する保管場所から前記作業ステーションに配送するよう指定された対応する保管ユニットを前記保管/回収車両に回収させ、また前記シャフトのうち1つを経由して前記回収済み保管ユニットを前記格子構造トラックレイアウトに搬送するステップと、(c) 前記格子構造3次元構体とともに、前記回収した保管ユニットの前記作業ステーションの入口へのシーケンス化配送を統制するステップとを備える。
【0014】
本発明の第10態様によれば保管システムを提供し、この保管システムは、
格子構造の3次元構体であって、
2次元面積を占め、また1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記2次元面積にわたり2方向に搬走可能な格子構造のトラックレイアウト、及び
前記トラックレイアウトの前記2次元面積内に前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の保管カラムであり、前記各保管カラムは順次互いに重なり合うよう配列される複数の保管場所を有し、前記保管場所はそこに保管ユニットを配置及び保管し得るサイズである、該複数の保管カラム、及び
前記トラックレイアウトの前記2次元面積内に前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の直立シャフトであり、前記各保管カラムはそれぞれに対応する1つの前記直立シャフトが隣接し、前記直立シャフトを介して前記保管カラムの前記保管場所に前記1台又はそれ以上の保管/回収車両がアクセスして、前記保管カラムの前記保管場所に対して前記保管ユニットを配置又は取出しができる、該複数の直立シャフト、を有する、該格子構造の3次元構体と、並びに
前記格子構造3次元構体の脇に沿い、かつ前記保管カラム及び前記直立シャフトが分布される前記トラックレイアウトの前記2次元面積の外側に存在する少なくとも1つの作業ステーションと、並びに
保管ユニットのグループの前記3次元格子構体から前記作業ステーションへのシーケンス付け配送を組織化するよう構成された少なくとも1つのプロセッサであって、(a) 複数の保管/回収車両に対してそれぞれに対応する保管場所から前記保管ユニットを回収するよう命令する信号を生成するステップ、及び(b) 前記複数の保管/回収車両に対して特別なシーケンスで前記保管/回収車両の前記作業ステーションへの到着を統制するよう前記格子構造の3次元構体でナビゲート走行するよう命令する信号を生成するステップを含む、該少なくとも1つのプロセッサと、を備える。
【0015】
本発明の第11態様によれば注文出荷を準備しバッファリングする方法を提供し、この方法は、(a) 格子構造3次元構体を設ける構築ステップであり、前記格子構造3次元構体は、
複数の保管/回収車両、
2次元面積を占め、また1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記2次元面積にわたり2方向に搬走可能な格子構造のトラックレイアウト、及び
前記下側トラックレイアウトの前記2次元面積内に前記格子構造の下側トラックレイアウトの上方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の保管カラムであり、前記各保管カラムは順次互いに重なり合うよう配列される複数の保管場所を有し、前記保管場所はそこに保管ユニットを配置及び保管し得るサイズである、該複数の保管カラム、及び
前記下側トラックレイアウトの前記2次元面積内に前記格子構造の下側トラックレイアウトの上方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の直立シャフトであり、前記各保管カラムはそれぞれに対応する1つの前記直立シャフトが隣接し、前記直立シャフトを介して前記保管カラムの前記保管場所に前記1台又はそれ以上の保管/回収車両がアクセスして、前記保管カラムの前記保管場所に対して前記保管ユニットを配置又は取出しをすることができる、該複数の直立シャフト、及び
少なくとも1つの作業ステーションであり、前記保管場所から取り出され、また前記格子構造下側トラックに搬送される品目が前記保管/回収車両により前記格子構造下側トラックレイアウトに沿って前記作業ステーションの入口に配送可能である、該少なくとも1つの作業ステーション、を有する、該構築ステップと、(b) 前記保管/回収車両のグループに対して、注文を充足するに必要な品目の特定収集を回収させ、また前記格子構造下側トラックレイアウトに降ろされた回収済み品目を前記作業ステーションの前記入口に向けて搬送させるステップと、及び(c) 前記作業ステーションで、完全に又は部分的に充足した注文を形成するよう前記品目の特定収集を集合させ、また前記完全に又は部分的に充足した注文をコンテナ内に配置するステップと、及び(d) 前記コンテナを前記保管/回収車両のうち1台上に装荷した状態で、前記1台の保管/回収車両を1つの前記保管場所にまで走行させ、前記1つの保管場所で前記コンテナを載置させ、これにより後の時点での更なる完了又は輸送のために前記完全に又は部分的に充足した注文品を保管するステップとを備える。
【0016】
本発明の第12態様によれば、コンテナを輸送する仕分け/バッファリングシステムを提供し、この仕分け/バッファリングシステムは、
1台又はそれ以上の保管/回収車両であって、それぞれが選択的に輸送コンテナを担持するよう前記保管/回収車両に配置される装荷エリアを有する、該1台又はそれ以上の保管/回収車両と、
格子構造の3次元構体であって、
2次元設置面積を占め、また前記1台又はそれ以上の保管/回収車両が前記2次元面積にわたり2方向に搬走可能な格子構造のトラックレイアウト、
前記トラックレイアウトの前記2次元設置面積内に前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の保管カラムであり、前記各保管カラムは順次互いに重なり合うよう配列される複数の保管場所を有し、前記保管場所はそこに保管ユニットを配置及び保管し得るサイズである、該複数の保管カラム、及び
前記トラックレイアウトの前記2次元設置面積内に前記格子構造のトラックレイアウトの上方又は下方に互いに離間した状態で分布して存在する複数の直立シャフトであり、前記直立シャフトを経て前記1台又はそれ以上の保管/回収車両が、前記格子構造トラックレイアウトに対して3次元に走行することができ、前記各保管カラムはそれぞれに対応する1つの前記直立シャフトが隣接し、前記直立シャフトを介して前記保管カラムの前記保管場所に前記1台又はそれ以上の保管/回収車両がアクセスして、前記保管カラムの前記保管場所に対して前記輸送コンテナを配置又は取出しができる、該複数の直立シャフト、を有する、該格子構造の3次元構体と、を備える。
【0017】
本発明の好適な実施形態を以下に添付図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願人による上述した先行PCT出願からの3次元格子構体であり、この構体において保管ユニットの3次元アレイが収納され、またこの構体に対してロボット保管/回収車両の車両隊が3次元に移動して各保管ユニットにアクセスすることができる、該3次元格子構体の斜視図である。
図2】本発明による変更した3次元格子構体の斜視図である。
図3図2の3次元格子構体の簡略化した部分斜視図であり、1つのコーナーにおける格子構体の1対の交差外壁を示し、該外壁の細部を明らかにするよう作業ステーションは省いてある。
図4】格子から外方に面する外側から見た、図2の3次元格子から1つの作業ステーションを切り離し斜視図である。
図5】格子の内方に面する内側から見た、図4の作業ステーションの切り離し斜視図である。
図6図5の作業ステーションにおける内側の他の斜視図である。
図6A図6で細部円のマーク付けした図6の一部分の部分拡大図である。
図7図4~6の作業ステーション及び、作業ステーションが設置されている3次元格子構体の下側トラックレイアウトの隣接エリアにおける上方から見た概略的平面図である。
図7E図7の作業ステーションにおける保管/回収車両の順次到着の統制を示し、この統制は、該車両で処理される保管ユニットに割り当てられた優先ランク付けに従って下側トラックレイアウト上における該車両の選択的な駐車及び前進によって行う。
図8図2の3次元格子の下側トラックのセグメントを示し、この下側トラックに沿って1台のロボット保管/回収車両を走行する。
図9図8において細部円Aでマーク付けした部分の部分拡大図である。
図10】ロボット保管/回収車両が上方に移動しようとする3次元格子の垂直シャフト下方の発進スポットで3次元格子の下側トラック上に1台のロボット保管/回収車両がある状態を示す立面図である。
図11図10の下側トラック発進スポットにロボットがある状態の斜視図である。
図12図10において細部円Aでマーク付けした部分の部分拡大図である。
図13図11において細部円Bでマーク付けした部分の部分拡大図である。
図14図12と同一のロボット保管/回収車両及び下側トラック交差ポイントの他の拡大図であるが、下側トラック下方に備え付けたリフト機構によってロボット保管/回収車両を上昇させてシャフトの直立フレーム部材のラック歯に係合させた状態を示す。
図15図13と同一のロボット保管/回収車両及び下側トラック交差ポイントの他の拡大図であるが、ロボット保管/回収車両が図14の上昇位置にある状態を示す。
図16図10~13のロボット保管/回収車両及びリフト機構の頂部から見た斜視図であるが、下側トラック及び直立シャフト部材から切り離して示す。
図17図10~13のロボット保管/回収車両及びリフト機構の底部から見た斜視図であるが、下側トラック及び直立シャフト部材から切り離して示す。
図18図14のロボット保管/回収車両及びリフト機構の頂部から見た斜視図であるが、下側トラック及び直立シャフト部材から切り離して示す。
図19図15のロボット保管/回収車両及びリフト機構の底部から見た斜視図であるが、下側トラック及び直立シャフト部材から切り離して示す。
図20】ロボット保管/回収車両及びこの車両上で運搬可能な適合する保管ユニットを示す。
図21】ロボット保管/回収車両及びこの車両上で運搬可能な適合する保管ユニットを示す。
