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特許7300469データ処理装置、データ処理方法、データ処理プログラム、評価システム、評価方法、および、評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法、データ処理プログラム、評価システム、評価方法、および、評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20230101AFI20230622BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
G06Q10/083 320
B65G61/00 526
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020568636
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2020003768
(87)【国際公開番号】W WO2020158936
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2019016075
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井手上 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】上山 健治
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116482(JP,A)
【文献】特表2017-520833(JP,A)
【文献】国際公開第2017/222934(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生鮮品の物流環境を示す環境データを取得する環境取得部と、
前記環境データを用いて、評価基準に従って前記生鮮品の物流品質を評価する評価部と、
前記物流品質の評価結果を出力する結果出力部と、
を有し、
前記環境データは、前記生鮮品を梱包するコンテナボックスの内部において測定された前記生鮮品の周辺雰囲気における経時的な温度を含み、
前記評価部は、前記評価結果に基づいて、物流前の前記生鮮品を保存する推奨保存環境を算出する
データ処理装置。
【請求項2】
前記環境データは、さらにガス組成を含む、請求項に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記推奨保存環境は、物流前の前記生鮮品を予冷する予冷温度を少なくとも含む、請求項1または2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記評価部は、前記評価結果に基づいて、前記生鮮品を物流する推奨物流環境を算出する、請求項からのいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記推奨物流環境は、推奨する前記生鮮品の量を含む、請求項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記推奨物流環境は、推奨する前記生鮮品の組み合わせを含む、請求項またはに記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記評価部は、前記評価結果に基づいて、物流後の前記生鮮品を保存する推奨保存期限を算出し、
前記結果出力部は前記推奨保存期限を表示する、請求項からのいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記評価部は、前記評価基準として、前記環境データを入力することで前記物流品質を出力するように機械学習されたモデルを有する、請求項からのいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
予冷された生鮮品を、保冷機能を有するコンテナボックスに入れて常温物流したことに応じて、前記生鮮品の周辺雰囲気の環境データを取得する環境取得部と、
取得された前記環境データを用いて、物流品質を評価する評価部と、
を備え、
前記環境データは、前記コンテナボックスの内部において測定された前記生鮮品の周辺雰囲気における経時的な温度を含み、
前記評価部は、前記物流品質の評価結果に基づいて、物流前の前記生鮮品を保存する推奨保存環境を算出する
評価システム。
【請求項10】
前記環境データは、さらにガス組成を含む、請求項に記載の評価システム。
【請求項11】
評価システムが評価する評価方法であって、
予冷された生鮮品を、保冷機能を有するコンテナボックスに入れて常温物流したことに応じて、前記生鮮品の周辺雰囲気の環境データを取得することと、
取得された前記環境データを用いて、物流品質を評価することと、
を備え、
前記環境データは、前記コンテナボックスの内部において測定された前記生鮮品の周辺雰囲気における経時的な温度を含み、
前記物流品質の評価結果に基づいて、物流前の前記生鮮品を保存する推奨保存環境は算出される
評価方法。
【請求項12】
前記環境データは、さらにガス組成を含む、請求項11に記載の評価方法。
【請求項13】
コンピュータにより実行されて、前記コンピュータを、
予冷された生鮮品を、保冷機能を有するコンテナボックスに入れて常温物流したことに応じて、前記生鮮品の周辺雰囲気の環境データを取得する環境取得部と、
取得された前記環境データを用いて、物流品質を評価する評価部と、
して機能させ、
前記環境データは、前記コンテナボックスの内部において測定された前記生鮮品の周辺雰囲気における経時的な温度を含み、
前記評価部は、前記物流品質の評価結果に基づいて、物流前の前記生鮮品を保存する推奨保存環境を算出する
評価プログラム。
【請求項14】
前記環境データは、さらにガス組成を含む、請求項13に記載の評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、データ処理方法、データ処理プログラム、評価システム、評価方法、および、評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生鮮食料品を低温輸送した際の保存環境の履歴から、生鮮食料品の保存品質を判定する管理システムが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2002-358591号公報
【解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の管理システムでは、生鮮食料品を低温環境で輸送し、予め設定されたしきい値を用いて、低温環境で輸送された際の保存環境の良否を判定している。しかしながら、生鮮品は、品目や品種等の様々な特性に応じて最適な保存条件がそれぞれ異なる。このような生鮮品の物流を適切に評価することが望ましい。
【一般的開示】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、データ処理装置を提供する。データ処理装置は、生鮮品の物流環境を示す環境データを取得する環境取得部を備えてよい。データ処理装置は、生鮮品の状態を示す状態データを取得する状態取得部を備えてよい。データ処理装置は、状態データに基づいて、環境データを用いて生鮮品の物流品質を評価する評価基準を学習する学習部を備えてよい。
【0005】
状態データは、生鮮品の状態を複数のランクにランク付けしたデータであり、学習部は、複数のランクの少なくとも1つについて、ランク毎の評価基準を学習してよい。
【0006】
生鮮品の特性を示す特性データを取得する特性取得部を更に備え、学習部は、特性データに更に基づいて評価基準を学習してよい。
【0007】
