(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】吻合を形成するためのステントを含む医療用具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/11 20060101AFI20230622BHJP
A61F 2/86 20130101ALI20230622BHJP
【FI】
A61B17/11
A61F2/86
(21)【出願番号】P 2021175727
(22)【出願日】2021-10-27
(62)【分割の表示】P 2019166116の分割
【原出願日】2014-02-21
【審査請求日】2021-11-26
(32)【優先日】2013-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ビンメラー、ケネス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】レプル、ケケ
(72)【発明者】
【氏名】ドノバン、ライアン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-517677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0254169(US,A1)
【文献】特表2012-527955(JP,A)
【文献】特表2011-519709(JP,A)
【文献】特開2013-013715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-17/94
A61F 2/82-2/86
A61F 2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹腔鏡下での使用のために構成された医療用具であって、
ハンドルと、
前記ハンドルに係合したシャフトと、
自己拡張型のステントと、
前記自己拡張型のステントを拘束された状態に保持するように構成されたステント保持具と、
前記シャフトに対する前記ステント保持具の配向を、前記シャフトによって規定された軸平面に沿った第1の配向から、前記シャフトによって規定された前記軸平面への第2の配向へと変化させるように構成された関節要素と、
を備え、
前記ステント保持具は、前記自己拡張型のステントを拘束する材料であって、前記拘束された状態に前記ステントを保持するように構成され、前記ステントが拡張するのを可能にするべく解けるように構成され、かつステントの留置後に除去可能であるように構成された材料を備える、医療用具。
【請求項2】
前記ステント保持具は前記ステントの第1端及び前記ステントの第2端を選択的に解放するように構成されている、請求項1に記載の医療用具。
【請求項3】
可撓性材料を解くことにより前記ステントの前記第1端を制御可能に解放するように構成された第1のプルワイヤアセンブリ、及び前記可撓性材料を解くことにより前記ステントの前記第2端を拘束している材料を制御可能に解放するように構成された第2のプルワイヤアセンブリをさらに備える、請求項
2に記載の医療用具。
【請求項4】
前記ステント保持具及び前記自己拡張型のステントは着脱可能なカートリッジアセンブリの一部である、請求項1に記載の医療用具。
【請求項5】
身体組織を貫通するように構成された、先鋭化した先端部位をさらに備える、請求項1に記載の医療用具。
【請求項6】
腹腔鏡下での使用のために構成された医療用具であって、前記医療用具は、
ハンドルと、
前記ハンドルに係合したシャフトと、
自己拡張型のステントを拘束された状態に保持するように構成されたステント保持具と、
を備え、
前記ステント保持具は、前記自己拡張型のステントを拘束する材料であって、前記拘束された状態に前記ステントを保持するように構成され、前記ステントが拡張するのを可能にするべく解けるように構成され、かつステントの留置後に除去可能であるように構成された材料を備え
、前記ステント保持具は前記ステントの第1端及び前記ステントの第2端を選択的に解放するように構成されている、医療用具。
【請求項7】
前記シャフトに対する前記ステント保持具の配向を、前記シャフトによって規定された軸平面に沿った第1の配向から、前記シャフトによって規定された前記軸平面への第2の配向へと変化させるように構成された関節要素をさらに備える、請求項
6に記載の医療用具。
【請求項8】
可撓性材料を解くことにより前記ステントの前記第1端を制御可能に解放するように構成された第1のプルワイヤアセンブリ、及び前記可撓性材料を解くことにより前記ステントの前記第2端を拘束している材料を制御可能に解放するように構成された第2のプルワイヤアセンブリをさらに備える、請求項
6に記載の医療用具。
【請求項9】
前記ステント保持具及び前記自己拡張型のステントは着脱可能なカートリッジアセンブリの一部である、請求項
6に記載の医療用具。
【請求項10】
身体組織を貫通するように構成された、先鋭化した先端部位をさらに備える、請求項
6に記載の医療用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して医学的方法及び医療装置に関する。より具体的には、本開示は、身体の組織及び器官の間に吻合を形成するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して医学的方法及び医療装置に関する。より具体的には、本開示は、吻合を形成するための方法及び装置に関する。
いくつかの医療手技は隣接した体管腔の間の吻合の形成を必要とする。例えば、いくつかの手技は、第1の器官又は構造物、例えば食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、又は腹膜腔を通して胃腸(GI)管に進入すること、並びに、アンカー又はステントを、隣接した器官及び管腔構造物又は組織構造物、例えばGI管、胆管、膵管、胆嚢、膵臓、嚢胞、偽嚢胞、膿瘍などの隣接した部分に送達することによって実施されうる。そのような方法及び装置は、膀胱及び尿管のような尿路、気管及び気管支のような肺系の管、並びに胆管及び胆嚢のような胆道の部分どうしの間の行き来(アクセス)にも、また同様に脈管への適用にも使用可能である。
【0003】
ステントは、閉じた体内の管を到達手段(アクセス)、ドレナージ又はその他の目的で開口するのを容易にするために一般的に使用される。組織アンカーは隣接した組織又は器官を固定するために使用される。中央ルーメンを備えた管腔間組織アンカーは、隣接した管路、器官又は管腔の間の流体連通を容易にするために使用される。多くの場合、組織アンカー又はステントの正確な配置は、特に該組織アンカー又はステントが基端及び先端のうち少なくともいずれかに明確な固着要素を有し、かつそのデバイスが隣接した管腔を固定するために使用される場合には、必須である。
【0004】
隣接した体管腔、器官、又はその他の構造物の間にステント又はその他の組織アンカーを留置する場合、典型的には、到達路が確保された第1の体管腔の壁と、手技の標的である第2の体管腔の壁との両方を貫通することが必要である。最初にそのような到達用の貫通部を形成する場合、到達側の体管腔及び標的側の体管腔のいずれか又は両方から周囲の空間へ、例えば、限定するものではないが腹膜腔への、漏出という重大なリスクがある。いくつかの手技、例えば減量的(bariatric)、経胃的、又は経十二指腸的な胆管への到達を伴う手技などにおいて、周囲の組織及び体腔の中への体液の損失は患者に多大なリスクを与える可能性がある。リスクは、最初に到達するために通常は針を用いて管腔壁を貫通するだけでなく、続いて当初の貫通部を拡大又は拡張することが必要な場合に、悪化する可能性がある。
【0005】
胃バイパス手術は、近年は腹腔鏡手術と共により一般的になってきている。胃バイパス手術の1つの種類はルーワイ(RNY)胃バイパス手術である。減量バイパス術では、外科的吻合部位からの流体漏出は医師の間の関心事である。ルーワイ胃バイパス術のような手術を用いると、医師は、2つのそのような吻合、すなわち1つは胃底部嚢において空腸への、また1つは回腸において十二指腸への吻合、を外科的に作出及び添着することを要求される。
図1A~1CはRNY手術の例を示している。この手術は、切込線4において胃/底部嚢5を作出するために胃1の一部分を切開することを伴う。胃に作出された穴はステープル7で封止される。腸管は十二指腸2と空腸3との間で切込線4において切開される。その結果、食物は胃の封止部分6を迂回することになる。次いで、胃嚢又は底部嚢5は空腸3に接続される。十二指腸2はその後回腸/空腸4に取り付けられて、胃嚢と空腸との間の吻合8の下流に吻合9が形成される。RNY手術の後、食物は食道を流れ降りて胃嚢の中に入る。胃嚢は患者の以前の胃よりも容積が小さい。食物は胃のかつての容積を迂回する。請求項28に記載の方法において、は、患者の胃の迂回された部分において食物と混じる代わりに、空腸において食物に遭遇する。
図1Cは、胆嚢10aから胆嚢管及び総肝管を通って十二指腸2に流れ込む消化液を示している。
図1Cはさらに、膵臓10bから膵管を通って十二指腸2に流れ込む消化液も示している。
【0006】
RNY手術は、新しい胃(胃嚢)が小さく患者のかつての胃と同じ体積の食物を受け入れることができないので、有効であると考えられる。患者が食べすぎた場合は嘔吐することになろう。新しい胃嚢を広げることは可能ではあるが、困難である。この手術は患者の飽食反応/パターンを変化させうるとも理論付けられる。例えば、空腸内の食物及び消化液の存在が、その患者が満腹であるという信号を身体に送ることができるのではないか、という可能性がある。RNY手術はさらに、消化液がもはや胃の中では食物と混じらずに胃嚢の下流で空腸内において混じるので、食物が消化液とともにある保持時間を短縮する。食物と消化液との間の保持時間の短縮は、カロリー及び栄養素の吸着(adsorption)に対する効果を有する可能性もある。
【0007】
十二指腸と空腸との間と同様に、胃嚢と空腸との間に緊密な吻合を形成することは重要である。患者の回復時間は、RNY手術については典型的には5日ほどである。漏出は、手術後に患者に重篤な合併症を引き起こす可能性がある。漏出は患者の約20%に生じる。吻合部位のいずれかに漏出がある場合、入院ははるかに長く、平均で約25日である。現行のRNYにおいて、ステープルは、典型的には迂回された胃領域の封止、胃底部嚢の作出、及び吻合の作出のために使用される。しかしながら、ステープル処理プロセスは、腹腔鏡下の手技を使用すると長時間になる可能性があり、ステープル処理で形成される吻合の直径は患者間及び医者間で様々である。
【0008】
吻合部位における狭窄形成のような他の合併症が生じる可能性もある。狭窄は、吻合部位に厚い壁の形成を引き起こすことにより、通路の内直径を短くする可能性がある。直径が短くなると、吻合部位を通る食物の流れを制限する可能性がある。
【0009】
結腸切除手術は腸管との吻合形成を伴う別の手術である。腸管の一区域を取り除くことが可能であり、腸管の切断端は
図2Aに示されるように吻合によって接続される。吻合は腸管の切断端を合わせてステープル処理することにより作出可能である(
図2A~2C)。エンドリニアコネクタが取り付けられて腸管の切断端を接続するために使用されることも可能である。典型的には、エンドリニアコネクタは短い直径を有し、吻合部を通る非流体物質の流れを制限する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
漏出のリスクを最小限にしながら吻合を形成するための改善されたプロトコール及び到達用具を提供することが望ましい。吻合を形成するためのより迅速な方法も所望される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、消化管内に吻合を形成するための改善されたステント、ステントを送達するための腹腔鏡及び内視鏡の用具、並びに本明細書中に記載されたステント及び用具を使用して吻合を形成する方法に関する。
【0012】
本明細書中においてステントが開示される。いくつかの実施形態では、ステントは、拘束された形態を有する製織フィラメント編組物で形成されたステント本体を備え、該ステント本体は、拡張されて基端側フランジをなした該本体の基端、拡張されて先端側フランジをなした該本体の先端、及び基端側フランジと先端側フランジとの間の円筒形領域を備えた拡張形態を有する。少なくともステントの円筒形領域にはカバーが付されている。カバー付きの円筒形領域は、流体、消化された食物、及び部分消化された食物が通り抜けて流れるのを可能にするように構成された、通行可能な内部通路を有する。基端側及び先端側のフランジは、流体、消化された食物、及び部分消化された食物が通り抜けて流れるのを可能にするように構成されている。基端側及び先端側のフランジは、基端側フランジと先端側フランジとの間の身体組織に傷つけることなく係合するように構成され、基端側及び先端側フランジは各々約2.94Nより大きい引抜力を有している。ステントは、拡張形態からカテーテルデバイスによって回収可能であるようにも構成される。
【0013】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは、食物が基端側フランジの内部エリアに詰まるのを阻止するように構成された基端側フランジプラグ、及び食物が先端側フランジの内部エリアに詰まるのを阻止するように構成された先端側フランジプラグを備えることができる。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは基端側フランジプラグの内径を備え、かつ先端側フランジプラグの内径は円筒形領域の内径とほぼ同じである。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは、二重壁のフランジを含む基端側フランジ及び二重壁のフランジを含む先端側フランジを有している。
【0014】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは、各々5個以上の変曲点を含んでなる基端側フランジ及び先端側フランジを有している。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは、各々6個以上の変曲点を含んでなる基端側フランジ及び先端側フランジを有している。
【0015】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは、ステントの通行可能な内部通路に向かって巻いている巻き込み型の壁(curled wall)を備えた基端側フランジ、及びステントの通行可能な内部通路に向かって巻いている巻き込み型の壁を備えた先端側フランジを有する。
【0016】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは、カバー付きの円筒形領域の外側に向かって巻いている巻き込み型の壁を備えた基端側フランジ、及びカバー付きの円筒形領域の外側に向かって巻いている巻き込み型の壁を備えた先端側フランジを有する。
【0017】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは、カバー付きの円筒形領域を覆うように屈曲するように構成された基端側フランジを備え、かつ先端側フランジはカバー付きの円筒形領域を覆うように屈曲するように構成されている。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは、傷つけることなく身体組織に係合するように構成された基端側フランジの基端に隣接する湾曲面をさらに含んでなる基端側フランジ、及び傷つけることなく身体組織に係合するように構成された先端側フランジの先端に隣接する湾曲面をさらに含んでなる先端側フランジを備えている。
【0018】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは、カバー付きの円筒形領域の直径より大きな内径を備えた基端側フランジ、及びカバー付きの円筒形領域の直径より大きな内径を備えた先端側フランジを有する。
【0019】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステント本体全体にカバーが付されている。
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは自己拡張型ステントである。
【0020】
自己拡張型の吻合ステントが本明細書中に開示される。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、自己拡張型ステントは、非拡張形態及び拡張形態を有する可撓性の本体を備え、拡張形態は、拡張されて基端側フランジをなした該本体の基端部、拡張されて先端側フランジをなした該本体の先端部、及び基端側フランジと先端側フランジとの間の円筒形領域を備えている。少なくとも円筒形領域にはカバーが付されている。カバー付きの円筒形領域は、流体、消化された食物、及び部分消化された食物が通り抜けて流れるのを可能にするように構成された、通行可能な内部通路を有する。基端側及び先端側フランジはそれぞれ、流体、消化された食物、及び部分消化された食物が通り抜けて流れるのを可能にするように円筒形領域の内部通路から離れるように突出している。ステントはさらに、吻合の形成後に患者の体内で拡張形態から回収可能であるようにも構成される。
【0021】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、基端側及び先端側のフランジは傷つけることなく身体組織に係合するように構成されており、基端側フランジ及び先端側フランジは各々約2.94Nより大きい引抜力を有している。
【0022】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、基端側フランジ及び先端側フランジはそれぞれ5個以上の変曲点を含んでなる。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、基端側フランジ及び先端側フランジはそれぞれ6個以上の変曲点を備えている。
【0023】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、基端側フランジはカバー付きの円筒形領域の外側に向かって巻いている巻き込み型の壁を備え、先端側フランジはカバー付きの円筒形領域の外側に向かって巻いている巻き込み型の壁を備えている。
【0024】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、基端側フランジはカバー付きの円筒形領域を覆うように屈曲するように構成され、基端側フランジはカバー付きの円筒形領域を覆うように屈曲するように構成される。
【0025】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、基端側フランジは、傷つけることなく身体組織に係合するように構成された基端側フランジの基端に隣接する湾曲面をさらに含んでなり、先端側フランジは、傷つけることなく身体組織に係合するように構成された先端側フランジの先端に隣接する湾曲面をさらに含んでなる。