図22図1及び2の保管システムと同一の3次元格子構体を採用するが、予め梱包した輸送用コンテナの管理に使用するための格子に対処する異なるステーションレイアウトを有する仕分け/バッファリング(一時保管)格子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本願人による上述した先行PCT出願からの3次元格子構体を示す。格子構造の上側トラックレイアウト10は、接地面レベルに近接する下側水平平面に位置する適合格子構造の下側トラックレイアウトから上方に上昇した水平平面に存在する。これら上側及び下側のトラックレイアウトは、保管場所の3次元アレイであり、各保管場所は、例えば、任意の様々なグッズを中に保持できる頂部開放若しくは開閉可能なトレイ、ビン、又はトートバッグの形態である、それぞれに対応する保管ユニットを保持する。保管場所は垂直カラムに配列し、これら垂直カラムにおいて等しい設置面積を有する保管場所が順次に整列する。このような各保管カラムは、それら保管場所にアクセス可能な垂直シャフトによって隣接される。
【0020】
各トラックレイアウトは、水平平面のX方向に延設するX方向レールのセット及び水平平面のY方向に延設するY方向レールのセットを有することに特徴がある。これら交差するレールは、保管システムの水平基準格子を画定し、各水平格子行はX方向レールの隣接対間において区切られ、また各水平格子列はY方向レールの隣接対間において区切られる。1つの水平格子列及び1つの水平格子行間の各交差ポイントは、それぞれに対応する保管カラム又はそれぞれに対応する保管直立シャフトの位置を規定する。換言すれば、各保管カラム及び各シャフトは、2つのX方向レールと2つのY方向レールとの間で区切られる対応のエリアにおける基準格子のそれぞれに対応するデカルト座標ポイントに存在する。いずれかのトラックレイアウトにおける4つのレール間に区切られるこのような各エリアは、そのトラックレイアウトのそれぞれに対応する「スポット」とも称される。システムにおける各保管場所及び関連の保管ユニットの3次元アドレス指定は、対応するカラム内に所定保管場所が存在する所定垂直レベルによって完結する。すなわち、各保管場所の3次元アドレスは、3次元格子における水平格子行、水平格子列及び垂直カラムレベルによって指示される。
【0021】
それぞれに対応する直立フレーム部材12は、上側及び下側のトラックレイアウト間でX方向レールとY方向レールとの間の各交差ポイントで垂直方向にわたり、したがって、この骨組み内に保管ユニットの3次元アレイを収納及び組織化する3次元格子構体の骨組みを画定するトラックレールと連携する。この結果として、3次元保管アレイの各直立シャフトは、4つのコーナーでシャフトの全高にわたる4つの垂直方向フレーム部材を有する。各フレーム部材は、フレーム部材の2つの側面で3次元格子における垂直のZ方向に連続して配列したそれぞれに対応するラック歯のセットを有する。各シャフトは、したがって、シャフトの各コーナーにおける2つのラック歯セットを有して、合計でラック歯の8つのセットを有し、これらラック歯は、ロボット保管/回収車両における8個のピニオンホイールと連携動作して3次元格子構体のシャフトにわたり上側及び下側のトラックレイアウト間におけるロボット保管/回収車両の縦走を可能にする。各ロボット保管/回収車両14は、上側及び下側のトラックレイアウト上においてトラック乗軌モードでロボット保管/回収車両を搬送するための丸い搬送ホイール、及びラック装備シャフトにわたりシャフト縦走モードでロボット保管/回収車両を縦走させる歯付きピニオンホイールの双方を有する。各ピニオンホイール及びそれぞれに対応する搬送ホイールは、組み合わせた単独のホイールユニットの部品であり、このホイールユニットは、いずれかのトラックレイアウト上におけるトラック乗軌モードでの搬送ホイール使用のため車両から車外方向に伸展可能であり、ピニオンホイールがシャフトの直立フレーム部材のラック歯に係合するシャフト縦走モードでのピニオンホイール使用のため車両の車内方向に引込み可能である。
【0022】
格子構体の骨組みは、それぞれに対応する保管ユニットを支持するための各保管場所における対応する棚を有し、これにより、任意な所定保管ユニット16は、同一の保管カラムにおいて保管ユニットの上下を邪魔することなく、1つのロボット回収車両によって保管場所から取り出すことができる。同様に、このことは、アレイにおける任意なレベルの規定場所に保管ユニットを帰還させることを可能にする。3次元格子の底部における下側格子構造トラックレイアウトは、周縁に分布させた多数の作業ステーション18を有し、これら作業ステーション18に向けてロボット回収車両14が保管カラムから引き出した保管ユニットを配送する。本明細書においてそうでないことを明記しない限り、3次元格子構体の骨組み、ロボット保管/回収車両、上側及び下側トラックレイアウト上における及びシャフトにわたる車両の移動、トラック乗軌モードとシャフト縦走モードとの間における移行は、上述した本願人の先行PCT出願に記載したのと同一である。
【0023】
従来型3次元格子構体を変更した形態を示し、この従来型3次元格子構体は、上側及び下側のトラックレイアウト、並びに保管ユニットを保管場所内に支持するため保管場所での棚付けを行うよう上側及び下側のトラックレイアウト間に張り渡した直立フレーム部材を特徴とするものであり、またやはり、シャフトにわたりロボット保管/回収車両を垂直移動させることを可能にするロボット保管/回収車両のピニオンホイールが係合可能なラック歯を担持する。この棚付けは、隣接アクセスシャフトからロボット保管/回収車両がそのカラムにおける保管ユニットにアクセスする、該隣接アクセスシャフトに開放している4番目のシャフト隣接側面以外における保管カラムの3つの側面においてフランジ付きパネル又はレールの形態とすることができ、これにより、この4番目の開放側面は、各車両における後退可能なタレットアームの保管カラム内への挿入及び引き出しを可能にし、保管ユニットの下側面に係合することによって保管ユニットを保管カラム内外に引き出し及び押し込みをする。
【0024】
上述した本願人の先行PCT出願で概説したように、外周縁に配置される垂直シャフトのサブセットは、保管ユニットを1つの作業ステーション18に配送した後に下側トラックレイアウトから上側トラックレイアウトにロボット保管車両が上行移動専用にされる「アップシャフト(up-shaft)」とすることができるとともに、他の垂直シャフトは、取出し、補充又は他の操作のため、3次元保管アレイからの保管ユニット回収中に、又は1つの作業ステーション18に保管ユニットを既に配送した後に、保管ユニットを3次元アレイに戻す帰還中に、ロボット保管車両が上側トラックレイアウトから下行移動専用にされる「ダウンシャフト(down-shaft)」である。
【0025】
図2の3次元格子構体は、格子構体の外周縁における直立フレーム部材に被覆パネル20を付加し、格子構体の4つすべての側面をほぼ閉鎖する外側壁を生ずるようにし、したがって、内部を視覚的に隠すようにした点、及び直立フレーム部材12が頂部セグメント22を有し、これら頂部セグメントは、上側トラック部材の交差ポイントで上側トラック部材のレールを直立フレームから直立させ、また図2に示す格子構体の特別な広視野角度から見た上側トラックを目立たなくする点で図1のものと異なる。シャフトのこれら頂部セグメントは、ロボット保管/回収車両を必要なときに再充電することができる充電ステーションハードウェアを備え付けるために使用することができる。しかし、上側トラックレイアウトの構造及び目的、並びに直立フレーム部材によって格子構体内側のシャフト及び保管カラムの形態は、本願人による先行PCT出願に十分記載されており、本明細書で詳細に図解又は説明する必要はない。
【0026】
次に、図3~6につき説明すると、これは、作業ステーション18の新規な構造及びロボット保管/回収車両によるこの構造との新規な相互作用に注意を向けるものである。しかし、下側トラックレイアウトの2つの外側側辺を形成し、また格子構体の各外側コーナーで交差する下側トラックレイアウト28における1つのX方向レール24及び1つのY方向レール26を示す。下側トラックレイアウトの残りの部分は、これら2つの特別なレールを接地面から上昇させている支持レッグ30のみを示す。格子構体の直立フレーム部材12のうち格子構体の2つの外側側辺における図示した2つのレール24、26から直立するもののみを示し、これら直立フレーム部材12の頂部セグメント22は省略してある。格子構体の全周にわたり被覆パネル20は下側トラックレイアウト28までは完全に下方に延在せず、その上方に僅かに上昇した関係となる箇所で終端し、下側トラックレイアウトのレールに取り付け、また直立する直立フレーム部材の底部セグメント32が被覆されずに残る。このことは、直立フレーム部材12の隣接対毎における底部セグメント32間に開放空間34を残す。これら開放空間34によれば、ロボット保管/回収車両14が下側トラック28で3次元格子構体に出入りすることを可能にし、また3次元格子構体と作業ステーション18との間で移行することを可能にする。
【0027】
以下に詳細に説明するように、このことは、グッズ・トゥ・マン受注処理の新規な解決法を可能にし、3次元に移動できるロボット保管/回収車両が、格子の3次元空間における任意な場所から保管ユニットを初期回収して、保管ユニットを作業ステーションに配送する全体的注文品取出し操作を通じて保管ユニット搬送の1つの手段を提供し、この操作には、ワークステーションにおける人間又はロボットの取出し機(ピッカー)に対する保管ユニットの提示、及びその後格子における任意な3次元的場所に保管ユニットの戻しを含み、保管ユニットは、ロボット保管/回収車両から荷下ろしされること、及び別個のコンベヤーによって搬送されることは決してないものである。
【0028】
図4~6は3次元保管格子から切り離した1つの作業ステーション18を示す。各ワークステーション18は、作業ステーション18の長さに沿って延びている1対の長手方向レール38a、38bを有する格子構造の下側トラック36を特徴とする。この下側トラックは、さらに、長手方向レール38に沿って規則的に離間した間隔で順次に長手方向レール38を直交相互連結する交差レール40a~40fのセットに特徴がある。これらレールは、3次元格子構体の格子構造の上側トラックレイアウト及び下側トラックレイアウトに使用されるのと同一タイプであり、また長手方向レールの間隔は交差レール間の間隔に合致し、格子構体の上側及び下側のトラックレイアウトにおけるX方向及びY方向双方のレール間に採用されるレール間の間隔に等しい。したがって、作業ステーションの下側トラックは、3次元格子の上側及び下側のトラックレイアウトと同様にしてロボット保管/回収車両が装甲することができる。作業ステーションの下側トラックは、長手方向レール及び交差レールの交差ポイントで下側トラックから下方に垂下する支持レッグ30によって接地面レベルの上方に僅かに上昇した関係となるよう支持される。これら支持レッグ30は、3次元格子の下側トラックを支持する支持レッグと同一のタイプ及び高さであり、作業ステーションの下側トラック36は、3次元格子構体の下側トラックレイアウトと同一の高度にあり、これから拡張する同一平面拡張トラックを形成する。
