(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】光増幅装置
(51)【国際特許分類】
H01S 3/067 20060101AFI20230622BHJP
H01S 3/0941 20060101ALI20230622BHJP
H01S 3/10 20060101ALI20230622BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
H01S3/067
H01S3/0941
H01S3/10 D
H01S3/00 B
(21)【出願番号】P 2021543795
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2020033178
(87)【国際公開番号】W WO2021045074
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2019160575
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019160645
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】日下 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】柏木 正浩
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205863635(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0311666(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0209959(US,A1)
【文献】国際公開第2004/075364(WO,A1)
【文献】特開2002-359419(JP,A)
【文献】特開平09-080492(JP,A)
【文献】特表2007-518566(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110794512(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 - 3/30
G02B 6/02 - 6/10
G02B 6/26
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の増幅用光ファイバであって、
活性元素が第1の活性元素添加濃度分布で添加された第1のコアと、
前記第1のコアの外側に位置し、前記第1のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第1のクラッド層と
を有する第1の増幅用光ファイバと、
前記第1の増幅用光ファイバの長手方向において前記第1の増幅用光ファイバに接続される第2の増幅用光ファイバであって、
前記第1の増幅用光ファイバの前記第1のコアに光学的に接続される第2のコアであって、前記活性元素が前記第1の活性元素添加濃度分布とは異なる第2の活性元素添加濃度分布で添加された第2のコアと、
前記第2のコアの外側に位置し、前記第2のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第2のクラッド層と
を有する第2の増幅用光ファイバと、
第1の励起光を生成し、前記第1の増幅用光ファイバの前記第1のクラッド層に、前記第2
の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から前記第1の励起光を導入可能な第1の励起光源と、
第2の励起光を生成し、前記第2の増幅用光ファイバの前記第2のクラッド層に、前記第1の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から前記第2の励起光を導入可能な第2の励起光源と
、
前記第1の励起光源と前記第1の増幅用光ファイバとの間に配置された高反射ファイバブラッググレーティング部と、
前記第2の励起光源と前記第2の増幅用光ファイバとの間に配置された低反射ファイバブラッググレーティング部と
を備える、光増幅装置。
【請求項2】
第1の増幅用光ファイバであって、
活性元素が第1の活性元素添加濃度分布で添加された第1のコアと、
前記第1のコアの外側に位置し、前記第1のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第1のクラッド層と
を有する第1の増幅用光ファイバと、
前記第1の増幅用光ファイバの長手方向において前記第1の増幅用光ファイバに接続される第2の増幅用光ファイバであって、
前記第1の増幅用光ファイバの前記第1のコアに光学的に接続される第2のコアであって、前記活性元素が前記第1の活性元素添加濃度分布とは異なる第2の活性元素添加濃度分布で添加された第2のコアと、
前記第2のコアの外側に位置し、前記第2のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第2のクラッド層と
を有する第2の増幅用光ファイバと、
第1の励起光を生成し、前記第1の増幅用光ファイバの前記第1のクラッド層に前記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から前記第1の励起光を導入可能な第1の励起光源と、
第2の励起光を生成し、前記第1の増幅用光ファイバの前記第1のクラッド層に前記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から前記第2の励起光を導入可能な第2の励起光源と
を備え、
前記第1の励起光は、第1の波長を有し、
前記第2の励起光は、前記活性元素に対する吸収率が前記第1の波長よりも低い第2の波長を有し、
前記第1の増幅用光ファイバは、前記第2の励起光の一部が透過するような長さを有する、
光増幅装置。
【請求項3】
前記第1の増幅用光ファイバは、前記第2の励起光のうち前記第1のコアに吸収されるものが50%未満となるような長さを有する、請求項2に記載の光増幅装置。
【請求項4】
前記第2の増幅用光ファイバは前記第1の増幅用光ファイバよりも長い、請求項2又は3に記載の光増幅装置。
【請求項5】
所望のビームプロファイルを有するレーザ光が出力されるように前記第1の励起光源及び前記第2の励起光源を制御する制御部をさらに備える、請求項2から4のいずれか一項に記載の光増幅装置。
【請求項6】
前記第2の増幅用光ファイバの長手方向において前記第1の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側で前記第2の増幅用光ファイバに接続される第3の増幅用光ファイバであって、
前記第2の増幅用光ファイバの前記第2のコアに光学的に接続される第3のコアであって、前記活性元素が前記第2の活性元素添加濃度分布とは異なる第3の活性元素添加濃度分布で添加された第3のコアと、
前記第3のコアの外側に位置し、前記第3のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第3のクラッド層と
を有する第3の増幅用光ファイバと、
前記活性元素に対する吸収率が前記第2の波長よりも高い第3の波長を有する第3の励起光を生成し、前記第3の増幅用光ファイバの前記第3のクラッド層に前記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から前記第3の励起光を導入可能な第3の励起光源と
をさらに備える、請求項2から4のいずれか一項に記載の光増幅装置。
【請求項7】
所望のビームプロファイルを有するレーザ光が出力されるように前記第1の励起光源、前記第2の励起光源、及び前記第3の励起光源を制御する制御部をさらに備える、請求項6に記載の光増幅装置。
【請求項8】
前記活性元素に対する吸収率が前記第3の波長よりも低い第4の波長を有する第4の励起光を生成し、前記第3の増幅用光ファイバの前記第3のクラッド層に前記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から前記第4の励起光を導入可能な第4の励起光源をさらに備える、請求項6又は7に記載の光増幅装置。
【請求項9】
第3の増幅用光ファイバであって、
前記活性元素が第3の活性元素添加濃度分布で添加された第3のコアと、
前記第3のコアの外側に位置し、前記第3のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第3のクラッド層と
を有する第3の増幅用光ファイバと、
前記第2の増幅用光ファイバ及び前記第3の増幅用光ファイバの長手方向において前記第2の増幅用光ファイバと前記第3の増幅用光ファイバとの間に接続される第4の増幅用光ファイバであって、
前記第2の増幅用光ファイバの前記第2のコア及び前記第3の増幅用光ファイバの前記第3のコアに光学的に接続される第4のコアであって、前記活性元素が前記第3の活性元素添加濃度分布とは異なる第4の活性元素添加濃度分布で添加された第4のコアと、
前記第4のコアの外側に位置し、前記第4のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第4のクラッド層と
を有する第4の増幅用光ファイバと、
第3の波長を有する第3の励起光を生成し、前記第3の増幅用光ファイバの前記第3のクラッド層に前記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から前記第3の励起光を導入可能な第3の励起光源と、
前記活性元素に対する吸収率が前記第3の波長よりも低い第4の波長を有する第4の励起光を生成し、前記第3の増幅用光ファイバの前記第3のクラッド層に前記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から前記第4の励起光を導入可能な第4の励起光源と
をさらに備え、
前記第3の増幅用光ファイバは、前記第4の励起光の一部が透過するような長さを有する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の光増幅装置。
【請求項10】
前記第3の増幅用光ファイバは、前記第4の励起光のうち前記第3のコアに吸収されるものが50%未満となるような長さを有する、請求項9に記載の光増幅装置。
【請求項11】
前記第4の増幅用光ファイバは前記第3の増幅用光ファイバよりも長い、請求項9又は10に記載の光増幅装置。
【請求項12】
所望のビームプロファイルを有するレーザ光が出力されるように前記第1の励起光源、前記第2の励起光源、前記第3の励起光源、及び前記第4の励起光源を制御する制御部をさらに備える、請求項9から11のいずれか一項に記載の光増幅装置。
【請求項13】
前記第2の増幅用光ファイバの前記第4の増幅用光ファイバに近い側の端部、前記第4の増幅用光ファイバの前記第2の増幅用光ファイバに近い側の端部、又は前記第2の増幅用光ファイバと前記第4の増幅用光ファイバとの間に配置された励起光除去部であって、前記第1の増幅用光ファイバの前記第1のコア及び前記第2の増幅用光ファイバの前記第2のコアで吸収されなかった前記第1の励起光及び前記第2の励起光と、前記第3の増幅用光ファイバの前記第3のコア及び前記第4の増幅用光ファイバの前記第4のコアで吸収されなかった前記第3の励起光及び前記第4の励起光とを除去可能な励起光除去部をさらに備える、請求項9から12のいずれか一項に記載の光増幅装置。
【請求項14】
前記励起光除去部は、前記第2の増幅用光ファイバと前記第4の増幅用光ファイバとの接続部において前記第2のクラッド層及び前記第4のクラッド層のうち少なくとも一方を覆い、前記第2のクラッド層及び前記第4のクラッド層のうち少なくとも一方の屈折率以上の屈折率を有する樹脂を含む、請求項13に記載の光増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光増幅装置に係り、特にレーザ光を増幅して出力する光増幅装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光増幅装置としてのファイバレーザ装置は、従来のレーザ装置と比較すると集光性が高く、取り回しのよい光ファイバを利用できることから、マーキングや材料加工など様々な分野で急速に普及してきている。例えば、ファイバレーザ装置を用いて金属加工を行う場合には、加工対象物に高パワーのレーザ光を照射して加工対象物を加熱及び溶融し、溶接や切断などの加工が行われる。このようなレーザ加工においては、加工速度や加工品質などの加工性能を向上する上で、照射するレーザ光のビームプロファイルを加工対象物の材料に合わせて変更することが重要である。
【0003】
レーザ光のビームプロファイルを変更する方法としては、複数のビームプロファイルに対応する複数のレンズから所望のレンズを選択し、選択されたレンズを含むレンズ光学系によりレーザ光のビーム形状を変更するもの(例えば、特許文献1参照)や、マルチクラッドファイバの端面においてレーザ光を異なる点に入射させることによりレーザ光のビームプロファイルを変更するもの(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