【0026】
腹腔鏡下での使用のために構成された医療用具が本明細書中に開示される。該医療用具は、ハンドル、ハンドルに係合したシャフト、自己拡張型ステント、及び自己拡張型ステントを拘束された状態に保持するように構成されたステント保持具を備えうる。ステント保持具は、自己拡張型ステントを拘束する材料であって、拘束された状態のステントを保持するように構成され、ステントが拡張するのを可能にするべく解ける(open)ように構成され、かつステントの留置後に除去可能であるように構成された材料を備えている。
【0027】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、医療用具は、シャフトに対するステント保持具の配向を、シャフトによって規定された軸平面に沿った第1の配向から、シャフトによって規定された軸平面への第2の配向へと変化させるように構成された、関節要素を備えることができる。
【0028】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステント保持具はステントの第1端及びステントの第2端を選択的に解放するように構成される。
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、医療用具は、可撓性材料を解くこと(opening)によりステントの第1端を制御可能に解放するように構成された第1のプルワイヤアセンブリ、及び可撓性材料を解くことによりステントの第2端を拘束している材料を制御可能に解放するように構成された第2のプルワイヤアセンブリを備えることが可能である。
【0029】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステント保持具及び自己拡張型ステントは着脱可能なカートリッジアセンブリの一部である。
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、医療用具は、身体組織を貫通するように構成された、先鋭化した先端部位を備えることができる。
【0030】
吻合を形成する方法が本明細書中に開示される。該方法は、内視鏡及びステントを担持するカテーテルデバイスを用いて患者の胃に内視鏡下で到達すること、胃の壁に切開部を作ること;胃の壁の切開部を通じて内視鏡及びカテーテルデバイスを前進させること、腸管内の標的位置に隣接する腹膜腔内の位置へと内視鏡を前進させること、腸管の壁を通してカテーテルデバイスを前進させること、腸管内にステントの第1端を留置すること、並びに、胃と腸管との間に経路を形成するために胃の中にステントの第2端を留置すること、を含みうる。
【0031】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、腸管内の標的位置は空腸又は回腸である。
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、腸管内の標的位置は十二指腸である。
【0032】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、胃は胃バイパス手技の際に形成された底部嚢である。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、方法は、カテーテルデバイスとともに内視鏡下でGI管に到達する前に、胃バイパス手技の一部として底部嚢を形成することを含む。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、方法は、ステントの第1端を留置した後に、カテーテルデバイス及びステントの第1端を基端側へ引き寄せてステントの第1端を腸管の壁に係合させ、腸管を移動させて底部嚢の壁と並置せしめることを含む。
【0033】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは、第1端に第1の二重壁フランジ構造及び第2端に第2の二重壁フランジ構造を備えている自己拡張型ステントである。
【0034】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、回腸又は空腸の壁の貫通は、カテーテルデバイスのチップに隣接したエネルギーが付与される(energized)部分を活性化すること、空腸又は回腸の壁をエネルギーが付与されたチップと接触させること、及び空腸又は回腸の壁を通してエネルギーが付与されたチップを前進せしめることをさらに含んでなる。
【0035】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントの留置は、ステントを拘束しているシースを抜去することとステントを自己拡張せしめることとを含む。
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、空腸又は回腸の中にステントの第1端を留置した後、空腸又は回腸の中にステントの第1端を留置した後のシースの抜去を休止することと、空腸又は回腸内部の第1端の留置を確認することとをさらに含んでなる。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、空腸又は回腸内部のステントの第1端の留置を確認した後に、胃の内部にステントの第2端を留置するためにシースの抜去を再開すること(continuing)。
【0036】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、該方法は吻合の形成後にステントを除去することをさらに含んでなる。
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントを担持しているカテーテルデバイスとともに患者の底部嚢に内視鏡で到達する前に、腹腔鏡で腹膜腔に到達すること;腹膜腔内に腹腔鏡用の環境を作出すること;及び腹膜腔に手動器具を導入することをさらに含んでなる。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、方法は、手動器具を使用して腹膜腔の中へカテーテルデバイスのチップを誘導すること、及び、手動器具を使用して腹膜腔を通して空腸の外側の標的位置へカテーテルデバイスのチップを誘導することをさらに含んでなる。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、方法は、空腸壁を貫通する前に腹膜腔内の第2の手動器具を用いて空腸を空腸内の標的位置に隣接して保持することをさらに含んでなる。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、方法は、腹腔鏡の誘導を使用して、底部嚢、カテーテルデバイスのチップ、及び空腸内の標的位置を腹膜から視覚化することをさらに含んでなる。
【0037】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、底部嚢を形成した後に、空腸又は回腸の標的位置に隣接した空腸又は回腸の一部分に底部嚢の一部分を縫合することをさらに含んでなる。
【0038】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、腸管の壁を通してカテーテルデバイスを前進させることは、内視鏡のポートから把持デバイスを前進させること、把持デバイスを用いて標的位置に隣接した腸管を把持すること、及び、把持デバイスで腸管を把持しながら腸管の壁を通してカテーテルデバイスを前進させることをさらに含んでなる。
【0039】
吻合を形成する方法が開示される。該方法は、ステントを担持しているカテーテルデバイスとともに患者の胃に内視鏡下で到達すること、超音波誘導下で視認可能な位置マーカーを腸管内の標的位置へ送達すること、腸管内の標的位置の位置マーカーについてステントを担持しているカテーテルデバイスに対する位置を超音波により特定すること、カテーテルデバイスを前進させて胃壁及び腸管壁を貫通すること、腸管内にステントの第1端を留置すること、並びに、胃と腸管との間に経路を形成するために胃内にステントの第2端を留置すること、を含みうる。いくつかの実施形態では、腸管内の標的位置は空腸又は回腸である。
【0040】
吻合を形成する方法が本明細書中に開示される。該方法は、胃バイパス手技の際に形成された底部嚢と腸管との間の通路内にステントを留置することを含みうる。
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、該方法は、胃バイパス手技の際に底部嚢を形成すること、及び底部嚢を腸管に接続して底部嚢と腸管との間に通路を形成することをさらに含んでなる。
【0041】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、該方法は、吻合の形成後にステントを除去することをさらに含んでなる。
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントの留置は、ステントの第1端を腸管内部に留置すること及びステントの第2端を底部嚢内に留置することをさらに含んでなる。
【0042】
吻合を形成する方法が本明細書中に開示される。該方法は、第1端及び第2端を有するステントを含んでなる腹腔鏡デバイスを用いて患者の腹膜腔に到達すること、腹腔鏡デバイスを用いて底部嚢の壁を貫通すること、底部嚢内にステントの第1端を留置すること、腹腔鏡デバイスを用いて空腸の壁を貫通すること、並びに、空腸内にステントの第2端を留置して底部嚢と空腸との間に経路を形成することを含む。
【0043】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、該方法は、腹腔鏡デバイスを用いて患者の腹膜腔に到達する前に胃バイパス手技の一部として底部嚢を形成することをさらに含んでなる。
【0044】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントの第1端を留置した後、ステントの第1端の第1のフランジを底部嚢の壁に係合せしめるために腹腔鏡デバイス上の牽引部(traction)を引くこと。
【0045】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントは、第1端の第1の二重壁フランジ構造物及び第2端の第2の二重壁フランジ構造物を備えた自己拡張型ステントである。
【0046】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントの留置は、ステントから拘束を除去すること及びステントが自己拡張するのを可能にすることを含んでなる。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、拘束の除去はシースを抜去することを含む。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、拘束の除去はステントを拘束している材料を除去することを含む。
【0047】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、方法は、吻合の形成後にステントを内視鏡下で除去することをさらに含んでなる。
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、方法は、腹膜腔に到達した後及び底部嚢の壁を貫通する前に、ステントを保持しているステント保持具の、腹腔鏡デバイスのシャフトに対する配向を、シャフトによって規定された軸平面に沿った第1の配向から第2の配向へと、シャフトによって規定された軸平面に対して回転させることをさらに含んでなる。
【0048】
患者の消化管内に吻合を形成する方法が本明細書中に開示される。該方法は、吻合デバイスを担持する腹腔鏡デバイスを用いて患者の腹膜腔に到達すること、腹膜腔において外科用デバイスを用いて腸管の第1の閉端部に隣接した第1の腸管壁を貫通すること、吻合デバイスの第1端を第1の腸管壁の貫通部に配置すること、吻合デバイスの第1端を第1の腸管壁の貫通部に隣接した腸管の第1の内部空間(internal volume)に留置すること、腹膜腔において外科用デバイスを用いて腸管の第2の閉端部に隣接した第2の腸管壁を貫通すること、吻合デバイスの第2端を第2の腸管壁の貫通部に配置すること;及び、吻合デバイスの第2端を第2の腸管壁の貫通部に隣接した腸管の第2の内部空間に留置することにより腸管の第1の内部空間と腸管の第2の内部空間との間に経路を形成することを含む。
【0049】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、腸管の第1の閉端部は結腸の第1の閉止部分であり、腸管の第2の閉端部は結腸の第2の閉止部分である。
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、吻合デバイスはステントである。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントの第1端の留置は、ステントの第1端を腸管の第1の内部空間内に留置した後に、ステントの第1端を第1の腸管壁に係合し、かつ第1の腸管壁を第2の腸管壁の貫通部の近くに移動させるために、ステントの二重壁フランジ構造物上の牽引部を引くことをさらに含んでなる。
【0050】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、吻合デバイスは2つの別個の部品を備え、第1端は第1の組織係合構造物及び第1の電磁結合構造物を含んでなる第1の部品を備え、第2端は第2の組織係合構造物及び第2の電磁結合構造物を含んでなる第2の部品を備えている。本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、方法は、第1の電磁結合構造物を第2の電磁結合構造物に磁気的に接続することをさらに含んでなる。
【0051】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、方法は、吻合の形成後に内視鏡下で吻合デバイスを除去することをさらに含んでなる。
患者の消化管に吻合を形成する方法が本明細書中に開示される。方法は、ステントを担持しているカテーテルデバイスを用いて腸管の第1の部分に到達すること、カテーテルデバイスを用いて腸管の第1の閉端部に隣接した腸管の第1の部分の壁を貫通すること、カテーテルデバイスを用いて腸管の第2の閉端部に隣接した腸管の第2の部分の壁を貫通すること、ステントの第1端を、腸管の第2の部分の壁に係合するように留置すること、及び、ステントの第2端を、腸管の第1の部分の壁に係合するように留置することによって、腸管の第1の部分と腸管の第2の部分との間に経路を形成することを含む。
【0052】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、腸管の第1の部分は結腸の第1の部分であり、腸管の第2の部分は結腸の第2の部分である。
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、カテーテルデバイスを用いた腸管の第1の部分への到達は、カテーテルデバイスを用いて腹膜腔に到達すること、腸管の第1の部分に貫通部を形成すること、及び腸管の第1の部分の内部空間内へカテーテルを前進させることをさらに含んでなる。
【0053】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、ステントの第1端は二重壁フランジ構造物を有し、かつステントの第2端は二重壁フランジ構造物を有し、方法は、ステントの第1端を腸管の第2の部分の壁に係合するためにステントの第1端の二重壁フランジ構造物上の牽引部を引き寄せることをさらに含んでなり、かつ腸管の第2の部分を腸管の第1の部分の壁との並置状態で引き寄せる。
【0054】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、腸管の第1の部分の壁の貫通及び腸管の第2の部分の壁の貫通は、カテーテルデバイスのチップに電気エネルギーを付与することと、腸管の第1の部分の壁及び腸管の第2の部分の壁を、電気エネルギーを付与されたチップと接触させることとを含む。
【0055】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、方法は、腸管の第2の部分の壁を貫通する前に、カテーテルデバイスを誘導するために腹腔鏡用具を使用することをさらに含んでなる。
【0056】
本明細書中に開示された実施形態のうち任意のものにおいて、方法は、吻合の形成後に吻合デバイスを除去することをさらに含んでなる。
【発明の効果】
【0057】
以上本発明によれば、消化管内に吻合を形成するための改善されたステントが提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図3A】いくつかの実施形態によるカテーテルデバイスを例証する図。
【
図3B】いくつかの実施形態によるカテーテルデバイスを例証する図。
【
図3C】いくつかの実施形態によるカテーテルデバイスを例証する図。
【
図3D】いくつかの実施形態によるカテーテルデバイスを例証する図。
【
図4A】いくつかの実施形態に従ってステントを留置するプロセスを例証する図。
【
図4B】いくつかの実施形態に従ってステントを留置するプロセスを例証する図。
【
図4C】いくつかの実施形態に従ってステントを留置するプロセスを例証する図。
【
図5A】いくつかの実施形態によるステントを留置するための腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図5B】いくつかの実施形態によるステントを留置するための腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図5C】いくつかの実施形態によるステントを留置するための腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図6】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図7A】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図7B】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図8A】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図8B】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図9A】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図9B】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図9C】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図9D】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図9E】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図10】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図11A】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図11B】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図11C】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図11D】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図12A】いくつかの実施形態によるステントカートリッジデバイスの実施形態の様々な態様を例証する図。