環境データを用いて、物流品質を評価基準に従って評価する評価部と、物流品質の評価結果を出力する結果出力部と、を更に備えてよい。
【0008】
評価部は、評価結果に基づいて、物流前の生鮮品を保存する推奨保存環境を算出してよい。
【0009】
評価部は、評価結果に基づいて、生鮮品を物流する推奨物流環境を算出してよい。
【0010】
推奨物流環境は、推奨する生鮮品の量を含んでよい。
【0011】
推奨物流環境は、推奨する生鮮品の組み合わせを含んでよい。
【0012】
評価部は、評価結果に基づいて、物流後の生鮮品を保存する推奨保存期限を算出してよい。
【0013】
環境データは、生鮮品の周辺雰囲気における経時的な温度、湿度、ガス組成、照度、および、振動の少なくともいずれかを含んでよい。データ処理装置は、生鮮品の物流環境を示す環境データを取得する環境取得部を備えてよい。データ処理装置は、環境データを用いて、評価基準に従って生鮮品の物流品質を評価する評価部を備えてよい。データ処理装置は、物流品質の評価結果を出力する結果出力部を備えてよい。評価部は、環境データに基づいて、物流後の生鮮品を保存する推奨保存期限を算出し、結果出力部は推奨保存期限を表示してよい。評価部は、評価基準として、環境データを入力することで物流品質を出力するように機械学習されたモデルを有してよい。
【0014】
本発明の第2の態様においては、データ処理装置がデータを処理するデータ処理方法を提供する。データ処理方法は、データ処理装置が、生鮮品の物流環境を示す環境データを取得することを備えてよい。データ処理方法は、データ処理装置が、生鮮品の状態を示す状態データを取得することを備えてよい。データ処理方法は、データ処理装置が、状態データに基づいて、環境データを用いて生鮮品の物流品質を評価する評価基準を学習することを備えてよい。
【0015】
本発明の第3の態様においては、データ処理プログラムを提供する。データ処理プログラムは、コンピュータにより実行されてよい。データ処理プログラムは、コンピュータを、生鮮品の物流環境を示す環境データを取得する環境取得部として機能させてよい。データ処理プログラムは、コンピュータを、生鮮品の状態を示す状態データを取得する状態取得部として機能させてよい。データ処理プログラムは、コンピュータを、状態データに基づいて、環境データを用いて生鮮品の物流品質を評価する評価基準を学習する学習部として機能させてよい。
【0016】
本発明の第4の態様においては、評価システムを提供する。評価システムは、予冷された生鮮品を、保冷機能を有するコンテナボックスに入れて常温物流したことに応じて、生鮮品の周辺雰囲気の環境データを取得する環境取得部を備えてよい。評価システムは、取得された環境データを用いて、物流品質を評価する評価部を備えてよい。
【0017】
本発明の第5の態様においては、評価システムが評価する評価方法を提供する。評価方法は、評価システムが、予冷された生鮮品を、保冷機能を有するコンテナボックスに入れて常温物流したことに応じて、生鮮品の周辺雰囲気の環境データを取得することを備えてよい。評価方法は、評価システムが、取得された環境データを用いて、物流品質を評価することを備えてよい。
【0018】
本発明の第6の態様においては、評価プログラムを提供する。評価プログラムは、コンピュータにより実行されてよい。評価プログラムは、コンピュータを、予冷された生鮮品を、保冷機能を有するコンテナボックスに入れて常温物流したことに応じて、生鮮品の周辺雰囲気の環境データを取得する環境取得部として機能させてよい。評価プログラムは、コンピュータを、取得された環境データを用いて、物流品質を評価する評価部として機能させてよい。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る評価システム10を示す。
図2】本実施形態に係る評価システム10において、生鮮品20を物流する際に用いるコンテナボックス200の一例を示す。
図3】本実施形態に係る評価システム10における出荷元30の一例を示す。
図4】本実施形態に係る評価システム10の出荷元30において行われる出荷フローの一例を示す。
図5】本実施形態に係る評価システム10において、物流手段40にコンテナボックス200を搭載して生鮮品20を物流する一例を示す。
図6】本実施形態に係る評価システム10における出荷先50の一例を示す。
図7】データ処理装置100が評価基準を学習する学習フローを示す。
図8】データ処理装置100が物流品質を評価する評価フローを示す。
図9】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
図1は、本実施形態に係る評価システム10を示す。評価システム10は、出荷元30、物流手段40、出荷先50、ネットワーク60、および、データ処理装置100を備える。評価システム10は、出荷元30において予冷された生鮮品20を、物流手段40を介して出荷先50へ常温物流した場合に、データ処理装置100を用いて物流の品質、生鮮品の鮮度・品質を評価する。さらには、未来の状態予測(例えば、鮮度・品質保持期限など)まで行うこともできる。なお、ここで、物流とは、品物を出荷元から出荷先へ引き渡すまでの物的流通全般をいい、輸送をはじめ、保管、荷役、包装、および、流通加工等を含む。また、最近は直販流通や各家庭への個配など、物流方法も多岐に渡るため、出荷元30と出荷先50は特定できるものではない。
【0023】
生鮮品20は、生鮮であることが求められる品物全般をいい、ここでは、野菜および果物等の青果、鮮魚、および、精肉をはじめ、ハムおよびソーセージ等の加工食品、および、花卉等を含む。このような生鮮品20は、例えば、組織が柔らかい、水分含量が高い、および、収穫後も呼吸・蒸散などの生活生理を営んでいる等の固有の特徴を有する。そのため、生鮮品20は、物流環境要因の影響を強く受けると同時に、1つの要因がもとで自触媒的に他の要因の悪化をもたらし品質低下が進行する。それゆえ、生鮮品20は、他の物品に比べて、物流過程での品質劣化による廃棄ロスが非常に多い。しかしながら、生鮮品20は、どのような条件下で物流されたのか不明である場合が多いのが現状である。本実施形態に係る評価システム10は、このような生鮮品20の物流・生鮮品の品質を評価する。
【0024】
出荷元30は、生鮮品20の物流の始点を示し、例えば、生鮮品20を集積して出荷する集出荷拠点等である。また、本実施形態に係る評価システム10は、出荷元30において、生鮮品20を予冷する。予冷とは、出荷前に生鮮品20に施す低温処理をいい、予冷により、例えば、収穫時や加工時・倉庫での保管時の高い品温を素早く下げて代謝をゆるやかにし、成分の消耗や劣化を抑制するとともに、出荷後の物流中の品温上昇を抑制して品質の悪化を防ぐことができる。本実施形態に係る評価システム10においては、出荷元30において、当該予冷を生鮮品20に施すことによって、物流中における生鮮品20の周辺雰囲気の温度をアクティブにコントロールしない、いわゆる常温物流を行うことができる。これについては後述する。
【0025】
物流手段40は、生鮮品20を出荷元30から出荷先50へ物流するための手段である。本図においては、物流手段40が輸送手段としてのトラックである場合を一例として示す。しかしながら、これに限定されるものではない。物流手段40は、例えば、鉄道、船舶、および、航空機等の他の輸送手段であってもよいし、生鮮品20を保管する倉庫等の他の物流手段であってもよいし、または、これらの組み合わせであってもよい。本実施形態に係る評価システム10においては、物流手段40は、一般的に設けられている冷暖房機能を除き、庫内の温度をアクティブにコントロールする機能を有さなくてよい。すなわち、物流手段40は、いわゆる冷蔵車、冷凍車、冷蔵庫、および、冷凍庫等でなくてよい。
【0026】