【0029】
作業ステーションは、下側トラックに備え付け、また長手方向レールの第1端部における第1番目の第1交差レール40aから長手方向レールの反対側の第2端部における最終番目の最終交差レール40fにいたるまで長手方向に端部を突き合わせて延設するシュート42に特徴がある。このシュートは、第1交差レールから直立する第1端壁44、この第1端壁とは反対側に平行に対向して最終交差レールから直立する第2端壁46、これら端壁間で直交関係となるよう外側の長手方向レール38bで長手方向に延設する長い外側の側壁48、及び端壁間で外側の側壁の頂端縁に沿って長手方向に延設する頂部カバーパネル50を有することを特徴とする。カバーパネル50の下側面はシュート42の内部天井を画定するとともに、カバーパネルの反対側の頂側面は、作業ステーション18で行うことができる、取出し、補充又は他の作業機能の実施中に人間又はロボットによる作業体が活用するための外部天板を画定する。
【0030】
2つの長手方向レール38a、38bと交差レール40a~40fにおける任意な隣接対との間で区切られる各正方形エリアは、作業ステーションの下側トラックに沿うそれぞれに対応する「スポット」と称する。シュート42の第1端壁44に直接隣接し、またこのシュートの第1端部において第1交差レール40aと第2交差レール40bとの間に区切られるスポットは、作業ステーションの入口スポットSENと称され、これはすなわち、格子構体の下側トラックレイアウトにおいて、そのスポットに整列するレールの対応対からこれら第1及び第2の交差レール40a、40bに乗軌することによってロボット保管/回収車両がシュートに進入するからである。シュートの反対側の第2端部において最終から2番目の交差レール40eと最終交差レール40fとの間に区切られるスポットは、作業ステーションの出口スポットSと称され、これはすなわち、格子構体の下側トラックレイアウトにおいて、これら最終及び最終から2番目の交差レール40a、40bからそのスポットに整列するレールの他の対応対上に乗軌することによってロボット保管/回収車両がシュートから退出し、また3次元格子に再進入するからである。
【0031】
図3につき説明すると、この図の右側における作業ステーションは、格子構体の下側トラックレイアウトのY方向に延びている長手方向を有し、これによりこの作業ステーションは、Y方向に存在する長手方向レール38a、38bと、X方向に存在する交差レール40a~40fと、を有する。作業ステーションの下側トラックにおける第1及び第2の交差レール40a、40bは、格子構体下側トラックレイアウトにおける第1対のX方向レールの平行インライン延長部を形成し、また同様に最終及び最終から2番目の交差レール40e、40fは、格子構体下側トラックレイアウトにおける第2対のX方向レールの平行インライン延長部を形成する。したがって、ロボット保管/回収車両は、下側トラックレイアウトのX方向レール対に沿って、作業ステーションが存在する格子構体の外側側面におけるこれらレールの端部で2つの直立フレーム部材間の被覆されていない開放空間34から、作業ステーションの入口スポットSENにおける第1及び第2の交差レール40a、40b上に乗軌する。この入口スポットにおいて、ロボット保管/回収車両は、X方向移動モードからY方向移動モードに移行し、Y方向の作業ステーション長手方向レール38a、38bに沿って作業ステーションの出口スポットSXに移動することができる。ここで、次にロボット保管/回収車両は、X方向移動モードに逆移行し、これらレールの端部の直立フレーム部材間の被覆されていない開放空間34から格子構体の下側トラックレイアウトにおける第2対のX方向レールに戻るよう、作業ステーションの最終及び最終から2番目の交差レール上に乗軌する。
【0032】
図3の左側の作業ステーションは、格子構体の下側トラックレイアウトのX方向に延びている長手方向を有し、これによりこの作業ステーションは、X方向に存在する長手方向レール38a、38bと、Y方向に存在する交差レール40a~40fと、を有する。作業ステーションの下側トラックにおける第1及び第2の交差レール40a、40bは、格子構体下側トラックレイアウトにおける第1対のY方向レールの平行インライン延長部を形成し、また同様に最終及び最終から2番目の交差レール40e、40fは、格子構体下側トラックレイアウトにおける第2対のY方向レールの平行インライン延長部を形成する。したがって、ロボット保管/回収車両は、下側トラックレイアウトのY方向レール対に沿って、作業ステーションが存在する格子構体の外側側面におけるこれらレールの端部で2つの直立フレーム部材間の被覆されていない開放空間34から、作業ステーションの入口スポットSENにおける第1及び第2の交差レール40a、40b上に乗軌する。この入口スポットにおいて、ロボット保管/回収車両は、Y方向移動モードからX方向移動モードに移行し、X方向の作業ステーション長手方向レール38a、38bに沿って作業ステーションの出口スポットSXに移動することができる。ここで、次にロボット保管/回収車両は、Y方向移動モードに逆移行し、これらレールの端部の直立フレーム部材間の被覆されていない開放空間34から格子構体の下側トラックレイアウトにおける第2対のX方向レールに戻るよう、作業ステーションの最終及び最終から2番目の交差レール上に乗軌する。
【0033】
各作業ステーションの第2交差レール40bと最終から2番目の交差レール40eとの間には、入口スポットと出口スポットとの間に複数の中間スポットが存在する。図示の実施例は3つの中間スポットがあることに特徴があるが、この個数は変化することができる。これら中間スポットのうち1つ、とくに、図示の実施例で出口スポットSXに直接隣接する最終から2番目のスポットは、「アクセススポット」SACと称することができ、このスポットにおいてロボット保管/回収車両に対してアクセス開口52を介してシュートの頂部パネル50の天板表面50aからシュートの内部空間まで貫入する人間又はロボット作業体がアクセス可能である。したがって、シュートを長手方向に移動する保管/回収車両がアクセススポットSACに到達して停止するとき、作業体は保管/回収車両の頂部に担持した保管ユニットと相互作用し、例えば、格子構体から1つ又はそれ以上の個別品目を引き出す受注処理プロセスの一部として保管ユニットからこのような個別品目を取り出し、このような受注処理プロセスの一部として保管ユニット全体を保管/回収車両から取り外す、又は格子構体を補給する補充プロセスの一部として1つ又はそれ以上の個別品目を保管ユニットに配置することができる。代案として、補充プロセスは、アクセス開口52を経て作業体から保管ユニットをピックアップするよう、ロボット保管/回収車両のうち空きの車両(すなわち、その時点で保管ユニットが占有していない車両)を作業ステーションのアクセススポットに向かわせることを伴う。
【0034】
作業ステーション18は、アクセス開口52経由で保管/回収車両と相互作用するとき、人間による作業者の起こり得る障害を保護するための手感知機構を装備する。図6Aにつき説明すると、第1及び第2のセンサバー54、56を作業ステーションのカバーパネル50下面でアクセス開口の互いに対向する周端縁に沿う位置に固着する。これらセンサバーは、2つのバー54、56上で互いに対向する関係で光ビームの発光器及び受光器を担持し、これにより発光器が発生したビームは、例えば、作業者の手がアクセス開口52内に挿入されることによって、ビームが遮断されない限り反対側の受光器が受光する。アクセス開口の互いに対向する側面上における発光器及び受光器とは逆に、開口の同一側面における発光器及び受光器、及びその反対側の側面における反射器を採用することができる。これらセンサバーは、有線接続又は無線接続を介して、ロボット保管/回収車両の車両隊と無線通信するコンピュータ制御システムと通信し、格子構体全体にわたるロボット保管/回収車両の搬送を制御し、種々のタスク(取出し、補充、等々)を実施する。手センサビームの連続性は「安全」信号を発生するとともに、センサビームの中断は「停止」信号を発生する。作業ステーションのアクセススポットへの出入り移動を保管/回収車両に指令するコンピュータ制御システムによる任意な移動命令を保管/回収車両に伝送することは、その作業ステーションの手感知機構からの「安全」信号検出を条件とする。このようにして、作業者の手がシュート内にある間には、いかなる保管/回収車両は作業ステーションの下側トラックに沿って駆動されることは決してない。
【0035】
安全目的に供することに加えて、手感知機構は、さらに、人間の取出しタスクにおける作業正確さを保証する品質保証目的にも運用可能であり得る。所与の保管ユニットから要求される所定数の品目が分かっている所与の注文品に対して、コンピュータ制御システムは、その保管ユニットがアクセススポットに存在する間に光ビームが遮断される回数をカウントすることができ、このカウントは、保管ユニットにアクセスするため作業者の手がどのくらい多くアクセススポットに挿入され、保管ユニットから対応する品目を引き出した回数を表す。システムは、手挿入カウントを、その保管ユニットから必要であることが既知の所定品目数と比較し、手挿入カウントがその保管ユニットに関連する所定品目数に達した後にのみ、その保管ユニットを担持する保管/回収車両が作業ステーションのアクセススポットからの出立を可能にする。
【0036】
手感知機構は、さらに、保管ユニットの頂部から品目が顕著にはみ出さないのを確実にするための保管ユニットの高さチェックとしても作用し、これはすなわち、このようなはみ出し品目は光ビームにより形成される光カーテンを破断し、したがって、はみ出しが是正されるまでは保管/回収車両及びその上の保管ユニットがアクセススポットから出立するのを阻止する。このことは、保管格子からはみ出し、したがって、格子構体の骨組みコンポーネント間の利用可能な移動空間に干渉する1つ又はそれ以上の品目を有する保管ユニットが保管格子に再進入させようとしないことを確実にする。
【0037】
