(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】基材の接着方法
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20230622BHJP
C09J 5/06 20060101ALI20230622BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J5/06
C09J11/06
(21)【出願番号】P 2021517989
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2019077595
(87)【国際公開番号】W WO2020074702
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-03-08
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ コルブ
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエレ ブレンナー
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト シュレイマー
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106967379(CN,A)
【文献】特表2010-510364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00ー201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を接着する方法であり、前記接着は、50℃~200℃未満の温度での熱処理によって分離可能な接着剤接着であり、前記接着剤を作製するために式(I)のポリマーを含む組成物を使用する方法。
Q-(O-C(O)-CR’R’’-C(O)-R
1)
x (I)
(式中、Qは、
テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、およびダイマー脂肪酸からなる群から選択される1つまたは複数のポリ酸と、エチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、メチルプロパン-1,3-ジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールからなる群から選択される1つまたは複数のポリオールと、をベースとするポリエステルおよび/またはポリオレフィンラジカルから選択されるポリマーラジカルであり、前記ポリマーラジカルは、(メタ)アクリル酸単位を有する分子をモノマーとして使用することによって生じる構成要素を含まず、
xは、
1以上であり、
R
1は、R
2またはO-R
3であり、
R
2は、1~10個の炭素原子を
有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカルであり、
R
3は、1~10個の炭素原子を
有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、または、
テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、およびダイマー脂肪酸からなる群から選択され、かつ、エチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、メチルプロパン-1,3-ジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、二酸および/またはポリ酸と、ジオールおよび/またはポリオールと、をベースとするポリエステルから選択される、(メタ)アクリル酸単位を有する分子をモノマーとして使用することによって生じる構成要素を含まないポリマーラジカル
、またはポリオレフィンラジカルであり、
R’は、-H、1~10個の炭素原子
を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、または、式(II)のラジカルであり、
R’’は、-Hまたは式(II)のラジカルであり、
ただし、ラジカルR’およびR’’のいずれも式(II)のラジカルでない場合、ラジカルR’またはR’’の少なくとも1つは-Hである。)
-C(O)-NH-Q’ (II)
(式中、Q’は、1つまたは複数のケイ素原子を有していてもよい有機ラジカル、好ましくは1つまたは複数の-C(O)-NH構成要素を有する有機ラジカル、-N=C=Oラジカル、または式(V)のラジカル
である。)
【化1】
(式中、R
6は、窒素、硫黄および/または酸素を有していてもよい炭化水素ラジカルであり、
R
6’およびR
6’’は、
1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なる飽和炭化水素ラジカル、直鎖状炭化水素ラジカル
であり、
x’は、0~3であり、
y’は、0~3であり、
ただしx’+y’=3であり、波線は窒素への共有結合であ
る。)
【請求項2】
前記式(I)のポリマー中のラジカルR’およびR’’のいずれも、前記式(II)に対応せず、前記組成物が式(III)の化合物を含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
O=C=N-Q’ (III)
(式中、Q’は、上記の規定通りであ
る。)
【請求項3】
前記Q’は、ポリオレフィンおよび/またはポリエステルラジカルであることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記Qは
、アジピン酸とヘキサンジオールとをベースとするポリエステルラジカルであることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記R
3は
、アジピン酸とヘキサンジオールとをベースとするポリエステルラジカルであることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記式(I)のポリマー中のラジカルR’およびR’’の少なくとも1つが前記式(II)に対応し、前記組成物がさらに
式(III)の化合物を含むことを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項記載の方法。
O=C=N-Q’ (III)
(式中、Q’は、上記の規定通りであ
る。)
【請求項7】
前記式(I)のポリマー中のラジカルR’およびR’’の少なくとも1つが前記式(II)に対応し、前記組成物が
式(III)の化合物を全く含まないことを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項記載の方法。
O=C=N-Q’ (III)
(式中、Q’は、上記の規定通りであ
る。)
【請求項8】
前記組成物を調製するために、式(Ia)のポリマーを、
式(III)の化合物と混合することを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1項記載の方法。
Q-(O-C(O)-CR’R’’-C(O)-R
1)
x (Ia)