【0004】
これらの方法を用いてファイバレーザ装置から出力されるレーザ光のビームプロファイルを変更する場合には、ファイバレーザ装置内の光増幅器から出力された後のレーザ光に対してビームプロファイルを変更する処理が行われることになる。このため、光増幅器とは別にビームプロファイルを変更するための機構が必要となる。また、ビームプロファイルを変更する処理によって、光増幅器から出力されたレーザ光に光損失が生じるとともに、光増幅器から出力されたレーザ光のビーム品質も劣化し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6419901号明細書
【文献】米国特許第9482821号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、ビームプロファイルを変更するための機構を特に必要とせずに、所望のビームプロファイルを有するレーザ光を出力することができる光増幅装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ビームプロファイルを変更するための機構を特に必要とせずに、所望のビームプロファイルを有するレーザ光を出力することができる光増幅装置が提供される。この光増幅装置は、第1の増幅用光ファイバと、上記第1の増幅用光ファイバの長手方向において上記第1の増幅用光ファイバに接続される第2の増幅用光ファイバと、第1の励起光を生成可能な第1の励起光源と、第2の励起光を生成可能な第2の励起光源とを備える。上記第1の増幅用光ファイバは、活性元素が第1の活性元素添加濃度分布で添加された第1のコアと、上記第1のコアの外側に位置し、上記第1のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第1のクラッド層とを有する。上記第2の増幅用光ファイバは、上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のコアに光学的に接続される第2のコアと、上記第2のコアの外側に位置し、上記第2のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第2のクラッド層とを有する。上記第2のコアにおいては、上記活性元素が上記第1の活性元素添加濃度分布とは異なる第2の活性元素添加濃度分布で添加されている。上記第1の励起光源は、上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のクラッド層に、上記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から上記第1の励起光を導入できるように構成される。上記第2の励起光源は、上記第2の増幅用光ファイバの上記第2のクラッド層に、上記第1の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から上記第2の励起光を導入できるように構成される。上記光増幅装置は、上記第1の励起光源と上記第1の増幅用光ファイバとの間に配置された高反射ファイバブラッググレーティング部と、上記第2の励起光源と上記第2の増幅用光ファイバとの間に配置された低反射ファイバブラッググレーティング部とをさらに備える。
本発明の他の態様によれば、ビームプロファイルを変更するための機構を特に必要とせずに、所望のビームプロファイルを有するレーザ光を出力することができる光増幅装置が提供される。この光増幅装置は、第1の増幅用光ファイバと、上記第1の増幅用光ファイバの長手方向において上記第1の増幅用光ファイバに接続される第2の増幅用光ファイバと、第1の励起光を生成可能な第1の励起光源と、第2の励起光を生成可能な第2の励起光源とを備える。上記第1の増幅用光ファイバは、活性元素が第1の活性元素添加濃度分布で添加された第1のコアと、上記第1のコアの外側に位置し、上記第1のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第1のクラッド層とを有する。上記第2の増幅用光ファイバは、上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のコアに光学的に接続される第2のコアと、上記第2のコアの外側に位置し、上記第2のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第2のクラッド層とを有する。上記第2のコアにおいては、上記活性元素が上記第1の活性元素添加濃度分布とは異なる第2の活性元素添加濃度分布で添加されている。上記第1の励起光源は、上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のクラッド層に上記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から上記第1の励起光を導入できるように構成される。上記第2の励起光源は、上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のクラッド層に上記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から上記第2の励起光を導入できるように構成される。上記第1の励起光は、第1の波長を有し、上記第2の励起光は、上記活性元素に対する吸収率が上記第1の波長よりも低い第2の波長を有する。上記第1の増幅用光ファイバは、上記第2の励起光の一部が透過するような長さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステムを模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すファイバレーザシステムにおける第1の増幅用光ファイバの構造を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すファイバレーザシステムにおける第2の増幅用光ファイバの構造を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す第1の増幅用光ファイバのコアを伝搬するLP01モードとLP02モードの強度をパワーで正規化した強度分布を示している。
【
図5】
図5は、
図2に示す第1の増幅用光ファイバのコアに添加されたYbの半径方向における濃度分布を示す図である。
【
図6】
図6は、
図3に示す第2の増幅用光ファイバのコアに添加されたYbの半径方向における濃度分布を示す図である。
【
図7】
図7は、
図3に示す第2の増幅用光ファイバのコアに添加されたYbの半径方向における濃度分布の他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の他の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステムを模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステムを模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、Yb添加ファイバの吸収スペクトルを示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第3の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステムを模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、
図11に示すファイバレーザシステムにおける第3の増幅用光ファイバの構造を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第4の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステムを模式的に示す図である。
【
図14】
図14は、
図13に示すファイバレーザシステムにおける第4の増幅用光ファイバの構造を模式的に示す断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第5の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステムを模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の第6の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステムを模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の第7の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステムを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る光増幅装置の実施形態について
図1から
図17を参照して詳細に説明する。なお、
図1から
図17において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図17においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステム1を模式的に示す図である。
図1に示すように、本実施形態におけるファイバレーザシステム1は、増幅用光ファイバ部材3を含む光共振器2と、光共振器2の上流側から光共振器2に励起光P
1を導入可能な複数の第1の励起光源31と、これらの第1の励起光源31からの励起光P
1を結合して光共振器2に出力可能な上流側光コンバイナ41と、光共振器2の下流側から光共振器2に励起光P
2を導入可能な複数の第2の励起光源32と、これらの第2の励起光源32からの励起光P
2を結合して光共振器2に出力可能な下流側光コンバイナ42と、下流側光コンバイナ42から延びるデリバリファイバ50と、デリバリファイバ50の下流側の端部に設けられたレーザ出射部51と、第1の励起光源31及び第2の励起光源32(例えば第1の励起光源31及び第2の励起光源32に供給する電流)を制御する制御部60とを備えている。なお、本明細書では、特に言及がない場合には、光共振器2からレーザ光Lが出射される方向を「下流側」といい、それとは逆の方向を「上流側」ということとする。
【0011】
増幅用光ファイバ部材3は、上流側に位置する第1の増幅用光ファイバ10と、第1の増幅用光ファイバ10の長手方向において第1の増幅用光ファイバ10の下流側に接続される第2の増幅用光ファイバ20とを含んでいる。第1の増幅用光ファイバ10と第2の増幅用光ファイバ20とは融着接続部52にて互いに融着接続されている。
【0012】
図2は、第1の増幅用光ファイバ10の構造を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、第1の増幅用光ファイバ10は、コア11(第1のコア)と、コア11の周囲を覆う内側クラッド層12(第1のクラッド層)と、内側クラッド層12の周囲を覆う外側クラッド層13とを有している。
【0013】
コア11は、例えば、石英に屈折率を上昇させるアルミニウムなどの元素を添加し、さらにその少なくとも一部に活性元素を添加することにより形成される。内側クラッド層12は、例えばドーパントが添加されない石英から形成される。内側クラッド層12の屈折率はコア11の屈折率よりも低くなっており、コア11の内側には光導波路が形成される。例えば、コア11と内側クラッド層12との比屈折率差は0.32%である。外側クラッド層13は、例えば紫外線硬化樹脂から形成される。外側クラッド層13の屈折率は内側クラッド層12の屈折率よりも低くなっており、内側クラッド層12の内側にも光導波路が形成される。例えば、コア11の直径は30μm、内側クラッド層12の外径は420μm、外側クラッド層13の外径は440μmである。
【0014】
コア11に添加される活性元素としては、例えばイッテルビウム(Yb)やエルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)などの希土類元素、ビスマス(Bi)やクロム(Cr)などが挙げられる。本実施形態では、Ybを第1の増幅用光ファイバ10のコア11に添加する例について説明するが、これに限られるものではない。
【0015】
図3は、第2の増幅用光ファイバ20の構造を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、第2の増幅用光ファイバ20は、コア21(第2のコア)と、コア21の周囲を覆う内側クラッド層22(第2のクラッド層)と、内側クラッド層22の周囲を覆う外側クラッド層23とを有している。
【0016】
コア21は、例えば、石英に屈折率を上昇させるアルミニウムなどの元素を添加し、さらにその少なくとも一部に活性元素を添加することにより形成される。内側クラッド層22は、例えばドーパントが添加されない石英から形成される。内側クラッド層22の屈折率はコア21の屈折率よりも低くなっており、コア21の内側には光導波路が形成される。例えば、コア21と内側クラッド層22との比屈折率差は0.32%である。外側クラッド層23は、例えば紫外線硬化樹脂から形成される。外側クラッド層23の屈折率は内側クラッド層22の屈折率よりも低くなっており、内側クラッド層22の内側にも光導波路が形成される。例えば、コア21の直径は30μm、内側クラッド層22の外径は420μm、外側クラッド層23の外径は440μmである。