【
図12B】いくつかの実施形態によるステントカートリッジデバイスの実施形態の様々な態様を例証する図。
【
図12C】いくつかの実施形態によるステントカートリッジデバイスの実施形態の様々な態様を例証する図。
【
図12D】いくつかの実施形態によるステントカートリッジデバイスの実施形態の様々な態様を例証する図。
【
図12E】いくつかの実施形態によるステントカートリッジデバイスの実施形態の様々な態様を例証する図。
【
図12F】いくつかの実施形態によるステントカートリッジデバイスの実施形態の様々な態様を例証する図。
【
図13A】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図13B】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図13C】いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証する図。
【
図14】いくつかの実施形態による光ファイバー照明システムを備えたデバイスの一部分を例証する図。
【
図15A】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図15B】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図15C】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図15D】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図15E】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図15F】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図15G】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図16A】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図16B】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図16C】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図16D】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図16E】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図16F】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図16G】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図16H】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図16I】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図16J】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図17A】いくつかの実施形態によるステントを例証する図。
【
図17B】いくつかの実施形態によるステントを例証する図。
【
図17C】いくつかの実施形態によるステントを例証する図。
【
図18A】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図18B】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図18C】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図18D】いくつかの実施形態によるステントの断面を例証する図。
【
図19A】いくつかの実施形態による二部構造を備えたステントを例証する図。
【
図19B】いくつかの実施形態に従って二部構造を有するステントを移植する方法を例証する図。
【
図19C】いくつかの実施形態に従って二部構造を有するステントを移植する方法を例証する図。
【
図19D】いくつかの実施形態に従って二部構造を有するステントを移植する方法を例証する図。
【
図20A】いくつかの実施形態に従って胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図20B】いくつかの実施形態に従って胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図20C】いくつかの実施形態に従って胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図21A】いくつかの実施形態に従い超音波誘導を使用して胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図21B】いくつかの実施形態に従い超音波誘導を使用して胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図21C】いくつかの実施形態に従い超音波誘導を使用して胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図21D】いくつかの実施形態に従い超音波誘導を使用して胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図22A】いくつかの実施形態に従い内視鏡カテーテル及び腹腔鏡用具を使用して胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図22B】いくつかの実施形態に従い内視鏡カテーテル及び腹腔鏡用具を使用して胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図22C】いくつかの実施形態に従い内視鏡カテーテル及び腹腔鏡用具を使用して胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図22D】いくつかの実施形態に従い内視鏡カテーテル及び腹腔鏡用具を使用して胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図23A】いくつかの実施形態に従って胃バイパス手技の後に底部嚢と空腸との間及び十二指腸と回腸との間に吻合ステントを留置する方法を例証する図。
【
図23B】いくつかの実施形態に従って胃バイパス手技の後に底部嚢と空腸との間及び十二指腸と回腸との間に吻合ステントを留置する方法を例証する図。
【
図23C】いくつかの実施形態に従って胃バイパス手技の後に底部嚢と空腸との間及び十二指腸と回腸との間に吻合ステントを留置する方法を例証する図。
【
図23D】いくつかの実施形態に従って胃バイパス手技の後に底部嚢と空腸との間及び十二指腸と回腸との間に吻合ステントを留置する方法を例証する図。
【
図23E】いくつかの実施形態に従って胃バイパス手技の後に底部嚢と空腸との間及び十二指腸と回腸との間に吻合ステントを留置する方法を例証する図。
【
図23F】いくつかの実施形態に従って胃バイパス手技の後に底部嚢と空腸との間及び十二指腸と回腸との間に吻合ステントを留置する方法を例証する図。
【
図23G】いくつかの実施形態に従って胃バイパス手技の後に底部嚢と空腸との間及び十二指腸と回腸との間に吻合ステントを留置する方法を例証する図。
【
図24A】いくつかの実施形態に従って底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図24B】いくつかの実施形態に従って底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図24C】いくつかの実施形態に従って底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図25A】いくつかの実施形態に従い超音波誘導を使用して底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図25B】いくつかの実施形態に従い超音波誘導を使用して底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図25C】いくつかの実施形態に従い超音波誘導を使用して底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図25D】いくつかの実施形態に従い超音波誘導を使用して底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図26A】いくつかの実施形態に従い内視鏡カテーテル及び腹腔鏡用具を使用して底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図26B】いくつかの実施形態に従い内視鏡カテーテル及び腹腔鏡用具を使用して底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図26C】いくつかの実施形態に従い内視鏡カテーテル及び腹腔鏡用具を使用して底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図26D】いくつかの実施形態に従い内視鏡カテーテル及び腹腔鏡用具を使用して底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証する図。
【
図27A】いくつかの実施形態に従って腸管の2つの封止部分の間に吻合を形成する方法を例証する図。
【
図27B】いくつかの実施形態に従って腸管の2つの封止部分の間に吻合を形成する方法を例証する図。
【
図27C】いくつかの実施形態に従って腸管の2つの封止部分の間に吻合を形成する方法を例証する図。
【
図27D】いくつかの実施形態に従って腸管の2つの封止部分の間に吻合を形成する方法を例証する図。
【
図27E】いくつかの実施形態に従って腸管の2つの封止部分の間に吻合を形成する方法を例証する図。
【
図28A】いくつかの実施形態に従って胃と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図28B】いくつかの実施形態に従って胃と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図28C】いくつかの実施形態に従って胃と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図28D】いくつかの実施形態に従って胃と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図28E】いくつかの実施形態に従って胃と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図28F】いくつかの実施形態に従って胃と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図28G】いくつかの実施形態に従って胃と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図29A】いくつかの実施形態に従って底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図29B】いくつかの実施形態に従って底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図29C】いくつかの実施形態に従って底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図29D】いくつかの実施形態に従って底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図29E】いくつかの実施形態に従って底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図29F】いくつかの実施形態に従って底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図29G】いくつかの実施形態に従って底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図30A】いくつかの実施形態に従って腸管の2つの封止区域の間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図30B】いくつかの実施形態に従って腸管の2つの封止区域の間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図30C】いくつかの実施形態に従って腸管の2つの封止区域の間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図30D】いくつかの実施形態に従って腸管の2つの封止区域の間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図30E】いくつかの実施形態に従って腸管の2つの封止区域の間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【
図30F】いくつかの実施形態に従って腸管の2つの封止区域の間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証する図。
【発明を実施するための形態】
【0059】
吻合を形成するための方法及びデバイスが本明細書中に開示される。本明細書中に開示されたデバイス及び方法は多数の吻合を形成するために使用可能である。組織アンカー及びステントが吻合を形成するために使用されうる。吻合は、内視鏡、カテーテル、腹腔鏡手術用器具、腹腔鏡、一般の手術用デバイス、又はこれらのデバイスの1以上の組み合わせを使用して作製可能である。本明細書中に開示されたステントはカテーテルを用いたシステムを使用して送達可能である。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されたステントは腹腔鏡デバイスを使用して送達可能である。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されたステントは剛性の無カテーテルシステムを使用して送達可能である。いくつかの実施形態では、ステントはカテーテルと腹腔鏡用具との組み合わせを使用して送達可能であり、例えば、ステントはカテーテルデバイスを用いて留置され、ナビゲーション及び視覚化の補助は腹腔鏡用具によって提供されることが可能である。
【0060】
改善された到達用具、食物の流れを妨げない既知サイズを有する恒常的な漏出の無い吻合を形成するための改善されたステント設計、並びにステントを内視鏡下及び腹腔鏡下で留置する方法が、本明細書中に開示される。本明細書中に開示されたデバイス及び方法は、体管腔間に恒常的な漏出の無い吻合を形成するのに有用である。一貫した大きさの流体経路を備えた漏出の無い吻合を形成することができれば、例えば胃バイパス手術において行われるように外科医又は医師が事前にステープル及び縫合糸を用いた手作業の方法を使用して2つの組織を接続済みである場合の用途には代替法として好都合である。本明細書中に開示されたステントは、健全な吻合の形成を促進するために底部嚢と空腸との間及び十二指腸から回腸へと形成された吻合に留置可能であり、腹膜腔内への物質の漏出のリスクをさらに低減する。ステントは、胃又は底部嚢と、空腸のような腸管の一部分との間に経路を形成するために使用することも可能である。
【0061】
有益性はさらに、結腸切除手技における閉端部のような腸管の任意の2つの部分の間に吻合を形成する手技にも当てはまる。先行技術の方法は、典型的には、腸管を通る物質の流量を減少させる可能性のある短い直径の狭窄部を形成する、ステープル処理又は縫合がなされた接続部を形成する。本明細書中に開示されたステントは、従来法の結腸切除技法と比較して吻合部を通る物質の流れについての容量が改善された、2つの腸管閉止部分の間の吻合を形成するために使用可能である。
【0062】
胃腸管の隣接した体管腔の間、例えば胃と腸管の一部分との間及び腸管の2つの部分の間に吻合を形成することについて詳細に議論されるが、方法及びデバイスは、あらゆる外科的吻合の形成について本明細書中で使用可能である。
【0063】
ルーワイ手技において、本明細書中に開示されたステントは、2つの外科的吻合部位であって一方は胃の底部嚢から腸管(例えば空腸)への吻合部位、さらには腸管の2つの部分の間、例えば十二指腸から回腸への接続部において、使用可能である。より広くは、ステントはGI管の任意のセグメントを接合するために使用可能である。いくつかの実施形態では、ステント及び組織アンカーは組織平面の間の任意の種類の外科的吻合に使用可能である。
【0064】
本明細書中に開示された組織アンカー及びステントは、いくつかの実施形態においてカテーテルを用いる送達システムを使用して送達可能である。ステントを配置するためのカテーテルを用いるデバイス及び方法は、共同所有の米国特許第8,357,193号明細書及び米国特許出願公開第2013-0310833号明細書に開示されている。標的位置への到達のために自然開口部が使用されてもよいし、カテーテルが腹膜腔を通して腸管内へ、及び腸管内へ、導入されてもよい。別例において、カテーテルは胆管、胆嚢などのようなNOTES手技に関連した任意の体管腔内に導入可能である。カテーテルを用いる送達システムは、内視鏡又はその他同様のナビゲーション用デバイスに取り付け可能である。カテーテルデバイスは、該デバイスの視覚化及び位置決めを改善する腹腔鏡用具と共に使用可能である。
