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特許7300490光学的測定による容器の完全性を判定するためのシステムおよび方法
<図1>
  • 特許-光学的測定による容器の完全性を判定するためのシステムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】光学的測定による容器の完全性を判定するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/38 20060101AFI20230622BHJP
   G01M 3/20 20060101ALI20230622BHJP
   G01N 21/39 20060101ALI20230622BHJP
   G01N 21/49 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
G01M3/38 L
G01M3/20 L
G01N21/39
G01N21/49 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021177371
(22)【出願日】2021-10-29
(62)【分割の表示】P 2017550746の分割
【原出願日】2016-04-04
(65)【公開番号】P2022009730
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】1530046-0
(32)【優先日】2015-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】507324429
【氏名又は名称】ガスポロックス エイビー
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルンディン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ルワンダー シェイ,メルタ
(72)【発明者】
【氏名】スヴァートリング,ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】ディルナー,ヨアヒム
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510346(JP,A)
【文献】特表2012-526973(JP,A)
【文献】特開平10-185752(JP,A)
【文献】特表2007-508567(JP,A)
【文献】特表2014-511995(JP,A)
【文献】特開2010-025684(JP,A)
【文献】特開2006-153835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00-3/40
G01N 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器の完全性を判定する方法であって、前記方法は、
容器を周囲部に配置するステップと、
前記周囲部のガス圧、ガス組成、ガス濃度、またはガス圧、ガス濃度およびガス組成の任意の組み合わせを変化させるステップと、
前記容器を光学センサに非侵入的にさらすステップと
を含み、
前記光学センサが、少なくとも1つのガスに敏感であり、前記光学センサが、前記容器内の前記少なくとも1つのガスを検出し、前記光学センサは、波長可変ダイオード光源と光検出器を含む波長可変ダイオードレーザ吸収分光センサであり、前記波長可変ダイオード光源が、駆動電流を変化させることによって前記少なくとも1つのガスの吸収線にわたって繰り返し波長変調される光信号を、前記容器を介して伝送し、
前記光検出器により、前記容器を介して伝送される、前記容器内のガス圧、またはガス圧、ガス濃度、およびガス組成の組み合わせに関連する前記光信号を検出するステップと、
前記容器の完全性における欠陥を示すとともに前記周囲部の変化により変化する前記光信号を分析するステップと、を含み、
漏洩の程度の尺度は、前記光信号を連続的にまたは反復的に測定して、前記光信号の変化率を測定することによって決定され、
前記分析するステップにおいて、前記ガス濃度の変化は、Beer-Lambertsの法則により決定され、前記ガス圧の変化は、前記吸収線の幅により検出される方法。
【請求項2】
負圧または過小圧力が前記周囲部にかけられるか、もしくは、過剰圧力が前記周囲部にかけられるか、もしくは、ガスまたはガス混合物が前記周囲部に加えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
漏洩がないか、または既知の特性の漏洩があることが知られている基準容器がベースライン信号を提供するために使用され、前記ベースライン信号と比較した前記光信号の差異が、後続の前記容器内の漏洩を検出するために使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
同じ容器上の時間ごとの光信号の変化を用いて漏洩を検出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記容器内のガスの濃度が決定されるか、もしくは、前記容器内のガスの絶対圧力または相対圧力が決定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
密閉容器の完全性を判定する方法であって、前記方法は、
