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特許7300509有機光電子素子用化合物、有機光電子素子、および表示装置
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  • 特許-有機光電子素子用化合物、有機光電子素子、および表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】有機光電子素子用化合物、有機光電子素子、および表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 85/60 20230101AFI20230622BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20230622BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230622BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20230622BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20230622BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230622BHJP
   H10K 50/11 20230101ALI20230622BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20230622BHJP
【FI】
H10K85/60
C07D403/14
C07D405/14
C07D409/14
C09K11/06 690
G09F9/30 365
H10K50/11
H10K59/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021539433
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 KR2019016166
(87)【国際公開番号】W WO2020145508
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0003517
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シン,チャン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒュン スン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ドン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ハンイル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジンソク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ホ クッ
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ドンキュ
(72)【発明者】
【氏名】ヨ,ヒュンジ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミジン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,スン-ヒュン
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119723(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108358891(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0126736(US,A1)
【文献】特表2017-501127(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106565433(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0122812(KR,A)
【文献】国際公開第2019/009591(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/056746(WO,A1)
【文献】特開2013-035752(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101641340(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 85/60
C07D 403/14
C07D 405/14
C07D 409/14
C09K 11/06
G09F 9/30
H10K 50/11
H10K 59/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される有機光電子素子用化合物:
【化1】

上記化学式1中、
は、炭素数1~5のアルキル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のフェニル基、炭素数1~5のアルキル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のビフェニル基、炭素数1~5のアルキル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のフルオレニル基、炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であり、
~Rはそれぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、ハロゲン基、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、非置換の炭素数6~12のアリール基またはこれらの組み合わせであり、
~Rはそれぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、ハロゲン基、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基またはこれらの組み合わせであり、
ArおよびArはそれぞれ独立して、水素、重水素または炭素数6~20のアリール基であり、
ただし、前記有機光電子素子用化合物は以下の化合物を除く:
【化2】
【請求項2】
前記Rは、炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のフェニル基、炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のビフェニル基、炭素数1~5のアルキル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のフルオレニル基、炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基である、請求項1に記載の有機光電子素子用化合物。
【請求項3】
前記Rは、下記グループIに羅列された置換基から選択される一つである、請求項1に記載の有機光電子素子用化合物:
【化3】

上記グループI中、*は連結地点である。
【請求項4】
前記R~Rはそれぞれ独立して、水素または非置換の炭素数6~12のアリール基である、請求項1に記載の有機光電子素子用化合物。
【請求項5】
前記R~Rはそれぞれ独立して、水素または炭素数6~12のアリール基である、請求項1に記載の有機光電子素子用化合物。
【請求項6】
前記ArおよびArはそれぞれ独立して、水素または炭素数6~12のアリール基である、請求項1に記載の有機光電子素子用化合物。
【請求項7】
下記グループ1に羅列された化合物のうちの一つである、請求項1に記載の有機光電子素子用化合物:
【化4-1】

【化4-2】
【請求項8】
互いに対向する正極と負極、
前記正極と前記負極の間に位置する少なくとも1層の有機層を含み、
前記有機層は請求項1~7のうちのいずれか一項による有機光電子素子用化合物を含む有機光電子素子。
【請求項9】
前記有機層は発光層を含み、
前記発光層は前記有機光電子素子用化合物を含む、請求項8に記載の有機光電子素子。
【請求項10】
請求項8による有機光電子素子を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機光電子素子用化合物、有機光電子素子、および表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機光電子素子(organic optoelectronic diode)は、電気エネルギーと光エネルギーを相互転換することができる素子である。
【0003】
有機光電子素子は、動作原理によって大きく2種類に分けることができる。一つは光エネルギーによって形成されたエキシトン(exciton)が電子と正孔に分離され電子と正孔がそれぞれ異なる電極に伝達されながら電気エネルギーを発生する光電素子であり、他の一つは電極に電圧または電流を供給して電気エネルギーから光エネルギーを発生する発光素子である。
【0004】
有機光電子素子の例としては、有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池、および有機感光体ドラム(organic photo conductor drum)などが挙げられる。
【0005】
このうち、有機発光素子(organic light emitting diode、OLED)は近来、平板表示装置(flat panel display device)の需要増加によって大きく注目されている。有機発光素子は電気エネルギーを光に転換させる素子であって、有機発光素子の性能は電極の間に位置する有機材料によって多くの影響を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、高効率および長寿命有機光電子素子を実現することができる有機光電子素子用化合物を提供する。
【0007】
他の実施形態は、前記有機光電子素子用化合物を含む有機光電子素子を提供する。
【0008】
また他の実施形態は、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によれば、下記化学式1で表される有機光電子素子用化合物を提供する。
【0010】
【化1】
【0011】
上記化学式1中、
は、炭素数1~5のアルキル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であり、
~Rはそれぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、ハロゲン基、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基またはこれらの組み合わせであり、
ArおよびArはそれぞれ独立して、水素、重水素または炭素数6~20のアリール基である。
【0012】
他の実施形態によれば、互いに対向する正極と負極、前記正極と前記負極の間に位置する少なくとも1層の有機層を含み、前記有機層は前記有機光電子素子用化合物を含む有機光電子素子を提供する。
【0013】
また他の実施形態によれば、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
高効率長寿命有機光電子素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態による有機発光素子を示した断面図である。
図2】一実施形態による有機発光素子を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の特許請求の範囲の範疇によって定義されるだけである。
【0017】