出荷先50は、生鮮品20の物流の終点を示し、例えば、卸売市場、量販店の物流センター、直売所、および、青果物加工業者等である。生鮮品20は、物流手段40を介して、出荷元30から出荷先50へ物流され、産地から消費地へと引き渡される。
【0027】
ネットワーク60は、複数のコンピュータを相互に接続可能な情報通信網である。ネットワーク60は、例えば、インターネット等のグローバルな情報通信網であってよい。
【0028】
データ処理装置100は、ネットワーク60に接続され、生鮮品20の物流品質を評価する。データ処理装置100は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、データ処理装置100は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、データ処理装置100は、物流品質の評価用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。ネットワーク60がインターネットである場合、データ処理装置100は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。これにより、データ処理装置100は、インターネットにアクセス可能な様々な環境からデータを収集し、処理したデータをインターネットにアクセス可能な様々な環境の他の装置へ供給することができる。
【0029】
データ処理装置100は、環境取得部110、特性取得部120、状態取得部130、学習部140、評価部150、および、結果出力部160を備える。
【0030】
環境取得部110は、予冷された生鮮品20を、保冷機能を有するコンテナボックスに入れて常温物流したことに応じて、生鮮品20の物流環境を示す環境データ、すなわち、生鮮品20の周辺雰囲気の環境データを取得する。環境取得部110は、ネットワーク60を介して環境データを取得し、取得した環境データを学習部140および評価部150へ供給する。これに代えて、または加えて、環境取得部110は、ユーザによるキーボード操作およびマウス操作等を受け付け、ユーザ入力を介して環境データを取得してもよい。また、環境取得部110は、データを記憶可能なメモリデバイス等を介して環境データを取得してもよい。
【0031】
ここで、環境データは、生鮮品20の代謝や品質劣化に影響を及ぼし得るいかなる環境因子であってもよい。環境データは、例えば、生鮮品20の周辺雰囲気における経時的な温度、湿度、ガス組成、照度、および、振動の少なくともいずれかを含んでよい。生鮮品20の中には、収穫後も生命維持のため呼吸などの活動を続けるものもあり、このような生命活動が活発なほど、栄養分解や蒸散により鮮度や品質の劣化が進行する。周辺雰囲気を適切な低温、高湿度、低酸素、および、高二酸化炭素条件に維持することによって、生鮮品20の代謝を抑え、品質の劣化を抑制することができる。そして、このような環境を維持するためには、生鮮品20を梱包するコンテナボックスが不用意に開梱されていないことが重要である。このようなコンテナボックスの開梱は、例えば、照度によって検出し得る。また、生鮮品20は、輸送中の振動によって外部に傷が付く上、外傷がつかない程度の振動であっても振動によって敏感に生命活動が活発化する。このように、これらの環境因子は、生鮮品20の代謝や品質劣化に及ぼす影響が大きい。したがって、データ処理装置100は、これらの環境因子を取得することで、生鮮品20の物流品質を精度よく評価することができる。
【0032】
特性取得部120は、生鮮品20の特性を示す特性データを取得する。特性取得部120は、ネットワーク60を介して特性データを取得し、取得した特性データを学習部140および評価部150へ供給する。これに代えて、または加えて、特性取得部120は、ユーザによるキーボード操作およびマウス操作等を受け付け、ユーザ入力を介して特性データを取得してもよい。また、特性取得部120は、データを記憶可能なメモリデバイス等を介して特性データを取得してもよい。
【0033】
ここで、特性データは、生鮮品20の品質特性や品質変化特性に影響を及ぼし得る、生鮮品20が予め有するいかなる特性因子であってもよい。特性データは、例えば、品目、品種、産地、栽培方法、等級、熟度、収穫時期、および、収穫してからの経過時間等であってよい。これらの特性因子は、生鮮品20の品質特性や品質変化特性に及ぼす影響が大きい。したがって、データ処理装置100は、これらの特性因子を取得することで、生鮮品20の特性に応じて物流品質を適切に評価することができる。
【0034】
状態取得部130は、生鮮品20の状態を示す状態データを取得する。状態取得部130は、ネットワーク60を介して状態データを取得し、取得した状態データを学習部140および評価部150へ供給する。これに代えて、または加えて、状態取得部130は、ユーザによるキーボード操作およびマウス操作等を受け付け、ユーザ入力を介して状態データを取得してもよい。また、状態取得部130は、データを記憶可能なメモリデバイス等を介して特性データを取得してもよい。
【0035】
ここで、状態データは、物流開始または物流途中または物流後における生鮮品20の状態を示すデータである。生鮮品20の状態は、例えば、生鮮品20の質量、水分量、匂い(ガス組成)、および、表面状態等を定量的に評価した状態であってもよいし、作業員の目利きによって官能的に評価した状態であってもよい。また、状態データは、これら生鮮品20の状態を複数のランクにランク付けしたデータであってよい。状態データは、例えば、「良」・「不良」等の2つのランクにランク付けしたデータであってもよいし、「Aランク」・「Bランク」・…・「Eランク」等の3つ以上のランクにランク付けしたデータであってもよい。
【0036】
学習部140は、状態データに基づいて、環境データを用いて生鮮品の物流品質を評価する評価基準を学習する。この際、学習部140は、特性データに更に基づいて評価基準を学習してよい。状態データが、生鮮品20の状態を複数のランクにランク付けしたデータである場合、学習部140は、複数のランクの少なくとも1つについて、ランク毎の評価基準を学習してよい。これについては後述する。学習部140は、学習した評価基準を評価部150へ供給する。
【0037】
評価部150は、取得された環境データを用いて、物流品質を評価基準に従って評価する。この際、評価部150は、学習部140によって学習された評価基準を物流品質の評価基準として用いる。また、評価部150は、例えば、評価結果に基づいて、物流前の生鮮品20を保存する推奨保存環境、生鮮品20を物流する推奨物流環境、および、物流後の生鮮品20を保存する推奨保存期限(以下、推奨保存環境、推奨物流環境、および推奨保存期限をまとめて「推奨条件」ともいう。)を算出してよい。また、学習部140は、状態データに基づいて、環境データを用いて上記推奨条件の内いずれかを算出する基準を学習してよい。評価部150は、評価結果、推奨保存環境、推奨物流環境、および、推奨保存期限を結果出力部160へ供給する。
【0038】
結果出力部160は、物流品質の評価結果、推奨保存環境、推奨物流環境、および、推奨保存期限を出力する。結果出力部160は、例えば、ネットワーク60を介して他の装置へ、これら評価結果等を出力する。なお、上述の説明では、結果出力部160がネットワーク60を介して評価結果等を他の装置へ出力する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。結果出力部160は、例えば、モニタに評価結果等を表示出力してもよいし、スピーカにより評価結果等を音声出力してもよいし、データを記憶可能なメモリデバイス等に書き込んで評価結果等を出力してもよい。
【0039】