容器を周囲部に配置するステップと、
前記周囲部のガス圧、ガス組成、ガス濃度、またはガス圧、ガス濃度およびガス組成の任意の組み合わせを変化させるステップと、
前記容器を光学センサに非侵入にさらすステップと、
を含み、
前記光学センサは少なくとも1つのガスに敏感であり、前記光学センサは、前記容器内の少なくとも1つのガスを検出し、前記光学センサは、波長可変ダイオード光源と光検出器を含むTDLAS(波長可変ダイオードレーザ吸収分光法)センサであり、前記波長可変ダイオード光源が、駆動電流を変化させることにより前記少なくとも1つのガスの吸収線にわたって繰り返し波長調整される光信号を、前記容器を介して伝送し、
前記光検出器により、前記容器を通過した前記光信号を検出するステップと、
前記容器内のガス圧、またはガス圧、ガス濃度、およびガス組成の組み合わせに関連する信号を取得するステップと、
前記容器の完全性における欠陥を示すとともに前記周囲部の変化により変化する前記信号を分析するステップと、
を含み、
前記ガス圧の変化は、前記吸収線の幅により検出される方法。
【請求項7】
密閉容器の完全性を判定するシステムであって、前記システムは、
容器を配置するように構成され、ガス圧、ガス組成、ガス濃度、またはガス圧、ガス濃度およびガス組成の任意の組み合わせを変化させるように構成される周囲部と、
少なくとも1つのガスに敏感な非侵入型光学センサと
を備え、
前記非侵入型光学センサが前記容器内の前記少なくとも1つのガスを検出し、前記非侵入型光学センサは、波長可変ダイオード光源と光検出器を含む波長可変ダイオードレーザ吸収分光センサであり、
前記波長可変ダイオード光源が、駆動電流を変化させることによって前記少なくとも1つのガスの吸収線に渡って繰り返し波長変調しながら、前記容器を介して光信号を伝送し、
前記光検出器が、前記容器を介して伝送された前記光信号を検出し、
前記容器内のガス圧、ガス濃度、ガス組成、またはガス圧、ガス濃度、およびガス組成の任意の組み合わせに関連する前記光検出器からの信号を読み取り、前記容器の完全性における欠陥を示すとともに前記周囲部の変化により変化する前記信号を分析するための制御ユニットを備え、
前記制御ユニットは、漏洩の程度の尺度を、前記光信号を連続的にまたは反復的に測定して、前記光信号の変化率を測定することによって決定し、
前記制御ユニットにより、前記ガス濃度の変化は、Beer-Lambertsの法則により決定され、前記ガス圧の変化は、前記吸収線の幅により検出される、システム。
【請求項8】
負圧または過小圧力が前記周囲部にかけられるか、もしくは、過剰圧力が前記周囲部にかけられるか、もしくは、ガスまたはガス混合物が前記周囲部に加えられるように構成されるポンプをさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御ユニットは、漏洩がないか、または既知の特性の漏洩があることが知られている基準容器をベースライン信号を提供するために使用し、前記ベースライン信号と比較した光信号の差異を、後続の前記容器内の漏洩を検出するために使用するように構成される、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御ユニットは、同じ容器上の時間ごとの光信号の変化を用いて漏洩を検出するように構成される、請求項7~のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御ユニットは、前記非侵入型光学センサからの信号を用いて、前記容器内のガスの濃度を決定するように構成される、請求項7~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御ユニットは、前記非侵入型光学センサからの信号を用いて、前記容器内のガスの絶対圧力または相対圧力を決定するように構成される、請求項7~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
密閉容器の完全性を判定するシステムであって、前記システムは、
容器を配置するように構成され、ガス圧、ガス組成、ガス濃度、またはガス圧、ガス濃度およびガス組成の任意の組み合わせを変化させるように構成される周囲部と、
少なくとも1つのガスに敏感な非侵入型光学センサと
を備え、
前記非侵入型光学センサが前記容器内の前記少なくとも1つのガスを検出し、前記非侵入型光学センサは、波長可変ダイオード光源と光検出器を含む波長可変ダイオードレーザ吸収分光センサであり、前記波長可変ダイオード光源が、駆動電流を変化させることによって前記少なくとも1つのガスの吸収線に渡って繰り返し波長変調しながら、前記容器を介して光信号を伝送するように構成されており、前記光検出器が、前記容器を介して伝送された前記光信号を検出し、
前記容器内のガス圧、またはガス圧、ガス濃度、およびガス組成の任意の組み合わせに関連する前記非侵入型光学センサからの信号を読み取り、前記周囲部の変化による前記信号の変化が前記容器の完全性における欠陥を示すように前記信号を分析する制御ユニット、を備え、
前記ガス圧の変化は、前記吸収線の幅により検出されるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器を外部雰囲気の変化にさらして、前記容器内のガスを検出するために前記容器について光学的測定を実施することによって、密閉容器の完全性を判定することに関する。特に、本開示は、包装体などの容器の非破壊の漏洩試験に関する。