(式中、Qは、ポリエステルおよび/またはポリオレフィンラジカルから選択されるポリマーラジカルであり、前記ポリマーラジカルは、(メタ)アクリル酸単位を有する分子をモノマーとして使用することによって生じる構成要素を含まず、
xは、
1以上であり、
R
1は、R
2またはO-R
3であり、
R
2は、1~10個の炭素原子を
有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカルであり、
R
3は、1~10個の炭素原子を
有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、または、ポリエステルまたはポリオレフィンラジカルから選択される
、(メタ)アクリル酸単位を有する分子をモノマーとして使用することによって生じる構成要素を含まないポリマーラジカルであり、
R’は、-H、1~10個の炭素原子を
有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、または、式(II)のラジカルであり、
ただし、ラジカルR’およびR’’の少なくとも1つは-Hである。)
-C(O)-NH-Q’ (II)
(式中、Q’は
、1つまたは複数の-C(O)-NH構成要素を有するポリエステルおよび/またはポリオレフィンラジカル、または-N=C=Oラジカル、または式(V)のラジカルである。)
【化2】
(式中、R
6は、窒素、硫黄および/または酸素を有していてもよい炭化水素ラジカルであり、
R
6’およびR
6’’は、
1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なる飽和炭化水素ラジカルであり、
x’は、0~3であり、
y’は、0~3であり、
ただしx’+y’=3であり、波線は窒素への共有結合であ
る。)
O=C=N-Q’ (III)
(式中、Q’は、上記の規定通りであ
る。)
【請求項9】
いずれの場合も、前記式(I)のポリマーと前記式(III)の化合物との量は、前記化合物(III)のラジカルO=C=N-に対する、-HであるラジカルR’および-HであるラジカルR’’の比が20:1~1:20となるように使用されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
有機亜鉛化合物
が触媒として添加されることを特徴とする、請求項8または請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記混合が70℃を超える温度
で実施されることを特徴とする、請求項8~請求項10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記混合が、保護ガス雰囲気下
、0.1分~180分にわたって実施されることを特徴とする、請求項8~請求項11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記混合が溶融物中で行われることを特徴とする、請求項8~請求項12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記接着が、100℃~190℃の温度での熱処理によって分離可能な接着剤接着であることを特徴とする、請求項1~請求項13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
x’が3であり、y’が0であることを特徴とする請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材を接着する方法であり、前記接着は、50℃~200℃未満の温度での熱処理によって分離可能な接着剤接着であり、前記接着剤を作製するために式(I)のポリマーを含む組成物を使用する方法に関する。
Q-(O-C(O)-CR’R’’-C(O)-R1)x (I)
(式中、Qは、ポリエステルおよび/またはポリオレフィンラジカルから選択されるポリマーラジカルであり、前記ポリマーラジカルは、(メタ)アクリル酸単位を有する分子をモノマーとして使用することによって生じる構成要素を含まず、xは、1以上であり、R1は、R2またはO-R3であり、R2は、1~10個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカルであり、R3は、1~10個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、またはポリマーラジカルであり、R’は、-H、1~10個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、または、式(II)のラジカルであり、R’’は、-Hまたは式(II)のラジカルであり、ただし、ラジカルR’およびR’’のいずれも式(II)のラジカルでない場合、ラジカルR’またはR’’の少なくとも1つは-Hである。)
-C(O)-NH-Q’ (II)
(式中、Q’は、1つまたは複数のケイ素原子を有していてもよい有機ラジカルである。)
【背景技術】
【0002】
反応性ポリウレタン接着剤(湿気硬化性一液型接着剤および湿気硬化性二液型接着剤の両方)は、接着剤接着に特に高い要求が課せられる多くの工業プロセスにおいて使用されている。特に熱安定性(耐熱性)の点で、架橋ポリウレタン接着剤は優れた特性を示す。
【0003】
しかし、現在の法規定では、例えば、携帯電話やディスプレイなどの電子機器において、接合された部品(接着された製品)はライフサイクルの終了時点で再度リサイクルされること、あるいは、接合された部品は修理目的のために当該部品に深刻なダメージを生じることなく分離可能であることが求められている。このようなリサイクルまたは分離のために、接着剤は、「オンデマンド」で分離可能でなければならなかった(デボンディングオンデマンド、略してDBD)。
デボンディングオンデマンドに対する通常のアプローチは、温度の導入であり、それは、接着性および/または凝集性に影響する。これに関しては、さまざまなアプローチがある。例えば、非反応的に組み込まれた樹脂を接着剤配合物に添加すると、当該樹脂は、軟化点を超える温度で接着剤を「軟化」させ、それに応じて凝集性を低下させる(特許文献1)。ただし、非反応的に組み込まれたポリマーは、通常、使用段階/使用期間中の低温においてさえも、接着剤の凝集性が低くなるという結果を招くので、このアプローチは不利である。それらは、耐薬品性を損ねたり、洗い流されたり、望まないマイグレーションをもたらしたりする可能性がある。
【0004】
非特許文献1では、放射線硬化性接着剤を(熱の作用により)オンデマンドで分離可能にする、熱不安定性の放射線架橋性架橋剤を得るために、アセトアセトキシアクリル酸エステルとブロックイソシアネートの反応生成物が記載されている。しかし、この場合、遊離イソシアネート基が全く存在しないので、この技術を反応性湿気硬化型PU接着剤に使用することはできない。
【0005】
マロン酸塩含有ポリエステルもイソシアネートと反応して、熱的に不安定な結合を有するポリエステルを生じ得るという事実は、例えば特許文献2に記載されている。しかし、そのようなポリマーを接着剤において使用することは、言及されていない。湿気を使用したイソシアネートの硬化についても触れられていないが、それは、反応性湿気硬化型PU接着剤には不可欠なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開公報第2016/00022A1号
【文献】米国特許公報第4,006,122号
【非特許文献】
【0007】