【0017】
コア21に添加される活性元素としては、例えばイッテルビウム(Yb)やエルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)などの希土類元素、ビスマス(Bi)やクロム(Cr)などが挙げられる。本実施形態では、Ybを第2の増幅用光ファイバ20のコア21に添加する例について説明するが、これに限られるものではない。なお、第1の増幅用光ファイバ10のコア11に添加される活性元素と第2の増幅用光ファイバ20のコア21に添加される活性元素とは同一であることが好ましい。
【0018】
ここで、融着接続部52での光損失を低減するために、第1の増幅用光ファイバ10のコア11と第2の増幅用光ファイバ20のコア21とは、同一の外径を有していることが好ましい。また、同様に、第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12と第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22とは、同一の外径を有していることが好ましい。
【0019】
図1に示すように、光共振器2は、第1の増幅用光ファイバ10と上流側光コンバイナ41との間に配置された高反射ファイバブラッググレーティング部(高反射FBG部)54と、第2の増幅用光ファイバ20と下流側光コンバイナ42との間に配置された低反射ファイバブラッググレーティング部(低反射FBG部)56とを含んでいる。高反射FBG部54は、第1の増幅用光ファイバ10と融着接続部53にて融着接続されており、低反射FBG部56は、第2の増幅用光ファイバ20と融着接続部55にて融着接続されている。
【0020】
高反射FBG部54は、光軸方向に沿ってコアの屈折率を周期的に変化させて形成されるもので、所定の波長帯の光を100%に近い反射率で反射するものである。低反射FBG部56は、高反射FBG部54と同様に、光軸方向に沿ってコアの屈折率を周期的に変化させて形成されるもので、高反射FBG部54で反射される波長帯の光の一部(例えば90%)を通過させ、残りを反射するものである。
【0021】
それぞれの第1の励起光源31は、例えばGaAs系半導体を材料とするファブリペロー型の半導体レーザ素子を含むものであり、例えば中心波長915nmの励起光P1(第1の励起光)を生成するものである。同様に、それぞれの第2の励起光源32は、例えばGaAs系半導体を材料とするファブリペロー型の半導体レーザ素子を含むものであり、例えば中心波長915nmの励起光P2(第2の励起光)を生成するものである。第1の励起光源31により生成される励起光P1のパワー及び第2の励起光源32により生成される励起光P2のパワーは、例えば第1の励起光源31及び第2の励起光源32に供給される電流を制御部60が制御することによって調整される。
【0022】
本実施形態では、第1の励起光源31により生成される励起光P1の波長及び第2の励起光源32により生成される励起光P2の波長が915nmである例を説明するが、励起光P1の波長及び励起光P2の波長はこれに限られるものではない。また、励起光P1の波長及び励起光P2の波長が同一である必要はなく、異なっていてもよい。例えば、吸収率の異なる波長の励起光を励起光P1及び励起光P2として用いることもできる。
【0023】
上流側光コンバイナ41は、複数の第1の励起光源31から出力される励起光P1を結合して第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12に導入するように構成されている。すなわち、第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12には、第2の増幅用光ファイバ20が接続されている側とは反対側から励起光P1が導入される。また、下流側光コンバイナ42は、複数の第2の励起光源32から出力される励起光P2を結合してこの励起光P2を第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22に導入するように構成されている。すなわち、第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22には、第1の増幅用光ファイバ10が接続されている側とは反対側から励起光P2が導入される。
【0024】
光共振器2において、第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12を伝搬する励起光P1は、コア11を通過する際にYbに吸収され、このYbが励起されて自然放出光が生じる。また、第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22を伝搬する励起光P2は、コア21を通過する際にYbに吸収され、このYbが励起されて自然放出光が生じる。Ybの励起により生じた自然放出光は、高反射FBG部54と低反射FBG部56との間で再帰的に反射され、特定の波長(例えば1064nm)の光が増幅されてレーザ発振が生じる。光共振器2で増幅されたレーザ光Lは、第1の増幅用光ファイバ10のコア11及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21内を伝搬し、その一部が低反射FBG部56を透過して下流側に伝搬する。低反射FBG部56を透過したレーザ光Lは、デリバリファイバ50を通ってレーザ出射部51から例えば被加工物に向けて出射される。
【0025】
このように、本実施形態においては、第1の励起光源31、上流側光コンバイナ41、光共振器2、下流側光コンバイナ42、第2の励起光源32、及び制御部60により、レーザ光を増幅して出力する光増幅装置が構成されている。
【0026】
ここで、第1の増幅用光ファイバ10は、第1の励起光源31から第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12に導入される励起光P1の90%以上が第1の増幅用光ファイバ10のコア11で吸収される程度に十分に長いことが好ましい。例えば、第1の増幅用光ファイバ10の長さは20m以上であってもよい。また、第2の増幅用光ファイバ20は、第2の励起光源32から第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22に導入される励起光P2の90%以上が第2の増幅用光ファイバ20のコア21で吸収される程度に十分に長いことが好ましい。例えば、第2の増幅用光ファイバ20の長さは20m以上であってもよい。
【0027】
ところで、光増幅装置で用いられる増幅用光ファイバにおいては、例えば特許第5159956号明細書に開示されているように、コアに添加される活性元素の半径方向における濃度分布を変化させることにより、増幅用光ファイバを伝搬する光の伝搬モードを選択的に増幅できることが知られている。本実施形態では、以下に述べるように、第1の増幅用光ファイバ10のコア11に添加されるYbの半径方向における濃度分布(第1の活性元素添加濃度分布)と第2の増幅用光ファイバ20のコア21に添加されるYbの半径方向における濃度分布(第2の活性元素添加濃度分布)とが異なっており、第1の増幅用光ファイバ10において選択的に増幅される光の伝搬モードと第2の増幅用光ファイバ20において選択的に増幅される光の伝搬モードとが異なっている。
【0028】
図4は、第1の増幅用光ファイバ10のコア11を伝搬するLP01モード(基本伝搬モード)とLP02モードの強度をそれぞれパワーで正規化した強度分布を示している。
図4に示すように、LP01モード及びLP02モードのいずれもコア11の中心において最も強い強度となっているが、LP02モードは、LP01モードに比べてコア11の中心近傍でより急激に強くなる傾向がある。そして、LP02モードの強度は、コア11の中心付近の領域でLP01モードの強度よりも強くなっている。このLP02モードよりも高次のLP03モードもLP02モードと同様の傾向を有している。
【0029】
図5は、第1の増幅用光ファイバ10のコア11に添加されたYbの半径方向における濃度分布を示す図である。
図5に示すように、Ybは、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の全体に添加されているが、コア11の中心領域R
1(例えば中心から半径4μmの領域)に添加されるYbの濃度は、中心領域R
1の半径方向外側の領域R
2に添加されるYbの濃度よりも低くなっている。例えば、コア11の中心領域R
1には石英に対して1.0wt%のYbが添加され、外側領域R
2には石英に対して2.0wt%のYbが添加される。
【0030】
上述したように、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の中心付近の領域ではLP02モードやLP03モードが相対的に強くなるが、
図5に示すように、コア11の中心領域R
1内のYbの添加濃度は、外側領域R
2におけるYbの添加濃度に比べて低くなっている。このため、LP02モードやLP03モードの強度がLP01モードの強度よりも強い中心領域R
1において、LP02モードやLP03モードによるYbの誘導放出が抑制される。この結果、第1の増幅用光ファイバ10のコア11においては、高次伝搬モードであるLP02モードやLP03モードに比べて基本伝搬モードであるLP01モードがより強く増幅されることとなる。
【0031】
図6は、第2の増幅用光ファイバ20のコア21に添加されたYbの半径方向における濃度分布を示す図である。
図6に示すように、第2の増幅用光ファイバ20のコア21の全体にYbが添加されており、コア21の中心から外周に至るまでの全領域R
3において添加されるYbの濃度が同一となっている。例えば、コア21の全領域R
3
に石英に対して2.0wt%のYbが添加される。このように、第2の増幅用光ファイバ20のコア21へのYbの添加濃度は全領域R
3で同一であるため、第2の増幅用光ファイバ20のコア21では、基本伝搬モードであるLP01モードだけではなく、LP02モードやLP03モードなど多数の高次伝搬モードも増幅されることとなる。
【0032】
このような構成のファイバレーザシステム1において、第1の励起光源31からの励起光P
1は、まず第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12に導入され、コア11に添加されたYbを励起する。これにより、第1の増幅用光ファイバ10では、コア11に添加されたYbの濃度分布(
図5)に基づいて基本伝搬モードであるLP01モードがより強く増幅される。このとき、励起光P
1のほとんどが第1の増幅用光ファイバ10のコア11に吸収されるため、励起光P
1が第2の増幅用光ファイバ20における増幅に与える影響は小さい。励起光P
1が第2の増幅用光ファイバ20における増幅に与える影響をより小さくするために、上述したように、第1の増幅用光ファイバ10は、第1の励起光源31から第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12に導入される励起光P
1の90%以上が第1の増幅用光ファイバ10のコア11で吸収される程度に十分に長いことが好ましい。
【0033】
また、第2の励起光源32からの励起光P
2は、まず第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22に導入され、コア21に添加されたYbを励起する。これにより、第2の増幅用光ファイバ20では、コア21に添加されたYbの濃度分布(
図6)に基づいて高次伝搬モードがより強く増幅される。このとき、励起光P
2のほとんどが第2の増幅用光ファイバ20のコア21に吸収されるため、励起光P
2が第1の増幅用光ファイバ10における増幅に与える影響は小さい。励起光P
2が第1の増幅用光ファイバ10における増幅に与える影響をより小さくするために、上述したように、第2の増幅用光ファイバ20は、第2の励起光源32から第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22に導入される励起光P
2の90%以上が第2の増幅用光ファイバ20のコア21で吸収される程度に十分に長いことが好ましい。
【0034】
このように、本実施形態においては、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第1の励起光源31からの励起光P1によって制御し、第2の増幅用光ファイバ20のコア21の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第2の励起光源32からの励起光P2によって制御することが可能である。したがって、制御部60によって第1の励起光源31及び第2の励起光源32(例えば、第1の励起光源31に供給する電流及び第2の励起光源32に供給する電流)を制御して励起光P1の強度と励起光P2の強度の割合を変化させることにより、第1の増幅用光ファイバ10により選択的に増幅させる伝搬モードと第2の増幅用光ファイバ20により選択的増幅させる伝搬モードとの割合を調整することができ、光共振器2から出力されるレーザ光のプロファイルを容易に所望の形状にすることができる。このため、ビームプロファイルを所望の形状に変換するためのビーム変換器を光共振器2の下流側に設ける必要がなく、光共振器2の下流側における光損失やビーム品質の劣化を低減することができる。