【背景技術】
【0002】
密閉容器の完全性の検証は、多くの工業環境において重要である。例としては、食品や医薬品などの製品の包装材料の品質管理が挙げられる。密閉容器の完全性は、密閉工程またはバリア材料における不備によって、または、製造工程または取り扱い中の損傷によって損なわれる可能性がある。完全性は、いくつかの理由、例えば包装体の内容物を容器の内部に保つために、容器内の任意の事前に充満したガス組成を所望のレベルに保つために、および、雰囲気ガスが容器に入るのを防ぐために重要である。これらの理由のうち最後の2つの点は、容器の内容物の劣化を防ぐために非常に重要であり得る。例えば、酸素または水蒸気(湿潤)のレベルは、多くの場合、製品の保存可能期間を決定する。容器内の漏洩を検出する他の動機は、ガス以外の物質、例えば水、液体、細菌、ウイルスおよび他の生物由来物質を含むがこれらに限定されない物質に対する容器の完全性を確認することである。ガス系の漏洩の検出を使用することにより、これらの他の物質に対する完全性に関連する漏洩の程度の尺度を得ることができる。
【0003】
容器の完全性を検証するためのいくつかの手段は、当技術分野で知られている。例えば、可撓性の容器に機械力を与えて、内部のガスの圧力の抵抗を確認してもよい。しかし、この方法は、一般には小さな漏洩の検出には適しておらず、また、容器を損傷する危険も伴う。いくつかの種類の容器を、異常を検出するために自動化された視覚システムによって検査することができるが、小さな漏洩を検出することはできず、この方法は特定の種類の容器に限定される。小さな漏洩は、染料またはヘリウムなどの微量ガスを用いた浸透試験によって検出することができるが、そのような試験はしばしば破壊的である。別の方法は、例えば(不完全な)真空室内に配置することによって、または、大気または他のガスを含む容器に過剰圧力をかけることによって、またはこれらの技術の組み合わせによって、外部雰囲気中の外部変動に容器をさらすことである。この方法では、容器の漏洩を検出するためのいくつかの追加の手段が必要であり、すなわち、漏洩がある場合に、外圧またはガス組成の変動の結果として変化することがある1つ以上のパラメータを制御するかまたは測定することによって、容器の漏洩を検出する。このような技術のいくつかは、当該技術分野で知られている。例えば、室内の過渡的な圧力変動が記録されてもよく、その挙動が試料中の漏洩を示している可能性がある。別の例として、容器が、かなりの濃度で通常の空気中に存在しないガス種を含む場合、漏洩を示すガス検出器を試験室(または出口)に配置して、そのガス種の存在を検出してもよい。
【0004】
品質管理を目的とした包装体内のガスの非侵入型光検出が、特許文献1(Svanbergら)に開示されている。漏洩を示す目的のために、包装体の上部空間内のガスを光検出する原理は、当該技術分野において知られている。この方法は、包装体内のガスが、漏洩による周囲雰囲気との相互作用のために想定されるガス組成から逸脱する可能性があることに基づいている。しかし、通常の雰囲気中では、小さな漏洩について、包装体内のガス組成の検出可能な偏差が生じるまでに非常に長い時間がかかる可能性があり、多くの状況においてこの方法は非実用的である。
【0005】
当該技術分野の先述した方法は、いずれも漏洩を検出するのに適していない状況である。例としては、容器内のガス容積が非常に小さい場合、または、容器内のガスが通常の空気である特定の場合が挙げられるが、これに限定されない。したがって、このような容器における漏洩を検出するための新たに改良された装置および方法が有利であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願第10720151.9号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本開示の実施形態は、好ましくは上述したような本技術における1つ以上の欠陥、欠点または問題を軽減するか、緩和するか、または排除しようとするものであり、添付の特許請求の範囲に記載の装置、システムまたは方法を提供することによる、単独または任意の組み合わせで、前記容器を外部雰囲気の変化にさらして、前記容器について光学的測定を実施することによって密閉容器の完全性を非破壊的に判定する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この開示は一般に、2つの部分の組み合わせを含み、第1の部分は、例えば(不完全な)負圧または過小圧力をかけることによって、または大気または他のガスを含む容器に過剰圧力をかけることによって、外圧またはガス組成の変動に容器をさらすこと、またはこれらのステップの組み合わせで構成される。この第1の部分の目的は、容器内の任意の漏洩の結果として、容器内の単一または複数のガスの濃度、組成または圧力に変化を与えることである。第2の部分は、漏洩が生じていない場合の信号とは対照的に、漏洩の結果として生じる光信号の任意の変化を検出するために、容器内の単一または複数のガスの光学的分光測定を行うことで構成される。このような信号の差は、これらに限定されないが、漏洩の結果としての容器内の少なくとも1つのガスの濃度の減少または増加、または容器内のガス圧の変動、あるいは漏洩による容器内への新たなガス種の導入によるものである。
【0009】