【文献】高分子、2018年、51(3)、660頁~669頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、デボンディングオンデマンド作用を有する反応性の(ポリウレタンベースの)ホットメルト接着剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことだが、式(I)のポリマーを含む組成物を使用すると、この課題が解決されることがわかった。
Q-(O-C(O)-CR’R’’-C(O)-R1)x (I)
(式中、Qは、ポリエステルおよび/またはポリオレフィンラジカルから選択されるポリマーラジカルであり、前記ポリマーラジカルは、(メタ)アクリル酸単位を有する分子をモノマーとして使用することによって生じる構成要素を含まず、
xは、1以上であり、R1は、R2またはO-R3であり、R2は、1~10個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカルであり、R3は、1~10個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、またはポリマーラジカルであり、R’は、-H、1~10個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、または、式(II)のラジカルであり、R’’は、-Hまたは式(II)のラジカルであり、ただし、ラジカルR’およびR’’のいずれも式(II)のラジカルでない場合、ラジカルR’またはR’’の少なくとも1つは-Hである。)
-C(O)-NH-Q’ (II)
(式中、Q’は、1つまたは複数のケイ素原子を有していてもよい有機ラジカルである。)
【0010】
したがって、本発明の主題は、特許請求の範囲および以下の説明において規定される方法である。
【0011】
本発明に従って使用される組成物は、それから生成される接着剤配合物が、熱の作用下、特に200℃未満の温度下で分離可能な接着剤接着をもたらすという利点を有する。
【0012】
さらに、本発明に従って使用される組成物は、ポリマーネットワーク中の熱に不安定な結合部位が反応的に組み込まれ、それゆえに、非反応性添加剤を添加した場合と同様に、使用段階において硬化接着剤の機械的特性(例えば、凝集性)が失われないという利点を有する。
【0013】
本発明の方法は、本発明がこれらの例示的な実施形態に限定されることを意図することなく、以下に例として説明される。範囲、一般式、または化合物群が以下に規定されている場合、これらは、明示的に言及されている対応する範囲や化合物群だけでなく、個々の値(範囲)や化合物を除くことによって得られるすべての部分範囲および部分化合物群も包含することを意図している。本明細書の文脈で文献が引用される場合、それらの内容は、特に参照された事項に関して、完全に本発明の開示内容の一部を形成するものとする。以下に数値が百分率で示されている場合、特に明記しない限り、これらは重量%の数値である。平均値、例えばモル質量平均が以下に報告される場合、これらは、特に明記しない限り、数値平均である。物性、例えば粘度などが以下で言及される場合、これらは、特に明記しない限り、25℃における物性である。化学(実験)式が本発明で使用される場合、報告される指数は、絶対数または平均値のいずれかであってよい。高分子化合物に関する指数は、好ましくは平均値である。
【0014】
本発明による基材の接着方法は、前記接着が、50℃から200℃未満の温度の熱処理によって分離可能な接着剤接着であり、前記接着剤接着をなすために、式(I)のポリマーを含む組成物を使用することを特徴とする。
Q-(O-C(O)-CR’R’’-C(O)-R
1)
x (I)
(式中、Qは、ポリエステルおよび/またはポリオレフィンラジカルから選択されるポリマーラジカルであり、前記ポリマーラジカルは、(メタ)アクリル酸単位を有する分子をモノマーとして使用することによって生じる構成要素を含まず、
xは、1以上、好ましくは1~100、より好ましくは2~20、特に好ましくは3~10であり、
R
1は、R
2またはO-R
3であり、
R
2は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~7個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカルであり、
R
3は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~7個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、または、ポリエステルまたはポリオレフィンラジカルから選択されることが好ましいポリマーラジカル、好ましくは、(メタ)アクリル酸単位を有する分子をモノマーとして使用することによって生じる構成要素を含まないポリマーラジカルであり、
R’は、-H、1~10個の炭素原子、好ましくは1~7個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、または、式(II)のラジカルであり、
R’’は、-Hまたは式(II)のラジカルであり、
ただし、ラジカルR’およびR’’のいずれも式(II)のラジカルでない場合、ラジカルR’またはR’’の少なくとも1つは-Hである。)
-C(O)-NH-Q’ (II)
(式中、Q’は、1つまたは複数のケイ素原子を有していてもよい有機ラジカル、好ましくは1つまたは複数の-C(O)-NH構成要素を有する有機ラジカル、-N=C=Oラジカル、または式(V)のラジカル、より好ましくは1つまたは複数の-C(O)-NH構成要素を有するポリエステルおよび/またはポリオレフィンラジカル、または-N=C=Oラジカル、または式(V)のラジカルである。)
【化1】
(V)
(式中、R
6は、窒素、硫黄および/または酸素を有していてもよい炭化水素ラジカル、好ましくは窒素、硫黄、または酸素を有しない炭化水素ラジカルであり、
R
6’およびR
6’’は、同一のまたは異なる飽和炭化水素ラジカル、好ましくは直鎖状炭化水素ラジカル、より好ましくは1~18個の炭素原子を有する直鎖状炭化水素ラジカル、よりいっそう好ましくは1~3個の炭素原子を有する直鎖状炭化水素ラジカルであり、
x’は、0~3であり、
y’は、0~3であり、
ただしx’+y’=3であり、波線は窒素への共有結合であり、x’が2以上かつy’が1以下であることが好ましく、x’が3かつy’が0であることが特に好ましい。)
【0015】
式(I)のポリマーにおいて、Qは、ポリエステルラジカル、好ましくは、二酸および/またはポリ酸と、ジオールおよび/またはポリオールと、をベースとするポリエステルラジカルであることが好ましい。Qは、二酸とジオールをベースとするポリエステルラジカルであることが好ましい。
【0016】
R’およびR’’が-Hである式(I)のポリマーは、OH末端ポリエステルまたはOH末端ポリオールを、マロン酸、マロン酸モノエステル、またはマロン酸ジエステル(好ましくは、マロン酸ジメチルまたはマロン酸ジエチルエステル)と、あるいは式(IV)のβ-ケトエステルと、反応させることにより得られる。
R4-O-C(O)-CR’R’’-C(O)-R5 (IV)