【0035】
本実施形態において、第1の増幅用光ファイバ10の活性元素添加濃度分布と第2の増幅用光ファイバ20の活性元素分布とを入れ替えることも可能である。また、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の活性元素添加濃度分布及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21の活性元素添加濃度分布は、図示のものに限られるものではなく、必要とされるビームプロファイルに応じて任意の濃度分布を組み合わせて用いることができる。例えば、第2の増幅用光ファイバ20の活性元素分布として
図7に示すような分布を用いることもできる。
図7に示す例では、Ybは、第2の増幅用光ファイバ20のコア21の全体に添加されているが、コア21の中心領域R
4(例えば中心から半径4μmの領域)に添加されるYbの濃度は、中心領域R
4の半径方向外側の領域R
5に添加されるYbの濃度よりも高くなっている。このような活性元素分布の第2の増幅用光ファイバ20では、高次伝搬モードがより強く増幅されることになるため、上述した第1の増幅用光ファイバ10と組み合わせることにより、光共振器2から出力されるレーザ光のビームプロファイルをより柔軟に制御することが可能となる。
【0036】
また、
図1に示すように、第1の増幅用光ファイバ10と第2の増幅用光ファイバ20との融着接続部52に、第1の増幅用光ファイバ10のコア11で吸収されなかった励起光P
1及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21で吸収されなかった励起光P
2のうち少なくとも一方を除去する励起光除去部70を設けてもよい。例えば、第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12及び第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22のうち少なくとも一方の屈折率以上の屈折率を有する樹脂を、内側クラッド層12及び内側クラッド層22のうち少なくとも一方を覆うように形成することで、このような励起光除去部70を構成することができる。この場合には、第1の増幅用光ファイバ10のコア11で吸収されなかった励起光P
1及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21で吸収されなかった励起光P
2を、内側クラッド層12,22から励起光除去部70の樹脂に漏らして熱に変換して除去することができる。したがって、励起光P
1が第2の増幅用光ファイバ20における増幅に与える影響を小さくするとともに、励起光P
2が第1の増幅用光ファイバ10における増幅に与える影響を小さくすることができる。これにより、第1の増幅用光ファイバ10及び第2の増幅用光ファイバ20のそれぞれにおいて増幅されるレーザ光のパワーが増大する。この結果、出力されるレーザ光のビームプロファイルを所望のビームプロファイルとしつつ、そのパワーを高めることができる。
【0037】
図1に示す例では、第1の増幅用光ファイバ10と第2の増幅用光ファイバ20とが融着接続部52にて互いに融着接続されているが、
図8に示すように、活性元素が添加されていないコアを有する中継光ファイバ350を用いて第1の増幅用光ファイバ10と第2の増幅用光ファイバ20とを接続することも可能である。この中継光ファイバ350のコアの屈折率は、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の屈折率及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21の屈折率と等しいことが好ましく、中継光ファイバ350の内側クラッドの屈折率は、第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12の屈折率及び第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22の屈折率と等しいことが好ましい。
【0038】
図8に示す例では、中継光ファイバ350は、第1の増幅用光ファイバ10と融着接続部353にて融着接続され、第2の増幅用光ファイバ20と融着接続部355にて融着接続されている。この構成においては、上述した励起光除去部70を
図8に示すように中継光ファイバ350の途中に設けてもよいし、あるいは第1の増幅用光ファイバ10の第2の増幅用光ファイバ20に近い端部(融着接続部353)に設けてもよいし、あるいは第2の増幅用光ファイバ20の第1の増幅用光ファイバ10に近い側の端部(融着接続部355)に設けてもよい。
【0039】
上述した実施形態におけるファイバレーザシステム1は、複数の第1の励起光源31を含んでいるが、第1の励起光源31の数は1つであってもよい。この場合には、上流側光コンバイナ41を設けてもよいし、設けなくてもよい。同様に、上述した実施形態におけるファイバレーザシステム1は、複数の第2の励起光源32を含んでいるが、第2の励起光源32の数は1つであってもよい。この場合には、下流側光コンバイナ42を設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0040】
上述した実施形態においては、上流側に第1の増幅用光ファイバ10を配置し、下流側に第2の増幅用光ファイバ20を配置した例を説明したが、上流側に第2の増幅用光ファイバ20を配置し、下流側に第1の増幅用光ファイバ10を配置してもよいことは言うまでもない。
【0041】
図9は、本発明の第2の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステム1’を模式的に示す図である。
図9に示すように、本実施形態におけるファイバレーザシステム1’は、光共振器2と、光共振器2の上流側から光共振器2に第1の励起光P
1を導入可能な複数の第1の励起光源31と、光共振器2の上流側から光共振器2に第2の励起光P
2を導入可能な複数の第2の励起光源32と、これらの励起光源31,32からの励起光P
1,P
2を結合して光共振器2に出力可能な上流側光コンバイナ41と、光共振器2から延びるデリバリファイバ50と、デリバリファイバ50の下流側の端部に設けられたレーザ出射部51と、第1の励起光源31及び第2の励起光源32(例えば第1の励起光源31及び第2の励起光源32に供給する電流)を制御する制御部60とを備えている。
【0042】
光共振器2は、上流側に位置する第1の増幅用光ファイバ10と、第1の増幅用光ファイバ10の長手方向において第1の増幅用光ファイバ10の下流側に接続される第2の増幅用光ファイバ20とを含んでいる。第1の増幅用光ファイバ10と第2の増幅用光ファイバ20とは融着接続部52にて互いに融着接続されている。
【0043】
上述した第1の実施形態では、第2の励起光源32が第2の増幅用光ファイバ20の下流側に設けられていたが、本実施形態における第2の励起光源32は、第1の励起光源31と同様に第1の増幅用光ファイバ10の上流側に設けられている。このため、本実施形態においては下流側光コンバイナ42が設けられていない。
【0044】
本実施形態における第1の励起光源31は、例えば中心波長976nmの励起光P1(第1の励起光)を生成するものであり、第2の励起光源32は、例えば中心波長915nmの励起光P2(第2の励起光)を生成するものである。
【0045】
図10に示すように、Ybを添加した光ファイバの吸収スペクトルは、976nmと915nmの2つの波長でピーク値を有しているが、976nmの波長の励起光は915nmの波長の励起光に対して吸収率が3倍高い。したがって、本実施形態においては、第1の励起光源31から出力される波長976nmの励起光P
1は、第2の励起光源32から出力される波長915nmの励起光P
2よりも増幅用光ファイバ10,20のコア11,21に吸収されやすい。本実施形態では、第1の励起光源31により生成される励起光P
1の波長が976nmであり、第2の励起光源32により生成される励起光P
2の波長が915nmである例を説明するが、励起光P
1の波長及び励起光P
2の波長はこれらの値に限られるものではない。
【0046】
上流側光コンバイナ41は、励起光源31,32から出力される励起光P1,P2を結合して第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12に導入するように構成されている。すなわち、第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12には、第2の増幅用光ファイバ20が接続されている側とは反対側から励起光P1,P2が導入される。
【0047】
光共振器2において、第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12及び第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22を伝搬する励起光は、第1の増幅用光ファイバ10のコア11及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21を通過する際にYbに吸収され、このYbが励起されて自然放出光が生じる。Ybの励起により生じた自然放出光は、高反射FBG部54と低反射FBG部56との間で再帰的に反射され、特定の波長(例えば1064nm)の光が増幅されてレーザ発振が生じる。光共振器2で増幅されたレーザ光Lは、第1の増幅用光ファイバ10のコア11及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21内を伝搬し、その一部が低反射FBG部56を透過して下流側に伝搬する。低反射FBG部56を透過したレーザ光Lは、デリバリファイバ50を通ってレーザ出射部51から例えば被加工物に向けて出射される。このように、本実施形態においては、第1の励起光源31、第2の励起光源32、上流側光コンバイナ41、光共振器2、及び制御部60により、レーザ光を増幅して出力する光増幅装置が構成されている。
【0048】
このような構成のファイバレーザシステム1’において、第1の励起光源31からの励起光P
1及び第2の励起光源32からの励起光P
2は、まず第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12に導入され、コア11に添加されたYbを励起する。これにより、第1の増幅用光ファイバ10では、コア11に添加されたYbの濃度分布(
図5)に基づいて基本伝搬モードであるLP01モードがより強く増幅される。また、第1の増幅用光ファイバ10のコア11に吸収されなかった励起光は、第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22を伝搬し、コア21に添加されたYbを励起する。これにより、第2の増幅用光ファイバ20では、コア21に添加されたYbの濃度分布(
図6)に基づいて高次伝搬モードがより強く増幅される。
【0049】
ここで、上述したように、波長976nmの励起光P1は、波長915nmの励起光P2よりもコア11に吸収されやすいため、励起光P1のほとんどが第1の増幅用光ファイバ10のコア11で吸収される。したがって、励起光P1が第2の増幅用光ファイバ20における増幅に与える影響は小さい。これに対して、励起光P2の多くは、第1の増幅用光ファイバ10のコア11では吸収されず、第1の増幅用光ファイバ10を透過する。吸収されなかった残りの励起光P2は第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22に入射し、この内側クラッド層22を伝搬する間にコア21に添加されたYbを励起する。したがって、励起光P2が第1の増幅用光ファイバ10における増幅に与える影響は小さい。このとき、励起光P2が第1の増幅用光ファイバ10における増幅に与える影響をより小さくし、励起光P2が第2の増幅用光ファイバ20における増幅に与える影響をより大きくするために、第1の増幅用光ファイバ10は、励起光P2のうちコア11に吸収されるものが50%未満となるような長さを有することが好ましい。また、吸収率が低い波長915nmの励起光P2がコア21に十分に吸収されるように、第2の増幅用光ファイバ20が第1の増幅用光ファイバ10よりも長いことが好ましい。例えば、第1の増幅用光ファイバ10の長さは5m以上、第2の増幅用光ファイバ20の長さは10m以上であることが好ましい。
【0050】