第1の態様では、密閉容器の完全性を判定する方法が開示される。この方法は、前記容器を周囲部に配置し、次いで、周囲部のガス圧、ガス組成、ガス濃度、またはガス圧、ガス濃度およびガス組成の任意の組み合わせを変化させることを含む。
容器を光学センサに非侵入的にさらし、センサは、少なくとも1つのガスに敏感であり、容器内の少なくとも1つのガスを検出するように構成される。容器内のガス圧、ガス濃度、ガス組成、またはガス圧、ガス濃度、およびガス組成の任意の組み合わせに関連する光学センサからの信号を読み取る。信号の挙動は、容器の完全性における欠陥を示している。
【0010】
本開示の一例では、この方法は、周囲部へ負圧または過小圧力をかけることを含む。
負圧または過小圧力をかけることに伴う利点は、容器の内部から外部へのガスの拡散を増加させることである。検出された容器内のガスの減少は、漏洩が生じている可能性があることを意味している。
【0011】
本開示の一例では、この方法は、周囲部へ過剰圧力をかけることを含む。
過剰圧力をかけることに伴う利点は、ガスを容器内に送り込むことによって拡散を増加させることである。ガスは、容器内に事前に存在しないガスであってもよい。新たなガスが容器内で検出された場合、漏洩が生じている可能性がある。代替的および/または追加的に、容器内に既に存在しているガスを加えてもよい。容器内でガス濃度の上昇が検出された場合、漏洩が生じている可能性がある。
【0012】
また、いくつかの容器は、容器に対する変形を最小限に抑えながら過小圧力を上回る過剰圧力に耐え、その逆も同様である。測定を行う際は容器に対する変形を回避することが好ましい。
【0013】
本開示の一例では、この方法は、周囲部にガスまたはガス混合物を加えることを含む。
少なくとも2つのガスの混合物を加える利点は、例えば、漏洩を検出する際の改善された感度が達成され得ることである。また、異なる拡散率を有する少なくとも2つのガスを測定することによって、漏洩の程度を推定することができる。
容器内のガスとは異なる単一のガスを加えて、容器内の両方のガスの濃度を測定することによって同様の技術を利用してもよい。両方のガスを測定することにより、漏洩の検出感度を高めることができる。また、ガスが異なる速度で容器の内外に拡散する場合、漏洩の程度を推定することができる。
【0014】
容器の外側にガスを加える別の利点は、容器を変形させる可能性のある加えられた過小圧力または過剰圧力に起因する応力または歪みが、最小限に抑えられて容器に加えられることである。本開示の一例では、この方法は、過剰圧力、過小圧力、少なくとも1つのガス、またはガスの混合物を周囲部に順に加えるステップの任意の組み合わせを適用することを含む。
【0015】
ステップの組み合わせを使用することにより、測定信号の差の増加が得られうる。例えば、最初に周囲部に過小圧力をもたらすことによって容器内に過小圧力を得ることができ、これは、加えられたガスまたはガスの混合物の拡散を増加させる可能性がある。より大きな拡散は、最初に過小圧力をかけて、次いで、過剰圧力と共にガスまたはガスの混合物を加えることによって得られうる。
【0016】
ステップの組み合わせを利用することにより、例えば、過剰圧力または過小圧力の伝播の検出、および、ガスまたはガスの混合物の拡散を介して、漏洩を容易に特徴付けることができる。
代替的および/または追加的に、第1のガスまたはガスの混合物が周囲部に加えられ、信号の変化が検出され、その後に第2のガスまたはガスの混合物が周囲部に加えられ、信号の変化が再び検出される。異なる分子間の大きさまたは双極子モーメントなどの特性の差は、分子が孔および通路を通って拡散する態様に影響を及ぼす可能性がある。これは、漏洩を検出し、かつ、その漏洩を特徴付けるために利用してもよい。
【0017】
この方法の一例では、光学センサは、ガス検出の任意の分光学的手段または光学的手段に基づいている。
この方法の一例では、光学センサは、波長可変ダイオードレーザ吸収分光法(TDLAS)に基づいている。
この方法の一例では、光学センサは、散乱媒体吸収分光法におけるガス(GASMAS)技術に基づいている。
【0018】
この方法の一例では、漏洩がないか、または既知の特性の漏洩があることが知られている基準容器がベースライン信号を提供するために使用され、ベースライン信号と比較した光信号の差異が、後続の容器内の漏洩を検出するために使用される。
異なる種類の容器が別様に過小圧力および過剰圧力に耐えることができるので、漏出を検出するための基準容器を使用することが有利な場合がある。基準容器を使用することによって、絶対値を得るための較正は必要ではなく、代わりに、試験では、基準容器からの検出信号と比較した容器からの検出信号の比較を行う。測定信号の差は、漏洩が生じていることを示している可能性がある。
【0019】
この種類の試験は、検出および/または監視のロバスト性を高めることができる。例えば、これは、インライン測定を行う際に有利な場合がある。
この方法の一例では、同じ容器上の時間ごとの光信号の変化を用いて漏洩を検出する。
この過程を経時的に研究することによって、漏洩の変化を検出することができる。小さな漏洩を検出するために使用してもよい。
この方法の一例では、容器内のガスの濃度が決定される。
この方法の一例では、容器内の少なくとも1つのガスの絶対圧力または相対圧力が決定される。
【0020】
容器内の少なくとも1つのガスの圧力の検出では、いくつかのガスについて濃度の差を測定するよりも大きい信号が得られることがある。したがって、いくつかのガスの圧力の検出は、検出および/または監視の感度およびロバスト性を向上させることができる。
