(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】多形体及びキナゾリニル誘導体の調製プロセス
(51)【国際特許分類】
C07D 405/12 20060101AFI20230622BHJP
A61K 31/517 20060101ALN20230622BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20230622BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20230622BHJP
【FI】
C07D405/12 CSP
A61K31/517
A61P35/00
A61P43/00 111
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021039041
(22)【出願日】2021-03-11
(62)【分割の表示】P 2017554516の分割
【原出願日】2016-04-15
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】1979/CHE/2015
(32)【優先日】2015-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】7060/CHE/2015
(32)【優先日】2015-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】517357435
【氏名又は名称】ヘテロ ラボズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HETERO LABS LTD
【住所又は居所原語表記】7-2-A2, Hetero Corporate Industrial Estates Sanath Nagar Hyderabad 500018 India
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】パーササラディ レディ バンディ
(72)【発明者】
【氏名】ラスナカー レディ クラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァムシ クリシュナ バンディ
(72)【発明者】
【氏名】シュリニヴァス ラオ ニムマラ
【審査官】小路 杏
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-511336(JP,A)
【文献】特表2007-510624(JP,A)
【文献】国際公開第2013/052157(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/007206(WO,A1)
【文献】DISCLOSED ANONYMOUSLY,CRYSTALLINE FORM OF N-[4-[(3-CHLORO-4-FLUOROPHENYL) AMINO]-7-[[(3S)-TETRAHYDRO-3- FURANYL] OXY]-6-QUINAZOLINYL]-4(DIMETHYLAMINO)-2-BUTENAMIDE AND SALTS THEREOF,[ONLINE],2015年01月07日,PAGE(S)1-6,https://ia601307.us.archive.org/8/items/st13072015/ipd1.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アファチニブ遊離塩基結晶フォームを調製するプロセスであって、
a.アファチニブ遊離塩基を、有機溶媒又は有機溶媒の混合物と混合することと、b.a工程で得られた、アファチニブ遊離塩基と、有機溶媒又は有機溶媒の混合物との混合物に、任意選択的に水を加えることと、c.アファチニブ遊離塩基結晶フォームを単離することと、を含み、前記a工程において、アファチニブ遊離塩基を混合する前の有機溶媒又は有機溶媒の混合物に、
ブチル化ヒドロキシトルエン、およびブチル化ヒドロキシアニソールからなる群から選択される抗酸化剤を加える、
前記プロセス。
【請求項2】
前記有機溶媒は、極性非プロトン溶媒または非極性溶媒を含む群から選択され、前記極性非プロトン溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択され、前記非極性溶媒は、炭化水素、エーテル、アルコールからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記抗酸化剤は、アファチニブ遊離塩基に対して0.1~5%w/wの量で使用される、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アファチニブ又はその薬学的に許容される塩の多形形態、それらの調製プロセス、及びそれを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アファチニブ(コード:BIBW2992),2-ブテンアミド,N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[[(3S)-テトラヒドロ-3-フラニル]オキシ]-6-キナゾリニル]-4(ジメチルアミノ),(2E)-である 式Iの化合物は、二マレイン酸塩として、Boehringer IngelheimよりGILOTRIF(登録商標)という商品名で販売されている。Gilotrif(登録商標)は、上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ及びヒト上皮受容体2(HER2)チロシンキナーゼの両方の非可逆的経口投与阻害剤である。非小細胞肺がん(NSCLC)、乳がん、頭頸部がん及び様々な他のがんを含む種々の固形腫瘍の治療のためにアファチニブの開発が進められている。