(式中、R’およびR’’は、-Hであり、R4およびR5は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~7個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有し、かつハロゲン原子で置換されていてもよい、同一のまたは異なる炭化水素ラジカルである。)
式(IV)の特に好ましい化合物は、メチル-またはエチル-2-アセトアセテートである。
【0017】
OH末端ポリエステルまたはOH末端ポリオレフィンは、マロン酸、マロン酸モノエステル、またはマロン酸ジエステル(好ましくは、マロン酸ジメチルまたはマロン酸ジエチルエステル)と、あるいは式(IV)のβ-ケトエステルと、反応させることが好ましい。
R4-O-C(O)-CR’R’’-C(O)-R5 (IV)
(式中、R’およびR’’は、-Hであり、R4およびR5は、触媒作用、好ましくはチタン触媒またはスズ触媒を有し、かつ1~10個の炭素原子、好ましくは1~7個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有し、かつハロゲン原子で置換されていてもよい、同一のまたは異なる炭化水素ラジカルである。)
使用されるチタン含有触媒は、好ましくは、有機チタン(IV)化合物、例えば、チタン(IV)アルコキシド、チタン(IV)カルボキシレート、またはチタン(IV)アセチルアセトナートである。チタン(IV)化合物は、好ましくは、チタン(IV)アルコキシドであり、その場合、リガンドが二座ジオールであることが好ましい。好ましいチタン(IV)化合物の例としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ-n-ブトキシド、チタンテトラ-t-ブトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンオキシドアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、およびジオールをベースとするチタンジアルコキシドがある。
【0018】
OH官能化、好ましくはOH末端ポリエステル、またはOH官能化、好ましくはOH末端ポリオレフィンとして、すべての既知の対応するポリマーを使用することができる。
【0019】
OH官能化、好ましくはOH末端ポリエステルとして、少なくとも1個、好ましくは1~100個、より好ましくは2~20個、特に好ましくは3~10個の官能基を有し、かつ好ましくは、少なくとも1つのジオールまたはポリオールと、少なくとも1つのジカルボン酸またはポリカルボン酸と、を含むものを使用することが好ましい。ポリオールとポリカルボン酸については、原則、制限はなく、任意の混合比が生じてもよい。選択は、ポリエステルの所望の物性に左右される。室温では、これらは固体かつアモルファス、液体かつアモルファス、または/および(半)結晶質であってよい。
【0020】
ポリカルボン酸は、複数のカルボキシル基、好ましくは2つ以上のカルボキシル基を有する化合物を意味すると理解される。本明細書の文脈において、カルボキシル官能基は、その誘導体(例えば、エステルまたは無水物)を意味すると理解される。
【0021】
ポリカルボン酸は、好ましくは、芳香族の、または飽和もしくは不飽和脂肪族の、または飽和もしくは不飽和脂環式のジカルボン酸またはポリカルボン酸であってよい。ジカルボン酸を使用することが好ましい。適切な芳香族ジカルボン酸またはポリカルボン酸、そしてその誘導体の例としては、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、および無水フタル酸などの化合物がある。直鎖状脂肪族ジカルボン酸またはポリカルボン酸の例としては、シュウ酸、シュウ酸ジメチル、マロン酸、マロン酸ジメチル、コハク酸、コハク酸ジメチル、グルタル酸、グルタル酸ジメチル、3,3-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、アジピン酸ジメチル、ピメリン酸、スベリン酸、アゼラン酸、ジメチルアゼレート、セバシン酸、ジメチルセバケート、ウンデカンジカルボン酸、デカン-1,10-ジカルボン酸、ドデカン-1,12-ジカルボン酸、ブラシル酸、テトラデカン-1,14-ジカルボン酸、ヘキサデカン-1,16-二酸、オクタデカン-1,18-二酸、二量体脂肪酸、およびそれらの混合物がある。不飽和直鎖状ジカルボン酸および/またはポリカルボン酸の例としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、またはマレイン酸無水物がある。飽和脂環式ジカルボン酸および/またはポリカルボン酸の例としては、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、およびシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸の誘導体がある。
【0022】
原則、ポリエステルの調製には、任意の所望のポリオールを使用することができる。ポリオールは、複数のヒドロキシル基、好ましくは2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物を意味すると理解される。例えば、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族および/または脂環式および/または芳香族のポリオールが存在してもよい。
【0023】
適切なジオールまたはポリオールの例としては、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-2,3-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ノナン-1,9-ジオール、ドデカン-1,12-ジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパン-1,3-ジオール、メチルプロパン-1,3-ジオール、メチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロ[2.2.1]デカンジメタノール、リモネンジメタノールの異性体、イソソルビトール、トリメチロールプロパン、グリセロール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびそれらの混合物がある。
芳香族ジオールまたはポリオールは、芳香族ポリヒドロキシル化合物(例えば、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ジヒドロキシナフタレンなど)と、エポキシド(例えば、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)と、の反応生成物を意味すると理解される。存在するジオールまたはポリオールは、エーテルジオール、すなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはブタン-1,4-ジオールなどをベースとするオリゴマーまたはポリマーであってよい。
二官能性ジオールおよびジカルボン酸を使用することが好ましい。
【0024】
2個より多い官能基を有するポリオールまたはポリカルボン酸(例えば、無水トリメリット酸、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、またはグリセロールなど)も使用してよい。さらに、ラクトンおよびヒドロキシカルボン酸をポリエステルの成分として使用してもよい。