【0065】
針は、標的領域への最初の到達及びその後の標的領域へのカテーテル用のガイドワイヤの到達に使用可能である。ある場合には、カテーテルデバイスが使用されてガイドワイヤ又は針を伴わずに標的位置に直接到達してもよい。ガイドワイヤを伴わないカテーテルデバイスの使用は自由型のアクセスと呼ばれうる。カテーテルは本明細書中に記載されるような腹腔鏡用具によって誘導されることも可能である。
【0066】
図3A~3Dは、体管腔の間にステントを留置するためのいくつかの実施形態によるカテーテルデバイス11を例証している。
図3Aのカテーテルデバイス11は、ノブ16及び錠20を備えた第1のスライドアクチュエータ15を備えた本体14を有する制御ハンドル12を具備している。錠22を備えた第2のスライドアクチュエータ18、範囲固定機構24、電気プラグ23、カテーテル本体26、シース27、シャフト28、ステント摩擦材料30、先端側テーパ状チップ32及びステント又は他の組織アンカー34(
図3BA)。
図3Bは、先端側テーパ状チップ32を含むデバイス11の端部の拡大部分である。
【0067】
先端側テーパ状チップ32は先端側チップ基部33を備えている。シース27は先端側テーパ状チップと接触し、かつ先端側チップ基部33の外径と係合することが可能である。シース27はステント34を径方向に拘束し、ステント34が拡張するのを防止することが可能である。先端側テーパ状チップ32は、切断要素35を備えた伝導性の部分を備えうる。図中の切断要素35はガイドワイヤルーメン39に関して同心の設計を有する。伝導性の突部36は切断要素35から先端側チップ32の外径に向かって延在する。図中の突部36は先端側チップ32の陥凹部分41(
図3D)の中に入る。いくつかの実施形態では、伝導性の切断要素は任意選択である。例えば、カテーテルは、本明細書中に記載された方法のうちいずれかにおいて伝導性の切断要素の無い鈍頭チップ又は円錐形チップを備えうる。
【0068】
切断要素35及び突部36のようなチップの伝導性エリアは、患者の組織の切断、加熱、及び焼灼のうち少なくともいずれかを行うために構成されうる。電気エネルギーがチップの伝導性エリアにエネルギーを与えるために供給される。無線周波(RF)エネルギー及び高周波(HF)エネルギーのような電気エネルギーがチップの伝導性部分に供給可能である。電気エネルギーは電気プラグ23を通して供給可能である。ハンドルは、チップに供給される電気エネルギーを制御するための電気制御装置を備えている。
【0069】
切断要素35及び図中の突部36は、生体適合性の伝導性医療用材料、例えばステンレス鋼から作製可能である。銅のような異なる伝導性材料は、切断要素35及び突部36に電気エネルギーを供給するために使用されうる。突部36は接続部37において配線38に接続されうる。配線38は電気プラグ23と電気接触している。電気プラグ23は配線38を通じて切断要素35及び突部36に電気エネルギーを供給する。先端側チップ32は、切断要素35及び突部36を周囲のデバイス構造物から絶縁するために絶縁材料から作製される。
【0070】
図3C~3Dは先端側チップ32の拡大図を示している。
図3Cは、先端側チップ32の外径のちょうど手前で先端側チップ32に入る突部36を示している側面図である。
図3Dは、先端側チップ32の陥凹部分41に入る突部36を示している先端側チップ32の平面図である。
図3C~3Dに示された先端側チップは、中央切断領域に該中央領域又は環状部から放射状に突出する2つの線形切断部を備えた組織切断パターンを生じることができる。
図3A~3Cの突部36は、先端側チップ32がその最大径に達する前に先端側チップ32の陥凹部分41に入り込んでいる。いくつかの実施形態では、突部は外径に隣接してカバーを付されて、突部の露出部分が先端側チップ32の最大外径に達しないようになっていてもよい。突部36によって組織に作られるスリットは、チップの直径よりわずかに短い。エネルギーを与えられたチップによって作られた組織のスリットを通して先端側チップを押し出すために、なんらかの力がかけられてもよい。組織の弾性は、先端側チップ及びカテーテルのわずかに大きな直径を受け入れることができる。この緊密な嵌合により、体管腔からの生体物質の漏出を防止することが可能である。
【0071】
本明細書中に開示されたチップ設計により、クック・メディカル・インコーポレイテッド(Cook Medical Inc)により製造されるもののような溶接による電気接続を有する従来の鈍頭の円錐形チップよりも迅速な組織切開及び低減された周囲組織エリアの外傷を促進しうる、高い電流密度が可能となる。クック・メディカル製造のチップは鈍頭チップ全体に電力を供給する。このチップは比較的大量の電力を要し、かつ流れる電流密度はより低い。低い電流密度は組織を切開するのにより長い時間を要し、このことは周囲組織エリア及び周囲のカテーテル部分の損傷をもたらす可能性のある過度の加熱を生じる可能性がある。鈍頭はさらに、生体物質の漏出の機会を高める組織の断裂を引き起こす可能性もある。
【0072】
図4A~4Cは、2つの体管腔の間に吻合を形成するためのステント送達の概略図を示している。カテーテル11が第2の体管腔L2に進入するのに成功したら、
図4Aに示されるようにステント34の先端側フランジ43はシース27を部分的に後退させることにより留置されうる。先端側フランジ43は次に、
図4Bに示されるように、残りの留置手順の際に体管腔壁を並置せしめるためにT2の壁に向かって基端側へ引き寄せされてもよい。フランジ43は、シースをさらに後退させることにより留置されうる。先端側フランジ43を使用して張力が加えられた後、シース27は、ステント34の基端部46を留置してステント34を完全に留置するためにさらに後退せしめられ、その結果として基端側フランジ47は
図4Cに示されるように第1の組織層T1の管腔表面に係合する。ステントが留置された後、全ての構成要素を備えたカテーテルは、内視鏡からハンドルを取り外して構造物全体を抜去することにより除去されうる。ステントを通る中央の通路又は開口は、体管腔L1及びL2の間の流体連通を提供する。図中のステント34は、ステントの両端に任意選択の外側カフ又はリップ45を有する。任意選択のカフ又はリップ45は、食物及び部分消化された食物の流れを改善するように構成可能である。本明細書中に記載されたステントはいずれも
図4A~4C及び
図20~30に例証された方法を使用して留置可能である。
【0073】
本明細書中に記載されたステントは、腹腔鏡下送達デバイスのような一般的な外科用デバイスを使用して留置することも可能である。該デバイスは、吻合が形成される任意の腹腔鏡を用いる手技において使用可能である。本明細書中に記載されたシステムは、腹腔鏡的手法を使用して多種類の体管腔の間に多種多様の吻合を作出するために使用可能である。
【0074】
毎年医師によって実施される外科的吻合術は数十万件であるが;この吻合術を標準化するための方法は存在しない。開示された外科的吻合デバイスは、医師が患者管理を標準化し、吻合部漏出を原因とする入院の長期化、及び吻合部狭窄による再治療を防止することを可能にするであろう。現時点では、腹腔鏡用具を用いてそのような治療を送達するための既知デバイスは存在しない。医師がステントのような吻合デバイスを送達することを可能にする、腹腔鏡を用いる送達システムが本明細書中に開示される。
【0075】
腹腔鏡を用いる送達システムは、ステントの先端部及び基端部のうち少なくともいずれか一方並びにステントの円筒形「鞍状」部分の制御された送達を可能にする多数の構成要素を含んでなる。腹腔鏡を用いる送達システムは、
図5A~5Cに例証された実施形態に示されるようなハンドル、シャフト、吻合デバイス(例えばステント)を留置するための作動機構、及び吻合デバイスを備えることができる。シャフトは剛性であってよい。作動機構は、吻合デバイスの第1端及び第2端を選択的に留置するように構成可能である。吻合デバイスは、吻合デバイスを径方向に圧縮するためのシース、管材料、又はその他の物理的拘束具を使用して、圧縮配置状態に保持することが可能である。径方向の拘束具の例には、有孔管材料、熱収縮性の管材料、生物分解性の管材料、ワイヤ、フック、又はその他の除去可能若しくは調整可能な径方向の拘束具が含まれる。径方向の拘束具は、腹腔鏡の入口ポートを通して除去されるように構成される。送達デバイスは、
図5Aに示されるように標的位置に対してステントを位置決めするために送達デバイスのシャフトに対してステント保持具を回転又は移動させることが可能である。
【0076】
吻合デバイスは、
図5B、5C、及び8Bに示されるように径方向の圧縮を取り除いて吻合デバイスの拡張を可能にすることにより留置可能である。吻合デバイスの相対する端部は別々及び連続的に留置可能である。
【0077】
作動機構はステントから径方向の圧縮を取り除くために使用可能である。作動機構の例には、腹腔鏡下送達デバイスのシャフトに沿った軸方向の移動をステントの軸方向の長さに沿った横方向の移動に変換するための、移動可能なシース、ワイヤ、フック、又はその他の構造物が含まれる。作動機構は、シースを引き戻すため、又はステントを径方向に圧縮する構造物を除去するために、使用可能である。
【0078】
図5A~5Cは、いくつかの実施形態によるステント34を留置するための腹腔鏡手術デバイス50を例証している。腹腔鏡デバイス50は、ハンドル51、シャフト52、及びステント保持具54を備えている。シャフト52は、着脱可能なクランプ53でステント35を把持することができる。デバイス50は、ステント34及びステント保持具54の配向をシャフト51の軸に対して変化させるための関節点56を備えることができる。ステント保持具54及びステント作動機構のさらなる詳細は
図5Bに例証されている。ステント保持具54は熱収縮性又その他の除去可能な管材料を備えている。ステント34の端部はそれぞれ熱収縮性管材料によって径方向の圧縮状態にある。熱収縮性管材料は、
図5Bに示されるプルワイヤ55のような作動機構に接続されうる。プルワイヤ55は、有孔の熱収縮性管材料54を除去又は断裂するために引き寄せることが可能であり、これにより
図5Cに示されるようにステント34の端部が留置される。ワイヤはそれぞれステント34の径方向の拘束具の先端部又は基端部のいずれかに接続されうる。ワイヤは、ステントの先端部又は基端部を独立に留置することもできるし、両方のセグメントを同時に作動させるようにも使用されうる。
【0079】
ステントの径方向の拘束具の除去は種々の構造物を使用して行われうる。
図6はいくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証している。
図6は、送達シャフト52がステント保持具に接続する場所の近くで該シャフトに隣接するホイール又はプーリー58を使用する送達デバイスの一部分を例証している。ホイールは、送達シャフト52に沿った軸方向の動きをステント保持具54の軸に沿った軸方向の動きに変換することができる。プルワイヤ55はデバイスのハンドル51から引くことが可能であり、これに伴ってその動きはステント34の軸に沿った動きに変換されて径方向の拘束具が切断及び除去される。プルワイヤ55は径方向の拘束具の内側にあってもよいし外側にあってもよい。
【0080】
図7A~7Bは、いくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイス70を例証している。
図7Aは、径方向の拘束具とプルワイヤ又はコード71との間の追加の配置構成を例証する。プルワイヤ71は、径方向の拘束具の内壁に沿って該拘束具と接触し、かつ径方向の拘束具の壁の外側に沿って折り返されることができる。ワイヤ又はコードを引くと径方向の拘束具が切断されることによりステントの拡張が可能となる。径方向の拘束具は、任意選択でミシン目73を備えてミシン目73に沿った拘束具(restrain)の断裂を容易にすることもできる。
図7Bは、コード/ワイヤ配置構成の別の実施例を例証する。1以上のワイヤ74、75が径方向の拘束具のミシン目73の両側に長手方向に埋設されることも考えられる。
【0081】
図8A~8Bは、いくつかの実施形態による、腹腔鏡デバイス80からステント34の端部を留置するためのプルワイヤ82の使用の別例を示している。図中の径方向の拘束具81は有孔の熱収縮性材料である。プルワイヤ82は熱収縮材料81の内側及び熱収縮材料81の外面上にあるように図示されている。プルワイヤは、
図8Bに示されるように熱収縮材料を分割してステントの端部を留置するためにステントの中央に向かって引き寄せられることが可能である。プルワイヤ82は、接続点83においてデバイス80のクランプに固定又は添着可能である。
【0082】
図9A~9Eは、いくつかの実施形態による、腹腔鏡手術デバイス及び該腹腔鏡手術デバイスとともに使用するためのステントカートリッジを例証している。ステントカートリッジ90は
図9Aに示されており、ステント34、ステントの第1端を保持している熱収縮チューブの第1の部分91、ステントの第2端を保持している熱収縮チューブの第2の部分93、ステントの第1端を留置するための熱収縮チューブの第1の部分91及びステントに沿って走行する第1のプルワイヤ92、並びにステントの第2端を留置するための熱収縮チューブの第2の部分93及びステントに沿って走行する第2のプルワイヤ94を備えている。除去可能なカートリッジ90はクランプ又はその他の解除可能な固定機構を使用して適所に保持されうる。
図9B~9Eは、腹腔鏡デバイスのハンドル95及びシャフト96であってステントカートリッジ90に取り外し可能なように係合することができるクランプ97を備えたものを例証している。腹腔鏡デバイスのハンドル95、シャフト96、及びキャンプ(camp)97は再使用可能である。ステントカートリッジ90は外科的処置ごとに交換可能である。腹腔鏡のハンドルは、ステントカートリッジの配向を回転させるために関節点98を備えた、ステントカートリッジ90を保持するためのクランプ97を備えている。
図9Dは、ステントカートリッジ90に係合するために開閉可能な2つの半円形の可動部品を備えたクランプ97を例証している。この送達システムはさらに、ステント34の先端側及び基端側の区域をカバーしている収縮チューブの先端側及び基端側の区域91、93の両方について独立に作動することを可能にする。関節点98は、ステント34の位置決め又は留置の際に必要であれば医師が患者の体内でさらにある程度移動させることを可能にする。この実施形態では、基端側セグメント又は基端側セグメントのいずれかが、プルワイヤ92又は94のいずれかを引くことにより医師の選択通りに独立に留置されることが可能である。
【0083】
図10はいくつかの実施形態による腹腔鏡手術デバイスを例証している。ステントカートリッジ100は本明細書中に開示された腹腔鏡システムと共に使用可能である。
図10はさらに、ステントのための径方向の拘束具の別の実施形態も例証している。ステント34は、チューブ101に対してステント34の端部を固定するために、ワイヤ、ひも、又はフック102を使用して適用された引張力を用いてチューブ101に向かって径方向に拘束可能である。径方向の拘束具は、ステント端部を留置するために除去可能であり、その結果ステントが拡張して拡張形態103となりうるようになっている。
図10に示されたデバイスは、腹腔鏡タイプのデバイスと共に使用可能である。該デバイスは腹膜腔を通じて標的器官に到達し、クランプ103及びシャフト104を使用してステントカートリッジ100を固定することができる。クランプ103は、ワイヤ、ひも、又はフック102を取り外してステントを留置するために使用可能である。クランプ103は、ステントの留置後にステントに対する統御力を解放するための解放機構を備えている。ステントの留置後、チューブ101及びステント34は送達デバイスから解放される。101チューブはステント34の内部空間内にある。その後、チューブ101は内視鏡的に除去可能である。ステントが底部嚢と腸管との間に留置されるとき、チューブ101は底部嚢又は腸管のいずれかを通して回収可能である。チューブ101は、窮屈な通路を通る移動を容易にするために可鍛性であるがステントを適所に保持するために十分に剛性となりうる。いくつかの実施形態では、チューブ101は生物分解性であってよい。
【0084】
ステントを留置するための腹腔鏡用具110の別の実施形態は
図11A~11Cに例証されている。ステントは、
図11A~11Cに例証されるような腹腔鏡デバイス110の端部のステント区画116の中に組み込むことが可能である。デバイス110は、デバイス110のシャフト111に対するステント区画の配向を変化させるための関節点112を備えている。送達デバイスは円錐頭部115を備えている。円錐頭部115は身体内に入り込むために使用可能である。円錐頭部115は送達シャフト111に対して移動可能であってよい。デバイス110は、ステントを拘束配置状態に保持するように構成された2つのシース部分113、114を備えている。基端側部分113又は区域は、ステントの基端側部分をカバーすることができる。シースの別個の先端側部分114は、ステントの先端側部分を拘束することが可能である。シースの基端側部分113及びシースの先端側部分114は、互いに対して移動可能である。デバイス110は、
図11Cに示されるようにステントを留置するために拘束具/シースの基端側部分113及び先端側部分114を別々に動かすことが可能である。シースの先端側部分114は先端側へ移動してステントの先端側部分が拡張できるようにすることが可能である。同様に、シースの基端側部分113は基端側へ移動してステントの基端側部分が拡張できるようにすることが可能である。デバイス110は、腹膜腔に腹腔鏡下で導入されて、次いで腸管の一部分のような体管腔に侵入することが可能である。次いでデバイス110が体管腔を通して標的位置へと(任意選択でさらなる体管腔に侵入しながら)進んだ後に、ステントが留置されることが可能である。
【0085】
シースの留置は様々な方法で行われうる。いくつかの実施形態では、円錐頭部は、シース及びステントを適所に保持すること、及び先端側/前方向へ移動することによってステントの基端側部分を基端側拘束具から引き離すことが可能である。いくつかの実施形態では、ステントの基端側部分は、ステントの基端部が基端側フランジを留置するために先端側へ押される押し棒型の配置構成を使用して留置されることも可能である。いくつかの実施形態では、円錐頭部は、先端側シースを除去するためにステントをその場に保持しながら先端側へ押されることにより、シースの先端部を留置することも可能である。いくつかの実施形態では、膨張可能な構造物が使用されてステント又はシースを適所に選択的に保持することも可能である。1つの実施形態では、先端側セグメントが円錐頭部及びシースを移動させるために押し棒型の作動機構を用いて展開する一方、基端側セグメントはシースを基端側へ引いて基端側ステントフランジを留置するために引張り型の機構を用いて展開する。1つの実施形態では、ステントは、径方向に拘束された配置状態にステントを保持するために除去可能な材料で巻装されることが可能である。ステントは巻装の除去により留置可能である。1つの実施形態では、ステントは径方向に拘束された配置状態に固縛されることが可能である。固縛はステントを拡張形態へと展開するために除去可能である。