なお、本図においては、環境取得部110、特性取得部120、状態取得部130、学習部140、評価部150、および、結果出力部160が、データ処理装置100として一つの装置に一体に構成されている場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。これら機能部の少なくとも一部は、別体の装置として構成されていてもよい。特に、学習部140が実行する学習アルゴリズムは、演算負荷が高い。したがって、データ処理装置100は、例えば、このように演算負荷の高い学習部140を別の装置として構成し、演算負荷の分散を図ってもよい。
【0040】
図2は、本実施形態に係る評価システム10において、生鮮品20を物流する際に用いるコンテナボックス200の一例を示す。生鮮品20は、例えば段ボール等の梱包体に入れられた状態で、一例として、本図に示すような保冷・保湿機能およびガスバリア機能を有するコンテナボックス200の内部に梱包され、常温物流される。なお、コンテナボックス200が有する機能はこれに限定されるものではない。例えば、コンテナボックス200は、保冷機能のみを有し、保湿機能およびガスバリア機能の少なくともいずれか一方を有していなくてもよい。コンテナボックス200は、パレット210、断熱シート220、側壁パネル230、天板パネル240、および、センサノード250を備える。
【0041】
パレット210は、生鮮品20が梱包された梱包体を載せるための荷役台である。パレット210は、木材により形成されていてもよいし、湿気に強い合成樹脂等により形成されていてもよい。パレット210は、脚と脚の間にフォークリフトやハンドリフトの爪を差し込み可能な差し穴を有している。パレット210は、例えば、日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)により規格化されたT11型の一貫輸送用平パレットであってよい。また、このパレットに免振機能をもたせることで、振動による劣化を抑制できる。
【0042】
断熱シート220は、熱移動および熱伝導を減少させる熱絶縁材およびガスバリア素材で形成されたシートである。断熱シート220は、パレット210の上部に設けられている。これにより、コンテナボックス200は、コンテナボックス200の下部とコンテナボックス200の内部空間との間の熱移動、熱伝導、および、透湿・ガスの透過を低減させる。
【0043】
側壁パネル230は、パレット210の4つの側面に沿って、パレット210の上部に断熱シート220を介して設けられたパネルである。側壁パネル230は、断熱シート220と同様、熱絶縁性およびガスバリア性を有する材料により形成される。これにより、コンテナボックス200は、コンテナボックス200の左部、右部、前部、および、後部とコンテナボックス200の内部空間との間の熱移動、熱伝導、および、透湿・ガスの透過を低減させる。
【0044】
また、側壁パネル230は、開度を調整可能な調整弁232を有する。調整弁232は、開度を調整することにより、コンテナボックス200の内部空間と外部空間とを連通する隙間の大きさを変えることができる。なお、上述の説明では、調整弁232が側壁パネル230に設けられた場合を一例として示したが、調整弁232の設置箇所はいかなる箇所であってもよく、例えば、天板パネル240に設けられていてもよい。
【0045】
天板パネル240は、側壁パネル230の上部に設けられて、コンテナボックス200の天面を成すパネルである。天板パネル240は、側壁パネル230と同様、熱絶縁性およびガスバリア性を有する材料により形成される。これにより、コンテナボックス200は、コンテナボックス200の上部とコンテナボックス200の内部空間との間の熱移動、熱伝導、および、透湿・ガスの透過を低減させる。
【0046】
このように、コンテナボックス200は、コンテナボックス200の内部空間を、熱絶縁性およびガスバリア性を有する材料によりコンテナボックスの外部空間から遮断するので、高い保冷機能およびガスバリア機能を有する。また、コンテナボックス200は、パレット210が一体に構成されるので、生鮮品20を内部空間に梱包したまま、フォークリフトやハンドリフト等により移動させることができ、積み込み、および、積み下ろし時間の短縮を図ることができる。
【0047】
センサノード250は、生鮮品20の物流環境を示す環境データ、すなわち、生鮮品20の周辺雰囲気の環境データを測定する。センサノード250は、例えば、温度センサ、湿度センサ、ガス(O2、CO2など)センサ、照度センサ、および、振動センサ等であってよく、生鮮品20の周辺雰囲気における温度、湿度、ガス組成、照度、および、振動の少なくともいずれかを測定する。また、センサノード250にはICタグが設けられており、測定した環境データを、ICタグを介してセンサノード250の外部へと無線により出力する。なお、本図においては、センサノード250が、天板パネル240の下面に固定されている場合を一例として示している。しかしながら、センサノード250の設置箇所はいかなる箇所であってもよく、例えば、断熱シート220の上面に固定されていてもよいし、側壁パネル230の内壁に固定されていてもよい。また、上述の説明では、センサノード250がコンテナボックス200の内部に設置される場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。センサノード250は、生鮮品20の周辺雰囲気の環境を測定し得る、コンテナボックス200の外部に設置されていてもよい。
【0048】
図3は、本実施形態に係る評価システム10における出荷元30の一例を示す。出荷元30において、生鮮品20は、集積、仕分け、梱包、および、予冷される。出荷元30は、第1ネットワークデバイス310、第1タグリーダライタ320、第1入力部330、および、第1出力部340を備える。なお、これら機能部は、出荷元30に予め備えられていてもよいし、出荷元30にいる作業員が所持するポータブルデバイス等によって実現されていてもよい。
【0049】
第1ネットワークデバイス310は、出荷元30のネットワークと外部のネットワーク60とを中継する通信デバイスである。第1ネットワークデバイス310は、例えば、3GやLTE等の携帯電話通信網やWiMAX等のWMAN(Wireless Metroporitan Area Network)を介してネットワーク60に接続される。そして、第1ネットワークデバイス310は、出荷元30の他の機能部から取得したデータを外部のネットワーク60へ中継し、また、外部のネットワーク60から取得したデータを出荷元30の他の機能部へ中継する。
【0050】
第1タグリーダライタ320は、コンテナボックス200のセンサノード250に設けられたICタグへのデータの読み取りおよび書き込みを行う機能を有する。第1タグリーダライタ320とICタグとの通信方式はいかなる通信方式であってもよく、例えば、航空機にも搭載可能なFeliCa(登録商標)通信方式、遠隔監視向けの特定小電力、および、ZigBee(登録商標)等の通信方式等であってよい。第1タグリーダライタ320は、各コンテナボックス200のセンサノードに設けられたICタグから、当該ICタグのIDをそれぞれ読み取る。そして、第1タグリーダライタ320は、読み取ったIDを出荷元30の他の機能部へ供給する。
【0051】
第1入力部330は、ユーザ入力およびメモリデバイス等を介して、各種データの入力を受け付ける。そして、第1入力部330は、入力された各種データを出荷元30の他の機能部へ供給する。
【0052】
第1出力部340は、出荷元30の他の機能部から供給された各種データを出力する。第1出力部340は、例えば、有線または無線を介して他の装置へ各種データを出力してもよいし、モニタおよびスピーカ等により各種データを出力してもよいし、記憶可能なメモリデバイス等に書き込んで各種データを出力してもよい。
【0053】