【0025】
Qは、特に好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、および二量体脂肪酸からなる群から選択される、1つまたは複数の、好ましくは1つのポリ酸と、エチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、メチルプロパン-1,3-ジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、1つまたは複数の、好ましくは1つのポリオールと、をベースとするポリエステルラジカルである。Qは、非常に特に好ましくは、ポリエステルラジカルに対して少なくとも50重量%程度、好ましくは75重量%程度、特に好ましくは95重量%程度、上記のポリ酸およびポリオール(好ましくは、アジピン酸およびヘキサンジオール)をベースとするポリエステルラジカルである。
【0026】
式(I)のポリマーにおいて、R3は、ポリエステルラジカル、好ましくは、二酸および/またはポリ酸とジオールおよび/またはポリオール、特に好ましくは二酸およびジオールをベースとするポリエステルラジカルであることが好ましい。R3は、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、および二量体脂肪酸からなる群から選択される、1つまたは複数の、好ましくは1つのポリ酸と、エチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、メチルプロパン-1,3-ジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、1つまたは複数の、好ましくは1つのポリオールと、をベースとするポリエステルラジカル、特に好ましくはアジピン酸およびヘキサンジオールをベースとするポリエステルラジカルであることが好ましい。R3は、ポリエステルラジカルに対して少なくとも50重量%程度、好ましくは75重量%程度、特に好ましくは95重量%程度、上記のポリ酸およびポリオール(好ましくは、アジピン酸およびヘキサンジオール)をベースとするポリエステルラジカルであることが非常に特に好ましい。
【0027】
Q’がポリエステルラジカルである場合、Q’は、二酸および/またはポリ酸と、ジオールおよび/またはポリオールと、(好ましくは、二酸とジオールと)をベースとすることが好ましい。Q’は、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、および二量体脂肪酸からなる群から選択される、1つまたは複数の、好ましくは1つのポリ酸と、エチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、メチルプロパン-1,3-ジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、1つまたは複数の、好ましくは1つのポリオールと、をベースとするポリエステルラジカルであることが特に好ましく、アジピン酸およびヘキサンジオールをベースとするポリエステルラジカルであることが非常に特に好ましい。
【0028】
ポリエステルは、溶融縮合によって合成されることが好ましい。この目的のために、上記のジカルボン酸またはポリカルボン酸と、ジオールまたはポリオールとは、最初に、ヒドロキシル基対カルボキシル基の当量比が0.5~1.5、好ましくは1.0~1.3で充填および溶融される。重縮合を、150℃~280℃の温度で3時間~30時間にわたって溶融物中で行う。この過程で、放出される水の量の大部分は、最初に標準圧力で蒸留される。さらなる過程で、目標分子量になるまで、残りの反応水と揮発性ジオールとを除去する。必要に応じて、これは、減圧、表面積の拡大、または不活性ガス流を反応混合物に通すことによって容易に行われてよい。反応は、反応前または反応中の、共沸混合物生成剤および/または触媒の添加によって、さらに促進されることができる。適切な共沸混合物生成剤の例としては、トルエンおよびキシレンがある。典型的な触媒は、チタン酸テトラブチルまたは酸化ジブチルスズなどの有機チタンまたは有機スズ化合物である。また、例えば、亜鉛やアンチモンなどの他の金属に基づく触媒、そして金属を含まないエステル化触媒も考えられる。また、酸化防止剤や色安定剤などのさらなる添加剤や加工助剤も可能である。
【0029】
OH末端ポリエステルは、DIN EN ISO 2114に準拠して測定される、0mgKOH/g~10mgKOH/g、好ましくは0mgKOH/g~3mgKOH/g、より好ましくは0mgKOH/g~1mgKOH/gの酸価を有することが好ましい。酸価(AN)は、1gの固体中に存在する酸を中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)を意味すると理解される。分析用サンプルをジクロロメタンに溶解し、フェノールフタレインを使用して、0.1Nのエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
【0030】
OH末端ポリエステルは、DIN 53240-2に準拠して測定される、1mgKOH/g~250mgKOH/g、特に好ましくは5mgKOH/g~100mgKOH/gのOH価を有することが好ましい。
【0031】
OH官能化ポリオレフィン、好ましくはOH末端ポリオレフィンとして、OH官能化ポリブタジエン、好ましくはOH末端ポリブタジエンを使用することが好ましい。
【0032】
ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された、ヒドロキシル末端ポリブタジエンの数平均分子量は、好ましくは500g/mol~10,000g/mol、より好ましくは1,000g/mol~5,000g/mol、特に好ましくは1,500g/mol~4,000g/molである。OH末端ポリブタジエンは、部分的にまたは完全に水素化された形であってもよい。水素化されていないOH官能化ポリブタジエン、好ましくはOH末端ポリブタジエンを使用することが好ましい。
【0033】
本発明に従って使用されるヒドロキシル官能化ポリブタジエン、好ましくはヒドロキシル末端ポリブタジエンは、フリーラジカル重合(例えば、過酸化水素、水および有機溶媒の存在下での1,3-ブタジエンの重合)によって調製されることが好ましい。適切な方法は、例えば、欧州特許公報第2 492 292号に記載されている。
【0034】
本明細書の文脈において適切なポリブタジエンは、例えば、Evonik Resource Efficiency GmbH社のPOLYVEST(登録商標) HTの形で市販されている。
【0035】
部分的にまたは完全に水素化された形であってもよいが、好ましくは水素化されていない、使用されるOH官能化(好ましくはOH末端)ポリオレフィン(好ましくはポリブタジエン)の官能度は、1.8~5の範囲、好ましくは2~3.5の範囲、特に好ましくは2~3の範囲であることが好ましい。
【0036】
本発明の組成物に式(I)のポリマーが存在せず、式(I)のポリマー中のラジカルR’およびR’’のいずれもが式(II)に対応しないこと、かつ前記組成物がさらに式(III)の化合物を含むことが好ましい。
O=C=N-Q’ (III)
(式中、Q’は、上記の規定通りであり、好ましくはポリオレフィンおよび/またはポリエステルラジカルである。)