この方法の一例では、漏洩の程度の尺度は、光信号を連続的にまたは反復的に測定して、信号の変化率を測定することによって決定される。
【0021】
本開示のさらなる態様では、密閉容器の完全性を判定するシステムであって、システムは、容器を配置するように構成された周囲部を含む。周囲部は、ガス圧、ガス組成、ガス濃度、またはガス圧、ガス濃度、およびガス組成の任意の組み合わせを変化させるように構成される。このシステムは、少なくとも1つのガスに敏感な非侵入型光学センサを含み、このセンサは、容器内の少なくとも1つのガスを検出するように構成される。このシステムは、容器内のガス圧、ガス濃度、ガス組成、またはガス圧、ガス濃度、およびガス組成の任意の組み合わせに関連する光学センサからの信号を読み取るための制御ユニットをさらに含む。信号の挙動は、容器の完全性における欠陥を示している。
【0022】
このシステムの一例では、負圧または過小圧力が周囲部にかけられる。
このシステムの一例では、過剰圧力が周囲部にかけられる。
このシステムの一例では、ガスまたはガスの混合物が周囲部に加えられる。
このシステムの一例では、過剰圧力、過小圧力、少なくとも1つのガス、またはガスの混合物を周囲部に順に加えるステップの任意の組み合わせが順に適用される。
【0023】
このシステムの一例では、光学センサは、ガス検出の任意の分光学的手段または光学的手段に基づいている。
このシステムの一例では、光学センサは、波長可変ダイオードレーザ吸収分光法(TDLAS)に基づいている。
このシステムの一例では、光学センサは、散乱媒体吸収分光法におけるガス(GASMAS)技術に基づいている。
このシステムの一例では、漏洩がないか、または既知の特性の漏洩があることが知られている基準容器がベースライン信号を提供するために使用され、ベースライン信号と比較した光信号の差異が、後続の容器内の漏洩を検出するために使用される。
このシステムの一例では、同じ容器上の時間ごとの光信号の変化を用いて漏洩を検出する。
【0024】
このシステムの一例では、容器内のガスの濃度が決定される。
このシステムの一例では、容器内のガスの絶対圧力または相対圧力が決定される。
このシステムの一例では、漏洩の程度の尺度は、光信号を連続的にまたは反復的に測定して、信号の変化率を測定することによって決定される。
【0025】
なお、前述の説明における「第1の部分」および「第2の部分」という用語の使用は、これらの2つのステップを順に実行しなければならないことを意味していると解釈すべきではない。場合によっては、第2の部分に記載の動作を、第1の部分に記載の動作の前、同時、または後に、またはこれらの組み合わせで実行してもよい。
本明細書中で使用される場合、「含む/含んでいる」という用語は、記載の特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を特定するために使用されるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、構成要素またはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示の実施例のこれらおよび他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照して本開示の実施例の以下の説明から明白となり、かつ解明される。
図1】密閉容器の完全性を判定するためのシステムおよび方法の一例を示す図である。
図2】分光測定を受けるプラスチック製薬剤瓶の一例を示す図である。
図3】外部不完全真空にさらされたときの薬剤瓶内の酸素ガスからの分光信号の一例を示す図である。
図4】GASMAS技術のためのガス検知装置の概略図である。
図5A】GASMAS技術のためのガス検知装置の異なる概略図である。
図5B】GASMAS技術のためのガス検知装置の異なる概略図である。
図5C】GASMAS技術のためのガス検知装置の異なる概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の具体的な例を添付の図面を参照して説明する。
しかし、本開示は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載の例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの例は、本開示が徹底して完全となるように、かつ、当業者に本開示の範囲を全て伝えることができるように提供される。
【0028】
以下の開示は、容器を外部雰囲気の変化にさらして、容器について光学的測定を実施することによって容器の完全性を判定するために適用可能な本開示の例に焦点を置いている。例えば、これは包装体内の漏洩を検出するのに有利である。しかし、当業者であれば、この説明はこの用途に限定されず、容器の完全性を判定する必要がある多くの他のシステムに適用されてもよいことを理解するであろう。
【0029】
この開示は一般に、2つの部分の組み合わせを含み、第1の部分は、例えば(不完全な)負圧または過小圧力をかけることによって、または大気または他のガスを含む容器に過剰圧力をかけることによって、外圧またはガス組成の変動に容器をさらすこと、またはこれらのステップの組み合わせで構成される。ガス濃度またはガス組成の変化が容器の周囲部に適用され、かつ、容器の外側の印加圧力が容器内部の圧力とほぼ同じである場合、容器内のガス中に存在する特定の分子の分圧変化としてさらに達成することができる。