図4は、本実施形態に係る評価システム10の出荷元30において行われる出荷フローの一例を示す。ステップ410において、作業員は、ネットワーク60を介してデータ処理装置100に推奨条件を問い合わせる。出荷元30には、品目、品種、産地、栽培方法、等級、熟度、および、収穫時期等の特性データがそれぞれ異なる様々な生鮮品20が集積されている。第1入力部330は、作業員によるユーザ操作を受け付け、例えば、これら生鮮品20の特性データ、出荷先50の目的地、出荷量、および、出荷時期等を入力する。そして、第1ネットワークデバイス310は、ネットワーク60を介して、これら情報をデータ処理装置100へ供給する。第1ネットワークデバイス310は、これら情報の応答として、データ処理装置100から推奨条件を取得する。そして、第1出力部340は、第1ネットワークデバイス310が取得した推奨条件を出力する。
【0054】
ここで、推奨条件は、例えば、物流前の生鮮品20を保存する推奨保存環境の条件、および、生鮮品20を物流する推奨物流環境の条件等であってよい。また、推奨物流環境の条件は、例えば、生鮮品20を物流する際における推奨する生鮮品20の量、および、推奨する生鮮品20の組み合わせ等であってよい。
【0055】
次に、ステップ420において、作業員は、生鮮品20の仕分け、および、梱包を行う。例えば、作業員は、出荷先50の目的地毎に、各目的地に対応する出荷量となるように生鮮品20を仕分けする。そして、作業員は、第1出力部340が出力した推奨物流環境の条件に基づいて、生鮮品20をコンテナボックス200へ梱包する。この際、例えば、第1出力部340は、生鮮品20を物流する際に推奨する生鮮品20の組み合わせの条件を出力し、作業員に、当該組み合わせに基づいて共通のコンテナボックス200に混載する生鮮品20を選択させる。そして、第1出力部340は、生鮮品20を物流する際に推奨する生鮮品20の量を出力し、作業員に、選択した生鮮品20の梱包量が当該出力した量の条件を満たすまで生鮮品20をコンテナボックス200へ梱包させる。
【0056】
そして、ステップ430において、作業員は、初期情報の登録を行う。この際、第1入力部330は、作業員によるユーザ操作を受け付け、各コンテナボックス200の初期情報を入力し、これら初期情報を第1ネットワークデバイス310へ供給する。そして、第1ネットワークデバイス310は、ネットワーク60を介して、これら初期情報をデータ処理装置100へ供給する。例えば、第1入力部330は、初期情報として、第1タグリーダライタ320が読み取った各コンテナボックス200のタグIDと、当該コンテナボックス200に梱包された生鮮品20の特性データとを紐付けして初期情報を入力する。そして、第1ネットワークデバイス310は、当該初期情報を、ネットワーク60を介してデータ処理装置100へ供給し、初期情報の登録を行う。
【0057】
次に、ステップ440において、作業員は、各コンテナボックス200を予冷する。この際、第1出力部340は、第1ネットワークデバイス310がデータ処理装置100から取得した推奨保存環境を出力して、作業員に予冷条件を設定させる。第1出力部340は、例えば、推奨保存環境として、通風式予冷、真空式予冷、および、冷水式予冷等の予冷方法、予冷温度、および、予冷時間等をコンテナボックス200毎に出力し、作業員に、コンテナボックス200毎に最適な環境で予冷を行わせる。
【0058】
そして、ステップ450において、作業員は、予冷が終了した各コンテナボックス200をフォークリフト等により運搬して、物流手段40を介して出荷を行う。
【0059】
このように、本実施形態の評価システム10によれば、出荷元において生鮮品20を予冷してから、保冷機能を有するコンテナボックス200に梱包して物流するので、生鮮品20自体を冷媒として機能させることができる。これにより、本実施形態の評価システム10によれば、物流手段40として冷蔵車、冷凍車、冷蔵庫、および、冷凍庫等を用いることなく、さらには氷やドライアイスといった冷却材、保冷剤や潜熱蓄熱材等を用いることなく、生鮮品20を常温で物流することができる。また、本実施形態の評価システム10によれば、生鮮品20の組み合わせや量を調整しつつ、保存環境条件を最適化して生鮮品20を予冷するので、常温物流を行うにあたって、生鮮品20の冷媒としての機能を制御することができる。このように、本実施形態の評価システム10によれば、冷蔵車、冷凍車、冷蔵庫、および、冷凍庫等の保有リスクを低減することができ、また、保冷剤の入れ間違いや入れ忘れ等による生鮮品20の低温障害や鮮度劣化を防止することができる。
【0060】
図5は、本実施形態に係る評価システム10において、物流手段40にコンテナボックス200を搭載して生鮮品20を物流する一例を示す。本図においては、物流手段40が輸送手段としてのトラックである場合を一例として示すが、上述のとおり、例えば、鉄道、船舶、および、航空機等の他の輸送手段であってもよいし、生鮮品20を保管する倉庫等の他の物流手段であってもよいし、または、これらの組み合わせであってもよい。物流手段40は、庫内に生鮮品20が梱包されたコンテナボックス200を複数搭載し、生鮮品20を出荷元30から出荷先50へ物流する。物流手段40は、コンテナボックス200が搭載された庫内の温度をアクティブにコントロールする機能を有していなくてよい。すなわち、物流手段40は、いわゆる冷蔵車、冷凍車、冷蔵庫、および、冷凍庫等でなくてよい。
【0061】
物流手段40は、第2ネットワークデバイス510、第2タグリーダライタ520、第2入力部530、および、第2出力部540を備える。なお、これら機能部は、物流手段40に予め備えられていてもよいし、物流手段40にいる作業員が所持するポータブルデバイス等によって実現されていてもよい。これら機能部は、出荷元30に備えられた、第1ネットワークデバイス310、第1タグリーダライタ320、第1入力部330、および、第1出力部340と、それぞれ同様の機能を有するので重複する説明は省略する。
【0062】
物流手段40において、第2タグリーダライタ520は、物流中において、各コンテナボックス200のセンサノード250から、コンテナボックス200に梱包された生鮮品20の周辺雰囲気の環境データを、当該センサノード250に設けられたICタグのIDとともに読み取る。そして、第2ネットワークデバイス510は、第2タグリーダライタ520が読み取った環境データを当該IDとともに、ネットワーク60を介してデータ処理装置100へ経時的に供給する。ここで、環境データは、上述のとおり、例えば、生鮮品20の周辺雰囲気における経時的な温度、湿度、ガス組成、照度、および、振動の少なくともいずれかを含んでよい。
【0063】
また、物流中において、生鮮品20の状態データを取得可能である場合には、第2入力部530は、生鮮品20の状態データの入力を受け付けてよい。そして、第2ネットワークデバイス510は、第2入力部530に入力された状態データと、当該状態データに対応する生鮮品20を梱包するコンテナボックス200のタグIDとを紐付けて、ネットワーク60を介してデータ処理装置100へ供給してよい。この際、共通のコンテナボックス200に特性データの異なる生鮮品20が混載されている場合、第2入力部530は、特性データの異なる生鮮品20毎の状態データの入力をそれぞれ受け付けてよい。
【0064】
なお、上述の説明では、物流手段40が第2ネットワークデバイス510を備え、当該第2ネットワークデバイス510を介して、環境データや状態データ等を物流中にデータ処理装置100へ供給する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。物流手段40は、第2ネットワークデバイス510を有しない場合、もしくは、第2ネットワークデバイス510を介してネットワーク60にアクセスできない場合には、物流中における各種データを時系列に記憶手段に記憶しておき、他のネットワークデバイス、もしくは、第2ネットワークデバイス510を介してネットワーク60にアクセス可能になった際に、当該記憶手段に記憶しておいた各種データをデータ処理装置100へ供給してもよい。また、物流手段40に代えて、または、加えて、センサノード250が、物流中における各種データを時系列に記憶手段に記憶しておき、例えば、いずれかの拠点において、センサノード250からこれら物流中における各種データを読み出して、データ処理装置100へ供給してもよい。