図4~6は切り離した作業ステーションの一部として内側長手方向レール38aを示すが、作業ステーションを格子構体に設置するとき、このレールは格子構体の下側トラックレイアウトと共有することができる。図3につき説明すると、この図の右側の作業ステーションの内側長手方向レール38aは、格子構体の下側トラックレイアウト28の対応する側面におけるY方向周縁レール26のインラインに整列するセクションである。その作業ステーションの外側レールは、格子構体の下側トラックレイアウトのY方向周縁レールに平行になり、作業ステーションの交差レールは下側トラックレイアウトのY方向周縁レール26を、下側トラックレイアウトのX方向レールにインラインで結合する位置において作業ステーションの外側長手方向レール38bに連結する。同様に、この図の左側における作業ステーションの内側長手方向レール38aは、格子構体の下側トラックレイアウト28の対応する側面におけるX方向周縁レール24のインラインに整列するセクションである。その作業ステーションの外側レール38bは、格子構体の下側トラックレイアウトのX方向周縁レールに平行になり、作業ステーションの交差レールは下側トラックレイアウトのX方向周縁レールを、下側トラックレイアウトのY方向レールにインラインで結合する位置において作業ステーションの外側長手方向レール38bに連結する。
【0038】
各ワークステーションの下側トラックは、したがって、下側トラックレイアウトと並んで延在する位置において3次元格子構体の下側トラックレイアウトに連結される延長トラックであり、3次元格子と、上側及び下側のトラックレイアウト、上側及び下側のトラックレイアウト間に及ぶカラム及びシャフトが占有する2次元設置面積の外側に位置する作業ステーションとの間におけるロボット保管/回収車両のシームレスな移行を可能にする。3次元格子の下側トラックレイアウトと作業ステーションとの間における車両の移行は、作業ステーションの下側トラックの一方の端部に位置する作業ステーション入口SEN及び作業ステーションの下側トラックの反対側の第2端部に位置する作業ステーション出口Sを見ることを生ずる。コンピュータ制御システムによって、ロボット保管/回収車両は作業ステーション内で専用入口から専用出口まで一方向に駆動され、このことは、複数の車両を作業ステーション内で待ち行列を形成させることができ、したがって、3次元格子の下側トラックレイアウトにおける交通妨害を減少することができる。図示の実施例において、各作業ステーションに個別の入口スポット及び出口スポットを使用し、また入口スポットと出口スポットとの間に1つ又はそれ以上の中間スポットを設けることによって、各ワークステーションの内部待ち行列能力を増大させる。
【0039】
しかし、個別の入口スポット及び出口スポットの使用、入口と出口との間に1つ又はそれ以上の中間スポットを設けること、及び入口スポット又は出口スポット以外の専用スポットにアクセス開口を配置することは、随意的な特徴であり、またまとめて省略する又は種々の組合せにすることができる。例えば、1つの代替的実施形態において、作業ステーションの下側トラックは、下側トラックレイアウトから延在してアクセス開口52が存在する単独スポットを画定し、すべて1つのトラックスポットで作業ステーションの入口、出口、及びアクセスポイントとして供するものとした、2つの交差レールのような簡単なものとすることができる。ロボット保管/回収車両は、下側トラックレイアウトの側面における周縁レールに直交するX方向又はY方向の単一スポット延長トラック上に前進して乗軌し、アクセス開口を通して作業体との相互作用を受け、次に3次元格子の下側トラックレイアウト上に逆戻りし、作業ステーションから退出する。したがって、延長トラックは、必ずしも図示の実施形態と同様に格子構体の下側トラックレイアウトの周縁に沿って長くする必要はなく、またエンクロージャは、作業ステーションの下側トラックの長手方向に離間した場所における離れた入口ポイント及び出口ポイントを有する細長いシュートである必要もない
【0040】
図7は、1つの作業ステーション及び、3次元格子構体の下側トラックレイアウトの隣接エリアにおける上方から見た平面図を概略的に示す。作業ステーションの下側トラックと同様に、下側トラックレイアウトにおける2つの隣接するX方向レールと2つの隣接するY方向レールとの間に示す正方形エリアを本明細書で「スポット」と称する。3次元格子のそれぞれに対応するダウンシャフトの下方に存在する各スポットは着床スポットSLNDと称し、このスポットにおいてロボット保管/回収車両は、ダウンシャフトを下方に垂直移動した後に下側トラックレイアウト上に着床する。3次元格子の外側周縁におけるそれぞれに対応するアップシャフトの下方に存在する各スポットは発進スポットSLCHと称し、このスポットにおいてロボット保管/回収車両は、アップシャフトを上方に垂直移動して上側トラックレイアウトに移行する。作業ステーション18の入口スポットSENに隣接する下側格子のスポットは緊急スポットSEMと称し、このスポットからロボット回収車両が3次元格子の下側トラックレイアウトを退出して、作業ステーション18の入口スポットで作業ステーション18に進入する。作業ステーション18の出口スポットSに隣接する下側格子のスポットは再入スポットSと称し、このスポットからロボット回収車両が作業ステーションの出口スポットSから3次元格子に再進入する。図における矢印はロボット保管/回収車両が追従する移動経路を示し、先ず下側トラックレイアウトの緊急スポットから作業ステーションの入口スポット内に外方に走行し、次いで出口スポット内に長手方向に移動する前に作業体と相互作用するためのアクセススポットを経るよう長手方向に走行し、その後下側トラックレイアウトにおける再入スポットで下側トラックレイアウト内に戻る移行を行う。
【0041】
緊急スポット及び再入スポットのうち一方又は双方は多目的スポットとすることができ、例えば、それぞれに対応するダウンシャフト又はアップシャフトの下側で着床(ランディング)スポット又は発進スポットとして供することができ、例えば、図示の実施例に示すように、再入スポットを着床スポットとする。作業ステーションに隣接する下側トラックレイアウトのエリアにおけるすべての他のスポットは、保管ユニットが棚置きされる格子におけるそれぞれに対応する保管カラムの下側に存在する。これらスポットは利用可能な駐車スポットSとして供され、このスポットにおいてそれぞれに対応する保管ユニットを搬送するロボット保管/回収車両は、ロボット保管/回収車両が保管ユニットを回収したダウンシャフトの底部における下側トラックレイアウトの着床スポットSLNDに着床(ランディング)した後に選択的に駐車することができ、これは、同一作業ステーションを目的地点とする他のロボット保管/回収車両が存在し、その作業ステーションへの走行が、駐車しているロボット保管/回収車両よりも高い優先度のランク付けを割り当てられている場合である。1つの保管/回収車両を駐車させる特定スポットのコンピュータ制御システムによる選択は、駐車している保管/回収車両が格子構造下側トラックレイアウトに到着する特定の指定ランディングスポットから作業ステーション入口までの利用可能な最短移動経路に基づくものとすることができる。
【0042】
したがって、ロボット保管/回収車両に対するタスクを割り当て、また3次元格子及び作業ステーションにおけるロボット保管/回収車両のナビゲーションを制御することに関与するコンピュータ制御システムは、被占車両(すなわち、それぞれに対応する保管ユニットを搬送している車両)のグループの、それら保管ユニットがシーケンス的に行先とされる割り当てられた作業ステーションへの到着を統制することができ、このシーケンスは、タスクが割り当てられたシーケンス(すなわち、割当てシーケンス)、それら保管ユニットが該作業ステーションへの到着したシーケンス(到着シーケンス)、それら保管ユニットがそれぞれに対応する保管場所から回収されたシーケンス(すなわち、回収シーケンス)、被占車両が下側トラックレイアウトに着床したシーケンス(すなわち、着床シーケンス)、及び/又は被占車両が初めに割り当てられた作業ステーションに隣接する緊急スポット近傍に到着したシーケンス(すなわち、到着又はアプローチシーケンス)に、必ずしも合致しないシーケンスである。
【0043】
1つの図示した実施例において、駐車操作はコンピュータ制御システムによって実行され、また同一の作業ステーションに配送するため、1台又はそれ以上の車両の第1グループをそれぞれが第1顧客注文の異なる品目を収容する1つ又はそれ以上の保管ユニットを回収することに割り当て、また1台又はそれ以上の車両の第2グループをそれぞれが第2顧客注文の異なる品目を収容する1つ又はそれ以上の保管ユニットを回収することに割り当てることを伴う。適切な品目を収納する保管ユニットを保管する利用可能な回収場所を介して各車両の初期場所から割り当てられた作業ステーションへの移動距離の相違に起因して(多数の選択肢があり、各場合の優先度は、ロボット保管/回収車両のその時点における場所から異なる回収場所オプションを経由する割り当てられた作業目的地までの最短総移動経路に基づいて与えられ得る)、2つのグループからの車両は、回収した保管ユニットを伴って下側トラックに到着し、混成した順序で割り当てられた作業ステーションにアプローチすることができる。ここで、コンピュータ制御システムは、2つのグループにおける車両の作業ステーションへの進入シーケンスに関連する優先度ランク付けを割り当てることができ、また優先度の低い車両に対して下側トラックレイアウトのそのとき空きの駐車スポットに駐車するよう命令することができる。
【0044】
割り当てられた優先度ランク付けは、少なくとも部分的に「グループ分け配送」の基本に基づくことができ、これにより、1つの注文に対するすべての品目は他の注文に対する任意な品目に先立って配送される。更なる重み付けは、「ファースト着床」又は「ファースト到着」の基本に基づくことができ、下側トラックレイアウトに着床する又は割り当てられた作業ステーションにアプローチする最初の車両は、2つの車両グループのどちらが、「グループ分け配送」シーケンス若しくは「順序優先度」で他方よりも優先されることを指示し、順序は、サイズ(すなわち、小さいものより大きいものを取り出す順序)、輸送行先(近くの目的地よりもより遠隔行先に向かうものを取り出す順序)、配送デッドライン、顧客タイプ、輸送車両利用可能性、等々に起因する優先度によってランク付けされる。したがって、選択したランク付け基準に基づいて、第1注文のすべての品目が第2注文の任意な品目よりも前に作業ステーションのアクセススポットに配送する、又はその逆にして配送することができ、このことは2つの注文がシステムによって受注された特定シーケンスには無関係である。代案として、多数の保管ユニットを要する大量注文は、その完遂のためには、少量注文に割り当てられた1台又はそれ以上のロボット保管/回収車両によって中断されるロボット保管/回収車両の待ち行列を持つようにすることができ、これにより作業ステーションにおいて少量注文全体を取り出してから大量注文の取出しの継続に復帰することができる。