本明細書で「置換」とは別途の定義がない限り、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換の炭素数1~40のシリル基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~10のトリフルオロアルキル基、シアノ基、またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。
【0018】
本発明の一例で、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはシアノ基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、またはシアノ基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、炭素数1~5のアルキル基または炭素数6~12のアリール基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、「置換」は置換基または化合物中の少なくとも一つの水素がメチル基、エチル基、フェニル基、ビフェニル基またはナフチル基で置換されたことを意味する。
【0019】
本明細書で「ヘテロ」とは別途の定義がない限り、一つの官能基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を1~3個含有し、残りは炭素であることを意味する。
【0020】
本明細書で「アリール(aryl)基」は、炭化水素芳香族モイエティを一つ以上有するグループを総括する概念であって、炭化水素芳香族モイエティの全ての元素がp-オービタルを有しながら、これらp-オービタルが共役(conjugation)を形成している形態、例えばフェニル基、ナフチル基などを含み、2以上の炭化水素芳香族モイエティがシグマ結合を通じて連結された形態、例えばビフェニル基、テルフェニル基、クォーターフェニル基などを含み、2以上の炭化水素芳香族モイエティが直接または間接的に融合された非芳香族融合環、例えばフルオレニル基などを含むことができる。
【0021】
アリール基は、モノサイクリック、ポリサイクリックまたは融合環ポリサイクリック(即ち、炭素原子の隣接した対を分け持つ環)官能基を含む。
【0022】
本明細書で「ヘテロ環基(heterocyclic group)」は、ヘテロアリール基を含む上位概念であって、アリール基、シクロアルキル基、これらの融合環またはこれらの組み合わせのような環化合物内に炭素(C)の代わりにN、O、S、P、およびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも一つを含有するものを意味する。前記ヘテロ環基が融合環である場合、前記ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を一つ以上含むことができる。
【0023】
一例として、「ヘテロアリール(heteroaryl)基」は、アリール基内にN、O、S、P、およびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも一つを含有するものを意味する。2以上のヘテロアリール基はシグマ結合を通じて直接連結されるか、前記ヘテロアリール基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに融合できる。前記ヘテロアリール基が融合環である場合、それぞれの環ごとに前記ヘテロ原子を1~3個含むことができる。
【0024】
より具体的に、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のp-テルフェニル基、置換もしくは非置換のm-テルフェニル基、置換もしくは非置換のo-テルフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
【0025】
より具体的に、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基は、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンゾイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンゾオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンゾチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
【0026】
本明細書で、正孔特性とは、電場(electric field)を加えた時、電子を供与して正孔を形成することができる特性をいうものであって、HOMO準位に沿って伝導特性を有して正極で形成された正孔の発光層への注入、発光層で形成された正孔の正極への移動、および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0027】
また、電子特性とは、電場を加えた時、電子を受けることができる特性をいうものであって、LUMO準位に沿って伝導特性を有して負極で形成された電子の発光層への注入、発光層で形成された電子の負極への移動、および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0028】
以下、一実施形態による化合物を説明する。
【0029】
一実施形態による化合物は、下記化学式1で表される。
【0030】
【化2】
【0031】
上記化学式1中、
は、炭素数1~5のアルキル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であり、
~Rはそれぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、ハロゲン基、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基またはこれらの組み合わせであり、
ArおよびArはそれぞれ独立して、水素、重水素または炭素数6~20のアリール基である。
【0032】
化学式1で表される化合物は、トリアジンを中心にして一つのカルバゾール基がN-方向に連結基なくトリアジンに直接連結され、また他のカルバゾール基がN-方向にmeta-フェニレンを通じてトリアジンに連結される構造を有することができる。