【0065】
図6は、本実施形態に係る評価システム10における出荷先50の一例を示す。出荷先50においては、コンテナボックス200の開梱、および、生鮮品20の状態の評価が行われる。出荷先50は、第3ネットワークデバイス610、第3タグリーダライタ620、第3入力部630、および、第3出力部640を備える。なお、これら機能部は、出荷先50に予め備えられていてもよいし、出荷先50にいる作業員が所持するポータブルデバイス等によって実現されていてもよい。これら機能部は、出荷元30に備えられた、第1ネットワークデバイス310、第1タグリーダライタ320、第1入力部330、および、第1出力部340と、それぞれ同様の機能を有するので重複する説明は省略する。
【0066】
出荷先50において、一部のコンテナボックス200は開梱され、一部の生鮮品20は、評価基準の学習用にその状態を評価される。例えば、生鮮品20の状態の評価は、ある一定の期間を対象として行われ、期間終了後には行われなくてもよい。または、生鮮品20の状態の評価は、一部の生鮮品20のみを対象として抜き取り的に行われ、それ以外の生鮮品20に対しては行われなくてもよい。すなわち、学習を行うために十分な教師データが取得できる場合には、教師データとして用いない生鮮品20の状態は直接評価せず、本実施形態に係る評価システムの評価結果から生鮮品20の状態を推定してよい。これにより、本実施形態に係る評価システムによれば、コンテナボックス200を開梱することなく、コンテナボックス200内に梱包された生鮮品20の状態を把握することができる。ここで、生鮮品20の状態は、上述のとおり、例えば、生鮮品20の質量、水分量、匂い、および、表面状態等を定量的に評価した状態であってもよいし、作業員の目利きによって官能的に評価した状態であってもよい。第3入力部630は、これら評価した状態に基づいて複数のランクにランク付けされた生鮮品20の状態データの入力を受け付けてよい。そして、第3ネットワークデバイス610は、第3入力部630に入力された状態データと、当該状態データに対応する生鮮品20を梱包していたコンテナボックス200のタグIDとを紐付けて、ネットワーク60を介してデータ処理装置100へ供給する。この際、共通のコンテナボックス200に特性データの異なる生鮮品20が混載されていた場合、第3入力部630は、特性データの異なる生鮮品20毎の状態データの入力をそれぞれ受け付けてよい。
【0067】
また、出荷先50において、生鮮品20の評価結果、および、推奨保存期限の少なくともいずれかを取得可能である場合、第3ネットワークデバイス610は、ネットワーク60を介してデータ処理装置100から、生鮮品20毎の評価結果、および、推奨保存期限の少なくともいずれかを取得してよい。そして、第3出力部640は、第3ネットワークデバイス610が取得した生鮮品20毎の評価結果、および、推奨保存期限の少なくともいずれかを出力してよい。このように、第3出力部640は、生鮮品20がどのような物流品質で物流されたか、および、物流後の生鮮品20がいつまで保存できるか等を作業員に知らしめることができる。これにより、作業員は、例えば、生鮮品20の物流品質や新鮮さを把握することができ、生鮮品20の値段や棚持ち時間等を最適な値に設定することができる。
【0068】
このようにして、データ処理装置100は、予冷された生鮮品20を、保冷機能を有するコンテナボックスに入れて常温物流したことに応じて、生鮮品20の物流環境を示す環境データ、すなわち、生鮮品20の周辺雰囲気の環境データを取得する。また、データ処理装置100は、そのような環境で物流された物流途中または物流後における生鮮品20の状態データを取得することができる。本実施形態に係るデータ処理装置100は、これら、環境データおよび状態データを用いて、生鮮品20の物流品質を評価する評価基準を学習する。すなわち、データ処理装置100は、物流品質を評価する評価基準として、予め設定された固定の基準を用いるのではなく、生鮮品20の環境データと、生鮮品20の状態データとを照らし合わせて、評価基準の見直しを適宜行う。
【0069】
図7は、データ処理装置100が評価基準を学習する学習フローを示す。ステップ710において、データ処理装置100は、物流の開始前に初期情報を取得する。例えば、データ処理装置100の特性取得部120は、出荷元30の第1ネットワークデバイス310から、生鮮品20の特性データを、当該生鮮品20を梱包するコンテナボックス200のタグIDとともに取得する。
【0070】
次に、ステップ720において、データ処理装置100は、生鮮品20の物流環境を示す環境データを取得する。例えば、データ処理装置100の環境取得部110は、物流手段40の第2ネットワークデバイス510から、生鮮品20の周辺雰囲気の環境データを、当該生鮮品20を梱包するコンテナボックス200のタグIDとともに取得する。
【0071】
そして、ステップ730において、データ処理装置100は、生鮮品20の状態を示す状態データを取得する。例えば、データ処理装置100の状態取得部130は、物流手段40の第2ネットワークデバイス510、および、出荷先50の第3ネットワークデバイス610の少なくともいずれかから、生鮮品20の状態を示す状態データを、当該生鮮品20を梱包していたコンテナボックス200のタグIDとともに取得する。すなわち、状態取得部130は、物流途中または物流後における生鮮品20の状態データを、タグIDとともに取得する。
【0072】
これにより、データ処理装置100は、タグIDを共通の検索キーとして、コンテナボックス200にどのような生鮮品20が梱包され、それがどのような環境で物流され、その結果、物流途中または物流後においてどのような状態となったのかをそれぞれ対応付けることができる。
【0073】
次に、ステップ740において、データ処理装置100は、環境データのラベル付けを行う。データ処理装置100の学習部140は、生鮮品20の状態データに基づいて、当該生鮮品20を物流した際の環境データのラベル付けを行う。学習部140は、例えば、状態が「Aランク」と評価された生鮮品20を物流した際に得られた環境データに対して、「A」のラベルを付す。同様に、学習部140は、例えば、状態が「Eランク」と評価された生鮮品20を物流した際に得られた環境データに対して、「E」のラベルを付す。このように、学習部140は、生鮮品20の状態データのランク毎に、当該生鮮品20を物流した際に得られた環境データに対して、それぞれのランクに対応するラベルを付す。
【0074】
そして、ステップ750において、データ処理装置100は、生鮮品20の状態データに基づいて、環境データを用いて生鮮品20の物流品質を評価する評価基準を学習する。この際、データ処理装置100の学習部140は、複数のランクのそれぞれについて、ランク毎の評価基準を学習する。例えば、学習部140は、「A」のラベルが付された環境データを収集し、当該環境データを一群の教師データとして用いて、「物流品質A」と判断するための評価基準を学習する。同様に、学習部140は、「E」のラベルが付された環境データを収集し、当該環境データを一群の教師データとして用いて、「物流品質E」と判断するための評価基準を学習する。ここで、学習部140は、評価基準として、各種環境データの上限および下限等の許容範囲を示すしきい値を学習してもよいし、環境データを時系列に示す環境データの基準モデルを学習してもよい。