【0086】
図11Dは、径方向の拘束具の一部分119a、119bを除去するようにそれぞれ構成されたプルワイヤ118a、118bを備えた別の実施形態の送達デバイス117を例証している。径方向の拘束具はシース又は除去可能な管材料であってよい。シースは1以上の部品を備えうる。シースの基端側部分119aはステントの基端側部分をカバーすることができる。ステントの基端側部分は、シースの基端側部分を拘束している基端側シース119aを移動又は除去するための基端側プルワイヤ118aを使用して留置されうる。シースの別個の先端側部分119bは、ステントの先端側部分を拘束することが可能である。先端側シース119bは、先端側プルワイヤ118bを使用して別個に移動又は除去可能である。
【0087】
いくつかの実施形態では、送達システムは、ハンドル、シャフト、及び着脱可能なカートリッジを備えた腹腔鏡用具を備えている。着脱可能なカートリッジは、送達システムの先端側チップ及び予め搭載された吻合デバイスを含みうる。医師は、標的位置に吻合デバイスを留置するために患者体内でシステムを操作することが可能である。ハンドル及びシャフトは外科的処置の後に滅菌されて、
図5A~5C、10、12A~12F及び13A~13Cで説明されるステントカートリッジのような吻合デバイスを有する新たなカートリッジとともにその後の外科的処置において使用されることが可能である。
【0088】
ステントカートリッジ及び係合構造物のさらなる例は
図12A~12F及び13A~13Cに例証されている。係合構造物は、ハンドル及びシャフトの部分を備えた再使用可能な送達デバイスを着脱可能に取り付けるために使用可能である。
図12A~12Fは、様々な嵌め合わせ構造物を備えたステントカートリッジを含む送達デバイスの一部分を例証している。ステントカートリッジの端部は、腹腔鏡のハンドルを用いる送達システムと嵌め合わせるための機械的手段を使用することができる。ステント34を包含しているカートリッジ120が
図12Aに例証される。カートリッジ120は、剛性の内側部材124、円錐頭部121、ステント34を収容するための内側ポケット、嵌め合わせ構造物126を備えたシース122、ステント係合リング123、及び剛性の内側部材を剛性の腹腔鏡ハンドルに係合するための内側嵌め合わせ構造物125を備えうる。個別の嵌め合わせ構造物は腹腔鏡ハンドルによって独立に制御可能である。シースの嵌め合わせ部分は、内部の部分に対して独立にシースを移動させるために外側のシースを別個に制御することが可能である。内部の嵌め合わせ部分125は、内側シャフト124及び円錐頭部121の移動を制御することが可能である。腹腔鏡のハンドルは、シース122を引き戻してステント34を解放するために作動せしめられることが可能である。
図12Aは、外側シース122及び内側留置シャフト124の周りに結合したステント保持デバイス123によって適所に保持されたステント34を備えたカートリッジ120を例証している。様々な嵌め合わせ構造物は
図12B~12Fにも例証されている。
図12B~Cは、内部嵌め合わせ部分125を備えたカートリッジ120の端部の2つの異なる断面図を例証している。
図12D~Eは、内部嵌め合わせ部分125及びシース係合部分126を備えたカートリッジ120の端部の別の実施形態についての2つの異なる断面図を例証している。
図12Fは、嵌め合わせ構造物の別の実施形態を例証している。
【0089】
図13Aは、それぞれ外側シース131及び内側留置シャフト136のための嵌め合わせ構造物133、134を備えたカートリッジデバイス130を例証している。
図13Aは、ステント区画134の一部分を見せるために先端側へ押された円錐頭部132を例証している。
図13Bは、外側シース嵌め合わせ構造物133及び内側留置シャフト嵌め合わせ構造物134の拡大部分である。
図13Cは、円錐頭部132、シース131、内側留置シャフト136、及びステント区画135の拡大部分を例証している。
【0090】
本明細書中に開示された送達デバイスは、デバイス及びステントの視覚化のための手段を備えうる。視覚化の例には、超音波、蛍光透視、直接的視覚化及びその他の方法が挙げられる。直接的視覚化は、光ファイバーアセンブリのような、光の使用によって容易になりうる。
図14は、光ファイバー灯141、143を備えた送達デバイスの先端側部分140を例証している。光ファイバー灯は腹腔鏡下の外科的処置における視覚化を支援することができる。光ファイバー灯は、胃、結腸、又は腸管のような体管腔の中でデバイスの配置状態を確認するのを支援することができる。デバイスは
図14に例証されるように多数の光ファイバー灯を備えることができる。
図14に例証されたデバイスは、円錐頭部142に隣接する該デバイスのチップに光ファイバー灯141を備えている。
図14はさらに、ステント34/ステント区画の基端側に隣接する送達デバイスのシャフトに沿った光ファイバー灯143も例証している。光ファイバーの光源はさらに、外科医が外科的処置の際にステント配置状態を確認するのを支援するためにステント区画の端部にも隣接しうる。デバイス上の異なる位置を識別するために異なる着色光が使用されうる。円錐頭部及び送達デバイスの他の部分は透明であってもよい。光ファイバー光源は、光が透明な部分を通して視認可能であるように、透明な部分に隣接した位置にあることも考えられる。例えば、光ファイバー光源は、透明な円錐頭部の内部、及び送達シャフトの透明な部分の内部のうち少なくともいずれかに位置することも考えられる。
【0091】
本明細書中に開示されたデバイスの視覚化に蛍光透視を使用することも可能である。送達システムを介した流体診断薬の導入を可能にするために本明細書中に開示されたデバイスに腔内接続ポートを組み入れることができる。例えば、トーイボースト(Toue-Borst)コネクタが使用されうる。蛍光性のダイ(die)は、蛍光透視のために腔内接続ポートを介して導入可能である。
【0092】
本明細書中に開示されたデバイスは1以上の吻合を形成するために使用可能である。例えば、カテーテルを用いるステント送達デバイスは、例えば腸管の部分どうしの間に1つの吻合を形成するために内視鏡と共に使用されうる。内視鏡系のデバイスを、底部嚢と空腸のような腸の一部分との間に吻合を形成するために使用することも考えられる。本明細書中に記載されるような、腹腔鏡系のデバイスとカテーテルデバイスとの組み合わせが、単一の吻合を形成するために使用されることも考えられる。例えば、カテーテル系のデバイスがステントの第1の半部を留置し、腹腔鏡系のデバイスがステントの第2の半部を留置することも考えられる。ステントの半部はその後、
図19A~19Dに示されるように接合されて吻合を形成することも考えられる。
【0093】
本明細書中に開示されたチップ設計物は、解剖学的構造物の中に入るデバイスの直径を考慮して、標的の解剖学的構造物の通路において切断された開口部からの漏出を最小限にするか又は防止するように設計可能である。いくつかの実施形態では、送達デバイスは円錐形状を備えたチップを有する。いくつかの実施形態では、送達デバイスは円錐形状以外の形状を備えたチップを有する。いくつかの実施形態では、送達デバイスが有するチップは鈍頭、円形、又は尖頭であってよい。いくつかの実施形態では、送達デバイスは、エネルギーを付与されるチップのような、焼灼機構を備えたチップを有する。無線周波(RF)、高周波(HF)、又はその他の種類のエネルギーのようなエネルギーがデバイスのチップに供給されうる。デバイスのエネルギーを付与されるチップはその後、標的の解剖学的構造物の中への管腔到達路を作出するために組織を切開することが可能である。いくつかの実施形態では、送達デバイスはステント又は組織通路が拡がるのを可能にするバルーン又は拡張部材を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、送達デバイスは、ステントの留置前又は留置後にステント又は組織の通路が拡がるのを可能にするバルーン又は拡張部材を有する。例えば、自己拡張型ステントは、留置された後に、ステントが自己拡張するのに必要な時間よりも速く拡張形態を達成するために自己拡張を促進するためのバルーンを使用する留置後拡張が行われてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されたデバイスはエネルギーを付与されるチップを備えうる。
【0095】
本明細書中に開示されるいくつかの実施形態では、標的の解剖学的構造物の中への誘導にガイドワイヤが使用される。ガイドワイヤが使用される場合、デバイスは、ガイドワイヤルーメン及びワイヤが先端側へ出るためのチップの穴を備えうる。本明細書中に開示されたデバイスは、標的の解剖学的構造物内に配置されたガイドワイヤに後続することができる。ガイドワイヤは、19ゲージの注射針のような針を使用して標的の解剖学的構造物中に配置可能である。デバイスは、チップが標的の解剖学的構造物に達するまでガイドワイヤに従うことができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、デバイスはガイドワイヤ無しで使用可能である。
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されたデバイスは体管腔を通る通路を促進するために可撓性であることができる。例えば、本明細書中に開示されたカテーテルを用いるデバイスは、内視鏡と共に使用されるように可撓性であってよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されたデバイスは剛性であってもよいし、剛性シャフトを備えてもよい。例えば、腹腔鏡を用いるデバイスは、腹膜腔内への到達を容易にするために剛性シャフトを使用することが可能である。いくつかの実施形態では、腹腔鏡デバイスはある程度の可撓性を備えてもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されたデバイスは、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)及び大腸(盲腸、結腸)、直腸、胆管構造物、又は食道のいずれかとの間に吻合を形成するべくステントを留置するために使用可能である。
【0099】
ステント又は組織アンカーはGI管に吻合を形成するために使用可能である。ステントは、本来の外科的吻合術単独と比較して、吻合部の漏出率を低減し、かつ流体、部分消化された食物、及び食物がステントを通って通行するのを可能にすることもできる。ステントは、ステープル処理及び他の外科的吻合方法よりも時間を節約して漏出を防止することが可能である。ステントはさらに、腸管の切断端の間に吻合を作製するためにステントが使用されている結腸切除プロセスにも適用可能である。本明細書中に開示されたステントはさらに、基本的な内視鏡用具、カテーテル、腹腔鏡、及び一般的な外科用具と共に使用することも可能である。ステントを留置するための方法及びデバイスの例は本明細書中に議論されている。
【0100】
組織用のステント及びアンカーの例について、以下により詳細に議論する。本明細書中に開示されたデバイス及び方法を使用して留置可能なステント及び組織アンカーの例は、共同所有の米国特許出願公開第2009/0281557号明細書及び米国特許出願公開第2013/0310833号明細書に開示されている。ステントを配置するためのデバイス及び方法は、共同所有の米国特許第8,357,193号明細書及び米国特許出願公開第2013/0310833号明細書にも開示されている。ステント及びアンカーを配置するためのさらなるデバイス及び方法は、2012年5月17日に出願された米国仮特許出願第61/648,544号明細書、及び2012年11月16日に出願された米国仮特許出願第61/727,629号明細書に開示されている。上記の特許出願において開示されたデバイス及び方法は、本明細書中に開示された概念と共に使用可能である。
【0101】
本明細書中に開示されたステントは、ステントの内部経路を通る流体、部分的又は完全に消化された食物、及び食物の流れを促進するように構成可能である。ステントのフランジは食物がステント内に停滞するようになる可能性を低下させるように構成可能である。フランジの端部はさらに、例えば端部にステントの内部空間から離れるように角度を付けることにより、又は端部をステントの内部空間から離れるように外側へ巻くことにより、食物又は部分消化された食物を捕捉する可能性を低減し、かつ食物をより上手く受け取って送り出すようにも構成可能である。1つの実施形態では、ステント端部は一方向の物質の流れを促進するように構成可能である。
【0102】
本明細書中に記載されたステントのための他の設計面の配慮には、ステントの製造可能性並びに本明細書中に開示されたデバイスを使用してステントを装荷及び留置する能力が挙げられる。
【0103】
ステント設計はさらに、従来のステントを上回る改善された側方強度及び引抜力も提供する。引抜力は、2つの異なる試験すなわちステント引抜力試験及び移植物アンカープルパウト(pull-pout)試験を使用して判定可能である。
【0104】
引抜力試験については、ステントは完全に拡張した形態で試験される。ステントは、ステントの円筒形鞍状領域の拡張状態の直径を収容する大きさの、材料に開いた穴を通して留置される。材料に開いた穴はステントの大きさに応じておよそ10mm又は15mmであってよい。ステント引抜試験は、完全に拡張したステントの先端側フランジを変形し、かつ開口部を通してステントの拡張した先端側フランジを引くのに必要な力を測定する。いくつかの実施形態では、ステントの引抜力は約260グラム(約2.55N)より大きい。いくつかの実施形態では、ステントの引抜力は約300グラム(約2.94N)より大きい。いくつかの実施形態では、ステントの引抜力は約400グラム(約3.92N)より大きい。いくつかの実施形態では、ステントの引抜力は約500グラム(約4.9N)より大きい。いくつかの実施形態では、ステントの引抜力は約550グラム(約5.39N)より大きい。いくつかの実施形態では、ステントの引抜力は約600グラム(約5.88N)より大きい。いくつかの実施形態では、ステントの引抜力は約700グラム(約6.86N)より大きい。いくつかの実施形態では、ステントの引抜力は約800グラム(約7.84N)より大きい。いくつかの実施形態では、ステントの引抜力は約900グラム(約8.82N)より大きい。いくつかの実施形態では、ステントの引抜力は約1000グラム(約9.8N)より大きい。
【0105】
移植物アンカーの試験については、ステントの基端側フランジが拘束配置状態でカテーテルデバイスによって保持されながら、先端側フランジの強度が試験される。先端側フランジは、カテーテルのシャフトを収容する大きさの穴を有する剛性材料の反対側に留置される。カテーテルは、先端側フランジを変形し、かつ剛性材料の穴を通して先端側フランジを引くために必要であると測定された力で引くことが可能である。いくつかの実施形態では、ステントは約1Nを超える移植物アンカー試験の強度を有する。いくつかの実施形態では、ステントは約2Nを超える移植物アンカー試験の強度を有する。いくつかの実施形態では、ステントは約3Nを超える移植物アンカー試験の強度を有する。いくつかの実施形態では、ステントは約4Nを超える移植物アンカー試験の強度を有する。いくつかの実施形態では、ステントは約5Nを超える移植物アンカー試験の強度を有する。いくつかの実施形態では、ステントは約6Nを超える移植物アンカー試験の強度を有する。いくつかの実施形態では、ステントは約7Nを超える移植物アンカー試験の強度を有する。いくつかの実施形態では、ステントは約8Nを超える移植物アンカー試験の強度を有する。いくつかの実施形態では、ステントは約9Nを超える移植物アンカー試験の強度を有する。いくつかの実施形態では、ステントは約10Nを超える移植物アンカー試験の強度を有する。いくつかの実施形態では、ステントは約15Nを超える移植物アンカー試験の強度を有する。
【0106】
本明細書中に開示されたステントはさらに、該ステントが堅固にかつ傷つけることなく組織壁に係合し、また壊死組織を形成しないので、GI管に使用される従来の剛性リベット型の吻合デバイスを上回る利点も備えている。壊死組織の形成低減は健全な吻合のより速い形成を促進する。本明細書中に開示されたステントはさらに、吻合の形成後に回収可能かつ除去可能なようにも構成される。
【0107】
本明細書中に開示されたデバイスと共に使用可能なステントの構成及び形状の様々な実施例は、
図15A~15G、16A~16J、17A~17C、及び18A~18Dに例証されている。組織アンカー又はステントはNitinol(登録商標)のような形状記憶合金から作製可能である。ステントは、ステントが拘束された管状の配置状態から
図15A~15G、16A~16J、17A~17C、及び18A~18Dに例証された拡張配置状態へと拡張するように、自己拡張型であってよい。
【0108】
本明細書中に開示されたステントは、該組織アンカーの外面全体を覆って被覆剤又はメンブレン、例えばシリコン被覆剤を備えうる。被覆剤又はメンブレンはステントが移植されたときに組織の内方成長を阻害しかつ流体の漏出を最小限にする。組織の内方成長の低減は、吻合形成後のステントの除去可能性を改善する。典型的には移動又は回収されるようには設計されていない血管内ステントとは対照的に、本明細書中に例証されたステントは折り畳み式であり、除去可能かつ回収可能であるように設計されている。ステントはさらに、ステントを血管に恒久的に固定するために血管内ステントにおいて一般に使用される返し又はその他の鋭利な突部も備えていない。
【0109】
ステント形状は様々であってよい。例えば、端部又はフランジの形状は、ステントの強度を改善し、かつ各組織平面に対抗する十分量の直線力を提供すると同時に複雑な構造物の内部開口部を通る円滑な食物の流れを可能にするために、最適化されうる。端部の形状は、多数の構造上の折り目で構成されており、複数の変曲点を有しているなど、「鐘状」と称することが可能である。変曲点は、湾曲の方向に変化が生じる湾曲部の場所と考えることができる。さらなる端部は巻かれた状態であることもありうるし、組織平面とは逆行して突出していてもよい。別例の設計は、デバイスの内径より広い口で構成されることもありうる。
【0110】
図15Aは、円筒形の鞍状領域151、フランジ154に向かって後屈するように構成された端部153を伴うフランジ152、フランジ152に向かって後屈するように構成された端部155を伴うフランジ154、を備えたステント150の実施形態の断面を例証する。フランジ152、154及び端部153、155は組織壁T1、T2を並置状態に保持するように構成されている。フランジ152、154の先端部分は組織壁の損傷を低減するために湾曲している。
図15B及び15Cは
図15Aに類似の形態を有しているが、さらなる巻き込み型のステントの端部153、155を備えている。