そのような組成物は、接着剤配合物の前駆体として使用されることができる組成物であってよい。
【0037】
本発明に従って使用される組成物において、式(I)のポリマー中のラジカルR’およびR’’の少なくとも1つ、好ましくはR’およびR’’の両方が式(II)に対応すること、かつ前記組成物がさらに式(III)の化合物を含むことが好ましい。
O=C=N-Q’ (III)
(式中、Q’は、上記の規定通りであり、好ましくはポリオレフィンおよび/またはポリエステルラジカルである。)
そのような組成物は、接着剤配合物として直接使用されることができる組成物であってよい。
【0038】
本発明に従って使用される組成物において、式(I)のポリマー中のラジカルR’およびR’’の少なくとも1つ、好ましくはR’およびR’’の両方が式(II)に対応すること、かつ前記組成物が式(III)の化合物を含まないことも好ましい。
O=C=N-Q’ (III)
(式中、Q’は、上記の規定通りであり、好ましくはポリオレフィンおよび/またはポリエステルラジカルである。)
このような組成物は、接着剤配合物として直接使用されることができる組成物、または硬化した接着剤配合物(ボンド)であってよい。
【0039】
ポリマー中のラジカルR’およびR’’の少なくとも1つ、好ましくはラジカルR’およびR’’の両方が式(II)に対応する式(I)のポリマーは、ラジカルR’およびR’’の少なくとも1つ、または好ましくはR’およびR’’の両方が-Hである式(I)のポリマーを、式(III)の化合物と反応させることによって得られてよい。使用されることが好ましい式(III)の化合物は、例えば、OH末端ポリエステルまたはOH末端ポリオレフィンを、ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物(好ましくは、ジイソシアネート化合物)と反応させることによって得られてよい。OH変性ポリマーとポリイソシアネートとの反応は、国際公開公報第2016/139144A1号、国際公開公報第2016/034394A1号、または国際公開公報第2005/090428A1号などの先行文献に記載されているように実施されてよい。
【0040】
OH末端ポリエステルまたはOH末端ポリオレフィンとして、上記のものを使用することが好ましい。
【0041】
適切なイソシアネート化合物は、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート異性体、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、またはそれらの混合物、好ましくはジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、またはジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートとジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネートの混合物であることが好ましい。
【0042】
式(I)のポリマー、そして必要に応じて式(III)の化合物とは別に、組成物は、接着剤配合物にとって通常の助剤、例えば非OH官能化ポリマー、例えば熱可塑性ポリウレタン(TPU)および/またはポリアクリレートおよび/またはエチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)と、顔料またはフィラー、例えばタルク、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、カーボンブラック、または着色顔料と、粘着付与剤、例えばロジン、炭化水素樹脂、フェノール樹脂と、老化安定剤および助剤と、をさらに含んでいてもよい。本発明に従って使用される組成物中の助剤の割合は、最大50重量%、好ましくは0.1重要%~25重量%であってよい。
【0043】
本発明に従って使用される組成物は、亜鉛(好ましくは、亜鉛イオンまたは亜鉛化合物の形のもの)を含むことが好ましい。本発明に従って使用される組成物は、Zn(acac)2を含むことが好ましい。本発明の組成物中の亜鉛の割合は、全組成に対し、0.0001重量%~1重量%、好ましくは0.001重量%~0.5重量%、特に好ましくは0.01重量%~0.1重量%であることが好ましい。亜鉛原子または亜鉛イオンが存在すると、イソシアネート基とマロン酸単位の酸性水素原子との結合の形成および/または破壊に影響を及ぼすことができる。
【0044】
本発明に従って使用される組成物は、チタン(好ましくは、チタンイオンまたはチタン化合物の形のもの)を含むことが好ましい。本発明に従って使用される組成物中に存在するチタンは、有機チタン(IV)化合物(例えば、チタン(IV)アルコキシド、チタン(IV)カルボキシレート、またはチタン(IV)アセチルアセトネート)の形であることが好ましい。チタン(IV)化合物は、好ましくは、チタン(IV)アルコキシドであり、その場合、リガンドが二座ジオールであることが好ましい。好ましいチタン(IV)化合物の例としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ-n-ブトキシド、チタンテトラ-t-ブトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンオキシドアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、およびジオールをベースとするチタンジアルコキシドがある。好ましくは、チタンは、アミノ基を含むリガンドを有する化合物の形ではない。本発明に従って使用される組成物は、チタン(IV)アルコキシド、特にチタン(IV)ブトキシドを含むことが特に好ましい。本発明に従って使用される組成物中のチタンの割合は、全組成に対し、0.0001重量%~1重量%、好ましくは0.001重量%~0.5重量%、特に好ましくは0.01重量%~0.1重量%であることが好ましい。
【0045】
本発明に従って使用される組成物は、好ましくは、1液型または2液型の、湿気硬化性または放射線硬化性または熱架橋性のポリウレタン接着剤であってよい。
【0046】
本発明に従って使用される組成物の調製方法は、式(Ia)のポリマーを式(III)の化合物と混合する点で特徴付けられる。
Q-(O-C(O)-CR’R’’-C(O)-R
1)
x (Ia)
(式中、Qは、ポリエステルラジカルおよび/またはポリオレフィンラジカルから選択されるポリマーラジカルであり、前記ポリマーラジカルは、(メタ)アクリル酸単位を有する分子をモノマーとして使用することによって生じる構成要素を含まず、
xは、1以上、好ましくは1~100、より好ましくは2~20、特に好ましくは3~10であり、
R
1は、R
2またはO-R
3であり、
R
2は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~7個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカルであり、
R
3は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~7個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、または、ポリエステルラジカルまたはポリオレフィンラジカルから選択されることが好ましいポリマーラジカル、好ましくは、(メタ)アクリル酸単位を有する分子をモノマーとして使用することによって生じる構成要素を含まないポリマーラジカルであり、