【0003】
【0004】
米国再発行特許第43,431号(米国’431特許)は、アファチニブ及びその生理学的に許容される塩について開示している。米国’431特許は、以下のとおりアファチニブの調製について開示している。
【0005】
【0006】
多形性は、「結晶格子中に分子の異なる配列及び/又は配座を有する2つ以上の結晶相として存在する、物質の能力であり、それ故に、厳密には、多形体は、同一の純物質の異なる結晶構造であり、その分子は、分子の異なる配列及び/又は異なる構造を有している」として定義される。異なる多形体は、融解点、溶解性、X線回折パターンなどの物理的特性において異なる場合がある。これらの相違点は、化合物が分解されると消滅するが、取扱性、溶解速度及び安定性などの固体形態の薬学的に関連する性質に大きな影響を及ぼし得る。かかる性質は、多形体の処理、使用期限及び市販許容性(commercial acceptance)に大いに影響を及ぼし得る。そのため、全ての多形形態を含む薬剤の全ての固体形態を調査し、各多形形態の安定性、溶解性及び流動性を決定することが重要である。化合物の多形形態は、X線回折(XRD)、示差走査熱量測定(DSC)及び赤外分光法(IR)などの分析方法によって、ラボ内で識別可能である。
【0007】
米国特許第8,426,586(B2)号(米国’586特許)は、2θが4.91、6.42、7.47、8.13、10.37、17.19、19.43、19.91、21.33、22.94及び25.56においてピークを有することを特徴とするアファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォーム、並びにエタノールを溶媒として用いて調製した当該結晶フォームについて開示している。
【0008】
国際公開第2013/052157(A1)号は、フォームC、フォームD及びフォームEと呼ばれるアファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームについて開示しており、本開示において、フォームCは、テトラヒドロフランから調製され、フォームDは、エタノールから調製され、フォームEは、フォームAを特定の湿度条件下での吸湿性に対して処理/暴露することによって調製されている。更に、国際公開第2013/052157(A1)号は、米国’586特許の結晶フォームをフォームAとして言及している。
【0009】
米国特許第2014/0051713(A1)号は、フォームA、フォームB、フォームC及びフォームDと呼ばれるアファチニブ遊離塩基の結晶フォームについて開示しており、本開示において、フォームAは、酢酸エチルから調製され、フォームBは、酢酸ブチル及びメチルシクロヘキサンから調製され、フォームCは、メチルシクロヘキサン及びn-酢酸ブチルから調製され、フォームDは、n-酢酸ブチル及びメチルシクロヘキサンから調製されている。アファチニブ遊離塩基の結晶フォームに加えて、米国特許第2014/0051713(A1)号は、アファチニブ二マレイン酸塩のフォームB及びその調製についても開示している。
【0010】
国際公開第2015/007206(A1)号は、アファチニブの異なる塩、それらの多形体、アファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームN及びニトロメタンを用いて調製したことについて開示している。
【0011】
2015年1月7日に公開されたIPCOM000240150D(IP.Com)は、2-Me-THF/2-プロパノールを用いて調製した、2θが4.1、5.0、7.0、8.1、13.9、17.5、18.4、20.5、21.7及び26.2度±2θで0.2度において特性ピークを有するアファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームについて開示している。更に、本刊行物は、アファチニブ遊離塩基の結晶フォームI及びフォームIIについても開示しており、本刊行物において、フォームIは、エタノール及び水を用いて調製され、フォームIIは、エタノールを用いて調製されている。
【0012】
このことから、安定した多形形態を得るにあたり、溶媒媒体及び結晶化モードが非常に重要な役割を担っていることがわかる。
【0013】
アファチニブ及びその二マレイン酸塩は、安定性、物理的特性、分光データ並びにその調製プロセスに関して互いに異なる場合がある様々な多形形態で存在し得る。しかしながら、安定性があり、再現可能であり、他の多形形態を含まず、かつ医薬組成物に好適な新規の結晶フォームが依然として必要とされている。
【0014】
このことから、本発明者らは、アファチニブ及びその薬学的に許容される塩並びに安定性があり、再現可能であり、他の多形形態を含まず、かつ医薬組成物に好適なアファチニブ遊離塩基及びアファチニブ二マレイン酸塩の多形形態の工業的に適した調製プロセスを見出した。更に、本発明者らは、アファチニブ又は薬学的に許容される塩の製造プロセス中に形成される多くの不純物が、アファチニブ二マレイン酸塩に関するAustralian public assessment report(TGA)で言及されているとおり、式IIのアファチニブN-オキシド及び式IIIの加水分解性環化不純物であることを見出し、かつ空気酸化/湿気敏感性に起因してそれら不純物が形成されることを指摘している。