このように、本実施形態においては、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第1の励起光源31からの波長976nmの励起光P1によって制御し、第2の増幅用光ファイバ20のコア21の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第2の励起光源32からの波長915nmの励起光P2によって制御することが可能である。
【0051】
したがって、制御部60によって第1の励起光源31及び第2の励起光源32(例えば、第1の励起光源31に供給する電流及び第2の励起光源32に供給する電流)を制御して励起光P1の強度と励起光P2の強度の割合を変化させることにより、第1の増幅用光ファイバ10により選択的に増幅させる伝搬モードと第2の増幅用光ファイバ20により選択的に増幅させる伝搬モードとの割合を調整することができ、光共振器2から出力されるレーザ光のプロファイルを容易に所望の形状にすることができる。このため、ビームプロファイルを所望の形状に変換するためのビーム変換器を光共振器2の下流側に設ける必要がなく、光共振器2の下流側における光損失やビーム品質の劣化を低減することができる。
【0052】
本実施形態においても、第1の増幅用光ファイバ10の活性元素添加濃度分布と第2の増幅用光ファイバ20の活性元素分布とを入れ替えることも可能である。また、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の活性元素添加濃度分布及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21の活性元素添加濃度分布は、図示のものに限られるものではなく、必要とされるビームプロファイルに応じて任意の濃度分布を組み合わせて用いることができる。例えば、第2の増幅用光ファイバ20の活性元素分布として
図7に示すような分布を用いることもできる。
図7に示す例では、Ybは、第2の増幅用光ファイバ20のコア21の全体に添加されているが、コア21の中心領域R
4(例えば中心から半径4μmの領域)に添加されるYbの濃度は、中心領域R
4の半径方向外側の領域R
5に添加されるYbの濃度よりも高くなっている。このような活性元素分布の第2の増幅用光ファイバ20では、高次伝搬モードがより強く増幅されることになるため、上述した第1の増幅用光ファイバ10と組み合わせることにより、光共振器2から出力されるレーザ光のビームプロファイルをより柔軟に制御することが可能となる。
【0053】
図11は、本発明の第3の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステム101を模式的に示す図である。
図11に示すように、本実施形態におけるファイバレーザシステム101は、第1の実施形態の第1の増幅用光ファイバ10及び第2の増幅用光ファイバ20に加えて、第3の増幅用光ファイバ130を備えている。この第3の増幅用光ファイバ130は、第2の増幅用光ファイバ20の長手方向において第1の増幅用光ファイバ10が接続されている側とは反対側で第2の増幅用光ファイバ20に接続されている。第3の増幅用光ファイバ130は、第2の増幅用光ファイバ20と融着接続部152にて融着接続されている。また、本実施形態における低反射FBG部56は、第3の増幅用光ファイバ130と融着接続部155にて融着接続されている。このように、本実施形態における光共振器102は、高反射FBG部54、第1の増幅用光ファイバ10、第2の増幅用光ファイバ20、第3の増幅用光ファイバ130、及び低反射FBG部56により構成される。
【0054】
図12は、第3の増幅用光ファイバ130の構造を模式的に示す断面図である。
図12に示すように、第3の増幅用光ファイバ130は、コア131(第3のコア)と、コア131の周囲を覆う内側クラッド層132(第3のクラッド層)と、内側クラッド層132の周囲を覆う外側クラッド層135とを有している。
【0055】
コア131は、例えば、石英に屈折率を上昇させるアルミニウムなどの元素を添加し、さらにその少なくとも一部に活性元素を添加することにより形成される。内側クラッド層132は、例えばドーパントが添加されない石英から形成される。内側クラッド層132の屈折率はコア131の屈折率よりも低くなっており、コア131の内側には光導波路が形成される。例えば、コア131と内側クラッド層132との比屈折率差は0.32%である。外側クラッド層135は、例えば紫外線硬化樹脂から形成される。外側クラッド層135の屈折率は内側クラッド層132の屈折率よりも低くなっており、内側クラッド層132の内側にも光導波路が形成される。例えば、コア131の直径は30μm、内側クラッド層132の外径は420μm、外側クラッド層135の外径は440μmである。
【0056】
コア131に添加される活性元素としては、例えばイッテルビウム(Yb)やエルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)などの希土類元素、ビスマス(Bi)やクロム(Cr)などが挙げられる。本実施形態では、Ybを第3の増幅用光ファイバ130のコア131に添加する例について説明するが、これに限られるものではない。なお、第3の増幅用光ファイバ130のコア131に添加される活性元素と第1の増幅用光ファイバ10のコア11及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21に添加される活性元素とは同一であることが好ましい。
【0057】
第3の増幅用光ファイバ130のコア131の全体にYbが添加されているが、コア131に添加されたYbの半径方向における濃度分布(第3の活性元素添加濃度分布)は、第2の増幅用光ファイバ20のコア21に添加されたYbの濃度分布(第2の活性元素添加濃度分布)と異なっており、第3の増幅用光ファイバ130において選択的に増幅される光の伝搬モードと第2の増幅用光ファイバ20において選択的に増幅される光の伝搬モードとが異なっている。例えば、第3の増幅用光ファイバ130のコア131に添加されたYbの添加濃度分布を
図5に示すような分布(第1の増幅用光ファイバ10のコア11に添加されたYbの添加濃度分布と同一の分布)とすることができる。
【0058】
ここで、融着接続部152での光損失を低減するために、第2の増幅用光ファイバ20のコア21と第3の増幅用光ファイバ130のコア131とは、同一の外径を有していることが好ましい。また、同様に、第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22と第3の増幅用光ファイバ130の内側クラッド層132とは、同一の外径を有していることが好ましい。
【0059】
また、本実施形態におけるファイバレーザシステム101は、双方励起型のファイバレーザとなっており、上述した第1の励起光源31及び第2の励起光源32に加えて、光共振器102の下流側から光共振器102に第3の励起光P3を導入可能な複数の第3の励起光源133と、光共振器102の下流側から光共振器102に第4の励起光P4を導入可能な複数の第4の励起光源134とを備えている。また、ファイバレーザシステム101は、これらの励起光源133,134からの励起光P3,P4を結合して光共振器102に出力可能な下流側光コンバイナ142を備えている。本実施形態におけるデリバリファイバ50は、この下流側光コンバイナ142に接続されている。本実施形態における制御部60は、例えば第1の励起光源31、第2の励起光源32、第3の励起光源133、及び第4の励起光源134に供給する電流を制御するように構成される。
【0060】
第3の励起光源133は、例えばGaAs系半導体を材料とするファブリペロー型の半導体レーザ素子を含むものであり、例えば中心波長976nmの励起光P
3(第3の励起光)を生成するものである。同様に、第4の励起光源134は、例えばGaAs系半導体を材料とするファブリペロー型の半導体レーザ素子を含むものであり、例えば中心波長915nmの励起光P
4(第4の励起光)を生成するものである。
図10に示すように、第3の励起光源133から出力される波長976nmの励起光P
3は、第4の励起光源134から出力される波長915nmの励起光P
4よりも増幅用光ファイバ10,20,130のコア11,21,131に吸収されやすい。
【0061】
下流側光コンバイナ142は、励起光源133,134から出力される励起光P3,P4を結合して第3の増幅用光ファイバ130の内側クラッド層132に導入するように構成されている。すなわち、第3の増幅用光ファイバ130の内側クラッド層132には、第2の増幅用光ファイバ20が接続されている側とは反対側から励起光P3,P4が導入される。
【0062】
本実施形態においては、第1の励起光源31、第2の励起光源32、上流側光コンバイナ41、光共振器102、下流側光コンバイナ142、第3の励起光源133、第4の励起光源134、及び制御部60により、レーザ光を増幅して出力する光増幅装置が構成されている。
【0063】
このような構成のファイバレーザシステム101において、第1の励起光源31からの励起光P1及び第2の励起光源32からの励起光P2は、まず第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12に導入される。これにより、第1の増幅用光ファイバ10では、コア11に添加されたYbが励起され、コア11に添加されたYbの濃度分布に基づいて所定の伝搬モード(例えば基本伝搬モード)が選択的に増幅される。このとき、吸収率の高い波長976nmの励起光P1のほとんどが第1の増幅用光ファイバ10のコア11で吸収され、吸収率の低い波長915nmの励起光P2の多くは、第1の増幅用光ファイバ10のコア11では吸収されない。
【0064】
また、第3の励起光源133からの励起光P3及び第4の励起光源134からの励起光P4は、まず第3の増幅用光ファイバ130の内側クラッド層132に導入される。これにより、コア131に添加されたYbが励起され、第3の増幅用光ファイバ130では、コア131に添加されたYbの濃度分布に基づいて所定の伝搬モード(例えば基本伝搬モード)が選択的に増幅される。このとき、吸収率の高い波長976nmの励起光P3のほとんどが第3の増幅用光ファイバ130のコア131で吸収され、吸収率の低い波長915nmの励起光P4の多くは、第3の増幅用光ファイバ130のコア131では吸収されない。
【0065】
第1の増幅用光ファイバ10のコア11に吸収されなかった励起光は、第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22を伝搬し、コア21に添加されたYbを励起する。また、第3の増幅用光ファイバ130のコア131に吸収されなかった励起光は、第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22を伝搬し、コア21に添加されたYbを励起する。上述したように、励起光P1のほとんどが第1の増幅用光ファイバ10のコア11に吸収され、励起光P3のほとんどが第3の増幅用光ファイバ130のコア131に吸収されるため、第2の増幅用光ファイバ20に導入される励起光は主として励起光P2及び励起光P4となる。これにより、第2の増幅用光ファイバ20では、コア21に添加されたYbの濃度分布に基づいて所定の伝搬モード(例えば高次伝搬モード)がより強く増幅される。
【0066】
このように、本実施形態においては、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第1の励起光源31からの励起光P1によって制御し、第2の増幅用光ファイバ20のコア21の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第2の励起光源32からの励起光P2及び第4の励起光源134からの励起光P4によって制御し、第3の増幅用光ファイバ130のコア131の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第3の励起光源133からの励起光P
3
により制御することが可能である。
【0067】
したがって、制御部60によって第1の励起光源31、第2の励起光源32、第3の励起光源33、及び第4の励起光源34(例えば、第1の励起光源31に供給する電流、第2の励起光源32に供給する電流、第3の励起光源133に供給する電流、及び第4の励起光源134に供給する電流)を制御して励起光P1の強度、励起光P2の強度、励起光P3の強度、励起光P4の強度の割合を変化させることにより、第1の増幅用光ファイバ10により選択的に増幅させる伝搬モードと第2の増幅用光ファイバ20により選択的に増幅させる伝搬モードと第3の増幅用光ファイバ130により選択的に増幅させる伝搬モードとの割合を調整することができ、光共振器102から出力されるレーザ光のプロファイルを容易に所望の形状にすることができる。このため、ビームプロファイルを所望の形状に変換するためのビーム変換器を光共振器102の下流側に設ける必要がなく、光共振器102の下流側における光損失やビーム品質の劣化を低減することができる。
【0068】
なお、本実施形態において第4の励起光源134を省略することも可能である。その場合には、第2の増幅用光ファイバ20により選択的に増幅させる伝搬モードを主として第2の励起光源32からの励起光P2のみによって制御することが可能である。
【0069】