【0030】
容器の周囲部のガス圧、ガス組成、ガス濃度、またはガス圧、ガス濃度、およびガス組成の任意の組み合わせを変化させる目的は、容器内の任意の漏洩の結果として、容器内の単一または複数のガスの濃度、組成または圧力に変化を与えることである。
【0031】
ガス圧、ガス組成またはガス濃度の変化の組み合わせを行う場合は、例えば、ガス濃度またはガス組成の変化と共に過剰圧力または過小圧力をかけることによって同時に行ってもよい。二者択一的におよび/または代替的に、いくつかの例では、ガス圧、ガス組成またはガス濃度の変化の組み合わせを順に行ってもよく、例えば、第1のステップにおいて1つのガス濃度またはガス組成を用いて過小圧力をかけ、続く第2のステップにおいて同じガス組成またはガス濃度とともに過剰圧力をかけるか、または逆に、過剰圧力をかけた後に続いて過小圧力をかけてもよい。いくつかの例では、第1のステップおよび第2のステップにおいて、異なるガス濃度またはガス組成が使用される。別の例では、第1のステップおよび第2のステップにおいて圧力は同一であり、ガス濃度またはガス組成のみが変化する。
【0032】
例えばガス濃度または組成を変化させることで特定の分子に対してガス圧の部分的変化を与え、かつ別の分子に対して異なる分圧をかけることによって、ガス組成中の異なる分子に対して異なる圧力を同時にかけることも可能であり、第1の分子を部分的過小圧力にさらす一方で第2の分子を部分的過剰圧力にさらしてもよい。第2の部分は、漏洩が生じていない場合の信号とは対照的に、漏洩の結果として生じる光信号の任意の変化を検出するために、容器内の単一または複数のガスの光学的分光測定を行うことで構成される。このような信号の差は、これらに限定されないが、漏洩の結果としての容器内の少なくとも1つのガスの濃度の減少または増加、または容器内のガス圧の変動、あるいは漏洩による容器内への新たなガス種の導入によるものである。
【0033】
図1に示す例では、一定量のガスを有する容器11は、システム100において完全性試験を受け、周囲部12に配置される。周囲部は、例えば、包囲体、部分的な包囲体または開放された周囲部であってもよい。ポンプ13は、容器の周囲部におけるガス圧、ガス組成、ガス濃度、またはこれらの組み合わせを少なくとも部分的に変化させるように使用されてもよい。容器内に漏洩が生じている場合、容器内のガスが周囲部に漏洩することがあり、および/または、周囲部のガスが容器内に漏洩する可能性がある。したがって、容器内の圧力と同様に、容器内のガスの絶対濃度が変化する可能性がある。光学センサ14が容器の外側に設けられ、センサは光源15および光検出器16からなる。好ましくは、センサは、容器内に存在する少なくとも1つのガスの分光信号を検出するように設計されるかまたは調整される。
【0034】
いくつかの例では、光学センサは、波長可変ダイオードレーザ吸収分光法(TDLAS)に基づくセンサからなる。
【0035】
いくつかの例では、光学センサは、散乱媒体吸収分光法におけるガス(GASMAS)技術のためのセンサからなる。GASMAS技術は、典型的には、ガスが容器の上部空間などの細孔または空洞に捕捉されている母材のものよりも10000倍は明確なガスの分光的特徴を調べるために使用することができる。GASMASは、大気ガス監視のために開発された狭帯域ダイオードレーザ分光法と、生体医用光学からよく知られている散乱媒体の光伝播とを組み合わせたものである。狭帯域光源から容器に入射した光子を、透過型または後方散乱型の配置で検出してもよい。この技術は、遠隔検知用途(ライダGASMASまたは多重散乱ライダ)にも拡張されている。GASMASセンサシステムおよび検出原理の一例は、欧州特許出願第10720151.9号明細書(Svanbergら)に記載されており、本明細書に参照により組み込まれている。
【0036】
欧州特許出願第10720151.9号明細書に記載のガス検知装置200は、図4に示されており、容器103内の酸素および水蒸気を監視するための2つのダイオードレーザドライバ101および102からなる。使用される波長に応じて、他のガスまたは3つ以上のガスの監視が可能である。ダイオードレーザ(DL)からの光は集約されて2つのファイバに分離され、基準104とプローブ105の検出器とをそれぞれ用いて、一方のファイバはバックグラウンド(Ref.)を監視するために使用され、他方のファイバはサンプル(Probe)に送られる。2つのダイオードレーザは、容器が半透明である波長で動作し、GASMAS技術を適切なものにすることができる。レーザ光は、光ファイバ106および手持ち式ファイバヘッド108を介してサンプル103に導かれる。サンプルから現れる散乱光は検出器によって取得され、生成された信号はコンピュータ107によってサンプリングされる。この例では、波長変調技術を使用して、波長を正弦波的に変調し、かつ生成された高調波を調べることによって、装置の感度を高める。いくつかの例では、水蒸気および酸素の同時検出は、異なる周波数での変調によって可能になる。この例では、図4のモニタ109に示される第1の倍音(If)を吸収評価に使用した。
【0037】
装置200は、容器に接触することなく容器を評価し、代わりに、包装体内のガスを遠隔から検出することができる。これは、検出速度を向上させることができ、また、容器のインライン監視のために有利な場合がある。