【0015】
【0016】
【0017】
更に、本発明者らは、上述の不純物を制御し、かつ高純度で工業的に許容される収率が安定しているアファチニブ又はその薬学的に許容される塩を提供するプロセスを見出した。
【発明の目的】
【0018】
本発明の目的は、アファチニブの結晶フォームを提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、アファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームを提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、アファチニブの結晶フォーム及びそれを含む医薬組成物の調製プロセスを提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、アファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォーム及びそれを含む医薬組成物の調製プロセスを提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、アファチニブ二マレイン酸塩の非晶フォームと、アファチニブ二マレイン酸塩の非晶フォーム及びそれを含む医薬組成物の調製プロセスとを提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、工業的に許容される収率及び純度をもたらし、経済的であり、かつ商業的に実行可能であるアファチニブ又はその薬学的に許容される塩を提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、許容範囲の不純物を含むアファチニブ又はその薬学的に許容される塩を提供することである。
【発明の概要】
【0025】
本発明は、粉末X線回折によって、°2θ特性ピークを5.0、20.2、25.6、28.1±0.2度において有することにより特徴付けられる、フォームH1として指定されたアファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームに関する。
【0026】
他の実施形態では、本発明は、アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH1を調製するプロセスに関し、
a.アファチニブ塩基を、極性非プロトン溶媒又はその混合物中で処理することと、
b.マレイン酸溶液を加えることと、
c.4時間にわたって維持することと、
d.アファイトニブ二マレイン酸塩結晶フォームH1を単離することと、を含む。
【0027】
本発明は、粉末X線回折によって、°2θ特性ピークを5.0、5.4、20.1、25.8±0.2度において有することにより特徴付けられる、フォームH2として指定されたアファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームに関する。
【0028】
他の実施形態では、本発明は、アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH2を調製するプロセスを提供し、
a.アファチニブ塩基を、極性非プロトン溶媒又はその混合物中で処理することと、
b.マレイン酸溶液を加えることと、
c.9時間にわたって維持することと、
d.アファイトニブ二マレイン酸塩結晶フォームH2を単離することと、を含む。
【0029】
本発明は、粉末X線回折によって、°2θ特性ピークを5.3、18.1、24.7±0.2度において有することにより特徴付けられる、フォームH3として指定されたアファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームに関する。
【0030】
他の実施形態では、本発明は、アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH3を調製するプロセスを提供し、
a.極性非プロトン溶媒、アルコールからなる群から選択される溶媒の混合物中で、アファチニブ塩基を処理することと、
b.前記反応物を冷却することと、
c.マレイン酸溶液を加えることと、
d.任意選択的に、溶媒を加えることと、
e.1~2時間にわたって維持することと、
f.アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH3を単離することと、を含む。
【0031】
本発明の他の実施形態では、非晶質アファチニブ二マレイン酸塩に関する。
【0032】
本発明の他の実施形態では、非晶質アファチニブ二マレイン酸塩を調製するプロセスを提供し、
a.アファチニブ塩基を、極性非プロトン溶媒又はその混合物中で処理することと、
b.前記反応物を冷却することと、
c.マレイン酸溶液を加えることと、
d.2時間にわたって維持することと、
e.非晶質アファチニブ二マレイン酸塩を単離することと、を含む。
【0033】
本発明は、粉末X線回折によって、°2θ特性ピークを5.3、6.2、12.3、18.4±0.2度において有することにより特徴付けられる、フォームH4として指定されたアファチニブ遊離塩基結晶フォームに関する。
【0034】
他の実施形態では、本発明は、アファチニブ遊離塩基結晶フォームH4を調製するプロセスを提供し、