図15Bは概ね半円状に巻き込まれた端部153、155を示し、
図15Cはほぼ完全な円を形成する端部153、155を有している。
図15B~15Cのステントの端部153、155は、ステント構造物の先端部がさらに巻いていることから高い強度を伴って傷つけることなく組織に係合することが可能である。
【0111】
図15D~15Gはステント構造物のさらなる断面図を例証している。
図15Dは、円筒形の鞍状領域151から離れるように突出しているフランジ構造152、154を備えたステント150を例証している。円筒形の鞍状領域151は直径D1を有し、外側フランジ構造152、154はより大きな直径D2を有している。
図15Eは、外側へ、かつ円筒形の鞍状領域151の内部空間から離れるように巻いているフランジ構造152、154を備えたステント150を例証している。
図15Fは、円筒形の鞍状領域151から離れるように突出し、かつ巻き込み型の端部153、155を有するフランジ構造152、154を例証している。巻き込み型の端部は、ステントに付加的な側方強度を提供することができる。
図15Gは、円筒形の鞍状領域151の内部空間から離れるように突出し、かつ、ステント150の強度を高めるため、及び移植された時に傷つけることなく組織壁にさらに係合するための二重壁のフランジ構造をさらに備えた、フランジ構造物152、154を例証している。
【0112】
図16A~16Jは、ステントのフランジ形態の様々な部分断面図を例証している。いくつかのフランジ構造は、ステントを通過する食物又はその他の物質を捕捉するおそれのある空間を各フランジ内部に有しうる。フランジは、食物又はその他の物質がステント又はステントフランジの内部空間内に捕捉される機会を最小限にするように設計可能である。
図16A~16Iに例証されたステントは、フランジ空間内部に捕捉されるか又は詰まる食物及び部分消化された食物を最小限にするように設計されたフランジ構造を有する。
【0113】
図16Aは、複数の変曲点を有しているフランジ構造162を備えたステント160の部分断面図を例証している。変曲点は三次元のステント構造において径方向の屈曲部を作出する。フランジ162の壁は、円筒形の鞍状領域161から離れるように突出し(最初の変曲点)、次いでステント160の長手方向の経路164の中心に向かって後屈し(さらに2つの変曲点)、その後ステント160の長手方向の経路164の中心から離れるように再び後屈し(さらに2つの変曲点)、ステント端部163においてさらに屈曲する(さらに1つの変曲点)。各々の屈曲部は変曲点とみなすことができる。
図16Aに例証されたステント160は6個の変曲点を有する。これらの変曲点はステントフランジを補強することができる。ステントは、食物がステント内に詰まる可能性を低減するため、並びにステント本体を通る食物及び部分消化された食物の流れを促進するために、円筒形の鞍状領域161の直径より大きい直径を備えた開放端を有する。さらなる変曲点は、拡張したステントの側方強度及び引抜力を高めることができる。
【0114】
図16Bは7個の変曲点を有するフランジ構造162を備えたステント160を例証している。該構造は
図16Aに例証されたステントに類似しているが、外側のステント壁が端部163において長手方向の経路164の中心に向かって戻るように曲がっている。
【0115】
図16Cは巻き込み型のステント端部163を含むフランジ構造162を備えたステント160を例証している。巻き込み型の端部は、円筒形の鞍状領域161に向かって戻るように巻いて円形の断面を形成している。ステントフランジの端部163はそれ自体に向かって後屈して流体の流れがステントの端部に直接流れないようになっている。このステント形態は、食物がフランジ162の内部空間に詰まる可能性をさらに低下させる。
【0116】
図16Dは、鞍状領域161の長手方向の経路164から離れて突出するフランジ162と、フランジ162の外側の場所を過ぎて外側方向に巻いている端部163とを備えたステント160を例証している。
【0117】
図16Eは5個の変曲点を有するフランジ162を備えたステント160を例証している。フランジ162は鞍状領域161の中心から離れるように外側に突出し、次いで中心経路164に向かって後屈し、その後再び屈曲して端部163が円筒形の鞍状領域161の長手方向の中心164から離れるように突出している。
【0118】
図16Fは、円筒形の鞍状領域161から離れるように突出しているフランジ162であってフランジ162に向かって後方に巻いた端部163とともに巻き込み型の円形断面を形成しているフランジ162を備えたステント160を例証している。
【0119】
図16Gは
図16Fに類似しているが、ステントの端部163において完全な円形を超えた形をなして巻いている端部163を備えている。
図16Hは、円筒形の中央領域161から離れるように巻いている巻き込み型の端部163と共に直角に近い複数の屈曲部を有しているステントフランジ162を例証している。直角は、ステントの側方強度及び引抜力を高めることが可能である。
【0120】
図16Iは、円筒形の鞍状領域から離れるように巻いている巻き込み型の端部を備えた正弦曲線の外側形状を有するフランジを例証している。波形の正弦曲線の外側形状は、ステントの側方強度及び引抜力を高めることができる。
【0121】
図16Jは、一方が
図16Aに例証された構造を有するフランジと、
図16Iにおいて例証されたフランジとを備えたステント断面1(a stent cross section one)を例証する。
図16Aに例証されたフランジはより広い開口(a wider opened)を有しており、かつ流体の流れの方向に対抗するように留置可能である。
図16Iに例証されたフランジはより狭い外側端部を有し、物質がステントの内部空間を出る場である反対側の端部として使用可能である。
【0122】
図17A~17Bはそれぞれ、いくつかの実施形態によるステント170の断面及び外観である。フランジ構造171は最初にステント本体から離れるように外へ向かって突出し、次いで円筒形の鞍状領域172の内部空間に向かって戻るように巻いて半円のフランジ形態を形成する。フランジは、さらなる側方強度及び改善された引抜力を提供すると同時に、食物又は部分消化された食物がフランジの内部空間内に詰まる機会を最小限にする。
図17Cは、円筒形の鞍状領域172に向かって戻るように巻いた半円フランジ構造171を備えた代替形態である。
【0123】
図18A~18Dに示されたステント構造は二重壁フランジ構造と呼ぶことができる。
図18Aは、円筒形の鞍状領域182と、フランジ181であって該フランジ構造181に比較的大きな開口した円筒形領域及び幅広いカフ又はリップ183を備えたフランジとを有するステント180を例証している。
図18Bは、
図18Aより小さな内直径を有するが傷つけることなく組織に係合するための大きな二重壁フランジ181を備えたステント180を例証している。
図18Cは、内側の円筒形鞍状領域の直径より大きな外側カフ又はリップ183の直径を備えたステント180を例証している。
【0124】
図18Dは、
図18Cに類似しているがフランジ空間内に食物が詰まるのを防止するためにフランジ181に別個のプラグ184を備えたステント180の実施形態を例証している。プラグは、ステントが除去された後に消化管を通って流れるか又は通過するのに適した材料で作製されうる。いくつかの実施形態では、フランジは生物分解性又は生体吸収性の材料で作製可能である。このフランジプラグ構造は本明細書中に開示されたステント構造のうち任意のものとともに使用可能である。
【0125】
いくつかの実施形態では、ステント端部は対称形である。いくつかの実施形態では、ステント端部は異なる端部形状を有しうる。ステント端部の形状は、体管腔及び吻合の位置並びに所望の物性に基づいて選択可能である。ステントは、食物又は部分消化された食物が主として一方向に流れるべきであるため単方向の流れを促進するように設計可能である。単方向の流れはさらに、物質の流れと最初に接触する前部のステントフランジ(例えば基端側フランジ)について補強を付与又は要求する可能性もある。基端側フランジは、先端側フランジより強い引抜力を有する断面を備えて設計可能である。基端側フランジの開口部の直径は、フランジ内に物質が詰まる機会を最小限にするために先端側フランジより広い設計を有しうる。基端側フランジの端部は、食物又は物質がフランジ内に詰まる機会をさらに減少させるように設計することも可能である。例えば、ステントが、
図16Jに例証されるように、より広いフランジ端部を備えた基端側フランジについては
図16Aに例証されるような断面を、及び先端側フランジについては
図16Iのようなフランジ設計を有することも考えられる。
【0126】
ステントの寸法は、流体の流れにとって望ましい導路と共に組織壁上への望ましい保持を提供するように設計可能である。例えば、フランジの幅及び直径は所望の特性を提供するために最適化することが可能である。カフ又はリップは補強を提供するためにフランジよりも末端側に提供されうる。カフの直径及び長さも、ステントの特性を改変するために最適化することが可能である。カフの直径は、円筒形の中空部分の直径より大きくてもよい。これにより、後続のステントへの到達をより簡単にし、かつ物質がフランジ内に詰まる機会を減少させることができる。カフ又は外側リップは、食物又は部分消化された食物がフランジ空間内に詰まる機会を最小限にするように形作られることも可能である。例えば、外側カフ又はリップは、ステントの内部空間から離れるように突出するか又は巻いている壁を備えうる。円筒部分の直径及び長さは、組織壁の厚さ及び所望のステント位置に応じて最適化することが可能である。ステントの全長を具体的な用途に応じて最適化することも可能である。
【0127】
いくつかの実施形態では、鞍状領域の腔内直径は約8mm~約40mmである。いくつかの実施形態では、円筒形の鞍状領域の腔内の長さは約15mm~約25mmである。
製造技術の例には、レーザー切断、製織、溶接、エッチング、及びワイヤ成形を使用することが挙げられる。シリコンのようなメンブレン材料は、ステント壁を通る流体の通行を防止するためにワイヤステントフレームに適用可能である。メンブレン材料は、塗装、刷毛塗り、噴霧、浸漬、又はモールド成形によって適用可能である。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されたステントのうち任意のものは2つの半部を備えうる。
図19Aは、各々が磁気リングを備えたステントの2つの半部を例証している。
図19Aは、可撓性フランジ191及び磁気リング192を備えた第1のステント半部190と、磁気リング194及び可撓性フランジ195を備えた第2のステント半部193とを例証している。磁石は互いに引きつけられるように構成されうる。よって、各半部は、腹腔鏡デバイス196によってそれぞれの標的位置に、例えば
図19B~19Cに示されるように標的の吻合組織又は管腔の別個の側面に、円錐頭部197を前進させることなどによってフランジに対する拘束を取消すことにより可撓性フランジ191を留置することで、別々に留置されることも考えられる。腹腔鏡デバイス196は、第1のステント半部190の中空の円筒形領域を通して除去されることも考えられる。磁石192、194はその後接合されて、フランジ191が組織壁T1に係合し、かつフランジ195が組織壁T2に係合して
図19Dに例証されるような吻合を形成するようになっていることも考えられる。その他の種類の接続も2つのステント半部を用いてなされうる。例えば、クリップ、リング、タブ、及びその他の連結構造を使用することも考えられる。
【0129】
図20A~20Cは、いくつかの実施形態に従って胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証している。
図20A~20Cに例証された手技はNOTES手技と呼ばれうる。NOTES手技は比較的迅速かつ容易であるが、内視鏡及びカテーテルデバイスが腸管の標的区域を見つけるために胃壁を貫通して腹膜腔に進入するので、腹膜腔の異物混入の可能性が高い。
【0130】
内視鏡は口から入り、食道を下って胃の中へと前進せしめられる。内視鏡は複数のポートを備えうる。例えば、1つのポートはステントを担持するカテーテルデバイスを包含することが可能であり、第2のポートは把持デバイス及び切開部を作る用具のうち少なくともいずれかを包含することが可能である。胃壁に切開部を作った後、内視鏡200は
図20Aに示されるように胃201の壁を通して前進させることが可能である。内視鏡200は、空腸の特定の場所のような腸管203の標的位置を確認するために使用される。把持具202はその後、
図20Aに示されるように腸管203の標的位置に隣接している腸管に付着して確保するために使用される。シストトーム又はその他の適切なデバイスは、腸管203にガイドワイヤを到達させるために内視鏡200の第2のポートを通して前進せしめることが可能である。シストトームはガイドワイヤ上でカテーテルデバイス204と交換可能である。ステント34を担持しているカテーテルデバイス204は、ガイドワイヤをたどって腸管203に到達することができる。カテーテルデバイス204は、腸管203の中への当初の貫通部を拡大するためにエネルギーを付与されるチップのような拡張器を備えることができる。ある場合にはガイドワイヤの使用は任意選択であり、カテーテルデバイスのエネルギーを付与されるチップが胃及び腸管において最初の貫通部を作製するために使用される。腸管203に到達した後、カテーテルデバイス204は、
図20Aに示されるようにステント34の先端側フランジを拘束しているシースの抜去又は後退により腸管203においてステント34の先端側フランジを留置することができる。ステント34の先端側フランジの拡張後、ステント34、カテーテルデバイス203、及び内視鏡200は、腸管203を胃201の近くに引き寄せるために基端側へと引き寄せられ、この時点で把持具202は
図20Bに示されるように解放及び抜去可能である。ステント34の基端側フランジは、ステント34を拘束しているシースを後退させ続けることにより胃201に留置可能である。ステント34の留置後、
図20C示されるように胃200と腸管203との間にステントの内部を通して経路が形成される。ステントフランジは、食物及び部分消化された食物がステントの内部空間を通って流れることが可能であるように設計されている。任意選択で、ステントは完全に拡張した形態をより迅速に形成するために留置後にバルーンで拡張されてもよい。ステントの留置後、内視鏡は除去される。胃と腸管との接合部は治癒して吻合を形成することができる。吻合の形成後、ステントはスネア又は他の既知の技法を使用して内視鏡下で除去することが可能である。
【0131】
現行の超音波内視鏡は用具を通すために1つの開口ルーメンを有している。これらの超音波内視鏡は、追加の用具を利用するための追加のルーメンは有していない。超音波誘導を有する超音波性能を備えたこれらの内視鏡はさらに、腸管の標的領域を見つけるために使用することも可能である。
図21A~21Cは、いくつかの実施形態に従い超音波誘導を使用して胃と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証している。
図21A~21Cに例証された手技はEUS(超音波内視鏡)手技と呼ぶことができる。EUS手技は、胃を大きく切開する必要がなくその範囲が胃を出ないので、NOTES手技と比較して腹膜腔の異物混入のリスク低減をもたらし、また腸管の標的領域は超音波で見つけることが可能であって、腸管の標的領域を見出すために腹膜腔内を探索する内視鏡を使用するのと比較して周囲をあまり捜索せずにすむ。
【0132】
超音波性能を備えた内視鏡210は口から入り、食道を下って胃211の中へ前進する。超音波の標的を作出する多くの方法が存在し、例えば、注入カテーテルが内視鏡のポートを通して前進せしめられて幽門弁を通り十二指腸を過ぎ、腸管213の標的位置へと前進せしめられてもよい。注入カテーテルが腸管213の標的位置まで前進せしめられたら、食塩水のボーラス注入が行われる。食塩水の注入後、注入カテーテルは除去される。次いで針212が内視鏡のルーメン内を前進せしめられることができる。超音波は
図21Aに示されるように食塩水で満たされた腸管213の区域を同定するために使用可能である。超音波誘導は、針212を前進せしめて最初に胃壁及び腸管の壁を穿刺して腸管213に到達した後に腸管内にガイドワイヤを前進せしめるために使用される。ステント34を担持するカテーテルデバイス214は、ガイドワイヤをたどって
図21Bに示されるように腸管213の標的位置に到達することができる。この実施形態では針による到達が推奨されているが;いくつかの実施形態では、針及びガイドワイヤを用いずにエネルギーを付与される先端チップを直接使用して胃壁及び腸管に最初の貫通部を作製するためにカテーテルが使用されてもよい。腸管213に到達した後、カテーテルデバイス214は、
図21Bに例証されるようにステント34の先端側フランジを拘束しているシースの抜去又は後退により腸管213の中にステント34の先端側フランジを留置することが可能である。カテーテルデバイス214は、
図21Cに示されるように腸管213を引き寄せて胃211に並置せしめるために基端側へ後退させることが可能である。次いでステント34の基端側フランジは、
図21Dに示されるように、ステント34を拘束しているシースを後退させ続けることにより胃211の中に留置することができる。ステント34を留置した後、胃211と腸管213との間にステント34の内部を通して経路が形成される。ステントフランジは、食物及び部分消化された食物がステントの内部空間を通って流れることが可能であるように設計されている。任意選択で、ステントは完全に拡張した形態をより迅速に形成するために留置後にバルーンで拡張されてもよい。ステントの留置後、内視鏡は除去される。胃と腸管との接合部は治癒して吻合を形成することができる。吻合の形成後、ステントはスネア又は他の既知の技法を使用して内視鏡下で除去することが可能である。
【0133】
腹腔鏡用具はさらに、腸管及び胃のような身体の一部分を見つけて到達するに際してカテーテルデバイスを支援するために使用することも可能である。腸管は腹膜腔内に乱雑な状態で存在する。腹腔鏡の把持具及びカメラを使用することができれば、腹膜腔内における標的の解剖学的構造の把握及び視覚化に加えて、外科的処置のための所望の配向及び配置状態への標的の解剖学的構造の位置決めを、改善することが可能である。
【0134】
図22A~22Dは、いくつかの実施形態に従い内視鏡カテーテル220及び腹腔鏡用具225、226を使用して胃221と腸管223の一部分との間にステント34を留置する方法を例証している。複数の腹腔鏡ポートは、カテーテルデバイス224が腸管223の標的位置を見つけて腸管223に侵入するのを支援するために使用可能である。腹腔鏡下の環境は腹膜内に作られる。1実施例において、2つの用具及び1台のカメラが3つの腹腔鏡ポート配置構成と共に使用されうる。カテーテルデバイス224(内視鏡220の有無に関わらない)は口から入り、食道を下って胃へと前進する。カテーテルデバイス224は、