【0033】
一つのカルバゾール基がN-方向、即ち、9番位置にトリアジンに連結基なく直接連結されることによって相対的にdeepなLUMOエネルギー準位を有するようになって電子注入および移動に有利である。
【0034】
また他のカルバゾール基がN-方向、即ち、9番位置にトリアジンに連結されることによってC-N結合を通じたπ-結合が切れるようになってHOMO-LUMO間電子雲が正孔輸送部分と電子輸送部分に明確に地域化され、このような地域化はカルバゾール基がmeta-フェニレンを通じてトリアジンに連結されることによってさらに効果的に分離されるようになるので、寿命改善効果が極大化できる。
【0035】
即ち、化学式1で表される化合物を含む素子では正孔/電子注入および移動が有利であり電子雲が効果的に地域化されて電子、正孔の両方ともに安定な構造を実現するようになるので、寿命にさらに有利な特性を有することができる。
【0036】
特に、トリアジンを中心コアとして含むことによって速い電子注入および移動度を確保して強い正孔移動度を有するカルバゾールモイエティと電荷均衡を成してこれも長寿命特性に大きく寄与する。
【0037】
一例として、Rは、炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のフェニル基、炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のビフェニル基、炭素数1~5のアルキル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のフルオレニル基、炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または炭素数6~12のアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0038】
例えば、前記Rは、下記グループIに羅列された置換基から選択できる。
【0039】
【化3】
【0040】
一例として、前記R~Rはそれぞれ独立して、水素または炭素数6~12のアリール基であってもよく、
前記R~Rはそれぞれ独立して、水素または炭素数6~12のアリール基であってもよい。
【0041】
具体的な一例として、前記R~Rは全て水素であるかR~Rのうちのいずれか一つがフェニル基であってもよく、前記R~Rは全て水素であるかR~Rのうちのいずれか一つがフェニル基であってもよい。
【0042】
一例として、前記ArおよびArはそれぞれ独立して、水素または炭素数6~12のアリール基であってもよい。
【0043】
具体的な一例として、前記ArおよびArはそれぞれ独立して、水素、フェニル基またはビフェニル基であってもよい。
【0044】
例えば、前記ArおよびArは、それぞれ水素であってもよい。
【0045】
最も具体的な一実施形態で、前記化学式1で表される有機光電子素子用化合物は下記グループ1に羅列された化合物から選択される一つであってもよいが、これに限定されるのではない。
【0046】
【化4-1】
【0047】
【化4-2】
【0048】
前述の有機光電子素子用化合物以外に1種以上の化合物をさらに含むことができる。
【0049】
例えば、ドーパントをさらに含むことができる。
【0050】
前記ドーパントは例えば燐光ドーパントであってもよく、例えば赤色または緑色の燐光ドーパントであってもよく、例えば緑色燐光ドーパントであってもよい。
【0051】
ドーパントは有機光電子素子用化合物を含む組成物に微量混合されて発光を起こす物質であって、一般に三重項状態以上に励起させる多重項励起(multiple excitation)によって発光する金属錯体(metal complex)のような物質が使用できる。ドーパントは、例えば、無機、有機、有機-無機化合物であってもよく、1種または2種以上含まれてもよい。
【0052】
ドーパントの一例として燐光ドーパントが挙げられ、燐光ドーパントの例としてはIr、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pdまたはこれらの組み合わせを含む有機金属化合物が挙げられる。燐光ドーパントは例えば下記化学式Zで表される化合物を使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0053】
【化5】
【0054】
上記化学式Z中、Mは金属であり、LおよびXは互いに同一であるか異なりMと錯化合物を形成するリガンドである。
【0055】
前記Mは例えばIr、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pdまたはこれらの組み合わせであってもよく、前記LおよびXは例えばバイデンテートリガンドであってもよい。
【0056】
前述の有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物は、化学気相蒸着のような乾式成膜法によって形成できる。
【0057】
以下、前述の有機光電子素子用化合物を適用した有機光電子素子を説明する。
【0058】
有機光電子素子は電気エネルギーと光エネルギーを相互転換することができる素子であれば特に限定されず、例えば、有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池、および有機感光体ドラムなどが挙げられる。
【0059】
ここでは、有機光電子素子の一例である有機発光素子を図面を参照して説明する。
【0060】
図1および図2は、一実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
【0061】
図1を参照すれば、一実施形態による有機発光素子100は、互いに対向する正極120と負極110、そして正極120と負極110の間に位置する有機層105を含む。
【0062】