a.アファチニブ塩基を、非極性溶媒中で処理することと、
b.任意選択的に撹拌することと、
c.アファチニブ遊離塩基結晶フォームH4を単離することと、を含む。
【0035】
本発明は、粉末X線回折によって、°2θ特性ピークを6.1、18.8、23.6±0.2度において有することにより特徴付けられる、フォームH5として指定されたアファチニブ遊離塩基結晶フォームに関する。
【0036】
本発明の他の実施形態では、アファチニブ遊離塩基結晶フォームH5を調製するプロセスを提供し、
a.極性非プロトン溶媒、エーテルから選択される溶媒の混合物中で、アファチニブ塩基を処理することと、
b.任意選択的に1時間にわたって維持することと、
c.アファチニブ遊離塩基結晶フォームH5を単離することと、を含む。
【0037】
本発明の他の実施形態では、アファチニブ又はその二マレイン酸塩の結晶フォーム又は非晶フォームを含む医薬組成物を提供する。
【0038】
本発明の他の実施形態では、アファチニブ二マレイン酸塩を調製するプロセスを提供し、
a.アファチニブ塩基を、溶媒で処理することと、
b.マレイン酸溶液を加えることと、
b.アファチニブ二マレイン酸塩を単離することと、を含み、
前記溶媒は、抗酸化剤で処理されことを含む。
【0039】
本発明の他の実施形態では、アファチニブ遊離塩基結晶フォームを調製するプロセスを提供し、
a.アファチニブ塩基を、有機溶媒又はその混合物で処理することと、
b.任意選択的に水を加えることと、
c.アファチニブ遊離塩基結晶フォームを単離することと、を含み、
有機溶媒は、抗酸化剤で処理されることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】アファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームH1の粉末X線ディフラクトグラムパターンを示す図である。
【
図2】アファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームH2の粉末X線ディフラクトグラムパターンを示す図である。
【
図3】アファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームH3の粉末X線ディフラクトグラムパターンを示す図である。
【
図4】アファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームH3のDSCを示す図である。
【
図5】アファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームH3のIRを示す図である。
【
図6】アファチニブ二マレイン酸塩の非晶フォームの粉末X線ディフラクトグラムパターンを示す図である。
【
図7】アファチニブ遊離塩基の結晶フォームH4の粉末X線ディフラクトグラムパターンを示す図である。
【
図8】アファチニブ遊離塩基の結晶フォームH5の粉末X線ディフラクトグラムパターンを示す図である。
【0041】
X線粉末回折スペクトルは、銅a線を有するX線粉末回折計(bruker axs D8 advance)で測定した。十分な試料を試料ホルダ上でなだらかに平坦化させ、0.02の増分及び0.2秒/ステップの走査速度で、2θが2~50度の範囲を走査した。試料を試料ホルダ上に単に置いた。40KVの電圧及び35mAの電流で、30rpmで試料を回転させた。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、°2θ特性ピークを5.0、20.2、25.6、28.1±0.2度において有し、5.5、11.4、13.1、22.4±0.2度においてピークを有することを更に特徴とするフォームH1と呼ばれる、新規のアファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームに関する。
【0043】
本発明の別の態様では、アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH1の調製プロセスが提供され、その調製プロセスは、アファチニブ塩基を、極性非プロトン性溶媒又はその混合物中で処理すること[極性非プロトン性溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される]と、極性非プロトン性溶媒から選択される好適な溶媒にマレイン酸を溶解することにより調製したマレイン酸溶液を加えること[極性非プロトン性溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される]と、反応を4時間継続することと、アファイトニブ二マレイン酸塩結晶フォームH1を単離することと、を含む。
【0044】
本発明は、2θ特性ピークを5.0、5.4、20.1、25.8±0.2度においてほぼ有していることにおける特性ピークを有し、10.0、11.5、19.6、28.2±0.2度におけるピークを更に特徴とするフォームH2と呼ばれる、新規のアファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームに関する。
【0045】