図13は、本発明の第4の実施形態における光増幅装置を含むファイバレーザシステム201を模式的に示す図である。
図13に示すように、本実施形態におけるファイバレーザシステム201は、第3の実施形態の第1の増幅用光ファイバ10、第2の増幅用光ファイバ20、及び第3の増幅用光ファイバ130に加えて、第4の増幅用光ファイバ240を備えている。この第4の増幅用光ファイバ240は、第2の増幅用光ファイバ20及び第3の増幅用光ファイバ130の長手方向において第2の増幅用光ファイバ20と第3の増幅用光ファイバ130との間に接続されている。第4の増幅用光ファイバ240は、第2の増幅用光ファイバ20と融着接続部252にて融着接続され、第3の増幅用光ファイバ130と融着接続部253にて融着接続されている。このように、本実施形態における光共振器202は、高反射FBG部54、第1の増幅用光ファイバ10、第2の増幅用光ファイバ20、第3の増幅用光ファイバ130、第4の増幅用光ファイバ240、及び低反射FBG部56により構成される。
【0070】
図14は、第4の増幅用光ファイバ240の構造を模式的に示す断面図である。
図14に示すように、第4の増幅用光ファイバ240は、コア241(第4のコア)と、コア241の周囲を覆う内側クラッド層242(第4のクラッド層)と、内側クラッド層242の周囲を覆う外側クラッド層243とを有している。
【0071】
コア241は、例えば、石英に屈折率を上昇させるアルミニウムなどの元素を添加し、さらにその少なくとも一部に活性元素を添加することにより形成される。内側クラッド層242は、例えばドーパントが添加されない石英から形成される。内側クラッド層242の屈折率はコア241の屈折率よりも低くなっており、コア241の内側には光導波路が形成される。例えば、コア241と内側クラッド層242との比屈折率差は0.32%である。外側クラッド層243は、例えば紫外線硬化樹脂から形成される。外側クラッド層243の屈折率は内側クラッド層242の屈折率よりも低くなっており、内側クラッド層242の内側にも光導波路が形成される。例えば、コア241の直径は30μm、内側クラッド層242の外径は420μm、外側クラッド層243の外径は440μmである。
【0072】
コア241に添加される活性元素としては、例えばイッテルビウム(Yb)やエルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)などの希土類元素、ビスマス(Bi)やクロム(Cr)などが挙げられる。本実施形態では、Ybを第4の増幅用光ファイバ240のコア241に添加する例について説明するが、これに限られるものではない。なお、第4の増幅用光ファイバ240のコア241に添加される活性元素と第1の増幅用光ファイバ10のコア11、第2の増幅用光ファイバ20のコア21、及び第3の増幅用光ファイバ130のコア131に添加される活性元素とは同一であることが好ましい。
【0073】
第4の増幅用光ファイバ240のコア241の全体にYbが添加されているが、コア241に添加されたYbの半径方向における濃度分布(第4の活性元素添加濃度分布)は、第3の増幅用光ファイバ130のコア131に添加されたYbの濃度分布(第3の活性元素添加濃度分布)と異なっており、第4の増幅用光ファイバ240において選択的に増幅される光の伝搬モードと第3の増幅用光ファイバ130において選択的に増幅される光の伝搬モードとが異なっている。例えば、第4の増幅用光ファイバ240のコア241に添加されたYbの添加濃度分布を
図6や
図7に示すような分布(第2の増幅用光ファイバ20のコア21に添加されたYbの添加濃度分布と同一の分布)とすることができる。
【0074】
ここで、融着接続部252での光損失を低減するために、第4の増幅用光ファイバ240のコア241と第2の増幅用光ファイバ20のコア21とは、同一の外径を有していることが好ましい。また、第4の増幅用光ファイバ240の内側クラッド層242と第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22とは、同一の外径を有していることが好ましい。さらに、融着接続部253での光損失を低減するために、第4の増幅用光ファイバ240のコア241と第3の増幅用光ファイバ130のコア131とは、同一の外径を有していることが好ましい。また、第4の増幅用光ファイバ240の内側クラッド層242と第3の増幅用光ファイバ130の内側クラッド層132とは、同一の外径を有していることが好ましい。
【0075】
このような構成のファイバレーザシステム201において、第1の励起光源31からの励起光P1及び第2の励起光源32からの励起光P2は、まず第1の増幅用光ファイバ10の内側クラッド層12に導入される。これにより、第1の増幅用光ファイバ10では、コア11に添加されたYbが励起され、コア11に添加されたYbの濃度分布に基づいて所定の伝搬モード(例えば基本伝搬モード)が選択的に増幅される。このとき、吸収率の高い波長976nmの励起光P1のほとんどが第1の増幅用光ファイバ10のコア11で吸収され、吸収率の低い波長915nmの励起光P2の多くは、第1の増幅用光ファイバ10のコア11では吸収されない。
【0076】
また、第3の励起光源133からの励起光P3及び第4の励起光源134からの励起光P4は、まず第3の増幅用光ファイバ130の内側クラッド層132に導入される。これにより、コア131に添加されたYbが励起され、第3の増幅用光ファイバ130では、コア131に添加されたYbの濃度分布に基づいて所定の伝搬モード(例えば基本伝搬モード)が選択的に増幅される。このとき、吸収率の高い波長976nmの励起光P3のほとんどが第3の増幅用光ファイバ130のコア131で吸収され、吸収率の低い波長915nmの励起光P4の多くは、第3の増幅用光ファイバ130のコア131では吸収されない。
【0077】
第1の増幅用光ファイバ10のコア11に吸収されなかった励起光は、第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22を伝搬し、コア21に添加されたYbを励起する。上述したように、励起光P1のほとんどが第1の増幅用光ファイバ10のコア11に吸収されるため、第2の増幅用光ファイバ20に導入される励起光は主として励起光P2となる。これにより、第2の増幅用光ファイバ20では、コア21に添加されたYbの濃度分布に基づいて所定の伝搬モード(例えば高次伝搬モード)がより強く増幅される。
【0078】
また、第3の増幅用光ファイバ130のコア131に吸収されなかった励起光は、第4の増幅用光ファイバ240の内側クラッド層242を伝搬し、コア241に添加されたYbを励起する。上述したように、励起光P3のほとんどが第3の増幅用光ファイバ130のコア131に吸収されるため、第4の増幅用光ファイバ240に導入される励起光は主として励起光P4となる。これにより、第4の増幅用光ファイバ240では、コア241に添加されたYbの濃度分布に基づいて所定の伝搬モード(例えば高次伝搬モード)がより強く増幅される。
【0079】
このように、本実施形態においては、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第1の励起光源31からの励起光P1によって制御し、第2の増幅用光ファイバ20のコア21の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第2の励起光源32からの励起光P2によって制御し、第3の増幅用光ファイバ130のコア131の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第3の励起光源133からの励起光P
3
により制御し、第4の増幅用光ファイバ240のコア241の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第4の励起光源134からの励起光P4により制御することが可能である。
【0080】
したがって、制御部60によって第1の励起光源31、第2の励起光源32、第3の励起光源33、及び第4の励起光源34(例えば、第1の励起光源31に供給する電流、第2の励起光源32に供給する電流、第3の励起光源133に供給する電流、及び第4の励起光源134に供給する電流)を制御して励起光P1の強度、励起光P2の強度、励起光P3の強度、励起光P4の強度の割合を変化させることにより、第1の増幅用光ファイバ10により選択的に増幅させる伝搬モードと第2の増幅用光ファイバ20により選択的に増幅させる伝搬モードと第3の増幅用光ファイバ130により選択的に増幅させる伝搬モードと第4の増幅用光ファイバ240により選択的に増幅させる伝搬モードとの割合を調整することができ、光共振器202から出力されるレーザ光のプロファイルを容易に所望の形状にすることができる。このため、ビームプロファイルを所望の形状に変換するためのビーム変換器を光共振器202の下流側に設ける必要がなく、光共振器202の下流側における光損失やビーム品質の劣化を低減することができる。
【0081】
また、
図13に示すように、第2の増幅用光ファイバ20と第4の増幅用光ファイバ240との融着接続部252に、第2の増幅用光ファイバ20のコア21で吸収されなかった励起光及び第4の増幅用光ファイバ240のコア241で吸収されなかった励起光のうち少なくとも一方を除去する励起光除去部270を設けてもよい。例えば、第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22及び第4の増幅用光ファイバ240の内側クラッド層242のうち少なくとも一方の屈折率以上の屈折率を有する樹脂を、内側クラッド層22及び内側クラッド層242のうち少なくとも一方を覆うように形成することで、このような励起光除去部270を構成することができる。この場合には、第2の増幅用光ファイバ20のコア21で吸収されなかった励起光及び第4の増幅用光ファイバ240のコア241で吸収されなかった励起光を、内側クラッド層22,242から励起光除去部270の樹脂に漏らして熱に変換して除去することができる。したがって、第2の増幅用光ファイバ20のコア21で吸収されなかった励起光が第3の増幅用光ファイバ130及び第4の増幅用光ファイバ240における増幅に与える影響を小さくするとともに、第4の増幅用光ファイバ240のコア241で吸収されなかった励起光が第2の増幅用光ファイバ20及び第1の増幅用光ファイバ10における増幅に与える影響を小さくすることができる。これにより、それぞれの増幅用光ファイバ10,20,130,240において増幅されるレーザ光のパワーが増大する。この結果、出力されるレーザ光のビームプロファイルを所望のビームプロファイルとしつつ、そのパワーを高めることができる。
【0082】
図13に示す例では、第2の増幅用光ファイバ20と第4の増幅用光ファイバ240とが融着接続部252にて互いに融着接続されているが、
図15に示すように、活性元素が添加されていないコアを有する中継光ファイバ350を用いて第2の増幅用光ファイバ20と第4の増幅用光ファイバ240とを接続することも可能である。この中継光ファイバ350のコアの屈折率は、第2の増幅用光ファイバ20のコア21の屈折率及び第4の増幅用光ファイバ240のコア241の屈折率と等しいことが好ましく、中継光ファイバ350の内側クラッドの屈折率は、第2の増幅用光ファイバ20の内側クラッド層22の屈折率及び第4の増幅用光ファイバ
240の内側クラッド層
242の屈折率と等しいことが好ましい。
【0083】
図15に示す例では、中継光ファイバ350は、第2の増幅用光ファイバ20と融着接続部353にて融着接続され、第4の増幅用光ファイバ240と融着接続部355にて融着接続されている。この構成においては、上述した励起光除去部270を
図15に示すように中継光ファイバ350の途中に設けてもよいし、あるいは第2の増幅用光ファイバ20の第
3の増幅用光ファイバ
130に近い側の端部(融着接続部353)に設けてもよいし、あるいは第
4の増幅用光ファイバ
240の第1の増幅用光ファイバ10に近い側の端部(融着接続部355)に設けてもよい。
【0084】
上述した実施形態において、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の活性元素添加濃度分布、第2の増幅用光ファイバ20のコア21の活性元素添加濃度分布、第3の増幅用光ファイバ130のコア131の活性元素添加濃度分布、及び第4の増幅用光ファイバ240のコア241の活性元素添加濃度分布は、上述のものに限られるものではなく、必要とされるビームプロファイルに応じて任意の濃度分布を組み合わせて用いることができる。
【0085】
上述した実施形態においては、複数の第1の励起光源31、複数の第2の励起光源32、複数の第3の励起光源133、及び複数の第4の励起光源134が設けられているが、第1の励起光源31、第2の励起光源32、第3の励起光源133、及び第4の励起光源134の数はそれぞれ1つであってもよい。また、第1の励起光源31が生成する励起光P1の波長、第2の励起光源32が生成する励起光P2の波長、第3の励起光源133が生成する励起光P3の波長、及び第4の励起光源134が生成する励起光P4の波長は、上述した例に限られるものではない。励起光P1の波長の吸収率が励起光P2の波長の吸収率よりも高ければ、励起光P1の波長及び励起光P2の波長を任意の組み合わせとすることができる。また、励起光P3の波長の吸収率が励起光P4の波長の吸収率よりも高ければ、励起光P3の波長及び励起光P4の波長を任意の組み合わせとすることができる。また、励起光P1の波長と励起光P3の波長とを同一にする必要はなく、励起光P2の波長と励起光P4の波長とを同一にする必要もない。