図14に記載されるように、カメラによって腹膜腔内で視覚化するための、胃壁を通して光ることのできる光ファイバー灯を備えうる。この光は、胃壁を貫通する前にカテーテルのチップの位置の同定を容易にすることが可能である。カテーテルチップは、カテーテルを用いて胃壁221に穴を開け、カテーテルが胃壁221とどこで接触しているかを見るために腹腔鏡用具を使用することにより、視覚化されることも可能である。腹腔鏡用具225のチップは、
図22Aに示されるように胃壁を通り抜けてカテーテルが前進するのを可能にする切開部を形成するためにカテーテル224が接触している胃221の壁の位置に接触することが可能である。別の実施形態では、カテーテル224は、胃壁221を切開及び貫通するためにエネルギーを付与されるチップを備えうる。腹腔鏡用具225、226は、カテーテル224が胃壁221を通り抜けて伸びるのを支援することができる。腹腔鏡カメラは腸管223の標的区域を同定するために使用可能である。腸管の標的区域を見つけた後、腹腔鏡用具225、226は、
図22Aに示されるように腸管223を保持し、かつカテーテル224のチップを腸管223の外側壁に隣接するように位置決めするのを支援することができる。その後、カテーテルデバイス224のエネルギーを付与されるチップが腸管223の壁を貫通するために使用されてもよいし、腹腔鏡用具226が腸管223に切開部を作るために使用された後に
図22Bに示されるようにカテーテル224が腸管223の中へ前進せしめられてもよい。腸管223に到達した後、カテーテルデバイス224は、
図22Bに例証されるようにステントの先端側フランジを拘束しているシースの抜去又は後退により腸管223にステント34の先端側フランジを留置することが可能である。カテーテルデバイス224は、
図22Cに示されるように胃221の貫通部の近くに腸管223を引き寄せるために基端側へ後退せしめられることができる。胃221の貫通部の近くに腸管223を引き寄せた後、ステント34の基端側フランジはステント34を拘束しているシースを後退させ続けることにより胃221に留置可能である。ステント34を留置した後、
図22Dに示されるように胃221と腸管223との間にステント34の内部を通して流体の導路が形成される。ステントフランジは、食物及び部分消化された食物がステントの内部空間を通って流れることが可能であるように設計されている。任意選択で、ステントは完全に拡張した形態をより迅速に形成するために留置後にバルーンで拡張されてもよい。ステントの留置後、内視鏡は除去される。胃と腸管との接合部は治癒して吻合を形成することができる。吻合の形成後、ステントはスネア又は他の既知の技法を使用して内視鏡下で除去することが可能である。
【0135】
上記のNOTES、EUS、腹腔鏡補助下、腹腔鏡下のカテーテル到達方法は、胃と腸管との間の吻合の形成として例証されている。該方法及びステップは、胃バイパス手技の一部として形成される底部嚢を用いる吻合形成にも等しく当てはまる。胃嚢と腸管との間の吻合のための本明細書中に開示されたステントの使用は、胃嚢と腸との間に一貫した大きさの吻合及び流体の導路を形成すると同時に該手技の際の漏出の可能性を大幅に低減する。該手技は従来の胃バイパス手技よりも迅速かつ低侵襲性であり、信頼性の高い一貫した吻合形成を伴って再現可能である。
【0136】
図24A~24Cは、いくつかの実施形態に従って底部嚢241と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証している。
図24A~24Cに例証された方法は、
図20A~20Cに例証された方法に類似しているが、胃と腸管との間の吻合の代わりに、胃バイパス手技の際に形成された底部嚢241と腸管243との間に吻合が形成される。内視鏡は口から入り、食道を下って底部嚢の中へ前進せしめられる。内視鏡は複数のポートを備えうる。例えば、1つのポートはステントを担持するカテーテルデバイスを包含することが可能であり、第2のポートは把持デバイス及び切開部を作るための用具のうち少なくともいずれかを包含することが可能である。底部嚢に切開部を作った後、内視鏡240は底部嚢241の貫通部を通して前進せしめられる。底部嚢241は、胃の全体積より少ない体積を有する嚢241を形成することで胃の迂回部分245を作出するために、胃の壁を合わせてステープル処理することにより形成される。
図24Aは、腸管243へのカテーテル244の到達を容易にするために腸管243の標的位置に隣接して腸管243を保持する把持デバイス242を例証している。カテーテル243は、針(図示)によって形成された最初の到達の貫通の後に留置されたガイドワイヤをたどってもよいし、カテーテル244のエネルギーを付与されるチップが腸管243の最初の貫通に使用されてもよい。ステント34の先端部は
図24Aに示されるように腸管243の内部に留置され、その後、
図24Bに示されるように腸管243を底部嚢241の近くに引き寄せるためにカテーテルデバイス244の基端側牽引部及びステントの先端側フランジが引き寄せられる。カテーテル244のシースはステント34の基端部を留置するためにさらに後退せしめられる。ステント34の基端部の留置後、内視鏡240及びカテーテル244は底部嚢241から抜去され、拡張したステント34がその場に残されて
図24Cに示されるように底部嚢241と腸管243との間の経路が形成される。
【0137】
図25A~25Cは、いくつかの実施形態に従い超音波誘導を使用して底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証している。
図25A~25Cに例証された方法は
図21A~21Cに例証された方法に類似しているが、胃と腸管との間の吻合の代わりに底部嚢と腸管との間に吻合が形成される。
図21A~21Cに例証された方法の間の1つの違いは、底部嚢が初期にステープル処理で閉止されて腸管とは連通していないので、超音波マーカー(例えば、
図21A~21Cに記載された実施例では生理食塩水)が底部嚢を形成する前に配置されるということである。底部嚢251の形成後、ステント34を備えたカテーテルデバイス254を担持する超音波内視鏡250は、口及び食道を通って底部嚢251へと前進せしめられる。胃の迂回された部分は255として示されている。超音波誘導は、腸管253の中のマーカーを見つけ出し、
図25Aに示されるように底部嚢251の壁及び腸管253の壁の最初の貫通部を形成する針252を前進せしめるために使用される。ガイドワイヤが針を通して留置された後で針の抜去が行われうる。次いでカテーテル254はガイドワイヤをたどって腸管253に到達することができる。ステント34の先端側フランジは、
図25Bに示されるようにカテーテルデバイス254のシースを抜去することにより留置される。基端側牽引部は、
図25Cに示されるように腸管253を底部嚢251の近くに引き寄せるためにステント34の先端側フランジ上で引き寄せられうる。カテーテルのシースはステント34の基端部を留置するためにさらに後退せしめられる。ステント34の基端部の留置後、内視鏡250及びカテーテル254は底部嚢251から抜去されて拡張したステント34をその場に残し、
図25Dに示されるように底部嚢251と腸管253との間の経路が形成される。
【0138】
図26A~26Dは、いくつかの実施形態に従い内視鏡カテーテル260及び腹腔鏡用具265、266を使用して底部嚢261と腸管の一部分との間にステントを留置する方法を例証している。
図26A~26Dに例証された方法は
図22A~22Dに例証された方法に類似しているが、胃と腸管との間の吻合の代わりに底部嚢261と腸管263との間に吻合が形成される。カテーテル264は、底部嚢261の所望の位置へと前進せしめられた後で腹腔鏡用具の補助下で底部嚢261の壁を貫通する。胃の迂回された部分は267として示されている。腹腔鏡の把持具265、266は
図26Aに示されるように腸管263の標的位置に対してカテーテルデバイス264のチップを位置決めするために使用される。カテーテル264はカテーテルデバイス264のエネルギーを付与されるチップを使用して腸管263の壁を貫通するために前進せしめられるか、又は、貫通部が腹腔鏡用具255若しくは256を使用して作られた後で
図26Bに示されるように腸管263の内部にステント34の先端側フランジを留置するためにシースが抜去される。基端側牽引部は、
図26Cに示されるように腸管263を底部嚢261の近くに引き寄せるためにステント34の先端側フランジ及びカテーテル254の上で引き寄せられる。シースは、ステント34の基端側フランジを底部嚢261の内部に留置することにより
図26Dに示されるように底部嚢261と腸管263との間の経路を形成するために、さらに抜去することができる。ステント34の留置後、カテーテルは底部嚢261から抜去される。
【0139】
本明細書中に開示されたステントは従来の胃バイパス手技と共に使用することも可能である。例えば、ステントは、胃バイパス手技の際に形成される吻合、例えば胃から空腸への吻合及び十二指腸から回腸への吻合などのいずれにも配置可能である。ステントは、内視鏡下又は腹腔鏡下で送達可能である(例えばステントを担持するカテーテルデバイスを使用する腹膜腔を通した腸管への腹腔鏡下での到達)。ステントは、胃バイパス手技の際に形成された吻合の治癒を改善すると同時に漏出のリスクを低減することができる。ステントはさらに、健全な吻合の形成を促進する。更に、ステントは、胃から空腸及び十二指腸から回腸の間に形成された吻合を横断して迅速かつ容易に留置可能である。
【0140】
図23A~23Gは、いくつかの実施形態に従って胃バイパス手技の後に底部嚢と腸管のある区域、例えば空腸との間、及び腸管の2つの区域、例えば十二指腸と回腸との間に吻合ステントを留置する方法を例証している。底部嚢と空腸との間の吻合及び十二指腸と回腸との間の吻合の形成に関して説明されるが、吻合は底部嚢と腸管の任意の部分との間及び腸管の任意の2つの部分の間で形成可能である。従来の胃バイパス手技が最初に、胃嚢と腸管の一部分、例えば空腸との間、及び腸管の2つの区域、例えば十二指腸と回腸との間に、ステープル及び縫合糸を使用して吻合を作出するために実施される。胃バイパス手技の後には、
図23Aに示されるように、漏出という既知の可能性及びリスクを有している縫合糸又はステープルの線229が残る。本明細書中に記載された吻合ステントは、吻合における漏出の機会を低減するために、底部嚢と空腸との間の吻合及び十二指腸と回腸との間の吻合に留置することが可能である。ステープルの線229は、
図23B~23Gでは底部嚢と空腸との間及び十二指腸と回腸との間の接続部において、これらの部位におけるステントの留置の例証を容易にするために省略されている。ステントは、ステープル又は縫合糸の線を通して、又は横切って留置されるのではなく、ステープル又は縫合糸の線に隣接して留置される。
図23Bは、底部嚢231及び空腸233を通り十二指腸234と回腸235との間の吻合までの内視鏡230の前進を例証している。迂回された胃236は底部嚢231に隣接してステープル処理されている。ステント34は、十二指腸234と回腸235との間で
図23C~23DCに示されるようにカテーテル232から留置される。内視鏡230は、
図2EDに示されるように底部嚢231と空腸233との間の吻合まで後退せしめられる。第1のカテーテルは除去され、第2のカテーテルが適所に置かれる。ステント34は、
図23F~23Gに示されるように第2のカテーテルを使用して底部嚢231と空腸233との間に留置される。
【0141】
ステントは
図19B~19Dに示されるように2つのデバイスを使用して留置されることも可能である。2つの半部で示されたステント(
図19A)は各半部について別個のデバイスを使用して留置可能である。ステントの一方の端部は
図19B~19Cに示されるようにして留置可能である。両方の半部が留置された後、磁気リング又はその他の接続機構が使用されて
図19Dに示されるように2つの半部を接続して吻合を形成することが可能である。該デバイスの第1の部分は食道から留置可能であり、該デバイスの他の部分は腹腔鏡下又は直腸のような別の自然開口部を通じて挿入可能である。
【0142】
腸管の封止部分は例えば切除手技を実施している場合は明白である。そのような切除手技の際には、標準的な手術道具が使用されて二重のステープル線が形成された後に該ステープル線の間が切断される。これにより、切開場所において腸管の2つの端部が形成される。これは、例えば腸管の二か所において実施されて、外科医が2つの切込線の間のセグメントを除去することにより接合される必要のある腸管の2つの封止部分が残るようにすることが可能である。腸管の2つの封止部分(例えば結腸及び直腸)の間に吻合を形成する方法は、本明細書中に開示されている。
図27A~27F及び30A~30Fは、腸管の2つの封止部分の間に吻合を形成する方法を例証している。
【0143】
図27A~27Fは、腹膜腔を通じて腸管の一部分に到達するためのカテーテルを使用して腸管の2つの封止部分の間に吻合を形成する方法を例証している。結腸の2つの封止端282、283は、上述のような結腸の一部の切除手技の際に形成される。次いでカテーテル280が腹膜腔に進入し、
図27Aに示されるように標的貫通部281において腸管に進入する。把持具として図示されている腹腔鏡用具284は、カテーテル280の航行を容易にするために使用可能である。カテーテル280は
図28Bに示されるように前進せしめられて、結腸の第1の封止端282に隣接している貫通部285において結腸を貫通する。この貫通部はステープル処理又は縫合が施された端部を通って作られることはない。カテーテルは、貫通部285を作製するためにエネルギーを付与されるチップを使用することができる。次いでカテーテルは、
図28Cに示されるように結腸を位置決めするために使用された把持具284を用いて貫通部286において結腸の第2の部分を貫通するために前進せしめられる。ステント34の先端側フランジはカテーテル上のシースを抜去することにより留置される。ステント34は、
図28Dに示されるように結腸の壁に係合するように結腸に留置される。基端側牽引部は、結腸を貫通部285の近くに引き寄せるためにカテーテル280及びステント34の上で引き寄せられ、その後
図28Eに示されるように結腸の第1の区域の内部にステント34の基端部が留置される。底部嚢と腸管との間に(例えば、ステープルの線を通らずに)吻合を作出するために底部嚢の形成用の標準的な手術道具を利用するために、同じ手技に従うことが可能である。
【0144】
腹腔鏡用具は、腹膜腔に到達するため、及び胃腸管の任意の部分の間に吻合を形成するためにステントを留置するために使用することも可能である。
図28A~28G、29A~29G、及び30A~30Fは、GI管において体管腔間にステントを留置するために腹腔鏡ステント送達デバイスを使用する方法を例証している。
【0145】
図28A~28Gは、
図5A~5Cで例証された腹腔鏡デバイス50を使用して胃と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証している。腹腔鏡下の環境は腹膜腔内に作られ、腹腔鏡デバイス50は腹膜腔に進入する(
図28A)。標的の体管腔、この実施例では胃291及び腸管292が見つけ出される。貫通部293は内視鏡用具又は腹腔鏡用具を使用して胃291に作られる。デバイス50のステント保持具の配向は、ステント34の端部を胃291の貫通部293の内側に位置付けることを容易にするように調整される(
図28B)。次に、ステント34の端部は貫通部293を通って胃291に進入する(
図28C)。収縮性巻装管材料として例証された径方向の拘束具は、リップコード式の機構を使用して解除可能である。収縮性巻装物の除去により、ステント34は
図28Dに示されるように胃291の内部で拡張形態をとることができる。貫通部294は内視鏡用具又は腹腔鏡用具を使用して腸管292に作られる。次に、ステント34の他方の端部は
図28D~28Fに示されるように同様の方法論を用いて腸管292の内部に留置可能である。
図28D~28Eは、貫通部294を通したステント34の第2端の配置について例証している。径方向の拘束具は、ステント34の第2のフランジが腸管292の内側で展開することを可能にするために除去される(
図28F)。ステント34の先端部及び基端部が留置された後、デバイス50はステント34に対する制御を解放する。ステント34がデバイス50によって解放された後、デバイス50は、切断された径方向の拘束具及び径方向の拘束具を切断するために使用されたコード又はプルワイヤと共に腹膜腔から除去されうる。
【0146】
図29A~29Gは、
図5A~5Cに例証された腹腔鏡デバイス50を使用して底部嚢と腸管の一部分との間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証している。
図29A~29Gは
図28A~28Gに類似しているが、胃と腸管の代わりに底部嚢と腸管との間に吻合を形成する。腹腔鏡下の環境は腹膜腔内に作られ、腹腔鏡デバイス50は腹膜腔に進入する(
図29A)。標的の体管腔、この実施例では底部嚢301及び腸管302が見つけ出される。貫通部303は内視鏡用具又は腹腔鏡用具を使用して底部嚢301に作られる。デバイス50のステント保持具の配向は、ステント34の端部を底部嚢301の貫通部303の内側に位置付けることを容易にするように調整される(
図29B)。次に、ステント34の端部は貫通部303を通って胃301に進入する(
図29C)。収縮性巻装管材料として例証された径方向の拘束具は、リップコード式の機構を使用して解除可能である。収縮性巻装物の除去により、ステント34は
図29Dに示されるように底部嚢301の内部で拡張形態をとることができるようになる。貫通部304は内視鏡用具又は腹腔鏡用具を使用して腸管302に作られる。次に、ステント34の他方の端部は
図29D~29Fに示されるように同様の方法論を用いて腸管302の内部に留置可能である。
図29D~29Eは、貫通部304を通したステント34の第2端の配置について例証している。径方向の拘束具は、ステント34の第2のフランジが腸管302の内側で展開することを可能にするために除去される(
図29F)。ステント34の先端部及び基端部が留置された後、デバイス50はステント34に対する制御を解放する。ステント34がデバイス50によって解放された後、デバイス50は、切断された径方向の拘束具及び径方向の拘束具を切断するために使用されたコード又はプルワイヤと共に腹膜腔から除去されうる。
【0147】
図30A~30Fは、
図5A~5Cに例証された腹腔鏡デバイス50を使用して、上述のように形成可能な腸管の2つの封止区域の間にステントを留置するための腹腔鏡下の方法を例証している。腹腔鏡下の環境は腹膜腔内に作られ、腹腔鏡デバイス50は腹膜腔に進入する(