R’は、-H、1~10個の炭素原子、好ましくは1~7個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有し、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素ラジカル、または、式(II)のラジカルであり、
R’’は、-Hまたは式(II)のラジカルであり、
ただし、ラジカルR’およびR’’の少なくとも1つは-Hである。)
-C(O)-NH-Q’ (II)
(式中、Q’は、1つまたは複数のケイ素原子を有していてもよい有機ラジカル、好ましくは1つまたは複数の-C(O)-NH構成要素を有する有機ラジカル、-N=C=Oラジカル、または式(V)のラジカル、より好ましくは1つまたは複数の-C(O)-NH構成要素を有するポリエステルラジカルおよび/またはポリオレフィンラジカル、または-N=C=Oラジカル、または式(V)のラジカルである。)
【化2】
(V)
(式中、R
6は、窒素、硫黄および/または酸素を有していてもよい炭化水素ラジカルで、好ましくは窒素、硫黄または酸素を有しない炭化水素ラジカルであり、
R
6’およびR
6’’は、同一のまたは異なる飽和炭化水素ラジカル、好ましくは直鎖状炭化水素ラジカル、より好ましくは1~18個の炭素原子を有する直鎖状炭化水素ラジカル、よりいっそう好ましくは1~3個の炭素原子を有する直鎖状炭化水素ラジカルであり、
x’は、0~3であり、
y’は、0~3であり、
ただしx’+y’=3であり、波線は窒素への共有結合であり、x’が2以上かつy’が1以下であることが好ましく、x’=3かつy’=0であることが特に好ましい。)
O=C=N-Q’ (III)
(式中、Q’は、上記の規定通りであり、好ましくはポリオレフィンラジカルおよび/またはポリエステルラジカルである。)
【0047】
式(III)の化合物が、Q’が式(V)のラジカルである化合物である場合、この化合物は、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン、2-イソシアナトエチルトリメトキシシラン、2-イソシアナトエチルトリエトキシシラン、2-イソシアナトエチルトリイソプロポキシシラン、4-イソシアナトブチルトリメトキシシラン、4-イソシアナトブチルトリエトキシシラン、4-イソシアナトブチルトリイソプロポキシシラン、イソシアナトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、またはイソシアナトメチルトリイソプロポキシシランから選択されることが好ましい。
【0048】
式(III)の化合物が、Q’が式(V)(式中、R6は、窒素、硫黄および/または酸素含有炭化水素ラジカルである。)のラジカルである化合物である場合、これは、例えば、ジイソシアネートまたはポリイソシアナートを有機官能性シランと反応させることによって得られる化合物であってよい。好ましい有機官能性シランは、例えば、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、またはメルカプトトリエトキシシランである。
【0049】
好ましくは、いずれの場合も、式(I)のポリマーと式(III)の化合物の量は、-HであるラジカルR’および-HであるR’’対式(III)のラジカルO=C=Nの比が20:1~1:20、好ましくは5:1~1:5、特に好ましくは1:1~1:2となるように使用される。
【0050】
亜鉛、好ましくは亜鉛イオンまたは亜鉛化合物の形のもの、好ましくは有機亜鉛化合物の形のもの、好ましくはZn(acac)2を触媒として混合物に添加することが好ましい。混合物中の亜鉛の割合が、混合物に対し、0.0001重量%~1重量%、好ましくは0.001重量%~0.5重量%、特に好ましくは0.01重量%~0.1重量%となるような亜鉛の量が混合物に添加されることが好ましい。亜鉛原子または亜鉛イオンが存在すると、イソシアネート基と、マロン酸単位またはβ-ケトエステルの酸性水素原子との結合の形成および/または破壊に影響を及ぼすことができる。
【0051】
混合は、70℃を超える温度、好ましくは85℃~160℃の温度で実施されることが好ましい。混合は、本発明の方法で溶融物中において実施されることが特に好ましい。
【0052】
保護ガス雰囲気(例えば、不活性ガス雰囲気または窒素雰囲気)下で混合を実施することが特に好ましい。これにより、不要な反応を回避することができる。
【0053】
混合(好ましくは、保護ガス雰囲気下での混合)は、0.1分~180分、好ましくは15分~150分にわたって実施されることが好ましい。
【0054】
本発明に従って使用される組成物は、基材の接着に使用されてよい。好ましくは、前記接着は、(硬化後、)100℃~190℃の温度の熱処理によって分離可能な接着結合である。
【0055】
本発明に従って使用される組成物は、種々の基材(例えば、プラスチック、繊維強化プラスチック、金属、様々な木材、ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、レンガ、石、発泡体、紙、段ボール)の接着ボンドの製造(特に、金属基板、テキスタイル、および種々のプラスチックの接着)に特に適する。
【0056】
接着の性質と範囲に制限はない。好ましくは、接着は、木材および家具産業(例えば、組み立て接着、および装飾フィルムのファイバーボードへのラミネーション)、自動車および輸送部門(例えば、フィルムまたは繊維のドア側面部品へのラミネーション、内側ルーフライニング、シート製造、リテーナ接着ボンド、組み立て接着ボンド、およびサンドイッチエレメントの製造)、電子産業、(パネルやドアの製造などに係る)建設産業、靴産業、グラフィック産業および繊維産業、そして、(プロファイルの被覆などに係る)窓施工における接着ボンドである。さらに、本発明に従って使用される組成物は、包装産業において、シーラントおよびコーティング材料として適切である。
【0057】
本発明に従って使用される組成物は、1液型システムおよび2液型システムの両方での使用に適している。
【0058】
1液型接着剤の場合、混合物は、接着剤の塗布とは無関係に、通常は接着剤の塗布よりもはるかに前に生成される。本発明の接着剤は、塗布後、例えば、湿気によって、または接着剤中に存在する共反応物の熱誘起反応によって、硬化する。2液型接着剤の場合、混合物は接着剤の塗布の直前に生成される。
【0059】
本発明に従って使用される接着剤配合物(組成物)は、すべての既知の方法、例えば、押出機、ビード、ノズル、散布、浸漬、注入、注出、圧延、噴霧、印刷、拭き取り、洗浄、タンブリング、遠心分離、(静電)粉体によって塗布されることができる。
【0060】
さらなる詳細がなくても、当業者であれば、上記の説明を最大限に利用することができると想定される。したがって、好ましい実施形態と実施例は、決して限定的なものではなく、単に説明的な開示として解釈されるべきである。
【0061】
本発明の主題は、それが以下の実施例に限定されることを意図することなく、以下の実施例で詳細に説明される。
【実施例】
【0062】
測定方法:
1.ゲル浸透クロマトグラフィー
本明細書の文脈で使用されるポリマーの数平均分子量および重量平均分子量は、溶離液としてのテトラヒドロフランとキャリブレーション用のポリスチレン中でのゲル浸透クロマトグラフィーによって、DIN 55672-1に準拠して測定される。多分散度(U)=Mw/Mn。