【0045】
1つの特別な実施例を図7A~7Hに示し、ここで4台の保管/回収車両V、V、V、Vがそれぞれに対応する保管ユニットU、U、U、Uを搬送しており、その優先度は、コンピュータ制御システムで順次減少する順番でランク付けされており、したがって、車両V上の保管ユニットUが最も高い優先度であり、車両V上の保管ユニットUは最も低い優先度であるが、その作業ステーション近傍への到着は、この優先度ランク付けには合致しないシーケンスで発生した。図7Aにつき説明すると、車両Vが下側トラックレイアウト上に着床し、またその緊急スポットSEMにアプローチする最初の車両である。最低優先度のランク付けに起因して、車両Vは作業ステーション入口に近接して、例えば、下側トラックレイアウトの緊急スポットSEMに隣接する駐車スポットSに駐車する。図7Bにつき説明すると、車両Vが下側トラックレイアウト上に着床し、またその緊急スポットSEMにアプローチする次の車両であり、また最高でない優先度のランク付けに起因して、車両Vは作業ステーション入口に近接して、例えば、先に駐車した車両Vに隣接する空きの駐車スポットSに駐車する。図7Cにつき説明すると、車両Vが下側トラックレイアウト上に着床し、またその緊急スポットSEMにアプローチする次の車両であり、また最高でない優先度のランク付けに起因して、車両Vは作業ステーション入口に近接して、例えば、先に駐車した車両Vに隣接する空きの駐車スポットSに駐車する。図7Dにつき説明すると、車両Vが下側トラックレイアウト上に着床し、またその緊急スポットSEMにアプローチする次の車両であり、また最高優先度のランク付けに起因して、車両Vは作業ステーションの入口スポットSENに直接移動し、このことは、作業ステーション入口への駐車車両V、V、Vの妨害とはならない関係によって可能になる。図7Eにつき説明すると、車両Vは作業ステーションシュートを経て延長トラック上で外方に走行し、アクセススポットSで駐車し、これにより最人間又はロボット作業体との相互作用のため高ランク付けされた保管ユニットUをアクセススポットに配送する。
【0046】
作業ステーションのアクセススポットSに最高ランク付け保管ユニットUを配送済みである図7Fにつき説明すると、次高位ランク付け保管ユニットUを搬送している車両Vは、下側トラックレイアウトの駐車スポットから緊急スポットに出車し、そこから外方の作業ステーション入口スポットに向かい、そこからその時点で車両Vが駐車している作業ステーションアクセススポットSに向かうよう指令される。車両Vは、その時点で車両Vが占有しているアクセススポットSに隣接して駐車している。図7Gにつき説明すると、次高位ランク付け保管ユニットUを搬送している車両Vは、下側トラックレイアウトの駐車スポットから緊急スポットに出車し、そこから外方の作業ステーション入口スポットに向かい、そこからその時点で車両Vが駐車している作業ステーションアクセススポットSに向かうよう指令され、また既に車両Vが待ち行列状態である脇に待機する。車両Vは、その時点で車両Vが占有している中間スポットに隣接して駐車している。図7Hにつき説明すると、最低ランク付け保管ユニットUを搬送している車両Vは、下側トラックレイアウトの駐車スポットから緊急スポットに出車し、そこから外方の作業ステーション入口スポットに向かい、車両Vの背後で既に車両V及びVが待ち行列している次に待機する。車両Vは、作業ステーションの入口スポットSENに駐車し、その時点で車両Vが占有している中間スポットの脇にいる。優先度ランクに従って下側トラックレイアウトにおける選択的駐車及び進行による車両及びこれらが担持する保管ユニットの上述した統制を通して、このとき作業ステーションのアクセススポットへの適切なシーケンス進行のために4台の車両が作業ステーション内で待ち行列化される。
【0047】
保管ユニットがアレイ配置される同一格子構体であって、ロボット車両が保管アレイにナビゲートする同一格子構体を使用することによって、この内部で実施されるシーケンスによれば、注文操作中の複雑なシーケンス付け又は仕分けを可能にするとともに、空間集約的仕分けコンベヤーのような従来技術に関する空間及び材料の非効率性を回避し、ここでは回収ステップが1群のマシン隊によって実施され、次に仕分けが異なる機械類又は装備タイプの第2段階において下流で実施されてから、仕分けられた品目を保管構体の遠隔に配置された割当て作業ステーションに配送する。
【0048】
上述の実施例は、とくに、専用アップシャフト、専用ダウンシャフト、及び下側トラックレイアウト上で特別に指定された駐車スポットであって、3次元格子を移動する他の未駐車車両の流れに干渉せずに、割り当てられた下側レベルの作業ステーションに向かう保管ユニット回収後に車両を選択的に駐車させることを目的とした、該駐車スポットを使用するが、作業ステーションへのシーケンス付け配送の統制中に回収済み保管ユニットを一時的に駐車させるために、3次元格子における他の近場を使用することができる。したがって、上側トラックレイアウトのX方向レールとY方向レールとの間における任意な正方形スポットも同様に、配送シーケンス統制中の被占車両用一時的駐車スポットとして使用でき、これは正に、コンピュータ制御システムからの操作割当て及び命令による、作動待機している不作動車両を駐車させるのに使用できるのと同様である。このような状況において、好適には、アップシャフト及びダウンシャフトの上層にあるスポットを、ダウンシャフトに進入するための降下スポット、及びアップシャフトから退出するための抜出しスポットとして留保し、またしたがって、これは格子を通過する非駐車車両の交通フローを阻害しないようにする一時的駐車目的のためには採用されない。同様に、シーケンス付け配送統制は、他の被占車両に割り当てられるより高位の優先度ランク付けを考慮してこのような駐車した車両のワークステーションへの到着を遅延させる目的のため、ダウンシャフト及び/又はアップシャフトにおける任意なレベルでの車両駐車を採用することができるが、他の車両によるシャフト走行に対するこのような妨害を回避するのが好ましい。優良な実施形態は、ロボット保管/回収車両の上行交通フローにのみ専用化した特定アップシャフト、及び下行交通フローにのみ専用化した別個のダウンシャフトを有するが、当然のことながら、他の実施形態は各シャフトを交通フローの特定方向に限定する必要がない。したがって、このような双方向シャフト下方の下側トラックレイアウトにおけるスポットは、発進スポット及び着床スポットの双方として供され、また双方向シャフト上方の上側トラックレイアウトは、そのシャフトのために降下スポット及び抜出しスポットの双方として供される。
【0049】
トラックレイアウトの2次元設置面積内全体にわたる保管ユニットの作業ステーションへのシーケンス付け配送における同一の新規な格子内統制は、作業ステーションが本明細書記載の「通過走行(travel-through)」ワークステーションであるか否かに係わらず採用することもでき、ここで、保管ユニットを保管格子に対して回収及び帰還させる責務がある同一のロボット保管/回収車両は、保管ユニットを作業ステーションに搬送する、又は作業ステーションの取込みポイントでロボット保管/回収車両が保管ユニットを荷下ろしする「荷下ろし(drop off)」ワークステーションであり、この取込みポイントは、例えば、荷下ろしされた保管ユニットを、人間若しくはロボット作業体が格子外部で保管ユニットと相互作用する作業ステーションのアクセスポイントに移行させる責務があるターンテーブル、エレベーター、コンベヤー又は他の荷捌き設備とすることができる。保管ユニットが荷下ろしされる取込みポイントは、トラックレイアウトの2次元設置面積内又はそのすぐ外部に存在するが、アクセスポイント(例えば、アクセススポットS上方のアクセス開口52)はトラックレイアウトの2次元設置面積の外部、すなわち、保管格子構体の外側に存在する。
【0050】
上述の実施例は、注文を充足させるためにその注文の品目を収納する保管ユニットを作業ステーションに配送し、そこで人間又はロボット作業体がこのような品目を保管ユニットから取り出し、また顧客に配送するため輸送コンテナに梱包する取出し操作に注目しているが、作業ステーションは、補充又は注文バッファ操作にも使用することができ、この場合、品目は、作業ステーションのアクセススポットでロボット保管/回収車両によって提示される保管ユニット内に配置され、この後このアクセススポットからロボット保管/回収車両は格子に再進入し、3次元格子内の利用可能な保管場所にその保管ユニットを配置する。補充操作において、ロボット保管/回収車両により搬送される保管ユニット内に配置される品目は、先に構体内に保管されないタイプの新たな在庫品目、又は先に取り出された品目を再配置する在庫補充とすることができる。
【0051】
注文バッファ操作は取出し操作を伴い、ここでコンピュータ制御システムは、保管/回収車両のグループを割り当て、また注文を充足させるのに必要な特定品目を収集している異なる回収保管ユニットを回収するよう命令し、それぞれに対応する保管ユニット内の回収した品目を格子構造の下側トラックレイアウトに降ろすよう、またこのバッファ操作に割り当てられた作業ステーションの入口に向けて搬送する。割り当てられた車両グループが作業ステーションを移動するにつれて、車両が作業ステーションのアクセススポットに到着するとき、作業体が保管ユニットから注文の1つ又はそれ以上の品目を抽出し、これら抽出した品目をともに寄せ集めて注文の完全又は部分的充足物を形成できるようにする。
【0052】
この完全又は部分的に充足された注文物は、3次元格子構体内の保管空間に適合するサイズのコンテナ内に配置される。このコンテナは、保管ユニットの残りの部分と同一のもの、例えば、開閉可能な保管ビンとすることができる、又は保管ユニットとは異なるタイプの輸送コンテナ(例えば、随意的に密封し、また集積した注文内容物が注文全体を充足する場合に貼付済み輸送ラベルを有する段ボール運搬箱)とすることができる。コンピュータ化コントローラは未装荷の車両を同一の作業ステーションに送り、集積注文内容物を有するコンテナを作業ステーションのアクセススポットでこの車両の頂部に配置する。コンピュータ化コントローラは、次に、3次元格子構体内の利用可能な保管場所に完全又は部分的に充足された注文物を保管する命令により、この注文担持車両を3次元格子構体内に送り返す。在庫品を保管するのに使用される同一の3次元保管格子は、したがって、後日又は後の時間、例えば、配送用に完全に完了した注文物をピックアップするよう輸送車両が到着することが予想される他のピックアップ時間まで、又はそのときに在庫がなく付加的な品目が必要である部分的充足注文の場合に、在庫切れが補充されて注文を完了できる他の時間まで、部分的に準備された又は完全に準備できた輸送をバッファするのに使用することもできる。