図30A)。標的の体管腔、この実施例では結腸の切断及び封止された端部310及び311が見つけ出される。内視鏡用具又は腹腔鏡用具を使用して、第1の貫通部312は結腸の第1の封止端310に隣接して作られ、第2の貫通部313は結腸の第2の封止端311に隣接して作られる。貫通部312、313は結腸の壁を通して作られ、ステープル処理されて封止された端部310、311を通しては作られない。デバイス50のステント保持具の配向は、ステント34の端部を結腸の貫通部312及び313の内側に位置付けることを容易にするように調整される(
図30B)。次に、ステント34の端部は貫通部312を通って結腸の第1の端部に進入する(
図30C)。収縮性巻装管材料として例証された径方向の拘束具は、リップコード式の機構を使用して解除可能である。収縮性巻装物の除去により、ステント34は
図30Dに示されるように結腸の第1の端部の内部で拡張形態をとることができる。次に、ステント34の他方の端部は
図30D~30Fに示されるように同様の方法論を用いて結腸の第2の端部の内側に留置可能である。
図30D~30Eは、貫通部313を通したステント34の第2の端部の配置について例証している。径方向の拘束具は、ステント34の第2のフランジが結腸の第2の端部の内側で展開することを可能にするために除去される(
図28E)。ステント34の先端部及び基端部が留置された後、デバイス50はステント34に対する制御を解放する。ステント34がデバイス50によって解放された後、デバイス50は、切断された径方向の拘束具及び径方向の拘束具を切断するために使用されたコード又はプルワイヤと共に腹膜腔から除去されて、ステント34のみが残り、結腸の第1の端部と結腸の第2の端部との間に経路が形成されうる(
図30F)。
【0148】
図28~30は腹腔鏡デバイス50を使用して例証されているが、本明細書中に開示された腹腔鏡下ステント送達デバイスのうち任意のものがこれらの方法において使用可能である。
【0149】
胃バイパス手術及び結腸切除手術に関して詳細に議論されたが、方法及びデバイスは任意の外科的吻合の形成について本明細書中で使用可能である。実施形態は膀胱の新たな部分に尿管を取り付けるために使用可能である。実施形態は直腸と別の体管腔との間に吻合を形成するために使用することもできる。実施形態は食道と別の体管腔との間に吻合を形成するために使用することもできる。実施形態は、ガイドワイヤの到達から多数の組織平面を通って標的の解剖学的構造物に到達する必要があるERCPの適用に応用することが可能である。実施形態は、例えば経十二指腸的、経胃的、胆管、膵偽嚢胞、経肝的、経胆嚢管的、経膵管的、経腸的、経胆管的、経食道的(transsesophageal)、経気管支、経胃的、空腸造瘻、経結腸的などの適用及び手技に有用である。
【0150】
いくつかの実施形態では、方法及びデバイスは腹膜への到達及びTIPS(経頸静脈性肝内門脈体循環短絡術)に使用することが可能である。いくつかの実施形態では、方法及びデバイスは、例えば、血管への到達、動脈から血管、心膜への到達、及び経弁的到達(via transvalve access)が不十分な静脈(venus)などのための適用及び手技において使用することが可能である。
【0151】
特徴又は要素が本明細書中において別の特徴又は要素の「上に」あるものとされている場合、該特徴又は要素は別の特徴又は要素の上に直接あってもよいし、介在する特徴及び要素のうち少なくともいずれかがさらに存在していてもよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「直接上に」あるものとされている場合、介在する特徴又は要素は存在しない。さらに、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「接続(connected)」、「付着」又は「結合(coupled)」しているとされている場合、該特徴又は要素は別の特徴又は要素に直接的に接続、付着、結合していてもよいし、介在する特徴又は要素が存在していてもよいことは理解されるであろう。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接的に接続」、「直接的に付着」又は「直接的に結合」しているとされている場合、介在する特徴又は要素は存在しない。1つの実施形態に関して説明又は表示されているが、そのように説明又は表示される特徴及び要素は他の実施形態にも当てはめることが可能である。さらに当業者には当然のことであるが、別の特徴に「隣接して」配置されている構造物又は特徴への言及は、その隣接した特徴と重複するか又はその隣接した特徴の土台となる部分を有しうる。
【0152】
本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態のみについて説明することを目的としており、本発明を限定するようには意図されていない。例えば、本明細書中で使用されるように、単数形である「1つの(a,an)」及び「その(the)」は、文脈がそうでないことを明白に示さないかぎり、同様に複数形を含むように意図されている。さらに、用語「含んでなる(comprises)」及び「含んでなる(comprising)」のうち少なくともいずれかは、本明細書において使用されたとき、明記された特徴、ステップ、操作、要素、及び構成要素のうち少なくともいずれかが存在することを指定するが、1以上の他の特徴、ステップ、操作、要素、構成要素、及びこれらの群のうち少なくともいずれかの存在又は追加を妨げるものではないことは理解されるであろう。本明細書中で使用されるように、用語「~及び~のうち少なくともいずれか(and/or)」は、関連する列挙された項目のうち1以上のあらゆる組み合わせを含み、「/」として略記されうる。
【0153】
空間的に相対的な用語、例えば「~の下に(under)」、「~の下方に(below)」、「より下の(lower)」、「~の上に(over)」「上部の(upper)」などは、図面で例証されるような一方の要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係性について説明するための記述を容易にするために本明細書中で使用されうる。空間的に相対的な用語は、図面に示された配向に加えて使用時又は操作時のデバイスの様々な配向を包含するように意図されていることが理解されよう。例えば、図中のデバイスが逆さである場合、他の要素又は特徴の「下に(under)」又は「真下に(beneath)」として記述された要素は他の要素又は特徴の「上に(over)」配向されていることになろう。よって、典型的な用語「下に(under)」は、上下両方の配向を包含しうる。デバイスは違ったかたちに配向されることも可能であり(90度回転される、又はその他の配向)、本明細書中で使用される空間的に相対的な記述語はそれに応じて解釈されうる)。同様に、用語「上方へ(upwardly)」、「下方へ(downwardly)」、「垂直の(vertical)」、「水平の(horizontal)」などは、そうでないことが明確に示されないかぎり、単に説明の目的で本明細書中において使用される。
【0154】
用語「第1の」及び「第2の」は、様々な特徴/要素について説明するために本明細書中で使用されうるが、これらの特徴/要素は、文脈からそうでないことが示されないかぎり上記の用語によって限定されるべきではない。上記の用語は1つの特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために使用されうる。よって、以下に議論される第1の特徴/要素が第2の特徴/要素と名付けられることも考えられるし、同様に、本発明の教示から逸脱することなく、以下に議論される第2の特徴/要素が第1の特徴/要素と名付けられることも考えられる。
【0155】
実施例において使用されるような場合を含め、本明細書及び特許請求の範囲においてここに使用されるように、かつそうでないことが特に明示されないかぎり、全ての数字はあたかも「約(about)」又は「ほぼ(approximately)」という語が(その用語が明らかに表示されなくも)前置されているかのように読まれうる。「約(about)」又は「ほぼ(approximately)」という言葉は、規模及び配置状態のうち少なくともいずれかについて述べる場合に、記載される値及び配置状態のうち少なくともいずれかが値及び配置状態のうち少なくともいずれかの合理的な期待範囲内にあることを示すために使用されうる。例えば、数値は、明記された値(又は値の範囲)の±0.1%、明記された値(又は値の範囲)の±1%、明記された値(又は値の範囲)の±2%、明記された値(又は値の範囲)の±5%、明記された値(又は値の範囲)の±10%などである値を有しうる。本明細書中に挙げられたいかなる数値範囲も、該範囲内に含められた全ての部分範囲を含むように意図されている。
【0156】
様々な実例となる実施形態が上述されているが、様々な実施形態に対し、いくつかの変更のうち任意のものが、特許請求の範囲により記述されるような本発明の範囲から逸脱することなくなされうる。例えば、様々な上記方法のステップが実施される順序は多くの場合は代替実施形態において変更可能であり、かつ他の代替実施形態において方法の1以上のステップがすべて省略される場合もある。様々なデバイス及びシステムの実施形態の任意選択の特徴は、ある実施形態には含められて他の実施形態には含められなくてよい。したがって、先の記載は主として例示の目的で提供されており、特許請求の範囲において明記されるように本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0157】
本明細書中に含まれる実施例及び例証は、限定ではなく例証を目的として、主題が実行されうる具体的な実施形態を示している。すでに述べたように、他の実施形態が利用され、かつそこから誘導されてもよく(derived there from)、本開示の範囲から逸脱することなく構造的かつ論理的な置換及び変化が施されうるようになっていてもよい。本発明の主題のそのような実施形態は、単に便宜上、かつ実際には2以上が開示される場合も本願の範囲を任意の単一の発明又は発明概念に自発的に限定することなく、用語「発明」によって個々に又は集合的に言及されうる。よって、特定の実施形態について本明細書中に例証及び説明がなされてきたが、同一の目的を達成すると予測される任意の配置構成が、示された特定の実施形態の代わりとなりうる。本開示は、様々な実施形態のあらゆる適合形態又は変更形態を対象とするように意図されている。上記実施形態の組み合わせ、及び本明細書中には具体的に記載されていない他の実施形態は、上記の説明を再検討すれば当業者には明白であろう。
【0158】
先の発明は、明快な理解を目的として例証及び実施例を用いて多少詳細に記載されてきたが、様々な代替形態、改変形態及び等価物が使用可能であること、並びに上記の説明は添付の特許請求の範囲によってある程度規定される本発明の範囲を限定するものとして受け取られるべきではないことは、明白であろう。
【0159】
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
ステントであって、
拘束された形態を有する製織フィラメント編組物で形成されたステント本体を含んでなり、前記ステント本体は、拡張されて基端側フランジをなした前記本体の基端、拡張されて先端側フランジをなした前記本体の先端、及び前記基端側フランジと前記先端側フランジとの間に延びる円筒形領域を備えた拡張形態を有し、少なくとも前記円筒形領域にはカバーが付されており、
カバー付きの円筒形領域は、同カバー付きの円筒形領域を貫通して流れることを可能にするように構成された、通行可能な内部通路を有し、
前記基端側フランジ及び前記先端側フランジは、同基端側フランジ及び同先端側フランジを貫通して流れることを可能にするように構成されており、
前記基端側フランジ及び前記先端側フランジは、同基端側フランジと同先端側フランジとの間の身体組織を傷つけることなく同身体組織の隣接する層を並置するように構成されており、前記基端側フランジは前記ステントの前記通行可能な内部通路に向かって巻いている巻き込み型の壁を備え、前記先端側フランジは前記ステントの前記通行可能な内部通路に向かって巻いている巻き込み型の壁を備えている、ステント。
【0160】
[付記2]
ステントであって、
拘束された形態を有する製織フィラメント編組物で形成されたステント本体を含んでなり、前記ステント本体は、拡張されて基端側フランジをなした前記本体の基端、拡張されて先端側フランジをなした前記本体の先端、及び前記基端側フランジと前記先端側フランジとの間に延びる円筒形領域を備えた拡張形態を有し、少なくとも前記円筒形領域にはカバーが付されており、
カバー付きの円筒形領域は、同カバー付きの円筒形領域を貫通して流れることを可能にするように構成された、通行可能な内部通路を有し、
前記基端側フランジ及び前記先端側フランジは、同基端側フランジ及び同先端側フランジを貫通して流れることを可能にするように構成されており、
前記基端側フランジ及び前記先端側フランジは、同基端側フランジと同先端側フランジとの間の身体組織を傷つけることなく同身体組織の隣接する層を並置するように構成されており、前記基端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域を覆うように屈曲するように構成されており、前記先端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域を覆うように屈曲するように構成されている、ステント。
【0161】
[付記3]
前記基端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域の前記通行可能な内部通路に向かって巻いている巻き込み型の壁を備え、前記先端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域の前記通行可能な内部通路に向かって巻いている巻き込み型の壁を備えている、付記2に記載のステント。
【0162】
[付記4]
前記基端側フランジは、傷つけることなく身体組織に係合するように構成された同基端側フランジの基端に隣接する湾曲面をさらに含んでなり、かつ前記先端側フランジは傷つけることなく身体組織に係合するように構成された同先端側フランジの先端に隣接する湾曲面をさらに含んでなる、付記1~3のいずれか一項に記載のステント。
【0163】
[付記5]
前記基端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域の直径より大きな内径を有し、前記先端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域の直径より大きな内径を有する、付記1または付記2に記載のステント。
【0164】
[付記6]
前記ステントは自己拡張型ステントである、付記1または付記2に記載のステント。
[付記7]
自己拡張型のステントであって、
非拡張形態及び拡張形態を有する可撓性の本体を含んでなり、拡張形態は、拡張されて基端側フランジをなした前記本体の基端部、拡張されて先端側フランジをなした前記本体の先端部、及び前記基端側フランジと前記先端側フランジとの間の円筒形領域を備え、少なくとも前記円筒形領域にはカバーが付されており、
カバー付きの円筒形領域は、同カバー付きの円筒形領域を貫通して流れることを可能にするように構成された、通行可能な内部通路を有し、
前記基端側フランジ及び前記先端側フランジはそれぞれ、同基端側フランジ及び同先端側フランジを貫通して流れることを可能にするように前記円筒形領域の前記内部通路から離れるように突出しており、
前記基端側フランジ及び前記先端側フランジは、同基端側フランジと同先端側フランジとの間の身体組織を傷つけることなく同身体組織の隣接する層を並置するように構成されており、前記基端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域を覆うように屈曲するように構成され、前記先端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域を覆うように屈曲するように構成されている、ステント。
【0165】
[付記8]
前記基端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域の前記通行可能な内部通路に向かって巻いている巻き込み型の壁を備え、前記先端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域の前記通行可能な内部通路に向かって巻いている巻き込み型の壁を備えている、付記7に記載のステント。
【0166】
[付記9]
前記基端側フランジは、傷つけることなく身体組織に係合するように構成された同基端側フランジの基端に隣接する湾曲面をさらに含んでなり、かつ前記先端側フランジは傷つけることなく身体組織に係合するように構成された同先端側フランジの先端に隣接する湾曲面をさらに含んでなる、付記7または付記8に記載のステント。
【0167】
[付記10]
前記基端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域の直径より大きな内径を有し、前記先端側フランジは前記カバー付きの円筒形領域の直径より大きな内径を有する、付記7に記載のステント。
【0168】
[付記11]
前記ステントは自己拡張型ステントである、付記7に記載のステント。
[付記12]
医療用具であって、
ハンドル、
ハンドルに係合したシャフト、
ステントであって、
拘束された形態を有する製織フィラメント編組物で形成されたステント本体を含んでなり、前記ステント本体は、拡張されて基端側フランジをなした前記本体の基端、拡張されて先端側フランジをなした前記本体の先端、及び前記基端側フランジと前記先端側フランジとの間に延びる円筒形領域を備えた拡張形態を有し、少なくとも前記円筒形領域にはカバーが付されており、
カバー付きの円筒形領域は、同カバー付きの円筒形領域を貫通して流れることを可能にするように構成された、通行可能な内部通路を有し、
前記基端側フランジ及び前記先端側フランジは、同基端側フランジ及び同先端側フランジを貫通して流れることを可能にするように構成されており、
前記基端側フランジ及び前記先端側フランジは、同基端側フランジと同先端側フランジとの間の身体組織を傷つけることなく同身体組織の隣接する層を並置するように構成されている、ステント、及び
前記ステントを拘束された状態に保持するように構成されたステント保持具、を含んでなり、
前記ステント保持具は、前記ステントを拘束する材料であって、拘束された状態に前記ステントを保持するように構成され、かつ前記ステントを解いて拡張するように構成された材料を備えている、医療用具。
【0169】
[付記13]
前記ステント保持具は前記ステントの前記先端側フランジ及び前記基端側フランジを選択的に解放するように構成されている、付記12に記載の医療用具。
【0170】
[付記14]
身体組織を貫通するように構成された先鋭化した先端部位をさらに含む、付記12に記載の医療用具。
【0171】
[付記15]
身体組織を貫通するように構成された伝導性の要素を前記シャフトの先端部にさらに含む、付記12に記載の医療用具。