正極120は例えば正孔注入が円滑なように仕事関数の高い導電体から形成でき、例えば、金属、金属酸化物および/または導電性高分子から形成できる。正極120は、例えば、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnOとAlまたはSnOとSbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン)(polyehtylenedioxythiophene:PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0063】
負極110は例えば電子注入が円滑なように仕事関数の低い導電体から形成でき、例えば金属、金属酸化物および/または導電性高分子から形成できる。負極110は、例えば、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、鉛、セシウム、バリウムなどのような金属またはこれらの合金;LiF/Al、LiO/Al、LiF/Ca、LiF/AlおよびBaF/Caのような多層構造物質が挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0064】
有機層105は、前述の有機光電子素子用化合物を含むことができる。
【0065】
前記有機層105は発光層130を含み、発光層130は前述の有機光電子素子用化合物を含むことができる。
【0066】
ドーパントをさらに含む前記有機光電子素子用組成物は、例えば、緑色発光組成物であってもよい。
【0067】
発光層130は、例えば、前述の有機光電子素子用化合物を燐光ホストとして含むことができる。
【0068】
有機層は、発光層以外に補助層をさらに含むことができる。
【0069】
前記補助層は、例えば、正孔補助層140であってもよい。
【0070】
図2を参照すれば、有機発光素子200は、発光層130以外に正孔補助層140をさらに含む。正孔補助層140は、正極120と発光層130の間の正孔注入および/または正孔移動性をさらに高め電子を遮断することができる。
【0071】
前記正孔補助層140は、例えば、下記グループDに羅列された化合物のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0072】
具体的に、前記正孔補助層140は、正極120と発光層130の間の正孔輸送層、および前記発光層130と前記正孔輸送層の間の正孔輸送補助層を含むことができ、下記グループDに羅列された化合物のうちの少なくとも一つは前記正孔輸送補助層に含まれてもよい。
【0073】
【化6-1】
【0074】
【化6-2】
【0075】
前記正孔輸送補助層には、前述の化合物以外にも、US5061569A、JP1993-009471A、WO1995-009147A1、JP1995-126615A、JP1998-095973Aなどに記載された公知の化合物およびこれと類似の構造の化合物も使用できる。
【0076】
また、本発明の一実施形態では、図1または図2で有機層105として追加的に電子輸送層、電子注入層、正孔注入層などをさらに含む有機発光素子であってもよい。
【0077】
有機発光素子100、200は、基板上に正極または負極を形成した後、真空蒸着法(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、プラズマメッキおよびイオンメッキのような乾式成膜法などで有機層を形成した後、その上に負極または正極を形成して製造することができる。
【0078】
前述の有機発光素子は、有機発光表示装置に適用できる。
【0079】
以下、実施例を通じて前述の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例はただ説明の目的のためのものであり、権利範囲を制限するのではない。
【0080】
[実施例]
以下、実施例および合成例で使用された出発物質および反応物質は、特別な言及がない限り、Sigma-Aldrich社、TCI社、tokyo chemical industryまたはP&H techで購入するか、公知された方法を通じて合成した。
【0081】
(有機光電子素子用化合物の製造)
本発明の化合物のより具体的な例として提示された化合物を下記段階を通じて合成した。
【0082】
(第1有機光電子素子用化合物の製造)
合成例1:化合物2の合成
【0083】
【化7】
【0084】
1段階:中間体Aの合成
2-[1,1’-biphenyl]-4-yl-4,6-dichloro-1,3,5-triazine 65.5g(216.79mmol)とCarbazole 25g(149.51mmol)をTHF 800mlに懸濁させた後、NaO(t-Bu)15.09g(156.99mmol)を徐々に投入する。12時間常温で攪拌させた後、生成された固体をFilterし蒸留水、Acetone、Hexaneの順序で洗浄して、目的化合物である中間体A 40.15g(62%yield)を獲得した。
【0085】
2段階:化合物2の合成
中間体A 10g(23.10mmol)と3-(9H-carbazol-9-yl)phenyl boronic acid 8.70g(23.56mmol)、Pd(PPh 0.8g(0.69mmol)、KCO 6.39g(46.2mmol)をTHF 100mlおよび蒸留水50mlに懸濁させた後、12時間還流攪拌する。反応終了後、常温に冷却させた後、生成された固体をFilterし、蒸留水およびAcetoneで洗浄する。Dichlorobenzene 200mlに加熱溶解させた後、Silicagel Filterし生成された固体をFilterした後、Dichlorobenzene 150mlに再結晶して、化合物2 11g(74%yield)を獲得した。
【0086】
(LC/MS:理論値639.75、測定値:640.40)
合成例2:化合物7の合成
【0087】
【化8】
【0088】
1段階:中間体Bの合成
2,4-dichloro-6-(3-dibenzofuranyl)-1,3,5-triazine 30g(94.89mmol)を使用したことを除いては合成例1の1段階と同様に中間体B 15g(54%yield)を獲得した。
【0089】
2段階:化合物7の合成
中間体B 10g(22.38mmol)を入れたことを除いては合成例1の2段階と同様な方法で合成して化合物7 10g(68.4%yield)を獲得した。