【0053】
ピックアップ又は在庫補充の時間がきたとき、バッファ注文回収操作は、コンピュータ制御システムによって、ロボット保管/回収車両を送り、保管場所から注文コンテナを回収し、また注文コンテナを一方の作業ステーションに配送して、作業ステーションのアクセス開口からコンテナ又はそのコンテナ内に収納されている個別品目を回収する。バッファ注文が部分的注文のみである場合、輸送コンテナとして利用可能である場合に同一のコンテナに付加するか、又は新しいコンテナ内に集合させるかのいずれかによって、先に欠品していた品目を回収済み品目と集合させる。
【0054】
本発明の新規な作業ステーション、その新規な使用方法、及びワークステーション配送シーケンス及び注文バッファリング用の3次元格子構体自体の使用方法を要約してきたが、以下は3次元格子構体、ロボット車両隊及びそれらの間における協働における新規なポイントに傾注する。
【0055】
図8は、3次元格子構体の下側トラックレイアウトを切り離した区域を示し、下側トラックレイアウトのX方向に延在する互いに平行な第1及び第2の長手方向レール60a、60bと、これら第1及び第2の長手方向レール60a、60bに直交してこれらレールを相互連結し、下側トラックレイアウトのY方向に沿って規則的に離間した間隔で配置した付加的な交差レール62a~62の平行なセットを有する。上述したように、下側トラックレイアウトのそれぞれ対応するスポットは、2つの長手方向レールと、交差レール62a~62fの各対との間における正方形エリアで示す。各スポットの同一側面(図示の実施例の各スポットの右側)における交差レールは、交差レールの頂面側の中間ポイントに視覚的な検出可能場所マーカー66を担持する。視覚的な検出可能場所マーカーは、個別のステッカー又はラベルとして塗布する、又はトラックレール自体にエッチングすることができる。各ロボット保管/回収車両は、場所マーカー64が配置されているトラックスポットの側に合致するロボット保管/回収車両の側面にスキャナ66を担持する。このスキャナは撮像デバイスを備え、この撮像デバイスは、ロボット保管/回収車両が下側トラックレイアウトを走行するとき、マーク付き交差レールの画像を撮像する向きにした下向き角度視野を有する。この視野は、レールのマーク付き頂面側でフレームサイズが検出可能マーカーのサイズを超えるよう狙いを付ける。スキャナ及び場所マーカーは互いに相対位置決めし、ロボット保管/回収車両が下側トラックの所与スポットを区切る2つの長手方向レールと2つの交差レールとの間で適正に心出しされるとき、一方の交差レールにおける対応する場所マーカー66がスキャナの視野の所定サブ領域(例えば、その中心領域)を占めるようにする。ロボット保管/回収車両が下側トラックレイアウトの標的行先スポットに到着するとき、スキャナはその時点の視野から画像を撮像し、ロボット車両のローカルコンピュータプロセッサが実行するソフトウェアモジュールは、スキャナのより大きい視野フレーム内における場所マーカーの位置を比較し、視野フレーム内のマーカー位置とマーカーが期待される視野フレームサブ領域との間の前後一致をチェックする。サブ領域が視野フレームの中心領域である場合、ソフトウェアはマーカーが視野の中心に適正に位置するか否かをチェックする。したがって、相対的な一致又は不一致は、ロボット保管/回収車両と下側トラックレイアウトにおける標的スポットとの間の相対的整列を反映する。
【0056】
本願人による上述した先行PCT出願で記載したように、ロボット保管/回収車両14は、ロボット保管/回収車両の2つの互いに対向する側面におけるX方向ホイール68のセット及びロボット保管/回収車両の2つの互いに対向する他の側面におけるY方向ホイール70のセットを備えることを特徴とする。X方向ホイール68はロボット保管/回収車両のフレーム又はシャシーに対してトラックレイアウトのX方向レールとの係合及び離脱をするよう上昇可能及び降下可能であり、同様にY方向ホイール70はロボット保管/回収車両のフレームに対してトラックレイアウトのY方向レールとの係合及び離脱をするよう上昇可能及び降下可能である。X方向レールとの接触から外れるX方向ホイールの上昇は、Y方向レール上でのY方向ホイールの駆動回転によりロボット保管/回収車両がY方向に走行するときに実施されるとともに、Y方向レールとの接触から外れるY方向ホイールの上昇は、X方向レール上でのX方向ホイールの駆動回転によりロボット保管/回収車両がX方向に走行するときに実施される。
【0057】
図8は、ロボット保管/回収車両14が下側トラックレイアウトのX方向に乗軌して標的行先スポットに向かい、そうする間にY方向レール上の場所マーカーをスキャンしている状態の実施例を示す。各場所マーカーは、下側トラックレイアウトの2次元格子マップ内を指定する対応するスポットの固有IDを含むスキャン可能コードを備え、この固有IDとともに、標的行先スポットにおける場所マーカーの検出整列を使用して、ロボット保管/回収車両の適正な標的行先スポットへの到着を確認すること、及びこのスポットにおけるロボット保管/回収車両の適切な心出しを得ることの双方を行うことができる。このような整列は、1) ロボット保管/回収車両がトラックレイアウトにおける他の車両の隣接スポットを経る他方向の走行に干渉しないこと、及び2) 標的行先スポットが発進スポットであって、ロボット保管/回収車両がそれの上方のシャフトで上行することを意図される発進スポットである場合、ロボット保管/回収車両がその上方の垂直シャフトに適切に整列していることを確実にする。
【0058】
ロボット保管/回収車両の互いに対向する側面におけるホイールが下側トラックレイアウトの対応するレールに係合することは、自動的に、これらレールに直交するトラック方向における下側トラックレイアウトの標的スポットにロボット保管/回収車両が整列することを確実にする。図8の図示した実施例のように、X方向ホイールはX方向レールに係合し、したがって、自動的にロボット保管/回収車両をY方向の標的スポットに整列させる。X方向の標的スポットにロボット保管/回収車両が到着する間に、スキャナは視野から画像を撮像し、ロボット保管/回収車両のローカルプロセッサが実行するソフトウェアは視野フレーム内の場所マーカー画像の位置をチェックし、また実際の位置と期待される視野フレーム内のマーカー位置との間のいかなるずれをもフィードバック信号として使用して、X方向ホイールのモータに対する駆動信号を動的に調整し、ロボット保管/回収車両を標的スポットにおける適切に心出しされる整列状態に駆動する。同一の整列手順を使用して、Y方向の標的スポットに走行するときにY方向ホイールに対するフィードバック管理制御を行う。ロボット保管/回収車両はトラックレイアウト上で向きを変更しないため、どちらのレールのセット(X方向レール又はY方向レール)にマーカーが配置されているかの特別な選択は、スキャナが各車両の適切に協働する側に配置されると仮定すると、重要ではない。
【0059】
トラックレイアウト上の標的スポットに到着するときの車両位置のこのような調整に加えて、車両走行の早期の動的調整は、このような到着の上流で、車両が標的シャフトの下方における標的スポットに向かって走行していて通過する他のマーカーをスキャンすることによって、生ずることができる。コンピュータ制御システムによって保管/回収車両に割り当てられ送信される初期の走行命令は、構体の既知の格子寸法に依存する標的シャフトまでの実際上の物理的距離に基づく。車両が1つより多い通過スポット経由で走行して標的シャフト下方の標的格子スポットの到着し、スキャナが各通過スポット経由で移動するときにスキャンを実施することができる場合、この結果を使用して、初期的に割り当てられた走行距離と、その時の車両場所から標的スポットにいたる真の残存走行距離との間の差を考慮して走行中に動的に走行命令を補正し、したがって、標的スポットにおける保管/回収車両のより精密に整列した到着を協働させ、標的スポットにおける最終到着中の整列の微調整をする必要性を回避又は減少することができる。
【0060】
図示の実施形態は、下側トラックレイアウトにおける標的スポットに対する固定位置で格子構造の3次元構体に配置した静的な場所マーカーと、及び走行する保管/回収車両に担持した移動スキャナとを使用するが、この構成は逆転することができ、この場合、スキャナを格子構体に静的に位置決めし、また検出可能なマーカーをロボット保管/回収車両に設けることによって行い、ただし、ホイールが制御されているロボット保管/回収車両上で実施される走査及び関連画像処理が好ましいであろう。スキャナ/マーカー整列確認ツールに関する上述の記載は、車両が下側トラックレイアウトの標的発進スポットに適切に整列してから、ロボット保管/回収車両をこのような発進スポット上方にシャフト内でリフトアップさせるのを確実にするよう下側トラックレイアウトについてのものであるが、同一のツールは、対応シャフトの標的降下スポットの頂部に車両が整列してから、ロボット保管/回収車両をそのシャフト内で降下するのを確実にする上側トラックレイアウトにも採用することができる。
【0061】
図10~15は、3次元格子構体の下側トラックレイアウトにおける発進スポットSLCHでの1台のロボット保管/回収車両を示す。格子の大部分は説明目的のため省略し、この特定発進スポットを画定する下側トラックレイアウトの4つのレール(そのうち1つのX方向レールを参照符号60で示し、1つのY方向レールを参照符号62で示す)、発進スポットのコーナーにおける交差ポイントでレールを支持する4つの支持レッグ30、及び発進スポットの4つのコーナーから起立して発進スポット上方の対応する垂直アップシャフトにおける4つのコーナーを画定する4つの直立フレーム部材12のうちの2つのみを示す。他の2つの直立フレーム部材は省略し、ロボット保管/回収車両を上層アップシャフト内において上昇させるロボット保管/回収車両の新規なリフト機構72との相互作用を示す視認性を改善する。
【0062】