【0075】
この際、学習部140は、特性データに更に基づいて評価基準を学習してよい。学習部140は、例えば、ラベル付けされた環境データを、生鮮品20の特性毎に分類し、同一の特性として分類された生鮮品20に対して同一のラベルが付された環境データを一群の教師データとして用いて、評価基準を生鮮品20の特性毎にそれぞれ学習してよい。これにより、学習部140は、特性の異なる生鮮品20に対して、それぞれ異なる評価基準を学習するので、物流品質を評価するにあたって、生鮮品20の特性に応じた最適な評価基準を用いて物流品質を評価することができる。
【0076】
学習部140は、評価基準を学習するにあたって、様々なアルゴリズムを用いてよい。学習部140は、例えば、学習アルゴリズムとして、回帰分析、クラスター分布、主成分分析、ベクトル量子化、自己組織化マップ、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ID3、および、単純ベイズ分類器等を用いる。また、学習部140は他のモデルからの転移学習によって評価基準を生成してもよいし、他のモデルを蒸留することによって評価基準を生成してもよい。
【0077】
図8は、データ処理装置100が物流品質を評価する評価フローを示す。ステップ810において、データ処理装置100は、評価基準を取得する。データ処理装置100の評価部150は、学習部140が図7のフローに従って学習した評価基準を学習部140から取得する。学習部140がランク毎の評価基準を学習した場合、評価部150は、ランク毎の評価基準を学習部140からそれぞれ取得する。また、学習部140が更に特性毎の評価基準を学習した場合、評価部150は、当該評価基準を特性毎に学習部140からそれぞれ取得する。
【0078】
ステップ820において、データ処理装置100は、生鮮品20の物流が開始されることに応じて、生鮮品20の初期情報を取得する。ステップ820の処理は、図7におけるステップ710の処理と同様であるため、説明は省略する。
【0079】
次に、ステップ830において、データ処理装置100は、予冷された生鮮品20を、保冷機能を有するコンテナボックス200に入れて常温物流したことに応じて、生鮮品20の物流環境を示す環境データを取得する。ステップ830の処理は、図7におけるステップ720の処理と同様であるため、説明は省略する。
【0080】
そして、ステップ840において、データ処理装置100は、評価基準に従って物流品質を評価する。例えば、データ処理装置100の評価部150は、ステップ820で取得した初期情報から、常温物流された生鮮品20の特性データを読み出す。次に、評価部150は、ステップ810で特性毎に取得した評価基準から、当該読み出した特性データに対応する評価基準を選択する。そして、評価部150は、ステップ830で取得した環境データを用いて、選択した評価基準に従って、生鮮品20の物流品質を評価する。この際、例えば、評価部150は、ランク毎の評価基準に照らして環境データを評価し、環境データがどのランクに該当するかを決定する。
【0081】
また、評価部150は、評価結果に基づいて、物流前の生鮮品20を保存する推奨保存環境を算出してよい。例えば、評価部150は、評価した評価結果が実際の生鮮品20の状態ランクと乖離している場合に、生鮮品20を予冷する予冷方法、予冷温度、および、予冷時間等、物流前の生鮮品20を保存する推奨保存環境を変更してよい。すなわち、評価部150は、これら推奨保存環境を評価結果に基づいてフィードバックし、以後の生鮮品20の物流において新たな推奨保存環境を適用させてよい。
【0082】
また、評価部150は、評価結果に基づいて、生鮮品20を物流する推奨物流環境を算出してよい。例えば、評価部150は、評価した評価結果が実際の生鮮品20の状態ランクと乖離している場合に、物流する際に推奨する生鮮品20の量、および、推奨する生鮮品20の組み合わせ等、生鮮品20を物流する推奨物流環境を変更してよい。すなわち、評価部150は、これら推奨物流環境を評価結果に基づいてフィードバックし、以後の生鮮品20の物流において新たな推奨物流環境を適用させてよい。
【0083】
また、評価部150は、評価結果に基づいて、物流後の生鮮品20を保存する推奨保存期限を算出してよい。例えば、評価部150は、物流品質の評価ランクが高い生鮮品20に対して、物流品質の評価ランクが低い生鮮品20よりも、期限が長くなるように推奨保存期限を算出してよい。すなわち、評価部150は、推奨保存期限を評価結果に応じた期限となるように算出し、物流後の生鮮品20の棚持ち時間等の設定に適用させてよい。また、推奨保存期限は、例えば、「今後、この状態で保存された場合に、○月○日まで鮮度を保持することができます。」等の、生鮮品20を予め定められた鮮度で保持できる期限を示すメッセージ等であってもよい。
【0084】
そして、ステップ850において、データ処理装置100は、これら評価結果等を出力する。例えば、データ処理装置100の評価部150は、評価結果等を結果出力部160へ供給し、結果出力部160が評価結果等を出力する。この際、例えば、結果出力部160は、ネットワーク60を介して出荷元30の第1ネットワークデバイス310に、推奨保存環境、および、推奨物流環境を供給する。また、結果出力部160は、ネットワーク60を介して出荷先50の第3ネットワークデバイス610に評価結果、および、推奨保存期限を供給してよい。
【0085】
このように、データ処理装置100は、評価結果に基づいて、推奨保存環境、および、推奨物流環境をフィードバックするので、例えば、出荷元30において、生鮮品20の組み合わせや量を最適化しつつ、最適な条件で予冷させることができるので、常温物流するにあたって生鮮品20の冷媒としての機能を制御することができる。また、データ処理装置100は、評価結果、および、推奨保存期限を供給するので、例えば、出荷先50において、コンテナボックス200を開梱して生鮮品20の状態を直接評価することなく、生鮮品20がどのような環境で物流されたか、すなわち、生鮮品20がどのような鮮度状態であるかを作業員に知らしめることができる。また、データ処理装置100は、そのような環境で物流された生鮮品20がどの程度棚持ちさせることができるか等を作業員に知らしめることができる。
【0086】
上述したように、本実施形態に係るデータ処理装置100によれば、生鮮品20を冷媒として機能させて常温物流するので、冷蔵車、冷凍車、冷蔵庫、冷凍庫等による低温物流をする必要がなく、また、コンテナボックス200へ保冷剤等を同梱する必要がない。これにより、低温物流用の設備の保有リスクを低減することができ、また、保冷剤の入れ間違いや入れ忘れ等による生鮮品20の低温障害や鮮度劣化等を防止することができる。また、常温物流した際の物流品質を、データ処理装置100が評価基準に従って客観的に評価するので、事業者間の責任を明確化するとともに、生鮮品20の安全性や鮮度の見える化をすることができる。また、このような拠点統一基準を用いた客観的な評価により物流品質を標準化することで、商品やサービスの付加価値向上やブランド力の強化を図ることができる。また、仲卸の目利き等に依存することなく、誰でも品質の合否を判定可能となり、品質評価を行うフローを作業員の勘や経験から脱却させることができる。また、本実施形態に係るデータ処理装置100によれば、そのような評価を行う評価基準を学習する。従来、最適な鮮度保持条件がそれぞれ異なる様々な生鮮品20の評価基準を調整することは、作業員の経験を必要とし、長い時間を要していた。しかしながら、本実施形態に係るデータ処理装置100によれば、このような評価基準を生鮮品20の物流環境を示す環境データと、生鮮品20の状態データとを照らし合わせて、生鮮品20の特性毎に学習するので、特性の異なる様々な生鮮品20に対して、最適な評価基準を提供することができる。
【0087】