【0090】
(LC/MS:理論値653.73、測定値:654.60)
合成例3:比較化合物R1の合成
【0091】
【化9】
【0092】
1段階:中間体Cの合成
3-(9H-carbazole-9-yl)phenyl boronic acid 30.29g(105mmol)と1-Bromo-4-chlorobenzene 20g(105mmol)、Pd(PPh 0.03eq、KCO 2eqをTHFおよび蒸留水に懸濁させた後、12時間還流攪拌する。反応終了後、抽出し有機層を濃縮してシリカゲルカラムして、中間体C 35g(yield:94%)を獲得した。
【0093】
2段階:中間体Dの合成
中間体C 35g(100mmol)、Pd(dppf)Cl 4.85g(10mmol)、KOAc 29.12g(300mmol)、Bis(pinacolato)diboron 30.14g(120mmol)、P(Cy) 6.66g(20mmol)をDMF 500mlに懸濁させた後、12時間還流攪拌する。反応終了後、前記反応液に蒸留水を添加しMethylene Chlorideで抽出/濃縮しシリカゲルカラムして、中間体D 30.8g(yield:70%)を獲得した。
【0094】
3段階:比較化合物R1の合成
中間体D 5.0g(11.23mmol)と2-chloro-4,6-diphenyltriazine 3g(11.23mmol)、Pd(PPh 0.03eq、KCO 2eqをTHFおよび蒸留水に懸濁させた後、12時間還流攪拌する。反応完了後、生成された固体をFilterし蒸留水およびacetoneで洗浄する。Monochlorobenzeneに再結晶して比較化合物R1 4g(yield:65%)を獲得した。
【0095】
(LC/MS:理論値550.65、測定値:551.4)
合成例4:比較化合物R2の合成
【0096】
【化10】
【0097】
1段階:中間体Fの合成
Cyanuric Chloride 10g(54.23mmol)とCarbazole 18.13g(108.45mmol)をTHF 250mlに懸濁させた後、NaO(t-Bu)7.81g(81.35mmol)を徐々に投入した後、12時間攪拌する。反応終了後、生成された固体をFilterし蒸留水およびAcetone/hexaneで洗浄して、目的化合物である中間体F 12g(yield:49.6%)を獲得した。
【0098】
2段階:比較化合物R2の合成
中間体F 6g(13.46mmol)と4-(9H-carbazole-9-yl)biphenyl boronic acid 5.13g(14.13mmol)、Pd(PPh 0.47g(0.40mmol)、KCO 3.72g(26.91mmol)をTHF 100ml蒸留水 50mlに懸濁した後、12時間還流攪拌する。反応終了後、生成された固体をfilterし蒸留水/acetoneで洗浄した。Dichlorobenzene 300mlに加熱溶解させた後、Silicagel filterして濾液を常温に冷却させ、生成された固体をろ過乾燥して、目的化合物である比較化合物R2 3.9g(yield:40%)を獲得した。
【0099】
(LC/MS:理論値728.84、測定値:729.6)
合成例5:比較化合物R3の合成
【0100】
【化11】
【0101】
1段階:中間体Gの合成
Cyanuric Chloride 36.9g(200mmol)、Carbazole 33.4g(200mmol)をTHF 300mlに懸濁させた後、NaO(t-Bu)19.22g(200mmol)を0℃で徐々に投入した。反応終了後、生成された固体をfilterし蒸留水/Acetone/Hexaneで洗浄して、中間体G 10g(yield:16%)を獲得した。
【0102】
2段階:中間体Hの合成
中間体G 4.9g(15.55mmol)と中間体I(韓国公開特許第10-2014-0135524号の合成例3参考)6.69g(15.55mmol)、Pd(PPh 0.89g(0.78mmol)、KCO 5.37g(38.87mmol)をTHF 50ml/Toluene 50ml/蒸留水 50mlに懸濁させた後、12時間還流攪拌する。反応終了後、生成された固体をfilterし蒸留水/Acetoneで洗浄した後、乾燥して、中間体H 5g(yield:56%)を獲得した。
【0103】
3段階:比較化合物R3の合成
中間体H 2.4g(4.11mmol)と9-[3-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl]-9H-Carbazole 1.67g(4.53mmol)、Pd(PPh 0.14g(0.12mmol)、KCO 1.14g(8.23mmol)をTHF 50ml DIW 50mlに懸濁させた後、12時間還流攪拌する。反応終了後、生成された固体をfilterし蒸留水およびAcetoneで洗浄する。前記固体をDichlorobenzene 100mlに加熱溶解しシリカゲルフィルターした後、濾液を常温に冷却させる。濾液に生成された固体をろ過しacetoneで洗浄して比較化合物R3 2.94g(yield:89.5%)を獲得した。
【0104】
(LC/MS:理論値789.92、測定値:790.40)
合成例6:比較化合物R4の合成
【0105】
【化12】
【0106】
1段階:中間体Jの合成
3-phenyl-9H-Carbazole 30g(123.30mmol)と1-Bromo-4-Chlorobenzene 30.69g(160.30mmol)、CuI 4.70g(24.66mmol)、KCO 51.13g(369.91mmol)、1,10-phenanthroline 4.44g(24.66mmol)をDMF 300mlに懸濁させた後、12時間還流攪拌する。反応終了後、常温に冷却させた後、蒸留水を投入しTolueneで抽出および濃縮する。Silicagel colummして中間体J 21g(yield:48%)を獲得した。
【0107】
2段階:中間体Kの合成
中間体J 21g(59.35mmol)を入れたことを除いては合成例3の2段階と同様な方法で合成して中間体K 10.6g(yield:39%)を獲得した。