本発明の別の態様では、アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH2の調製プロセスが提供され、その調製プロセスは、アファチニブ塩基を、極性非プロトン性溶媒又はその混合物中で処理すること[極性非プロトン性溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される]と、極性非プロトン性溶媒から選択される好適な溶媒にマレイン酸を溶解することにより調製したマレイン酸溶液を加えること[極性非プロトン性溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される]と、反応を9時間継続することと、アファイトニブ二マレイン酸塩結晶フォームH2を単離することと、を含む。
【0046】
本発明は、約5.3、13.7、18.1、23.2、24.7±0.2度において°2θ特性ピークをほぼ有することにおける特性ピークを有するフォームH3と呼ばれる、新規のアファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームに関する。
【0047】
本発明の別の態様では、アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH3の調製プロセスが提供され、その調製プロセスは、アファチニブ塩基を、極性非プロトン性溶媒、アルコールからなる群から選択される溶媒の混合物中で処理すること[アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ペンタノール、イソブタノール、3級ブタノール、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール又はその混合物からなる群から選択される脂肪族アルコールから選択され、芳香族アルコールは、フェノール、ベンジルアルコール又はその混合物からなる群から選択され、極性非プロトン性溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される]と、反応物を-25°~-50℃に冷却することと、極性非プロトン性溶媒から選択される好適な溶媒にマレイン酸を溶解することにより調製したマレイン酸溶液を加えること[極性非プロトン性溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される]と、任意選択的に溶媒を加えること[溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される極性非プロトン性溶媒から選択される]と、反応を1~2時間継続することと、その後、アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH3を単離することと、を含む。
【0048】
本発明の別の態様では、アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH3は、5±3℃及び25±2℃/RH(相対湿度)60±5%で安定であり、以下の安定性データを有する。
【0049】
【0050】
本発明の別の態様によると、アファチニブ二マレイン酸塩の非晶フォームが提供される。
【0051】
本発明の別の態様では、非晶質アファチニブ二マレイン酸塩の調製プロセスが提供され、その調製プロセスは、アファチニブ塩基を、極性非プロトン性溶媒又はその混合物中で処理すること[極性非プロトン性溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される]と、反応物を0~-10℃に冷却することと、極性非プロトン性溶媒から選択される好適な溶媒にマレイン酸を溶解することにより調製したマレイン酸溶液を加えること[極性非プロトン性溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される]と、2時間維持することと、アファチニブ二マレイン酸塩の非晶フォームを単離することと、を含む。
【0052】
本発明の別の態様では、非晶質アファチニブ二マレイン酸塩の単離は、溶媒を除去することにより行われ、その除去は、蒸留、噴霧乾燥、凍結乾燥、ターボ乾燥により行われる。
【0053】
本発明はまた、特性ピークを5.3、6.2、12.3、18.4±0.2において有し、21.2、24.2、24.7、25.8、26.2±0.2度におけるピークを更に特徴とするフォームH4と呼ばれる、アファチニブ遊離塩基結晶フォームに関する。
【0054】
本発明の別の態様では、アファチニブ遊離塩基結晶フォームH4の調製プロセスが提供され、その調製プロセスは、アファチニブ塩基を、非極性溶媒中で処理すること[非極性溶媒は、炭化水素、エーテルからなる群から選択される]と、任意選択的に撹拌することと、アファチニブ遊離塩基結晶フォームH4を単離することと、を含む。
【0055】
本発明は、特性ピークを6.1、18.8、23.6±0.2において有し、10.9±0.2度におけるピークを更に特徴とするフォームH5と呼ばれる、アファチニブ遊離塩基結晶フォームに関する。
【0056】
本発明の別の態様では、アファチニブ遊離塩基結晶フォームH5の調製プロセスが提供され、その調製プロセスは、アファチニブ塩基を、極性非プロトン性溶媒、エーテルから選択される溶媒の混合物中で処理すること[極性非プロトン性溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される]と、任意選択的に1時間維持することと、アファチニブ遊離塩基結晶フォームH5を単離することと、を含む。
【0057】
本発明の別の態様では、アファチニブ遊離塩基は、当該技術分野で既知のプロセスに従って調製された。