リフト機構72は、発進スポットの矩形設置面積内で下側トラックレイアウトの支持レッグ30と同一の接地面上に着座する。図16~19において下側トラックレイアウトから切り離して示したリフト機構72は、水平交差ブレース76によって相互連結される4つの直立コーナーレッグ74を有するベースフレームと、コーナーレッグ74の頂端部のベースフレームに備え付けた上側パネル78とを備えることを特徴とする。リフトプラットフォーム80は、ベースフレームの上側パネル78の上方に存在し、また適当なアクチュエータによって昇降可能に移動するよう担持され、図示の実施例ではこのアクチュエータは電動リニアアクチュエータ81であり、その電動モータ82はベースフレームの上側パネルの下面に備え付け、アクチュエータの出力ロッド84は上側パネルの中心開口から上方に貫通し、リフトプラットフォームの下面に連結する。したがって、リニアアクチュエータの伸展はリフトプラットフォームを上側パネルから上方に上昇させ、またリニアアクチュエータの後退はリフトプラットフォームを逆に下降させ、ベースフレームの上側パネルに接触又は近接させる。4つのリニアガイドロッド86のセットは、リフトプラットフォームの下面にそのコーナー近傍で固定し、またリニアアクチュエータの伸展及び後退中に上側パネルを上下に摺動するようベースフレームの上側プレートにおけるブッシュ又は軸受のセットに下方に挿通する。ロッドガイドはリフトプラットフォームを安定化して、その水平レベルの向きを維持するのに役立つ。
【0063】
ベースフレームは下側トラックレイアウトよりも低い高さであり、したがって、ベースフレームの上側パネル78は、下側トラックレイアウトのレールの頂面より下方の高度にあり、また例えば、これらレールの下面より僅かに下方にあり、これによりリフトプラットフォームがベースフレームの上側パネルに隣接する降下位置にあるとき、下側トラックレイアウトのレールよりも上方に突出しない。リフトプラットフォームのこれに従う位置において、ロボット保管/回収車両はいずれかのトラック方向に発進スポット上で自由に走行することができる。備え付けブラケット88は、リフト機構のベースフレームにおける上側パネルからその2つ又はそれ以上の側辺で外方に延び、下側トラックレイアウトのレールに、例えば、レール下面に固着し、格子構造トラックレイアウトに対して適切に正方関係となり、また発進スポットの正方形エリア内で適切に心出しされた位置をとるようリフトプラットフォームの位置を固定する。
【0064】
リフト機構は、コンピュータ制御システムと有線又は無線で通信可能である。下側トラックレイアウトに沿って走行しているロボット保管/回収車両が走行の行先とされるアップシャフト下方の標的発進スポットに到着し、また上述した場所マーカー及び協働するスキャナを使用してアップシャフトと正確に整列するとき、コンピュータ制御システムとの通信を課されるロボット保管/回収車両の無線トランシーバーは、ロボット保管/回収車両が標的発進スポットに確実に到着したことをシステムに信号を送る。このことに応答して、コンピュータ制御システムは作動信号をリフト機構に送信し、これに応答してアクチュエータ80が伸展方向に作動され、リフトプラットフォーム80を下側トラックレイアウトのレールよりも僅か上方にあるロボット保管/回収車両のフレーム又はシャシーの下面に接触させるよう上昇させる。ロボット保管/回収車両の重量は、このときロボット保管/回収車両の搬送ホイールが下側トラックレイアウトのレール上に乗軌することによってではなく、リフト機構によって支持され、ロボット保管/回収車両の搬送ホイールは内方に引き込まれ、ロボット保管/回収車両の設置面積をシャフト内に進入できる減少したサイズに減少させ、これによりピニオンホイールがアップシャフトのコーナーにおける直立フレーム部材のラック歯に係合し、保管/回収車両がアップシャフトを登り上がれるようにする。ラック歯90の1つの下側セットのみを図10~15の図示した2つの直立フレーム部材のうち一方における底部セグメント32に示すが、このようなラック歯は、当然のことながら、アップシャフトの4つの直立フレーム部材における8つすべての内向き側面に設け、上側トラックレイアウト近傍までのシャフトのほぼ全高にわたる。
【0065】
ホイールのこのような後退後又は後退中に、リフト機構アクチュエータの更なる伸展はロボット保管/回収車両を上昇位置に持ち上げるよう実施され、この上昇位置において、ロボット保管/回収車両のピニオンホイールの歯が格子構体の直立フレーム部材における最も下側のラック歯に係合する又は直近位置をとるようにし、このポイントでロボット保管/回収車両のピニオンホイール作動によりロボット保管/回収車両を格子構体のアップシャフトで上方に登らせることを開始する。主電源により給電されるリフト機構は、したがって、下側トラックレイアウトから上側トラックレイアウトに上昇する走行における保管/回収車両の車載電源が消費する総エネルギー負荷を減少し、これはすなわち、保管/回収車両の車載電源がロボットをラック歯との係合位置に持ち上げるのに使用されないからである。
【0066】
リフト中にロボット保管/回収車両をアップシャフトとの整列状態に維持するため、リフトプラットフォームと及び車両シャシーの下面には、車両がトラックの発進スポットで適切に心出しされるとき自動的に互いに整列するよう、互いに整合するパターンにレイアウトされた整合可能な雄型及び雌型の形体を有することができ、これによりリフトプラットフォームの上昇が、リフトプラットフォームの整合雌型/雄型形体を車両シャシー下面の整合雌型/雄型形体に整合させる。整合した形体は、リフトプラットフォームが上昇するとき車両シャシーがリフトプラットフォームの周りに摺動するのを防止する。一実施例において、4つの雄型ニップルがリフトプラットフォームの頂面の外側コーナー近傍から上方に突出し、車両シャシーの下面における4つの整合窪みに整合する。
【0067】
図20は、1つのロボット保管/回収車両14と、及びこのロボット保管/回収車両上に収容可能な保管ユニット92であって3次元格子構体及び作業ステーション内でロボット保管/回収車両によって運搬される、該保管ユニット92と、を示す。図示の実施例において、小さい個別品目を挿入及び取出しすることができる保管ユニットは頂部開放トレイであるが、いずれかの箇所で上述したように、開閉可能なボックス、ビン、又はトートを代案として使用することができる。他の実施形態において、保管ユニットは、複数品目を保管する容器ではなく、個別品目の梱包体とすることができる。格子寸法及び作業ステーションがより大きい規模である他の実施形態において、保管ユニットは、1つの比較的大きい個別品目、又は複数の品目であるか否かに係わらず、1つ又はそれ以上の品目が収容されるパレットとすることができる。複数のパレット詰めされる品目の実施例では、品目は、パレット上に配置又は重ね置きされた複数の容器(例えば、ボックス、トレイ、ビン、又はトート)に納まって分布されることができ、このような各容器内に1つ又はそれ以上の品目が保管される。
【0068】
本願人による先行PCT出願で開示されたように、ロボット保管/回収車両14は上側支持プラットフォーム94を備えることを特徴とし、この支持プラットフォーム94上にロボット保管/回収車両14によって搬送する保管ユニット92を収容可能であり、またこの支持プラットフォーム94は、静止外側デッキ表面98によって包囲される回転可能なタレット96を有することができる。本願人による先行PCT出願で開示されたように、このタレットは、やはり伸展/後退可能なアーム(図示せず)を有し、タレットの回転機能とともに、保管ユニットを支持プラットフォーム上に引き込む、またロボット保管/回収車両の4つのすべての側面で保管ユニットを支持プラットフォームから押し出すことを可能にし、これにより各車両は3次元格子構体内の任意なシャフトの任意な側面において保管ユニットをアクセスすることができる。図示の実施形態において、タレット及びデッキ表面は、説明を分かり易くするため細部なしの簡素化した形態で示す。
【0069】
タレット及び包囲デッキ表面は全体として正方形着床エリアを画定し、保管ユニットがロボット保管/回収車両14上で担持されるとき、このエリア上に着座する。この着床エリアは、図21で示すように3次元格子構体内において各保管ユニットの下面のサイズ及び形状に等しい又は類似するものであり、図21では保管ユニットの着座した位置は、着床エリア全体を占める。保管ユニットがロボット保管/回収車両の着床エリアに完全に収容され適切に整列することを確実にする目的のために、上側支持プラットフォーム94は、周縁に沿って互いに離間した位置で外周縁近傍に位置する1組の装荷状態センサ100を有する。図示の実施形態において、この装荷センサは、着床エリアの上面に埋め込まれた光センサであり、それぞれが着床エリアの4つの外側コーナー各個近傍に位置決めされる4つの個数で設けられる。伸展/後退可能アームの後退を使用して、3次元格子における保管場所から保管ユニットをロボット保管/回収車両上に引き込む装荷ルーチンの一部として、車両におけるローカルプロセッサが、センサ上方の保管ユニット下面の存在を検出するための4つの装荷状態センサの状態をチェックする。このようにして、4つすべての装荷状態センサから陽性検出信号が着床エリアの4つすべてのコーナーにおける保管ユニットの存在を確認し、これにより保管ユニットが着床エリアに完全に収容され、またこの着床エリアに適切に正方整列していることを確認する。
【0070】
一実施形態は装荷状態検出のために反射光センサを使用し、この場合、保管ユニットがセンサ上に存在するとき、センサの光ビーム発生器によって放出される光エネルギーが保管ユニットの下面に反射してセンサの受光器に戻り、これによりこの存在をうまく決定する。飛行時間計算(すなわち、光パルス放出と反射した光パルス検出との間の時間差)を使用して、ロボット保管/回収車両の着床エリアに着座する保管ビン下面からの反射と、他の表面からの反射との間を区別する。当然のことながら、光センサ以外のセンサタイプを採用することができ、例えば、保管ユニット下面に接触することによって機械的に作動する限界スイッチ、又は保管ユニット下面で検出可能な磁場を発生する協調磁気素子の存在で作動する磁気センサがある。しかし、光センサは好適なものであり、可動部品若しくは磁気積分の必要性、又は保管ユニットの他の特別な構成を回避するからである。
【0071】