本実施形態に係るデータ処理装置100のように、予冷された生鮮品20を、保冷機能を有するコンテナボックス200に入れて常温物流するにあたっては、様々な追加や変更が可能である。例えば、コンテナボックス200に照度センサが設けられている場合、データ処理装置100は、当該照度センサから取得した照度が予め定められたしきい値を超えたか否かを判断してもよい。しきい値を超えたと判断した場合、データ処理装置100は、コンテナボックス200が物流中に開梱されたと判断して、その旨を結果出力部160が出力するようにしてもよい。また、しきい値を超えていないと判断した場合、データ処理装置100は、コンテナボックス200が物流中に開梱されていないと判断して、コンテナボックス200に梱包された生鮮品20が適切な環境条件で物流されたと推定してもよい。この際、照度センサに代えて、または加えて、コンテナボックスが正しく閉まっているか否かを検知するセンサが用いられてもよい。
【0088】
また、データ処理装置100は、物流中の生鮮品20の環境データを取得する際に、生鮮品20の位置情報を併せて取得してもよい。これにより、データ処理装置100は、生鮮品20のトレーサビリティを実現してもよい。例えば、データ処理装置100は、生鮮品20の環境データを取得した際に、当該環境データと生鮮品20の位置情報とを対応付けて記憶し、物流中のどの位置においてどのような環境データの変異があったのかを判断してもよい。このように、データ処理装置100は、生鮮品20の物流中に起こった環境データの変異を、位置情報に基づいてトレースバック可能に構成してもよい。
【0089】
また、データ処理装置100は、コンテナボックス200に設けられた調整弁232の開度をアクティブに制御してもよい。例えば、データ処理装置100は、推奨物流環境として、生鮮品20を物流する際に推奨するガス組成を出力し、コンテナボックス200の内部空間のガス組成が、当該推奨するガス組成となるように、調整弁232の開度を自動または手動で制御させてもよい。
【0090】
また、データ処理装置100は、外部環境データを取得し、外部環境データに応じて、推奨保存環境、推奨物流環境、および推奨保存期限等を調整してもよい。データ処理装置100は、例えば、外気温が予め定められたしきい値よりも高い場合に、外気温が予め定められたしきい値よりも低い場合よりも、予冷温度が低く、または、予冷時間が長くなるように推奨保存環境を調整してもよい。また、データ処理装置100は、外気温が予め定められたしきい値よりも高い場合に、外気温が予め定められたしきい値よりも低い場合よりも、生鮮品20を物流する際に推奨する生鮮品20の量が多くなるように、推奨物流環境を調整してもよい。また、データ処理装置100は、外気温が予め定められたしきい値よりも高い場合に、外気温が予め定められたしきい値よりも低い場合よりも、物流後の生鮮品20を保存する推奨期限が短くなるように、推奨保存期限を調整してもよい。
【0091】
また、データ処理装置100は、物流前の生鮮品20の周辺雰囲気における環境データ、および、物流後の生鮮品20の周辺雰囲気における環境データの比較結果から、生鮮品20の物流品質を推定してもよい。例えば、データ処理装置100は、物流前の生鮮品20の周辺雰囲気における温度を取得して初期値として記憶し、物流後の生鮮品20の周辺雰囲気における温度を当該初期値と比較して、比較の結果に応じて生鮮品20の物流品質を推定してもよい。すなわち、データ処理装置100は、物流後の環境データと物流前の環境データとの差分を算出し、当該差分が予め定められたしきい値未満である場合に、生鮮品20の物流品質が一定以上の品質を満たすと推定し、当該差分が予め定められたしきい値以上である場合に、生鮮品20の物流品質が一定以上の品質を満たさないと推定してもよい。
【0092】
また、生鮮品20を入れる段ボール等の梱包体に、環境データの経時変化で状態が変化する貼付物を貼付しておき、データ処理装置100は、物流途中または物流後において貼付物の状態を取得し、当該状態に基づいて、生鮮品20が物流された環境を推定してもよい。例えば、梱包体に温度の経時変化で色が変化するシールを貼付しておき、物流途中または物流後において、データ処理装置100は、シールの状態データを取得し、当該状態データに基づいて、生鮮品20が物流された環境を推定してもよい。すなわち、データ処理装置100は、生鮮品20の梱包体に貼付された貼付物の状態変化が、予め定められたしきい値未満である場合に、生鮮品20の物流品質が一定以上の品質を満たすと推定し、貼付物の状態変化が、予め定められたしきい値以上である場合に、生鮮品20の物流品質が一定以上の品質を満たさないと推定してもよい。
【0093】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0094】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0095】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0096】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0097】
図9は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0098】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0099】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0100】
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0101】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0102】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0103】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0104】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0105】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0106】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0107】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0108】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0109】
10 評価システム
20 生鮮品
30 出荷元
40 物流手段
50 出荷先
60 ネットワーク
100 データ処理装置
110 環境取得部
120 特性取得部
130 状態取得部
140 学習部
150 評価部
160 結果出力部
200 コンテナボックス
210 パレット
220 断熱シート
230 側壁パネル
232 調整弁
240 天板パネル
250 センサノード
310 第1ネットワークデバイス
320 第1タグリーダライタ
330 第1入力部
340 第1出力部
510 第2ネットワークデバイス
520 第2タグリーダライタ
530 第2入力部
540 第2出力部
610 第3ネットワークデバイス
620 第3タグリーダライタ
630 第3入力部
640 第3出力部
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インターフェイス
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9