【0038】
欧州特許出願第10720151.9号明細書に記載の方法は、狭帯域レーザ源からの光を容器の外側から容器に向かって放射することを含む。容器内で散乱した光の吸収信号を測定するステップであって、この吸収は、光が散乱されて容器内を移動するときに、容器内の少なくとも1つのガスによって起こる。測定は容器の外側で行われ、評価は容器に関して非侵入的に行われる。
【0039】
サンプル中の光の散乱のために、GASMAS法で得られた吸収信号の評価の複雑さは、光が経験した未知のガス相互作用経路長である。
【0040】
Beer-Lambertsの法則によって決定されるように、経路長は濃度定量化のための従来のガス吸収分光法において重要である。評価および相互作用経路長の実施方法に関するさらなる詳細は、欧州特許出願第10720151.9号明細書に開示され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
他の種類のGASMASシステムおよび方法は、論文「Optical Analysis of Trapped Gas -Gas in Scattering Media Absorption Spectroscopy」、Svanberg,S、Laser Physics、2010年、第20巻、第1号、pp.68-77、ISSN 1054-660Xに記載されているが、記載されたこれらのシステムおよび方法は参照により組み込まれる。この論文に記載されているGASMASシステムおよび方法は、図5Aから図5Cに示されている。
【0042】
散乱媒体中のガスの研究は、通常、時間積分されたガス信号を生じさせるCWレーザ源で行われる。しかし、サンプルを通る光子の流れを監視するために、時間分解測定システムが有用な場合がある。図5Aから図5Cには、GASMAS研究で使用された実験的配置が示されている。
【0043】
図5Aは、駆動電流を上昇させることによってガス吸収線にわたって繰り返し波長変調される、単一モードで数mWの出力のダイオードレーザに基づく波長変調分光法のためのシステムを示している。大面積の光電子増倍管によって光子が集約される後方散乱配置が示されている。吸収線の二次導関数は、レーザの波長変調によって得られ、位相感応性ロックイン検出を使用するように示される。あるいは、いくつかの例では、システムは透過測定のために構成されてもよい。
【0044】
図5Bは、2つのガス、例えば酸素および水蒸気が透過モードで同時に監視される実施例を示している。使用される波長に応じて、他のガスまたは3つ以上のガスの監視が可能である。あるいは、いくつかの例では、システムは、後方散乱測定のために構成されてもよい。共通の検出器が使用され、2つの信号は、異なる変調周波数で標識された2つの分光信号の位相敏感検波によって分離される。部分的な共通ファイバの光学経路を使用してもよい。例えば、上述のような装置に記録されたGASMAS信号は、細孔または上部空間内のガス濃度、ガス、および複合多重散乱過程においてガスを通る有効経路長に依存する。したがって、記録されたガスのインプリントの強度は、一般に等価経路長、Leqとして表される。散乱媒体を通る平均経路長は、図5Cに示す配置のような設定を用いた時間分解測定から導出してもよい。遅延一致単一光子計数技術を使用して、光子の到達時間のヒストグラムを得る。
【0045】
いくつかの例では、光学センサは、LED光源および光検出器からなる。
いくつかの例では、光学センサは、光音響検出用のセンサからなる。
いくつかの例では、光学センサは、容器内のガスのラマン分光用のセンサからなる。
いくつかの例では、光学センサは、広波長光源および分光計からなる。
いくつかの例では、光学センサは、容器内のガスのレーザ誘起分解分光用のセンサからなる。
【0046】
いくつかの例では、光学センサは透過モードで動作しており、すなわち、光送信器は容器の片側に位置し、光検出器は容器の反対側に位置し、光ビームは、光送信器から容器を介して光検出器へ送信される。
いくつかの例では、光学センサは反射モードで動作しており、すなわち、光送信器は容器の光検出器と同じ側に位置し、光検出器は容器からの後方散乱光を記録する。
いくつかの例では、光送信器および光検出器は、容器上で互いに関連して任意の位置に位置決めされ、光検出器は、容器からの散乱光を記録する。
【0047】
いくつかの例では、光は、光ファイバによって容器におよび/または容器から導かれる。いくつかの実施例では、光は、レンズ、ミラー、ウィンドウ、または光を導いて方向付ける他の手段を含む光学部品を介して、容器におよび/または容器から導かれる。
容器は、少なくとも部分的に、単一または複数のガスの検出に適した波長の光を少なくとも部分的に透過する材料で製造される必要がある。容器内に漏洩が生じている場合は、漏洩のない容器と比較した、漏洩している容器のセンサからの信号の差によって示されるか、または、容器が不完全な真空にされた前後の信号の差によって単純に示される。
あるいは、センサからの信号を使用して、容器内のガスの絶対濃度または圧力を決定することができ、その情報は、漏洩が生じているか否かを決定するために使用される。
【0048】