上述したように、受注処理センターに在庫品目を保管するのに使用される3次元格子構体は、同一の在庫保管格子構体内に完全に又は部分的に完了した注文をバッファリングするのにも使用することができる。図22は、図2に示すタイプの在庫保管格子を補完できる個別の3次元仕分け/バッファリング格子を示す。例えば、パレット化した入来補給在庫を脱パレット化して、注文を取り出しまた輸送コンテナ内に梱包する図2の在庫保管格子内に誘導することができ、この後、図22に示す仕分け/バッファリング格子構体200内に誘導する。仕分け/バッファリング格子構体200は、在庫保管格子と同一の3次元骨組みを備えることを特徴とし、したがって、互いに整合する上側トラックレイアウト及び下側トラックレイアウトを有し、またこれら2つのトラックレイアウト間に保管カラム及び垂直シャフトを画定するトラックレイアウト間における直立フレーム部材のアレイであって、各トラックレイアウトでロボット保管/回収車両の車両隊を水平方向に横走させ、また2つのトラックレイアウト間のシャフトで縦走させ、トラックレイアウト間の棚付き保管場所にアクセスするのを可能にする、該直立フレーム部材のアレイを有することを特徴とする。しかし、仕分け/バッファリング格子200の保管場所は、在庫保管格子から取り出した注文品を収納している既に梱包した輸送コンテナを収納する。ロボット車両隊は、やはり中央コンピュータ制御システム、例えば、在庫保管格子によって共有されるのと同一コンピュータ制御システムを介して無線制御される。
【0072】
図22に示した実施例において、仕分け/バッファリング格子200の上側トラックレイアウトは、入来輸送コンテナ204を上側トラックレイアウトのロボット保管/回収車両に装荷する目的で協働するよう設置した複数の取込みステーション202によって差配される。各取込みステーションはコンベヤー206を有して、このコンベヤー上で一連の入来輸送コンテナが仕分け/バッファリング格子200内への誘導のため待ち行列を作ることができ、各コンベヤーの出口端部は、ロボット保管/回収車両14の高さに等しい又はそれより僅かに超える高さで仕分け/バッファリング格子200の外周縁における上側トラックレイアウトの僅か上方の高さに位置する。このようにして、各取込みコンベヤー206の出口は、ロボット保管/回収車両が上側トラックレイアウトに乗軌するときロボット保管/回収車両の着床エリアが占有する上側水平基準面に又はその上方に存在する。したがって、取込みコンベヤーは入来輸送コンテナを摺動させる、又は上側トラックレイアウトの外周縁における取込みコンベヤーの出口端部に整列するピックアップスポットに位置する1台のロボット保管/回収車両における着床エリアに落下させることができる。
【0073】
1つ又はそれ以上の取込みステーションは、図示のように上側トラックレイアウトの任意な1つ又はそれ以上の周側面に設けることができるが、上側トラックレイアウトの共通側面であって、梱包した輸送コンテナが到着している現場在庫保管格子に最も近い、又は在庫保管格子作業ステーションで集合された注文品目をその後に梱包してから仕分け/バッファリング格子200に転送する1つ又はそれ以上の中間梱包ステーションに最も近い共通側面のすべてに存在させることができる。しかし、当然のことながら、必ずしも、2つの格子を共有設備に配置する必要性はない。
【0074】
仕分け/バッファリング格子200の下側トラックレイアウトは複数の出荷ステーション208によって差配され、この出荷ステーション208は、下側トラックレイアウトにおけるロボット保管/回収車両からから出荷輸送コンテナ210を除荷する目的で仕分け/バッファリング格子200と協働可能に設置する。各出荷ステーションは、コンベヤー212を有することができ、輸送車両が利用可能であるときこの輸送車両上にコンテナが積み込まれる最終梱包エリア又は積込みベイのような設備の更に下流の場所に転送されるため、これらコンベヤー上で一連の出荷輸送コンテナが待ち行列を作ることができる。各出力コンベヤー212の入口端部は、ロボット保管/回収車両が下側トラックレイアウトに乗軌するときロボット保管/回収車両の着床エリアが存在する下側水平面に又はそれより僅かに下方に位置する。このようにして、コンベヤーの入口端部に整列する下側トラックレイアウトの外周縁に位置する荷下ろしスポットにおけるロボット保管/回収車両は、輸送コンテナをこのロボット保管/回収車両から出力コンベヤーの入口端部上に摺動又は荷下ろしすることができる。1つ又はそれ以上の出荷ステーションは上側トラックレイアウトに周側面のうち任意な1つ又はそれ以上に設けることができる。図示の実施例は、下側トラックレイアウトの少なくとも2つの互いに対向する側面に出荷ステーションを備えることを特徴とし、例えば、随意的に仕分け/バッファリング格子200の互いに対向する側面に位置する1対の積込みベイ又は梱包エリアにそれぞれ送給する。
【0075】
各入来輸送コンテナは1つの取込みステーションからピックアップすることができ、このピックアップは、コンピュータ制御システムによってこのピックアップ作業に割り当てられたロボット保管/回収車両によって行うことができ、次に、保管場所にアクセス可能な対応するシャフトを介して仕分け/バッファリング格子200における利用可能な(そのとき空いている)保管場所に搬送され、またその後の回収のためにこの保管場所に留置される。代案として、割り当てたロボット保管/回収車両に対して入来輸送コンテナを保管するよう指令する代わりに、コンピュータ制御システムは、ロボット保管/回収車両に対して、緊急性を基本とするその輸送コンテナのための積込みベイ又は梱包エリアにおける必要性又は利用可能性を考慮して出荷ステーションのうち1つに直接輸送コンテナを配送するよう指令する。
【0076】
ピックアップした輸送コンテナのためのこれら保管及び直接出荷の選択肢間における選択において、コンピュータ制御システムは、その輸送コンテナに関する注文の、構成要素コンテナが仕分け/バッファリング格子200に既に入庫されている他の注文に対する注文優先度ランク付けを参照することができる。付加的又は代案的に、ピックアップされた輸送コンテナがより大きい総注文のうち部分的成分のみである場合、輸送コンテナを保管するか、又は直接出力ステーションに配送するかの決定は、より大きい総注文の残りの部分を充足している他の輸送コンテナが仕分け/バッファリング格子200に存在する、又は目前に迫っていることが予想されるかに少なくとも部分的に依存する。注文全体が存在している又は存在が目前に迫っており、またより高い優先度ランク付けを有する任意な他の注文がない場合、そのときピックアップされたコンテナを直接に、注文がコンピュータ制御システムによって割り当てられた適切な出力ステーションに送り出すことができる。同一注文における他の構成要素コンテナは、仕分け/バッファリング格子200における対応する保管場所に既に存在していれば、その保管場所から回収し、また同一の割り当てられた出力ステーションに配送する、又はその他の構成要素コンテナがそのとき入庫ステーションにある、若しくは目前に迫っていると予想されている場合、他の出力ステーションに直接配送する。
【0077】
2つの3次元格子の組合せに対する有用な用途の1つの実施例は、通路ベース又は同様の場所ベースのキッティング(キット化)作業であり、この作業において、例えば、特定通路セクション又は特定品目が行先をきめられる小売店の店舗レイアウトにおける他の識別可能なサブ領域に従って、小売店を行先とする異なる小売り品目を在庫保管格子からグループとして取り出される。異なるグループは異なる輸送コンテナに梱包され、また次にこのように取り出された品目グループそれぞれが取り出されかつ梱包されるとき、一時的保管のために個別に仕分け/バッファリング格子に送り込まれる。異なる時点で、在庫保管格子、この在庫保管格子に連結される作業ステーション、又は在庫保管格子からさらに下流に位置する後続の梱包ステーションから退出して、輸送コンテナは、互い違いの時点で仕分け/バッファリング格子に到着し、1つ又はそれ以上の初期的に収容されたコンテナは、潜在的にそのコンテナにおける後で収容される残りの部分よりも相当早期に到着し、またしたがって、早期に収容されたパッケージは、少なくともコンテナの残りの部分が仕分け/バッファリング格子によって収容される、又はそこへの接近が目前であるような時点までは、仕分け/バッファリング格子に一時保管(バッファリング)される。このような時点で、先にバッファリングされている初期的に収容された輸送コンテナは、仕分け/バッファリング格子200におけるそれぞれに対応する保管場所から回収され、また小売店への輸送の準備が整う完成注文物として集合(例えば、パレット化)させるため1台又はそれ以上のロボット保管/回収車両によって共通出力ステーションに配送される。
【0078】
しかし、このことは、仕分け/バッファリング格子200の有用性に関する1つの単なる非限定的な例に過ぎず、その使用は、特別に本発明及び本願人による上述した先行PCT出願で採用される3次元格子構体を使用する在庫保管解決策としての使用に特に限定されない。さらに、小売店向けの通路ベースのキット化は単なる一例であり、また通路ベース又は同様にマッピングされた異なる識別可能なサブ領域を有する組織的レイアウトを有する小売店でない同様な顧客は、キット化配送から恩恵を受けることができそうである。これには、外部サプライヤーから入来する原材料又は予形成構成部品のために組織化した保管設備を有する製造業者が含まれ、外部サプライヤーにおいて、キット化した輸送コンテナはこのような現場の製造業者の保管設備を行先とし、この保管設備から原材料又は予形成構成部品が施設内における1つ又はそれ以上の製造ステーションに配給される。このキット化手法も、製造ステーション自体が異なる識別可能なサブ領域である場合に使用することができ、このサブ領域に対してキット化された材料又は構成部品がこのようなステーションにおける供給ニーズに従って行先を定められ、これらニーズは、これらステーションが1つの生産ライン内の異なる段階であるか、又は2つの異なる生産ラインのための完全若しくは部分的な組立ステーションであるかによる。
【0079】
他の実施例において、製造施設は、下流に仕分け/バッファリング格子200がある又はなしのいずれかで、同一施設における製造ステーションにキット投入保管ユニットを送り出すため原材料及び/又は構成部品をキット化する現場に図2の在庫保管格子を有することができる。
【0080】
上述したように本発明に対して種々の変更を加えることができ、また明らかに広範囲に異なる多くの実施形態に同様に変更を加えることができるため、本明細書に含まれるすべての事項は単に説明目的であり、限定する意味ではないと解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図7E
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22