【0058】
本発明の別の態様では、アファチニブ塩基は、固体、油状物又はガム状物などであってもよい。
【0059】
本発明の別の態様によると、アファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームH1及び薬学的に許容される賦形剤並びに任意選択的な他の治療成分を含む医薬組成物が提供される。アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH1は、好ましくは、錠剤、カプセル、懸濁剤、分散剤、注射剤又は他の医薬品形態に調剤されてもよい。
【0060】
本発明の別の態様によると、アファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームH2及び薬学的に許容される賦形剤並びに任意選択的に他の治療成分を含む医薬組成物が提供される。アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH2は、好ましくは、錠剤、カプセル、懸濁剤、分散剤、注射剤又は他の医薬品形態に調剤されてもよい。
【0061】
本発明の別の態様によると、アファチニブ二マレイン酸塩の結晶フォームH3及び薬学的に許容される賦形剤並びに任意選択的な他の治療成分を含む医薬組成物が提供される。アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH3は、好ましくは、錠剤、カプセル、懸濁剤、分散剤、注射剤又は他の医薬品形態に調剤されてもよい。
【0062】
本発明の別の態様によると、非晶質アファチニブ二マレイン酸塩及び薬学的に許容される賦形剤並びに任意選択的な他の治療成分を含む医薬組成物が提供される。アファチニブ二マレイン酸塩非晶フォームは、好ましくは、錠剤、カプセル、懸濁剤、分散剤、注射剤又は他の医薬品形態に調剤されてもよい。
【0063】
本発明の別の態様によると、アファチニブ遊離塩基の結晶フォームH4及び薬学的に許容される賦形剤並びに任意選択的な他の治療成分を含む医薬組成物が提供される。アファチニブ結晶フォームH4は、好ましくは、錠剤、カプセル、懸濁剤、分散剤、注射剤又は他の医薬品形態に調剤されてもよい。
【0064】
本発明の別の態様によると、アファチニブ遊離塩基の結晶フォームH5及び薬学的に許容される賦形剤並びに任意選択的な他の治療成分を含む医薬組成物が提供される。アファチニブ結晶フォームH5は、好ましくは、錠剤、カプセル、懸濁剤、分散剤、注射剤又は他の医薬品形態に調剤されてもよい。
【0065】
本発明の別の態様では、アファチニブ二マレイン酸塩の調製プロセスが提供され、その調製プロセスは、アファチニブ塩基を、溶媒により処理すること[溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される極性非プロトン性溶媒を含む群から選択され、非極性溶媒は、炭化水素、エーテル、アルコールからなる群から選択される]と、極性非プロトン性溶媒から選択された溶媒中にマレイン酸を溶解したマレイン酸溶液を加えること[極性非プロトン性溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択され、非極性溶媒は、炭化水素、エーテル、アルコールを含む群から選択される]と、アファチニブ二マレイン酸塩を単離することと、を含み、溶媒は、抗酸化剤により処理され、抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールから選択される。
【0066】
本発明の別の態様では、アファチニブ遊離塩基結晶フォームの調製プロセスが提供され、その調製プロセスは、アファチニブ塩基を、有機溶媒により処理すること[有機溶媒は、ケトン、エステル、ニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素からなる群から選択される極性非プロトン性溶媒から選択され、非極性溶媒は、炭化水素、エーテル、アルコールを含む群から選択される]と、任意選択的に水を加えることと、アファチニブ遊離塩基結晶フォームを単離することと、を含み、有機溶媒は、抗酸化剤により処理され、抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールから選択される。
【0067】
本発明の別の態様では、抗酸化剤は、アファチニブに対して0.1~5%w/wの量で使用される。
【0068】
本発明の別の態様によると、上記で指定した式II及び式IIIの不純物を有するアファチニブ二マレイン酸塩の調製プロセスは、個々に1%未満、好ましくは0.5%未満、より好ましくは「検出せず」を示す。
【0069】
本発明の別の態様では、アファチニブ二マレイン酸塩の調製プロセスは、残留溶媒をICH限度以内で有し、本発明のプロセスに従って、商業的かつ工業的に好適なアファチニブ二マレイン酸塩をもたらすことができる。
【0070】