検知しようとする漏洩の程度に応じて、センサ測定を行う前に周囲部のガス濃度、ガス組成またはガス圧が変化してからしばらく待機して、容器または周囲部に存在する少なくとも1つのガスが十分な量で容器に漏出するか、および/または、容器から漏出することを可能にすることが好ましい。信号の変化率は漏洩の程度の尺度であるので、場合によっては、光学センサが信号の変化率を連続的に測定して分析することを可能にすることが有利な場合がある。
【0049】
特定の例では、前節で概説した方法を薬剤用プラスチック瓶に適用した実験を行った。白色のプラスチック製の試験瓶を、特定の特徴を含む漏洩を生じるように準備し、直径30μmの毛細管をキャップに通して挿入した。760nmの波長可変ダイオードレーザ吸収分光センサを用いて瓶を測定して、瓶内の酸素ガスを非侵入的に検出した。光学的測定は、瓶内の酸素ガスのベースライン信号を提供した。図2は測定状況を示しており、21は薬剤瓶を示し、22はレーザ送信機を示し、23は光検出器を示している。
【0050】
次いで、瓶を10秒間不完全真空にさらし、その後に光学的測定を再開した。この効果は図3に示されており、時間(秒)の関数としての分光酸素信号(%メートル)を示している。点31では、真空が10秒間生じた。10秒間の真空の後、分光酸素信号が0.4%増加した周囲部の真空により瓶内の酸素圧が低下したという事実にもかかわらず、信号が増加する理由は、圧力の低下が分光線の狭窄を引き起こし、その結果、ラインのピーク値が増加することである。
【0051】
この瓶を、図3の点32で再び30秒間真空にした。この時点で、分光信号が1.2%増加した。この実験は、瓶内の酸素ガスからの信号を検出するための分光技術と組み合わせて薬剤瓶を真空にする方法を使用して、瓶内の漏洩の有無を判定することができることを示している。
【0052】
別の例では、ガスまたはガスの混合物を含む容器が包囲体内に配置され、光源および光検出器からなる光学センサを用いて容器内のガス濃度の測定が行われる。この測定は、容器内のガス濃度のベースライン記録を提供する。次に、包囲体は、少なくとも部分的に真空にされる。包囲体は、窒素などの空気と異なるガス組成で満たされる。次に、光学センサを用いてガス濃度を再び測定する。ベースラインと比較して低い測定値は漏洩を示している。圧力は本質的に同一であるので、漏洩の有無にかかわらず、容器内のガスの分光線幅は本質的に同一であることが、真空中またはほぼ真空中での光学的測定の実施と比較したこの例の利点である。したがって、圧力の差のために、分光線幅補正は必要ではない。
【0053】
別の例では、ガス、またはガスの混合物を含む容器が包囲体内に配置される。次に、包囲体は、少なくとも部分的に真空にされる。次いで、包囲体は、最初は容器内に存在しないか、または既知の濃度で存在する異なる単一のガス(または複数のガス)で満たされる。次に、容器内の異なるガスの濃度の測定が、光源および光検出器からなる光学センサを用いて行われる。容器内の異なるガスの存在または濃度の増加は、漏洩の兆候である。いくつかの例では、異なるガスは二酸化炭素で構成されてもよい。
【0054】
別の例では、容器は、搬送ベルト上で、トンネルまたは壁で囲まれた空間などの部分的な包囲体である周囲部を通って運ばれる。この部分的な包囲体の内部では、ポンプを使用して、ガス圧、ガス組成、ガス濃度またはそれらの任意の組み合わせに対する変化を適用することができる。次いで、容器が部分的な包囲体を通過した後、または部分的な包囲体を通過すると同時に、光学センサを通過させることによって、移動する容器について測定を行ってもよい。部分的な包囲体において、容器は、異なるガス圧、ガス濃度、またはガス組成を有する異なる区域を通過してもよい。
【0055】
あるいは、容器は開放された周囲部を通過してもよく、この開放された周囲部では、例えば容器にガスを噴霧することによって容器が通過するためのガス雲を与えるようにポンプが使用される。上述したように、容器をガス濃度、ガス組成、ガス圧またはそれらの任意の組み合わせの変化にさらしてもよい。
【0056】
なお、上述の例では、ガス濃度を絶対値で測定する必要はない。いくつかの例では、ガス濃度に関連する信号を測定すればよい。いくつかの例では、分光信号はガス圧に関連している。
【0057】
いくつかの例では、少なくとも1つの基準容器が使用され、基準容器には漏洩がなく、または既知の特徴を含む漏洩を生じる。基準容器についての測定は、後続の容器の測定信号との比較に使用されるベースライン信号を提供する。
【0058】
以上、特定の例を参照して本発明を説明した。しかし、上記以外の他の例も、本開示の範囲内で同様に可能である。ハードウェアまたはソフトウェアによって方法を実行する上述の方法ステップとは異なる方法ステップが、本発明の範囲内で提供されてもよい。本発明の異なる特徴およびステップは、記載のもの以外の組み合わせで組み合わせてもよい。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0059】
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」および「an」は、明確に反対の表示がない限り、「少なくとも1つ」を意味するものである。本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」という語句は、そのように結合された要素、すなわち、ある場合には結合的に存在し、別の場合には選言的に存在する要素の「一方または両方」を意味するものである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C