【0086】
上述した実施形態においては、光共振器2を含む光増幅装置を有するファイバレーザシステム1を例として説明したが、本発明は他の種類の光増幅装置にも適用可能なものである。例えば、
図16及び
図17に示すように、本発明に係る光増幅装置をMOPAファイバレーザシステム401,501に適用することも可能である。
【0087】
図16に示すMOPAファイバレーザシステム401は、シード光を生成するシード光源430と、上述した第1の実施形態において説明した光増幅装置とを備えるものである。シード光源430は、上流側光コンバイナ41に接続されており、この上流側光コンバイナ41を介してシード光を第1の増幅用光ファイバ10のコア11に導入するように構成されている。シード光源430からのシード光は、第1の増幅用光ファイバ10のコア11及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21の内部を伝搬し、励起光P
1,P
2がそれぞれのコア11,21を伝搬する際に、コア11,21に添加された希土類元素イオンが励起光P
1,P
2を吸収して励起され、誘導放出によってコア11,21中を伝搬するシード光が増幅される。このような構成においても、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第1の励起光源31からの励起光P
1によって制御し、第2の増幅用光ファイバ20のコア21の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第2の励起光源32からの励起光P
2によって制御することが可能である。したがって、制御部60によって第1の励起光源31及び第2の励起光源32を制御して励起光P
1の強度と励起光P
2の強度の割合を変化させることにより、第1の増幅用光ファイバ10により選択的に増幅させる伝搬モードと第2の増幅用光ファイバ20により選択的増幅させる伝搬モードとの割合を調整することができ、MOPAファイバレーザシステム401から出力されるレーザ光のプロファイルを容易に所望の形状にすることができる。
【0088】
図17に示すMOPAファイバレーザシステム501は、シード光を生成するシード光源430と、上述した第2の実施形態において説明した光増幅装置とを備えるものである。シード光源430は、上流側光コンバイナ41に接続されており、この上流側光コンバイナ41を介してシード光を第1の増幅用光ファイバ10のコア11に導入するように構成されている。シード光源430からのシード光は、第1の増幅用光ファイバ10のコア11及び第2の増幅用光ファイバ20のコア21の内部を伝搬し、励起光P
1,P
2がそれぞれのコア11,21を伝搬する際に、コア11,21に添加された希土類元素イオンが励起光P
1,P
2を吸収して励起され、誘導放出によってコア11,21中を伝搬するシード光が増幅される。このような構成においても、第1の増幅用光ファイバ10のコア11の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第1の励起光源31からの波長976nmの励起光P
1によって制御し、第2の増幅用光ファイバ20のコア21の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第2の励起光源32からの波長915nmの励起光P
2によって制御することが可能である。したがって、制御部60によって第1の励起光源31及び第2の励起光源32を制御して励起光P
1の強度と励起光P
2の強度の割合を変化させることにより、第1の増幅用光ファイバ10により選択的に増幅させる伝搬モードと第2の増幅用光ファイバ20により選択的増幅させる伝搬モードとの割合を調整することができ、MOPAファイバレーザシステム501から出力されるレーザ光のプロファイルを容易に所望の形状にすることができる。なお、上述した第3ないし第5の実施形態の光増幅装置にもこのようなシード光源430を適用できることは言うまでもない。
【0089】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0090】
本発明の第1の態様によれば、所望のビームプロファイルを有するレーザ光を出力する光増幅装置を構成することができる増幅用光ファイバ部材が提供される。この増幅用光ファイバ部材は、第1の増幅用光ファイバと、上記第1の増幅用光ファイバの長手方向において上記第1の増幅用光ファイバに接続される第2の増幅用光ファイバとを備えている。上記第1の増幅用光ファイバは、活性元素が第1の活性元素添加濃度分布で添加された第1のコアと、上記第1のコアの外側に位置し、上記第1のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第1のクラッド層とを有している。上記第2の増幅用光ファイバは、上記活性元素が上記第1の活性元素添加濃度分布とは異なる第2の活性元素添加濃度分布で添加された第2のコアと、上記第2のコアの外側に位置し、上記第2のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第2のクラッド層とを有している。上記第2のコアは、上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のコアに光学的に接続される。
【0091】
このような増幅用光ファイバ部材を光増幅装置に組み込むことにより、後述するように、ビームプロファイルを変更するための機構を特に必要とせずに、所望のビームプロファイルを有するレーザ光を出力することが可能となる。
【0092】
上記第1の増幅用光ファイバは、高次伝搬モードの光に比べて基本伝搬モードの光をより強く増幅する傾向が上記第2の増幅用光ファイバよりも強くてもよい。また、上記第1の活性元素添加濃度分布は、上記第1のコアの中心の領域における上記活性元素の添加濃度が、上記中心の領域よりも外側の領域における上記活性元素の添加濃度よりも低くなるような分布であってもよい。
【0093】
上記第2の増幅用光ファイバは、基本伝搬モードの光に比べて高次伝搬モードの光をより強く増幅する傾向が上記第1の増幅用光ファイバよりも強くてもよい。また、上記第2の活性元素添加濃度分布は、上記第2のコアの中心から外周までの全領域における上記活性元素の添加濃度が同一であるような分布であってもよい。さらに、上記第2の活性元素添加濃度分布は、上記第2のコアの中心の領域における上記活性元素の添加濃度が、上記中心の領域よりも外側の領域における上記活性元素の添加濃度よりも高くなるような分布であってもよい。
【0094】
本発明の第2の態様によれば、ビームプロファイルを変更するための機構を特に必要とせずに、所望のビームプロファイルを有するレーザ光を出力することができる光増幅装置が提供される。この光増幅装置は、上述した増幅用光ファイバ部材と、第1の励起光を生成し、上記増幅用光ファイバ部材の上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のクラッド層に上記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から上記第1の励起光を導入可能な第1の励起光源と、第2の励起光を生成し、上記増幅用光ファイバ部材の上記第2の増幅用光ファイバの上記第2のクラッド層に上記第1の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から上記第2の励起光を導入可能な第2の励起光源とを備える。
【0095】
このような構成によれば、第1の増幅用光ファイバの第1のコアの第1の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第1の励起光源からの第1の励起光によって制御し、第2の増幅用光ファイバの第2のコアの第2の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第2の励起光源からの第2の励起光によって制御することができる。したがって、第1の励起光源から出力される第1の励起光の強度と第2の励起光源から出力される第2の励起光の強度の割合を変化させることにより、第1の増幅用光ファイバにより選択的に増幅させる伝搬モードと第2の増幅用光ファイバにより選択的に増幅させる伝搬モードとの割合を調整することができ、光増幅装置から出力されるレーザ光のプロファイルを容易に所望の形状にすることができる。このため、ビームプロファイルを所望の形状に変換するためのビーム変換器を光増幅装置の下流側に設ける必要がなく、光増幅装置の下流側における光損失やビーム品質の劣化を低減することができる。
【0096】
第1の励起光が第2の増幅用光ファイバにおける増幅に与える影響をより少なくするために、上記第1の増幅用光ファイバは、上記第1の励起光の90%以上が上記第1のコアに吸収されるような長さを有することが好ましい。また、第2の励起光が第1の増幅用光ファイバにおける増幅に与える影響をより少なくするために、上記第2の増幅用光ファイバは、上記第2の励起光の90%以上が上記第2のコアに吸収されるような長さを有することが好ましい。
【0097】
上記光増幅装置は、所望のビームプロファイルを有するレーザ光が出力されるように上記第1の励起光源に供給する電流及び上記第2の励起光源に供給する電流を制御する制御部をさらに備えていてもよい。
【0098】
上記光増幅装置は、上記第1の増幅用光ファイバの上記第2の増幅用光ファイバに近い側の端部、上記第2の増幅用光ファイバの上記第1の増幅用光ファイバに近い側の端部、又は上記第1の増幅用光ファイバと上記第2の増幅用光ファイバとの間に配置された励起光除去部をさらに備えていてもよい。この励起光除去部は、上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のコアで吸収されなかった上記第1の励起光及び上記第2の増幅用光ファイバの上記第2のコアで吸収されなかった上記第2の励起光を除去できるように構成される。この場合において、上記第1の増幅用光ファイバと上記第2の増幅用光ファイバとの接続部において上記第1のクラッド層及び上記第2のクラッド層のうち少なくとも一方を覆い、上記第1のクラッド層及び上記第2のクラッド層のうち少なくとも一方の屈折率以上の屈折率を有する樹脂により上記励起光除去部を構成することができる。この場合には、第1の増幅用光ファイバの第1のコアで吸収されなかった第1の励起光及び第2の増幅用光ファイバの第2のコアで吸収されなかった第2の励起光を、第1のクラッド層及び第2のクラッド層から励起光除去部の樹脂に漏らして熱に変換して除去することができる。
【0099】
また、上記光増幅装置は、シード光を生成し、上記光増幅装置の上記増幅用光ファイバ部材の上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のコア又は上記第2の増幅用光ファイバの上記第2のコアに上記シード光を導入可能なシード光源をさらに備えていてもよい。
【0100】
本発明の第3の態様によれば、所望のビームプロファイルを有するレーザ光を出力することができる光増幅装置が提供される。この光増幅装置は、第1の増幅用光ファイバと、上記第1の増幅用光ファイバの長手方向において上記第1の増幅用光ファイバに接続される第2の増幅用光ファイバとを備える。上記第1の増幅用光ファイバは、活性元素が第1の活性元素添加濃度分布で添加された第1のコアと、上記第1のコアの外側に位置し、上記第1のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第1のクラッド層とを有する。上記第2の増幅用光ファイバは、上記活性元素が上記第1の活性元素添加濃度分布とは異なる第2の活性元素添加濃度分布で添加された第2のコアと、上記第2のコアの外側に位置し、上記第2のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第2のクラッド層とを有する。上記光増幅装置は、第1の波長を有する第1の励起光を生成し、上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のクラッド層に上記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から上記第1の励起光を導入可能な第1の励起光源と、上記活性元素に対する吸収率が上記第1の波長よりも低い第2の波長を有する第2の励起光を生成し、上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のクラッド層に上記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から上記第2の励起光を導入可能な第2の励起光源とを備える。上記第1の増幅用光ファイバは、上記第2の励起光の一部が透過するような長さを有する。