【0063】
2.OHN
調製されたポリマーは、末端基としてヒドロキシル基を有する。OH基の濃度は、DIN 53240-2に準拠して、ポリマーのmgKOH/gの単位で滴定手段によって測定される。
【0064】
3.粘度
生成されたポリマーの粘度、およびポリマーとジイソシアネートの反応生成物の粘度は、いずれの場合も、DIN EN ISO 3219に準拠して、Pa・sの単位で、規定温度で回転粘度計を使用して測定された。
【0065】
4.NCO価
NCO価は、DIN EN 1242に準拠して、重量%の単位で滴定手段によって測定された。
【0066】
5.酸価:
酸末端基の濃度は、DIN EN ISO 2114に準拠して、ポリマーのmgKOH/gの単位で滴定手段によって測定される。
【0067】
使用物質
-DYNACOLL 7360:OHNが30、Tg=-60℃、かつTm=55℃であるヒドロキシル末端結晶性ポリエステル(Evonik Resource Efficiency GmbH社製)(以下、P1と略記)
-Zn(acac)2:亜鉛アセチルアセトネート水和物(108503-47-5)(Merck社製)
-TYTAN(商標)TNBT:チタンテトラ-n-ブトキシド(5593-70-4)(Borica Co., Ltd社製)
-マロン酸ジエチル(TCI Deutschland GmbH社製)
-DESMODUR(登録商標)44M:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(Covestro社製)
【0068】
実施例1:マロン酸塩含有ポリエステル(P2、本発明によるものではない)の調製
ポリエステルP1(3,991g)を、マロン酸ジエチル(509g)、および触媒としてのTYTAN(商標)TNBT(2.25g)と、窒素下で、蒸留アタッチメントを備えた5L容量ガラスフラスコ内で溶融する。続いて、およそ5時間以内に160℃の温度で形成されたエタノールを標準圧力で蒸留除去した。続いて、同じ温度で、未反応のマロン酸ジエチルを蒸留除去するために、圧力を100ミリバール刻みで10ミリバール未満に下げた。
融点(DIN 53765)が42℃の結晶性ポリエステルが、酸価1mgKOH/g未満、OHN3.0mgKOH/g、分子量(Mn)3.1kDaで、得られた。
NMRは、主にポリエステルP1の末端基が官能化されており、マロン酸ジエチルによる鎖延長がわずかしか起こらなかったことを示した。したがって、ポリエステルP2の特徴は、「仮定的OHN」(後続の反応において、NCO成分の初期重量を算出するのに役立つ)が30のマロン酸官能基であった。
【0069】
実施例2:NCO末端プレポリマー(RHM1、本発明によるものではない)の調製
500mL容量フラットフランジフラスコ内で、P1(300g)を100℃で溶融し、真空下で45分間乾燥させた。その後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(37.5g)(DESMODUR(登録商標)44M、Covestro社;OH:NCO=1:2.2)を添加し、迅速に均質化した。共反応物を完全に転化させるために、当該混合物を保護ガス雰囲気下、100℃で45分間撹拌した。その後、NCO末端プレポリマー(RHM1)が得られた。
【0070】
実施例3:(本発明による)RHM2の調製
500mL容量フラットフランジフラスコ内で、RHM1(180g)を100℃で溶融した。その後、Zn(acac)2(0.03g)およびP2(20g)を添加し、迅速に均質化した。共反応物を完全に転化させるために、当該混合物を保護ガス雰囲気下、100℃で60分間撹拌した。その後、反応性接着剤(RHM2)が得られた。
【0071】
実施例4:(本発明による)RHM3の調製
500mL容量フラットフランジフラスコ内で、RHM1(160g)を100℃で溶融した。その後、Zn(acac)2(0.06g)およびP2(40g)を添加し、迅速に均質化した。共反応物を完全に転化させるために、当該混合物を保護ガス雰囲気下、100℃で60分間撹拌した。その後、反応性接着剤(RHM3)が得られた。
【0072】
実施例5:(本発明によるものではない)RHM4の調製
500mL容量フラットフランジフラスコ内で、RHM1(160g)を100℃で溶融した。その後、P1(40g)添加し、迅速に均質化した。共反応物を完全に転化させるために、当該混合物を保護ガス雰囲気下、100℃で40分間撹拌した。その後、反応性接着剤(RHM4)が得られた。
【0073】
実施例6:(本発明による)RHM5の調製
500mL容量フラットフランジフラスコ内で、P1(160g)およびP2(40g)を100℃で溶融し、Zn(acac)2(0.06g)を添加し、真空下で45分間乾燥させた。その後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(28.7g)(DESMODUR(登録商標)44M、Covestro社;OH+OH hyp/NCO=1:2.2)を添加し、迅速に均質化した。共反応物を完全に転化させるために、当該混合物を保護ガス雰囲気下、100℃で45分間撹拌した。その後、反応性接着剤(RHM5)が得られた。
【0074】
実施例7:(本発明による)RHM6の調製
500mL容量フラットフランジフラスコ内で、P2(300g)を100℃で溶融し、Zn(acac)2(0.45g)を添加し、真空下で45分間乾燥させた。その後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(44g)(DESMODUR(登録商標)44M、Covestro社;OH hyp/NCO=1:2.2)を添加し、迅速に均質化した。共反応物を完全に転化させるために、当該混合物を保護ガス雰囲気下、100℃で180分間撹拌した。その後、反応性接着剤(RHM6)が得られた。
【0075】
すべてのRHMは、機械的特性と耐熱性の点で評価された。DIN 53504に準拠した引張強度を使用して機械的特性を測定するために、層厚が約0.5mmのフィルムをRHMから引き出し、20℃かつ相対湿度65%で2週間保管した。耐熱性を測定するために、長さ100mm、幅20mm、厚さ5mmの2つのブナ基材をT字状に重ねて接着した。接着表面積は400mm
2、接着剤の厚さは約0.2mmであった。接着された試験片を、同一条件下、制御雰囲気の戸棚で保管した。続いて、接着された試験片をラックに置き、接着された試験片の長い部分から400gの重りを吊るし、接着剤接着が分離するまで、当該集合物を加熱キャビネット内において規定条件下で加熱した。プレテストでは、50℃の温度で測定を開始し、接着剤接着が分離して重りが床に落ちるまで、20分ごとに10℃ずつ段階的に温度を上昇させた。メインテストでは、接着剤接着が保たれる、プレテストの最高温度よりも20℃低い温度で測定を開始する。接着剤接着が分離して重りが床に落ちるまで、20分ごとに5℃ずつ段階的に温度を上昇させた。耐熱性とは、接着剤接着が保たれるメインテストの最高温度のことである。テスト結果を表2に示す。
【表2】
表2:反応性ホットメルト接着剤(RHM)1~6のテスト結果
【0076】
マロン酸塩の割合が増えると、硬化したPU接着剤の耐熱性が大幅に低下することは明らかである。ただし、熱応力前の機械的特性は十分に高い。