【0108】
3段階:中間体Lの合成
2-phenyl-4,6-dichlorotriazine 58.81g(260.15mmol)とCarbazole 30g(179.42mmol)をTHF 500mlに懸濁させた後、NaO(t-Bu)18.11gを徐々に投入した後、常温で12時間攪拌した。反応完了後、生成された固体をFilterし蒸留水およびacetoneで洗浄および乾燥して中間体L 40g(yield:62.5%)を獲得した。
【0109】
4段階:比較化合物R4の合成
中間体L 8.34g(23.37mmol)と中間体K 10.62g(23.84mmol)を入れたことを除いては合成例1の2段階と同様な方法で比較化合物R4 8g(yield:53.5%)を獲得した。
【0110】
(LC/MS:理論値639.75、測定値:640.52)
(第2有機光電子素子用化合物の製造)
合成例7:化合物B-99の合成
US2017-0317293A1に公知された方法と同様に化合物B-99を合成した。
【0111】
合成例8:化合物C-4の合成
【0112】
【化13】
【0113】
C-4
丸底フラスコに5,8-Dihydroindolo[2,3-c]carbazole(CAS No.:200339-30-6)8g(31.2mmol)、4-ヨードビフェニル 20.5g(73.32mmol)、CuI 1.19g(6.24mmol)、1,10-phenanthoroline 1.12g(6.24mmol)、KCO 12.9g(93.6mmol)を入れDMF 50mlを加えて窒素雰囲気下で24時間還流攪拌させる。反応終了後、蒸留水で加えて固体を析出させ、ろ過した。固体をxylene 250mlに溶かしてシリカゲルでろ過した後、白色固体として析出させて化合物C-4 16.2g(yield:93%)を合成した。
【0114】
LC/MS calculated for:C42H28N2 Exact Mass:560.2252 found for:561.23
(有機発光素子の製作)
実施例1
ITO(Indium tin oxide)が1500Å厚さで薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄し乾燥させた後、プラズマ洗浄機に移送させた後、酸素プラズマを用いて前記基板を10分間洗浄した後、真空蒸着器に基板を移送した。このように準備されたITO透明電極を正極として使用してITO基板上部に化合物Aを真空蒸着して700Å厚さの正孔注入層を形成し、前記注入層上部に化合物Bを50Åの厚さで蒸着した後、化合物Cを1020Åの厚さで蒸着して正孔輸送層を形成した。正孔輸送層上部に合成例1の化合物2をホストとして使用し、ド-パントとしてPhGDを7wt%でドーピングして真空蒸着で400Å厚さの発光層を形成した。次いで、前記発光層上部に化合物DとLiqを同時に1:1比率で真空蒸着して300Å厚さの電子輸送層を形成し、前記電子輸送層上部にLiq 15ÅとAl 1200Åを順次に真空蒸着して負極を形成することによって有機発光素子を製作した。
【0115】
前記有機発光素子は多層の有機薄膜層を有する構造からなっており、具体的に次の通りである。
【0116】
ITO/化合物A(700Å)/化合物B(50Å)/化合物C(1020Å)/EML[化合物2:PhGD(7wt%)](400Å)/化合物D:Liq(300Å)/Liq(15Å)/Al(1200Å)の構造で製作した。
【0117】
化合物A:N4,N4’-diphenyl-N4,N4’-bis(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)biphenyl-4,4’-diamine
化合物B:1,4,5,8,9,11-hexaazatriphenylene-hexacarbonitrile(HAT-CN)、
化合物C:N-(biphenyl-4-yl)-9,9-dimethyl-N-(4-(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)phenyl)-9H-fluoren-2-amine
化合物D:8-(4-(4,6-di(naphthalen-2-yl)-1,3,5-triazin-2-yl)phenyl)quinoline
【0118】
【化14】
【0119】
実施例2~実施例11、および比較例1~比較例6
下記表1~表6に記載した通りホストを変更したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施例2~実施例11、および比較例1~比較例6の素子を製作した。
【0120】
評価:寿命上昇効果確認
前記実施例1~実施例11、および比較例1~比較例6による有機発光素子の駆動電圧および寿命特性を評価した。具体的な測定方法は下記の通りであり、その結果は表1~表6の通りである。
【0121】
(1)寿命測定
製造された有機発光素子に対してポラロニクス寿命測定システムを使用して実施例1~11および比較例1~6の素子を初期輝度(cd/m)を24000cd/mに発光させ、時間経過による輝度の減少を測定して初期輝度に対して90%に輝度が減少した時点をT90寿命として測定した。
【0122】
(2)T90寿命比(%)計算
単一ホスト評価または同一な第2ホストを適用した混合ホスト実施例(第1化合物を第1ホストとして適用)と混合ホスト比較例(比較化合物を第1ホストとして適用)のT90(h)の相対比較値を示す。
【0123】
【数1】
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
【表6】
【0130】
表1~表6を参照すれば、実施例1~11による有機発光素子は比較例1~6による有機発光素子と比較して寿命が顕著に改善されたのを確認することができる。
【0131】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0132】
100、200:有機発光素子
105:有機層
110:負極
120:正極
130:発光層
140:正孔補助層
図1
図2