本発明の別の態様では、本発明を通して使用されるケトンは、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びメチルプロピルケトン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン又はその混合物を含む群から選択される脂肪族ケトンであり、本発明を通して使用されるエステルは、脂肪族エステル又は芳香族エステルであり、脂肪族エステルは、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸tert-ブチルメチル、ギ酸エチル又はその混合物から選択され、本発明を通して使用されるニトリルは、C2~C8ニトリルなどの脂肪族ニトリルからなる群から選択され、本発明を通して使用されるアルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ペンタノール、イソブタノール、3級ブタノール、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール又はその混合物からなる群から選択される脂肪族アルコールから選択され、本発明を通して使用される芳香族アルコールは、フェノール、ベンジルアルコール又はその混合物からなる群から選択され、本発明を通して使用されるエーテルは、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフ^ラン又はその混合物から選択される対称若しくは非対称のエーテル又は環状エーテルからなる群から選択され、ハロゲン化炭化水素は、二塩化メチレン、二塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素又はその混合物から選択され、C1~7アルカン由来のアルカンを含む脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン又はその混合物から選択される芳香族炭化水素、及びシクロヘキサン、シクロペンタン又はその混合物から選択されるシクロアルカンを含む群から選択される炭化水素、C1~7アルカンは、ヘキサン、ヘプタン又はその混合物から選択される。
【0071】
本発明の別の態様では、溶媒の混合物は、2種以上の溶媒を指す。
【0072】
本発明の別の態様では、単離は、既知の従来法により行われる。
【0073】
本発明の別の態様では、アファチニブ遊離塩基は、当該技術分野で既知のプロセスに従って調製された。
【0074】
本発明の別の実施形態では、アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームを、透明ポリエチレンバッグに詰めて糸で縛り、任意選択的に、黒色ポリエチレンバッグの内側の一次包装内に入れ、これを封止し、上記ポリエチレンバッグを三重ラミネート加工バッグの内側に更に入れ、真空窒素雰囲気下で封止し、密閉型高密度ポリエチレン(HDPE)容器内に入れる。脱酸素剤は、黒色ポリエチレンバッグ及び三重ラミネート加工バッグの内側で使用してもよい。
【0075】
以下の項目では、実施形態は、本発明のプロセスを説明する実施例により記載されている。但し、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。これらの実施例の変形例が、当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0076】
アファチニブの調製
参考例
5.6リットルの30%塩酸(53.17mol)を4.4リットルの水に加えた。次いで、4.28kgの95%(ジメチルアミノ)アセトアルデヒドジエチルアセタール(26.59mol)を20分以内で30℃にて滴下して加えた。溶液を35℃にて8時間撹拌し、撹拌し、5℃に冷却してアルゴン下で保存した。この溶液を溶液Bとする。
【0077】
4.55kg(68.06mol)の水酸化カリウムを23.5リットルの水に溶解し、-5℃に冷却した。この溶液を溶液Cとする。
【0078】
5.88kg(10.63mol)の((4-(3-クロロ-4-フルオロフェニルアミノ)-7-(テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)キナゾリン-6-イルカルバモイル)メチル)ホスホン酸ジエチル及び0.45kgの塩化リチウム(10.63mol)を23.5リットルのテトラヒドロフラン中に入れ、-7℃に冷却した。冷溶液Cを10分以内で加えた。溶液Bを-7℃で1分以内に加えた。更に1時間、-5℃にて撹拌し、30℃に加熱し、15リットルの水と混合した。3℃に冷却後、懸濁液を吸引ろ過し、水で洗浄し、乾燥した。収量:5.21kgの粗生成物、100%、含水率:6.7%。
【0079】
粗生成物の結晶化は、酢酸ブチル/メチルシクロヘキサンによって実施される。収量:78% 純度HPLC99.4FI%、含水率5.4%。
【0080】
アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームの調製
6.0kg(12.35mol)の(E)-4-ジメチルアミノブタ-2-エン酸-(4-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニルアミノ)7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン-6-イル)-アミドを84リットルのエタノール中に入れ、70℃に加熱し、36リットルのエタノール中の2.94kg(25.31mol)のマレイン酸の溶液と混合した。結晶化が始まった後、まず、混合物を20℃まで冷却し、2時間にわたって、次いで3時間にわたって0℃で撹拌した。沈殿を吸引ろ過し、19リットルのエタノールで洗浄し、真空中40℃にて乾燥した。
収量:8.11kg(91.5%)
融点:178℃
【0081】
実施例1
アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH1の調製