【0101】
このような構成によれば、第1の増幅用光ファイバの第1のコアの第1の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第1の励起光源からの第1の励起光によって制御し、第2の増幅用光ファイバの第2のコアの第2の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第2の励起光源からの第2の励起光によって制御することができる。したがって、第1の励起光源から出力される第1の励起光の強度と第2の励起光源から出力される第2の励起光の強度の割合を変化させることにより、第1の増幅用光ファイバにより選択的に増幅させる伝搬モードと第2の増幅用光ファイバにより選択的に増幅させる伝搬モードとの割合を調整することができ、光増幅装置から出力されるレーザ光のプロファイルを容易に所望の形状にすることができる。このため、ビームプロファイルを所望の形状に変換するためのビーム変換器を光増幅装置の下流側に設ける必要がなく、光増幅装置の下流側における光損失やビーム品質の劣化を低減することができる。
【0102】
第2の励起光が第1の増幅用光ファイバにおける増幅に与える影響をより小さくし、第2の励起光が第2の増幅用光ファイバにおける増幅に与える影響をより大きくするために、上記第1の増幅用光ファイバは、上記第2の励起光のうち上記第1のコアに吸収されるものが50%未満となるような長さを有することが好ましい。また、吸収率が低い第2の波長を有する第2の励起光が第2の増幅用光ファイバの第2のコアに十分に吸収されるように、上記第2の増幅用光ファイバは上記第1の増幅用光ファイバよりも長いことが好ましい。
【0103】
上記光増幅装置は、所望のビームプロファイルを有するレーザ光が出力されるように上記第1の励起光源に供給する電流及び上記第2の励起光源に供給する電流を制御する制御部をさらに備えていてもよい。
【0104】
上記光増幅装置は、上記第2の増幅用光ファイバの長手方向において上記第1の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側で上記第2の増幅用光ファイバに接続される第3の増幅用光ファイバをさらに備えていてもよい。上記第3の増幅用光ファイバは、上記第2の増幅用光ファイバの上記第2のコアに光学的に接続される第3のコアと、上記第3のコアの外側に位置し、上記第3のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第3のクラッド層とを有する。上記第3のコアには、上記活性元素が上記第2の活性元素添加濃度分布とは異なる第3の活性元素添加濃度分布で添加される。上記光増幅装置は、上記活性元素に対する吸収率が上記第2の波長よりも高い第3の波長を有する第3の励起光を生成し、上記第3の増幅用光ファイバの上記第3のクラッド層に上記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から上記第3の励起光を導入可能な第3の励起光源をさらに備えていてもよい。
【0105】
このような構成によれば、第1の増幅用光ファイバの第1のコアの第1の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第1の励起光源からの第1の励起光によって制御し、第2の増幅用光ファイバの第2のコアの第2の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第2の励起光源からの第2の励起光によって制御し、第3の増幅用光ファイバの第3のコアの第3の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第3の励起光源からの第3の励起光によって制御することができる。したがって、第1の励起光源から出力される第1の励起光の強度と第2の励起光源から出力される第2の励起光の強度と第3の励起光源から出力される第3の励起光の強度との割合を変化させることにより、第1の増幅用光ファイバにより選択的に増幅させる伝搬モードと第2の増幅用光ファイバにより選択的に増幅させる伝搬モードと第3の増幅用光ファイバにより選択的に増幅させる伝搬モードの割合を調整することができ、光増幅装置から出力されるレーザ光のプロファイルを容易に所望の形状にすることができる。このため、ビームプロファイルを所望の形状に変換するためのビーム変換器を光増幅装置の下流側に設ける必要がなく、光増幅装置の下流側における光損失やビーム品質の劣化を低減することができる。
【0106】
この場合において、上記光増幅装置が、所望のビームプロファイルを有するレーザ光が出力されるように上記第1の励起光源に供給する電流、上記第2の励起光源に供給する電流、及び上記第3の励起光源に供給する電流を制御する制御部をさらに備えていてもよい。また、上記光増幅装置が、上記活性元素に対する吸収率が上記第3の波長よりも低い第4の波長を有する第4の励起光を生成し、上記第3の増幅用光ファイバの上記第3のクラッド層に上記第2の増幅用光ファイバは接続されている側とは反対側から上記第4の励起光を導入可能な第4の励起光源をさらに備えていてもよい。
【0107】
上記光増幅装置は、第3の増幅用光ファイバと、上記第2の増幅用光ファイバ及び上記第3の増幅用光ファイバの長手方向において上記第2の増幅用光ファイバと上記第3の増幅用光ファイバとの間に接続される第4の増幅用光ファイバとをさらに備えていてもよい。上記第3の増幅用光ファイバは、上記活性元素が第3の活性元素添加濃度分布で添加された第3のコアと、上記第3のコアの外側に位置し、上記第3のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第3のクラッド層とを有する。上記第4の増幅用光ファイバは、上記第2の増幅用光ファイバの上記第2のコア及び上記第3の増幅用光ファイバの上記第3のコアに光学的に接続される第4のコアと、上記第4のコアの外側に位置し、上記第4のコアの屈折率よりも低い屈折率を有する第4のクラッド層とを有する。上記第4のコアには、上記活性元素が上記第3の活性元素添加濃度分布とは異なる第4の活性元素添加濃度分布で添加される。上記光増幅装置は、第3の波長を有する第3の励起光を生成し、上記第3の増幅用光ファイバの上記第3のクラッド層に上記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から上記第3の励起光を導入可能な第3の励起光源と、上記活性元素に対する吸収率が上記第3の波長よりも低い第4の波長を有する第4の励起光を生成し、上記第3の増幅用光ファイバの上記第3のクラッド層に上記第2の増幅用光ファイバが接続されている側とは反対側から上記第4の励起光を導入可能な第4の励起光源とをさらに備えていてもよい。上記第3の増幅用光ファイバは、上記第4の励起光の一部が透過するような長さを有していてもよい。
【0108】
このような構成によれば、第1の増幅用光ファイバの第1のコアの第1の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第1の励起光源からの第1の励起光によって制御し、第2の増幅用光ファイバの第2のコアの第2の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第2の励起光源からの第2の励起光によって制御し、第3の増幅用光ファイバの第3のコアの第3の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第3の励起光源からの第3の励起光によって制御し、第4の増幅用光ファイバの第4のコアの第4の活性元素添加濃度分布に基づいて選択的に増幅される伝搬モードを主として第4の励起光源からの第4の励起光によって制御することができる。したがって、第1の励起光源から出力される第1の励起光の強度と第2の励起光源から出力される第2の励起光の強度と第3の励起光源から出力される第3の励起光の強度と第4の励起光源から出力される第4の励起光の強度との割合を変化させることにより、第1の増幅用光ファイバにより選択的に増幅させる伝搬モードと第2の増幅用光ファイバにより選択的に増幅させる伝搬モードと第3の増幅用光ファイバにより選択的に増幅させる伝搬モードの割合と第4の増幅用光ファイバにより選択的に増幅させる伝搬モードの割合を調整することができ、光増幅装置から出力されるレーザ光のプロファイルを容易に所望の形状にすることができる。このため、ビームプロファイルを所望の形状に変換するためのビーム変換器を光増幅装置の下流側に設ける必要がなく、光増幅装置の下流側における光損失やビーム品質の劣化を低減することができる。
【0109】
第4の励起光が第3の増幅用光ファイバにおける増幅に与える影響をより小さくし、第4の励起光が第4の増幅用光ファイバにおける増幅に与える影響をより大きくするために、上記第3の増幅用光ファイバは、上記第4の励起光のうち上記第3のコアに吸収されるものが50%未満となるような長さを有することが好ましい。また、吸収率が低い第4の波長を有する第4の励起光が第4の増幅用光ファイバの第4のコアに十分に吸収されるように、上記第4の増幅用光ファイバは上記第3の増幅用光ファイバよりも長いことが好ましい。
【0110】
上記光増幅装置は、所望のビームプロファイルを有するレーザ光が出力されるように上記第1の励起光源、上記第2の励起光源、上記第3の励起光源、及び上記第4の励起光源を制御する制御部をさらに備えていてもよい。
【0111】
上記光増幅装置は、上記第2の増幅用光ファイバの上記第4の増幅用光ファイバに近い側の端部、上記第4の増幅用光ファイバの上記第2の増幅用光ファイバに近い側の端部、又は上記第2の増幅用光ファイバと上記第4の増幅用光ファイバとの間に配置された励起光除去部をさらに備えていてもよい。この励起除去部は、上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のコア及び上記第2の増幅用光ファイバの上記第2のコアで吸収されなかった上記第1の励起光及び上記第2の励起光と、上記第3の増幅用光ファイバの上記第3のコア及び上記第4の増幅用光ファイバの上記第4のコアで吸収されなかった上記第3の励起光及び上記第4の励起光とを除去できるように構成される。この場合において、上記第2の増幅用光ファイバと上記第4の増幅用光ファイバとの接続部において上記第2のクラッド層及び上記第4のクラッド層のうち少なくとも一方を覆い、上記第2のクラッド層及び上記第4のクラッド層のうち少なくとも一方の屈折率以上の屈折率を有する樹脂により上記励起光除去部を構成することができる。この場合には、上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のコア及び上記第2の増幅用光ファイバの上記第2のコアで吸収されなかった上記第1の励起光及び上記第2の励起光と、上記第3の増幅用光ファイバの上記第3のコア及び上記第4の増幅用光ファイバの上記第4のコアで吸収されなかった上記第3の励起光及び上記第4の励起光とを、第2のクラッド層及び第4のクラッド層から励起光除去部の樹脂に漏らして熱に変換して除去することができる。
【0112】
また、上記光増幅装置は、シード光を生成し、上記光増幅装置の上記第1の増幅用光ファイバの上記第1のコアに上記シード光を導入可能なシード光源をさらに備えていてもよい。
【0113】
本出願は、2019年9月3日に提出された日本国特許出願特願2019-160575号及び2019年9月3日に提出された日本国特許出願特願2019-160645号に基づくものであり、当該出願の優先権を主張するものである。当該出願の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、レーザ光を増幅して出力する光増幅装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0115】
1 ファイバレーザシステム
2 光共振器
3 増幅用光ファイバ部材
10 第1の増幅用光ファイバ
11 (第1の)コア
12 内側クラッド層(第1のクラッド層)
13 外側クラッド層
20 第2の増幅用光ファイバ
21 (第2の)コア
22 内側クラッド層(第2のクラッド層)
23 外側クラッド層
31 第1の励起光源
32 第2の励起光源
41 上流側光コンバイナ
42 下流側光コンバイナ
50 デリバリファイバ
51 レーザ出射部
52,53,55 融着接続部
54 高反射FBG部
56 低反射FBG部
60 制御部
70 励起光除去部
101 ファイバレーザシステム
102 光共振器
130 第3の増幅用光ファイバ
131 (第3の)コア
132 内側クラッド層(第3のクラッド層)
133 第3の励起光源
134 第4の励起光源
135 外側クラッド層
142 下流側光コンバイナ
152,155 融着接続部
201 ファイバレーザシステム
202 光共振器
240 第4の増幅用光ファイバ
241 (第4の)コア
242 内側クラッド層(第4のクラッド層)
243 外側クラッド層
252,153 融着接続部
270 励起光除去部
350 中継光ファイバ
353,355 融着接続部
430 シード光源
P1 (第1の)励起光
P2 (第2の)励起光
P3 (第3の)励起光
P4 (第4の)励起光