アファチニブ遊離塩基(3.0グラム)をメチルイソブチルケトン(7.5mL)中に20~25℃にて入れ、15分間撹拌した。マレイン酸(1.5グラム)をメチルイソブチルケトン(7.5mL)に溶解し、上記反応物に加えた。4時間撹拌した。得られた固体をろ過し、メチルイソブチルケトンで洗浄し、乾燥してアファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH1を得た。
収量:3.9グラム
【0082】
実施例2
アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH2の調製
アファチニブ遊離塩基(3.0グラム)をメチルイソブチルケトン(7.5mL)中に20~25℃にて入れ、15分間撹拌した。マレイン酸(1.5グラム)をメチルイソブチルケトン(30.0mL)に溶解し、上記反応物に加えた。9時間撹拌した。得られた固体をろ過し、メチルイソブチルケトンで洗浄し、乾燥してアファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH2を得た。
収量:3.9グラム
【0083】
実施例3
アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH3の調製
アファチニブ遊離塩基(2.0グラム)を二塩化メチレン(5.0mL)及びメタノール(5.0mL)に入れ、-25℃に冷却した。マレイン酸(1.0グラム)を酢酸エチル(45.0mL)に溶解し、上記反応物に-25℃にて加えた。-25℃で2時間にわたって撹拌した。得られた固体をろ過し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥してアファチニブ二マレイン酸塩フォームH3を得た。
収量:2.6グラム
クロマトグラフィー純度(HPLCによる):99.8%
【0084】
実施例4
アファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームH3の調製
アファチニブ遊離塩基(300グラム)を二塩化メチレン(600mL)及びメタノール(600mL)に入れ、-35℃に冷却した。マレイン酸(150グラム)を酢酸エチル(6600mL)に溶解し、上記反応物に-35℃にて加えた。-35℃~-45℃で1時間にわたって撹拌した。得られた固体をろ過し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥してアファチニブ二マレイン酸塩結晶フォームを得た。
収量:380グラム
クロマトグラフィー純度(HPLCによる):99.8%
【0085】
実施例5
非晶質アファチニブ二マレイン酸塩の調製
アファチニブ遊離塩基(2.0グラム)をメチルイソブチルケトン(5.0mL)中に20~25℃にて入れ、-10℃に冷却した。マレイン酸(1.0グラム)をメチルイソブチルケトン(40.0mL)に溶解し、上記反応物に-10℃にて加えた。-10℃で2時間にわたって撹拌した。得られた固体をろ過し、メチルイソブチルケトンで洗浄し、乾燥して非晶質アファチニブ二マレイン酸塩を得た。
収量:2.6グラム
【0086】
実施例6
アファチニブ遊離塩基フォームH4の調製
アファチニブ遊離塩基(20.0グラム)をシクロヘキサン(150mL)中に入れ、30分間撹拌した。得られた固体をろ過し、シクロヘキサンで洗浄し、乾燥してアファチニブ遊離塩基結晶フォームH4を得た。
収量:17.5グラム
【0087】
実施例7
アファチニブ遊離塩基フォームH5の調製
アファチニブ遊離塩基(17.5グラム)をアセトン(70.0mL)及びジイソプロピルエーテル(175mL)中に20~25℃にて入れ、1時間撹拌した。得られた固体をろ過し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、乾燥してアファチニブ遊離塩基結晶フォームH5を得た。
収量:12.0グラム
【0088】
実施例8
アファチニブ遊離塩基の調製
アファチニブ遊離塩基をブチル化ヒドロキシトルエンを加えたジイソプロピルエーテル(150mL)中でスラリー状とし、乾燥して75グラムのアファチニブ遊離塩基結晶フォームを得た。
HPLCによるアファチニブN-オキシド:0.11%。
【0089】
実施例9
アファチニブ遊離塩基の調製
アファチニブ遊離塩基(100グラム)をブチル化ヒドロキシトルエン(2.5グラム)を加えたテトラヒドロフラン(500mL)に室温にて入れた。35~40℃に加熱し、30分間撹拌した。ジイソプロピルエーテル(550mL)に溶解したブチル化ヒドロキシトルエン(2.75グラム)を60分間かけてゆっくりと加え、撹拌し、室温まで冷却した。その結果得られた固体をろ過し、ブチル化ヒドロキシトルエン(2.75グラム)を加えたジイソプロピルエーテル(100mL)で洗浄し、乾燥して70グラムのアファチニブ遊離塩基結晶フォームを得た。
HPLCによるアファチニブN-オキシド:0.07%。
【0090】
実施例10
アファチニブ遊離塩基の調製
アファチニブ遊離塩基(100グラム)をブチル化ヒドロキシトルエン(5グラム)を加えたジメチルホルムアミド(1000mL)に室温にて入れ、15分間撹拌した。水(750mL)を60分間かけてゆっくりと加え、45分間~1時間撹拌した。その結果得られた固体を、ブチル化ヒドロキシトルエン(0.2グラム)を加えたジメチルホルムアミド(50mL)、水(37.5mL)で洗浄し、乾燥して85グラムの結晶質アファチニブ遊離塩基を得た。
HPLCによるアファチニブN-オキシド:0.08%。